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ストップ!温暖化 知らないフリをしていませんか


2014/07/12                 村上 類 (15)

 毎日、雨傘を持ち歩かなければ困る夏がここ数年続いている。今までは地球温暖化による影響の一つとして学校やニュースで何気なく聞いていた気候変動がすでに始まっていることにうすうす気づき始めた人は多いのではないだろうか。

WWF山岸尚之氏

 2011年に東日本大震災に見舞われた日本では、放射性物質が人体へ与える危険性を心配してすべての原子力発電所稼働をストップし、現在主に化石燃料を使った火力発電に頼っている。一見、原発稼働を停止したことにより目に見える危険性は減ったように思われるものの、その代わりに大量の二酸化炭素を排出しているのが現状だ。

これからの世界を担う若者はどのように地球温暖化に向き合い、行動をとるべきなのか、WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)気候変動・エネルギーグループリーダーの山岸尚之氏に取材した。

 これから進んでいく温暖化の影響として山岸氏は気候変動による二種類の影響を挙げた。一つ目は文化的な影響だ。日本では昔から四季を重んじる考え方が根強くあるが、中でも桜は春の入学式や新年度の始まりのシンボルだ。しかし近年、平均気温の上昇によって、桜の開花日が東北、北海道を除いて4月から3月にまで早まっている。つまり卒業式や年度末に開花しているのだ。実害は少ないかもしれないが、このように伝統文化にも気候変動が影響していることを忘れてはいけないと山岸氏は指摘する。

 もう一つは自然的な影響である。世の中にもよく知られている北極をはじめとする極域での夏季の海氷面積の減少や、アメリカやオーストラリアで起きている熱波や寒波。世界の熱帯低気圧が年々強くなる傾向にあるほか、今年4月にヒマラヤで起きた今までにない規模の雪崩による大事故も山頂付近の氷河の決壊が原因の一つだと考えられているそうだ。

 これらに加え、私たちが体験したことがない新しい気候現象も、近い将来地球温暖化をストップしない限り起きていくことは確実という予想まで出ている。例えば、日本では蚊が運んでくるマラリアなどの感染症が拡大する。淡水、つまり海水ではなくて普通の水不足の打撃を受ける人々が数億人単位で増加、特に中東諸国では干ばつによる水不足で紛争が起きる危険性も指摘されている。

しかし、WWFは二酸化炭素排出を減らさなければと焦って原子力発電所をすべて再稼働させる必要はないと考えている。実際、東日本大震災後の東京都はそれ以前に比べて15%も省エネにより節電されたという数値も出ていて、まだまだある無駄をなくせば、再生可能エネルギーによって未来の日本は電気を賄える可能性が考えられるという。また幸か不幸か、日本は人口が減少傾向にあり、必要とされるエネルギーの量も減っていくので希望すらもつこともできると山岸さんは語った。

では原子力の代わりにどんなエネルギーがあるのか。現在でも比較的使用されている風力や太陽光を始め、最近ではジオサーマルつまり地熱を使ったり、木材や家畜の糞を燃やすバイオマス、海の波の力を利用する海洋エネルギー、海の浅瀬と深海の海洋温度差を利用するものなどのグリーン電力と呼ばれるエネルギーが開発されている。

 若者にも地球温暖化をストップさせられる行動は沢山あると山岸氏は言う。両親が選挙の投票に行くときに若者が「環境目標などを政策に入れている候補者を選んでほしい」と伝える方法だ。地球温暖化を軽視している人が当選したら温暖化対策が進まない。

 そして日本にはまだ広まっていないが、グリーン電力の供給会社のエネルギーで作られた商品を買うことで再生可能エネルギーを支援することができる。WWFジャパンでも風力発電を使って作ったWIND MADEと呼ばれる認証をとった企業のタオルを販売している。アサヒビールでは2009年からスーパードライの生産の電力に風力とバイオマス発電を利用している。このような商品にはラベルに、グリーンエネルギー(G)を使用しているというマークがついているので消費者にもわかりやすく、日常の中で探してみるのもいいのではないだろうか。

 アメリカにはすでに発電、送電、売電と3つの事業に分かれた業者があるが日本でも2016年度から規制緩和で一般家庭でも売電が出来るようになることが今年6月11日に発表された。今まで東京都民は東京電力からしか電気を購入できなかったが、これによって他の電力会社からでも可能になる。火力発電の会社の代わりにグリーンエネルギー発電の会社から購入する人が増えれば、地球温暖化の減速につながるのではないだろうか。

 環境問題は決して軽い問題ではないけれど、これからはもっとポジティブに考えていくべきではないだろうか。放っとけば温暖化はどんどん進行していってしまう。身近なことから将来のためにも、温暖化対策をはじめていくことが大切だ。

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社会

未来のまちづくり~スマートシティ~

2013/06/03               前田佳菜絵(12)

UDCK染谷康則氏に取材

 現在、日本は環境問題、高齢化社会問題、経済問題を抱えている。そんな中、日本ではスマートシティという未来のまちづくりの構想が広まりつつある。スマートシティとは、情報通信技術・環境技術などの先端技術を用いて社会インフラを効率化・高度化した都市や地域のことだ。現在、日本のスマートシティではどのような新しいことが進んでいるのだろうか。
実際に政府に環境未来都市に指定された、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」を4月13日に訪問し、後日柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)ディレクターで柏市企画部企画調整課副参事の染谷康則さんと柏市企画部企画調整課統括リーダーの伊藤浩之さんに取材をした。
 柏の葉スマートシティでは、日本の3つの問題の解決モデルとなるように「環境共生都市」「健康長寿都市」「新産業創造都市」をテーマにおいている。環境問題については、エネルギーマネジメントの実施と、災害時に元々太陽光発電などでためておいた電気を公道の向かい側に送ることが出来る電力融通、高齢化社会問題については、市民の健康データのストック、経済問題については、グローバルネットワークでの国際的なビジネスコンテストの開催などを実現しようとしている。
「柏の葉スマートシティが他のスマートシティと大きく異なる点は、まちの人、大学、企業の「公民学」が連携して活動をしていることだ」と染谷さんは話す。UDCKとは、いわゆる「まちづくりセンター」の機能も持ち、「『公民学』のそれぞれの立場に平等、中立的な組織だ」と染谷さんは言う。
 現在柏の葉では、「公民学」が連携して、高齢者などの健康を守るための口腔ケア、利用者の要求に合わせて運行する「オンデマンドバス」などに取組み、成果を得てきたそうだ。若者との連携では、市民、市街の方、行政、関係事業者、学生などが参加する「まちづくりスクール」を実施して、まち作りについて学ぶ機会を設けたり、東京大学柏キャンパスの大学院生が中心の学生サークルが小学生の夏休みの宿題の手伝いをする機会を設けているという。

 柏の葉では、一部の住民は太陽光発電で作られた電気を使っていたり、家にも電気の「見える化(家で消費している電力をタブレット等で見られる仕組み)」を取り入れたりしている。共同の畑で作物を育てる施設もあり、畑を耕している人に話を聞くと、「高齢者や子供も積極的に参加している」ということだ。クラブハウスでは、市民たちで立ち上げた様々なクラブが活動することができる。しかし目標はまだまだ先にあるようだ。市民からは「これからのまち。将来に期待したい」との声があがっている。
しかし、まだ建設中の施設も多く、染谷さんは「完成まで10年かかるが、市は最後までやらなければいけない」と言う。 柏の葉スマートシティには日本の3つの問題(環境、高齢化、経済)に対する政策が見える。しかし、それを実現するためには、染谷さんが言うようにまだ10年はかかるようだ。これから、日本のまちづくりがどのように変わっていくのかが楽しみだ。

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ジャパンタイムズにCE記者の記事が掲載されました

COP15開催に併せて、ジャパンタイムズで記事を掲載いただきました。

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社会

東京電力の取り組み


2009/12/12                 富沢 咲天(14)

 私たちが日々日常的に使っている電気は、作られる様々な過程でCO 2 をたくさん排出している。地球温暖化に向けて電力会社はどのような環境対策を行っているのだろうか。

 今回は東京電力株式会社にインタビューした。

東京電力に取材
東京電力に取材

 まず初めに鳩山政権が掲げた温室効果ガス25%削減について電力会社としての反応を聞いてみた。「 2020 年までに温室効果ガス25%削減という目標を民主党が掲げることは予想していたが、この目標は経営の根幹に関わるので正直重たい数字だ」と環境部国際環境戦略グループの高橋浩之さんは言う。その理由は、CO2排出の少ない新たな発電所の計画・建設には時間がかかり、運転が始まるまでに少なくとも10年は必要だからだ。電力会社にとって時間が足りない。また、25%削減するためにはコストがかかる。だから会社の反応としてはあまりよくなかったらしい。

 しかし高橋さんは、この目標に反対なわけではないと強調する。。「削減に取り組むのは世界の流れであるので、前向きに取り組みたい。」と語った。

 では東京電力が実際に取り組んでいることは具体的にどんなことか。まずCO2排出量が多い火力発電を減らし、原子力発電を増やす。石炭は安く手に入りやすいが、同じ火力発電でも石炭の2分1しかCO 2 を排出しないLNG(液化天然ガス)の使用を増やすことでこれから貢献が期待できるという。他にもヒートポンプ(エコキュート)の導入など効率のよい機器の開発・普及に取り組み、CO2削減のための技術開発に努めている。

東京電力の高橋浩之氏

 リサイクルの点では、2010年までに産業廃棄物のリサイクル率100%を目指すそうだ。古くなった電柱は道路の土盤材に、水力発電などで取水路に付着した貝類は肥料やセメントの原料に、電柱に取り付けられている碍子(電線などから電気を絶縁する器具)は陶磁器部分を焼き物や路盤材に、金属部分は鉄鋼の原料に利用するなど力を注いでいる。

 東京電力といえば、アニメなどの楽しい内容のコマーシャルが私たちにとって身近だが、そのほかにも未来を担う子供たちに環境問題やエネルギーに関心を持ってもらうため様々な環境教育を行っているそうだ。各地の小中学校で東京電力の社員が講座を開催したり、自然観察会や自然体験、食育活動などのイベントも開催している。大学生には環境活動コンテストというイベントをNGOと一緒に企画・運営をしているそうだ。

 日本が排出している温室効果ガスの量は世界全体の3.3%だそうだ。だから高橋さんは「日本だけで削減しても他の国で削減が進まなければ温暖化防止の効果はでない。

 日本はとても高い環境技術を持っているのだから、その技術をどんどん外国に伝えなければいけない。今が国際的に貢献できるチャンスだ」と語った。

 「温暖化が深刻化するのを防ぐために、日本は環境に対してコストを負担することを受け入れる社会にならなくてはいけないと思う。。安全でCO2排出の少ない電気を安定して供給するにはコストがかかり、これは電気料金が高くなることを意味する。。それらを国民に納得してもらうためにも、政府は情報を広く国民に知らせてほしいし、国としてどういう社会をこれから目指すのか、国民をまきこんでもっと議論をしてほしい」と高橋さんは言う。

 私は家の毎月の電気料金がいくらかかっているのかも知らない。「冬は暖房代がかかって大変」と母は言う。もし今の電気代が倍になったら。あるいは 3 倍や 4 倍になったら、国民はみんな受け入れられるのだろうか。どんどん設備投資をしてCO2を減らすという理想と、そのための重いコスト負担の現実は私たちにどう影響するのだろう。それでもやはり、将来のために私たちは選択しなければいけない。

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社会

25%削減に向けて企業の取り組み


2009/12/12                 建部 祥世(18)

 政権交代により掲げられた、 2020 年までに温室効果ガスを 25% 削減( 1990 年比)するという目標は、麻生政権時に出された 15% 削減( 2005 年比。 1990 年比では 8% )という数値のおよそ 3 倍にもあたる。鳩山政権のこの数値目標は世界各国から拍手喝采を浴びたものの実際に達成できるのかどうか、国内ではまだまだ賛否両論がある。

東京電力に取材
東京電力に取材

 この目標を達成するにあたり欠かせないのが産業界の協力である。日本の温室効果ガス排出量を見てみると、産業部門からの排出量は 1990 年から徐々に減少しており、現在ではおよそ 13% の削減に成功している(東京電力株式会社資料より)。しかしそれでもまだ産業部門が占める割合は、日本全体の排出量の約 4 割にも上り、産業界はこれからの大幅な温室効果ガス削減成功の鍵を握っているのである。

 では、その産業界は今回の数値目標をどのように受け止め、今後どのような活動に取り組んでいこうとしているのか。産業界の中でも特に、様々な温室効果ガス削減活動や環境保護活動を積極的に行っている東京電力に話を聞いた。

 環境部国際環境戦略グループの高橋浩之氏は 25% 削減というこの目標について、「反対はしていない。ただ産業界全体としては厳しい、重たい数値であると受け止めている。、ビジネスを、環境に配慮した形にシフトしていくことが大切」と前向きな姿勢を示した。環境問題の影響を直接受ける私たち若者が自分たちの将来に不安を抱いているということに対しても、「不安になることはない。日本を含めた先進国等ですでに使用されている排出削減技術を国際的にさらに普及させていくことでかなりの効果が期待できる」と語ってくれた。

 しかし同時に「日本の高度な技術を国際的に普及させていかなければならないという産業界の役割に責任感を感じている」という。技術輸出と、世界との連携は簡単なことではないが、もしそれが実現したならば、より効果的な世界レベルでの温室効果ガス削減ができるのではないかと、私たちの将来に少し希望を持たせてくれた。

 東京電力は産業界の中でも特に多くの環境保護活動に取り組んでいる。重点を置いているのが環境教育だという。学生向けの出前講座や教職員を対象とした「環境・エネルギー教育研修会」の実施など、次世代を担う若者たちの育成に力を注ぎ、また「東京電力自然学校」という自然体験活動など、体を使うことによって全身で自然の雄大さや大切さを実感してもらう事業も展開している。これらの環境教育について高橋氏は「効果は出にくいが、草の根的なコミュニケーションを作っていくことが大切」と、持続的な活動の重要性を述べていた。

 最後に日本社会に対して、「『規制だからやる』のではなく、自発的に取り組んで欲しい。環境問題などの国際的な問題を深刻にとらえ、意識改革と行動改革を起こすことが大切。企業側の意識も上がってきているので、国民の人々にもっとサポートしてもらいたい」と、低炭素社会実現に向けてのメッセージを送った。

 「環境に優しい」や「エコ」を売りにする企業がどんどん増えてきており、企業レベルでの環境への取り組みも活発になってきている。私たち国民、ひとりひとりができることは企業の取り組みをサポートし、監視し、自らも様々な活動に積極的に参加していくことであろう。

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社会

日本の環境対策を引っ張るのは?~東京電力取材~


2009/12/12                 三崎 友衣奈(18)

 鳩山首相が9月に出した「主要各国の参加の上での温室効果ガス25%削減」に対する反応の多くは「歓迎」であった。一方であまりにも厳しすぎると、これを批判してきたのが日本の経済界である。では、産業の一つとして大きな役割を果たす電力会社は今回の日本の目標についてどう対応していくのだろうか、東京電力に聞いた。

 東京電力では、発電の効率性、使用時の効率性、そして技術の向上という3つの面で温室効果ガス削減に向けて動いている。

 発電時は、 CO2 を排出しない原子力発電や、石油よりも CO2 排出量が少ない液化天然ガス( LNG )の使用が東京電力全体の7割近くを占める。また火力発電の熱効率を上げたり、最新技術によって石炭からの発電を高効率にしたりという取り組みを推進している。

 電気の使用者、特に若者への呼びかけでは、教育に重点をおいている。生徒に対してだけではなく、教師も知識を高めて正しい意識を持ってもらうのが狙いだ。教育は効果がでるまでに長い期間がかかるが、無駄なことではないという考えに基づいて、他社よりも率先して活動を行っているという。

 技術の面では、ヒートポンプという技術を使用した「エコキュート」を開発している。これによって投入する電気エネルギーより3倍~6倍多いエネルギーをつくることができるそうだ。また電気自動車やそれに伴う急速充電器の開発も行っており、本格的な使用に向けて動いている。

 このように活発な活動を実践している東京電力だが、前政権の温室効果ガス 2005 年比の15%削減から一挙に 1990 年比25%削減 (2005 年比 30 % ) という目標を掲げた鳩山政権について、どう考えているのだろうか。

  「我々は、決して反対はしていない」。環境部国際環境戦略グループの高橋浩之氏はこう強調した。会社として、低炭素社会にむけてビジネスを変えていくことについては前向きに捕らえているそうだが、懸念もあるという。日本の武器ともいえる先進的な技術に関してだ。高橋氏は「日本として世界に貢献できることは高度な環境技術を世界へ輸出することだが、25%削減目標はその芽をつぶしてしまうのでは」と語る。つまり、環境に配慮して作る日本製品はコストが上がるため、それがいくら地球に優しいと謳っても、環境に配慮していない国の安価な製品の方を消費者が購入しかねないというのだ。

 確かに、「鳩山イニシアチブ」は評価が高かった一方で、あまりにも飛躍しすぎた目標数値や、具体策の不透明性が指摘されてきた。しかし、25%削減という一見大きな数値を「日本をいち早く先進的なエコ国家にする」という宣言と捉えると、高い目標数値は逆に日本のさらなる技術向上へのきっかけになるとも思える。

 多くの企業が製造と環境対策とを両立させる経営に向かっていくので、高橋氏が「消費者にもコスト負担を理解してほしい」というように国民の意識が高まれば日本の技術が損に終わることはない。

 そのような理想的な国家を目指す中で、「 CO2 の排出量が多い東京電力だからこそ、逆に解決策がたくさんある企業となってほしい。

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政治

今すぐ必要な政策はもうすぐ?

2009/12/12          藤原 沙来(19) 

 日本政府は、気候変動に関する政策を一体、いくつ国民に示しているだろうか。気候変動とは何か、日本ではどのような影響があるのか、改善のために何をしたら良いのかなど、不透明な部分がいまだに多いのが実状である。 2009 年 12 月 7 日からコペンハーゲンで行われる COP15 (国連気候変動枠組み条約第 15 回締約国会議)が、まもなく開催される。もっと国が主体的に気候変動と向き合っても良いのではないだろうか。

 2009 年 9 月 22 日、鳩山由紀夫首相は「 1990 年比で 2020 年までに、温室効果ガス 25 %削減を目指す」と国連気候変動首脳会合で、中期目標を表明した。それから数か月たった今、日本では気候変動改善に向けた具体的な削減方法や活動はまだ明示されていない。“主要各国が合意したら”という条件付きで表明したが、主要各国に合意してもらうためにも、“数値目標達成のために何をしなくてはいけないのか”を示す必要があるのではないだろうか。

 政治家として以前から地球温暖化問題に関わり、民主党地球温暖化対策本部事務総長として講演などを精力的に行っている福山哲郎外務副大臣( 47 歳)に話を聞いた。

 副大臣はまず「気候変動問題は長く厳しいチャレンジになる。温室効果ガスを 25 %削減するために何をしなければいけないのか、具体的な案を練っている最中」だと説明した。

 新政府になって、まだわずかということもあり、政策作りのために必死に動いているようである。新たな政府として国民に伝えたいのは、「現状維持ではだめです。ポジティブに物事を考えて、多少負担がかかるとしても今の段階は、希望へのシナリオだと思ってほしい」ということだそうだ。

 具体的な政策を考えている最中で具体的なことはまだ決まっていないと言うが、気候変動は政策を決めている時間にも深刻さは増し、待ってくれる問題ではない。今すぐに改善のために手立てを打たなければいけないのである。

 そこで、今すぐにみんなで活動しようと呼び掛けたいところではあるが、実際は若者の気候変動への関心が低く、改善のための活動自体に意欲的ではない様子が見られることもある。そんな若者に対して福山氏は、「気候変動について知っている人が 1 人でも多くの人に伝える。若者ならではのネットワークを利用して改善のために何ができるのかを共有してほしい。さらに、将来気候変動問題に向き合うプレーヤーとして活動できるように意識を高く持ってほしい」と語った。押し付けたり強要したりせず、“エコはおしゃれなのだ”と感じてもらえれば早く広まるのではと提案もしていた。若者は若者に影響を与えられるよう、地道に活動していくことが求められているようだ。

 では、今後政府は何をしていくのだろうか。気候変動問題に取り組むにあたり政府の課題は、「経済面と気候変動改善をどのように混ぜるかが課題。地球温暖化対策基本法の成立、将来を見据えたプロセスをどのようにするのか、また国民の理解をどう求めていくかということも課題」といくつか挙げた。これらの課題をクリアしていくために今、色々と策を練っているそうだ。

 経済的な負担をかけることで技術開発が進み、再生可能な材料を使った原子力発電や風力発電などが将来可能になるかもしれないということから「未来につながるという思いを持って協力し合わなくていけない。国民にかかる様々な負担は将来への投資」と今後かかるかもしれない国民の負担についても話した。

 政治家として気候変動改善のために今後やらなくてはいけないことはたくさんある。しかし、まず「数値目標に掲げた温室効果ガス 25 %削減のために何をしたら良いのかといった具体案は、きるだけ早く提示したい」と語った福山外務大臣。その言葉を信じたい。

 温暖化は現実に起きている問題であり日々進行している。私たちが引き起こした問題は私たち自身で改善しなくてはいけない。改善する時は、将来ではなく、今である。“今”起こっている問題に“今”向き合わなくてはいけないのだ。地球に住む私たち自身が、危機感を持って、行動を起こさなくてはいけないのだ。政府が具体案を提示するのは COP15 前にともいうが、本当にあと数日間で日本の具体的な将来像が見えてくるのだろうか。

 経済的なことなども絡み、簡単な問題ではないが、政府、国民、世界が一体となって改善しなくてはいけない問題なのだと改めて痛感した。

 政府の積極的な行動案を期待して待ちたいと思う。

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政治

日本を先進的な環境対策国モデルへ

2009/12/12          三崎友衣奈(18)

  今年9月に鳩山首相が発表した「首脳国の同意の上での温室効果ガスの 1990 年比 25% 削減」をみなさんはどう思われただろうか。経済界からは「現実的でない」「国民の負担が増す」と反対される一方で、環境活動家、環境 NGO 等からは歓迎された。前政権の目標数値の 15% ( 2005 年比、 1990 年度比では 8 %)に比べると飛躍的な変化だが、 IPCC (気候変動に関する政府間パネル)が発表しているデータによると、地球温暖化を止めるために必要な主要国の温室効果ガスの削減数値は 25 ~ 40% なので、 25 %は最低ラインの数値設定である。

外務副大臣福山哲郎氏

 今まで環境対策に消極的だった日本による大幅な目標数値の変更は世界で注目された。一方で鳩山政権が掲げた政策の中の高速道路無料化や暫定税率の廃止が環境対策に反しているとして批判を浴び、まだ目標数値をどう実現していくかを具体的に提示していないことと重なり波紋を広げている。

 政府は環境問題という、現在だけでなく将来に重くのしかかってくる問題に対してどう考えているのか、これから日本として、どういう姿勢でこの問題に向き合っていけばよいのだろうか。外務副大臣の福山哲郎氏を取材した。

 福山哲郎氏は 1997 年の地球温暖化防止京都会議( COP 3)に民主党コーディネーターとして参加し、その後も環境問題について熱心に取り組んできた。地球温暖化対策本部事務総長などを経て今年9月から外務副大臣に就任した。

 福山氏は環境問題の将来についてとてもポジティブだ。環境問題への対策で懸念されている国民への経済的負担は「未来への投資」、高速道路の無料化は「一般道を含めて渋滞を緩和し CO2 排出を削減するため」と考えている。環境 NGO が温暖化を抑えるには足りないとする温室効果ガス削減目標の 25 %という数値についても「 2050 年までに温室効果ガス 80 %を削減する目標への一つのプロセス」、目標の実現性の問題も「環境問題において現状維持は意味がない。なぜ削減できないかを議論するより、これからどうやってその壁を乗り越えていくかを考える必要がある」と話し、長期的な問題に対して焦らず、経済とのバランスを考えながら対策を進めていくという姿勢を示した。

 また福山氏は、将来の問題の担い手である若者の環境活動にとても関心を持っている。環境問題はどこかの時点で誰かが何かをやって解決するものではなく、それを次の世代に繋いでいくことが大切であると強調し、「問題はこれからもずっと続くもので、若い人たちにはまずしっかりと現状を受け取ってもらいたい」と語った。

 「環境問題は避けては通れない問題。そこで日本がいち早く経済と環境問題とのバランスのとれた社会をつくり、世界に示すべきだ。」福山氏は問題を恐れることなく、あくまで「未来に繋げる環境問題」として見ている。

 現状を目の当たりにしている若い世代の一人として、福山氏が何度も使ったフレーズ「厳しいけれど新たな希望をつくるシナリオ」を実行していく一人となりたい。

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政治

未来への投資

2009/12/12          飯沼茉莉子(13)

 2009 年 12 月7日からデンマークのコペンハーゲンで開かれるCOP 15 は 2005 年に京都議定書が発効して以来の重要な会議になる。 2013 年以降各国がどのように対策を進めるのかという次期枠組みが決まるからだ。鳩山首相が打ち出した温室効果ガス 25 %削減の表明が、世界各国から注目をあびているなか、政府はどのように考えているのだろうか。

 民主党地球温暖化対策本部事務総長として温暖化対策に積極的に取り組み、COP 15 にも参加をする外務副大臣福山哲郎氏にお話しをうかがった。

 私たち若者が今取るべき行動は何だろうか?

 「温暖化対策は人類にとって長く厳しいチャレンジですが、新たな豊かさを作っていくための希望のシナリオになるかもしれません。しかし、この問題はすぐに解決しないため、その思いを次の世代の人々につないでいかなければいけない。受け継いだ人々は先輩がやっていることを認め、時には批判しながら、プレーヤーとしてそれを回りにつないでいってほしい」と言う。

 新聞には温暖化対策で、いまの家庭へはもちろん、将来は私たち子ども世代にも負担が増えると書かれているため、この問題にはとても関心がある。

 こうした指摘に対して 福山さんは、「温室効果ガス削減対策をすると消費者の経済的な負担が増えると言われています。しかし、『負担が増える』というのは一種の脅しの言葉です。太陽光発電やエコカーを普及させるために国が支援をするので、そのための負担は将来のための投資だとポジティブに考えてもらいたい」と語る。『負担が増える』だとばかり言うことは、気候変動へのチャレンジを国民から奪うということであり、この負担は未来につながることなので皆で頑張ろうと国民に負担の意味をしっかり伝えることが政府に必要なのだそうだ。

福山哲郎外務副大臣へ取材

 今までに取材してきたNGOの人々から、気候変動を改善していくには温室効果ガス 25 %削減では温暖化を抑えるのには不十分だという意見が出ている。それに対して福山氏は冷静な態度で、「まずは目の前にある 25 %削減を先に考えている。ステップ・バイ・ステップでやっていけば良い」と語った。

 国民はこの不景気の中で、温暖化対策によってこれ以上負担したくないと思う人は多いと思う。しかし、福山氏の言う通り、温暖化対策への負担は将来の自分たちへの投資だと思ったほうがい良いだろう。政府が、この負担は新たな豊かさを作っていくための希望のシナリオになると呼びかければ、国民の温暖化に対する気持ちは変わってくると思う。

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国の政策を待つより、私たち自身が解決策を実行しよう

国の政策を待つより、私たち自身が解決策を実行しよう~COP15に参加する若者の意識とは~
                         藤原沙来(20)

 国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は、当初、京都議定書に定めのない2013年以降の地球温暖化対策を決定し、各国の同意を求めることが目的であった。しかし、結果は一部の途上国の反発などで全会一致の採択を断念し、“コペンハーゲン協定”を “合意する”ではなく“留意する”との決議採択にとどまった。つまり、今後はこの協定を支持した国だけに効力を持つこととなる。藩基文国連事務総長は「今回の会議が新たな枠組み作りの始まり」と話したそうであるが、具体的な数値目標、政策案などは、来年メキシコで開かれるCOP16に持ち越されることとなった。

 この結果に、若者からは落胆の声が上がった。彼らは、「今回の結果のように政府や各国が協力して改善に向けて積極的に動かないのであれば、私たち若者は地球が滅んで行くのを待っているしかない気がする」「若者として様々な活動をしていても地球に住む全ての人々が同じ危機感を感じて同じゴールを目指していなければ、何も変わらない」と不安な気持ちを語る。

 しかしながら、気候変動とは先延ばしにできるような問題ではない。気候変動がストリートチルドレンなど、生活が不安定な層に大きな影響を与えているのを目の当たりにしているインドネシアから来た学生のLindaとDevi(22歳)は「この世には1つの地球しかない。地球は私たち全ての人間のもの。政治家は単なる政策を決める人に過ぎない。政策を待つのではなく、私たち自身が意識を変えて、簡単なものでもいいから行動を起こさないと、生きることもままならなくなる。私たち自身が気候変動の要因で解決策でもあることを認識しなければいけない」と話した。

「350.org」という環境NGOが主催したキャンドルで文字を作り気候変動を訴えるアクション活動に参加していたCanadian Youth Delegation teamの1人Meagan Mckeen(18)は、「このように若者が必死に気候変動に向き合っている姿を多くの人に見せることや、意見を共有して若者としてできることをやるというのが目的」とCOP15に参加した理由を話した。また「COP15に参加して得た知識や経験、ネットワークを持ち帰って今後の活動に生かすことも大事なこと」と言う。MeaganはCOP14にも参加し、個人レベルでの活動を積極的に行っている。今回の経験を通して「若者としてできることは何か、新たなアイディアを得ることができれば自分のプロジェクトに生かしたい」と意欲的だった。
 British Councilのドイツ気候チャンピオンの一人としてCOP15に参加したFranka Stohling(18)は、ブログやHPを立ち上げ、若者に興味を持ってもらえるような方法で気候変動と向き合っている。「若者ならではの視点でこのCOP15に参加して、同年代に気候変動について伝えたい」と言い、「視覚で若者にアピールするのも大切だと思う。同年代に伝えるためにはどうしたらよいか考えるのも私たちの役目」と強く主張した。
 BBCのディベートに参加していた、アムステルダムの大学に通う中国人のJulie Zheng(20)は、「気候変動に直接関わる活動や勉強はしていないけれど、自分の将来に関わる問題だから、知識を得たり、ネットワークを作ったりしたくてCOP15に来た」と言う。今まで環境問題に関しては活動する機会すらなく、何もしていなかったようだが、NGOに所属して活動する若者や、大学で専門的に気候変動について学んでいる学生に会うことによって危機感が強まり、自分も何かしなくてはいけないと痛感したそうだ。「COP15で得たこの衝撃と知識を友人と共有して、早速エコな生活を始めたいと思う」と話し、COP15に参加していた若者の活動に刺激を受けたようであった。「中国政府は独自の意見を主張し、国際的な合意には至らなそうだが、政治が絡んだ政策に関してはどんなに活動をしたとしても市民の声は通らない。社会環境を変えていきたいのならば、私たちが草の根レベルの活動をしなくてはいけないということを今回示されたような気がする」と言い、意識が大きく変わったようだ。 

 本会議場とは別にセッション会場とされていたKlima Forumで出会ったインドネシアのNGO「Eco-Indonesia」から来たLinda Chalida (22)、 同じくインドネシアから来たGoris Mustaqim(26)はともに、「インドネシアには貧困の問題などがあり、気候変動の影響を受ける人が明らかで、気候変動問題に一人でも多くの人が向き合えるような環境作りがまず必要」と話した。「インドネシアでは、国際的な合意よりも、もっと市民レベルでの話をしないといけない。政治家の結論を待っている間にも市民が主体的に動かなくては」とすでに活動している自分たちの役割を改めて確認する機会となったようだ。
 世界各国から集まった若者は「気候変動は今の問題。だからこそ、今取り組まなくてはいけない」「気候変動は政治家の問題ではない。将来社会を担っていくことになる若者の問題」と語る。互いに意見を共有し、それを同年代に伝える。今すぐに行動をし、社会を少しずつでも良いから変えていく。それが今、気候変動問題と共に生きる若者としての使命でもあるとCOP15の取材で感じた。

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Hope+Copenhagen

Hope+Copenhagen
                               富沢 咲天(14)

 コペンハーゲンの市庁舎広場の中央には巨大な地球儀がある。そこでは「Hopenhagen」というイベントが開催していた。周りにはたくさんのブースが並んでおり、それぞれで環境に関係する取り組みを紹介している。さっそくHopeにあふれた取り組みを取材した。
 最初に入ったブースには、タイヤがとても細い自転車が2台飾られていた。「これが僕の自転車だよ」と紫の自転車をさしてデンマーク人のTau Kallehaveさんが説明してくれた。 「自転車はコペンハーゲンの人たちにとって、車より早く移動できるしエコだからとても大事なんだ。それにコペンハーゲンは平らな土地だから自転車に最高な場所なんだよ」と嬉しそうに話してくれた。たしかにこの街を歩いていて坂が1つもないのに気がついた。自転車専用道路がちゃんと整備されていて、車を持たなくても生活ができるようになっている。ブースの前にもたくさんの自転車が通り過ぎて行く。クリスチャニアバイクという、子供を乗せる荷台のついた三輪自転車もよく見かけた。ちらちらと雪が降っている寒い氷点下でも子供たちは当然のように自転車の前カゴに乗っていた。日本のお母さんがママチャリで子供を乗せて走るよりずっと安全で、カバーがあるから風雨でも大丈夫だ。

 次に行ったブースは展示室。そこで私が目をとめたのは青と黄色のラインが入っているかわいい電気自動車。前から見るとPOLICEと書いてある。説明を読むと、このパトカーは2012年に開かれるロンドンオリンピックの警備で使われるそうだ。だんだんオリンピックも環境を意識しはじめていて、初めての環境オリンピックと言われているロンドンオリンピックが楽しみだ。
 向かい側のブースでは、とてもおしゃれなクリスマスの雰囲気の看板を見かけた。デンマーク語でなんて書いてあるかはよく分からなかったが、おそらく「Shaneのリサイクルおもちゃ」と書いてあるのだろう。中に入るとまるでおもちゃの国。部屋中がかわいらしい手作りおもちゃでいっぱいだ。そこにいた担当の人の話によると、このおもちゃはすべてShaneさんが作ったものだそうだ。Shaneさんはいらなくなったものを、みんなが喜ぶものに変えてしまうリサイクルの達人のようだ。新しい命をもらった作品はどれもすばらしく、生き生きとしているように見えた。
ブースの外に出ると子供たちが高い声でキャーキャー楽しそうに叫んでいるのが聞こえた。クリスマスシーズンなので人力発電ツリーだ。自転車をこいで発電し、クリスマスツリーのイルミネーションを光らせる仕組みになっている。私たちもさっそくやってみた。氷のように冷たい外でも、ペダルをこいだら体はポカポカ、ツリーはピカピカ。発電にまで自転車が登場するとは、デンマーク人は本当に自転車が好きなのだろう。

  コペンハーゲンに滞在中、この国の人たちの温暖化防止のためのさまざまな取り組みを見聞きした。そして日本で温暖化防止のために、個人で、企業で、社会で何ができるかを取材してきたことを思い出した。デンマークも日本もそれぞれの国が、その国の気候・社会にあったCO2削減に一生懸命取り組んでいる。COP15の会議では残念ながら法的拘束力のある新たな議定書の採択はできなかったが、義務や罰則がなくても世界はCO2削減の努力をこれからも続けるだろう。環境先進国のCO2削減の技術が新興国や途上国にも広がり世界が協力し合えば、Hopearth、きっと地球温暖化は防止できるはずだ。

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国際

スタートとしてのCOP15


                              三崎友衣奈(18)

  「持続可能な未来へのシナリオをつくる」。11月23日、チルドレンズ・エクスプレスの取材にそう語った福山哲郎外務副大臣。京都議定書の次の新しい議定書を決めるCOP15で日本の、そして世界の環境問題に関する「シナリオ」はどうなるのか。会議終盤の12月17日、コペンハーゲン市内のImperial Hotelで福山氏に聞いた。 まず福山氏は、日本の姿勢として京都議定書の単純延長を望んでいないことを強く主張した。「京都議定書の延長だけでは日本として認められない」。温室効果ガスの主要排出国アメリカ・中国が批准していないのでは、京都議定書の次の枠組みを決めるというCOP15としての目的が達成されない。

 しかし会議では、中国を代表とする新興国・途上国の猛烈な反対が続いていた。日本の掲げる「主要国の合意の上での温室効果ガス25%削減」は難しいのではないか。合意がない場合、日本の今後の環境問題対策はどうなるのだろうか。福山氏は「25%の目標はもちろん続ける」とした上で、「けれど、まだ各国の合意という段階にもなっていない」と会議がいかに混乱していたかを語った。
 混乱の原因は、発展途上国と先進国の言い分の違いにある。現在の温暖化の責任を先進国に問う途上国と、新興国である中国・インドの経済優先の姿勢を懸念する先進国とで完全に交渉が固まっている。「途上国の拒否度が大きく、とにかく会議を動かそうとしている」という状態だった。

 取材当日の午後4時には鳩山首相が到着する予定で、18日にかけて各国の首脳がコペンハーゲンに集う。それでも会議は「首脳たちに何を決めてもらうか決まっていない状態」だったそうだが、福山氏は「最後の最後までがんばるしかない」と力強く言い残した。
 会議は混乱を極め、ようやく決まったのは最終日の18日に非公式で行われた会合による米・中・ブラジル・インド・南アフリカの合意だった。会議に参加できなかった発展途上国から非難されたものの、デンマークの議長ラスムセン氏がこれに留意するという形でコペンハーゲン協定が成立した。内容は世界全体で気温上昇を摂氏2度で抑えることや、先進国には来月末までの自主的な温室効果ガス削減目標登録と発展途上国への支援、発展途上国には国の温室効果ガス排出量の透明化などで、各国の参加は自主的となった。
 この結果は、福山氏の17日時点での「見通しは正直分からない」という発言からすると最悪の事態は防ぐことができた、と受け止められる。しかし、現在も進行している気候変動による災害の危機に直面している国・地域の不安を考えると、これで満足してはいられない。
 米中の枠組み参加は来年11月のCOP16に向けての第一歩である。COP16では気候変動の被害を受けている、または受けるであろう国・地域の人々の焦りを認識した決議により重点を置くべきではないだろうか。国の経済成長の妨げとなる法的拘束の回避ばかりを気にしていては、協定は結べても合意には至れない。未来へのシナリオはまだ始まったばかりである。 

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