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教育

大学入試改革のメリット・デメリット

毛利 真由(16)

 2013年日本政府は大学入試のセンター試験を廃止して新たな試験を実施する検討に入っている。次に用いられる統一試験方法はフランスのバカロレアやイギリスのGCSEを参考にするともいわれる。日本では、なぜ長年続けたセンター試験を見直すのか、そのメリット・デメリットは何なのか。GCSEやA―LEVEL を受験しているイギリスの学生を現地で取材した。

 日本での一番の改革理由は、大学教育で必要な能力があるかどうかを高校の間で身につけた学力で丁寧に測る仕組みが必要であるからと言われている。また、いまのような“一発勝負”ではなくその前段階の学校における評価や達成度を反映することが重要視され始めたこともあるようだ。

 GCSEはイギリスで公認されている統一試験のことだ。これは高校生が受けるもので、一年の間に何度も受験することができる。その評価は大学進学だけでなく就職の際にも必要な資格とされている。複数の科目から自分の将来に役立つ科目を選択することができる。

 これらを14歳で科目選択をするため、幼い時から自分の将来について真剣に考えることになる。取材したCEの姉妹団体のロンドン、ベルファスト、フオイルの3支局で若者の話を聞いた。「自分のことは自分が一番に知っているから自分で選べるのがいい」と17歳の少女は語る。「ある程度将来の方向性を定められるのがいい」「たくさんの選択科目から定められるのがいい」などという意見があった。GSCEのメリットは、自分が得意なものを率先して学ぶことができ、就職のときにもそれが生かされることのようだ。

 だが14歳で必修科目を選ばなくていけない厳しさもある。自分の人生の方向性を決めるのは早すぎる年齢だ。「選ばなかったのも自分の責任なので、自分の可能性を自分で閉じてしまうかもしれない」と20歳のマイケルは語る。将来の夢や職業のことを考えたとき科目を変更したいと思ってももう追いつけないほど授業が進んでいることや、その授業のクラスに空きがない場合も少なくないという。

 自分の意思で科目を選択する人も多くいるが、逆に何をとっていいかわからない生徒や将来やりたいことがまだ決まらない場合は友達と同じ科目をとったり、親の方針の影響を受ける人もいる。

 一方、日本で行われているセンター試験は一度しか実施されないため、直前で何等かの理由で受験できなくなった場合に今までの努力と時間が無駄になってしまう。AO入試では早期合格者の学習意欲の減退が他の生徒に悪影響を与えることや、大学に入った時の一般入試者との実力の差が生じることが指摘されている。自分の可能性を広げ、より多くの可能性を時間をかけて見つめ、学ぶためにはセンター試験のほうが効果的に見える。しかし、イギリスと比べてみると受験機会が一度だけであることや、マークシート式なため文章を“書く”こということを試すことができないなどの問題を抱えた日本の大学入試は改善の余地があるし、新しい試験方法を模索しながら変えていかなくてはいけない段階にきているのだろう。

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社会

聴導犬って?

聴導犬って?
2013/10/11               坂本 光央(10)

 皆さんは、『聴導犬』という犬を知っているだろうか。聴導犬とは、耳の不自由な聴覚障害者を補助する犬のことである。普段ほとんど見かけない聴導犬だが、具体的にはどんな仕事をしているのだろうか、どのような訓練をしているのだろうか、8月18日に社会福祉法人日本聴導犬協会八王子支部で、日本聴導犬協会会長の有馬もと氏と利用者の村澤久美子さんに話を聞いた。

目覚し時計を使ったデモ

 聴導犬は、もともと、1966年にアメリカのデトロイトで生まれて、その後、日本では1983年に聴導犬第一号が誕生した。

 有馬会長の話では、聴導犬は、聴覚障害者に八つの音(料理タイマーや警報機の音)を利用者に教えるように訓練されているが、生活の中で八つの音の他にも、利用者の必要な音を聞き分け、教えるようになるという。さらに例えば、利用者が目覚まし時計をセットするのを忘れても、聴導犬の方が習慣を理解しているので、いつも起きる時間に起こしてくれる。

 聴導犬を利用する村澤さんによると、以前は、鍵を落とした時、近くの人が気付いてくれて、声をかけられても気付かなかったという事や、湯を沸かし過ぎても気づかず、匂いがし始めてから気づくという事もあったという。しかし、聴導犬が来てからは、湯が沸いた音が鳴ると、自分の前まで来て音が鳴ったところへ連れて行ってくれるという。聴導犬がいることで、一緒にいるだけでも安心できるし、助かっているという。

 聴導犬の服の色はオレンジ色で、はぐれた時に見つけやすくするためである。さらに、服には聴導犬だという事を証明するためのIDコードがついていて、これは聴覚障害という『見えない障害』に気付いてもらうためでもあるという。

有馬会長に取材

 有馬会長の説明によると、このような仕事をする聴導犬の候補犬は、捨てられて、保健所や動物愛護センターに送られた犬から選ぶという。捨てられてきちんと世話をしてもらえなかった犬を補助犬に育てるのは愛情と時間がかかるが、一頭でも多くの犬を救い、障害者の良きパートナーに育てたい、これが日本聴導犬協会の設立当初からの基本理念なのだ。訓練法は、保健所などで候補犬選びをして、ソーシャライザーと呼ばれるボランティアの家で2~8ヶ月育ててもらい、社会のマナーを教える。その後、本当に適性があれば、訓練をし、最終試験に合格すると、ようやく聴導犬になることができる。最終試験では、電車・バスなどの乗車、スーパーでの買い物など十一科目があり、電車・バスの乗車の試験の時には、車内で空き缶を転がしたり、わざと物を落としてその反応を見るというのがあるそうだ。訓練では、決して叱らずに、できたらほめる。音を教えると褒美がもらえる、と考えるようになるそうだ。また、聴覚障害者は話せないこともあるので言葉で命令しないで、手で指示する訓練をしている。こうした訓練で、聴導犬になれるのは、実は、600頭に1頭だという。

 日本聴導犬協会では、このような訓練のほかに、聴導犬の無料貸与とアフターケア、身体障害者支援、地域貢献など、色々な仕事をしている。

 聴導犬は、日本全国で52頭(2013年8月現在)しかいない。これには、『聴導犬』というものが世間に知られていない、又は借りたいけれど職場の協力が得られないという理由が挙げられる。なぜなら、聴導犬を借りる条件の1つに、日中も聴導犬の介助が必要な人しか飼えない、と書いてあるからだ。しかし、聴覚障害者でも、ペット犬と暮らしている人なら、家の中で3種類の音を教えてくれる『聴力お手伝いペット犬』になれる訓練方法を無料で教えてくれるそうだ。

 聴導犬の実働頭数を多くするには、知る人が多くならなければならない。日本聴導犬協会も普及活動をしているが、借りた人が、それと同時に広報もしなければいけないそうだ。
聴導犬を知り、借りることが出来ても、一般市民に知られていないがために、飲食店やスーパーには入れないことがある。そういう時には、ユーザーにも説明義務があるが、それでも理解してもらえなかったときは、日本聴導犬協会はアフターケアとして説明してくれるそうだ。 聴導犬は、盲導犬や介助犬と違いあまり知られていない。しかし、日本聴導犬協会の努力により、聴導犬を知る人が増え、普及にもつながることを期待したい。

聴導犬の今
2013/10/11               前田佳菜絵(12)

 町で補助犬の募金活動などをよく目にする。だが視覚障害者の補助をする「盲導犬」を知っている人は多くても、聴覚障害者の補助をする「聴導犬」を知っている人は少ないだろう。日本聴導犬協会八王子支部で話を聞いた。「聴導犬は聴覚障害のある人の体にタッチして日常生活の音を知らせる犬です」と日本聴導犬協会会長の有馬もとさんは言う。デモンストレーションしてくれた犬は、目覚まし時計の音や警報機の音をCE記者の体にタッチしたり「ふせ」をして教えてくれた。
  
 日本聴導犬協会が設立されたきっかけは、保健所が犬や猫を処分していることの批判をかわすためだと有馬会長は言う。そのため、今でも保健所で保護された犬が聴導犬になっている例が多い。だが保護犬の中でも人間が大好きなことなどの素質がある犬は300頭のうち1頭だと言う。

利用者の村澤さんに取材

 厚生労働省の調査によると、日本聴導犬協会に取材をした8月時点の聴導犬の実働頭数は52頭だという。これは「盲導犬」の約二十分の一、身体障害者の補助をする「介助犬」の六分の五だ。聴覚障害者の数と比べると、やはり聴導犬は圧倒的に不足しているという。また、都道府県ごとの実働頭数も10頭の県がある一方で、1頭もいない都道府県も多い。その対策について有馬会長は「仕事などの関係上聴導犬を借りることができない人もいると思いますが、実際に聴導犬を借りている(借りていた)人が耳の不自由な人に『聴導犬はいいよ』と広めてもらわないとなかなか普及しません」と言う。現在、世界で一番成功している英国聴導犬協会も、最初のユーザー50名が広報活動を引き請けて、聴覚障害者へのPRをしてくれるようになってから頭数が増えたそうだ。日本聴導犬協会も今年度、12名の元聴導犬ユーザーと聴導犬の協力のもと「全国聴導犬普及キャラバン」をおこなっているという。
   
 最後に有馬さんは、訴えるように「耳が聞こえない人は孤独なんです。家族などと話していても話についていけず孤独感を味わうことがあるんです。聴導犬は癒しです。音を知らせてくれるだけではありません」と語った。

デモが終わってごほうびを待つ聴導犬たち

 実際に聴導犬と生活している長野県の村澤久美子さんにも取材をした。聴導犬のことは新聞で知って、村澤さんが指導している手話のサークルで日本聴導犬協会のデモンストレーションを見に行ったそうだ。
 
 だが、村澤さんは当時精密機械の会社に勤めていて 、聴導犬を会社に連れて行くことができず、聴導犬を借りることができなかったため、家の中のみで音を知らせる「聴力お手伝いペット犬」を借りた。しかし、日本聴導犬協会に転職して、今の聴導犬「かるちゃん」との生活を始めることができたそうだ。今は、かるちゃんに目覚まし時計の音やキッチンタイマーの音、職場でのドアノックの音などを教えてもらっているそうだ。

 今でも日本聴導犬協会からアフターケアを受けている村澤さん。最後に聴覚障害者に「聴導犬は道具ではありません。大事な家族です。聴導犬と生活を始めることで、今までにない安心が得られ、リラックスできるのは、聴導 犬と生活して初めて分かることなんですよ。一人でも多く の耳の不自由な方に、聴導犬との生活で、安全と安心を得てほしいです」と語った。
   
 盲導犬や介助犬が活躍している中にも聴導犬を必要としている聴覚障害者が確かにいる。広報活動などを続けている日本聴導犬協会の人、募金をしている一般の人がいる。そのことをこの取材で強く実感した。これから、聴導犬がもっと社会に広まること、障害者や補助犬が暮らしやすい社会になることを強く願う。

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社会

「黒目のおしゃれ」に隠れる危険性

「黒目のおしゃれ」に隠れる危険性
2013/09/15               米山 菜子(16歳)

 「黒目の大きさや色を変えたりすることのできる魔法のレンズ」が今、若い女性を中心に人気だ。目の色を茶色や青色などに見せられる「カラーコンタクト」や黒目を大きく見せるために黒く縁取られている「サークルコンタクト」だ。 1か月分のレンズ代は約4,000~5,000円かかる。決して安くはない金額を払ってまでも彼女たちがする「黒目のおしゃれ」の魅力とは何か。また、ネットでも買うことのできる気軽さに危険性は隠れていないのか。専門医にインタビューし、東京渋谷の繁華街で若者の声を拾った。

糸井素純院長(54歳、日本コンタクトレンズ学会常任理事)

 「目を大きく見せたい」とカラーコンタクトを使用している女性が口をそろえて言った。街頭取材では、カラーコンタクトを使用したことのない人も含め、黒目は大きいほうが可愛いと考える人が多かった。しかし、可愛さを求めるばかりに眼科医の処方を受けずに、あるいは使用期限を守らずに使用する人もいた。

 道玄坂糸井眼科医院の糸井素純院長(54歳、日本コンタクトレンズ学会常任理事)は、彼女たちのように正しくコンタクトを使用していない人に警鐘を鳴らす。コンタクトのトラブルを訴える人は年々、増加している。その中でも日常生活に支障が出るほどに視力が低下する人は年間1,000人(推定)にものぼる。

 トラブルに繋がる原因の一つには、カラーコンタクトの色素が関係していると、糸井先生は言う。本来、カラーコンタクトは色素がレンズとレンズの間に挟まれ、サンドイッチにされた形が正しい。しかし、サンドイッチ構造に製造するには、特許や、作り方が難しい、などの理由から色素が黒目側にかたよっていたり、色素が一部露出しているコンタクトがあるという。そのため、サンドイッチ構造が不十分な使い捨てカラーコンタクトを綿棒でこすると綿棒に色素がついてしまう。また、1か月使用可能のものもこすり洗いをきちんとして1か月使用すると色が落ちてしまうことがあるそうだ。色素が落ちると、レンズに凹凸ができ、眼球を傷つける原因に繋がるという。

 この事実を街頭取材でカラーコンタクトを使用している人に伝えてみた。しかし、彼女たちは「使い方は改めるが、使用はやめられない」と答えた。やはり、トラブルは他人事のように感じるようだ。ある女性(18)はカラーコンタクトの使用について「依存」という言葉を使った。その女性は何度か角膜を傷つけたことがあるが、「やはりやめられない」と話し、「スッピンは良くても裸眼は嫌」と断言した。

 糸井先生はコンタクトの正しい使い方や危険性を様々な形で広めようとしている。日本コンタクトレンズ学会で話し合い、記者会見という形でマスコミを通して訴えたり、正しい使い方を説明する映像を作成したりしている。コンタクトは正しい使い方をしていてもトラブルは起こる。しかし、継続して定期検査を受けている人はトラブルが起こる確率が2%以下まで下がるという。目の状態を眼科医に診てもらい、コンタクトと眼球との相性のよいコンタクトレンズを処方してもらい、定期的に検診を受けることがとても大事だと糸井先生は話す。

 若者にとっておしゃれの必須アイテムになりつつあるカラーコンタクトは一概に悪いものとはいえない。ただし、使い方を誤れば、失明もしかねない危険なものであることも事実だ。今後、皆が安全に使用するためには、カラーコンタクトとの正しい付き合い方を広めることが必要とされるだろう。

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社会

オシャレなカラーコンタクトに潜む危険

オシャレなカラーコンタクトに潜む危険
2013/09/15               村上 類(14)

最近よく街で日本人らしくない目の色をした若者を見かける。それはカラーコンタクトレンズをつけているからだ。色はさまざまでナチュラルな茶色から派手なピンクや紫など幅広い。しかし危険が伴うことはネットが情報源の主流になった今、よく知られた話だ。ではなぜそこまでして若者はカラーコンタクトを使用するのだろうか。

若者にカラーコンタクトの危険性を伝えるために、日本コンタクトレンズ学会常任理事を務めている眼科医の糸井素純氏を取材した。

そもそもカラーコンタクトは両目で色が違っていてそれに対してコンプレックスを感じる外国人や、先天性白皮症で体の色素が薄い人などが通常の見た目に近づけるために作られたものでオシャレのために作られたものではないと糸井医師は話す。しかしカラーコンタクト使用者は増える一方で、しかも正しい使い方をしない人が多く一週間に2人位は病院を訪れるそうだ。

なぜカラーコンタクトによる眼障害を訴える人がいるのか。それは3つ理由がある。一つは購入者が正しいカラーコンタクトの使い方をしていないからだ。通常コンタクトレンズの洗浄は指でこすり洗いをしっかりとしなければならない。しかし、眼科医の処方を受けていないので、ケアの指導を受けておらず、適当に洗っている人が多く、目に傷つけている。二つ目は利用者が自分にあったカラーコンタクトを使用していないからだ。人により眼球の形も違うことを知らずに見た目で選んでしまう若者が多く、それに加えてマスカラなどを目の近くに塗るため、目が乾き、酸素の供給もうまくいかなくなり目が充血する。最悪失明の患者がでるのだ。三つ目はカラーコンタクトの製造会社が、必ずしも品質の安定した製品を作っていないからだ。添付文書に詳しいケアの方法を書いていない場合も多く、インターネットや雑貨店でレンズを購入し、誤った使い方をしてしまう。またサンドイッチ構造と言って色素をレンズの透明な部分で挟んでいる製品が安全と言われているが、特許や製造技術の問題で、実際には色素の一部が露出している製品も多い。

サンドイッチ型として販売されているにもかかわらず、一部、色素が露出している。だから利用者が正しい洗い方をしていても色素が取れてしまい、色は薄くなったり、目に害を与える可能性も高くなる。

それでもなぜ若者はカラーコンタクトを使用するのか。生の声を聞くために渋谷のセンター街で街頭取材をした。

使用者は14歳からとかなり若い年齢の人もいて、目が大きく見えるからかわいいとか顔映えがよくなる、違う自分になれるとやはりオシャレで使用している人が多かった。そしてその大半がカラーコンタクトの危険性は知っているが、まだ自分にはトラブルにあったことはないからこれからも使いたいという意見が多かった。

その一方でかわいいと思わない、違和感がある、危険だかれ使いたくないという意見も多く、特に男性でカラーコンタクト未使用者は女性使用者に対してカラーコンタクトなしの方がいいと思う、興味がないとの意見もあった。

若者のなかにはカラーコンタクトに潜む危険を理解している人もいる。しかしトラブルを経験するまで危険性を知っていても使用を続ける人は多い。安易なオシャレを優先して不正確な使用の仕方を続ける若者に危険性を真剣に伝え広めていくことが必要だろう。

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社会

若者のカラーコンタクト使用時の危険性

若者のカラーコンタクト使用時の危険性
2013/09/15               高橋優香(15)

 現代の女子中高生などが使用しているカラーコンタクトレンズ(以下カラコン)は、今やファッション目的や、自分好みのお洒落な目元を演出するためにも用いられている。だが使用を誤ると大事な目に傷がつきかねない。カラコン使用時の安全性を検証するために若者たちを取材し、専門医に話を聞いた。

 渋谷区の道玄坂糸井眼科医院の糸井素純院長を8月11日に訪ねた。糸井先生によると、ソフトコンタクトレンズは1970年代に初めて作られ、より多く酸素などを供給するために改良を重ねている。現在普及している透明なレンズは、非常に酸素透過性が高い。コンタクトレンズは視力補正が本来の目的であったが、病気ために目の色が正常と違う患者用に目の色素を補正するカラコンが開発された。一方、現在普及している多くのカラコンは、1970年代の開発当初のHEMAと呼ばれる素材をそのまま使用していて、その素材に色素を付着させ用いられている。開発当初の素材なので酸素供給がとても低い。そのため、目の健康を考えると安全性が高いとは言えない。

 カラコンはHEMAと色素をサンドイッチにした構造になっている。この製造方法はメーカーによってそれぞれ異なり、特許も関係する。そのため眼科で処方されていないカラコン(ネットなどで簡単に手に入るカラコン)はサンドイッチ構造が不十分で、カラコンの色素が眼球側に偏り、一部露出していることがある。色素が露出していると、眼球に直接色素が触れてしまう。そうすると、眼球がひどく傷つき眼病にかかってしまう恐れが出てくるそうだ。

 これまでも眼科ではカラコンを処方していた。それらのカラコンは、酸素透過性も、透明なレンズと同等であり、主に眼科で処方を受け、購入していた。眼科で処方を受けた人は、少しでも異変を感じると、処方を受けた眼科に行くので、重症な例は少なかった。しかし、眼科医の処方を受けないで、ネットなどでカラコンを購入した人はトラブルがあってもひどくならない限り眼科には行かないそうだ。そうすると、より重症になる。
 
 カラコンを使用している20名ほどの東京の女子中高生にアンケートを取ったところ、お洒落目的や、使用期限を守っていないなどという回答が多かった。中には、一度使用するとやめられなくなるといった人もいた。また、カラコンを使用していない人たちの理由を聞くと、イメージ的に危ない、自分は目に異物が入るのでつけたくないなどの意見が多かった。また使用していない人たちは、つけている人々について特に何も思わないようだ。

カラコンをつける多くの人は化粧もしている。マスカラやつけ睫毛をつけると目が乾燥する。そのうえにカラコンをするので更に乾燥するそうだ。

 カラコンを利用する若者たちにとっては価格が最優先であって、安全性は二の次なのであろう。医師の忠告を聞かずに、危険性を軽く見るカラコン利用者は減りそうにもない。

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Interviews

The Shadow of the Mandatory Education System in Cambodia

The Shadow of the Mandatory Education System in Cambodia

May 19, 2013                                         By Nako Yoneyama (16)

During my stay in Cambodia from March 24 to 29 of this year, I was fascinated by the views of gorgeous hotels decorated with exquisite carvings, the skyscrapers, flashing neon-lighted buildings, and streets flooded with foreign cars and motorbikes.  Though Cambodia displays signs of remarkable development, its education system is still struggling with difficulties.  I explored the present state of Cambodian education by interviewing Mr. Kevin Doyle, chief editor of the newspaper Cambodia Daily, and by speaking with currently employed school teachers.

 130517_2_1    The standard way to become a teacher in Cambodia is to complete the governmental teacher training standard curriculum to obtain an official teaching certificate.  However, according to Mr. Doyle, there are non-official teaching certificates which are not properly authorized by the government, some of which can simply be purchased.  Such purchasable certificates and diplomas include PhD and Master degrees not certified by the government.  So, the academic backgrounds and teaching certificates claimed in candidate-submitted resumes are not reliable. Actual interviews are necessary to judge candidates’ qualifications.

     Supported by high tuition fees, affluent private schools can hire talented teachers through careful selection processes.  By contrast, public schools often employ teachers with non-official certificates leading to low quality education.  When a national education system was introduced after the Pol Pot regime, those who had only finished secondary school were able to become teachers.  At present, high school graduates are supposed to enroll in a public training center for two years to obtain a teaching license.

      I visited two public primary schools, Tropienspai Elementary School in Phnom Penh and Bankyuan School in Kandal province and found both of their classes very dull and monotonous: one student answered a teacher’s questions and all the rest of the students repeated the answer.  Except for answering the question posed, students are not given any chance to think, simply repeating the same answer over and over. According to Mr. Doyle, this is the method typical of the majority of public elementary schools.

     The low salary for public school teachers is another problem.  Mr. Chim Didah (20), teaching at Bankyuan School, and Mr. Sau Wannarom (53), teaching at Tropienspai Elementary School, both admitted that they cannot afford to live on their school salaries alone.  Mr. Doyle pointed out two reasons why this is so.

     First, the government education budget is insufficient. Greater budgets are allocated for military expenditures and public security costs, which shows the government‘s priority on military affairs and public security over national education.  Another reason is the corruption at the local bureaucrat level.  Money for teachers’ salaries is sometimes stolen by local government officials while being transferred from the government to individual public schools.  Payment is often delayed for two to five months.

     Cambodian teachers often farm the land or run small businesses with family members to supplement their meager salary. They also receive money from their students through various means.  Although public school tuition in the primary and secondary schools is free, students’ families donate some money every morning to their teachers knowing that teachers’ salaries are not sufficient.  The amount of such donations is not fixed but depends on the household. Students are also charged for an examination to advance to the senior class. If they cannot afford it, the students automatically fail to be promoted to the next grade level.  To avoid such a situation, some parents are forced to borrow money for the examination fee.  Children from poor families cannot manage to pay for the examination and have no choice but to stay in the same grade or drop out of school.

     The issue of such payment to school teachers has been objected to by the Cambodia Daily, and many others.  During my flight from Seoul to Phnom Penh, I had the opportunity to talk about the problem with a Cambodian woman and Mr. Marin Sok, grant director of the Asia Foundation.  The Cambodian lady related stories of teachers selling answer sheets submitted by outstanding students, and of teachers’ wives selling lunch to children.  Such sales are not approved by the Ministry of Education, but regarded as “informal practices” like “a sort of tax” according to Mr. Doyle. Corruption is rampant among Cambodian officials due to the suppressed salary level, a regrettable fact that is widely acknowledged.

      Cambodian mandatory school education is divided into morning classes and afternoon classes.  Teachers work either in the morning or the afternoon, and teach students for examination preparation during the rest of the time, during which children must pay tuition. Teachers pursue lots of activities to supplement their income.  Many teachers wish to be employed in the big cities populated by wealthy households, avoiding poor rural areas, which face a severe shortage of teachers.

     Mr. Doyle insisted that lifting the salary level of teachers and public servants is necessary to solve these problems; corruption would be reduced and teachers would be paid sufficiently. Once they can live on their salary alone, they will not expect any money from their students, and more teachers will work in rural areas.  If children are robbed of their chances of education, especially in high-economic-growth modern Cambodia, their future and the prosperity of the country dependent on them will be significantly diminished.

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報告会、レクチャー

2013年日英記者交流事業

2013日英記者交流事業

 去る8月1日~8日に5名の記者とユースワーカー、理事が英国の姉妹団体Headliners
のロンドン局、北アイルランド地方のベルファスト局、フォイル局(ロンドンデリー)を訪問し、英国の記者たちと交流した。今回は「リーダーシップ教育」と「大学入学全国統一試験」のテーマで、英国の若者たちに取材をした。
この事業の経費の一部は、グレイトブリテン・ササカワ財団の助成金で賄われた。

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報告会、レクチャー

2013「カンボジア取材旅行」「第6回・第7回国際青少年メディア・サミット」報告会

 去る6月16日(日)13時から、TKP渋谷カンファレンスセンター(8A)で、3月末に実施したカンボジア取材旅行の報告会と、2011年、2012年にセルビアのベオグラードで開催された第6回、第7回国際青少年メディア・サミットの報告会が行われた。
記者、修了生、保護者、理事、スタッフ、ユースワーカー、そして関係者たち約30名が集まり、カンボジア取材旅行に参加した記者たちが撮影・編集したビデオを上映し、二人の記者が、パワーポイント・スライドを使ってそれぞれ5分間のプレゼンテーションを行った。続いて、青少年メディア・サミットの参加者が撮影・編集したビデオを上映した。

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社会

未来のまちづくり~スマートシティ~

2013/06/03               前田佳菜絵(12)

UDCK染谷康則氏に取材

 現在、日本は環境問題、高齢化社会問題、経済問題を抱えている。そんな中、日本ではスマートシティという未来のまちづくりの構想が広まりつつある。スマートシティとは、情報通信技術・環境技術などの先端技術を用いて社会インフラを効率化・高度化した都市や地域のことだ。現在、日本のスマートシティではどのような新しいことが進んでいるのだろうか。
実際に政府に環境未来都市に指定された、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」を4月13日に訪問し、後日柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)ディレクターで柏市企画部企画調整課副参事の染谷康則さんと柏市企画部企画調整課統括リーダーの伊藤浩之さんに取材をした。
 柏の葉スマートシティでは、日本の3つの問題の解決モデルとなるように「環境共生都市」「健康長寿都市」「新産業創造都市」をテーマにおいている。環境問題については、エネルギーマネジメントの実施と、災害時に元々太陽光発電などでためておいた電気を公道の向かい側に送ることが出来る電力融通、高齢化社会問題については、市民の健康データのストック、経済問題については、グローバルネットワークでの国際的なビジネスコンテストの開催などを実現しようとしている。
「柏の葉スマートシティが他のスマートシティと大きく異なる点は、まちの人、大学、企業の「公民学」が連携して活動をしていることだ」と染谷さんは話す。UDCKとは、いわゆる「まちづくりセンター」の機能も持ち、「『公民学』のそれぞれの立場に平等、中立的な組織だ」と染谷さんは言う。
 現在柏の葉では、「公民学」が連携して、高齢者などの健康を守るための口腔ケア、利用者の要求に合わせて運行する「オンデマンドバス」などに取組み、成果を得てきたそうだ。若者との連携では、市民、市街の方、行政、関係事業者、学生などが参加する「まちづくりスクール」を実施して、まち作りについて学ぶ機会を設けたり、東京大学柏キャンパスの大学院生が中心の学生サークルが小学生の夏休みの宿題の手伝いをする機会を設けているという。

 柏の葉では、一部の住民は太陽光発電で作られた電気を使っていたり、家にも電気の「見える化(家で消費している電力をタブレット等で見られる仕組み)」を取り入れたりしている。共同の畑で作物を育てる施設もあり、畑を耕している人に話を聞くと、「高齢者や子供も積極的に参加している」ということだ。クラブハウスでは、市民たちで立ち上げた様々なクラブが活動することができる。しかし目標はまだまだ先にあるようだ。市民からは「これからのまち。将来に期待したい」との声があがっている。
しかし、まだ建設中の施設も多く、染谷さんは「完成まで10年かかるが、市は最後までやらなければいけない」と言う。 柏の葉スマートシティには日本の3つの問題(環境、高齢化、経済)に対する政策が見える。しかし、それを実現するためには、染谷さんが言うようにまだ10年はかかるようだ。これから、日本のまちづくりがどのように変わっていくのかが楽しみだ。

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国際

カンボジア訪問(5記事)

カンボジアの義務教育の陰
2013/05/19                米山 菜子(16)

 2013年3月24日から29日までカンボジアで取材を行った。道路を埋め尽くすように走るたくさんの外国の車やバイク。ネオンで光る大きな建物や高層ビル。きれいな彫刻が施された立派なホテルに目を奪われた。だが、めまぐるしい発展をしている一方、教育面ではまだまだ問題点が見えた。カンボジアの英字新聞社カンボジア・デイリーの編集長ケビン・ドイル氏と現場の教師らの話からカンボジア教育の実態を追った。

カンボジアデイリー編集長の取材

 まず、教師になるには、政府の教師育成センターで研修をし、教員資格を得る。しかし、政府の承認のない教員資格も多いとケビン氏は言う。教員資格のみならず、博士号や大学院修士号もお金で買ったり、政府の認証を得ていないものがあるという。そのため、「学歴や資格免許は信用できず、履歴書に資格が書いてあっても、すぐには信用せず、自分で見極める」とケビン氏は話した。

 私立の学校が高い月謝をとって慎重に選んだ有能な教師を採用しているのに対し、政府に承認されない教員資格を持ち授業をしている教師も少なくない公立小学校は、授業の質が良くないという。ポルポト政権が終わり、カンボジアに教育が始まった頃には、中学を卒業しただけで教師になれたそうだ。現在では高校を卒業して、政府の教員養成所で2年間研修をして、教師の資格をとるそうだ。

 訪問したカンダール州の公立バンキアン小学校やプノンペンの公立トロピエンスパイ小学校の授業の光景はとても単調だった。教師が質問したことに1人の生徒が答える。その答えを全員で繰り返す。答えた1人の生徒以外は、ただ繰り返しているだけだ。生徒に考えさせることをさせないのだ。この光景は大半の公立小学校で見られるとケビン氏は言う。

 また、公立学校は教師の給料が少ないそうだ。バンキアン小学校で教師をしているチム・ティダー先生(20)やトロピエンスバイ小学校の教師、サウ・ワンナーロム先生(53)は口をそろえて「教師の給料だけでは生活できない」と話した。ケビン氏は公立学校の教師の給料が少ない理由を2つ挙げた。

 1つは、政府予算が教育の現場にまわっていないことだ。政府は資金を軍事費や警察など治安費にまわし、教育にはあまり予算を充てていないという。教育より軍事・治安優先のカンボジア政府の姿勢が見える。2つ目は地方役人の横領だ。給料が政府から学校に届けられる間で地方自治体の役人が教師の給料を横領していることがあるという。そして、給料が2ヶ月から5ヶ月遅れることも少なくないという。

トロピエンスパイ小学校の授業風景

 教師は生活するために給料だけでは足りない分を農業をしたり、家族で仕事をして充当しているそうだ。また生徒からも様々な名目でお金を貰っているそうだ。義務教育中(小学校1年生から中学校3年生)は公立学校の学費は無料となっている。しかし、生徒は教師の給料が少ないことを理解しており、金額は家庭によって異なるが、毎朝教師に寄付としてお金を渡すという。また、進級試験もお金を払わなければ受験できない。この進級試験を受けなければ留年となるため、お金がない場合は他人から借りる親もいるという。貧しい家庭のこどもは、お金がないためにテストを受けられず、しかたなく留年や退学をすることもあるそうだ。

 教師にテストの際にお金を渡すという話は、カンボジア・デイリーだけでなく、ソウルからプノンペンへの飛行機内で出会ったカンボジアの女性や、取材をしたアジア財団のグラント・ディレクターのマリーン・ソク氏も言っていた。カンボジア・デイリーで働く女性は、学生時代に、この進級試験で早く提出した優秀な生徒の解答を試験監督の教師が他の生徒に売り、お金を得ていることがあったと話した。他にも教師の妻が給食を作り、生徒に売ることで利益を得ていることもある。もちろん、これらの支払いは政府の教育省で定められているものではなく、暗黙の了解のようになっているようだが、「これは税金みたいなものだ」とケビン氏は語った。カンボジアでは、役人の間に横領が蔓延しているそうだが、役人の給料が安いために、これも暗黙の了解のようになっているそうだ。

 カンボジアの学校(義務教育)は二部制だ。そのため、教師は午前か午後のいずれかに教壇に立ち、それ以外のときには、塾をひらいて試験問題を教えたりするそうだ。もちろん生徒は塾の授業料を支払う。このように、様々な形で教師は生活のための収入を得ているそうだ。そのため、富裕層が多い都会で勤めることを望む教師が多く収入の少ない地方の学校では、勤めたがる教師が少なく、教師不足が深刻だという。

 このような様々な問題を減らすためには「教師や役人などの給料を上げることが重要」とケビン氏は語る。役人や教師の給料を上げることで役人の横領は減り、教師の手には充分な給料が渡る。教師が自分の給料だけで生活できるようになれば、生徒からお金を貰うこともなくなり、地方の教師不足も改善されるだろう。大きく経済成長が進むなか、子どもたちから教育の機会を奪うことは、この国の将来を握る子どもたちの明るい未来を奪うことにならないだろうか。

幼いときに学ぶということ
2013/05/19                米山 菜子(16歳)

 「2015年度までに75%以上の5歳児が教育を受けられるように」
カンボジア政府が出した目標。(「幼い難民を考える会」のHPより)実際に政府は、2008年からの3年間で450ヶ所の公立地域幼稚園を設けた。この450ヶ所全てに教材を提供した日本の認定NPO法人がある。「幼い難民を考える会(CYR)」だ。CYRはカンボジアの幼児教育への資金援助のみならず、保育士の育成や、現地の人々が保育所を自主運営していけるようなノウハウを広げる活動をしている。幼児教育はなぜ必要とされるのか。彼らの活動から答えを探った。

プレイタトウ保育所の給食風景

 カンダール州カンダールスタン郡、バンキアン地区プレイタトウ村にあり、CYRが運営協力をしているプレイタトウ保育所と同地区バンキアン村にある、バンキアン保育所を訪れた。どちらの保育所も門をくぐると大勢のこどもたちが出迎え、行儀良く挨拶をしてくれた。そして、教室の周りには教師の手作りによるシーソーなどの遊具が並ぶ。教室内に置いてある絵本や人形も教師やカンボジアの女性による手作りだ。自分たちだけで直せるよう、遊具や教材はカンボジアで作っている。

 こどもを保育所に通わせる保護者はこどもの成長を嬉しそうに話す。娘を1人通園させているラーン・ソッキムさんは保育所に通うようになってから、お絵かきや歌などができるようになったそうだ。また、ソム・サコーンさん(30)の息子は食事の前に感謝の言葉を言うようになったという。サコーンさんは「こどもが家にいると、安心して仕事ができないため、保育所の存在はとても大きい」と語った。

 CYRでは保育所で、栄養バランスを考えた給食を出している。プレイタトウ保育所で子どもたちと記者も一緒に食べたその日の給食は、白米に揚げた卵、豚肉や野菜がたっぷり入ったスープだった。スープの味は日本の給食と同じ味がした。こどもたちはお腹いっぱい食べたあと、歯磨きも忘れない。保育所には一人ひとりの名前が入った歯ブラシがずらりと並んでいた。また、昼食前には井戸水をくみだして水浴びで身体をキレイに洗っていた。昼食後はみんなで昼寝をするそうだ。CYRではこのような基本的な生活に欠かせない保健衛生の習慣も教えている。

 幼児教育を受けたこどもは学校での成績や生活態度にも反映されるようだ。バンキアン保育所の近くにあるバンキアン小学校のチム・ティダー先生(20)は、「幼児教育を経て小学校に入学したこどもは、理解や文字を覚えるのが早く、授業内での発言も多い」と話した。また、同小学校のチュウォン・ソクキム校長は、幼児教育を受けている子どもの方が衛生面も良く、ルールを守るように感じるそうだ。そして、同小学校の生徒、ダム・ソッヘインさん(11歳・小5)は「保育所を出ている子は友だちとよく話す」と語った。さらに、プノンペン市サエンソック郡プノンペントゥメイ地区にあるトロピエンスバイ小学校に通うトール・ソックバンくん(13歳・小4)は「幼児教育を受けていないこどもは鉛筆を上手に持てるようになるまで時間がかかり、言葉遣いもあまり良くない」と話した。そして、CYRカンボジア事務所所長の関口晴美氏(61歳)は「よい成績をとることは向学心にもつながる」と語る。

保育所内の歯ブラシ

 「大学に行きたい」と語る高校3年生のサーン・ヴィチェットくんはカンダール州カンダールスタン郡プレイスレン地区プレイスレン村に住み、バンキアン保育所を卒園している。彼の通うプレイスレン高校は約70%の生徒が幼児教育を受けているそうだ。また、彼が通った保育所の友だちは、ほぼ全員が高校まで進学しているとヴィチェットくんはいう。彼は「将来は会社に勤めて給料の半分を親に返したい」と話した。

 CYRが運営協力しているプレイタトウ保育所とバンキアン保育所は3歳児から5歳児を預かり、午前7時から午後3時までの一日保育だ。しかし、幼稚園や保育所が増えるなか、一日保育をしているところはまだ少ない。「政府が設立した公立地域幼稚園は1日2時間の保育だ」と関口氏はいう。また、5歳児の幼児教育は推進しているが、文字に興味を持ち始める3歳児や4歳児の幼児教育はまだ浸透していないそうだ。カンボジアの幼児教育にはまだまだ問題点があるが、CYRが運営協力をしているバンキアン保育園に通ったヴィチェットくんの母親は「保育所では小学校に入学するまえの準備ができるだけでなく、いろいろなことを学べるので、保育所には未来がある」と話した。とても説得力のある言葉だった。

カンボジアで求められる教育ソフト面の支援
2013/05/19                飯田 奈々(17)

 日本では小学校就学率は100%(平成24年:文部科学省資料)である。カンボジアでも、小学校6年間、中学校3年間の計9年間は義務教育であるが、カンボジアの小学校就学率は69%(平成24年 日本外務省資料)だ。就学率の低いことも問題ではあるが、小学校といっても日本のような設備の整った小学校に通うことはできない。カンボジアの学校教育に関する問題はまだまだ多い。どのような問題を抱えているのか、実際にカンボジアの小学校に足を運び、取材を行った。

 3月26日、首都プノンペンに近いカンダール州バンキアン村のバンキア小学校を訪問した。 砂の校庭をはだしやサンダルを履いて、「かごめかごめ」のような遊びをしている子どもたち、サッカーボールで遊んでいる子どもたち、鬼ごっこをする子どもたちもいる。多くの溢れんばかりの笑顔が、気温37度の強い日差しの中で輝いていた。
  
 チャイムがなると、彼らは一斉に各教室へ戻っていった。授業の様子をのぞいてみると、多くのクラスで先生の言ったことを大きな声で繰り返す光景があった。 あるクラスの黒板には数字が並んでいた。 算数の授業もオオム返しに先生のあとに続いて声を出すことによって進められているようだった。

 教育の現状について、カンボジアの英字新聞「カンボジアデーリー」の編集長ケビン・ドイル氏は、この繰り返すだけの授業に警鐘を鳴らした。「このような授業では、学校にきている子どもたちの学力向上に限界がある。教師の教育をして、もっと教育の質の向上を促さなければならない。新たな人を教育するよりも、今いる人材を再教育した方が近道なのではないか」と語った。

 カンボジアで生まれ育ち、今は働きながら王立プノンペン大学大学院へ通っているマリーン・ロクさんは、教育の「質」の向上の大切さを次のように述べた。「教育の向上とは、必ずしもみなが大学院へ行くことではなく、教育の質をあげることだと思う。これが経済成長に繋がるし、教育の質の向上は本当に重要である。」

 バンキア小学校や首都プノンペン市にあるトロピエンスバイ小学校には、日本の小学校では当たり前にある、理科の実験室がなかった。生徒たちはみな、机上だけで理科を学んでいた。
 
 これは高校へ行っても変わらない。 「実験室なんてないし、すべての科目は本で学ぶしかない」とカンダール州プレクスレン高等学校3年生のサーン・ヴィチェットさん(18)は語った。「学校には教科書も足りない。図書室はあるが、本がとても少ない」とも教えてくれた。

 カンボジアデーリーのドイル氏は「パソコン、世界地図、図書室、さまざまな書籍など二次的なものがない学校が多い。そのようなものこそ大切なのに、先生と生徒と建物のみがあればいいわけではない」と述べた。

 またドイル氏は意外な理由をあげた。「カンボジアではトイレの無い学校もある。小学校では30%、中学校では22%、高校では50%の学校にトイレはない。あっても、機能していないトイレもある。その結果、生徒たちは草むらで用を足さなければならないのだ。これが女子生徒のドロップアウトの原因の1つになっているのではないか。」

 実際のところトイレに関してはプレクスレン高等学校の比較的裕福な家庭の3年生であるトム・デューシエンくん(18)は「学校には、女子トイレが2つ、男子トイレが2つある。でも学校のトイレはきたないから入らない。学校は半日で終わるから、家に帰るまで我慢できる」と語っていた。

 このように、学校の建設をハードの面での支援というならば、カンボジアでは教育のソフトの面での支援もかなり求められている。ただ単に校舎を建設するだけではなく、学校を運営していくにあたり、ソフトの面での支援が非常に重要であることが取材でわかった。

バンキア小学校

 現地の人々が望む支援が行われているかどうかを知るために、カンボジアで290棟を超える校舎の建設、運営をサポートし、音楽や美術教育などのソフト支援も実施している認定NPO法人JHP・学校をつくる会の事務局長の中込祥高氏、事務局の浦野聖氏に4月18日、東京で聞いた。

 中込氏はこう語る。「ソフト面の支援は子どもの健全な成長に欠かせないことは分かっているが、なかなか実現できないのが現状である。形に残る校舎の建設へ寄付してくださる人々がほとんどで、寄付した実感が視覚的に得られにくいソフト面の支援はお金が集まりにくい。ソフト面の活動のPRが難しくあまりできていないのも事実であるが、一人ひとりの人材育成に直接つながる支援にも関心を深め、寄付をしてくださるとありがたい。」 カンボジアではまだ校舎が足りていないので、「校舎という共有の場所をまず最初に建設して、そこからだんだんと教育の質の向上を目指していけばいい」という考え方もある。しかし、校舎の増設とソフトの面での支援による質の向上が同時に達成されていくことが理想であることには間違いはない。自分の寄付金が本当に必要とされているところはどこなのか、それを判断するためにカンボジアの現状を知るアンテナを常に張ることが求められている。一方、カンボジアへの支援団体も、現地の状況をしっかり伝えていく努力がこれからも必要であろう。

彼らの姿、あなたの目にはどう映る?
2013/05/19               飯田 奈々(17)

 2013年3月24日から29日の5泊6日で「教育」という大きなテーマをのもと、記者3名はカンボジアの首都プノンペンで取材を行った。

 プノンペン国際空港から都心への道は、立派な首相官邸をはじめとする多くの高層ビルが立ち並んでおり、舗装された道路には外国の高級車が走り、日本に見られるようなスーパーマーケットもあった。想像以上に近代化された、経済成長率7.08%(2011年、出典: IMF – World Economic Outlook Databases)のカンボジアを象徴する姿があった。

 空港から近いプノンペン市ポーサンチェイ郡コークロカー地区アンドン村では、経済成長の中で切り捨てられた人々が、厳しい貧困生活を強いられている光景が見られる。首都拡張のために、以前住んでいた地域を強制的に退去させられたのだ。村に足を踏み入れるためには長靴が必要であった。そこは、生活用水などの汚水が流れ込む場所に位置していて、乾季でさえも高床式の床に届きそうなかさの水が家の周りに溜まっていた。悪臭が漂う空間で、大人だけでなく幼い子どももはだしで水の中を歩いていた。この地域では汚水から湧き出てくる蚊を媒体としたデング熱やマラリヤなどの恐ろしい病気が絶えないそうだ。訪問した家庭では、働き手の父親が病気で横たわっていた。

トロピエンスパイ小学校のトイレ

 カンボジアでの貧富の差は「雲泥の差」という言葉がふさわしい大きな隔たりがあるようであった。

 しかし、このような貧富の差が見られるカンボジアで、学習に対する姿勢においては、この差と同じような違いは見られないということが、王立プノンペン大学の学生への取材で分かった。王立プノンパン大学はカンボジアのエリート、とくに公務員を育てる国立大学で、日本の東京大学のようなものだ。環境科学学部の、ホーム・ボレイさん(20)、ウック・ソファントさん(20)、イム・サーヴースさん(20)アイン・セレイラスさん(20)、キ・チャニーモイさん(19)、ナウン・チャンリウォットさん(19)にインタビューをした。

 このうち地方の貧しい家庭出身の学生たちは奨学金を受け、大学に通うことができている。そこまでして通っている理由と将来の夢を彼らはこう語る。「大学で多くの知識を吸収して、良い仕事に就いて収入を得、まだ小さい弟たちのサポートをしたい。できれば、海外の大学院へ行き、環境保全をする人になってカンボジアに貢献したい」(ソファントさん)「教育は国の発展に必要なものだと考える。大学では知識をたくさん得て、将来は政府機関で働きたい。そうなることで父を喜ばせたい」(ボレイさん)「大学教授や研究者になりたいという情熱を持っているから。海外で奨学金をうけ、海外の大学院へ進み、博士課程まで進みたい。私は村で初めて大学へ行けた人だから、村に帰ってこの知識を活かし、村の発展につなげていきたいとも考えている」(イムさん)

 いっぽう比較的裕福な家庭出身の学生たちは、大学に通っている理由を次のように述べた。「知識をもっと増やしたい。イギリスへ留学するための手段として大学へ通っているが将来はカンボジアで公務員として政策を作り、環境保全に従事する人になりたい」(セレイラスさん)「教育は明るい未来のために大切。自分が勉強してきたことを活かした仕事につきたい」(チャニーモイさん)「いい仕事を得るため。英語の講義をする教師になりたい」(チャンリウォットさん)

 このように、貧困層と富裕層の学生で学習に対する姿勢の違いが見られなかった。全員が国の発展への責任を感じ、前向きに今自分にできることに精一杯取り組んでいた。そして、貧富に関わらず皆口々に今ここで勉強をしていることへの感謝を述べていた。

 また、富裕層の学生からこのようなことも聞くことができた。「国内の貧富の格差を感じる。私ができることとして、大学で学んだコンピューター技術とかを村の人に教えていきたい。貧困がなくなるためには、教育が大切だから子どもだけでなくもっと世代の上の人への教育も行い、農業の改善に繋がればいいと思う」(セレイラスさん)「貧困を減らしたい。そのためには日本のように適材適所に人材を置くことが大切であると思う」(チャンリウォットさん)「今はすごく貧富の差があるが、将来そのギャップが縮まればいい。地方では伝統的に女の子に勉強をさせたくないという風習があるのでそういう両親に教育の大切さを訴えていきたい」(チャニーモイさん)

 最後に富裕層のセレイラスさんはこう述べた。「私達はひとつの国であり、誰かが誰かを見下す環境にあってはならない。助け合って生きていきたい。皆で協力して、国の発展に繋げたい。」と。
 
 今の日本で、学べることができる喜びに気がついている人はどのくらいいるのだろうか。学校に通っている目的をはっきり言える学生はどのくらいいるだろうか。また、自分の将来、国の将来についての目標へ向かって努力をしている、と胸をはっていえる人はどのくらいいるだろうか。裕福な人もその立場への責任を持っており、何よりも貧富に関係なく、感謝の心を忘れず、目的を持って勉強し、高い志を持ちながら日々努力を惜しまない彼らの姿を見て、胸に突き刺さる思いの人が日本には多くいるだろう。

JHP事務局長中込祥高氏を取材

夢を持って選んだ道
2013/05/19                米山 菜子(16歳)

 カンボジアで3人の女性に会った。1人目は働きながら大学院へ通う女性、ロク・マリーンさん(29歳)。そして、彼女とは対照的に、義務教育(小学1年生~中学3年生)を終えずに織物を職とした女性スレイ・ネットさん(16歳)。3人目は高校を卒業し、自分の卒園した保育所で働く女性、ソン・ブンターさん(25歳)だ。彼女たちを通して、女性の生き方を見た。

 「女性は白で男性は金」
 カンボジアではとても有名なことわざだとマリーンさんは言う。その意味は、白色の布は一度汚してしまうと二度と真っ白には戻らないが、金は何度汚しても金に戻すことができることから、女性の純白さを表しているそうだ。しかし、このことわざが転じて「女性が高等教育を受けると、男性に尊敬の意をはらわないようになる」と考えられていることもあるとマリーンさんは言う。それを裏付けるかのように、マリーンさんが高校生のときはクラスの5割が女性だったが、大学では3割に減ったという。

 首都プノンペンのあるカンダール州の隣に位置するタケオ州バティ郡トロピエンクラサン村に生まれ育ったネットさんの家庭では、2人の兄は高等教育を受けているが、ネットさんと姉は義務教育を修了せず小学6年生で通学をやめ、働き始めた。現在は「幼い難民を助ける会(CYR)」が運営する織物研修センターで働いている。地域によってはこのように、女性は十分に教育を受けずに仕事を始めたり、結婚をしたりする風潮があるそうだ。このような環境で育ったネットさんは「勉強があまりできないから」という理由で進学をやめ、地元の伝統的な女性の仕事である織物を始めた。

 しかし、ネットさんは「勉強がしたくない」というモチベーションだけで仕事をしているのではなかった。自分たちの母親や近所の女性たちがやっている「織物の技術を高め、織物を続けたい」という幼い頃から持つ夢を胸に日々働いていた。彼女たちは夢を叶えるために進学よりも現金収入につながる技術を得る仕事を選択した。

プノンペンの高層ビル街
アンドン村のスラム

 自ら選んだ道を進み、夢を叶えた女性もいる。ブンターさんだ。ブンターさんは「子どもが好き」という想いから保育所で働くことを夢みた。彼女が住むカンダール州のカンダールスタン郡、バンキアン地区プレイタトウ村には、縫製工場ができてから、中学や高校を卒業して、働きはじめた友人が多くいたそうだ。しかし、彼女は夢を叶えるために高校を卒業し、プノンペンの国立保育士養成所で2年間の研修を受け、彼女が通ったプレイタトウ保育所に保育士として戻ってきたのだ。ブンターさんは「絵や文字を書くことを子どもたちに教えたい」と笑顔で語った。

マリーン・ソクさんを取材

 マリーンさんも、教育を通して夢を叶えようとしている。首都プノンペンから遠く離れたバッタンバン出身の彼女の夢は開発プロジェクトで働くことだ。そのために、国際的NGOであるアジア財団で働きながら、王立プノンペン大学院で開発学を学んでいる。また、女性としてかなりのキャリアを積んだ彼女だが、「全ての人が高等教育(大学、大学院)を受ければよいわけではない」と考える。また、「高等教育を受けられる人を増やすことよりも義務教育の質を上げることの方が求められている」とも語った。今は小中学校が乱立され、教員不足など管理しきれず、学校によって教師の質が違うそうだ。高校以前の教育はカリキュラムをこなすだけのものになっているなか、マリーンさんは、とくに旧い慣習にとらわれている地方の子ども達の義務教育の大切さを広めていきたいと話した。

 彼女たちはいずれも自分の夢を明確に持ち、自信を持って自分の進むべき道を歩んでいた。日本に目を向けてみると、親の給料で学費を払い、向学心も持たず大学に進学する学生が多い。高校生のときから専門的な技術を学べる商業高校や工業高校に通う学生や、大学に行かずに働く人は少なくなった。日本では戦後、大学の数も増え、高等教育の進学率が上がったが、学習する目標を持った学生が減少してはいないだろうか。カンボジアで3人の女性の生き方をみて、「進学することが当たり前」というような日本の風習に疑問を覚えた。

王立プノンペン大学の学生たちと
スレイ・ネットさんを取材
ソン・フンタさんを取材
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Interviews 教育

Autumn Enrollment to be Global

December 16, 2012                                            By Mayu Takizawa (14)

A news article about the University of Tokyo planning to change its enrollment of undergraduate students from spring to autumn caught my eye. Then many questions emerged: What exactly does autumn enrollment mean? Will it have a positive impact on junior and senior high school students? What kind of problems are anticipated?

I had interviews with the University of Tokyo, business people, the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology, and the Tokushima University to study this issue.

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Ms. Taeko Onodera, Manager for Long-term planning, General Affairs and Planning Department, University of Tokyo

Ms. Taeko Onodera, Manager for Long-term planning, General Affairs and Planning Department, University of Tokyo stated “we have not yet officially decided to change to autumn enrollment, but we are considering this system quite seriously. Mr. Junichi Hamada, the President of our university is eager to support students to be more global minded, having the intelligence and social skills necessary to challenge world taking risks. He believes that autumn enrollment is instrumental towards this goal.”

There are some issues to be resolved in regard to this change including a so-called “gap term” and conflict with the current employment process. Gap term is a new phrase coined by the University of Tokyo meaning the period between April to September when students graduating high school do not have classes to attend. Students are encouraged to participate in volunteer activities during this term.  Ms. Onodera explained the university’s strong commitment saying “We would like to offer students volunteer activity programs and study programs including activities in foreign countries with financial support. Then students can make valuable use of this time. As to employment, companies’ policies are becoming more flexible to hire graduates throughout the year. It is necessary to change our current education system otherwise Japan will lose global competition.  The University of Tokyo is expected to take leadership in globalizing our academic system and driving Japan to reform itself entirely.”

Ms. Tomoko Hasegawa, Deputy Director, Public Relations Bureau, Keidanren (Japan Federation of Economic Organizations), said Keidanren is also aiming to support the cultivation of globally-minded people and welcomes the autumn enrollment as a measure for internationalizing Japanese. However, she does not agree with all Japanese universities’ changing to fall enrollment. Keidanren is ready to support those colleges which are heading for internationalization.

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Mr. Shun Shirai, Deputy Director, University Promotion Division, Ministry of Education

According to Mr. Shun Shirai, Deputy Director, University Promotion Division, Ministry of Education, the Ministry is going to endorse the introduction of autumn enrollment. However, they need to work with the business community and other relevant ministries to solve the conflict with current recruitment procedures and the national examination calendars. In addition, it is not easy to provide a subsidy for the operational cost of such introduction because such subsidies come from taxpayers. That said, making Japan adopt a global standard is significant and the Ministry is going to cooperate with universities as much as possible.

Mr. Yoshihisa Takaishi, Vice President, Executive Director for Education and Students Affairs, the Tokushima University said “Today the issue of globalization is a common topic throughout Japan. As a whole, the country must move forward to become global. Our graduate program has already started to adopt the autumn term enrollment as a measure of globalization.”  The Tokushima University is ready to introduce the autumn enrollment system for undergraduates, too if there is public support to cover transitional costs and solve the national examination scheduling problem, the Tokushima University is a regional public university which has many science courses including medicine, dentistry, pharmacology, and engineering.

What obstacles are expected from the introduction of the autumn enrollment? One is the corporate recruitment procedure. The University of Tokyo and Keidanren realize that many corporations are hiring new graduates throughout the year, but the Ministry of Education said that most newly hired employees start working from spring and recruitment throughout the year is exceptional. As to the national examinations held only once a year, graduates in the autumn enrollment system would have to wait for the next year’s examination. Students who finish high school in spring will not have a stable position nor identity until autumn and this point must be clarified. If they find temporary jobs and gain some income during the gap term, they would surely have to pay social security tax. Can we solve all these issues?

Throughout these interviews, the recognition of the autumn enrollment system was the same; it is a measure to globalize Japan. Japan is aiming to be more global to beat competition with foreign countries.  Some universities are for the autumn enrollment and others seek alternative measures to be global.  We should keep tabs on their various approaches.

 

 

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Interviews 社会

Dural-surname System, Pros and Cons

September 2, 2012                                               By Nana Hanta (17)

According to the survey conducted by the Cabinet in 2001, 29.9 % of the respondents felt that married couple should always use the same surname and opposed any revision of the current law, down from the 39.8 % who felt this way in 1996. The percentage of those who favored allowing married couples to use separate surnames even in the household registers, however, rose from 32.5% to 42.1%.

Dural-surname System, Pros and Cons
Fujiko Sakakibara, lawyer and professor of Waseda Law School

The result indicates an increased interest in dual-surname system in Japan. So I interviewed three people on this issue; Fujiko Sakakibara, lawyer and professor of Waseda Law School who advocates for the change, Tsugio Watanabe, who is married but not registered to keep individual surnames, and Lower House member Shizuka Kamei who opposes any changes.

Sakakibara said there are three major advantages to dual-surname system. “First, people do not need to give up their original names which may be the symbol of their identity. They also can protect from others their privacy on marital status. Next, changing surnames risks losing credibility on past business performance but the dual-surname system allows people to avoid such troubles and encourages women’s social advancement. Finally, under the single-surname system, the custom of women giving up their original names persists, but the dual system fosters the sense of gender equality, symbolizing the equality between husbands and wives.”

Watanabe said, “All we want is the right to choose separate surnames. It will not affect the couples who favor single surname, so I see no disadvantages.”

On the other hand, Kamei was the one who virtually blocked the implementation of the dual-surname system amid the big chorus of politicians demanding the change during the Hatoyama administration. Kamei, who has been active on the front lines of this issue, said, “I don’t see the point of discussing the advantages and disadvantages of the dual-surname system, since it is not an absolutely necessity. The current system is convenient so why should we abolish it and cause needless chaos?”

On May 16, 2012, The World Health Organization (WHO) announced in “World Health Statistics 2012” that the birthrate in Japan was 1.4%, ranking 175th out of 193 member nations. With the falling birthrate, marriages of people without siblings increase, causing the ends of “family names.” Sakakibara pointed out that “Many couples want to retain their surnames because they regard the names as inheritance from their parents and ancestors.” Dual-surname system is an incentive measure for marriage and birth. It is time for us to take some concrete steps.

 

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