2013/06/03               前田佳菜絵(12)

UDCK染谷康則氏に取材

 現在、日本は環境問題、高齢化社会問題、経済問題を抱えている。そんな中、日本ではスマートシティという未来のまちづくりの構想が広まりつつある。スマートシティとは、情報通信技術・環境技術などの先端技術を用いて社会インフラを効率化・高度化した都市や地域のことだ。現在、日本のスマートシティではどのような新しいことが進んでいるのだろうか。
実際に政府に環境未来都市に指定された、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」を4月13日に訪問し、後日柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)ディレクターで柏市企画部企画調整課副参事の染谷康則さんと柏市企画部企画調整課統括リーダーの伊藤浩之さんに取材をした。
 柏の葉スマートシティでは、日本の3つの問題の解決モデルとなるように「環境共生都市」「健康長寿都市」「新産業創造都市」をテーマにおいている。環境問題については、エネルギーマネジメントの実施と、災害時に元々太陽光発電などでためておいた電気を公道の向かい側に送ることが出来る電力融通、高齢化社会問題については、市民の健康データのストック、経済問題については、グローバルネットワークでの国際的なビジネスコンテストの開催などを実現しようとしている。
「柏の葉スマートシティが他のスマートシティと大きく異なる点は、まちの人、大学、企業の「公民学」が連携して活動をしていることだ」と染谷さんは話す。UDCKとは、いわゆる「まちづくりセンター」の機能も持ち、「『公民学』のそれぞれの立場に平等、中立的な組織だ」と染谷さんは言う。
 現在柏の葉では、「公民学」が連携して、高齢者などの健康を守るための口腔ケア、利用者の要求に合わせて運行する「オンデマンドバス」などに取組み、成果を得てきたそうだ。若者との連携では、市民、市街の方、行政、関係事業者、学生などが参加する「まちづくりスクール」を実施して、まち作りについて学ぶ機会を設けたり、東京大学柏キャンパスの大学院生が中心の学生サークルが小学生の夏休みの宿題の手伝いをする機会を設けているという。

 柏の葉では、一部の住民は太陽光発電で作られた電気を使っていたり、家にも電気の「見える化(家で消費している電力をタブレット等で見られる仕組み)」を取り入れたりしている。共同の畑で作物を育てる施設もあり、畑を耕している人に話を聞くと、「高齢者や子供も積極的に参加している」ということだ。クラブハウスでは、市民たちで立ち上げた様々なクラブが活動することができる。しかし目標はまだまだ先にあるようだ。市民からは「これからのまち。将来に期待したい」との声があがっている。
しかし、まだ建設中の施設も多く、染谷さんは「完成まで10年かかるが、市は最後までやらなければいけない」と言う。 柏の葉スマートシティには日本の3つの問題(環境、高齢化、経済)に対する政策が見える。しかし、それを実現するためには、染谷さんが言うようにまだ10年はかかるようだ。これから、日本のまちづくりがどのように変わっていくのかが楽しみだ。

By CEJ

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