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社会

日本のシングルマザー家庭

須藤亜佑美(17)


 日本のシングルマザーは極めて勤勉だ。実際、厚生労働省によると、母子家庭のシングルマザーは8割が就労している。先進国が集まる経済協力開発機構(OECD)のデータをみると、同加盟国におけるシングルマザーの平均就労率は6割強であり、日本の女性全体の就業率が5割(総務省「労働力調査」)である現状を大きく上回る。また、母子家庭の平均的総所得は年間254万円で、児童のいる一般世帯の平均的総所得の36%にしか届かない。結果として、母子家庭が85%を占める「ひとり親世帯」の相対的貧困率は50%にも及ぶ。どうして母子家庭の多くが貧困に陥ってしまっているのか。そして、今後母子家庭をサポートし、母子家庭の子供たちも貧困に困らないようにするには何が必要なのだろうか。取材を通してこれらの質問の答えを模索した。

 そもそもどうしてシングルマザーになるのだろうか。國學院大學経済学部の水無田気流教授は、「離別シングルマザーが離婚に踏み切った最大の動機は、『夫の存在が子どもにとってマイナス』と判断した点である」と著書の『シングルマザーの貧困』で書く。実際、最高裁判所の「司法統計」(2012年)によると、夫が妻へ離婚を申し立てる動機は、1位が「性格が合わない」(62.6%)で、2位が「異性関係」(15.9%)と精神的な問題が大きいのに対し、妻から夫への離婚の申し立ての理由は、1位の「性格が合わない」(45.6%)のつぎに、2位「暴力を振るう」(27.2%)、3位「生活費を渡さない」(25.3%)、4位「精神的に虐待する」(23.3%)など、家庭内暴力(DV)や生活費などが上位にくる。これに関して、水無田教授は「気持ちの問題で離婚を決意し得る男性に比べ、身体的・経済的に『実害』を蒙らないとなかなか離婚には踏み切れない女性の立場が浮き彫りになっている」と指摘する。もちろん、自らの精神的な理由や選択でシングルマザーになった女性も大勢存在する。しかし、やはりシングルマザーの多くは「自己決定権」に基づいて離婚をしているとは言い難いのが現状だ。

厚生労働省吉原貞典就業支援係長

 なぜ日本の母子家庭の平均総所得は一般世帯の36%にしか及ばないのだろうか。「母子家庭の貧困問題は経済的庇護者とされている父の後ろ盾がなくなって、全面に出てきた問題だ」と水無田教授は説明する。これはどういうことか。日本は男性と女性という性差(英語でいうジェンダーセグリゲーション)が先進国の中でも突出して大きく、特に日本では子どものいる女性は、フルタイム就労者同士を比較しても、同年齢層の子どものいる男性と比べ、4割にも満たない賃金水準となってしまう。だから、家族の大黒柱である男性がいないと、経済的に困窮してしまう可能性が急に高くなる、ということだ。インタビューで同教授は「端的に言って、日本では当人の特性や個性よりも、男性女性といった性差がライフコースに与える影響が大きすぎるんです」と話す。

 なぜ子供のいる大人の間では、性差によって所得の著しい差ができるのだろうか。水無田教授は、日本の雇用形態と社員の評価基準に要因があると言う。「日本の企業では、まず新卒採用される際に、契約書にも職務上の細かい規定がなく、いわゆる総合職は勤務の内容や時間、勤務地などが無限定である点が特徴です。つまり「雇った正社員に対して仕事をつけていく」んですね。だから、ジョブ(仕事)に対して人を募集してつけていくヨーロッパ型の雇用慣行とは違って、各仕事をモジュール(部品)化して交換するようなことができず、ワークシェアリングもしにくいかたちになっています。結果として、労働者から見れば、同業他社でもスキルが交換しにくく、転職も不利になる。このような状況を、「外部労働市場の流動性が低い」と言います。社員は、色々な部署を回って徐々にキャリアパスをつないで、異動も転勤も当たり前にこなさなければならないため、柔軟な働きは難しい…このような働き方は、無償労働を全て妻に頼み、同じ会社に就職したら定年退職までいるような、標準の評価体系となっている『おじさん労働者』にとっては問題ないのですが、出産・育児などでキャリアに「抜け」ができやすい女性など、イレギュラーな要素を持っている人にとっては非常に不利益に働きます」と教授は語った。

 では、シングルマザーを支援し、母子家庭の子どもたちへの貧困の再生産を防ぐにはどうすれば良いのだろうか。まず、現状においてのシングルマザーへのサポートの政策について知るために、厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室の就業支援係長である吉原貞典氏にインタビューをした。吉原氏によれば、行政によって既に様々な支援が提供されているという。例えば、就業に向けた支援として高等職業訓練促進給付金などがある。ひとり親が専門資格の取得のために一年以上の養成機関に修業する際、その間は生活費の負担軽減をするための給付金が出る。またはハローワークやマザーズハローワークにおける就職支援ナビゲーターによる個別支援やトライアル雇用の活用などに加え、地方公共団体との連携による出張相談の実施、託児付きセミナーの開催などがある。さらに、母子・父子自立支援プログラム策定事業などを通して、個々の状況・ニーズに対応した自立支援プログラムを策定し、必要に応じた支援をするという。

 しかし、このように行政による様々な支援策が存在しているのにもかかわらず、シングルマザー家庭の貧困率は依然と高い。これはどうしてなのだろうか。現場の意見を聞くために、シングルマザーのサポートと子どもの貧困啓発を行っている特定非営利活動法人リトルワンズの代表理事の小山訓久氏にインタビューした。シングルマザーの支援の現状について尋ねると、小山氏は落ち着いた口調で「日本は行政が中心でシングルマザー家庭の支援をしているが、これでは個人に合わせた支援や、それを迅速に提供することが困難で、その日に支援が必要な、貧困に陥ってしまうようなシングルマザーにとっては助けにならない」という。さらに、「いくら厚生労働省などの政府機関が様々なプログラムを紹介しても、自治体ごとに大きな差が生まれている」とも指摘する。そもそも、行政が万能であると期待すること自体がおかしくて、より民間団体などによる柔軟な支援が必要なのかもしれない。

 「シングルマザーの貧困問題には特効薬がない」と小山氏は語った。シングルマザーと言っても様々な境遇の人がいて、各家庭によりニーズは異なる。しかし、いくら複雑な問題であったとしても、放置しておいてはならないことは確かだ。今後、シングルマザーの貧困に関する議論がより深まっていくことを期待したい。

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政治

日本に女性議員を増やすには

Youth Express Japanで読む

須藤亜佑美(17)


ピック駐日フランス大使

 日本には女性の議員数がとても少ない。実際、国会の女性議員比率は衆議院で9.3%、参議院では20.7%。これは下院の世界平均である21%より低く、2017年時点では193カ国中日本は164位で先進国の中では最低レベルだ。国民の半分近くは女性であるのに、どうしてここまでも男性の政治家ばかりの国会になっているのか。日本で女性議員が少ない理由と、女性議員の数をどのように増やしていけば良いのかを取材した。

 議員になるのに女性には男性よりも大きな障壁が存在するのだろうか。上智大学法学部の三浦まり教授は、「政治家になることを阻害する要因に大きな男女差が存在する」と著書の『日本の女性議員』で書いている。具体的には家族的責任の大きな負担や、女性の役割に対するジェンダーステレオタイプ、家族の支援の受けにくさ、女性の自信のなさ、政党が新人議員を擁立する際の「勝てる候補」の基準に対するジェンダーバイアスなどがあるようだ。つまり、ほとんどの男性には障壁として存在しないものが女性には存在する場合が多い。結局は、「女性」と「男性」という性別に対する固定概念が女性の政界への進出を妨げているのが現状だ。

三浦まり上智大学教授

 しかし、これらの障壁は世界的な視点でみたものである。とりわけ日本で女性議員の数が低いままである理由は何か。「自民党が第一党である時期が長いことが、全体として日本の女性議員比率を押し下げている」と三浦教授は記者のインタビューに答えた。これはどういうことか。「やはり政権交代がないと競争が起きない。日本で女性議員が飛躍的に増えたのはマドンナブームで社会党が勝っていた時で、それを脅威に感じた自民党も女性議員を増やし競争が働いていた。だが現在はそういうダイナミズムがないのが日本の最大の特徴」と続ける。競争相手がいないと、わざわざ自分を改める必要もない、ということだ。

 さらに、日本では女性議員が増えることに対する国民の支持があまりないのも事実だ。「日本は女性議員の増加がトップダウンで起きてしまっていて、女性議員の多くは政党の意向を反映しているだけの場合が多いため、市民社会の女性有権者がついてきていない。だから、『増え方』が重要で、女性有権者の声を代弁できる女性議員が増えないと『女性議員が増えてよかった』という気持ちにならない」と三浦教授は淡々と語る。根本的には、社会の声を代弁する市民を政界に十分送り出すことができておらず、女性有権者の声も政治に十分に届いていないという事態が生じているということだ。

 では、今後どのように女性の議員を増やしていけば良いのか。三浦教授は迷いもなく、「クオータ制が必要」と訴える。クオータ制は世界的に多くの国で導入されてきた制度で、女性の国会の議席数における割合や、各党の候補者における女性の割合に最低ラインを引くことによって、強制的に女性議員の数を増やす仕組みだ。しかし、法による強制は三浦教授が強調する『増え方が重要』」という説明に反するのではないか。この疑問に対し三浦氏は「これは逆転的な発想」と答える。「様々な国のケースからわかったのは、女性が無理矢理でも入れられるようになると、今までの議会の慣行が変わり、ワークライフバランスが良くなったり、女性の議員でも十分能力があることに国民が気づいたり、女性がより議員になりやすくなる好循環が発生する。それがクオータ制の効果だ」という。

 実際、そのような制度を導入し女性議員数を増加させてきた国の一つがフランスだ。フランスは、2000年から政党に対して立候補者の男女の数を半々にすることを義務化し、違反したら罰金を払わなければいけないという「パリテ法」を導入している。つい最近の国民議会選挙では女性議員比率は38.8%にも及んだ。これについてローラン・ピック駐日フランス大使に聞くと、「男女平等のために積極的に改革することをフランスは躊躇しない」と語る。日本などクオータ制が存在しない国や、最低30%は女性が議員という国が多い中、どうしてフランスは女性立候補者の割合を完全に半分である50%に設定したのかと質問すると、あまりにも答えが自明すぎて戸惑う表情をピック氏は浮かべる。答えはシンプルだ−「女性は人口の50%だから」。しかし同時に、自国の政策は自国にとってベストなものであるのみで、フランスと違う文化や歴史的背景に基づく日本は、自国にとってベストな政策を導入することが重要であるという指摘もピック氏は忘れなかった。

 フランスのように積極的に変革を推進する国がある一方、クオータ制で女性議員を増やす方法に懸念を抱く人々もいる。長年自民党で活動し、女性として初めて派閥領袖となった山東昭子参議院議員はそのひとりだ。山東議員は「私は、女性でなければ、ということはあまりないと思うんですね」と穏やかな口調で話す。「男性であったとしても、女性の問題にも関心を持って関わっている人はいると思うし、私は人物なんじゃないかな、という気がしますね。女性であっても、男性であっても、思いやりがある人とない人はいます。まあ、結局は上手に混ざっていけば良いかなという気がします」と続ける。クオータ制に反対なのかという質問に対し、山東議員は「無理にやるということがよくないと思います。クオータ制で人を選ぶとなると、とにかく女性だからといって色んな分野で活躍していた女性を入れることになります。しかし、その人たちは、そういうポジションが与えられたからそこにいるけれど、自分自身で苦労をしたことがない。果たして政治の上でそのような人が本当に必要か、と考えると、クエスチョンマーク」と持論を展開する。 女性議員のクオータ制を導入すべきか否か。これは、市民社会の一員として、考えていかなければならない課題であるのは確かだ。今後、女性の政治参画に関する議論がより活発化することを期待したい。

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Interviews

Interview: Sir Laurent Pic, the French Ambassador of Japan

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Ayumi Sudo (17) CE Youth Reporter

Currently, Ayumi was doing an investigative piece on how the number of female politicians can be increased in Japan. While researching, she came upon the system of “parité” introduced in France in 2000 to increase the number of female politicians.

She was amazed by its success, but at the same time, perplexed when she found out that the number of female politicians didn’t increase as much as expected. In order to get a deeper understanding of the current situation of female political empowerment in France, and to find out about future prospects under the Macron administration, she would like to have the opportunity to interview the French Embassy. Fortunately, she could interviewe Sir Laurent Pic, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the French Republic on July 19, 2017

Children Express (1) (1)
在日フランス大使館提供/provided by the Embassy of France in Japan

 Q. Do you believe that it is important to have an equal number of male and female politicians in parliament?

Laurent Pic Ambassadeur de France au Japon
在日フランス大使館提供/provided by the Embassy of France in Japan

Well, I think that the representation of women in society is very important. It should be natural that half the percentage of the population should be represented in all activities whether that is in parliament or businesses, or public administration. It has been an endeavor for a long time. I know that women have gained a lot of representation in our society in the last few years. For France, women only got the right to vote after the Second World War, so it’s not very old, or very ancient, but the situation has improved a lot since then. Now, what we have found is that letting things happen by themselves doesn’t work, and that we need to have a proactive approach, so, we have set rules in order to improve the representation of women in all spheres and all activities. This is what is happening in France. Political representation is a symbol, and it is very important, and France has, for five years, reached parity in the government, where we have achieved an equal number of male and female ministers. In parliament, we have also been seeking better female representation. Of course, outcomes depend on the electors themselves, when they vote, and also it depends on the parties – who they present as candidates. Now, in our parliament, we have reached a high level of female representation – 223 out of 577 in the National Assembly, which represents 38.8%. Of course, it is an improvement from the past but it is not enough, and so these efforts need to be continued. Once again, each party plays a very important role. For the party which currently has the majority of seats in parliament, which is also the party of the president, female representation is very high – 47%. Parties are starting to put women in electorates where they have high chances of winning. Sometimes parties have been putting women in constituencies where there is no chance of winning, or in proportional systems, they have put women at the bottom of the list, which means that they cannot be elected. So this should be, of course, changed, and this is happening. I can recount what we did in public service, and the administration, where now there are set targets for the percentage of women in higher ranks. There is a law, which is provided for such a system, and in 2017, we have had at least 40% of women appointed for the first time, and the law was under the decision of the previous government. Concerning these posts, which need to go through the Council of Ministers, – if you don’t reach the target of 30% to 40%, you have to pay a fee, and you are fined for not respecting the target. Such decision has considerably improved the situation. For example in the foreign ministry, we have a situation where we have now reached those targets. Everybody was saying at the beginning that it was impossible, because there were not enough women in a position to be promoted or appointed to such level, but in fact, it’s possible, because we did it. Now, we have a lot of female ambassadors, more than before, – it’s around 50, out of approximately 200 posts, which is a big improvement from the past. Of course, it is not enough. When I entered the foreign ministry, there were maximum 10 to 15 female ambassadors, and now it’s 50. So, in approximately 30 years, we have increased the number, but we have to do even better.

在日フランス大使館提供/provided by the Embassy of France in Japan

Q. As a result of the June elections, a record-breaking number of 223 seats out of 577 in the National Assembly are now held by women. 47% of the LREM’s elected politicians are now women, despite many studies showing that the barriers for women entering politics are higher than that of men. —Why was this historic feat possible?

I think that the barriers that exist are barriers that we are creating ourselves, and if we decide that these barriers are no longer relevant, everything is possible. Women have the same talent as men, and maybe sometimes more. If the promotion system is appropriate, then they can be promoted into the National Assembly or any other form of political activities.

What is important is also to adapt our system to the lives of women, in all spheres of activities. One issue is our work, -what our working patterns are. Can the work be a good system for family life? The children? To adapt, we set rules that are consistent with what is the real life for women. For instance, in the foreign ministry, in our embassy, we have a chart of the time, where we provide a certain number of rules that are beneficial to women, -which is that after certain hours you’re not allowed to organize meetings, which means that women, who have to come back home because they want to take care of their child, are not prevented from exercising their work because they cannot attend those meetings. There is also the right of disconnection, which means that on the weekends, you are not supposed to answer your emails. So, we can organize life so that the working environment is adapted to what a woman’s everyday life is. Of course, there are other changes in our society that needs to be promoted like the fact that children is not an issue only for women, it should also be for men. Men should also take responsibility in this respect. For instance in this embassy we have a couple of diplomats who have just had a child, and the female diplomat took maternity leave, but the father also took paternity leave to raise his child. That is good. It is the right direction.

 Q. How did the gender parity laws come into place? Were there any controversies? Were there met with any opposition?

In parliament, there was a big discussion because people want to keep their power, and their posts as an MP, and they see women as a kind of threat to the post that they have been in for a long time, so what is happening at the moment is that there is a big renewal also in parliamentarians. Not only are there more women than before, but also there are more new MPs than before, because there was a big reform that was passed in parliament recently under the previous government so that people cannot accumulate political responsibilities. For example if they are a mayor of a city, they cannot be an MP at the same time. Or a president of a local council, whether it is at the regional level or the level of departments, – basically they have to choose, and that is pushing for the renewal of the members of parliament because a lot of former MPs decided not to stand for reelection, and they decided to choose another responsibility. That is also going into the direction of more gender parity.

And so, each time we want to change the system, there are people who are reluctant, because they see it as a threat to their position. But, if you have political will, I think that we can resist because nobody is really contesting that women are equal to men. I think that a new step forward is to once have a women president in France, like how we have a new young president, which is new for France, and that is a good thing. The next stage would be to allow a woman to be president. Like how in the US, Barack Obama was the first president who was from the black minority. These baby steps are important to promote equality.

But at the same time, you can never stop having strong political will, because you will always have resistance in society –conservatism, and that means that you must have a lot of political will each time to promote equality, in all respects. Not only in gender equality but representation for minorities -Equal rights for all minorities including sexual minorities, for instance. This is a political fact.

 Q. Why the 50/50 approach instead of 30% or 40% quotas? Why would you say that the gender parity laws are the best approach?

I’m not sure there is a best approach because each country has to decide by itself.

The objective is that at some stage, we will not need any quota at all – we might have 75% of women in parliament – why not? If they are elected by the people and chosen by the electorate then that’s fine.

But at this stage, the idea is that to promote women, we need to have a quota. So, for us, we decided that 50% is a good quota because it represent the number of women in society. We put women in front, more than men, so it could have been 51 or 52, but it’s a kind of quota and each country has to decide by itself. As I mentioned before, there were also progressive reforms. Several laws have been passed before. The most recent approach is a more radical one, because it really is promoting change, and that is working. But in the end, we don’t have 50% of women in parliament, and that was the decision of the electorate to choose a candidate from one party that was not necessarily a woman.

 Q. So is it better to gradually stop focusing on gender?

No, what I am saying is that each country has to decide by itself on how to move forward. In our case, we deemed it appropriate to move forward that way, and it proved to be the right approach because we are getting results. But, in other cases, it might be different, so we don’t want to prescribe for everyone; – we don’t pretend to be an example to be followed. We have done things that way, and it gives such and such result, and for the others, if they want to get inspiration from our system they can do it but if they want to have another system, they are free to do it as well. But the directive should be the same because basically, gender equality is something which is, to some extent a common rule for everyone, based on the UN Development Goals. All of what we have done, all of the UN organizations, are in the trail of equal representation for women, on a political level.

 Q. I heard that President Macron wishes to implement some reforms to the electorate. How would such reforms change the electoral process?

What he wants to do, what he has announced recently when he was speaking in front of Congress, which are the two chambers of parliament fitted together in Versailles, is that he wants to make a constitutional reform, and in particular to reduce the number of members of parliament, because he thinks that they are too numerous at this stage. So, yes, he set a target of a one third reduction in the National Assembly, which is the lower chamber of parliament, and the Senate, which is the higher chamber of parliament, and also in the Economic, Social and Environmental Council. So, that is one of the first reforms that he wants to put in place. He also wants to introduce some proportionality in the electorate system, which means that a certain amount of MPs will be elected through a proportional system, and the rest of them will be elected, as it is the case now, by constituency with a majority system. These reforms are to be more specified, but this is the intention. Of course, to carry on as before, we need to check that there is no backtrack in terms of equal rights for women, and equal representation. What is important also is that Mr Macron wants to promote transparency in our political system, which means that the people who are elected need to be more accountable. We have already put in place a higher authority for transparency –when you are elected, you have to make a statement at the beginning of your term, giving details about your income and your property in order to avoid potential conflicts of interest.. So, I think this can also be in favor of women, because it is different from the past. We have to have transparency. This also applies to civil servants. To be an ambassador, for instance, I have to provide a statement in the beginning of my term to show that there are no conflicts of interest and that I am paying my taxes, and so on, so that you will respect the rules like everybody else.

 Q. What do you think are the impacts of having an equal number of women in parliament on politics?

I think it makes the country work better because it reflects the reality of the country if you have equal representation. There is also an impact on the laws that are passed, and how they interact with the everyday life of our citizens, so yes. It makes the system more efficient and more relevant also for the people.

 Q. So, do they provide more viewpoints and perspectives?

Yes, exactly.

And you know, in a democracy, our systems are based on representation. Worldwide, there is a kind of global criticism against this system. There are some countries which think that, to some extent, democracy is not so relevant, and that we should have a more authoritarian approach. So if you want to fight what we call populism, we have to show that all those criticisms are not true, and that representation is really bringing things to our people. We have to prove that our political system is really answering to the aspirations of the people, and I think that these types of reforms to ensure gender equality are in favor of that. I think it makes it possible for every people in society to feel represented in parliament, and that is very important for the future of our democracies. If we don’t do that, I think that at a certain extent, we will have big problems.

 Q. Before this year’s elections, there weren’t as many women in the national assembly, and there are fewer women in the Senate, and this was happening despite the gender parity laws. As you said, parties were putting women in electorates that weren’t really winnable, so do you think that there should be stricter restrictions on parties that don’t value gender equality?

Well, we will see what laws will be passed in the future in order to promote gender equality. All the parties will have to respect the laws. But I think the fact that some parties are doing the job is also an incentive for others to do the same, because if they don’t align, they will lose some voters. So, I think that that is a powerful mean of progress. Using compulsory laws is a possibility. In France we have never been against imposing things, sometimes. But there is also the incentive of what is happening in other parties, which can be quite of a powerful tool as well. Both ways are possible.

I remember two years ago, meeting with a young MP woman. She was a member of parliament elected in 2012, representing French people living abroad and she was in the constituency for the area including the United Kingdom. She was a young woman, less than thirty years old, blonde, and the first time she entered the National Assembly, when the discussions were taking place, she was prevented from entering the main room by the person in charge of controlling the access because he thought that she was an assistant to a member of parliament, not a parliamentarian. So, this means that some people are still completely formatted by the past. I think that things have changed since then and people are getting more used to seeing women as parliamentarians, and that is very good.

This woman became a minister after that. Now, she is not an MP anymore because she lost the election, – that can happen, and you cannot necessarily be elected all the time- but basically, she was a young talented woman and she made her way, and she managed to become a member of parliament.

 Q. What do you think about gender inequality, or the problems faced by women in society in general? What problems do you think still remain?

在日フランス大使館提供/provided by the Embassy of France in Japan

Well, there are a lot of problems for women, I think. Managing work-life and also personal-life, is more difficult for women than men, because people still consider that taking care of children is a matter for women, but that is not the case, it is a matter for both men and women, -there is a father and a mother.

There is also an issue of sexual harassment, which is an issue existing in all countries. What is important in that respect is that, when there is a problem, the woman has the possibility to go to see the police, and tell them what has happened, and have the responsible person prosecuted for what he did, -because usually sexually harassment for women is from men. That is very important. I think that this needs to be accompanied by appropriate laws, which need to be upgraded. I know there was an upgrade of the law in Japan not a long time ago. Basically, the important thing is the possibility of women to say that there is a problem. Because in the past, women never went to the police. They were afraid of being held accountable for what happened, when actually they were the victims, but they were feeling some kind of guilt, and I think that is really unacceptable. So, you should have a legal system, and also appropriate people in police officers that are able to deal with the situations like women in the police that can receive women. All that needs to be organized at the administrative level, at the judicial level, and if you don’t do that, then this is not going forward. This also exists in families, like the sexual harassment of children. It’s a very important problem that should also be addressed.

Basically, there is a whole specter of human activities that should be looked at.

 Q. What do you think about the current situation in Japan, concerning gender equality, in comparison to France? Do you see any major similarities or differences?

Well, I think that the similarity is that there is a discussion about gender equality, and that everybody feels that things need to move from the present situation. This is what we have in common. This is not a surprise because, as I mentioned before, these are global objectives recognized by the whole international community and the United Nations system. Everybody needs to ask themselves what to do to promote gender equality. This is also taking place in Japan. I think it is a priority that your government is aiming at.

On the ways to improve the situation and to promote the system, it is up to the Japanese to decide for themselves. I don’t want to make comparisons. We have different cultures, different histories, so we don’t start from the same points of departure. But the objective is the same, so it is important to share objectives and once again, to exchange best practices when they exist, and if we can have that in our dialogue between France and Japan, I think it is very good. We are very open to discussing that with the Japanese society and authorities. As far as the Embassy is concerned, we have also been promoting discussions about that – what we call “intellectual debate”. We are promoting conferences and seminars between our respective specialists and people coming from universities, civil society, NGOs. So, if we can also have more exchange, I think it will be helpful for both of us to compare… but not to compare it in a top-down approach, but a bottom-up one. That is what we are trying to promote here.

 So, cooperation is essential?

Yes, of course. We have to learn from one another.

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社会 IT

フィルターバブル問題を知る

愛澤 響(18)

 デジタルネイティブ世代”とも呼ばれる1980年以降に生まれた人々にとって、インターネット上で情報をシェアすることは、もはや日常生活の一部である。世界中の人々と繋がり、多様な意見を交わし合い、また“ググり(Googleで検索すること)”さえすればどんな情報も手に入る。そんな感覚を多くの人が日々感じている。しかし、ある問題の実態を知らないと、ネット情報が公平には届いていないことに気が付かない。

ある問題とは“フィルターバブル問題”だ。Googleなどが検索結果のランキングを画面に表示する際に起きている。検索エンジンはアルゴリズムという機能を使い、ユーザーの興味に合う情報を選んで表示する。逆にそのユーザーが興味のなさそうな情報は排除してしまう。その結果、観点が違う情報から隔離され、実質的に自分だけの文化的、思想的なバブルの中に孤立してしまう危険性を秘めている。

 このフィルターバブル問題をもっと詳しく知り、解決策を見つけるために、朝日新聞社IT専門記者で、デジタル分野の動向を追い続ける平 和博氏に話を聞いた。平氏は15年以上この問題に注目してきたという。  

朝日新聞のIT専門記者の平和博氏

平氏によると、Facebookのタイムライン上ではユーザーの好みやシェア数に見合う情報が主に表示され、当人にとって関心がなさそうな約8割の残りの情報は自動的に削除されているという。「その結果、異なる意見を持ったユーザー同士が歩み寄り、社会全般で共通する理解の土台をつくることが難しくなる」と警鐘を鳴らす。「インターネットが民主主義の敵になる、という可能性もはらんでいるのです」と真剣な面持ちだ。

フィルターバブル問題が起きる背景には、広告収入を得るためにユーザーになるべく長い時間SNSを利用してもらおうとするソーシャルメディアの運営会社の姿勢もある。ただ、ユーザーが幅広く公平に情報を得るためには、「SNSのシステムをしっかりと理解することが重要だ」と平氏は述べる。平氏は、その一例としてパソコンを開き、FacebookとTwitterのタイムライン表示設定を切り替えることが可能なことを示してくれた。「ハイライト表示」から「最新情報表示」に切り替えることで、全ての投稿が時系列で流れ始めた。これで自分に興味のない情報、または違う考え方の意見に出会う機会が増える。

だが、問題はさらにある。平氏は「フェイクニュース(偽情報)がフィルターバブルを狙いすまして情報を混乱させている」ことを憂慮している。平氏によれば、その対策として政府、メディア、そしてサービス事業者が様々な取り組みを行なっており、ドイツではFacebookなどがフェイクニュースなどを排除しなかった場合、多額の罰金を科す法律を作った。また、FacebookやGoogleなどのサービス会社側は、フェイクニュースによってホームページへのアクセス数を稼ぎ、広告収入を増やしているサイトに対して、広告を配信しない対応策をとっているようだ。アメリカの既存メディアも情報を確認するノウハウによって事実確認を行い、フェイクニュースの拡散を防ぐ対策をとっているという。

平氏は、「一番重要なのは、ユーザーのリテラシー(判断能力)です」と強調した。従来であれば、新聞やテレビの報道を鵜呑みにせず、批判的に捉えるというメディアリテラシーが必要だった。それに加えて、SNSの普及に応じた新たなメディアリテラシーが必要になったという。平氏が重要視しているのは、情報の発信源や内容を確認し、その情報を検索にかけてみて他のサイトとも比較し、真偽を見極める分析力と、その投稿をシェアするべきなのかどうかをしっかりと考えた上で決めるといった判断力である。

東京で高校生47人にアンケートを行った結果、ネットは使う人によって検索結果が違って出てくることを知っているのは全体の20パーセントに満たなかった。フィルターバブル問題という言葉を知っている人数の割合はさらに少なく、学校ではメディアリテラシー教育が十分になされていないことが分かった。インターネットやSNSの進化が目まぐるしいため、学校が教材を作り、教師が専門知識を学ぼうとしても追いつかない状況だ。平氏への取材と、高校生へのアンケートを通して、自分たちの力でフィルターバブルを乗り越え、できる限り公平な目で情報を見るようにしなければならないことが分かった。そのためには普段使っているSNSのシステムを十分に理解する必要だ。そして情報を発信する立場となれば、読者がどんな情報を欲し、またどのような伝え方をすれば真意が伝わるのかをしっかりと考える必要があるということをもっと多くの人が認識する必要があるだろう。

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社会 IT

インターネットは民主主義の敵か、味方か

須藤亜佑美(17)

 去年のアメリカの大統領選挙では、「どの大統領候補を支持するかによって、Facebookなどで受け取る情報が大きく異なってしまう」という現象が話題になった。また、私たちは普段インターネットを通して数え切れないほどの情報を得て、発信しており、もはや、Google, Facebook, Twitter, LINEなどのサービスは現代人の生活にとって欠かせない存在となった。しかし、そこまで身近となったインターネットサービスを私たちは正しく使えているのだろうか。「フィルターバブル」と称される、インターネットの情報の「タコツボ化」が起きている現状について、朝日新聞のIT専門記者の平和博さんにインタビューをした

朝日新聞のIT専門記者の平和博さん

 「フィルターバブルは情報のパーソナル化によって生じる現象です」と平さんは説明する。FacebookやGoogleの検索エンジンは、ユーザーがどのようなサイトや記事にアクセスしたかというデータを常に集めており、フィルターにかけて、そのユーザー個人の関心に合う情報を中心に表示している。Facebookによると、1日にニュースフィードに届く記事の本数の平均は1500本だが、画面に表示されるのは300本のみ。つまり、8割はFacebookのアルゴリズム(コンピュータが自動的に情報を処理するプログラム)によって、そのユーザーの興味のなさそうな情報は排除されていることになる。結果として、同じサービスを受ける友達がいても、または、同じ言葉を検索エンジンで検索しても、各人によって、表示される情報が変わってくる。こうした仕組みは、インターネットサービスが、収入となるサイト上の広告を見てもらうために、閲覧の滞在時間やアクセス数を増やしたいという意図に基づいている。タダのサービスにはタダである理由があるのだ。

 しかし、そのフィルターバブルの何が悪いのだろうか。私たちにとって関心のある情報だけが流れることは、むしろ効率的で良いことなのではないのか、と思う人も多いかもしれない。そのような疑問に対し、平さんは「隣の人がどんな情報に接しているのかを知らず、自分が見ている情報が世界の全部だと思い込んでしまうと、民主主義が成り立たなくなってしまう危険性があります」と平さんは前かがみになりながら熱弁する。「民主主義とは様々な立場の人が情報を共有し、議論を通じて共通の土台や理解を作ることで初めて成立する。情報の共有ができず、相手が何を考えているのか関心もなく、また分からないとなると会話が成立しない。そうするとお互いを理解し歩み寄る姿勢が見られなくなる。これは非常に怖い状況です」と続ける。インターネットサービスによってピンポイントで提供される、自分の意見に合う情報や関心のある情報のみを受け取ってしまうと、どうしても視野が狭くなってしまう、ということだ。

 まして、フィルターバブルの存在に気づいていないがゆえに、自分の受け取る情報がすべてだと勘違いしてしまうことが問題だと平さんは強調する。実際、東京の学校でアンケートをとり、「人によってインターネットでの検索結果が違うことを知っていますか」と尋ねたところ、35人中28人は「知らない」と答えた。こうした「情報のタコツボ化」という問題が生じていることを知らないと、対策もとりようがない。

 「フィルターバブル」による情報のタコツボ化は、避けることはできるのか。それは、「サービス設定を変えることで、フィルターを外すことも可能」と平さんはいう。「ただ、アルゴリズムを変えるための設定はパソコンの非常にわかりにくいところにあり、ある程度の知識がないと設定を変えることはできない。ただ、自分が利用するサービスがどういう仕組みなのかを理解した上で、自分の好みや考え方と違う情報を意識的に集めるようにすることで、『フィルターバブル』の外側に出ることは可能です」と平さんは真剣な眼差しで訴えた。 「民主主義」は一般人にとって、まして高校生にとっては、掴もうとしても掴みようがない、ふわっとした概念のように感じられる。しかし、根本的には、自分の立場とは違った様々な意見を聞くことから始まるのではないか。意識さえすれば、自分の「フィルターバブル」の外の情報は私たちの手の届く範囲にある。インターネットが民主主義の敵となるか、味方となるか。それはユーザーの肩にのしかかっている。

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社会 IT

変わりゆくパーソナル・コンピューティング

前田 佳菜絵(16)

 「パソコンを使いこなせていない人」と聞くと、多くの人が若いころにパソコンを使っていなかった中高年の人を想像するかもしれない。しかし、最近ではスマートフォンの普及に伴い「パソコンを使いこなせていない若者」が増えているという。NECパーソナルコンピュータ株式会社が2016年12月に大学生に実施したアンケート調査によると、大学生の約7割が自分のパソコンスキルに自信がないという。

NECパーソナルコンピュータ株式会社で鈴木正義広報部長

 NECパーソナルコンピュータ株式会社で鈴木正義広報部長に話を聞いた。パソコンに苦手意識を抱いている若者が増えていることについて「スマートフォンの普及と関係している。今の若者はいわゆる『デジタルネイティブ』でSNSなどは使いこなせているが、新入社員は案外パソコンを使いこなせていない」といい、また採用担当者の6割がそれを感じていると鈴木氏は語った。同社は今年、女子大学生の意見を取り入れた新型ノートパソコンを発売した。商品のセールスポイントについて鈴木氏は「大きさ・バッテリー・重さ」の3つだと説明する。パソコン自体の機能ではなく上記の点を従来のパソコンより改善した理由について、鈴木氏は「パソコンスキルを上げるために一番効果的な方法は、パソコンを使う時間を長く取ることだ。より長い時間パソコンを使ってもらえるように、また大学生などが運びやすいような製品にした」「パソコンの中身を変えてしまったらほかのパソコンを使うときに操作しにくくなってしまうため、あえて中身はほかのモデルと同じにした」と話した。さらに、「パソコンからタブレット端末へと形は変わっても、コンピューターを使うという本質は変わらない」という理由で、タブレット端末の普及はNECにとって脅威では全くないと鈴木氏は言う。しかしその一方で「子どもへのIT教育は今や国策になっているから、そこではパソコンが必要になるだろう。今は10代のパソコン所有率が低いが、これからは1人1台パソコンを持つ時代が来るのではないか」「NECも子ども向けにプログラミング教室を行っている。プログラミングは論理的思考力をはぐくむためにも大切だ」と、パソコンから学べることの大切さについても強調した。最後に鈴木氏は「パソコンそのものの操作形態は変わらないから、どんどんパソコンに触れて慣れていってほしい」と改めて希望を表明した。

マイクロソフトの岡部一志コーポレーションコミュニケーション本部長
マイクロソフトの岡部一志コーポレーションコミュニケーション本部長

 一方、日本マイクロソフト株式会社コーポレートコミュニケーション本部の岡部一志本部長は「個人がコンピューティングする『パーソナルコンピューティング』という本質は変わっていないが、そのデバイスや使っているアプリが変わっている」「今の若者は、例えばキーボードのみならずタッチパネルで指で操作することも標準搭載されている、今までより進化したパソコンを使っている」と話す。そして、若者がパソコンに苦手意識を抱いているのではないかという質問に対して、「学生時代に最新型のパソコンを使っていた人が、就職してから古いタイプのパソコンを使わなければいけなくなった時に戸惑うのではないか」と答えた。また、「メールを送付する際の表現や表計算ソフトから内容を分析すること、プレゼンテーションの仕方などができない若者も多い」とも岡部氏はいう。そして「例えばパソコンとスマートフォンの間で連携させた機能や使い方を増やしていくなどといったことが、これからは必要ではないかと提案した。

 また、ある大手商社人事部に新入社員のパソコン使用状況についてメールで質問してみた。その会社は採用段階でパソコンのスキルは見ず、内定者研修の一環でパソコンスキルについて学ぶ機会があるが基本的には仕事をしながら身に着けていくそうだ。入社後はメールをする機会がどの部署でも多く、その時はタッチパネルとしては使うことができない一般的なノートパソコンを使うという。 今回の取材で、「若者はパソコン操作に慣れるべき」などといった課題が明らかになった。しかし、まずはパソコンとスマートフォンの間の機能の落差を減らす、個人が使用するパソコンと企業がオフィスに設置するパソコンのモデルをそろえる必要がありそうだ。「パーソナルコンピューティング」の形が変化する中でパソコン利用者たちも足並みをそろえてコンピューティングに関わることが望まれる。

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Interviews

Not accepted: LGBT children in Japan’s classrooms

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Ayumi Sudoh (17)

 In the past few years, Japan has taken baby steps toward change, and interest in the LGBT community seems to be growing – in 2015, it hit headlines when the Shibuya and Setagaya wards began issuing Partnership Certificates for homosexual couples. In fact, 7.6% of the Japanese population consider themselves as Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, or asexual (Dentsu Diversity Lab). Yet, despite the fact that this percentage is higher than that of left-handed people, in Japanese society, the only accepted gender or sexuality is the “heterosexual male” and the “heterosexual female”. The reality is that those who fall outside these accepted boxes are left to suffer. A report by the Ministry of Health, Labor and Welfare in 2007 revealed that 2 out of 3 LGBT people have considered committing suicide, and 14% of all gay men have attempted suicide. The risk of suicide for an LGBT person in Japan is 5 times higher than that of a heterosexual person, which raises the fundamental question of why gender minorities are in this situation in the first place. To answer this question, I focused on the Japanese classroom, and the environment that it creates for LGBT children.

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In order to get a general idea of the Japanese education policy surrounding gender, I interviewed Ms. Kanae Doi. As the Japan Director of Human Rights Watch, she has lead lobbying efforts to change the governments’ educational policy on bullying to explicitly state gender minorities as a type of victim, and to provide specific guidelines on how to provide a more accepting environment for LGBT students. In fact, just the day before our interview, the Ministry of Science and Education had approved some of her proposals. When I asked about the situation that LGBT students face, she stated in a matter-of-fact tone: “It is already hard for LGBT students to accept themselves as who they are in the first place, and what the school environment does is exacerbate this.”  In addition, she gave examples of textbooks for health and physical education that are written with heterosexuality as a premise, and the common school uniform system that does ask students not what they want to wear, but their born gender. In a situation where schools do not openly acknowledge the existence of various gender and sexual orientations, many LGBT students need to face an internal struggle of determining and accepting who they are before even considering opening up to other people. As Ms. Doi says, “the lack of recognition forces LGBT children into painful isolation”.

To get a direct account of what it is like to be an LGBT student in Japan, I interviewed Ms. Liina (pseudonym) who is currently a university student in Aichi prefecture. At first glance, she seems to be a typical female Japanese university student– straight long hair with bangs, crème-colored handbag, semi-long skirt and suede pumps. She describes herself as “probably a lesbian female”, before hinting that she does not particularly like the idea of putting labels on one’s gender because “gender and sexuality is not black and white and more of a gradation of various colors”. When I ask her about her experience, retrospectively, she says that she began to realize her affection for girls during primary and middle schools, but because the societal narrative towards homosexuality was overwhelming negative, she “hated herself for being something wrong.” In a rare show of compressed anger, she vividly recalls the time when she saw a TV comedy skit by the famous comedians  Tonneruzu who elicited laughter by depicting gay people as foolish and disgusting. Only when she gathered the courage and went to a community for LGBT people during high school, did she find out that there were actually people who were homosexual, and that it was acceptable to like women instead of men.

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However, Ms. Riina has been, and is still in a situation where she is forced to hide her sexuality. When she was a high school student, students and even teachers made discriminatory comments about gender minorities without second thought, which made the act of going to school itself painful. For her whole three years in senior high school, she was unable to tell anyone but her closest friend that she was a lesbian. Even now, because she has heard her fellow classmates state negative views towards homosexual people, she keeps quiet about her gender orientation. She says emotionally, “It’s painful not to be able to open up”. One of the things that Ms. Riina finds troubling the most is that “Most people don’t understand that you cannot tell by appearance whether someone is an LGBT or not.” For example, when talking about romance, people don’t ask her if she has a romantic partner, but if she has a boyfriend. At the end of the interview, she pleads: “The thing is, there are LGBTs everywhere: in your workplace, your classroom, and in your neighborhood. With that mind, just making sure that you don’t make discriminatory comments is a big step forward for creating an environment where LGBTs can accept themselves.”

To further deepen my understanding of the problems faced by LGBT children, I also interviewed Ms. Aki Aizawa, an early development support counselor who runs a school for children facing learning difficulties. As a councilor, Ms. Aizawa has had a lot of experience helping LGBT children, and through our interview, she shared with me their various struggles. One such example was a gay person who is now 35 years old. He attended a boy’s school during middle and high school, and despite his efforts to hide the fact that he was gay, his classmates considered his behavior as too lady-like, and mocked him for being gay. This escalated to consistent bullying, and continued until he finally gathered enough courage to directly call them out. Yet, his problems did not end there. Now, as an adult, he is still not able to tell his parents about his sexual orientation, because he knows that they will be disappointed, and may go as far as to severe his relations out from their family. The fact that he lives in a tightly knitted community makes the matter worse, because he does not know what they will say about him and his family when they find out. As a result, the amount of stress he must deal with has left him psychologically unstable, and he currently faces a severe eating disorder.

Another example is one of a transgender woman who is currently 20 years old. Although she was born as a boy, she always wanted to wear girl’s clothes, and was the kind of child who screamed and ran away from the ball during football. The boys around her treated her as a freak, constantly bullied her, and even went as far as to sexually abuse her. Traumatized, she became unable to walk or eat, and eventually stopped going to school. Her parents knew that she was facing difficulty at school, but did not want to admit that their child was not “normal”. Even when Ms. Aizawa contacted the school as a councilor to tell them to do more to stop the bullying, the school’s only reply was that they did everything they could, which was far from solving the real problem. The list of the real and severe struggle faced by LGBT children could go on and on, but Ms. Aizawa emphatically remarks: “The commonality between these examples is that because of the school classroom’s emphasis on being ‘normal’ and the rejection of anything other than ‘normal’, children who do not fit into the box of the typical ‘male’ and ‘female’ are left to suffer…often alone”.

So, the final question is: how can we create a better school environment for gender minority students? Based on the premise that bullying is simply unacceptable for any reason, it is important that we simply do not make comments that are discriminatory towards LGBT people. We may not be able to tell just by looking, but the undeniable truth is that many of our friends, our neighbors, and our coworkers, are part of the LGBT community. Let’s start by accepting that fact.

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社会 教育

学校における空虚な調和 ~LGBTの子ども達の抱える差別~

須藤 亜佑美

 ほとんどの人は、同性愛者などのLGBTの存在を知っていても、実際自分の周りにいるとは全く思っていないため、恋愛について話すときは、女性には当然のように「彼氏がいるの?」と聞き、男性には「彼女がいるの?」と聞く。2015年の電通ダイバーシティラボによるアンケート調査によると、LGBTと称する人の割合は7.6パーセントまでにも及んだ。つまり、知り合いが100人いれば7人は自分をLGBTと判断していることになる。しかし、多くの人はLGBTへ配慮のない発言をし、そのような言動によって構成される環境が「異性愛の男性」「異性愛の女性」という枠に入らない人々を苦しめていることを知らない。

 2015年11月5日、東京都渋谷区と世田谷区でパートナーシップ証明書が発行され、戸籍上の家族ではないことを理由に同性カップルを差別することができなくなった。このように、徐々にLGBTの存在と権利が認められてきている一方、日本の同調性を重んじる社会の中で苦しんでいるLGBTが多いのが現実だ。2007年の厚生労働省のエイズ対策研究事業の成果報告によると、LGBTの3人に2人がこれまでに自殺を考えたことがあり、14パーセントは実際に自殺未遂の経験があるとの結果が出た。どうしてLGBTはこれほど生きづらい状況に置かれているのか、身近な学校環境に焦点を当てて実情を探ってみた。

土井代表を取材する須藤記者

 まず、LGBTの子ども達は学校でどのような環境に置かれているのか。人権を守るために活動するNGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の日本代表土井香苗さんに取材をした。LGBTの生徒たちが置かれている状態について、土井さんは「LGBTの生徒は、まず自分自身を受け入れること自体が困難」という。教科書では異性愛が前提となっていたり、LGBTに対する差別発言が気兼ねなく言い交わされていたり、着る制服は生まれつき割り当てられた性によって決められるのが当然と思われる中で、LGBTの生徒は他人に自分の性的指向や性自認について打ち明ける以前に、これを恥とする自分の心と戦わなければいけないのが現状なのだ。

愛澤亜紀さんを取材

 当事者の意見を直接知るために、LGBT当事者という自覚を持ちながら学校生活を送り、現在愛知県の女子大生であるりぃなさん(仮名)に経験を語ってもらった。りぃなさんは、小中学校で徐々に自分の女子に対する恋愛感情に気づくようになり、「多分レズビアン」だそうだ。しかし、同性愛は非常にネガティブなもので日本には存在しないと思い込んでいたため、「悪いことをしてしまう自分が大嫌いだった」と語る。りぃなさんにとって転機となったのは、高校の時に参加したLGBT当事者のサークル活動であった。「異性愛の女性」や「異性愛の男性」という枠に当てはまらない人が意外と多くいることを知り、少しずつ自分をありのままで受け入れられるようになったそうだ。

 しかし、りぃなさんは自分の性的指向について依然としてオープンになることができない状況に置かれている。高校の時は、生徒に加え先生までもがLGBTに対して差別的な発言をし、学校に行くこと自体を苦痛に感じたため、親しい友達以外には自分の性的指向を隠したまま卒業した。現在も、LGBTに対して批判的な意見を述べる人が周りにいるため、自分の性的指向については何も言っていない。自分を隠しながら生きることは、とても苦痛だという。りぃなさんが特に居心地が悪いと感じるのは、ほとんどの人は全員が異性愛者だと思い込んでいることだ。「LGBTかどうかは見た目だけでは分からないんです」とりぃなさんは訴えるように語った。

 LGBTの生徒の抱える問題についてより広い範囲での理解を得るために、発達の凸凹を抱えている子どもたちを支援する学習教室の運営などをしているRaccoonの代表で早期発達支援士の愛澤亜紀さんにもインタビューをした。愛澤さんは今まで多くのLGBTの生徒のカウンセリングを行ってきた経験を持ち、今回は様々な事例について聞くことができた。最初の例は、35歳でゲイのAさんについてだ。Aさんは中学・高校のときは男子校の一貫校に通い自分の性的指向を隠していたが、やがて行動や仕草がおかしいと周りの人に言われ、机に落書きをされるなど悪質ないじめに遭った。高校と大学を卒業し自分の会社を運営している今は、愛するパートナーを見つけることができたものの、未だ家族には自分の性的指向については打ち明けることができていない。自分の気持ちを隠し続けながらいなければいけないことが大きなストレスになっており、精神状態が不安定なため摂食障害を抱えている。

 次に、現在20歳で性同一性障害のBさんは男の子として生まれたものの、幼い頃から女の子の服を着たがり、サッカーをするときもボールが怖くて逃げるような子どもであった。周りは女の子らしいBさんを異質な存在として扱い、性的ないたずらもされたため学校にいけなくなり、食べることや歩くことが困難になってしまった。学校にいじめについて問い合わせても「できる対処はしました」というのみで、根本的な解決には遠かった。それでも、学校には行きたいと願ったBさんは、徐々に親の理解を得ることができ、最終的には高校も卒業することができたそうだ。他にも多くのケースがあるが、「全てに共通するのは学校環境の空虚な『調和』により異性愛の『男性』『女性』という枠に当てはまらない性的マイノリティーが苦しめられているということだ」と愛澤さんは指摘する。

 LGBTにとってより良い学校環境を作り上げるには何が必要なのだろうか。いじめをしてはいけないということは大前提として、LGBTを卑下するようなことを言わないことが大切だ。りぃなさんは「記事を読んでいるあなたと同じ教室にも当事者はきっといるだろうし、近所や職場にもいる。それを念頭に入れて、差別発言をしないことだけでも、LGBTの人にとってより過ごしやすい環境が作られる」と語る。目では見えないかもしれないが、LGBTは確実に周りにいる。LGBTへの差別は他人事ではないことを、より多くの人が認識していくことを期待したい。
*LGBT:L=レズビアン/女性同性愛者、G=ゲイ/男性同性愛者、B=バイセクシュアル/両性愛者、T=トランスジェンダー/生まれた性別と異なる性別で生きる人

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社会

企業が求める人材、英語力?

愛澤 響(17)

 日本企業がグローバル化する中で、英語スキルは企業の求める人材の必須条件になりつつある。「社内公用語」を英語とし、徹底して英語でのコミュニケーションを促進するほか、採用条件や昇格条件としてTOEIC(国際コミュニケーション英語力テスト)のスコアを提示する企業が増えてきている。また、TOEICのスコアが990点満点で900点以上とれれば100万円の報奨金を一律支給する企業まである(日本経済新聞電子版2013年1月11日)。そのような企業の社内実態はどのようなものなのだろうか。また、グローバル時代に生きる若者は、TOEICのスコアが高ければ、企業に優秀な人材だとみなされるのだろうか。いくつかのグローバル企業社員を取材した。

街頭取材の様子

 はじめに、1999年にルノー(仏)との提携が始まった時に社内公用語の英語化を行った日産自動車株式会社に約13年間勤める男性社員に社内の実態を聞いた。男性社員は「会社では採用条件や昇格条件にTOEICのスコアが定められているものの、あくまでも英語は海外との意見交換のツールとしか思っていない。だから英語が目的ではなく、課題を解決するために自分の言いたいこと、やりたい事を持っている事が大切だ」と語った。

 次に、2012年に社内公用語を英語にすることを宣言した楽天株式会社の社員及び元社員を取材した。楽天は、三木谷社長が社内の食堂のメニューまで英語にし、TOEICの社内基準点が取れないと減給またはクビ、というような徹底した経営策を打ち出し、話題になった。

 公用語を英語化した後の社内の雰囲気はどのような変化があったか、と元楽天男性社員(約3年間勤務)に尋ねると「TOEICのスコアがとれず減給にされ、仕事へのモチベーションが下がる人も多かった。『ここは大事だから、日本語で話します』というように、英語を使うことにより起こる誤解やトラブルを避けるような姿勢が多く見られた」とマイナスな面の意見を述べた。また、「TOEICは、何度も受験すれば英語力は身についていないのにスコアはとれてしまう」という。だから本質をしっかりと追求し、あくまでも英語はツールとして考える必要があるという見解だった。

 また、現役の日本人男性社員(約6年間勤務)は、楽天が社員の英語力向上を図るために、家庭教師や会社での授業、またスカイプでの英会話を格安または無料で受講できるなどの、手厚いサポートを行っていることを教えてくれた。社員に一方的に英語力を求めるのではなく、入社後、TOEICである程度のスコアをとった後でも英語を学び続けられる社内環境づくりがなされているそうだ。

 一方で、現役の外国人男性社員(約3年間勤務)はTOEICの点数が低い社員の方が高い社員よりうまく英語で話したり、伝えたり、仕事ができるのを見てきたという。その理由は、TOEICが実社会でのコミュニケーション能力を反映しておらず、むしろ人との接触なしに家で学べる文法中心で暗記した英語を反映しているからだという。

 それぞれの社内の実態がつかめたところで、実際にどのような目標を持った人が英語塾に通っているのか、10月の土曜日の午後に日米会話学院(東京都新宿区)の前で街頭取材を行なった。取材した8人ほぼ全員が社内公用語英語化に対して肯定的な意見を述べた。彼らは会社の命令やTOEICなどの資格のスコアアップのためではなく、自主的に英語を磨くために通っているそうだ。ほとんどの人が、「自分が今、一生懸命勉強している英語が評価されるのであれば社内公用語英語化は逆にありがたいチャンスだ」と答えた。また講師の津島玲子さんに入社時のTOEICのスコアの基準が730点であることの妥当性について尋ねると、「仕事内で英語を使うのであれば730点では到底足りない」と強調した。また、「TOEICのスコアというのは日常生活での様々な場面で使われる英語の理解力を測るが、必要とされる英語力しか測れないため、企業で本当に必要とされている英語のスキルは、自分の言いたいことがしっかりと伝えられ、一対一の交渉ができる力だ」と語った。ここでも、TOEICのスコアが高いことと、会社内で必要とされている英語力は異なることが分かった。

三菱商事株式会社 人事部採用チームリーダーの下村大介氏

 最後にグローバル企業としての歴史も長い、三菱商事株式会社人事部を取材した。採用チームリーダーの下村大介さんは、「三菱商事は簡易的な英語のテストを採用時に受けることを義務付けているものの、英語力はあくまでもいくつもある項目の一つだ」と語り、テスト慣れしてしまえばTOEICは点数がとれてしまうこともあるため、「800点900点のレベルになるとその差はほとんど意味をなさない」と話す。また、「心が通じ、言いたいことが言える英語というのは仕事の現場で培っていけば十分だ」と強調した。英語力は人材のスキルのうち最も重要なものではなく、あくまでもコミュニケーションのツールとして便利だから使っているということを一貫して主張し、日本人同士の会話でも無理やり英語を使わせることには否定的だった。最後に「優秀な人材とは、成長するのびしろがあること、すなわち、相互的な信頼関係を築くことができ、常に頭を働かせ、お互いにwin-winになるような状況を作り出せる人、そして高い目標に向かって持続的に努力する力をもった人だ」と笑顔で語った。

 全ての取材を通して、TOEICのスコアによって、英語でのコミュニケーション能力、ましてやその人が優秀であるかどうかは測れないことが分かった。今後ますますグローバル化が進む社会の一員となる子ども達が、自分自身の未来像を描く上で、企業が求める人材のスキルが数字では表せないものであることを知っておく必要があるだろう。

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社会

社会で必要とされる能力=英語力?

前田 佳菜絵(15)

 楽天、ファーストリテイリング、日産…。これらは全て「社内公用語英語化」を宣言したグローバル企業だ。近年、英語力は就職して社会で生きていくうえで最も重要な能力の一つとして言われるようになっている。しかし実際、英語力は仕事上で他の能力より重要なのか。将来社会に出ていく学生のためにも、これからの企業で必要とされる能力は何なのか。実際に社内公用語英語化に関わっている社会人などに話を聞いた。

 まず、日産自動車株式会社に13年勤務する男性社員に取材した。日産ではルノーとの提携が始まった1999年に「社内公用語は英語」という命令があったそうだ。今年の社員の採用基準はTOEIC(国際コミュニケーション英語力テスト)700点以上で、管理職に就くには730点が必須とのことだ。この男性は「英語は海外との意見交換のためのツールにしか思っていない」と話す。企業にとって必要な人材とは「自分の言いたいこと、やりたいことを持っている人。それを世界中のメンバーに伝える時に英語というツールがあったほうがいい」と語った。

 次に、楽天株式会社の元社員(勤続3年男性)に話を聞いた。楽天では「社内公用語英語化」を目的に2010年から社員への英語教育が始まったが「TOEICで社内基準の800点を取れないと減給されるため、仕事への意欲が下がる人も多い」と語る。全社会議やレポートなどでは必ず英語が使われているため「ビジネス英語に慣れるチャンスではあった」と話したが、TOEICについては「型を覚えて勉強すれば、英語力が身につかずに点数は取れてしまう」と明かし、「社内公用語英語化の本質を追求し、あくまでも英語はツールとして考えなければいけない」「必要な人材は人柄がいい人。スキルより、どれだけ一緒に仕事をしたいかと思えるかが大事」と結論付けた。

 以上を踏まえて、楽天に約3年勤続している外国人の男性社員に話を聞いた。日本人社員については「TOEICの点数が低い社員のほうが高い社員よりうまく英語で仕事ができるのを見ている。これはTOEICが実社会でのコミュニケーション能力を反映しておらず、人との接触なしに学べる文法中心の英語を反映しているからだ」と語った。また、社内公用語英語化の動きについては「日本人社員がTOEICの勉強のために就業時間を費やすことに対して、英語を母国語とする外国人に対して反感があるのでは」と話す。優れた人材とは「日本や国際的な職場環境を理解していて、自分の仕事を通じて国際的な社会に貢献する人」と語った。

 さらに、日米会話学院(東京都新宿区)前で社会人受講生や講師に街頭取材をした。8人に取材したところ、社内公用語英語化について、IT関係企業に30年勤続している男性は「日本人同士なのに何でも英語にするのはおかしいと思う」、また金融関係企業に1年勤続している女性は「自分の英語能力が評価されるから逆に良い」と語るなど、意見が分かれた。同学院のライティングクラス講師の津島玲子氏にTOEICについて意見を求めると、「スコアは、語彙・リーディング・リスニング・文法など、大学在学中にどれだけ勉強したかを証明する意味はある。ただ、日常でのコミュニケーション力を測るTOEICの英語と、会社内で使うビジネス英語は違う。が、そもそも仕事で英語を使うのであれば730点では到底足りない」と熱く話した。

三菱商事株式会社 人事部採用チーム

 最後に、三菱商事株式会社に取材した。人事部採用チームリーダーの下村大介氏によると、「英語はいくつもある基準のうちの1つ」と話す。例えば採用時には、英語の試験を受けることに加えて、面接やその他試験等の評価を総合的に判断していると言う。内定後は入社までの間にTOEICで730点を超えることを目標としているが、「内定する前から730点を超えている学生が多い」と話した。そして、入社後は「英語を使う部署が非常に多いため、その中で目的意識を持った人が英語を勉強した時にぐんと伸びることが多い」と語った。下村氏によれば優れた人材とは「人に信頼され、人を信頼でき、知恵があって、高い目標へ努力するときに持続力がある人」だという。

 今回取材した人たちは全員「英語は仕事をする上でのコミュニケーションツールの一つ」と話した。近年は多くの企業が社内公用語英語化を発表して、英語力の重要さを強調しているが、ただ英語が得意なのではなく、自分自身の能力を英語を使って発揮できる人材が今求められているのではないか。

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教育 スポーツ

部活動をよりよくするために今動き出せ

三好 恵瑠(15)

 部活動は教員の負担が大きすぎるとメディアでも最近とりあげられ、話題になっている。「部活問題対策プロジェクト」というサイトも立ち上がり現職教員達も積極的に意見を公開している。では、部活動を行う生徒は負担を感じていないのだろうか。文部科学省は運動部活動に関して、平成9年に「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」という報告書を出している。その中で一週間の理想的な活動日数や一日の活動時間に関して具体的な数字が参考として出されている。しかし、それは守られていないという。そこで今回は運動部活動の在り方について取材した。

 初めに、ヤフー記事にこの問題を書いた名古屋大学院教育発達科学研究科准教授の内田良先生に取材した。 やりすぎの問題が起こるのは「たくさん練習したら強くなれる」という考え方が根強くあるためだと内田先生は言う。部活動の本来の意義は授業以外のスポーツや芸術活動をする機会を保証するということであり、強くなることが目的ではない。本当に強くなりたいのなら民間のスクールに行くべきだ、というのが内田先生の意見だ。部活動に外部指導者を招いて行うべきか、という問題については条件付きで賛成だという。外部指導者を呼ぶことで教員の負担を軽減することはできるが、専門的指導によって生徒の状況が悪化してしまうかもしれないという問題が出てくるからだ。出場した大会で勝つことはもちろん重要だけれども、あくまでも部活動は「教育の一環」であって,強化選手の育成ではないのだから、楽しむことが大事だということを忘れないでほしいと内田先生は強調した。

横浜市教育委員会

 横浜市教育委員会はどんな見解なのか、横浜市教育委員会事務局指導部指導企画課長の三宅一彦さんに聞いた。横浜市では「横浜の部活動」という指針を独自に出し、その中で目標を立てている。それは「部活動を通じて豊かな人間性とたくましく生き抜く力を育み、調和のとれた学校生活の実現を目指します」というものだ。部活動は国ではっきり決められている訳ではなく各学校ごとに行っている。そこには保護者の理解が不可欠だ。そのため横浜市では保護者に理解や協力を得るためにお願いを出しているという。部活動に外部指導者を呼ぶことについては財政的には厳しいが教員の負担を減らすこともできるため体育協会などと連携して積極的に取り入れているという。

文部科学省

 最後に「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」を発表した文部科学省に取材したスポーツ庁政策課学校体育室運動部活動推進係長の佐藤理史さんは、部活動はあくまで指導要領の範囲外であり、自主的な活動なので強制させることはできない。地域や年齢などによって適切な運動量は変わってくるので一概に決める事は出来ないと話す。外部指導者を部活動に取り入れる事に関しては、技術を教えるのも大切だが、スポーツ医学的なことも考えて指導してほしいと語った。文部科学省では外部指導者を呼ぶにあたって補助金を出している。そのほかにも指導者の資質向上のため、研修も実施しているという。
  現在、文部科学省では教員の負担問題を出発点にして部活動に関する集中審議を行っているという。最初にも書いたが、「部活問題対策プロジェクト」のメンバーなど、大勢の人々が問題の解決に向け動き出している。連日の練習に明け暮れる生徒たちも、部活動の最善の在り方について一度考えてみてはどうだろうか。

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教育 スポーツ

運動部活動の意義から考える『やりすぎ』問題

前田 佳菜絵(15)

今年の1月、Yahoo!JAPANニュースに「『部活週2休』有名無実化 文科省の指針」という記事が掲載された。中学校や高校の運動部が早朝や休日にも活動をすることに疑問を投げかけ、スポーツ障害を予防するためなどに過度な活動を警告するこの記事は、5月31日の時点で5740人のfacebookでシェアされた。大きな話題を呼んでいるこの問題について、文部科学省は「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」という指針を発表しているが、それに法的拘束力は無い。そもそもなぜ「運動部活動のやりすぎ」という問題が起こってしまうのか、そしてそれを指針以外の方法で防ぐことはできないのだろうか。

内田良名古屋大学院准教授

 まず、先述の記事を執筆した、名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授に取材をした。内田氏は、運動部活動のやりすぎが起きてしまう理由について、「たくさん練習すれば強くなれる」という考え方に問題があると指摘する。内田氏は「効率よく練習するという考え方が無いのが問題だ。強くなるために休むことはスポーツ科学界では常識になりつつあるのに」と語る。さらに、「そもそも部活動の意義は、授業以外においてスポーツや芸術活動の機会保証することにあるのだから、最低限の活動ができればよいのであって,過酷な練習を強いるものであってはならない」と熱弁し、運動部活動にありがちな勝利至上主義を改めるよう促した。改善策として内田氏は、休日や早朝からの練習を無くして最大で週3日から4日の活動にすることを提案する。「練習量を減らすことで前向きに部活動に取り組めるようになるはずだ。もしそれ以上の活動がしたいのなら、民間のクラブチームなどに入るべき」と内田氏は話した。

 また、文部科学省が発表した「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」について内田氏は、「そんなところまで国が口出ししていいのかとも思う」と言う。「国は部活動の目安を示すべきだが、部活動とは学校が全く好き勝手にやっていいものだから、その目安を100%守るべきではない。ただ、指針が出された時に学校の現場は改めて活動について考えるべきだ」と悩みながらも語ってくれた。そして文部科学省に対して「指針に拘束力を持たせることができないなら、できるだけ厳しい言葉で活動状況を改めるよう示してほしい」と話した。最後に内田氏は、「声をあげることで一歩一歩、少しずつでも運動部活動の実態は変わっていくはず。自分の考えを他の人にどんどん伝えていけば、意外と早くこの環境が変わるかもしれない」と強い期待感を表明した。

 横浜市教育委員会事務局指導部指導企画課長の三宅一彦氏と、同主任指導主事の根岸淳氏にも取材をした。横浜市教育委員会は昨年、市立小中学校に通う子どもの保護者に、部活動の顧問としての教員の長時間労働解消へ協力を求める文書を出したことで話題になった。なぜ運動部活動のやりすぎが起きてしまうと思うか、と尋ねると「人によって部活動に対する価値観が違う」と話し、部活動の顧問、生徒本人そして保護者間の相互理解が重要だと指摘した。三宅氏は「その相互理解を促すのが教育委員会の仕事だと思う。昨年文書を出した後から、保護者と学校の距離が近くなっていると感じられる。最終的には、生徒たちに『3年間この部活をやってきて良かった』と思ってもらいたい」と笑顔で語った。

横浜市教育委員会が2010年に発表(2015年に改訂)した部活動に関する指針には、「部活動を通じて豊かな人間性とたくましく生き抜く力を育み、調和のとれた学校生活を目指します」と書かれている。他にも、教育効果に繋がる部活動をするようにと明記されている。

 最後に、文部科学省スポーツ庁政策課学校体育室運動部活動推進係長の佐藤理史氏と、同学校体育室指導係(併)保健教育係の係長の原康弘氏に取材した。佐藤氏は、そもそも部活動は教育外のものだから過度な練習を強制してはいけないと話し、「部活動は自主的に活動するもの」と強調した。そして、部活動の日数などを制限していない理由について「例えば中学1年生と高校3年生で同じ日数活動しなければいけないというのもおかしいし、地方によっては日の出の時刻も違うから活動時間帯も変わってくる。全てを一律にする必要は無いと思う」と説明してくれた。また、今年の3月にスポーツ庁が「安全性を確実に確認できないなら運動会での組体操実施を見送るべき」と発表したが禁止はしなかったことについては、原氏が「地域によっては安全対策を講じているから、禁止にはしていない」語り、どちらの問題にも地方の事情などを考えて対応していることを示した。

 運動部活動のやりすぎを防ぐために行っていることについて質問すると佐藤氏は、「大臣政務官の下の『タスクフォース』という集中的に話し合う組織で今現在検討しているところだ。いつ頃問題への対策が決まるか、指針の形で発表するかなどはこれから決めていく」と話した。また「問題解決のために、教育委員会を金銭的に支援している」とも明かした。最後に、「まずは教員の方々に指針の存在を知ってもらうことが第一歩だと思っている」と佐藤氏はまとめた。 これらの取材で三者とも問題視していたのが「部活動は教育の補助的なものなのに、過度な活動が強制されている場合がある」ことだった。部活動が学校生活の大半、と捉えている生徒が多いように感じる今だからこそ、特に運動部活動の顧問や保護者なども含めて部活動の意義を改めて考え直すべきではないか。

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