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社会 教育

学校における空虚な調和 ~LGBTの子ども達の抱える差別~

須藤 亜佑美

 ほとんどの人は、同性愛者などのLGBTの存在を知っていても、実際自分の周りにいるとは全く思っていないため、恋愛について話すときは、女性には当然のように「彼氏がいるの?」と聞き、男性には「彼女がいるの?」と聞く。2015年の電通ダイバーシティラボによるアンケート調査によると、LGBTと称する人の割合は7.6パーセントまでにも及んだ。つまり、知り合いが100人いれば7人は自分をLGBTと判断していることになる。しかし、多くの人はLGBTへ配慮のない発言をし、そのような言動によって構成される環境が「異性愛の男性」「異性愛の女性」という枠に入らない人々を苦しめていることを知らない。

 2015年11月5日、東京都渋谷区と世田谷区でパートナーシップ証明書が発行され、戸籍上の家族ではないことを理由に同性カップルを差別することができなくなった。このように、徐々にLGBTの存在と権利が認められてきている一方、日本の同調性を重んじる社会の中で苦しんでいるLGBTが多いのが現実だ。2007年の厚生労働省のエイズ対策研究事業の成果報告によると、LGBTの3人に2人がこれまでに自殺を考えたことがあり、14パーセントは実際に自殺未遂の経験があるとの結果が出た。どうしてLGBTはこれほど生きづらい状況に置かれているのか、身近な学校環境に焦点を当てて実情を探ってみた。

土井代表を取材する須藤記者

 まず、LGBTの子ども達は学校でどのような環境に置かれているのか。人権を守るために活動するNGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の日本代表土井香苗さんに取材をした。LGBTの生徒たちが置かれている状態について、土井さんは「LGBTの生徒は、まず自分自身を受け入れること自体が困難」という。教科書では異性愛が前提となっていたり、LGBTに対する差別発言が気兼ねなく言い交わされていたり、着る制服は生まれつき割り当てられた性によって決められるのが当然と思われる中で、LGBTの生徒は他人に自分の性的指向や性自認について打ち明ける以前に、これを恥とする自分の心と戦わなければいけないのが現状なのだ。

愛澤亜紀さんを取材

 当事者の意見を直接知るために、LGBT当事者という自覚を持ちながら学校生活を送り、現在愛知県の女子大生であるりぃなさん(仮名)に経験を語ってもらった。りぃなさんは、小中学校で徐々に自分の女子に対する恋愛感情に気づくようになり、「多分レズビアン」だそうだ。しかし、同性愛は非常にネガティブなもので日本には存在しないと思い込んでいたため、「悪いことをしてしまう自分が大嫌いだった」と語る。りぃなさんにとって転機となったのは、高校の時に参加したLGBT当事者のサークル活動であった。「異性愛の女性」や「異性愛の男性」という枠に当てはまらない人が意外と多くいることを知り、少しずつ自分をありのままで受け入れられるようになったそうだ。

 しかし、りぃなさんは自分の性的指向について依然としてオープンになることができない状況に置かれている。高校の時は、生徒に加え先生までもがLGBTに対して差別的な発言をし、学校に行くこと自体を苦痛に感じたため、親しい友達以外には自分の性的指向を隠したまま卒業した。現在も、LGBTに対して批判的な意見を述べる人が周りにいるため、自分の性的指向については何も言っていない。自分を隠しながら生きることは、とても苦痛だという。りぃなさんが特に居心地が悪いと感じるのは、ほとんどの人は全員が異性愛者だと思い込んでいることだ。「LGBTかどうかは見た目だけでは分からないんです」とりぃなさんは訴えるように語った。

 LGBTの生徒の抱える問題についてより広い範囲での理解を得るために、発達の凸凹を抱えている子どもたちを支援する学習教室の運営などをしているRaccoonの代表で早期発達支援士の愛澤亜紀さんにもインタビューをした。愛澤さんは今まで多くのLGBTの生徒のカウンセリングを行ってきた経験を持ち、今回は様々な事例について聞くことができた。最初の例は、35歳でゲイのAさんについてだ。Aさんは中学・高校のときは男子校の一貫校に通い自分の性的指向を隠していたが、やがて行動や仕草がおかしいと周りの人に言われ、机に落書きをされるなど悪質ないじめに遭った。高校と大学を卒業し自分の会社を運営している今は、愛するパートナーを見つけることができたものの、未だ家族には自分の性的指向については打ち明けることができていない。自分の気持ちを隠し続けながらいなければいけないことが大きなストレスになっており、精神状態が不安定なため摂食障害を抱えている。

 次に、現在20歳で性同一性障害のBさんは男の子として生まれたものの、幼い頃から女の子の服を着たがり、サッカーをするときもボールが怖くて逃げるような子どもであった。周りは女の子らしいBさんを異質な存在として扱い、性的ないたずらもされたため学校にいけなくなり、食べることや歩くことが困難になってしまった。学校にいじめについて問い合わせても「できる対処はしました」というのみで、根本的な解決には遠かった。それでも、学校には行きたいと願ったBさんは、徐々に親の理解を得ることができ、最終的には高校も卒業することができたそうだ。他にも多くのケースがあるが、「全てに共通するのは学校環境の空虚な『調和』により異性愛の『男性』『女性』という枠に当てはまらない性的マイノリティーが苦しめられているということだ」と愛澤さんは指摘する。

 LGBTにとってより良い学校環境を作り上げるには何が必要なのだろうか。いじめをしてはいけないということは大前提として、LGBTを卑下するようなことを言わないことが大切だ。りぃなさんは「記事を読んでいるあなたと同じ教室にも当事者はきっといるだろうし、近所や職場にもいる。それを念頭に入れて、差別発言をしないことだけでも、LGBTの人にとってより過ごしやすい環境が作られる」と語る。目では見えないかもしれないが、LGBTは確実に周りにいる。LGBTへの差別は他人事ではないことを、より多くの人が認識していくことを期待したい。
*LGBT:L=レズビアン/女性同性愛者、G=ゲイ/男性同性愛者、B=バイセクシュアル/両性愛者、T=トランスジェンダー/生まれた性別と異なる性別で生きる人

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教育 スポーツ

部活動をよりよくするために今動き出せ

三好 恵瑠(15)

 部活動は教員の負担が大きすぎるとメディアでも最近とりあげられ、話題になっている。「部活問題対策プロジェクト」というサイトも立ち上がり現職教員達も積極的に意見を公開している。では、部活動を行う生徒は負担を感じていないのだろうか。文部科学省は運動部活動に関して、平成9年に「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」という報告書を出している。その中で一週間の理想的な活動日数や一日の活動時間に関して具体的な数字が参考として出されている。しかし、それは守られていないという。そこで今回は運動部活動の在り方について取材した。

 初めに、ヤフー記事にこの問題を書いた名古屋大学院教育発達科学研究科准教授の内田良先生に取材した。 やりすぎの問題が起こるのは「たくさん練習したら強くなれる」という考え方が根強くあるためだと内田先生は言う。部活動の本来の意義は授業以外のスポーツや芸術活動をする機会を保証するということであり、強くなることが目的ではない。本当に強くなりたいのなら民間のスクールに行くべきだ、というのが内田先生の意見だ。部活動に外部指導者を招いて行うべきか、という問題については条件付きで賛成だという。外部指導者を呼ぶことで教員の負担を軽減することはできるが、専門的指導によって生徒の状況が悪化してしまうかもしれないという問題が出てくるからだ。出場した大会で勝つことはもちろん重要だけれども、あくまでも部活動は「教育の一環」であって,強化選手の育成ではないのだから、楽しむことが大事だということを忘れないでほしいと内田先生は強調した。

横浜市教育委員会

 横浜市教育委員会はどんな見解なのか、横浜市教育委員会事務局指導部指導企画課長の三宅一彦さんに聞いた。横浜市では「横浜の部活動」という指針を独自に出し、その中で目標を立てている。それは「部活動を通じて豊かな人間性とたくましく生き抜く力を育み、調和のとれた学校生活の実現を目指します」というものだ。部活動は国ではっきり決められている訳ではなく各学校ごとに行っている。そこには保護者の理解が不可欠だ。そのため横浜市では保護者に理解や協力を得るためにお願いを出しているという。部活動に外部指導者を呼ぶことについては財政的には厳しいが教員の負担を減らすこともできるため体育協会などと連携して積極的に取り入れているという。

文部科学省

 最後に「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」を発表した文部科学省に取材したスポーツ庁政策課学校体育室運動部活動推進係長の佐藤理史さんは、部活動はあくまで指導要領の範囲外であり、自主的な活動なので強制させることはできない。地域や年齢などによって適切な運動量は変わってくるので一概に決める事は出来ないと話す。外部指導者を部活動に取り入れる事に関しては、技術を教えるのも大切だが、スポーツ医学的なことも考えて指導してほしいと語った。文部科学省では外部指導者を呼ぶにあたって補助金を出している。そのほかにも指導者の資質向上のため、研修も実施しているという。
  現在、文部科学省では教員の負担問題を出発点にして部活動に関する集中審議を行っているという。最初にも書いたが、「部活問題対策プロジェクト」のメンバーなど、大勢の人々が問題の解決に向け動き出している。連日の練習に明け暮れる生徒たちも、部活動の最善の在り方について一度考えてみてはどうだろうか。

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教育 スポーツ

運動部活動の意義から考える『やりすぎ』問題

前田 佳菜絵(15)

今年の1月、Yahoo!JAPANニュースに「『部活週2休』有名無実化 文科省の指針」という記事が掲載された。中学校や高校の運動部が早朝や休日にも活動をすることに疑問を投げかけ、スポーツ障害を予防するためなどに過度な活動を警告するこの記事は、5月31日の時点で5740人のfacebookでシェアされた。大きな話題を呼んでいるこの問題について、文部科学省は「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」という指針を発表しているが、それに法的拘束力は無い。そもそもなぜ「運動部活動のやりすぎ」という問題が起こってしまうのか、そしてそれを指針以外の方法で防ぐことはできないのだろうか。

内田良名古屋大学院准教授

 まず、先述の記事を執筆した、名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授に取材をした。内田氏は、運動部活動のやりすぎが起きてしまう理由について、「たくさん練習すれば強くなれる」という考え方に問題があると指摘する。内田氏は「効率よく練習するという考え方が無いのが問題だ。強くなるために休むことはスポーツ科学界では常識になりつつあるのに」と語る。さらに、「そもそも部活動の意義は、授業以外においてスポーツや芸術活動の機会保証することにあるのだから、最低限の活動ができればよいのであって,過酷な練習を強いるものであってはならない」と熱弁し、運動部活動にありがちな勝利至上主義を改めるよう促した。改善策として内田氏は、休日や早朝からの練習を無くして最大で週3日から4日の活動にすることを提案する。「練習量を減らすことで前向きに部活動に取り組めるようになるはずだ。もしそれ以上の活動がしたいのなら、民間のクラブチームなどに入るべき」と内田氏は話した。

 また、文部科学省が発表した「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」について内田氏は、「そんなところまで国が口出ししていいのかとも思う」と言う。「国は部活動の目安を示すべきだが、部活動とは学校が全く好き勝手にやっていいものだから、その目安を100%守るべきではない。ただ、指針が出された時に学校の現場は改めて活動について考えるべきだ」と悩みながらも語ってくれた。そして文部科学省に対して「指針に拘束力を持たせることができないなら、できるだけ厳しい言葉で活動状況を改めるよう示してほしい」と話した。最後に内田氏は、「声をあげることで一歩一歩、少しずつでも運動部活動の実態は変わっていくはず。自分の考えを他の人にどんどん伝えていけば、意外と早くこの環境が変わるかもしれない」と強い期待感を表明した。

 横浜市教育委員会事務局指導部指導企画課長の三宅一彦氏と、同主任指導主事の根岸淳氏にも取材をした。横浜市教育委員会は昨年、市立小中学校に通う子どもの保護者に、部活動の顧問としての教員の長時間労働解消へ協力を求める文書を出したことで話題になった。なぜ運動部活動のやりすぎが起きてしまうと思うか、と尋ねると「人によって部活動に対する価値観が違う」と話し、部活動の顧問、生徒本人そして保護者間の相互理解が重要だと指摘した。三宅氏は「その相互理解を促すのが教育委員会の仕事だと思う。昨年文書を出した後から、保護者と学校の距離が近くなっていると感じられる。最終的には、生徒たちに『3年間この部活をやってきて良かった』と思ってもらいたい」と笑顔で語った。

横浜市教育委員会が2010年に発表(2015年に改訂)した部活動に関する指針には、「部活動を通じて豊かな人間性とたくましく生き抜く力を育み、調和のとれた学校生活を目指します」と書かれている。他にも、教育効果に繋がる部活動をするようにと明記されている。

 最後に、文部科学省スポーツ庁政策課学校体育室運動部活動推進係長の佐藤理史氏と、同学校体育室指導係(併)保健教育係の係長の原康弘氏に取材した。佐藤氏は、そもそも部活動は教育外のものだから過度な練習を強制してはいけないと話し、「部活動は自主的に活動するもの」と強調した。そして、部活動の日数などを制限していない理由について「例えば中学1年生と高校3年生で同じ日数活動しなければいけないというのもおかしいし、地方によっては日の出の時刻も違うから活動時間帯も変わってくる。全てを一律にする必要は無いと思う」と説明してくれた。また、今年の3月にスポーツ庁が「安全性を確実に確認できないなら運動会での組体操実施を見送るべき」と発表したが禁止はしなかったことについては、原氏が「地域によっては安全対策を講じているから、禁止にはしていない」語り、どちらの問題にも地方の事情などを考えて対応していることを示した。

 運動部活動のやりすぎを防ぐために行っていることについて質問すると佐藤氏は、「大臣政務官の下の『タスクフォース』という集中的に話し合う組織で今現在検討しているところだ。いつ頃問題への対策が決まるか、指針の形で発表するかなどはこれから決めていく」と話した。また「問題解決のために、教育委員会を金銭的に支援している」とも明かした。最後に、「まずは教員の方々に指針の存在を知ってもらうことが第一歩だと思っている」と佐藤氏はまとめた。 これらの取材で三者とも問題視していたのが「部活動は教育の補助的なものなのに、過度な活動が強制されている場合がある」ことだった。部活動が学校生活の大半、と捉えている生徒が多いように感じる今だからこそ、特に運動部活動の顧問や保護者なども含めて部活動の意義を改めて考え直すべきではないか。

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教育

「宿題代行サービス」から見る、現代の教育制度の問題点

前田 佳菜絵(14)

 皆さんは「宿題代行サービス」という言葉を聞いたことがあるだろうか。宿題代行サービスとは、その名の通り宿題を代行してくれるサービスのことだ。しかし、一般的に考えて宿題を他の人にしてもらう、ましてやお金を払って業者にやってもらうのは「やってはいけないこと」という認識の人が多いだろう。例えば、Newsweek日本版websiteのコラムニストで在米ジャーナリストの冷泉彰彦氏は、この風潮を、親と子供が業者と共謀して「教師をだます」行為だと問題視している(2015年7月30日同website)。また教育評論家の石川幸夫氏は、教師は代行を見抜けると自信をつけるのではなく、社会環境の変化にあわせた宿題のあり方についても真剣に検討すべき時代になっている(8月22日付産経新聞)と指摘する。

 このようにサービスに否定的な意見が多いことに対して、実際に宿題代行サービスを行っている業者はどのように思っているのだろうか。そもそも、どのような思いで宿題代行サービスを行っているのだろうか。宿題代行屋Q代表の板津知直さん(31)に取材した。

 なぜ宿題代行サービスを始めたのか、と聞くと板津氏は「誰もやっていないことだから。教育に関したビジネスをやろうと思ったが、個人参入は旨味が無いし勝てる自信が無かった。インターネットのサイト売買でこのサイトを購入して、去年の夏から始めた。もともとは『便利屋』のようなものだったが、それを宿題代行だけに特化させた」と語った。夏休みの宿題がある時期が最も依頼者が多いと板津さんは話し、「夏以外は大学生や資格勉強をしている社会人からの依頼が多い。今年の夏は依頼が多過ぎて、半分以下しか受けられなかった。しかし、その分高品質なものは提供している」と語った上で、「『上位の人』は、彼らにとって無駄なことはやらない。だから、そう いう人たちの依頼を受けるためにあえてサービスを高額にしている」と話した。また、苦労する依頼について聞くと「『枠から外れる』もの。読書感想文などは枠が決まっているが、裁縫や絵本作り、作曲などは苦労する」と板津さんはこぼした。

 宿題代行サービスに賛否両論あることについて板津さんは「当然だと思うし、予想通り。常識的に考えたらダメなことだからね。でも、あえて僕は着眼点を変えて、誰もが『いけないこと』と思うこのサービスを始めた」と誇らしげに語った。また、宿題を親などに手伝ってもらうことと宿題代行サービスを利用することの違いは「料金を払うか払わないか以外は無いと思う」と話した。サービスを始めてからの約1年間、学校側に代行を指摘されたなどのトラブルはないという。「学校側は宿題を丸投げしているから、正直意味が無い。実際、先生たちは代行に気づいていると思うけれど、変に指摘もできないのだろう」と板津さんは推測した。

 宿題代行サービスの是非を語る上で、サービス推進派と反対派のどちらもが挙げていたのが「教育のあり方」についての批判だ。今のような教育制度では宿題代行サービスがあっても当然だし、教師側が指摘できないのも納得できること、というのが双方の意見をまとめた結果だ。私たちは、今「宿題代行サービスの是非」を語るより先に「教育制度の是非」についてもう一度考え直すべきなのだろうか。

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教育

宿題代行サービスとは?

村上 類(17)

宿題代行サービスの存在を知っているだろうか。テレビなどのメディアでもたくさん取上げられ、多くの宿題代行業者が現在は存在している。ビジネスとして問題ではないのか等の賛否両論が上がっている。今回はその宿題代行サービスの実態に迫った。

板津知直代表

宿題代行屋Qの板津知直さん(31)は、やっている人が少なく、インターネットを使える仕事である点に目を付けていた。そもそもサイト売買のサイトで売られていた宿題代行を買って、ブログという形式で昨年の夏にスタートしたのは、塾のように市場が出来上がってなかったからだと話す。

基本的には板津さんを含め8人ほどの登録者で宿題代行を行っているが、特に今年の夏は依頼数が300件以上あり一部は断ったそうだ。効率が良い勉強をしたいと思い、なおかつ金銭的にも余裕がある人からのニーズが大きく、それらの人に時間の無駄と考えられている宿題を代行している。

宿題代行屋Qの特徴は高品質、依頼者の勉強に役立つ解説書を作ることだそうだが、一つ一つに時間がかかるため沢山の依頼を引き受けることは出来ない。中でも苦労する依頼は枠から外れている宿題だそうだ。裁縫、本を作る、曲を作る等の宿題は依頼者の年齢に見合ったものを作る必要があるからだろう。しかし今まで一回も宿題代行が学校側にばれてトラブルになったことはないそうだ。

宿題代行業者が宿題を代わりに行うことは子供のために全くならない、子供に宿題をあたかも自分でやったかのように演じさせることはよくないなどの反対の意見を提唱している人もいるが、それらの世の中の目については予想通りで、批判があって当たり前だと板津さんは話す。しかし必要なニーズに答えるには、当たり前だと思っていたことをひっくり返して仕事にすることもあってもいいと言った。

時代の背景を反映したサービスと言えるであろう宿題代行。人によって自分にあった勉強の仕方は違う。宿題代行サービスを使うかはあなた次第だ。

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社会 教育

「SGH」って?~今求められるグローバルリーダー~


2015/08/26                     前田 佳菜絵(14)  

 

2016年のG7伊勢志摩サミット開催、2020年の東京オリンピック開催などが決定されていく一方、まだまだ国際社会で活躍する日本人は少ないとされる。しかし、皆さんはスーパー・グローバル・ハイスクール(以下SGH)という言葉を聞いたことがあるだろうか。SGHとは「グローバルリーダー育成に資する教育を通して、生徒の社会課題に対する感心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素質を身に付け、もって、将来国際的に活躍できるグローバルリーダーの育成を図る」ために文部科学省に指定されて活動している高等学校のことだ。では、ここでのグローバルリーダーとはどのような人材なのか、またSGHの最終的な目標とは何なのだろうか。

文部科学省取材

 まず、SGHを創設した文部科学省初等中等教育局国際課計画指導係に取材を行った。矢田裕美係長によると、SGHを創設したのは「現代社会に対する感心と深い教養に加えてコミュニケーション能力や問題解決能力を身につけた、将来国際的に活躍できるようなグローバル人材を育成する」ためだそうだ。グローバルリーダーとは、と聞くと「私自身も思うところがある。だが、この事業で輩出したいのは、グローバルな社会課題を発見・解決し、様々な国際舞台で活躍できる人材、例えば、グローバル社会に出てイノベーション(改革)を起こしたり、新しいことをやったり、新しい事業を起こしたりして、社会に対してインパクトを与えられる人材も一つの例だ。」と矢田さんは答えた。また、矢田さんは「SGHに指定するずっと前からグローバルリーダーの育成の精神を持ってきた学校はもちろんあった。しかし、SGHに指定することによって、国費を投入して一線を画した特別な取り組みをやってもらう意味がある。大事なのは10年後、そしてその後もグローバルリーダーがちゃんと育成できているか」とも話す。

渋谷教育学園渋谷高等学校 北原隆志先生

 平成26年度は246校、平成27年度は190校の応募の中から両年度とも56校、つまり合計112校が選ばれてSGHに指定され、5年間文部科学省からの予算で活動する。各学校はSGHに指定されたら実施することをまとめた企画書を応募の段階で提出するが、選ばれる基準は「1つではない。学校が考えるグローバルリーダーは学校によって異なる」と矢田さんは説明した。指定されたら「目指すグローバル人材像の設定」「研究開発テーマの設定」「グローバルなビジネス課題、社会課題の研究」「大学との連携」「国際機関、企業等との連携」の活動を行うが、どの学校も目指すグローバル人材像や研究開発テーマは違うそうだ。また、矢田さんは「SGHの目的は英語教育ではなく、世界や地域の課題を世界の人々と一緒に解決できる人材の育成だ。しかし、これら解決するには必然的に英語が必要になってくる」とも話した。

実際に平成26年度からSGHに指定されている東京の渋谷教育学園渋谷高等学校に取材した。渋谷教育学園渋谷高等学校では「探究型学習を、いかにして「行動できるリーダーの育成」につなげるか」という研究開発テーマで活動している。同校SGH委員副委員長担当の北原隆志先生によると、一年生の一学期は「The World in 2050」というテーマで2050年の未来をデザインするプレゼンテーションや英語でのディベートを行い、二学期は「Hiroshima Project」というテーマでヒロシマについて議論などを実施、三学期は「Wars and Conflicts」というテーマで戦争や紛争について英語でのプレゼンテーション及びエッセイライティングを行っている。特に「Hiroshima Project」では米国フロリダにある提携校の世界史の授業用教材を作成し、優秀なチームはその学校で特別講師として授業を行うことができる。また、二年生では「Social Justice(社会正義)」というテーマで子どもの人権や環境課題について考え、発信していく。

 しかし、北原先生は「この学校は『自調自考』『高い倫理観』『国際人」の3つを目標としていて、SGHに指定される前から中学一年生からアクティブラーニングやディベートは行っていた。中学の授業で本格的なプレゼンテーションを行うようになってかれこれ15年になる。」と語った。SGHに選ばれてからについては「東京外国語大学に通う海外の大学院生を学校に呼ぶことと、フロリダへの派遣が文部科学省からの予算で新しくできるようになった。また、教科横断型授業は以前から少しずつ始まっていたが、SGHに指定されて本格的に実施するようになった」と北原先生はいう。例えば「Hiroshima Project」では公民科、情報科、英語科や国語科が連携し、「Wars and Conflicts」では生徒たちは経済、現代社会、歴史、理科数学、文学、芸術、家庭科保健体育の7つの分野に分かれて意見を交わすそうだ。さらに「Social Justice」では、子どもの人権については家庭科と英語科が連携、環境問題については国語科、地歴科、理科、英語科が連携する。

 また、北原先生は「地球社会の問題は、世界中の各分野のエキスパートが力を合わせて初めて解決できる」とも話した。そのため、「SGHに指定されノウハウをオープンすることは私立校としてはマイナス面もある。しかし、自分の学校のことだけを考えていては地球社会の問題を解決することはできないと思う。」と強調する。そしてグローバルリーダーについては「物事を地球規模で考えられる、多数の意見を聞ける、冷静である、自分の意見を作り出せる、それを上手に伝えられるコミュニケーション能力がある人」、行動できるリーダーについては「観察力、想像力、行動力から成る思いやりがある人。理想や問題発見能力 がある人。」と北原先生は語った。

 まだSGHの活動が始まって1年程だが、文部科学省やSGHに指定された学校へのインタビューからはグローバルリーダーの育成への熱意が感じられた。しかし、果たして5年間で成果が出るのかどうかなどの疑問点があるのも事実だ。それらも含め、今、日本の将来が変わってくる重要な局面に私たちは立っているのかもしれない。

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社会 教育

グローバルってなに?~SGHから学んだこと~

グローバルってなに?~SGHから学んだこと~
2015/08/26                   三好 恵瑠(14歳)

 皆さんは「SGH」という言葉を聞いたことはあるだろうか。SGHとはスーパーグローバルハイスクールの略だ。2014年から文部科学省が実施したグローバルリーダー育成事業のことである。この事業は2014年から5年間実施される。今回は最近よく聞く「グローバル」という言葉からSGHを考えてみる。

まず、SGHの理解を深めるため、文部科学省に取材した。質問に答えてくれたのは文部科学省初等中等教育局国際教育課計画指導係長の矢田裕美さんだ。グローバルリーダーの育成方法や質の高い教育課程等の開発・実践については、指定された学校側がスーパーグローバルハイスクール事業の趣旨に沿うように計画を立て実践し、文部科学省側は事業の開発・実践やその体制整備を支援する。学校側は自分たちで5年間の構想を立て、文部科学省へ提出し、それを文部科学省が審査して、スーパーグローバルハイスクールとして指定するという仕組みだ。指定された学校は、毎年度計画書を文部科学省へ提出しているという。

文部科学省初等中等教育局国際教育課計画指導係長の矢田裕美さん

次にSGHの指定校2校に、現場の実情を知るため、東京の渋谷教育学園渋谷中学高等学校(以下渋渋)と青山学院大学付属高等学校(以下青学)へ取材した。渋渋で質問に答えてくれたのは英語科教諭でSGH委員副委員長である北原隆志先生だ。渋渋では学校ごとの目標として「探究型学習を、いかにして行動できるリーダーの育成につなげるか」ということを挙げている。もともと「地球社会で活動できる人材」を育成することを目標としており、SGHに加入する以前からグローバルリーダーを育成する活動は行っていたという。

青山学院取材

渋渋でSGHに加入してから出来たことは、以前から行っていた教科連携が本格的に出来るようになったことと、文部科学省からお金が出るので東京外国語大学に通う海外の大学院生を呼べるようになり、以前からやっていた内容をより充実させることができるようになったことだという。以前より多くの先生が教科連携に前向きな姿勢を示していたため、SGHはとてもよい機会だったそうだ。

渋谷教育学園渋谷校取材
渋谷教育学園渋谷校取材

青学で取材に応じ答えてくれたのは英語科教諭の藤井徹也先生だ。青学では学校ごとの目標として「多様性の受容を基盤としたサーヴァバントマインドを持つグローバルリーダーの育成」ということを挙げている。キリスト教系の学校なのでキリスト教の考えかたが基盤となっており、キリスト教のサーヴァバントリーダーという考え方から出来た目標だという。具体的に言えば、立場の弱い人たちと共にいることで集団の下支えの出来るリーダーのことだ。
青学ではSGH加入後、「ポータル」というシステムを利用し自分がやったことを生徒同士がシェア出来るようにするというプロジェクトを文部科学省に提出しているという。SGHの活動は強制参加ではなく、好きなものに好きな時に参加するという仕組みだという。そこで、一人ひとりが違う活動をする中それをお互いにシェアし色々な経験を学ぶことができるようにするそうだ。

今回の取材で3つのところへ行き、共通していたことが2つある。それは「グローバル人材とグローバルリーダーの違い」ということと、「英語はツールだ」だ。

皆さんは普段「グローバルリーダー」という言葉よりも「グローバル人材」という言葉の方をよく聞くのではないかと思う。そこで、二つの違いとは何なのか取材先それぞれで質問してみた。するとグローバル人材についてはそれぞれ微妙に違う見解があったが、グローバルリーダーについては同じ答えが返ってきた。それは「みんなの意見に耳を傾けたうえで自分の意思を決められる、人を導けるリーダー」というものだ。

そして「グローバル」いう単語を聞いたとき英語をおもいうかべるひとが多いのではないかと思う。しかし、SGHとは前述の通り「様々な国際舞台で人を導けるリーダー」、グローバルリーダーを育成することであり英語教育を充実することではない。でも、世界で人を導くためには「英語はツールとして」必要だという。

今日、グローバル化が進んでいる社会で日本が生き残るためにはそのなかでリーダーとなれる存在になることが必要だ。そのためのSGHはとてもよい活動なのではないかと思う。しかし、この事業は5年で終了してしまう。この後の生徒たちはどうなるのだろうか。もう少し期間を長くすることはできないのだろうか。事業が終わったとしても学校ごとにこのような活動を続けてほしいと思う。

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SGHって何?


2015/08/26                   松本 哉人(16)

 最近、テレビの番組を見ていると、地域に根差した奇抜で画期的な取り組みをする学校がしばしば特集されている。これらは地域の活性化のために児童生徒が一生懸命考えることや、その取り組み、それらのもたらすメリットが評価されているのである。そんな中こうした活動を支援する政府の制度が昨年度から始まった。グローバルリーダーの育成を目的に指定校に国の委託費を出す、スーパーグローバルハイスクール(SGH)制度について、その意義と実態を文部科学省と、渋谷教育学園渋谷中学高等学校(渋渋)、青山学院高等部(青学)の2つの指定校に取材した。

青山学院取材

 そもそもSGHとは何のためにつくられたのか。文部科学省初等中等教育局国際教育課の矢田裕美計画指導係長は、「グローバルな社会課題を発見・解決し、様々な国際舞台で活躍できる人材を輩出すること、例えば、グローバル社会に出て改革を起こし、新しいマーケットを開いたり、社会に対してインパクトを与えられる人材等も輩出することも一つの例だ」と語る。実際には、学校が5年間の構想調書を提出し、文部科学省側による専門家によって審査が行われ、選ばれた学校がスーパーグローバルハイスクールに指定される。そして指定された学校は、毎年度計画書を提出し、その内容に応じた予算が学校に配分され、それをもとに学校は取り組みを進める。取り組みは、毎年度に出す報告書や各学校の示す成果物などを介して把握される。しかし一方で、スーパーグローバルハイスクール事業は、まだ2年目を迎えたばかりであり、取組がよくなるように改善を図って行きたいとも語っていた。

青山学院高等部の藤井徹也国際交流委員

 では、指定された学校ではどのように制度を利用しているのだろうか。今回取材した渋谷教育学園渋谷中学高等学校の北原隆志SGH委員副委員長と、青山学院高等部の藤井徹也国際交流委員はそろって、SGHに指定されたことの効果のひとつは様々なことを始めるきっかけになったことだったという。北原先生は、「何年も前から少しずつ進めていた教科連携(教科間の授業テーマの共有)が学校を挙げて本格的にスタートしたのは、昨年度、SGHに選ばれてからでした」と話す。渋渋は建学の精神の中にグローバルリーダーの育成が挙げられており、元々SGHの目標に近い取り組みをしていた。昨年度からはその取り組みをSGHの補助によってより充実させることができたという。例えば、英語で広島についてのブローシャーを作成し、アメリカの提携高校で世界史の教材として使ってもらう取り組みはもともとあったそうだが、SGHへの参加によって、選ばれた生徒数名が現地に渡航できるようになった。同様に今年度にSGHに指定されたばかりの青学では新しい学内の交流の場を開設しようとしている。インターネットを使用することでSGH指定期間が終わったのちも活用できるシステムにしていく予定だと藤井先生は語った。青学では学外からボランティアなどに携わる人を招いて講演を聞くことで青学のキリスト教精神に繋がる取り組みにしているという。

 それぞれの学校が企画を出すというSGH独特の方法ゆえに、活動の多様さを感じさせられる部分もあった。それは渋渋と青学の間にある校風の違いである。渋渋は、教科連携を実現させ、SGHを完全に授業に取り込んだ。こうしてグローバルリーダーの育成を、授業を通して推進していた。他方、青学においては自由な校風の特徴を生かし、イベントの内容や提案、参加の有無も生徒側が決める想定で組まれていた。そのため、SGHのプロジェクトでは放課後の講演など授業外のイベントが多かった。

 グローバルリーダーを定義するのは難しく、学校によってさまざまなとらえ方があるが、それゆえに地域や校風に合わせた取り組みがそれぞれ行われているのだと思う。生徒としても、単純な勉強以上に自分たちで考えて取り組むことのできるプロジェクトは楽しい上に学習しやすいのではないだろうか。SGHが、より多くの学校がそういった取り組みを始めるきっかけになればいい。

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Interviews 教育

Interview: Ms. Hania Asgari (34) from Iran

photoRui Murakami (15), CE youth reporter, participated in the 9th International Youth Media Summit in Aliso Viejo, southern California, from July 14th through 27th, 2014. She joined one of the seven issue groups, Environment, of which Hania was the advisor. This was Rui’s first time to meet and talk to an Iranian and was eager to have an interview.

Q. What kind of work do you do? 

I am a Children’s Media Professional working as a freelance media researcher & educator. I have also my own center called United Dreams devoted to children’s issues specially children’s media.

Q. Why did you choose that job?

Because I believe media plays a great role in our era as we are living in 21st century.Working in this field, especially with children and young people, it is both vital and interesting. It not only makes you feel fresh and active but also provides a platform to help children in gaining media literacy; as you know nowadays literacy is not limited to the knowledge of reading and writing.

Q.What is your religion?

I am Muslim.

Q.What do you like about Iran?

Iran has a great culture. Our culture goes back to 3,000 before Christ (BC) which makes me feel proud.

Q.What do you think the problems are in Iran ?

We have many problems in Iran but the main one is we are isolated from some parts of the world. We should open our doors to the world and they should open their doors to us.

If each nation wants to live in a peaceful world, we have to respect other nations with their own beliefs. We should distance ourselves from political views. We should open our doors to welcome other beliefs, other ideas, and listen to other comments on how to live peacefully together. We should remove all hostilities.

InterviewQ. What is the impact of social media?

As I mentioned in my presentation, social media is the most important part of our lives. If you look at the people nowadays, they are all involved in social media in their personal lives, workplace and in their leisure time. When social media becomes like oxygen, it has a great impact. We cannot live without it. So we should increase our knowledge on how to use it in a proper way.

Q. Are there any co-education schools in Iran from primary to secondary?

In Kindergarten, we have co-education. In primary and secondary schools, we are separated by gender but study the same curriculum. Primary school starts from age of six and secondary school ends at the age of eighteen. We have colleges and universities that are co-educational.

Q. Did you go to university in Iran?

Yes, I did. I earned my Master’s Degree in Iran.There are some practical and difficult departments that are predominantly pursued by male students such as mining.

Q. What is Master’s degree in?

Communications—Research in Media.

Q. Why did you choose Communications?

I really love it because as I mentioned earlier we are living in the media age and we are involved in it everywhere all the time. We are bombard by media messages and we can also produce media to overcome our challenges. This is very interesting to me. It is a major which is in fact a package of other sciences like psychology, human science, law, politics, international relations.

Q. Are there any women’s university in Iran?

Yes, there is. There is a well-known university with a very good faculty. But I went to a co-educational one.

Q. Are you satisfied with education of Iran?

Honestly not, because it is too strict. We have to study a lot. I don’t believe an education means you just go to school to study. Education means you go to school to have different activities and to learn various skills. You need to have social activities. Iranians are highly educated people but I believe we have to pay attention to other aspects as well.

 Q. Do you think that the government controls social media in Iran?

Yes, they do. We have only state TV and radio, no private stations. There are private newspapers but they are soft-censored. The internet is filtered. Let me talk about the Iranian impression about Japanese people In Iran people respect Japanese people because they work so hard.

After the World War II, Japan was completely destroyed but they kept their unity to rebuild their country. Japanese are very respectful and Iranians admire you.

You should be a model to the world.

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教育

学校授業のSST(ソーシャル スキル トレーニング)

松本 哉人(15)
Youth Express Japanで読む

 「乱暴な性格だ」「引っ込み思案だ」「愛想がない」「自己中心的だ」・・・。
誰もが一度は周りから言われたことがあるであろう。しかし、分かっていてもいきなり翌日から改善できるものではない。だが、そのような人付き合いを苦手とする人々は性格のせいではなく、人間関係が上手な人が自然に駆使しているノウハウを知らないだけなのではないだろうか?

法政大学文学部心理学科・渡辺弥生教授
法政大学文学部心理学科・渡辺弥生教授

SST(ソーシャル スキル トレーニング)というものがある。これは人付き合いの上手い人が駆使するノウハウを「スキル」として整理し、そのスキルを苦手な人に気付かせ、身につけさせようというトレーニング方法である。臨床分野では,カリフォルニア大学ロサンゼルス校の医学部精神科のロバート・リバーマン教授がパイオニアとして知られており、精神疾患患者のために開発されたが、同じ時代に、発達領域で適応できない子ども達や更正施設の少年対象にも用いられたりした。現在は、対人不適応の予防だけではなく、円滑なコミュニケーションの形成を目標にして、一般の人々にも利用されつつある。

今、このSSTを学校教育に応用しようという動きが広がっている。集団、それも学校において使うことについて、どのような効果があるのかについて専門家に話をきいた。

SSTでどのような効果が期待されるのか。法政大学文学部心理学科・渡辺弥生教授は「個人のいいところをどんどん開発することができる。すなわち、性格が悪いから対人関係がうまくいかないと自信をなくしていた人に、練習次第でより良い方向に変われるのだという意欲を与える」と指摘する。また、「いじめや不登校、軽い人間関係の問題を予防でき、起きてしまった問題にも各個人のスキルを見て改善していくように働きかけることによって臨床的にも対処できる」と語る。さらに、その効果は授業の前後に行うアンケートの回答によって比較して確認されており、このトレーニングの効果を明らかにしてきている。

法政大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士後期課程の星雄一郎さん
法政大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士後期課程の星雄一郎さん

SSTの授業では何をするのだろうか。法政大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士後期課程の星雄一郎さんは「SSTの授業は学校によって変わるものの、道徳などの時間の中で年に5~10回ほど行い、毎回の授業で各回に習得してほしいスキルを決める」と話す。
しかし、それぞれの授業の基本構造は同じで、以下の四つの部分でできているという。

  1. インストラクション(教員がそのスキルがなぜ必要なのか、学ぶ意味は何なのか、どういったことを学ぶのかということを言葉で説明する。)
  2. モデリング(教員がそのスキルが使えている場面と使えていない場面がどう違うのか、使えている場面はどのように使えているからいいのか、使えていない場面ではどのように使えていないのかを寸劇などを使って説明する。)
  3. リハーサル(生徒が小さいグループになってスキルの正しい使い方を体験する。)
  4. フィードバック(生徒がお互いに反省点などの意見を出し合って考えを深める。教員がアドバイスする。)

具体的に言えば、
「人の話を聞くときにあいづちを打つ」というスキルを見るならば、「人の話を聞くときにはあいづちを打つといい」というインストラクションと、「人の会話を見ながら、あいづちを打っている人と打ってない人を見比べてどちらがいいか考える」というモデリング、さらに自分が「人と会話しながらあいづちを打ってみる」というリハーサルを行い、最後に自分のあいづちを見ていた人の意見を聞く(フィードバック)ことで「あいづち」という動作を習得するのである。

 喧嘩が少なくなってきたといわれる現代では多くの人がストレスをため込んでいるように感じられる。しかし、お互いに少しずつ、あいづちなどの相手の心の負担を減らす技術を身につけることで日々の暮らしが楽になっていくのではないだろうか。

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教育

Changing university admission system in Japan

Changing university admission system in Japan

by Rui Murakami(14)

   The Japanese government is planning to reform the National Center Test for University Admissions ( “Center Test”) and introduce a new achievement test to assess academic achievement of applicants to universities more accurately.

As one of the high school students affected by the introduction of this new standardized test, I am eager to know when it will start and what it will be like and furthermore, why is the new test system being launched now?

According to the protocol, the Center Test aims to assess test takers’ basic learning and performance in high school to help public and private universities evaluate how well applicants are academically prepared for college. How the test score will be used is up to each university.

One of the major criticisms of the Center Test is that it is only offered once a year. Even if the test takers miss the exam due to illness or any other reason, it can not be rescheduled and they have to wait until the next year. Their efforts over the years are in vain in such cases. The second problem is its multiple choice format. It is often said that you might get a right answer in the Center Test by rolling a pencil as a dice and get a high score by chance.

The new test will use the frameworks of the GCSE level and the GCE-A level in Britain, the SAT in the US and the baccalaureat in France as references. However, every test has pros and cons. Therefore, I interviewed young British journalists of Headliners, Children Express (CE)’s sister organization, who had taken GCSE during my visit to three Headliners offices as part of CE’s summer program in 2013.

131025_test970   One of the major differences from the Japanese Center Test is that the British test is divided into two levels: the GCSE level and the GCE-A level. The first one is designed for ninth grade students in junior high school and the score can be also used to prove qualifications for those who do not continue on to college and seek a job. Some of them may choose vocational schools, but they are not so popular because of the expensive tuition. For young people who start working right after school, the GCSE score is the only certified qualification. Regarding the disadvantage of the system, those who had already taken the test as well as those who are preparing to do so said unanimously, “It is too early to decide your future at that age.”

After taking the GCSE, the next stage is the GCE-A level, a prerequisite for university admission and similar to the Japanese Center Test. Test takers can choose the subjects depending on their chosen college enrollment requirement. On the one hand, it enables them to discover their competencies and inspires their curiosity given a broad range of subject choices; but on the other hand, if they change their mind on what to do in the future after starting preparing for the test, they may also need to change the subjects. Although it is possible to do so, in reality it is difficult to catch up with the studies afterwards.

After interviewing those who had taken the GCSE and the GCE A level, I found that in Britain, high school students have to decide what they want to do in the future early as they have to choose the subjects they will study for the exams. Many of young journalists of Headliners whom I interviewed felt that the Japanese center test is better than the British test system; if you make continuous efforts on study, you will get good scores in Japan and even when you have no idea what the correct answer is, at least you can pick up one answer randomly from multiple choices. However, the majority thought that the British style encourages students to think about their future career early.

I discovered that the British government is planning to reform their test system by implementing “international baccalaureat” for middle school and high school students which can be granted after completing the education program certified by International Baccalaureat Institution. To learn about the reform, I contacted the Ministry of Education.

The main purpose of this reform is to meet the demand from the universities and employers with stricter verification of the precise level of the applicants’ achievements. The historical survey of the British tests shows that applicants’ academic levels have not always matched their selected majors in the universities. The new test will be designed to focus more on the applicants’ intellectual activities than their test skills in order to assess their deep knowledge and intelligence.

While Japan is trying to overhaul the university admission test system, the British test system, one of the model systems for Japan, is also going through transformation. How the Japanese new test is reformed and when such a new test is introduced should be announced well in advance to students, schools and prep schools to reduce their anxiety and unnecessary confusion.

 

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教育

Anyone can be a leader

Anyone can be a leader

Mariko Iinuma (17)

     In Japan, there is a long-held social tradition whereby whoever attracts attention like a nail sticking up will be hammered down, pounded back into conformity. Because of this trend, people tend to avoid taking leadership. In a survey of 33 youths by Children’s Express, there were only a handful who had received leadership education at school or outside of school.  Recently, however, people in Japan are clamoring for leadership.  College admissions tests and employment exams place high priority on leadership skills, and new employees are expected to show initiative. US schools already conduct leadership education, as do schools in the UK. Therefore, I researched and conducted interviews regarding the differences and similarities in leadership education in Japan, the US, and the UK in order to answer the central question: “What is leadership?”

<“Center of the Circle”>

a     Research was conducted at Y-PLAN, an organization that runs a leadership education program at the University of California, Berkeley. I interviewed Deborah McKoy, the director of Center for Cities and Schools, the parent organization of Y-PLAN, and Jessie Stewart (28) the Y-PLAN coordinator. Y-PLAN is a program where youths engage in a real city reform project with authentic clients, and present their ideas to them. With great confidence Ms. Stewart says, “You are given the opportunity to stand up and present your ideas to the panels that have the power to implement those ideas. This gives you more confidence that you can become a leader and make a change to the community.” According to Ms. Stewart, qualities essential for a leader are “compassion and the courage for risk taking. A leader needs to think about the whole group, and not just yourself. Also a leader needs the skill to listen to other conflicting ideas and create a balance because not everyone is going to agree with you.” The reason leadership is considered important in the US is because, “In the US, wealthy people who earned a degree at an institution of higher education became leaders; but as globalization spreads in the common society, whether you are rich or poor, educated or uneducated, anyone needs leadership skills in this era” says Ms. Deborah.

Some Japanese students have participated in Y-PLAN, including one hundred high school students who were victims of the Great East Japan Earthquake of March, 2011. In the group’s 2012 report on their Y-PLAN experience, one participant says, “A leader is not someone who stands on the apex of the triangle, but someone who stands in the center of the circle and organizes everyone’s ideas to make a nice round circle.” There were also many positive thoughts such as “One thing that I changed most is, I am not afraid to speak in front of people, and I am able to express my opinions to others.”

<Effect of Group Projects>

b     Children’s Express visited a leadership organization in London called Changemakers, as well as a branch of “Headliners,” a sister organization of Children’s Express.  Changemakers was established in 1994 by specialists in education and NGO’s, with the purpose of unlocking leadership potential in youth, developing a desire amongst youth to improve their surroundings, and instilling the values young people need to become a leaders. According to Suraj Vadgama (26), one of the coaches at Changemakers, “after youths participate in their program, they gain confidence, communication skills, motivation, and ambition”. When I told them about how people avoid taking leadership in Japan, Suraj commented, “To gain support from others, you have to be accepted by everyone and strongly appeal that you are here as a leader to support everyone.”

At Headliners in London, when I asked about the qualities necessary for a leader, most everyone mentioned confidence, the ability to listen to others, and valuing teamwork. Gabriella (17), one of the reporters at Headliners, has been a leader at a program where youths establish their own business. Through this program, “It was a struggle to gather the diversity of people in one whole group and lead them to the goal. But independence and the sense of responsibility grew in me,” Gabriella recounted. When I told my interviewees that there are not many group projects at school in Japan, and that people are shy to become leaders, the youth reporters at Headliners were surprised. They pointed out that you can learn communication skills through group projects and you can learn how to cooperate with others, so Japan should employ group projects more often. Even without such projects, though, leadership may be developed by embracing a certain worldview.  Naomi (18) from Belfast said, “Leadership can develop even if you don’t participate in leadership programs because you gain leadership when you lead your own life.”  Deanna (18) had a universal perspective, saying that “If the leader is absent, you need another leader from the rest of the members. So everyone needs leadership. Being a leader is not special.”c

The current generation of US and UK youth both agree that a leader is not someone who leads everyone from a position at the head of the group, but someone who is in the center, gathering the team and being accepted by others as he goes around and listens to different opinions. US and UK educational institutions emphasize that leadership roles are open to all members of society and that youth is the best time to practice leading. In this way, young people come to understand that leadership should be a common form of social interaction, not something special. If Japan introduces this educational approach, there will likely be far more world leaders “made in Japan.”

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