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教育

誰もがリーダーになれる

飯沼 茉莉子(16)

  「出る抗は打たれる」という諺が日本には昔からある。そのためかリーダーシップをとることを避ける風潮になってしまっていた。チルドレンズ・エクスプレス(CE)が日本の若者34名にアンケートをとったところ、学校やそれ以外でリーダーシップ教育を受けた学生はわずかだった。しかし、最近の日本では、リーダーシップの重要性が盛んに叫ばれ始めた。大学の推薦入試や就職試験の際にも「リーダーシップ」があるかどうかが重要視されてきている。アメリカでは以前からリーダーシップ教育が行われ、イギリスでも盛んだという。そこで日米英三カ国でのリーダーシップ教育の違いや共通点を調べ、そこから見える「リーダーとは何か」について取材した。

■円の中心にいるリーダー
  カリフォルニア大学バークレー校でY-PLANという教育を行っているCenter for Cities and Schoolsのディレクター. デボラ・マッコイさんと、コーディネーターのジェシー・スチュワートさん(28)にインタビューをした。Y-PLANとは、若者が地域の活性化プロジェクトに参加し、自分たちのアイディアを市長や企業に直接プレゼンテーションをするまでを行うプログラムだ。スチュワートさんは「ここでは、自分の意見やアイディアを表現する場が与えられるため、自分がリーダーとなってこの地域を変えてみようという自信をもつことができるようになる」と自信たっぷりに語った。リーダーになるための要素は「周りへの思いやりとリスクを取る勇気。リーダーは自分のことだけではなくグループ全体のことも考えなければいけないし、反対意見も聞いてグループをバランスよくまとめる能力が必要なの」と指導のコツを教えてくれた。なぜリーダーシップが重要視されているかを尋ねると、「アメリカではこれまで、高等教育を受けた裕福な人たちがリーダーになっていたが、グローバル化した今、金持ちか貧乏か、教育をうけたか受けてないかは関係なく、誰もがリーダーシップスキルを持つ必要がある時代になった」とデボラさんはいう。
このY-PLANを体験した日本人がいる。東北で被災した100人の高校生たちだ。彼らがまとめた昨年の報告書によると、参加者の一人は、「リーダーとは一番偉い人で三角形の頂点に立っている人ではなく、円の中心にいて、みんなの意見を一つにまとめてきれいな円を作りあげる人のことだ」と述べている。さらに「一番変わったことは、人前で話すことが全く怖くなくなり自分の意見を言えるようになった」という前向きな感想が多かった。

■グループプロジェクトの効果
ロンドンにあるリーダーシップ教育の団体Changemakersと、CEの姉妹団体であるHeadlinersの支局を訪ねた。Changemakersは1994年に教育学者やNGOによって設立された団体で、リーダーシップを通じて若者の潜在能力を引出し、周りにもっと強い影響を与えたいという精神と、リーダーに必要な要素を自身で見つけさせることを目指している。Changemakersの指導者の一人であるスラッジさん(26)によると、このプログラムを受けた後の若者は、自信、コミュニケーションスキル、モチベーション、それに大志が身に付くという。「日本では出る杭は打たれる」と話すと、スラッジさんは「リーダーになって支持を得るには、まずはみんなから認められ、みんなをサポートするためにリーダーがいるということを強く伝えなければいけない」と強調した。現在イギリスではこうした教育機関が多くあるため競争が激しいそうだ。イギリスでどのくらいリーダーシップが重要視されているか想像がつく。

Headlinersのロンドン局でリーダーに必要な条件を聞いたところ、どの記者も必ずあげたのが、自信、他人の意見を聞く、チームワークを大切にできるという三つの要素だった。記者の一人ガブリエラさん(17)は、若者でビジネスを立ちあげるというプログラムに参加しリーダーを務めたそうだ。彼女はこのプログラムを通して「十人十色のグループを一つにまとめて、みんなをゴールへ導くことに苦労したがこの経験によって、自立心が芽生え責任感を持つようになった」という。日本ではグループワークが少なくリーダーになることを恥ずかしがると話すと、イギリスの若者は意外な表情を見せた。グループプロジェクトはコミュニケーションスキルが身に付くし、他人から学ぶこともたくさんあるから日本ではもっと頻繁に行うべきだと指摘を受けた。

北アイルランド地方ベルファスト局のナオミさん(18)は「リーダーシップはプログラムを受けなくても育つ。自分の人生を自分で引っ張っている時点でもう身に付いている」と言う。ディアナさん(18)はもっと冷静な見方をした。「もしリーダーが休んだら残りのメンバーの中からまたリーダーシップを取れる人がいるようにするためには、みんなにリーダーシップが必要である。リーダーになることは特別なことではない」と。リーダーとはトップで引っ張っていくという意味ではなく、みんなの中心になって様々な意見を聞きながら周りに認めてもらい、チームをまとめていく役割であると米英の同世代の若者たちが共通して語った。リーダーシップは若いころにリーダーを経験することで誰もが身に着くものなので、アメリカやイギリスではこのような教育団体が多く存在することが分かった。リーダーシップは特別なものではなく身近なものであることを若者が理解することが大事だ。アメリカやイギリスのような教育を取り入れれば日本にもっと多くのリーダーが誕生していくのではないだろうか。

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リーダーシップの可能性を考える

南雲 満友(18)

 リーダーシップって何だろう。 そしてそれを育むリーダーシップ教育とは何だろう。2013年8月1日から8日まで日英記者交流でイギリスを訪問した際に、チルドレンズ・エクスプレスの姉妹団体であるHeadliners(ヘッドライナーズ)の記者とユースワーカーたち14名(ロンドン局7名、ベルファスト局4名、フォイル局3名)、さらに日本の若者34名に取材をした。それを通して見えてきた「リーダーシップ」についてまとめた。

■可能性の引き出し
日本には、「出る杭は打たれる」という諺にもあるように、周りの空気を読むという文化が存在し、「リーダーをやりたい!」と宣言することで周りから浮いているように思われる風潮がある。皆で一緒という意識が強いのだ。そのためか、実際には学校でリーダーシップ教育が行われていないことが多いようだ。日本の若者34人に「リーダーシップ教育を受けたことはあるか」と質問をすると、「ない」という回答が多かった。

これに対し、イギリスではリーダーシップ育成プログラムが盛んで若者たちは自ら進んでリーダーの役割を経験していた。ロンドンデリーにあるフォイル局のキティー(17)は「私はドラマの監督をやった。皆がわかってくれないときに、仲間のやる気を引き出すことが大切だ」と語った。またロンドン局のプレシャス(17)は「バンク・オブ・ユーロのビジネスプログラムでリーダーに選ばれ、公平であることの大変さを学んだ」という。

イギリスで様々なリーダーシップ育成プログラムを実施している団体Changemakersにもロンドンで取材をした。同団体は1994年に教育者らによって設立され、信頼、知識、異端児、愛情、勇気という“5つの価値”をベースとしてリーダーを育成するプログラムを行っている。2泊3日のキャンプやプロジェクト、121のコーチングセッション、スキル育成期間を含む3ヶ月のリーダーシッププログラムがあり、対象年齢は16歳から25歳に絞っているという。スタッフのスラッジ氏は「16歳は個性が発達する時。自分についてわかり始める。だから16歳からを対象にしている」と説明する。また、「リーダーシップは元来自分の中から始まる。潜在能力を引き出し、自分を信じることで発揮できる」と語った。16歳で個性が芽生え、その時期にリーダーシッププログラムを経験することで、リーダーシップについて自分なりの定義を行い、自覚することにつながるのだ。参加した若者には、これらのプログラムを通して、自信、コミュニケーションスキル、影響力、自己動機付け、認識などを学んでほしいという。そして、「リーダーシップスキルは短期間で身に付くが、それをどんな状況でも発揮できるように育むことが大切だ」と話す。リーダーシップを育成する過程では、可能性を気づかせて引き出し、それを維持していくことが大切なのかもしれない。

■グループ学習
 日本との比較でスラッジ氏は授業のやり方の違いをあげた。イギリスやアメリカの学校授業ではグループ学習が多くとられている。それに対し日本は個人学習がほとんどである。フォイル局のグレイス(18)は「グループ学習はやりがいがあるし、自信とリーダーシップを身につけることができる」と話した。

■リーダーはサポーター
 リーダーに必要なスキルについてイギリスと日本の若者たちに聞いたところ、コミュニケーション能力、動機付け、誠実さ、グループを良い方向に導くこと、妥協、統率力という意見が共通して多かった。そしてリーダーときいて想い浮かべる人は女王、首相、生徒会長などがあがった。

そのなかで新たなリーダー像も見えてきた。ベルファスト局のナオミ(18)は「リーダーは皆をサポートする役割がある」と従来のリーダー像である皆を引っ張る人ではなく、支援するというポイントをあげた。Changemakersのスラッジ氏も「リーダーはまず仲間をサポートし、助言を与え、合意を形成していくことが必要だ」と語っている。力で上から指示するようなリーダーではなく、相手の立場にたって考え、コミュニケーションを通して、仲間をやる気にさせる。そして皆をサポートしながら、的確な方向に導いていくリーダーである。

そもそもリーダーシップとはリーダーだけに必要なことなのであろうか。ロンドン局のイスメール(21)は「将来、自分の子どもに何かを教え、育てていくにはリーダーシップが必要なのではないか」と身近なことにリーダーシップの必要性をあげた。またフォイル局のキティー(17)は「グループの中で誰もが色々な方法でリーダーになれる」と話す。これらは「リーダーシップは身近なことから始まる」というChangemakersのスラッジ氏とも重なる。

■リーダーシップの可能性
「リーダーシップはリーダーシップ教育がなくても育つ」とナオミ(18)は語る。学校でのグループ学習やディスカッション、そして友達関係などでもリーダーシップを身につけることができるという。つまりリーダーシップとは日常生活で行っていることに直結しているのだ。スラッジ氏はリーダーシップについて「一生の旅」と笑顔で締めくくった。私たち若者にとって本当に大切なことは、毎日の生活を自分でリーダーシップを育む機会にしていくことではないだろうか。そして「リーダーシップって何だろう」と考えていくことが、真のリーダーシップ教育なのかもしれない。

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教育

将来の職業につながる教育

瀧澤 真結(15)

 文部科学省がセンター試験を5年以内に廃止し、新たに複数回受験できる到達度テストを導入する方針であるとの新聞報道があった。それによれば文科省はイギリスのGCE‐Aレベル、アメリカのSAT、フランスの国際バカロレアなどの統一試験を参考にするという。では、欧米の試験がどのようなものなのか、現在のセンター試験との相違点はあるのかを調べるため8月上旬にCEの姉妹団体であるHeadlinersのロンドン局、ベルファスト局、フォイル局を訪ねて、実際にGCEやGCSEを受けている学生たちに取材をした。

 イギリスの学生たちにはまず日本のセンター試験は一回で結果が決まってしまうが、複数回受験し、一番良い結果を選択することができるイギリスのGCSEやGCEとどちらが良いかと聞いた。結果は、どの局でも学生たちの意見が分かれた。イギリスのシステムの方が良いと言った人は、「一回ではプレッシャーが大きすぎる」、「どんどん点数を良くしようと頑張るから継続的に成績があがる」、「何度もチャンスが欲しい」という意見だった。それに対して、ロンドン局のプレシャスさん(18)は「複数回受けられると最初に頑張った人と後から頑張った人の評価は同じものになってしまって、最初から頑張っていた人が報われない」と語った。一度だけのチャンスに向けて勉強をする方が、全員平等の結果が出るため、日々勉強している人にとっては一度の勝負が公平だという。

 驚いたのは日本のセンター試験に比べ、GCEやGCSEでは100科目という幅広い科目数から受験科目を選択することだ。そこで、このメリット、デメリットについて聞いた。メリットは、「自分の将来を真剣に考えられるようになる」、「得意な科目、興味のあることを選択することができる」などが挙がった。フォイル局のマイケル君(20)は、「自分のことは自分が一番良くわかっているから、自分にとって良い選択ができる一方で、自分で自分の可能性を閉じてしまうことになるかもしれない」と不安も語った。他のデメリットとしては、「14歳で自分の生涯に関わる科目を選択しなければいけないので、若すぎるのではないか」という意見が多くあった。また、イギリスでは選択した科目を途中で変更する場合は早い段階で決めなければいけないため、他の授業とかぶっていないか、受験枠の人数に空きがあるかなどの条件を満たさなければいけないそうだ。そのため、選択する前に考えることが大事なのだと数人が述べていた。

 最後に将来自分のやりたい職業に就くために大学は必要かと尋ねると、ほぼ全員が「必ずとは言えない」と答えた。理由は、企業はどのような学科や大学を卒業しているかよりも、経験を重視するからだという。ロンドン局のガブリエル君(17)は、記者になりたいと思って、文系の学科などに入って勉強をしても、HeadlinersやChildren Expressなどの子ども記者団体に入って実際に記事を書いたほうが良い記者になれると語った。ただし、医者や先生などの特定の職業に関しては大学は必要だと答えていた。

 各局への取材を終えて、イギリスの制度にも日本の制度と同じようにメリットとデメリットが存在することが分かった。また、日本がマークシート式なのに対して、イギリスでは記述式を重視した試験にしているという違いも知った。イギリスで取材した際、多くの学生がマークシート式の方が当たる確率が高いから受けやすいと答えていた。それに対してフォイル局のケイティーさん(17)は、マークシート式は答えの選択肢が似たりよったりしているので、正確に答えを知らなければいけないから難しいと語った。取材の最後にイギリスの制度と日本の制度のどちらが良いか、最初に聞いたが意見が変わったかと聞いた。結果は完全に変わったという人は少なかったが、どちらの制度にもメリットとデメリットがあり、学生たちのことをよく考えて作られてあると語っていた。 日本の教育制度がこれから変わろうとしているが、どの制度にもメリット・デメリットは存在する。それよりも、私たちの学生にとっては、将来の職業や専門につながる勉強や経験を重視した教育をすることが大事なのではないだろうか。少なくともイギリスはそういう方向であることが感じられた。日本の文科省の判断を待ちたい。

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若者の大学受験のゆくえ

村上 類(14)

 日本の政府は大学受験生の学力をより正確にみるため、センター試験を見直して新しい到達度テストを導入する検討に入っている。若者としては新しい統一テストがいつ始まり、どのようなものになるのかすぐ知りたいところだが、なぜ今新しいテストが導入されようとしているのだろうか。

 そもそもセンター試験とは、「受験生が高校で勉強した基礎的な学習の達成の程度を判定することを目的としていて、国公私立の大学がそれぞれの判断と工夫に基づいて適切に利用することにより、大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等をさまざまな面から判定するために実施するもの」と大学入試センターの概要に記してある。

 この概要をベースにして今指摘されている改革理由の第一は、受験の機会が一年に一回しかないことだ。これだと体調をたまたまテストの日に崩しただけで何年もの苦労が水の泡になってしまう。二つ目は回答形式がマークシート式であることだ。「困ったら鉛筆を転がして解答できる」ことで有名なこの方式は、たまたま高得点を取ることができて大学に入学できる可能性もある。

 新しいテスト方式はイギリスのGCSE・GCE-Aレベル、アメリカのSATそしてフランスのバカロレアを参考にするようだが、どのようなテストにもメリットとデメリットは存在する。私たちはこの夏に参加した訪英プログラムの際にイギリス各地にあるCEの3姉妹局を訪ね、GCSEを実際に受験した若い記者たちにインタビューした。

 まず日本のセンター試験と大きく異なる部分は、テストがGCSEとGCE-Aレベルの二段階あることだ。GCSEは日本でいう中学3年生が対象で、このテスト結果は大学に行かない人もその後の就職活動に使われる。大学へ行かない人は職業訓練学校に行く道があるものの、学費が高いなどの理由からなかなか行く人は少ないと彼らは言う。つまりすぐ就職する人にとってはGCSEが唯一の“認定資格”になるのだ。このシステムについて、すでにテストを受けた人もこれから受ける人も「将来についてこの年齢で決断するのは早すぎる」と口をそろえて答えた。

 そしてGCSEを受けた後に待っているのがGCE-Aレベルのテストだ。これは大学へ行くためのテストで、日本のセンター試験に近い。大学入学に向けてということでテストの科目選択をするシステムになっている。このシステムは自分のやりたいことが見つかるし、科目選択の幅が広いので興味が探れるからいいと答える人がいる反面、将来やりたいことが途中で変わった場合、クラス変更は可能だが簡単にはできないし、その後勉強に追いつくのは大変という意見があった。

 GCSEとGCE-Aレベルの二つのテスト受験者の声を聞くと、イギリスではもう高校生の時点で自分の将来については自己責任となっていることがわかる。しかしCEの姉妹団体Headlinersの記者たちのほとんどはイギリスのテストが日本のテストよりもいいと話す。日本のテストは勉強をコツコツとする人にとってはいいし、答えが分からなくても適当に答えられるからいいという意見もあったが、イギリス方式のほうが将来についてより考える機会になると考えている記者がとても多かった。
 
 取材の結果、実はイギリスでも統一テストを改革する動きがあることがわかった。これは国際バカロレア機構が定める教育課程を修了すると得られる資格「国際バカロレア」を中高生に向けて新しく作るというのだ。では、なぜ今改革をするのか。イギリスの文部省に取材した。
  
 GCEのレベルの改革の主な理由は、レベルが的確にできていて且つ厳格であることを確認し、大学’や雇用者の要求に歩調を合わせることと、大学の学者が過去の結果を分析した結果、受験者の水準が常に適切に学部コースに適していないことが要因だと担当者は語った。今後は熟達した準備の熟達度や、それぞれの科目の深い知識と知的能力を図るためにテスト用の学習よりも、学習そのものに焦点を当てたテストにしていくそうだ。
  

 日本で新しいテスト方式を作ろうとしているなか、参考モデルの英国のテストの一つが変わろうとしている。これから受験を控える若者、学校、学習塾などが無用な混乱に直面しないように日本の大学受験改革については実施開始時期を含め、早く決めて知らせてほしいものだ。

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教育

大学入試改革のメリット・デメリット

毛利 真由(16)

 2013年日本政府は大学入試のセンター試験を廃止して新たな試験を実施する検討に入っている。次に用いられる統一試験方法はフランスのバカロレアやイギリスのGCSEを参考にするともいわれる。日本では、なぜ長年続けたセンター試験を見直すのか、そのメリット・デメリットは何なのか。GCSEやA―LEVEL を受験しているイギリスの学生を現地で取材した。

 日本での一番の改革理由は、大学教育で必要な能力があるかどうかを高校の間で身につけた学力で丁寧に測る仕組みが必要であるからと言われている。また、いまのような“一発勝負”ではなくその前段階の学校における評価や達成度を反映することが重要視され始めたこともあるようだ。

 GCSEはイギリスで公認されている統一試験のことだ。これは高校生が受けるもので、一年の間に何度も受験することができる。その評価は大学進学だけでなく就職の際にも必要な資格とされている。複数の科目から自分の将来に役立つ科目を選択することができる。

 これらを14歳で科目選択をするため、幼い時から自分の将来について真剣に考えることになる。取材したCEの姉妹団体のロンドン、ベルファスト、フオイルの3支局で若者の話を聞いた。「自分のことは自分が一番に知っているから自分で選べるのがいい」と17歳の少女は語る。「ある程度将来の方向性を定められるのがいい」「たくさんの選択科目から定められるのがいい」などという意見があった。GSCEのメリットは、自分が得意なものを率先して学ぶことができ、就職のときにもそれが生かされることのようだ。

 だが14歳で必修科目を選ばなくていけない厳しさもある。自分の人生の方向性を決めるのは早すぎる年齢だ。「選ばなかったのも自分の責任なので、自分の可能性を自分で閉じてしまうかもしれない」と20歳のマイケルは語る。将来の夢や職業のことを考えたとき科目を変更したいと思ってももう追いつけないほど授業が進んでいることや、その授業のクラスに空きがない場合も少なくないという。

 自分の意思で科目を選択する人も多くいるが、逆に何をとっていいかわからない生徒や将来やりたいことがまだ決まらない場合は友達と同じ科目をとったり、親の方針の影響を受ける人もいる。

 一方、日本で行われているセンター試験は一度しか実施されないため、直前で何等かの理由で受験できなくなった場合に今までの努力と時間が無駄になってしまう。AO入試では早期合格者の学習意欲の減退が他の生徒に悪影響を与えることや、大学に入った時の一般入試者との実力の差が生じることが指摘されている。自分の可能性を広げ、より多くの可能性を時間をかけて見つめ、学ぶためにはセンター試験のほうが効果的に見える。しかし、イギリスと比べてみると受験機会が一度だけであることや、マークシート式なため文章を“書く”こということを試すことができないなどの問題を抱えた日本の大学入試は改善の余地があるし、新しい試験方法を模索しながら変えていかなくてはいけない段階にきているのだろう。

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Interviews 教育

Autumn Enrollment to be Global

December 16, 2012                                            By Mayu Takizawa (14)

A news article about the University of Tokyo planning to change its enrollment of undergraduate students from spring to autumn caught my eye. Then many questions emerged: What exactly does autumn enrollment mean? Will it have a positive impact on junior and senior high school students? What kind of problems are anticipated?

I had interviews with the University of Tokyo, business people, the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology, and the Tokushima University to study this issue.

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Ms. Taeko Onodera, Manager for Long-term planning, General Affairs and Planning Department, University of Tokyo

Ms. Taeko Onodera, Manager for Long-term planning, General Affairs and Planning Department, University of Tokyo stated “we have not yet officially decided to change to autumn enrollment, but we are considering this system quite seriously. Mr. Junichi Hamada, the President of our university is eager to support students to be more global minded, having the intelligence and social skills necessary to challenge world taking risks. He believes that autumn enrollment is instrumental towards this goal.”

There are some issues to be resolved in regard to this change including a so-called “gap term” and conflict with the current employment process. Gap term is a new phrase coined by the University of Tokyo meaning the period between April to September when students graduating high school do not have classes to attend. Students are encouraged to participate in volunteer activities during this term.  Ms. Onodera explained the university’s strong commitment saying “We would like to offer students volunteer activity programs and study programs including activities in foreign countries with financial support. Then students can make valuable use of this time. As to employment, companies’ policies are becoming more flexible to hire graduates throughout the year. It is necessary to change our current education system otherwise Japan will lose global competition.  The University of Tokyo is expected to take leadership in globalizing our academic system and driving Japan to reform itself entirely.”

Ms. Tomoko Hasegawa, Deputy Director, Public Relations Bureau, Keidanren (Japan Federation of Economic Organizations), said Keidanren is also aiming to support the cultivation of globally-minded people and welcomes the autumn enrollment as a measure for internationalizing Japanese. However, she does not agree with all Japanese universities’ changing to fall enrollment. Keidanren is ready to support those colleges which are heading for internationalization.

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Mr. Shun Shirai, Deputy Director, University Promotion Division, Ministry of Education

According to Mr. Shun Shirai, Deputy Director, University Promotion Division, Ministry of Education, the Ministry is going to endorse the introduction of autumn enrollment. However, they need to work with the business community and other relevant ministries to solve the conflict with current recruitment procedures and the national examination calendars. In addition, it is not easy to provide a subsidy for the operational cost of such introduction because such subsidies come from taxpayers. That said, making Japan adopt a global standard is significant and the Ministry is going to cooperate with universities as much as possible.

Mr. Yoshihisa Takaishi, Vice President, Executive Director for Education and Students Affairs, the Tokushima University said “Today the issue of globalization is a common topic throughout Japan. As a whole, the country must move forward to become global. Our graduate program has already started to adopt the autumn term enrollment as a measure of globalization.”  The Tokushima University is ready to introduce the autumn enrollment system for undergraduates, too if there is public support to cover transitional costs and solve the national examination scheduling problem, the Tokushima University is a regional public university which has many science courses including medicine, dentistry, pharmacology, and engineering.

What obstacles are expected from the introduction of the autumn enrollment? One is the corporate recruitment procedure. The University of Tokyo and Keidanren realize that many corporations are hiring new graduates throughout the year, but the Ministry of Education said that most newly hired employees start working from spring and recruitment throughout the year is exceptional. As to the national examinations held only once a year, graduates in the autumn enrollment system would have to wait for the next year’s examination. Students who finish high school in spring will not have a stable position nor identity until autumn and this point must be clarified. If they find temporary jobs and gain some income during the gap term, they would surely have to pay social security tax. Can we solve all these issues?

Throughout these interviews, the recognition of the autumn enrollment system was the same; it is a measure to globalize Japan. Japan is aiming to be more global to beat competition with foreign countries.  Some universities are for the autumn enrollment and others seek alternative measures to be global.  We should keep tabs on their various approaches.

 

 

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教育 座談会

教育と暴力 2013


参加記者:米山菜子(16)、富沢咲天(17)、小川真央(18)
修了生:榊文美(25)、三崎令日奈(26)
2013/3/10

2012年12月、大阪市立桜宮高等学校で、部活動の顧問教諭から体罰を受け、生徒が自殺する事件が起こった。その後も全国で体罰の問題が明るみにでている。
チルドレンズ・エクスプレスでは、駒大苫小牧高校野球部での体罰問題が報じられた2005年にも「教育と暴力」について座談会をした。今回は、当時の記者と、現在高校生である記者とで、運動部での指導について話し合った。今、高校生記者たちは、教育の場での暴力についてどのように考え、どのような指導を求めているのか。

■体罰問題、身近にはない
真央:まず初めに皆さんに意見をお聞きしたいのですが、大阪の桜宮高校の体罰問題のニュースを聞いてどう感じましたか?

菜子:私は小学校低学年の頃から、新体操や水泳とかロックソーランなど様々なスポーツをやっていて、今はバスケット部に所属しています。しかし、私の周りでは体罰を受けている人、している人をまったく見たことがないので驚きました。

咲天:私も今まで体罰というものを受けたことがないので、びっくりしました。私の学校で厳しいとされているバスケ部でも体罰は無いので、そのニュースを見て、こんなに手をあげる先生がいるんだなと。特に、小学校の頃に住んでいてた、アメリカでは暴力に対してとても厳しいので、こういうニュースもあまりなかったので驚きました。

真央:私は中学時代テニス部に入っていたのですが、顧問の先生から暴力を受けるといったことは一切無かったので、このニュースを聞いた時非常に驚きました。体罰は目にしたことがなかったので、このニュースを聞いてどこまでが体罰なのかということを疑問に思いました。

菜子:私の顧問の先生はかなり厳しい先生ですが、暴言を吐くことも暴力を振るうこともありません。しかし私の友だちの学校では、一人体育科の先生が普通に暴力を振るっていて、学校側はそれも知っているし、生徒もその先生は暴力を振るう先生だっていうことを知っていて接しているそうです。なので、意外と身近に体罰はあるのかなと思いました。

咲天:これは学校の話じゃないのですが、先日、私の友だちが、確か空手などのスポーツクラブに入りたいと電話で問い合わせたところ、「うちではよっぽどのことがない限り暴力はないけれど、ごくたまに手をあげることがあります。そういうことがあることを了承してください」と入る前に言われたことがあって、大阪での体罰問題があった後にも、まだこういうことがあるんだと驚きました。

■学校の変化
菜子:、体罰は無いと言ってましたが、それでも大阪の事件があってから、学校側で体罰に対しての対応に変化はありましたか?

真央:ずいぶん前からこういった問題がメディアで取り上げられてきたと思うのですが、それを聞いて教師側も敏感になっていて、今は教師より生徒の方が立場が強いんじゃないかな、と私は感じました。例えば先生が「やる気がないなら帰れ」と言ったら、今の子どもたちは、本当にそれで帰ります。

文美:先生に帰れって言われたら本当に帰ってしまう人が多いなんて、びっくりしました。それで帰ったら練習時間が減るから、強くなれないと思いますが、どうなんでしょう。

真央:全員が帰れって言われて帰ってるわけではないです。私はテニス部だったのですが、帰れって言われて帰る子たちはテニススクールで個人的に練習していて、別に部活でテニスを練習する必要性もないので、帰っても問題がなかったんだと思います。

菜子:今は生徒の方が強いというよりも、生徒の保護者の方が強いのかなと思います。私の学校に限らないと思うのですが、親が子どもを保護しすぎる面があると思います。ちょっと暴力を振るわれて、子どもは親に先生を責めてほしくて言っているのではなく、「こういうことがあったんだよ」というのをさりげなく話した場合でも、保護者が怒って学校に抗議という話も聞きます。やっぱり親が保護しすぎて過保護になっているのかなと思います。

咲天:体罰問題において、昔はこういう体罰っていうのは常態化していて、できなかったら先生にぶたれるというのが当たり前だと思っていた。けれど、今は嫌なことだったら嫌って言えるし、自分の身を守ることができるんだという認識があるから、変わってきたんだと思います。

菜子:昔は先生の立場が偉大すぎて、あまりものを言えない師弟関係があったと思います。しかし今は、先生との関係がかなりフランクになっているので、嫌なことは嫌と言えるような先生と生徒の関係を築ければ、体罰はなくなると思います。

■部活動での教師と生徒の関係
令日奈:先生と生徒たちの立場がくっついてきて、結果的に良かったと思いますか?「帰れ」と言われて帰ったら、テニススクールに行って個人的に技術が向上しても、その場にいるみんなではスポーツをある程度うまくなるという課題を達成できないので、、チームとしては別に強くはならないと思います。それとも、みんなが楽しくできるようになったから良かったのでしょうか?

咲天:先生と生徒の立場が上下関係があまり無くなってきて、一緒になってきたことはいいと思います。先生も生徒もお互いに学ぶことがあるし、一緒に成長できると思います。でもそれを利用して、例えば生徒が自分勝手に、「もう練習嫌だから勝手に帰る」というのは違うと思います。

真央:私は教師と生徒の関係が近くなってきて、あまり力関係に差が出ないことで、体罰に陥りにくい環境ができてきていると思うので、その面では賛成です。しかし、運動部ならではの厳しい指導や経験というのは、社会に出てすごく強みになるとも思います。

菜子:私の部活は先生がかなり厳しくて、みんなは「先生が言うことは絶対」という雰囲気が流れています。しかし、その先生は体罰を振るうこともなく、みんなから嫌われることもなく、尊敬される存在となっています。それは、部活中はとても厳しく指導してくれるけれども、部活の場を離れたら、上下関係は無くなりませんが、かなり近い関係で話してくれるからで、先生が慕われるにはオンとオフの切り替えが大事だと思います。

令日奈:先生にとっては体罰を振るって生徒を従わせるよりも、振るわないで従わせる方が今難しいと思うから、そこにすごい工夫が必要なんじゃないかなと思っています。

菜子:今は暴力を振るう先生は、みんな怖いと思って従うのではなく投げ出すと思います。その怖い先生に暴力を振るわれてまでもスポーツや部活動をしない、という子どもがいると思います。逆に暴力を振るわない、怒らない先生の方が、今流行りの「ゆるい」という言葉で、みんなが好きになったりすると思います。実際に私の友だちは、一人の先生をすごく好きだったけれども、一度、部活中にちょっと怒られただけで、「もう嫌いになった」と言い出したので、今の子どもは怒られることに慣れていなさすぎると思います。

真央:怒られることに慣れてないな、というのは私も実感しています。でも、たぶん「怒る」がだんだんエスカレートしていくと体罰になると思うのです。大阪の桜宮高校では自殺してしまった子の前の代でも体罰は実際に起きていて、先生が子どもとちゃんと向き合って、人によって指導の仕方、叱り方、指導方法を変えていけたらいいなと思います。

咲天:私は先生がいかに暴力を振るわずに、生徒との信頼関係を築いて指導していくかというのが試されていると思います。それができるのがいい先生、教える力があるというんじゃないかなと思いました。

■先輩からの指導が効果的
令日奈:どういう指導の方法が今の子どもに効果があると思いますか?

真央:今の子はたぶん教師から怒られてもあまり心に響かないと思うので、やはり世代が近い先輩方から厳しい言葉を言ってもらったりすることで、心に残るのではないかと私は考えています。

菜子:実際に私が中学生の頃は先生が言うことよりも、先輩が言うことの方が強いという雰囲気が流れている時もありました。それで実際に先生が「先輩の言うことは絶対じゃないぞ」と怒ることもあるほどでした。

文美:先輩からだったら、例えば言葉の暴力を受けても大丈夫なのですか?

真央:私の部活では、月に一回ミーティングが開かれて、全員で立っていて順に反省文を言っていく風習がありました先輩から厳しい意見をいただき、次の部活でどう動くかということを同じ学年で話し合いました。ミーティングを乗り越えることで同じ学年の絆も強まりますし、部活もどんどん改善されたので、先輩からの意見は大事だと思います。

咲天:私は現在テニス部に所属していますが、先輩から暴言は一回も無くて、とても優しい先輩たちで叱られることもありませんでした。先輩でも先生でも、暴言や一方的に叱るのは良くないと思います。上から目線で叱られると下の学年の方も嫌な気持ちになる。「こうした方がいいんじゃない」というふうに、アドバイスをお互いに与えあって改善していくのが一番いい方法だと思います。

真央:私は高校の時はチアリーディング部に所属していたのですが、その時は先輩から厳しい指導がありましたが、全部怒るのではなく、たまに程よく褒めることをして飴と鞭みたいな関係でやっていたので、つらい部分もあったのですが、褒められることによって、次がんばろうという気持ちになりました。一方的に怒るという感情だけではなく、褒めるという姿勢を加えれば先輩からの厳しい意見も心にしみると思います。

文美:先輩に「上から目線で言われるのは嫌」と言うけれど、先輩は目上だから、上から物を言われるのは当然ではないの?

咲天:目上ですが、部活をやっているうえでは同じチームで、もちろん敬語は使いますが、絶対服従みたいな感じではないと思います。

文美:なるほど、新しいなと思いました。

菜子:私がバスケ部に入るちょっと前まで部活内のルールがありました。その部活内のルールを守らせることで先輩との上下関係ができていて、そのルールはそれをおかしいと思った先輩が無くしてくれたのですが、実際にそのルールが無くなってから上下関係があまり無くなって、先輩と後輩が友だちのようになってしまったと、卒業して来た先輩が言っている時もあります。

令日奈:その部活でしか通用しない独特のルールがあることについてはどう思いますか? 例えば桜宮高校のバスケ部も特殊な環境だったから先生が暴力を振るえていたし、それで強くなった。特殊な環境だったからこそ、ここまで人に知られることがなかった。どういうルールもちょっと閉鎖的な、そこでしか通用しないルールなんだけれども、日本の学校では、部活は一回入ったら卒業するまで普通は続けるから、どんどん脈々と受け継がれていく。アメリカのシーズナルスポーツみたいに、シーズンごとにやるスポーツが変わってたらもっとフランクになると思うんですけど、どうなんでしょうか?

菜子:私の部活は中学校の時は独特のルールがあって、例えばエレベーターに乗ってはいけないとか、バスの中で荷物を置いてはいけないとか、座ってはいけないとか。中学生の時はそれを守らなければいけないけれども、高校に上がったら暗黙の了解で無くなるというルールでした。今は中学でもそのルールは無くなったのですが、私は実際に中学生の時はそのルールを守っていて、先輩が目上の人だということを学んでから、高校で同じチームとして、上下関係があったうえで、チームワークを作るというのは一つの方法だと思います。

令日奈:それは続けないとわからない良さというか、チームの絆なんでしょうね。

菜子:中学でそのルールが嫌で退部してしまう場合は、私の勝手な意見ですが、高校の厳しい練習にはついてこられないと思います。

咲天:ルールはあってもいいけれど、ボール拾いや掃除は全部一年生がやるというルールは「なんであるのかな?」と思います。

菜子:実際に私が中学生の時に初めてルールを聞いた時は、「え、なんでエレベーターに乗っちゃいけないの」「なんで荷物を置いちゃいけないの」と不思議でした。私が入る前は先輩に「靴はいていいよ」って言われるまで体育館の中でバスケットシューズをはいてはいけないという意味のわからないルールもありました。でもこのルールが不思議なことに、部活の中にいるとだんだん不思議じゃなくなってきて、それが当たり前になってくるので、一種の洗脳みたいな感じで、客観的にふと見た時に怖いなとも感じます。

真央:例えば下級生がボールを拾う、というようなことは、ルールがあることによって、どの学年も必ず一回は経験する。厳しいルールの存在は、私は大事だと思います。でも桜宮高校ではルールというか環境が、第三者から見ることが難しかったので、体罰や行き過ぎた指導に至ったと思います。ルールをもっと開放的なものにすればいいのではないかと私は思います。

咲天:私のテニス部では、ボールを絶対に拾わなければいけないというルールはなくて、逆に「先輩後輩で境目をつけてはいけない」と先生に教わってきたので、お互い上下関係なくいっしょに部活をやっていく、というのがいいと思いました。

文美:だいたい下級生に対して負荷が大きいルールが多いと思うんですけれども、それって負荷が無くなった、つまり優遇されてる方の人たちに本当にいいのかなと疑問に思います。一年生が全部掃除をしてくれて、二年生が全部一年生の指導してくれて、三年生は何も雑用をしない、というようなのは、三年生にとって本当にいい指導なのか、と。

真央:上級生になると受験の問題も深刻になってきて、下級生よりは部活にかける時間があまり無いです。なので下級生に仕事が多いというのは、私はいいシステムだなと思っていて、役割分担をすることによって効率もいいと思います。テニス部の場合で言うと、ボールは後輩が拾うんだ、となっていれば、先輩がボール拾うのを待つことはない。部活の効率化も図れると思うので、下級生に負担があるというのは私はいいことだと思います。

菜子:私が下級生の時に、ルールにのっとって、いろいろな先輩のお世話ではないけれども、ボール運びなどをしてた時は、中学に入ったばっかりで部活が初めてだったので、「ああ、部活やっているな」と感じる瞬間でもありました。実際に三年生になると、チームのメインの学年になるので、「そんなことまでやっている暇があったら練習をしたい」という思いが大きかったので、三年生ほど練習に本腰を入れなくても良い一,二年生がその他の雑用と言われることをやって、三年生は引退などに向けて必死に練習するっていうシステムはいいと思います。

咲天:私は、最初の一,二年間をずっと雑用をしていて、本当に部活が楽しいのか疑問です。自分もボールを打ちたいし、先輩と一緒に活動もしたいし、ただ片付けをしてるのは楽しくないと思います。

真央:片付けも運動になると思います。ボール拾いでも、そこで体力をつけて、上級生になってからメインの仕事、テニスを打つということできる。それが耐えられないなら、自分でスクールに通うなど工夫をすればいいと思います。

菜子:私の部活のルールは部活中には全く適用されず、部活中は先生の言った通りに動きます。先生も、学年ごとに差別はせず、みんな同じようにプレイをしていたので、プレイ自体には問題はありませんでした。そのルールは部活が始まる前と最後などがすごい忙しいだけで、部活にはなんら問題がなかったので、部活をやっている分には楽しかったです。

令日奈:咲天ちゃんの話を聞いていると、すごい進んでいる今の部活っぽいなと思います。すべてのルールに目的があって、上級生と下級生がちょっと争ってるくらいが理想的なのかな、と思います。例えば、テニス部でボールが転がっているのを取る時に、少しでもボールに触れた方がうまくなると考えるなら、上級生も走って取りに行くし、それに負けないように下級生も走る。そういう緊張感があった方がお互いにとって、立場はフラットでもうまくなると思います。

菜子:私の部活は練習時間外のルールによって、上下関係がとてもはっきりしていますが、部活中はみんなで競い合っているので、理想かもしれないです。

真央:上下関係は必要だと思うのですが、部活中はなるべく無くすようにして、スポーツをしている時間は上下関係はなるべく考えないで、スポーツ外は上下関係を生かして、社会に通用できるような人物に成長できると一番いいのではないかと思います。

■理想的な指導
菜子:私の理想的な指導は、先生は今みんなの学校のようにある程度フラットな関係でいて、その中でその下にいる先輩が後輩をある程度の厳しさで指導をします。その先輩の指導があまり厳しすぎると客観的に見ている先生が止めに入る、というのがちょうどいいと思います。

咲天:私が思う理想の関係は、先生は技術面で指導をして、先輩後輩はお互い、後輩は先輩を敬いはするけれど、同じチームとして対等に、一緒にスポーツをしていくのが一番楽しくて成長できるのではないかと思います。

真央:先生は体罰のような指導をせず、あくまで技術だけのことを話し合う関係でいて、先輩からは厳しい言葉を、指導をしていただき、それを乗り越えることによって、新しい団結力とか忍耐力が付くと思うので、上下関係は残していけばいいと思います。褒めるという姿勢も同時進行で行えばいいと思います。

令日奈:先生の立場では、学校の勉強もやって、部活も一生懸命やる、というのが一番いいと思うので、そういうのをやってもらって、もうちょっと部活や体育の場が、自分で頭で考える場になればいいかなと思います。今、私より世代が上の人の話を聞いていると、「自分は一滴も練習中水飲めなかった」とか、「先生に脳しんとう起こす直前までたたかれた」とか、「すごい厳しかった」という自慢話をする人がいるんですけど、どうやったら強くなるのか、もっと上級生も下級生も考えた方が良いと思います。頭を使って考えた結果、みんなで納得した練習方法ができるのが、一番スポーツにとってはいいのかなと、思いました。部活の上下関係は、社会に入ってから分かったことですが、社会に入って使えなくもないです。昔、体育会で部活動をやっていた人は、先輩とのつきあい方がうまいなと思うから、それは程よく残ればいいのかなと思います。

文美:体罰や暴力は、社会に出たらあまり通用しない、告発してしかるべき処置をしてもらうというのが正しいと思うので、それを耐えることが、社会に出て何かの役に立つってことはないと思います。ただ、先輩との上下関係、自分が目下だから雑用を進んでやるというような動きをすることは評価されることなので、役に立つからできてもいいのかなと思います。このラウンドテーブルの理想の教育で思ったのは、指導者から教わるのは技術だけでいいっていう話があって、人格形成は先輩や仲間同士のうちで磨かれるという認識が学生の間であるということに驚きました。それは私も理想的だと思います。
                                     以上
参考リンク:2005年に行った「教育と暴力」座談会

2004年夏の全国高校野球大会で優勝した駒大苫小牧高校野球部で、部長による部員への暴力がニュースになった。
スポーツでは暴力が訓練の一つとして使われる風潮をCEの記者たちはどのように見ているのだろうか。
運動部を経験した高校生記者たちが教育の場での暴力について語った。

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教育

大学選び それでいいの?

飯田 奈々(17)

 2012年の冬、田中眞紀子文部科学大臣が、大学設置・学校法人審議会の答申を覆し、3大学の設置申請を認可しなかったことが、大きな話題となった。 結果として認可されたが、この背景には大学教育をめぐる本質的な問題点があるのではないか取材した。

文部科学省岡本仁弘氏と田辺和秀氏への取材
文部科学省岡本仁弘氏と田辺和秀氏への取材

 日本の大学は平成13年から平成23年の10年間で私立大学は103校も増加した。(文部科学省「学校基本調査」より)そして、平成23年度私立大学は45.8%もの大学が定員割れとなった。このような現実に加えて少子化も進んでいる。なぜ大学は増え続けるのか、今後どのようにして定員割れを克服すればよいのか。文部科学省高等教育局高等教育企画課の岡本任弘氏と同局私学部参事官付専門官の田辺和秀氏、そして桜美林大学院の教授であり「消える大学残る大学全入時代の生き残り戦略」の著者でもある諸星裕氏にインタビューした。

 岡本氏と田辺氏によると、大学が増え続けているという考えは間違っているのだという。私立大学の増加というのは私立短大から四年制私立大学への移行が多いためであり、全体の大学数は平成13年から減少しているそうだ。

桜美林大学院 諸星裕教授への取材

 また、諸星氏によると「日本の少子化が直接大学の定員割れに繋がっている訳ではない。少子化も進んでいるが、大学進学率も年々上がり、今では50%の日本人が大学へ進学する。これは大学の定員とほぼイコールなのだ」と言う。さらに、「それにも関わらず定員割れが起こる理由は、多くの日本人が少しでも上の有名大学に進学することを望むからだ」と述べた。

 定員割れを克服する方法として、諸星氏は若者一人ひとりの大学のとらえ方と日本の大学のあり方を変えることを提案した。
1つ目は、前述したように多くの日本人が少しでも上の大学、そして名の知れたブランド校に進学することを望む以上定員割れが起こることは当たり前である。しかし大学には、個々に合った大学があり、自分が一番成長できるであろう大学がその人にとって良い大学であり、大学に「入る」ことが目的ではなく、大学に入り「学ぶ」」ことが目的であることを意識して大学を選ばなければならない。すべての人の持っている良い大学と悪い大学の概念を変えることが大切であると語った。
2つ目は日本の学生は学部に入るから、在学中に自分の分野を変えることを容易にできない。しかしこのような調査結果がある。アメリカの大学に入学した1年生に「何を勉強したいですか?」と聞き、1、2年生で教養を身につけた後、3年生になって入った学部と1年生のときにこたえた分野が同じだった割合はたった28%だったのだという。このように若者のニーズは変わりやすいのだから、アメリカのように1、2年生の間はどこの学部にも所属せずに教養を身につけ、3年生になって学部を決めるという制度にするなど、その学校独自の制度を作ることも有効であると語った。

 岡本氏と田辺氏はニーズ調査を地域ごとにしていくことの重要性を指摘した。地域によって不足している学部や求められている学部が違うのだから、それをきちんと把握し、大学設立後もニーズの変化にあわせてどんどん変えていく必要性を訴えた。また、大学ができた地域にはそこの学生によって地域が活性化することにも繋がるから、地域と大学が連携していくことが、これから大切になってくることだと述べた。

 すべての取材を通じて共通していたことは、「大学は時代やニーズに合わせてどんどん変わっていくことが求められている」ということだ。それにともない、私たち高校生一人ひとりが責任をもって大学を選ぶことも求められている。狭い視野で大学を選ばずに、日々アンテナをはって様々な情報に触れ、今まで意識してこなかった新しい視点で大学を見定めることも重要である。

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教育

大学の秋入学に向けて

大学の秋入学に向けて
2012/10/16               小川 真央(18)

 東京大学が秋入学の全面移行に向けて学内で検討組織を立ち上げて実動き始めたことを契機に、メディアが大々的に取り上げ、注目されるようになった「秋入学」。学生、大学、経済、社会にどのような影響を及ぼすのか、今、教育界・産業界・政府といった様々な場で議論されている。今回、関連する諸団体を取材し意見を聞いた。

 秋入学実現に向けていち早く動き出している東京大学・総合企画部長期構想担当課長の小野寺多映子氏は、東京大学は正式に秋入学を導入すると決めた訳ではないと強調したが、チャレンジ精神や高度なコミュニケーション能力をもつ「タフでグローバルな東大生」を育てるという教育理念に沿って秋入学を教育改革の手段として検討していると語った。同氏はまた、秋入学によって生じる高校卒業から大学入学までのギャップタームについては前向きにとらえ、知的な冒険・挑戦の機会であり、社会体験によって視野を広げられるし、大学での学問の全体感の構築など学習期間として有意義な時間を過ごすことが可能であると指摘する。学内にも、ギャップタームのある課題が特に大きい問題と考えている数理系の先生を中心とした秋入学反対派が存在するとの問いには、反対派の意見は問題点を提示し、解決策を考えるきっかけになっているため貴重であるとも述べている。

 また、地方の国立大学である徳島大学の高石喜久副学長・理事は、秋入学に対し、地域の差により生まれるデメリットは無いと語った。その上で慎重にならざるをえない理由として、秋入学が導入されることで地方に留学生が集まるか不明である点、就職・国家試験の時期とのずれといった社会整備が整っていない点を挙げた。しかし、日本全体としてグローバル化が必要との認識は他大学と変わらないため、教育改革の一環として秋入学を視野に入れており、大学院は既に春入学に加えて秋入学を導入していると述べた。

徳島大学の高石喜久副学長・理事

 日本経済団体連合会・社会広報本部主幹の長谷川知子氏は、産業界としては大学の秋入学に対し基本的に歓迎であるという。少子高齢化やブラジルやインドといった新興国(BRICs)の台頭など、現在の経済危機において日本にグローバル人材は必要であると実感しているそうだ。そこで、秋入学が日本の学生の国際化の手段として機能すれば、最終的に日本企業の国際競争力の強化につながると考え、大学に協力していく姿勢を見せている。学生の不安要素である就職時期については、企業は一括採用以外でも柔軟に対応できると述べ、どの程度の数の大学が秋入学に移行するかを見極め、採用方法を考えていることを示唆した。

 文部科学省・高等教育局大学振興課課長補佐の白井俊氏は、秋入学を目指す大学に対しては支援をしていき、春入学を維持する大学に対しては秋入学を強要しない柔軟な対応をとると述べた。文部科学省は、秋入学の支援として、ギャップタームにおける体験活動の枠組みを提供する、産業界へ採用制度の変更を促す、国家試験の時期を変更することなどを具体的に考えている。 秋に移行した場合に6ヶ月間不足する運営資金の援助に関しては、国民の税金を使うことになるため国民の理解を得なければならないとする一方で、国際化を積極的に実施していく大学の取り組みに対しては援助する意向を示した。 確かに秋入学を実施することで学生達が強制的にギャップタームを過ごさなければならない点、就職活動への影響が出る点、半年間の身分の所在が不明確である上にアルバイトをすれば年金を支払わなければならない点、国家試験の時期にずれが生じる点、コストがかかる点など数多くの問題があることは事実である。しかし、複数の大学が協調することで、産業界や政府と連携が可能になり、秋入学に向けて社会の基盤は整っていくだろう。各大学の方針は尊重するべきであり、全大学が秋入学にする必要はないが、秋入学は日本の教育改革の一つの有効な手段になるのではないか。5年後の秋入学の導入まで社会がどのように変化していくか注目したい。

日本経済団体連合会(経団連)社会広報本部主幹の長谷川知子氏
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教育

国際化の一歩としての秋入学

瀧澤 真結(14)

東京大学・総合企画部長期構想担当課長の小野寺多映子氏

 東京大学の秋入学への全面移行という記事が目にはいった。秋入学とはどのようなことなのか、中高生にとって好ましい影響があるのか、どんな障害を乗り越えなければいけないのか疑問をもち、東京大学、産業界、文部科学省、徳島大学に取材をした。

 東京大学・総合企画部長期構想担当課長の小野寺多映子氏は「東京大学は秋入学に全
面移行するというのは、まだ決定事項ではなく、真剣に検討している段階だ」と述べた。東京大学が秋入学を検討するようになったのは、濱田純一総長がタフでグローバルな学生を育てたいと考えたからである。タフでグローバルな学生とは、知的でコミュニケーション力があり、リスクがあっても挑戦できる国際的な学生のことであり、そういう学生を育てる一つの手段として秋入学を検討することとしたのだそうだ。
 
 だが秋入学にはギャップタームや就職活動などの問題もある。ギャップタームとは東京大学の造語で4月から9月まで大学などの授業が始まるまでの間(東京大学の検討案には学生の身分をもたないパターンもある)、自主的な活動をする期間のことだ。小野寺氏は「その間は、ボランティアや留学、勉強などのプログラムを用意し、経済的な支援をしてあげれば有意義にすごせるし、企業は通年採用に方針を変えてきている」と語る。そのうえで、「とにかく、日本の今の教育のままでは世界との競争に負けてしまう。東京大学が先頭をきってグローバル化に向けて一歩踏み出し、日本全体の改革のエンジンになることが求められている」と小野寺氏は東京大学の決意を示してくれた。
 
 日本経済団体連合会(経団連)社会広報本部主幹の長谷川知子氏によると、経団連もグローバル人材の育成を目指していて、秋入学は日本人の国際化に向けた一つの手段だと歓迎している。ただ、日本中の大学全てが秋入学に移行しなくてもよいと考えており、国際化を目指している大学にはサポートをするという方針だそうだ。
文部科学省・高等教育局大学振興課課長補佐の白井俊氏によると、文科省でも秋入学をサポートしていきたいそうだ。ただし、就職時期の問題や年1回の国家試験の問題については、産業界や関係省庁の協力を得なければならないそうだ。また、秋入学へ移行するまでの運営資金も、文科省が補助する場合は国民の税金を使うことになるので、そう簡単には判断できない。しかし、日本が国際化するのは大事なことなので、できるだけサポートしていきたいと語った。
 
  地方の国立大学の一つで、医学部、歯学部、薬学部、工学部と理系の学部の多い徳島大学の理事(教育担当)副学長の高石喜久氏に話を聞いた。高石氏は、「今は都会とか地方とかは関係ない。日本全体が国際化に向けて動き出すべきで、徳島大学も大学院はすでに秋入学を実施しており国際化の一つの手段として考えている」と語った。国家試験時期や運営資金の一時的不足の問題などは、国も支援してくれるのであれば秋入学も視野に入れて進めていきたいそうだ。
 
 秋入学に移行するためには、どのような障害を乗り越えなければならないのだろうか。まず、就職時期の問題がある。東京大学や経団連は企業が通年採用をする傾向になってきているという見方を示しているが、文科省では採用人数に着目すると実際には4月採用がほどんどで、通年採用は僅かな人数に留まっているそうだ。また、年1回の国家試験だが、秋入学になると一年も遅れて試験を受けなければならない。そして、4月から9月までの6ヶ月間の高卒者の身分を考えなければならない。その間アルバイトをしたら年金を納めなければならない問題も出てくる。このような問題は解決できるのだろうか。

 全ての取材を通じて共通していたことは「秋入学は日本の国際化に向けての一つの手段である」ということだ。日本は世界に負けないためにも国際化を目指している。他のやり方で国際化を目指す大学があれば、秋入学を選択する大学もある。さまざまな実験が始まっていることに注目したい。

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教育 国際

訪英取材より(6記事)

少年の軽犯罪 ~日英の対応と対策の違い~
2010/11/14                持丸 朋子(15)

日本で近年、少年の犯罪が増えている。警察庁によると昨年は検挙されただけでも 5 万人を超え、中でも万引き犯が 12000 人いるそうだ。理由としては家庭の事情や親に関心を持って欲しい、かまって欲しいなどが あ げられるという。このような身近な問題である万引きなど少年の軽犯罪の対応と対策はどのようになっているのだろうか。今夏、日英記者交流事業で記者として訪れた英国と、日本とで少年犯罪者への対応と予防対策について調べることにした。

ロンドンのYJB(少年司法委員会) 取材

<日本>

まず日本の警察庁へインタビューを行った。

そもそもなぜ軽犯罪をしてしまうのか。たとえば万引きの場合、理由は、お金がなかった、ゲーム感覚でやった、親にかまって欲しい、友達に強制的にさせられたというのが主なものだと生活安全局少年課理事官の佐野裕子氏はいう。

万引きをした少年は、親とのコミュニケーションが取れておらず居場所を求めている場合が少なくないことから、万引きに至った経緯や家庭の状況等について話を聞いてあげることが大切なのだそうだ。また、軽犯罪をする少年の中には、過去に虐待を受けた経験があり、それが万引きといった非行に影響している者もいるという。

「ぴあすぽ」取材

佐野氏はさらに、「警察庁は万引きをした少年がいたら警察に連絡するように店の人に呼び掛けている。警察へ通報された子どもは事情聴取をうけるとともに、親も呼ばれることになり、これをきっかけに、自らの行為をしっかりと振り返ることにつながる。事情聴取だけで終わる場合もあるが、その後、何度も補導されるなどして継続的に支援をする必要が認められ、保護者がこれに同意をした場合などは、警察が設置している少年サポートセンターという施設で立ち直り支援を受けることもがある」という。

警察は全国の道府県に少年サポートセンターを設置しているが、東京都は青少年・治安対策本部青少年課が民間の NPO に委託している。東京都から「ぴあすぽ」という名称で委託を受けている世田谷区にある特定非営利活動法人「日本子どもソーシャルワーク協会」へ取材に行った。

「ぴあすぽ」の寺出草太氏によると、ここには犯罪をした子ども、不登校などの問題がある子ども、そして保護監察中の子どももいるそうだ。

ここにきた子どもはユースワーカーの人と話したり、マンガやゲーム、スポーツをするなどをして居場所づくりができる。このようにして軽犯罪をした子どもを立ち直らせようとしているという。

<イギリス>

では、イギリスの場合はどうなのか。ロンドンにある Youth Justice Board( 少年司法委員会 ) で取材をした。少年司法委員会は、イングランド地方とウェールズ地方で少年犯罪対策を管轄している。

警視の Sian Lockley 氏によると、対策の一つとして、万引きをする子どもが多い昼時に学校近くのスーパーマーケットなどの前に、私服のガードマンと一緒に学校の教師が立ち、見張りをする。また、私服ガードマンが店内を周り、監視をすることもある。このような直接的な対策のほかに、軽犯罪を犯した少年の親の教育もするという。

Lockley 氏によると、イングランドとウェールズ地方の一部の地域では Youth Restorative Disposal( 少年修復処置 ) という更生方法をとっているそうだ。

この「少年修復処置」は、少年法が適用される 刑事責任年齢である 1 0~17 歳の子どもが万引きのような軽犯罪を初めて犯したしたときに適用されるそうだ。ただし、 200 ポンド (29,000 円※ ) 以上の高額商品を万引きした場合は警察に逮捕され、顔写真、指紋、 DNA 、調書などがとられ、保護者が呼び出される。逮捕歴が犯罪記録に残り、少年が将来就職をする際には、雇用主がこの犯罪履歴を見て、採用を見合せることがあるという。

「少年修復処置」がとられると、犯罪者は金銭で罪を償うのではなく、地元の清掃などのボランティア奉仕活動をすることで償う。この方法は、犯罪履歴が残らないため犯罪者の保護者も、被害者も喜んでいるという。

この「少年修復処置」は 2007 年にイングランドとウェールズ地方の 8 地域で試験的に開始されてから、わずか 3 年で 33 地域に増えた。ロンドンのような大都会でも似たような処置がとられているそうだ。

「少年修復処置」の特徴の一つは、少年犯罪者と被害者が同意すれば直接会って話をすることができる。

ベルファスト局取材

少年犯罪者は、まず被害者に直接謝罪をし、なぜ犯罪をしてしまったのかを伝えることができ、一方被害者は被害がどういうことに影響を及ぼしているかなどを話すことができる、同じ地域で 再び会う 機会があるので、再犯の防止につながると L ockley 氏はいう。

また、犯罪者の更生はだれが行っているのかを尋ねたところ「各地域の家族や警察官、ソーシャルワーカー、教育スタッフ、メンタルヘルス担当官などから編成される『少年犯罪対策チーム』が 1 つの建物内で一緒に行っている」ということだった。

これは日本の警察が設置している少年サポートセンターと似ているのかもしれない。

ロンドン局取材

 しかし、万引きをした少年がいたらすぐに警察へ連絡するように呼びかけている日本の警察庁と、犯罪履歴を残さないために 200 ポンド未満の初犯の場合は、警察に逮捕されずに「修復的処置」をとるイギリスの少年司法委員会の方法は違うのではないか。

 日英共通して言えることは、親子の関係が原因であり、それをなおすことが一番の解決策のようだ。親子の関係が、子どもが軽犯罪をする一番の原因であると警察庁も「ぴあすぽ」も強く言っていた。

 日本とイギリスで方法は違うけれど、子どもの一番そばにいて大きな影響を与える大人との関係をよくし、話を聞いてもらえる人がひとりでもいることが大切なのではないだろうか。

(※円換算は 2010 年 11 月 12 日現在の対顧客売値で 1 ポンド= 145 円)

日本と違う? 高校時代の過ごし方
2010/11/14                宮澤 結(17)

ロンドン局取材

2009年、日本では97.9%の学生が高等学校に進み、そのうち53.9%の学生が大学へ進んだ(文部科学省「平成21年度 学校基本調査」より)。大学へ進むために多くの学生が塾や予備校に通っている。一方、イギリスの大学進学率は2000年に60.0%だった(文部科学省「平成18年度 教育指標の国際比較」より)。日本と大学進学率はそれほど変わらないイギリスだが、イギリスの中高生たちは大学進学をするためにどのような準備をしているのだろうか。
その点を知るため、イギリスの3つの局で、それぞれインタビューを行って見えてきたのが、イギリスの中高生の将来に対する職業選択の意識の違いであった。日本とイギリスの大学進学および職業選択の意識の違いについてまとめてみた。

日本では中学校を卒業する15歳までが義務教育で、その後進学するか就職するかを決める。イギリスの場合は16歳で義務教育が終了し、進学を希望する人も就職を希望する人も、卒業するにあたってGCSE(General Certificate of Secondary Education)という統一試験を受けなければならない。その後、就職を希望する生徒は日本でいう高等専門学校に進学し、就職に直結する専門のコースで学び、大学進学を希望する生徒は日本の高等学校にあたる「6th form」という2年間のコースに進む。
  6th form に進んだ学生は、大学に入学するために大学で専攻したい科目の関連分野3科目について専門的に学び、2年後の18歳でA Level(Advanced Level)という統一試験を受ける必要がある。A-LevelではA~Eまで5段階の合格基準があり、通常、大学で専攻したい科目の関連分野がC以上で合格することが、大学入学許可の条件となっている。

今回インタビューを行ったベルファスト局では13人中12人、フォイル局、ロンドン局では共に6人中6人の記者が大学へ行くと言っていた。その理由としては「経験を積むため」という意見や、「学位を取って仕事を得るため」など様々な意見が上がった。

大学進学のためにどうやって準備をするのかを聞いたところ、三つの局で「学校のテストで準備をする」という回答をもらった。日本の塾の写真を見せて説明をすると、どの局でも驚かれた。ベルファスト局のスタッフであるカイアン・マッカー氏(38)は「イギリスでは小学校に入学する前に勉強を始める準備のための幼稚園があるけれど、それは小学校受験のためではない。大学受験のための塾もないと思う」と言う。
どうして大学受験の準備の仕方に違いがあるのだろうか。

これにはイギリスの教育制度が関係していると思われる。イギリスでは公立私立に関係なく、統一試験だけが唯一の大学入学試験であり、試験の合格基準によって行ける大学が決まるのに対し、日本は大学入試センター試験はあるものの、それに加え大学ごとに独自の試験を行うことところがほとんどだ。そのため、日本では志望大学ごとの対策が必要となり、塾や予備校に通って大学受験の準備をする人が多いのだろう。日本では学校の終わった後の放課後や休日を利用して塾などに通う。

大学進学のための準備についてインタビューしていくうちに、イギリスの中高生は大学の先を見越して大学進学をも考えている様子が見えてきた。イギリスにはWork experienceという制度があるが、彼らは職業体験を重視し、この制度を利用している。この制度では自分の希望する職種・分野の仕事で2週間働くことができるのだ。
ロンドン局でインタビューをした大学2年生のジャメリア(20)は「就職するにはCollege(単科大学)かUniversity(総合大学)に行って学位を得ることが有利だと思う。でも、自分が希望する職種に就くには技能を身につけることが必要で、一番大切なのは経験を積むことだ」と言っていた。そのために彼女がしたことがWork experienceだった。「アルバイトは長期的にできるしお金も得られるけれど、Work experienceの方が将来したい仕事により近い仕事ができる。私はこの制度を使って、音楽雑誌の会社で働いた」と彼女は語った。
また、フォイル局ではWork experienceを経験している人はいなかったものの、グレイス(15)は「私の学校では15歳から17歳の間にWork experienceを利用して、新聞社で働ける制度がある」と言っていた。

今回の取材を通して、日本とイギリスの中高生時代の過ごし方に大きな違いを感じた。日本では、大学合格のために、学生生活の多くの時間をただひたすら塾に行って受験勉強に費やすように思われる。したがって、一番の目標が大学合格であれば、大学入学と同時にその目標は失われ、その先を見失いがちになってしまうのではないかと思う。イギリスでは大学受験の勉強は学校で行い、放課後の時間は、「自分は将来何をしたいのか考えること」に時間を費やせる。
イギリスの同年代の学生が大学卒業後の就職を考えて中高時代を過ごしていることが、本来の学生の姿であるように思えた。

自分のやりたいこと、考えている?  日英の比較
2010/11/14                持丸 朋子(15)

日本の成人式の説明をしているところ

日本では 15 歳で義務教育が終了した後の進路は、平成 19 年の文部科学省のデータによると 99.7 %が高等学校へ進学。その後、 51.2 %が大学や短期大学などへ進学する。 その際、 大学ならどこの学校でもどこの学部でもいい、就職もどこでもいいから企業へ入りたいといって、大学で専攻した学部とまったく関係のないところへでも就職するということが多くあると言われる。その傾向は就職氷河期と言われている現在、特に激しいとも聞く。

このようなことは他の国でも同じなのか疑問に思い、この夏の訪英プログラムで訪れたイギリスの子どもたちに、大学進学や就職に対してどうかんがえるのか、聞いてみた。

英国にあるチルドレンズ・エクスプレスの姉妹団体 Headliners の 3 つの局(北アイルランドのベルファースト局、フォイル局、イングランド地方のロンドン局)で、大学へ行きたい、もしくは既に行っている人にその理由について聞いた。すると、日本の現状とは大きく違う答えが返ってきた。すべての局で返ってきた答えは「自分の興味のある分野を専門的に学びたいから」というものだった。

たとえば、ロンドン局で記者を修了して現在は局で働いているジェイミー (20) は「将来メディアにかかわる仕事がしたいから、メディアについて大学で学んでいる」と答えた。フォイル局の記者トーマス (18)は「学位が取れ、就職で有利だから」と答えた。このようにただ大学に入るだけでなく、入ることによっての自分へのメリットをしっかりと考え、大学で学んだことや学位など得たことを就職へ生かそうとしている。

就職を考えるという点では、英国にはユニークな制度がある。 Work Experience (職業体験)という制度だ。これは仕事に就いた時、つまり就職のための準備の一つである。また、実際にその職業に就く前に体験してみることによって、その職業の見えていない部分などもよくわかり、その職業が自分に向いているかどうか、などを見極める機会ともなる。

Work Experience を利用すると、高等学校に在学している間の第 10 学年と第 11 学年にあたる 15 歳から 17 歳の時に約 2 週間、もしくは大学在学中か大学卒業後に、自分の興味のあるところで働けるのだ。 Work Experience を学校のプログラムとして実施するところもあるという。フォイル局の記者グレース (15) によれば「彼女の学校では「新聞社へ行って Work Experience ができる」。 そうだ

 高等学校に在学している間の Work Experience は、大学へ入るときには特に評価されないという。その代わり、就職するときに評価される。高校時代にこの制度を利用する人は、つまり、将来、就職するときの自分のために、高校にいるときから自分の時間を割いて準備をしているのだと言える。

日本の高校生 の多くは 、学校のほかに塾へ行って大学受験の勉強をしてとりあえず大学に入り、大学で専攻していたことと関係が無くても、とりあえず就職をと考える。一方、英国の高校生は とても早い段階から自分の将来を考え、そのために大学では何を専攻するのか、 Work Experience をやるかやらないか、やるならば何をいつやるのかなどを決めている。

イギリスで記者に取材をし、イギリスの子どもは自分の行きたい進路がはっきりしているうえに理由もきちんとあり、進路や就職などの将来に対しての意識が高いことに驚いた。 

日本でも、将来に対しての意識がこれくらいあるといいと思う。そのためには、 英国の学生たちのように、早いうちから自分がやりたいことを考えられるように、職業に関しての情報がもっと子どもたちに届くといいと思うし、職業を体験できる機会もあるといいのではないかと思う。

成人年齢の「日英比較」
2010/11/14                富沢 咲天(15) 

現在、日本の成人年齢は20歳である。成人年齢になると日本では選挙や飲酒、喫煙の権利が与えられる。しかしイギリスの成人年齢は日本より2年早い18歳だ。なぜ日本とイギリスとでは成人年齢が違うのだろうか。その点を疑問に思い、両国の若者たちは、成人年齢は何歳がいいと考えているのか、また、その理由はどんなものなんかなどを知るため、選挙や飲酒、喫煙に焦点をあてて両国の若者にインタビューをした。

まず最初に選挙権についての意見を比較してみよう。
日本の20~30代の若者に実施した街頭インタビューでは、16人中9人が「選挙権は20歳でいい」、残りの7人が「18歳がいいと思う」と答えた。わずかだが20歳支持派が多かった。20歳でいいという女性(29)は「18歳だとまだ政治について分からないことが多いから、選挙権は20歳のほうがいい」という理由だった。

イギリスの若者21人からは「18歳か16歳がいい」という答えが圧倒的に多く、「20歳がよい」という回答はゼロだった。「18歳になると大学に行けるし、軍隊にも参加できるし、16歳から働くことができるので18歳がいい区切りだ」とロンドン局のジャメリア(20)は言う。

早い年齢から政治に興味を持ち積極的に参加したいという意見と、政治について正しい判断ができると思われる20歳まで待った方がいいという意見。イギリスは早い年齢の積極派が多く、日本はどちらの考えも一定の支持があった。

次に飲酒の年齢について聞いてみた。
日本では20歳以上の大学生の3人に意見を聞いた。日本では「大学のコンパなどで、20歳未満の学生も一緒にお酒を飲む機会が多い。この点から、日本も飲酒可能年齢は18歳からがいい」という1人の意見があったが、残りの2人は別に20歳でもよいという意見だった。

日本での飲酒は20歳からなのに対し、イギリスでは18歳から飲むことができる。そのうえリンゴ酒やビールならば、親同伴の条件で16歳から飲むことができるという。それはイギリスでは19世紀末までは生水の衛生状態が悪く、幼児でも水代わりにリンゴ酒を飲んでいたという歴史からきているのかもしれない。イギリスの若者たちは現状の飲酒解禁年齢に不満はないそうだ。

イギリスでは18歳から飲酒できるので、日本の大学でのような問題は起きない。ジャメリアは「パブでお酒を飲むことによって学生同士が仲良くなれるが、自分で飲む量を調節できるかどうかが大切だ」と言った。人にもよるが、年齢が低いほど酒量のコントロールが難しいという欠点もある。リスクをおかしてでも学生にまかせるイギリスと、リスクのことを考えて飲酒年齢を上げておく日本とでは考え方が違うようだ。

最後に喫煙年齢についてだが、日本は20歳、イギリスは18歳からである。イギリスでは喫煙年齢はあまり問題にならないそうだ。「イギリスでは法律で、公共の場で吸ってはいけないと厳しく決められているから、タバコを吸う人は少ないよ」とロンドン局のジェイミー(21)は教えてくれた。実際私たちがイギリスに滞在している間、タバコを吸っている人をほとんど見かけなかった。イギリスではタバコが日本の3~4倍もの値段で売られているということも影響しているのかもしれない。日本でインタビューした大学生3人も皆20歳の現状でよいと答え、不満は感じられなかった。これは喫煙が健康を害するということをみんなが自覚しているから、あえて年齢の引き下げは望まないのではないだろうか。

今回のインタビューでは、日本とイギリスの若者の考えがいくつかの点で違っていることがわかった。個人的には、選挙と飲酒の年齢は社会に出て働いて納税する人も増える18歳から、喫煙年齢だけは健康に関係することなので現状のままで、そして喫煙の場所の法規制がイギリス並みにもっと厳しくなればいいと思った。

印象に残ったのは、イギリスの若者たちは大人になることについてみな「私たちは若くても自分の考えをちゃんと持っているから大丈夫」と自信たっぷりに話してくれたことだ。日本人のインタビューの中でも、もっと成人年齢を下げても「日本の若者はしっかりした意見を持っているから大丈夫」「政治に興味がある若者もたくさんいる」などの心強い意見もあったが、「まだ早い」「できない」「分からない」「責任を負えない」という自信のなさがあらわれた意見もあった。

これらの年齢は、私たちの属する社会が何を重視して考えるかで決まるのではないだろうか。イギリスでは若者を自立した個人として扱うことを重視していて、日本では若者を未熟な人間として保護することを重視していると思う。歴史や文化、国民性や風土が違うイギリスと日本でまったく同じ意見になる必要はない。意見が違っても、相手の考え方を知ることでお互いがもっと深く理解しあえるのではないだろうか。これらのテーマについてイギリスの若者の率直な意見が聞けたことで、彼らをとても身近に感じられるようになったと思う。

大人になるために大切なこと~日英の違いから学ぶ~
2010/11/14                南雲 満友(15)

イギリスの成人年齢は 18 歳で、日本のように行政のホールなどに一堂に会する成人式はないという。

これをはじめとして、イギリスと日本では、成人すなわち「大人になること」に対する意識には差があることがわかった。 飲酒、喫煙、選挙権について、イギリスの記者たちにインタビューし、 意見交換を通して見えてきた「大人になること」の意味について、まとめてみた。

 日本では 20 歳を成人年齢とし、 20 歳の誕生日になると、何もしなくても「はい、どうぞ」と飲酒も喫煙も法律で許され、選挙権も同時に与えられる。一方、イギリスでは事情が異なる。イギリスでは、かつて 21 歳が成人年齢と決められ、飲酒、喫煙、選挙権が与えられるのは 21 歳からだった。しかし成人年齢の引き下げを求める学生運動により、 1969 年から法律上の成人年齢が 18 歳になったのだ。ただ、成人年齢を 21 歳とみなす慣習はまだ強く、 18 歳、 21 歳どちらを成人とするかは、各家庭で決められることが多い。これは、自分の子供の成人年齢は、慣習的に親自身の考える「成人」という定義に任されているからだ。したがって、 21 歳を成人とみなす家庭の子供も、 18 歳になっていれば法律上は飲酒、喫煙が許され、選挙権を持てるというのが現状だ。

 飲酒についてイギリスの記者たちに聞いてみると、、ほとんどの記者が「お酒を今までに飲んだことがある」と答え、「場所は家やバーなどで」だったという。飲酒年齢について聞いた時、ロンドン局のボランティアスタッフ( 21 )は、「自己管理できるなら 18 歳は適切な年齢だと思う」と答えた。また「 18 歳未満の記者にバーでお酒を飲んだ時に、年齢を聞かれたか」を聞いたところ、「全く聞かれなかった」とフォイル局の女性記者( 18 )は答えた。

 飲酒について、イギリスではユニークな条件もある。イギリスの飲酒解禁年齢は 18 歳であるが、 16 歳以上であれば、大人同伴ならバーやパブでリンゴ酒やビールを飲むことは、合法とされているのだ。イギリスの義務教育終了年齢が 16 歳であること、そして大学入学年齢が 18 歳であることを考えると、この条件は合理的だと言える。

 喫煙については、イギリスの記者たちに、日本で未成年者の喫煙防止のために導入された「 taspo 」についてどう思うかと聞いた。フォイル局の女性記者( 18 )は「本当にたばこを買いたい人は、知人に頼めるから意味がないと思う」と答え、ロンドン局のボランティアスタッフ( 21 )は「イギリスにも ID カードはあるけど写真がないから使い回しできる。日本の taspo は写真入りだからそれができない。イギリスもそうしたシステムを導入すべきだと思う」と語り、賛成、反対それぞれの意見が聞けた。

イギリスで驚いたことは、たばこの自動販売機がないことだった。「どうしてイギリスには自動販売機がないと思うか」と質問したところ、フォイル局の女性記者( 15 )は「自動販売機でならば、どこでもいつでも買えるから、未成年が買ってしまうので、イギリスにはないと思う」と語った。また、ロンドン局のボランティアスタッフ( 21 )は「法律で公共の場所での喫煙は禁止されているから、(買っても吸えないため)イギリスにはないと思う」と答えた。

 選挙権については、「あなたは選挙に行きましたか」と聞いたところ、ロンドン局のボランティアスタッフ( 21 )は「自分の税金がどう使われているのか気になるから、選挙に行った」と答えた。またベルファスト局の記者たち 12 歳~ 17 歳に聞くと全員が「 18 歳になったら行く」と言った。調べてみると、 イギリス 2010 年総選挙の投票率は 65 %、日本 2009 年衆議院議員総選挙は 69.6 %と日本の方が高かった。しかし、年齢層別の統計では、 30 歳以下年齢層投票率は日本では 33 %、イギリスでは 52 %だった(ダイヤモンド社ビジネス情報サイトによる)。若者の選挙に対する関心は、イギリスの方が日本よりはるかに高いことがわかった。

今回の取材を通じ、飲酒・喫煙・選挙権について、両国の制度や、若者の意識の違いを知ることができた。

喫煙については、イギリスは、国が制定した法律により、年齢にかかわらず公共の場での喫煙を禁止し、根本的な部分で規制をかけているのに対し、日本は、公共の場での禁煙は法制化せず、末端の自動販売機にだけ未成年に対して規制をかけている。実際に未成年者の禁煙を進めるのであれば、日本の今のやり方でいいのだろうか。

また選挙に関して、私は、自分が働いて収めた税金の使い方を決める人を選ぶ権利が、働いている人にはあると思った。日本では 20 歳以上でも働かずに親の仕送りなどで暮らしている人がたくさんいる。それに対し、中学校を卒業してすぐ、就職して働いている人も少なくないが、この人たちは選挙権がない。最近、選挙権の年齢の引き下げがとりただされているが、 18 歳に一律引き下げではなく、働いている人には選挙権が与えられ、働いていない人には選挙権が必要か考えてみることも大切かもしれないと考えるようになった。

日本でも参政権運動などを経て、今は 20 歳(成人年齢)になると考える間もなく、男女とも選挙権が与えられる。権利には責任が伴うが、新成人の大半は選挙にもいかず、その責任を果たしているとは言えない。しかし飲酒、喫煙だけは享受しているようにも見える。一方イギリスの若者は 18 歳で選挙権が得られる以前から、投票や政治に興味を持ち、与えられる権利に伴う責任についても考えていると感じた。

「大人になること」つまり成人年齢に達するということは、自分の行動や言動に責任を持ち、与えられた権利に対して義務や責任を果たしていくことなのではないだろうか。その点で、イギリスの若者は「大人になること」についてよく考えていると言えると思えるが、日本の若者はもう一度よく考え、行動していく必要があるのではないだろうか。

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教育

AO入試に見る大学の本質

勝部亜世満(18)

 大学全入時代に 2007 年度より突入したと言われるが、人気大学を巡る受験戦争はいまだに過熱中だ。その中では受験生だけでなく、各大学も自大学のカラーやアドミッション・ポリシー(求められる学生像)に見合った学生を確保するための制度改革に乗り出すなど奮闘している。

 その 1 つに「 AO 入試」がある。アメリカの大学における入試専門部署を模したアドミッション・オフィスを設置し、従来の筆記による学力試験だけでは判断できない能力を持つ受験生を、書類・面接等によって選抜するものだ。知識のみに偏らない「大学入試の多様化」を目指したものだが、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (SFC) による 1990 年度導入を皮切りに、全国各地の国公立・私立大学で定着しつつある。

 今回、こうした入試制度改革によって大学の何が変化したのかを 知るために、 SFC と、国立大学法人の東北大学の担当教員に話を伺った。

 まず、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (SFC) の AO 入試は出願方式により異なる部分もあるが、それまでの主だった活動実績、高校 3 年間における評定平均などといった書類審査によって一次選抜を行い、それをパスした受験生に対して面接が課され、最終合格者を決定する。

 「本当は 3 日間かけてじっくり面接を行いたい」という前 SFC 総合政策学部長・慶應義塾常任理事の阿川尚之先生は、「本当は能力のある受験生を一次選抜で不合格にさせてしまうことが絶対ないとは言えない」と AO 入試の限界点を指摘する。他方で、「たった数十分の面接で受験生の全てを知ることはできないが、話し方や目を見ると相手の正直さや知的興味、熱意がこちらに伝わる」とも言う。

 阿川先生によると、実際に AO 入試で入学した学生たちの意欲は極めて強く、オリジナルな計画を実現するなどの行動力で、一般入試によって入学した学生にも多大な刺激を与えているという。しかもこの学生たちの SFC に対する愛着は凄まじく、彼らの意欲が大学全体の活性化に直接貢献しているため、 SFC における AO 入試の導入は結果的に成功を収めているのである。

 次に、東北大学の AO 入試であるが、これは後期日程( 2 月下旬実施の国公立大学前期日程終了後、 3 月中旬ごろ前期日程合格者以外から選抜する方式)廃止に伴いその定員を新たにシフトしたものだという。研究者の養成を目的に、どうしても東北大学で研究に取り組みたいという意志の強い受験生を対象にしており、大学入試センター試験、独自の学力検査、評定平均と面接などによる入試で、一般入試に先立って行われる。一定の学力基準に基づいて第一次選抜を行うことにより志願者を絞ることで、大学側のコスト負担を軽減していることも特徴だ。 2000 年度より 2 学部で導入されたが、現在では全学部に AO 入試枠が存在する。

 大学自身が東北地方を代表する立場であるために、夏のオープンキャンパスには東北 6 県を中心に多くの受験生が集まり、東北大学の研究に直に触れて「試食」することができる。また大学側からも東北地方の各高校に教官を派遣し、東北大学の研究活動等を広報していくことで高校との緊密な関係を築き、その高大連携の橋渡しとして AO 入試を位置づけている。

 東北大学高等教育開発推進センターの倉元直樹准教授によると、この AO 入試によって入学した学生の成績は概ね一般枠の学生より高い水準で、学問に対する意欲も高いという。特に工学部においては“先取り学習”として数学・物理学の演習講座を設置しており、一般科目に先立ち単位を修得する学生が大半となる。また AO 入試で不合格となっても一般入試で合格した学生は毎年 100 人以上にのぼり、彼らの受験生活で培われた粘り強さも、その後の研究に生きてくると考えられている。こうして東北大学における AO 入試は、 SFC とはまた異なった形で成功を収めている。

 この 2 大学のように、 AO 入試を大学の活性化に活用している大学が存在する一方、 AO 入試を学生の早期囲い込み、いわゆる「青田買い」に利用して問題化している大学もある。「青田買い」で批判されているのは、経営資金確保のために入学者を一定数確保することが最優先されてしまうことだ。それにより受験期の試行錯誤を経験しない学生が入学し、大学全体の学力低下を進めてしまう。大学は、そうした学生の底上げへ労力を費やすことになり、大学本来の使命を果たすことから更に遠ざかっていくことになる。

 これに関して倉元先生は、「 AO 入試は SFC が素晴らしい才能を発掘するために導入した画期的な制度であったが、多くの大学が専門組織を整えずに追随したことによって、本来の目的とは異なる方向に進んでしまった」と残念がる。

 「大学とは、自分の頭で考える力をつけ、新しい問題に対処する力をつける場所」と阿川先生は述べていたが、そういった本質的な意味での「学問」に取り組もうとする姿勢をもった学生と教授が集まってこそ、大学の意味があるのではないだろうか。 AO 入試は今や「多様化」というスローガンのもと、大学ごとに独り歩きしてしまい、ひとくくりに成否を論じることは不可能に近い。ただ AO 入試の導入によって過熱した受験戦争をある程度冷却できていることは確かである。そして、「大学入試がゴールではない」ことを示そうとする AO 入試に関して考えることは、大学を目指すことに対する本質的な意味について考えることに直結していると言えるだろう。

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