カテゴリー
社会

「怖い」じゃなくて「楽しい」~お化け屋敷プロデューサーという仕事~

松本 哉人(16)

 今年の夏、記者はお化け屋敷を体験した。間違いなく怖くて、終盤には走り出しそうになるほど腰が引けていたにもかかわらず、最後は気分が高揚して、お化け屋敷を出た瞬間には笑い出していた。一体どんな人が、そこまで怖いお化け屋敷を作っているのだろうか。また、そこまで怖いお化け屋敷に人が集まるのはなぜなのだろうか。お化け屋敷プロデューサーの五味弘文さんを取材した。

そもそもなぜ、怖いはずのお化け屋敷に長時間並んでまで人が集まるのだろうか。五味さんは「お化け屋敷が楽しいからです」と話す。「入場するとき、人はお化け屋敷の中身を知らず知らずのうちに想像して、全て作り物と分かっていつつも不安や恐怖を感じています。その不安が、実際にお化けに驚かされることで解消されるその瞬間が気持ちいい。そして、驚かされることが重なるうちにどんどん興奮して、最終的には笑っちゃうくらい楽しくなって、お化け屋敷は楽しいと感じるんです」。
 
では五味さんはどのようにしてその楽しさを演出しているのだろうか。「お化け屋敷を楽しむためには、不安を感じる一方で、これは作りものなんだと思う客観性が必要で、お化け屋敷での体験の中に少しずつわざとらしさを混ぜることでお客さんが冷静さを持てるようにしています」と五味さんは語る。具体的には、ストーリーの中に飛躍した内容を混ぜたり、お化けが飛び出してきてもそれ以上近づいてこず、むしろ引っ込んでいったりする仕掛けにすることで、単なる恐怖だけではなく心地よさも感じる余裕を演出するのだと五味さんは楽しそうに語った。
 
実際にお化け屋敷に入った人たちはどう感じているのだろうか。取材した人は一様に「怖かった」と言っていたが大半の人が笑っていた。中には「出口を出た瞬間がスカッとした」と語る人もいて、それぞれに楽しんだことがうかがえた。一方でお化け屋敷から出てくる人の中には泣き出している人や二度と来たくないという人もいて、やはり、余裕をなくしてしまう人がいることも事実だ。

 五味さんは「お化け屋敷は、並んでいるたくさんの知らない人や一緒に行った人とともに体験し、同時に共感することで、今の世の中の人にとってはコミュニケーション上の大きな意味を持っていると思います」と語る。五味さんは過去に、シャッター商店街にお化け屋敷を作った際にその意味を強く感じたという。地域に他に若者が集まっていける場所が少ないこともあり、若者にとってお化け屋敷が、外で遊べる場所になったことが当時驚きだったと語っていた。

 お化け屋敷は、怖いから、子供だましだから、などといわれ敬遠されることも多いアトラクションであるが、実際に取材してみると作り手側は単に怖いだけではなく入場者を楽しませるために様々なことを考えて作っている、というのが新鮮な発見だった。

カテゴリー
社会

お化け屋敷をプロデュースする仕事

村上 類(16)

 今、日本各地で期間限定のお化け屋敷が人気を博している。その裏にはお化け屋敷プロデューサーの五味弘文氏の存在があることを知っているだろうか。日本で一番怖いとの噂もある五味氏のお化け屋敷の魅力に迫った。

  五味氏流のお化け屋敷のプロデューサーは一から十まで全てに関わることにある。ストーリーやお客さんに与えるミッション(役)を考える作業はもちろん、美術や音響担当者との打ち合わせ、お化け役の従業員へのトレーニングまでも自らの立会いのもと、約7ヶ月かけて進めていく。

五味氏は最初からお化け屋敷プロデューサーを仕事にしたいと思ったわけではないと言う。小学生の頃からお化け屋敷を作りたいという気持ちは漠然とあったが、そもそもお化け屋敷プロデューサーという仕事は存在しない。しかしいろいろな人と巡り合う中で、東京ドームシティのお化け屋敷のプロデュースをする機会をたまたま得たことが功を奏し、その後の年もプロデュースを続け、それが今に繋がっている。

その五味氏が作る、二時間待ちもざらではないお化け屋敷の魅力。それは二つのこだわりと工夫にある。

一つ目はお客さんをストーリーに深く関わらせることだ。例えば夏休み中に東京ドームシティにオープンしていた「呪いの指輪の家」は主人公の女性に指輪をはめるというミッションがお客さんに課せられる。昔のお化け屋敷は脈絡もなく色んなお化けが脅かすものだったが、五味氏のお化け屋敷はお客さんをストーリーに欠かせない存在にすることで恐怖を提供している。

人間はストレスや不安が解消されると「楽しい」がうまれると五味氏は言う。それがお化け屋敷の中では何回も繰り返されるため、普通はネガティブなお化けが人を呼んでいるのだろう。実際、お化け屋敷から出てきたお客さんに話を聞くと「スッキリした」という声が聞かれた。

二つ目は現実にはありえない、嘘だと思える要素を盛り込むこと。お化け屋敷は、いかに冷静さと想像力の振り幅を楽しめるかにあると五味氏は話すが、その冷静さをお客さんに与えるために、あえて偽物とわかる信号を出している。脅かしたあとに引っ込んでいくお化けの姿を思い出すとわかりやすいだろう。

日本各地に広まる五味氏のお化け屋敷だが、シャッター街にもお化け屋敷を作り、地域活性化に一役買っていることもよく話題になっている。だが、五味氏は地方を盛り上げるというより、若い世代に遊ぶ場所を提供していることに注目していた。ネットに向かいがちな若い人が抱えている閉ざされた気持ちを、お化け屋敷によって解放出来るのではないかと五味氏は言う。

今後もお客さんがストーリーに参加するお化け屋敷を作りたいが、お化け屋敷は海外に発信しても面白いエンターテイメントだと五味氏は感じている。それはもはやお化け屋敷という形ではないかもしれないとも言う。

避けたいはずのお化けが人を呼ぶ裏には、試行錯誤して工夫するお化け屋敷プロデューサーの存在があった。今後の五味氏のお化け屋敷の進化に期待していきたい。

カテゴリー
社会

もうお化け屋敷なんて行かない

三好 恵瑠(14歳)

 お化け屋敷プロデューサー、わかりやす過ぎるそのネーミングは興味を持たせるのに十分だった。はっきりいってお化け屋敷が苦手な記者には怖い取材だが、お客さんに毎度毎度恐怖をあたえてくれるお化け屋敷がどうやって作られているのか興味は尽きない。

取材したのは株式会社オフィスバーンの代表取締役である五味弘文さんだ。一番気になっていたのはお化け屋敷プロデューサーという仕事のことで、お化け屋敷があるということは、どこかで誰かが作っていることはわかるが、それだけを仕事としている人がいるとは思ってもいなかったからだ。

話を聞いてみると、もともとお化け屋敷プロデューサーという仕事はなく、自分がその仕事をしているうちにだんだん世間から認められていきついた名前だという。五味さんのプロデュースするお化け屋敷には、ストーリーがあり、客にミッション(役)を与えることで客がそのストーリーに入り込めるようになっている。そのため、お化け屋敷を作るときにはまず、ストーリー、設定、ミッションの3つを考える。そしてそこから美術や音響などの演出を考え、組み立てていくそうだ。

 五味さんは自らのお化け屋敷の特徴であるストーリーにとてもこだわっている。人がお化け屋敷で恐怖を感じる理由の一つに「想像力」があると五味さんは語る。人は自分が考えているより大きな恐怖を想像力のせいで感じ、抑えきれなくなっているという。ストーリーを作ることで客をひきこませ、もっと想像力をかきたてることができるそうだ。

そしてストーリーには偽物をいれるように気を配っているという。物語に明らかな飛躍を入れたり、極端にしたりすることで、その偽物は誰でもそうだと気付くものにするようにしているそうだ。しかし、偽物だとわかっていてもやはり怖いものは怖い。

ただ人を怖がらせるために怖そうなものを置いてそれっぽく部屋を暗くし、演出をする。普通の人はいままでお化け屋敷についてこのように考えていたはずだ。だが、人間の想像力に注目し、ストーリーやミッションを作るなど全力でお客さんを怖がらせようとしている努力には感心させられる。五味さんとお化け屋敷のすごさが十分伝わってくる取材となったが、それを知った今、取材前より一段とお化け屋敷には行きたくなくなる取材にもなった。

カテゴリー
社会

なぜ今声優志願者が増えているか


2015/03/10                  毛利 真由(17)

  日本のアニメーションは今、日本のみならず世界中で見られている。大きな注目が集まる中、アニメに命を吹き込む声優という仕事に人気が集まり志願者が増えているが、簡単に成功できるものではない。今声優を目指す人はどのような気持ちでこの職業を目指すのか、なぜ声だけで演じることを選んだのかを探ってみた。

TSAを卒業した現役若手声優の小堀幸さん
声優の小堀幸さん

声優になるためにはふつう専門学校や養成所に入り基礎から学ぶ。そこで、まず専門学校東京声優アカデミーの教務部で担任をしている東さんに話を聞いた。声優になるためには基礎力、技術力、コミュニケーション力、個性が必要であると東さんは語る。基礎力とは主に滑舌・発声・イントネーションなど日本語を正しく話せる力のことを指す。感情を出せる技術を磨き、より良い演技をするため現場の雰囲気づくりも重要で、そこでコミュニケーション力が必要となるそうだ。そして増加する声優の中で抜きんでた存在となるために、声質や見た目などの個性も必要だという。

声優はアニメの声や吹き替えのイメージが強いが、今ではラジオやテレビ番組のナレーションの仕事も行うようになっている。以前は裏方としてアニメを支え、本人の姿が出ることは少なかった。それがイベントへの出演や歌手活動など声優の仕事以外にも頻繁に登場するようになり、本人が認識される機会が増えた。活動の幅が広がったのは、アイドル化する声優が増えてきたことが原因の一つとして挙げられると東さんは言う。アイドル化が進み人前に出ることで声優個人の人気が高まり、CDを出す歌手活動などにもつながったようだ。また東京声優アカデミーに通う生徒の森倉智奈央さんは、自分のキャリアアップにつながる歌などには挑戦してみたいと語る。声だけで演じることについては、お金では買えない演技の楽しさがあり、人に夢を与える仕事だからこそ苦労してもやっていきたいのだという。

東京声優アカデミーを卒業して実際声優になり、賢プロダクションに所属する小堀幸さん(『ハピネスチャージプリキュア!』ぐらさん役、『FREE!』橘蘭役 など)にも取材に行った。賢プロダクションでは二年間の養成期間があるが、一年目で生徒40人のうち半数が落とされる。二年間の養成期間を終えてプロダクションに所属できるのは数人しかいない。声優になるには一筋縄ではいかず、運と努力が必要なようだ。小堀さんは「厳しい道のりだからこそ、その中で生き残ってやっていきたい」と語った。声優という仕事の魅力は、声だけでこどもや外国人、動物にもなれ、「様々な人生」を歩めるところだという。自分以外のものになり、アニメを通して見た人がそれを喜んでくれて何かを学んでくれることがこの仕事のやりがいであるとも語った。

TSAの録音スタジオ前で取材

声優という職業はアニメブームをきっかけに増加し始めたことが分かった。声優になるため専門学校に通う森倉さんも、声優になった小堀さんも「声だけで演じるからこそ夢を人に与えられる」と、この仕事の魅力を語った。しかし、役のオーディションに最終選考まで残ってもそこで落ちてしまったらそれで終わりである。二等賞などない。そんな厳しい世界でも輝こうとする声優と志願者たちに注目していきたい。

カテゴリー
社会

夢を諦めることなかれ ~声優、その魅力と実情~


2015/03/10                  三好 恵瑠(13)

  皆さんは「声優」という仕事に興味を持ったことがあるだろうか。最近では声優専門のウェブラジオチャンネルや、声優がメーンパーソナリティーのテレビ番組が放送されるなど声優人気が高まっている。そんな声優という仕事の実情を知るため、専門学校東京声優アカデミーと賢プロダクションに所属する現役声優に取材した。

東京声優アカデミーの東氏

東京声優アカデミー(以下TSA)は18年前に声優養成科が設立された。主な卒業生には、代永翼、甲斐田裕子などがいる。併設校の東京アナウンス・声優アカデミーも石田彰、阿部敦などの有名声優を輩出してきた。60年以上にわたり声優界と向き合い、生徒を指導してきた学校として声優界の変化について質問をした。

取材に答えてくれたのは、教務部担任の東氏だ。東氏はTSAに来る前、声優の出演するドラマCDの制作をしており、業界には10年以上関わっている。東氏によると、現在声優ブームが起こっているのはインターネットの普及で、アニメキャラに誰が声を当てているのかが簡単に調べられるようになり、今までの「キャラクターへの人気」から「声優個人の人気」に変化してきたことが一つの要因ではないかという。志願者の増加という点では、高校生のなりたい職業ランキングのトップ10に入ったというデータもある。

こうして声優個人の人気が高まったことにより作品に声を当てるだけでなく、グラビア活動やアニメのイベント、ドラマCD、キャラクターになって歌を歌うキャラクターソングなどの仕事も出てくるようになったという。一部の声優は個人名で歌手活動も行っており、NHKの紅白歌合戦に出演するまでになった人もいる。声優の仕事の一つとして、歌のうまさ、というものはある程度必要になってきたようだ。

TSA生徒の森倉智奈央さん

それにより、声優に求められるスキルのレベルが上がったように感じられるが、昔と今で教える内容が大きく変化した訳ではないようだ。声優を目指し憧れる皆さんに東氏からのアドバイスをお伝えしよう。まず、基礎力だ。これは、滑舌や発音、イントネーション、日本語のルールなどといったものだ。次に、技術力。演技のうまさ、声だけで感情を表すといったものだ。これを鍛えるためTSAでは1年目はマイク前の授業はせず、芝居を重要視しリアリティを出せるようにしているという。そして、コミュニケーション能力。「点数がつかない仕事だからこその、人と人とのつながり、相手にこの人と仕事をしたいと思ってもらうことが重要だ」と東氏は語る。最後に個性だ。これは声優ならでは、といっても過言ではないだろう。声の個性、見た目、歌のうまさなどだ。

TSAの生徒である森倉智奈央さんに取材した。彼女は高校で演劇部に入り芝居の楽しさを知り、声優の道を目指したという。「発声、滑舌、感情表現など課題はあるが芝居の楽しさがその壁を超えてくれる」と語る。声優だけで生活をしていくのは簡単なことではないが、お金ではない楽しさが自身を突き動かしているそうだ。

賢プロダクションでは、TSAを卒業した現役若手声優の小堀幸さん(『ハピネスチャージプリキュア!』ぐらさん役、『FREE!』橘蘭役 など)に取材した。小堀さんも森倉さんと同様、高校時代は演劇部に入っており、その時の友人に声優という仕事を勧められ目指したという。声優の魅力は、自分だけでなく普通はなれないような動物や、男の子、その他様々なキャラクターとして様々な人生を歩めることだという。そして、自分の演技からそれをみている人たちが楽しんでくれたり、学んでくれたりしている人がいる、ということが励みだという。

しかし、苦労も沢山あるようだ。生活面では声優として食べていくこと、次の仕事を掴み取っていくことはとても大変なことだという。声優になるためにも、プロダクション付属養成所のオーディションに受かるだけでなく、そのあと養成所で査定に合格しなければならない。そこでも生徒数が次第に絞られていく。

小堀幸さんを取材

賢プロダクションのチーフデスクの坂本あずさ氏はこんなことを語った。「誰が流行るかは自分たちにもわからない。その人を推しても全く流行らない場合もあれば、何もしていなくても流行る場合もある。そんな厳しい業界だ」と。

最初に述べたように、声優人気が高まっていることは確かだ。諦めなければ夢はかなうと言えるのは、自分が成功したからこそかもしれない。厳しい業界であるが憧れと芝居の魅力に取りつかれこの道を選び、進んで行く人はこれからも沢山出てくるだろう。しかし、あえて小堀さんの言葉を伝えようと思う。諦めなければ必ず夢はかなう、と。

(一部現役声優の敬称を略しました)

カテゴリー
教育

将来の職業につながる教育

瀧澤 真結(15)

 文部科学省がセンター試験を5年以内に廃止し、新たに複数回受験できる到達度テストを導入する方針であるとの新聞報道があった。それによれば文科省はイギリスのGCE‐Aレベル、アメリカのSAT、フランスの国際バカロレアなどの統一試験を参考にするという。では、欧米の試験がどのようなものなのか、現在のセンター試験との相違点はあるのかを調べるため8月上旬にCEの姉妹団体であるHeadlinersのロンドン局、ベルファスト局、フォイル局を訪ねて、実際にGCEやGCSEを受けている学生たちに取材をした。

 イギリスの学生たちにはまず日本のセンター試験は一回で結果が決まってしまうが、複数回受験し、一番良い結果を選択することができるイギリスのGCSEやGCEとどちらが良いかと聞いた。結果は、どの局でも学生たちの意見が分かれた。イギリスのシステムの方が良いと言った人は、「一回ではプレッシャーが大きすぎる」、「どんどん点数を良くしようと頑張るから継続的に成績があがる」、「何度もチャンスが欲しい」という意見だった。それに対して、ロンドン局のプレシャスさん(18)は「複数回受けられると最初に頑張った人と後から頑張った人の評価は同じものになってしまって、最初から頑張っていた人が報われない」と語った。一度だけのチャンスに向けて勉強をする方が、全員平等の結果が出るため、日々勉強している人にとっては一度の勝負が公平だという。

 驚いたのは日本のセンター試験に比べ、GCEやGCSEでは100科目という幅広い科目数から受験科目を選択することだ。そこで、このメリット、デメリットについて聞いた。メリットは、「自分の将来を真剣に考えられるようになる」、「得意な科目、興味のあることを選択することができる」などが挙がった。フォイル局のマイケル君(20)は、「自分のことは自分が一番良くわかっているから、自分にとって良い選択ができる一方で、自分で自分の可能性を閉じてしまうことになるかもしれない」と不安も語った。他のデメリットとしては、「14歳で自分の生涯に関わる科目を選択しなければいけないので、若すぎるのではないか」という意見が多くあった。また、イギリスでは選択した科目を途中で変更する場合は早い段階で決めなければいけないため、他の授業とかぶっていないか、受験枠の人数に空きがあるかなどの条件を満たさなければいけないそうだ。そのため、選択する前に考えることが大事なのだと数人が述べていた。

 最後に将来自分のやりたい職業に就くために大学は必要かと尋ねると、ほぼ全員が「必ずとは言えない」と答えた。理由は、企業はどのような学科や大学を卒業しているかよりも、経験を重視するからだという。ロンドン局のガブリエル君(17)は、記者になりたいと思って、文系の学科などに入って勉強をしても、HeadlinersやChildren Expressなどの子ども記者団体に入って実際に記事を書いたほうが良い記者になれると語った。ただし、医者や先生などの特定の職業に関しては大学は必要だと答えていた。

 各局への取材を終えて、イギリスの制度にも日本の制度と同じようにメリットとデメリットが存在することが分かった。また、日本がマークシート式なのに対して、イギリスでは記述式を重視した試験にしているという違いも知った。イギリスで取材した際、多くの学生がマークシート式の方が当たる確率が高いから受けやすいと答えていた。それに対してフォイル局のケイティーさん(17)は、マークシート式は答えの選択肢が似たりよったりしているので、正確に答えを知らなければいけないから難しいと語った。取材の最後にイギリスの制度と日本の制度のどちらが良いか、最初に聞いたが意見が変わったかと聞いた。結果は完全に変わったという人は少なかったが、どちらの制度にもメリットとデメリットがあり、学生たちのことをよく考えて作られてあると語っていた。 日本の教育制度がこれから変わろうとしているが、どの制度にもメリット・デメリットは存在する。それよりも、私たちの学生にとっては、将来の職業や専門につながる勉強や経験を重視した教育をすることが大事なのではないだろうか。少なくともイギリスはそういう方向であることが感じられた。日本の文科省の判断を待ちたい。

カテゴリー
教育 国際

訪英取材より(6記事)

少年の軽犯罪 ~日英の対応と対策の違い~
2010/11/14                持丸 朋子(15)

日本で近年、少年の犯罪が増えている。警察庁によると昨年は検挙されただけでも 5 万人を超え、中でも万引き犯が 12000 人いるそうだ。理由としては家庭の事情や親に関心を持って欲しい、かまって欲しいなどが あ げられるという。このような身近な問題である万引きなど少年の軽犯罪の対応と対策はどのようになっているのだろうか。今夏、日英記者交流事業で記者として訪れた英国と、日本とで少年犯罪者への対応と予防対策について調べることにした。

ロンドンのYJB(少年司法委員会) 取材

<日本>

まず日本の警察庁へインタビューを行った。

そもそもなぜ軽犯罪をしてしまうのか。たとえば万引きの場合、理由は、お金がなかった、ゲーム感覚でやった、親にかまって欲しい、友達に強制的にさせられたというのが主なものだと生活安全局少年課理事官の佐野裕子氏はいう。

万引きをした少年は、親とのコミュニケーションが取れておらず居場所を求めている場合が少なくないことから、万引きに至った経緯や家庭の状況等について話を聞いてあげることが大切なのだそうだ。また、軽犯罪をする少年の中には、過去に虐待を受けた経験があり、それが万引きといった非行に影響している者もいるという。

「ぴあすぽ」取材

佐野氏はさらに、「警察庁は万引きをした少年がいたら警察に連絡するように店の人に呼び掛けている。警察へ通報された子どもは事情聴取をうけるとともに、親も呼ばれることになり、これをきっかけに、自らの行為をしっかりと振り返ることにつながる。事情聴取だけで終わる場合もあるが、その後、何度も補導されるなどして継続的に支援をする必要が認められ、保護者がこれに同意をした場合などは、警察が設置している少年サポートセンターという施設で立ち直り支援を受けることもがある」という。

警察は全国の道府県に少年サポートセンターを設置しているが、東京都は青少年・治安対策本部青少年課が民間の NPO に委託している。東京都から「ぴあすぽ」という名称で委託を受けている世田谷区にある特定非営利活動法人「日本子どもソーシャルワーク協会」へ取材に行った。

「ぴあすぽ」の寺出草太氏によると、ここには犯罪をした子ども、不登校などの問題がある子ども、そして保護監察中の子どももいるそうだ。

ここにきた子どもはユースワーカーの人と話したり、マンガやゲーム、スポーツをするなどをして居場所づくりができる。このようにして軽犯罪をした子どもを立ち直らせようとしているという。

<イギリス>

では、イギリスの場合はどうなのか。ロンドンにある Youth Justice Board( 少年司法委員会 ) で取材をした。少年司法委員会は、イングランド地方とウェールズ地方で少年犯罪対策を管轄している。

警視の Sian Lockley 氏によると、対策の一つとして、万引きをする子どもが多い昼時に学校近くのスーパーマーケットなどの前に、私服のガードマンと一緒に学校の教師が立ち、見張りをする。また、私服ガードマンが店内を周り、監視をすることもある。このような直接的な対策のほかに、軽犯罪を犯した少年の親の教育もするという。

Lockley 氏によると、イングランドとウェールズ地方の一部の地域では Youth Restorative Disposal( 少年修復処置 ) という更生方法をとっているそうだ。

この「少年修復処置」は、少年法が適用される 刑事責任年齢である 1 0~17 歳の子どもが万引きのような軽犯罪を初めて犯したしたときに適用されるそうだ。ただし、 200 ポンド (29,000 円※ ) 以上の高額商品を万引きした場合は警察に逮捕され、顔写真、指紋、 DNA 、調書などがとられ、保護者が呼び出される。逮捕歴が犯罪記録に残り、少年が将来就職をする際には、雇用主がこの犯罪履歴を見て、採用を見合せることがあるという。

「少年修復処置」がとられると、犯罪者は金銭で罪を償うのではなく、地元の清掃などのボランティア奉仕活動をすることで償う。この方法は、犯罪履歴が残らないため犯罪者の保護者も、被害者も喜んでいるという。

この「少年修復処置」は 2007 年にイングランドとウェールズ地方の 8 地域で試験的に開始されてから、わずか 3 年で 33 地域に増えた。ロンドンのような大都会でも似たような処置がとられているそうだ。

「少年修復処置」の特徴の一つは、少年犯罪者と被害者が同意すれば直接会って話をすることができる。

ベルファスト局取材

少年犯罪者は、まず被害者に直接謝罪をし、なぜ犯罪をしてしまったのかを伝えることができ、一方被害者は被害がどういうことに影響を及ぼしているかなどを話すことができる、同じ地域で 再び会う 機会があるので、再犯の防止につながると L ockley 氏はいう。

また、犯罪者の更生はだれが行っているのかを尋ねたところ「各地域の家族や警察官、ソーシャルワーカー、教育スタッフ、メンタルヘルス担当官などから編成される『少年犯罪対策チーム』が 1 つの建物内で一緒に行っている」ということだった。

これは日本の警察が設置している少年サポートセンターと似ているのかもしれない。

ロンドン局取材

 しかし、万引きをした少年がいたらすぐに警察へ連絡するように呼びかけている日本の警察庁と、犯罪履歴を残さないために 200 ポンド未満の初犯の場合は、警察に逮捕されずに「修復的処置」をとるイギリスの少年司法委員会の方法は違うのではないか。

 日英共通して言えることは、親子の関係が原因であり、それをなおすことが一番の解決策のようだ。親子の関係が、子どもが軽犯罪をする一番の原因であると警察庁も「ぴあすぽ」も強く言っていた。

 日本とイギリスで方法は違うけれど、子どもの一番そばにいて大きな影響を与える大人との関係をよくし、話を聞いてもらえる人がひとりでもいることが大切なのではないだろうか。

(※円換算は 2010 年 11 月 12 日現在の対顧客売値で 1 ポンド= 145 円)

日本と違う? 高校時代の過ごし方
2010/11/14                宮澤 結(17)

ロンドン局取材

2009年、日本では97.9%の学生が高等学校に進み、そのうち53.9%の学生が大学へ進んだ(文部科学省「平成21年度 学校基本調査」より)。大学へ進むために多くの学生が塾や予備校に通っている。一方、イギリスの大学進学率は2000年に60.0%だった(文部科学省「平成18年度 教育指標の国際比較」より)。日本と大学進学率はそれほど変わらないイギリスだが、イギリスの中高生たちは大学進学をするためにどのような準備をしているのだろうか。
その点を知るため、イギリスの3つの局で、それぞれインタビューを行って見えてきたのが、イギリスの中高生の将来に対する職業選択の意識の違いであった。日本とイギリスの大学進学および職業選択の意識の違いについてまとめてみた。

日本では中学校を卒業する15歳までが義務教育で、その後進学するか就職するかを決める。イギリスの場合は16歳で義務教育が終了し、進学を希望する人も就職を希望する人も、卒業するにあたってGCSE(General Certificate of Secondary Education)という統一試験を受けなければならない。その後、就職を希望する生徒は日本でいう高等専門学校に進学し、就職に直結する専門のコースで学び、大学進学を希望する生徒は日本の高等学校にあたる「6th form」という2年間のコースに進む。
  6th form に進んだ学生は、大学に入学するために大学で専攻したい科目の関連分野3科目について専門的に学び、2年後の18歳でA Level(Advanced Level)という統一試験を受ける必要がある。A-LevelではA~Eまで5段階の合格基準があり、通常、大学で専攻したい科目の関連分野がC以上で合格することが、大学入学許可の条件となっている。

今回インタビューを行ったベルファスト局では13人中12人、フォイル局、ロンドン局では共に6人中6人の記者が大学へ行くと言っていた。その理由としては「経験を積むため」という意見や、「学位を取って仕事を得るため」など様々な意見が上がった。

大学進学のためにどうやって準備をするのかを聞いたところ、三つの局で「学校のテストで準備をする」という回答をもらった。日本の塾の写真を見せて説明をすると、どの局でも驚かれた。ベルファスト局のスタッフであるカイアン・マッカー氏(38)は「イギリスでは小学校に入学する前に勉強を始める準備のための幼稚園があるけれど、それは小学校受験のためではない。大学受験のための塾もないと思う」と言う。
どうして大学受験の準備の仕方に違いがあるのだろうか。

これにはイギリスの教育制度が関係していると思われる。イギリスでは公立私立に関係なく、統一試験だけが唯一の大学入学試験であり、試験の合格基準によって行ける大学が決まるのに対し、日本は大学入試センター試験はあるものの、それに加え大学ごとに独自の試験を行うことところがほとんどだ。そのため、日本では志望大学ごとの対策が必要となり、塾や予備校に通って大学受験の準備をする人が多いのだろう。日本では学校の終わった後の放課後や休日を利用して塾などに通う。

大学進学のための準備についてインタビューしていくうちに、イギリスの中高生は大学の先を見越して大学進学をも考えている様子が見えてきた。イギリスにはWork experienceという制度があるが、彼らは職業体験を重視し、この制度を利用している。この制度では自分の希望する職種・分野の仕事で2週間働くことができるのだ。
ロンドン局でインタビューをした大学2年生のジャメリア(20)は「就職するにはCollege(単科大学)かUniversity(総合大学)に行って学位を得ることが有利だと思う。でも、自分が希望する職種に就くには技能を身につけることが必要で、一番大切なのは経験を積むことだ」と言っていた。そのために彼女がしたことがWork experienceだった。「アルバイトは長期的にできるしお金も得られるけれど、Work experienceの方が将来したい仕事により近い仕事ができる。私はこの制度を使って、音楽雑誌の会社で働いた」と彼女は語った。
また、フォイル局ではWork experienceを経験している人はいなかったものの、グレイス(15)は「私の学校では15歳から17歳の間にWork experienceを利用して、新聞社で働ける制度がある」と言っていた。

今回の取材を通して、日本とイギリスの中高生時代の過ごし方に大きな違いを感じた。日本では、大学合格のために、学生生活の多くの時間をただひたすら塾に行って受験勉強に費やすように思われる。したがって、一番の目標が大学合格であれば、大学入学と同時にその目標は失われ、その先を見失いがちになってしまうのではないかと思う。イギリスでは大学受験の勉強は学校で行い、放課後の時間は、「自分は将来何をしたいのか考えること」に時間を費やせる。
イギリスの同年代の学生が大学卒業後の就職を考えて中高時代を過ごしていることが、本来の学生の姿であるように思えた。

自分のやりたいこと、考えている?  日英の比較
2010/11/14                持丸 朋子(15)

日本の成人式の説明をしているところ

日本では 15 歳で義務教育が終了した後の進路は、平成 19 年の文部科学省のデータによると 99.7 %が高等学校へ進学。その後、 51.2 %が大学や短期大学などへ進学する。 その際、 大学ならどこの学校でもどこの学部でもいい、就職もどこでもいいから企業へ入りたいといって、大学で専攻した学部とまったく関係のないところへでも就職するということが多くあると言われる。その傾向は就職氷河期と言われている現在、特に激しいとも聞く。

このようなことは他の国でも同じなのか疑問に思い、この夏の訪英プログラムで訪れたイギリスの子どもたちに、大学進学や就職に対してどうかんがえるのか、聞いてみた。

英国にあるチルドレンズ・エクスプレスの姉妹団体 Headliners の 3 つの局(北アイルランドのベルファースト局、フォイル局、イングランド地方のロンドン局)で、大学へ行きたい、もしくは既に行っている人にその理由について聞いた。すると、日本の現状とは大きく違う答えが返ってきた。すべての局で返ってきた答えは「自分の興味のある分野を専門的に学びたいから」というものだった。

たとえば、ロンドン局で記者を修了して現在は局で働いているジェイミー (20) は「将来メディアにかかわる仕事がしたいから、メディアについて大学で学んでいる」と答えた。フォイル局の記者トーマス (18)は「学位が取れ、就職で有利だから」と答えた。このようにただ大学に入るだけでなく、入ることによっての自分へのメリットをしっかりと考え、大学で学んだことや学位など得たことを就職へ生かそうとしている。

就職を考えるという点では、英国にはユニークな制度がある。 Work Experience (職業体験)という制度だ。これは仕事に就いた時、つまり就職のための準備の一つである。また、実際にその職業に就く前に体験してみることによって、その職業の見えていない部分などもよくわかり、その職業が自分に向いているかどうか、などを見極める機会ともなる。

Work Experience を利用すると、高等学校に在学している間の第 10 学年と第 11 学年にあたる 15 歳から 17 歳の時に約 2 週間、もしくは大学在学中か大学卒業後に、自分の興味のあるところで働けるのだ。 Work Experience を学校のプログラムとして実施するところもあるという。フォイル局の記者グレース (15) によれば「彼女の学校では「新聞社へ行って Work Experience ができる」。 そうだ

 高等学校に在学している間の Work Experience は、大学へ入るときには特に評価されないという。その代わり、就職するときに評価される。高校時代にこの制度を利用する人は、つまり、将来、就職するときの自分のために、高校にいるときから自分の時間を割いて準備をしているのだと言える。

日本の高校生 の多くは 、学校のほかに塾へ行って大学受験の勉強をしてとりあえず大学に入り、大学で専攻していたことと関係が無くても、とりあえず就職をと考える。一方、英国の高校生は とても早い段階から自分の将来を考え、そのために大学では何を専攻するのか、 Work Experience をやるかやらないか、やるならば何をいつやるのかなどを決めている。

イギリスで記者に取材をし、イギリスの子どもは自分の行きたい進路がはっきりしているうえに理由もきちんとあり、進路や就職などの将来に対しての意識が高いことに驚いた。 

日本でも、将来に対しての意識がこれくらいあるといいと思う。そのためには、 英国の学生たちのように、早いうちから自分がやりたいことを考えられるように、職業に関しての情報がもっと子どもたちに届くといいと思うし、職業を体験できる機会もあるといいのではないかと思う。

成人年齢の「日英比較」
2010/11/14                富沢 咲天(15) 

現在、日本の成人年齢は20歳である。成人年齢になると日本では選挙や飲酒、喫煙の権利が与えられる。しかしイギリスの成人年齢は日本より2年早い18歳だ。なぜ日本とイギリスとでは成人年齢が違うのだろうか。その点を疑問に思い、両国の若者たちは、成人年齢は何歳がいいと考えているのか、また、その理由はどんなものなんかなどを知るため、選挙や飲酒、喫煙に焦点をあてて両国の若者にインタビューをした。

まず最初に選挙権についての意見を比較してみよう。
日本の20~30代の若者に実施した街頭インタビューでは、16人中9人が「選挙権は20歳でいい」、残りの7人が「18歳がいいと思う」と答えた。わずかだが20歳支持派が多かった。20歳でいいという女性(29)は「18歳だとまだ政治について分からないことが多いから、選挙権は20歳のほうがいい」という理由だった。

イギリスの若者21人からは「18歳か16歳がいい」という答えが圧倒的に多く、「20歳がよい」という回答はゼロだった。「18歳になると大学に行けるし、軍隊にも参加できるし、16歳から働くことができるので18歳がいい区切りだ」とロンドン局のジャメリア(20)は言う。

早い年齢から政治に興味を持ち積極的に参加したいという意見と、政治について正しい判断ができると思われる20歳まで待った方がいいという意見。イギリスは早い年齢の積極派が多く、日本はどちらの考えも一定の支持があった。

次に飲酒の年齢について聞いてみた。
日本では20歳以上の大学生の3人に意見を聞いた。日本では「大学のコンパなどで、20歳未満の学生も一緒にお酒を飲む機会が多い。この点から、日本も飲酒可能年齢は18歳からがいい」という1人の意見があったが、残りの2人は別に20歳でもよいという意見だった。

日本での飲酒は20歳からなのに対し、イギリスでは18歳から飲むことができる。そのうえリンゴ酒やビールならば、親同伴の条件で16歳から飲むことができるという。それはイギリスでは19世紀末までは生水の衛生状態が悪く、幼児でも水代わりにリンゴ酒を飲んでいたという歴史からきているのかもしれない。イギリスの若者たちは現状の飲酒解禁年齢に不満はないそうだ。

イギリスでは18歳から飲酒できるので、日本の大学でのような問題は起きない。ジャメリアは「パブでお酒を飲むことによって学生同士が仲良くなれるが、自分で飲む量を調節できるかどうかが大切だ」と言った。人にもよるが、年齢が低いほど酒量のコントロールが難しいという欠点もある。リスクをおかしてでも学生にまかせるイギリスと、リスクのことを考えて飲酒年齢を上げておく日本とでは考え方が違うようだ。

最後に喫煙年齢についてだが、日本は20歳、イギリスは18歳からである。イギリスでは喫煙年齢はあまり問題にならないそうだ。「イギリスでは法律で、公共の場で吸ってはいけないと厳しく決められているから、タバコを吸う人は少ないよ」とロンドン局のジェイミー(21)は教えてくれた。実際私たちがイギリスに滞在している間、タバコを吸っている人をほとんど見かけなかった。イギリスではタバコが日本の3~4倍もの値段で売られているということも影響しているのかもしれない。日本でインタビューした大学生3人も皆20歳の現状でよいと答え、不満は感じられなかった。これは喫煙が健康を害するということをみんなが自覚しているから、あえて年齢の引き下げは望まないのではないだろうか。

今回のインタビューでは、日本とイギリスの若者の考えがいくつかの点で違っていることがわかった。個人的には、選挙と飲酒の年齢は社会に出て働いて納税する人も増える18歳から、喫煙年齢だけは健康に関係することなので現状のままで、そして喫煙の場所の法規制がイギリス並みにもっと厳しくなればいいと思った。

印象に残ったのは、イギリスの若者たちは大人になることについてみな「私たちは若くても自分の考えをちゃんと持っているから大丈夫」と自信たっぷりに話してくれたことだ。日本人のインタビューの中でも、もっと成人年齢を下げても「日本の若者はしっかりした意見を持っているから大丈夫」「政治に興味がある若者もたくさんいる」などの心強い意見もあったが、「まだ早い」「できない」「分からない」「責任を負えない」という自信のなさがあらわれた意見もあった。

これらの年齢は、私たちの属する社会が何を重視して考えるかで決まるのではないだろうか。イギリスでは若者を自立した個人として扱うことを重視していて、日本では若者を未熟な人間として保護することを重視していると思う。歴史や文化、国民性や風土が違うイギリスと日本でまったく同じ意見になる必要はない。意見が違っても、相手の考え方を知ることでお互いがもっと深く理解しあえるのではないだろうか。これらのテーマについてイギリスの若者の率直な意見が聞けたことで、彼らをとても身近に感じられるようになったと思う。

大人になるために大切なこと~日英の違いから学ぶ~
2010/11/14                南雲 満友(15)

イギリスの成人年齢は 18 歳で、日本のように行政のホールなどに一堂に会する成人式はないという。

これをはじめとして、イギリスと日本では、成人すなわち「大人になること」に対する意識には差があることがわかった。 飲酒、喫煙、選挙権について、イギリスの記者たちにインタビューし、 意見交換を通して見えてきた「大人になること」の意味について、まとめてみた。

 日本では 20 歳を成人年齢とし、 20 歳の誕生日になると、何もしなくても「はい、どうぞ」と飲酒も喫煙も法律で許され、選挙権も同時に与えられる。一方、イギリスでは事情が異なる。イギリスでは、かつて 21 歳が成人年齢と決められ、飲酒、喫煙、選挙権が与えられるのは 21 歳からだった。しかし成人年齢の引き下げを求める学生運動により、 1969 年から法律上の成人年齢が 18 歳になったのだ。ただ、成人年齢を 21 歳とみなす慣習はまだ強く、 18 歳、 21 歳どちらを成人とするかは、各家庭で決められることが多い。これは、自分の子供の成人年齢は、慣習的に親自身の考える「成人」という定義に任されているからだ。したがって、 21 歳を成人とみなす家庭の子供も、 18 歳になっていれば法律上は飲酒、喫煙が許され、選挙権を持てるというのが現状だ。

 飲酒についてイギリスの記者たちに聞いてみると、、ほとんどの記者が「お酒を今までに飲んだことがある」と答え、「場所は家やバーなどで」だったという。飲酒年齢について聞いた時、ロンドン局のボランティアスタッフ( 21 )は、「自己管理できるなら 18 歳は適切な年齢だと思う」と答えた。また「 18 歳未満の記者にバーでお酒を飲んだ時に、年齢を聞かれたか」を聞いたところ、「全く聞かれなかった」とフォイル局の女性記者( 18 )は答えた。

 飲酒について、イギリスではユニークな条件もある。イギリスの飲酒解禁年齢は 18 歳であるが、 16 歳以上であれば、大人同伴ならバーやパブでリンゴ酒やビールを飲むことは、合法とされているのだ。イギリスの義務教育終了年齢が 16 歳であること、そして大学入学年齢が 18 歳であることを考えると、この条件は合理的だと言える。

 喫煙については、イギリスの記者たちに、日本で未成年者の喫煙防止のために導入された「 taspo 」についてどう思うかと聞いた。フォイル局の女性記者( 18 )は「本当にたばこを買いたい人は、知人に頼めるから意味がないと思う」と答え、ロンドン局のボランティアスタッフ( 21 )は「イギリスにも ID カードはあるけど写真がないから使い回しできる。日本の taspo は写真入りだからそれができない。イギリスもそうしたシステムを導入すべきだと思う」と語り、賛成、反対それぞれの意見が聞けた。

イギリスで驚いたことは、たばこの自動販売機がないことだった。「どうしてイギリスには自動販売機がないと思うか」と質問したところ、フォイル局の女性記者( 15 )は「自動販売機でならば、どこでもいつでも買えるから、未成年が買ってしまうので、イギリスにはないと思う」と語った。また、ロンドン局のボランティアスタッフ( 21 )は「法律で公共の場所での喫煙は禁止されているから、(買っても吸えないため)イギリスにはないと思う」と答えた。

 選挙権については、「あなたは選挙に行きましたか」と聞いたところ、ロンドン局のボランティアスタッフ( 21 )は「自分の税金がどう使われているのか気になるから、選挙に行った」と答えた。またベルファスト局の記者たち 12 歳~ 17 歳に聞くと全員が「 18 歳になったら行く」と言った。調べてみると、 イギリス 2010 年総選挙の投票率は 65 %、日本 2009 年衆議院議員総選挙は 69.6 %と日本の方が高かった。しかし、年齢層別の統計では、 30 歳以下年齢層投票率は日本では 33 %、イギリスでは 52 %だった(ダイヤモンド社ビジネス情報サイトによる)。若者の選挙に対する関心は、イギリスの方が日本よりはるかに高いことがわかった。

今回の取材を通じ、飲酒・喫煙・選挙権について、両国の制度や、若者の意識の違いを知ることができた。

喫煙については、イギリスは、国が制定した法律により、年齢にかかわらず公共の場での喫煙を禁止し、根本的な部分で規制をかけているのに対し、日本は、公共の場での禁煙は法制化せず、末端の自動販売機にだけ未成年に対して規制をかけている。実際に未成年者の禁煙を進めるのであれば、日本の今のやり方でいいのだろうか。

また選挙に関して、私は、自分が働いて収めた税金の使い方を決める人を選ぶ権利が、働いている人にはあると思った。日本では 20 歳以上でも働かずに親の仕送りなどで暮らしている人がたくさんいる。それに対し、中学校を卒業してすぐ、就職して働いている人も少なくないが、この人たちは選挙権がない。最近、選挙権の年齢の引き下げがとりただされているが、 18 歳に一律引き下げではなく、働いている人には選挙権が与えられ、働いていない人には選挙権が必要か考えてみることも大切かもしれないと考えるようになった。

日本でも参政権運動などを経て、今は 20 歳(成人年齢)になると考える間もなく、男女とも選挙権が与えられる。権利には責任が伴うが、新成人の大半は選挙にもいかず、その責任を果たしているとは言えない。しかし飲酒、喫煙だけは享受しているようにも見える。一方イギリスの若者は 18 歳で選挙権が得られる以前から、投票や政治に興味を持ち、与えられる権利に伴う責任についても考えていると感じた。

「大人になること」つまり成人年齢に達するということは、自分の行動や言動に責任を持ち、与えられた権利に対して義務や責任を果たしていくことなのではないだろうか。その点で、イギリスの若者は「大人になること」についてよく考えていると言えると思えるが、日本の若者はもう一度よく考え、行動していく必要があるのではないだろうか。

カテゴリー
座談会

大学へ行く意味 ~なぜ大学へ行くのか~

大学へ行く意味は時代によって、国によって大きく異なります。もちろん個人の事情もあります。日本の若者は大学へ行く目的、あるいは青年期の4年間をどのように使おうとしているのか、高校生、大学生、そして高卒で就職したCE記者6人が本音で語り合いました。

井上麻衣(19社会人)、藤原沙来(19大学2年)、畔田涼(18高校3年)、三崎友衣奈(17高校2年)、建部祥世(17高校2年)、秋津文美(21大学3年・司会)
2009/03/01

■率直な志望理由

文美 :高校生の祥世ちゃん、涼ちゃん、友衣奈ちゃんは

    大学へ進学志望だそうですが率直な理由は?

祥世 :将来は海外で仕事がしたいので

    しっかりした学歴が必要だと思いました。

涼  :英語の学習をもっと深めたいのと、

    就職の時に大卒の方が有利ではないかと。

友衣奈:社会に出る前に、実践的に使えるものを大学で学びたい。

    大学へ行かないと就職できないなというイメージがあります。

文美 :大学に行かないと就職できないのではという考え方に

(高卒で就職した)麻衣ちゃんはどう思いますか?

麻衣 :私も高校二年までは大学に行くと決めていたので、

まさかこんな道(注:化学メーカー)に入るとは・・という感じはあります。

大卒でないと就職できないと思っていたけれど、

こうやって就職しているので、‘できる’というのが現実です。

文美 :会社では大卒の人と、高卒の人は同じ仕事をするの?

麻衣 :大卒よりも大学院卒とドクターが約 95 %です。

    研究職なのでそうなります。残りの5%が四年生大学卒と高卒です。

    高卒は 10 年ぶりに採ったそうですが同じ仕事をしています。

文美 :仕事は変わらない?

麻衣 :自分ががんばれば変わらないと思います。

■世界には色々な生き方がある

涼  :麻衣ちゃんは、どうして進路を変えて就職しようと思ったのですか?

麻衣 :学歴がないとダメだぞ!と思っていました。

    でも私は世界の人に興味があって、世界には「学歴」でなく、

フリーで活動している人も多く、いろいろな生き方があるのだと感じたの。

そうしたら、大学へ行かなくても働けば同じように生きていけるし、

楽しい人生は自分が選ぶものだと思えてきて、ころっと 180 度変わりました。

祥世 :今の仕事は自分が希望した仕事なんですか?

麻衣 :希望しました。将来を考えた時にこれをやりたいって思っているから。

文美 :沙来ちゃんはなぜ大学に行ったの?

沙来 :専門知識を得たいと思いました。本でも勉強はできるけれど

    教授の経験を通しての話や、友人からの刺激など、

    そういう環境にいることで得るものもあると思い大学に入りました。

文美 :大学でできる人脈や友だちは大事ですか?

沙来 :そうですね。自分一人で生きていては絶対に出会わないような

    色々なコネクションができるのが強みだと思います。

友衣奈:就職にコネは絶対条件というイメージがあって、大学には行くものだと

    思っていましたが、いま高校二年生になって考えると、

このままあと一年で社会に出るのはすごく不安です。

麻衣ちゃんがそのまま就職した勇気はすごいなと思います。

麻衣 :私は社会人というカテゴリーに自分がいることに実感がないの。

    周りは大学院卒やドクターが多いから、よけい学歴の差を感じて

    ジレンマになるのだけれど、先輩たちが教えてくれる。

    それをコツコツ勉強して学生気分で仕事をしている感じなのです。

    社会人って言われるとびっくりします。

■大学は自分探しの場所?

文美: 私の経験では、大学は知識を詰め込むところではなく

    考える場所なのです。

知識は会社に勤めながらでも得られると麻衣ちゃんが指摘しているし

高卒でも就職できる。それでもあえて大学へ行こうと思う皆さんが

大学を出た先に描くビジョンってどういうものですか?

涼  :大学では自分探しの時期として利用したいと思っています。

自分探しのためだけに親のスネをかじって大学に行かせてもらう

のだけれど、でもやはり私にはそういった時期が必要です。

今どの職業に就きたいっていう明確なものがないので。

麻衣 :とてもいい意見だと思います。

    高校卒業までにみんなが就きたい職業が決まっているかと

    言われたら絶対そうじゃないし、

    一生の事だから焦って決めなくていいと思う。

友衣奈:大学生って、社会人みたいなことをする人たちもいるでしょう?

    社会人予備軍的な存在なのかと考えるのですが、どうなんでしょう。

沙来 :私は、大学に入ってから「自分探し」では手遅れかなと思う。

    なぜかというと私は勉強したくて入ったからすごく嬉しいし、

    学ぶのが楽しい。フラフラしていたら四年間しか大学はないし、

    将来や自分を見失うと思うので、自分のやりたいものに絞って

    やった方が有意義になると思います。

友衣奈:沙来ちゃんに質問です。

    例えば「自分には夢とか興味が何もありません」みたいな人が

    「とりあえず大学行くか」といって行くでしょう?

    そういう人はフラフラしがちで・・・

    大学に行く価値ってどんなものものだと思いますか?

沙来 :目的を持たずに成績によって入ってきた学生も実際にいます。

    授業を受けながらサークルに入って・・でも単位を取るために

    勉強しなきゃいけないし、みんな義務感を持って勉強しているのが現実なの。

フラフラしているようでも自分なりに目標を立てているのが今の大学生かな

と思います。

■社会の風潮に洗脳

文美 :でも本当に目標もなく大学に行く人もいますよね。

親も「大学を卒業しておけばとりあえず就職とかの間口も拡がるから」

みたいに言う。私立で年間 100 万円の授業料。国立でも 50 万円以上でしょう。

それに対して何か意見はありますか? 

沙来 :日本がそういう社会なのです。四年制大学を卒業してないと採りませんと。

例えばギャップイヤー(例:高校卒業して 1 年間海外でボランティア活動)とか、わずか一年間のことで「何をやっていたのか」って言われて、

それでもうマイナスになってしまう。

日本の企業に入りたいなら四年制大学を出るしかないっていう感じです。

麻衣 :そういう風潮が日本は強いです。大学へ行かなくちゃ就職できない

    みたいな固定概念がある。社会の風潮に私たちの考えも洗脳されている

    感じがします。

■仕事にニーチェはいらない?

友衣奈:私の姉は就職したばかりですけど、友だちと似たような会社を

    とりあえずたくさん受けて、内定をもらったところに行く・・。

就職目的は各人が違うのに、結局はみな同じようなところを受けて、

そういう企業に入っていく。

同じ進路になってしまうのがすごく疑問なのです。

よほど専門的な道を選ばない限り受ける企業も同じっていう。

文美 :確かに文系で就職しようと思うと総合職か一般職で、

    ある程度専門的になるのは会社に入ってからです。

    仕事に歴史の知識や文学部の知識とかニーチェはいらないから、

    大学で違うことをやってきても同じ仕事に就くでしょうね。

友衣奈:それを否定しているわけじゃないんですけど。

沙来 :でも大学で学んだ経験や知識はみんな違うし、

    自分が興味あることをやってきたわけだから

    仕事のためにならなくても、就職するときにアピールできたり

    自分の興味のあることを伸ばせるし、それは無駄ではないと思います。

友衣奈:就職を最終目的としているのではなくて、

    自分のやりたいことをもっと吸収できる場所っていうこと?

沙来: 例えば現代社会を学んでいる人たちは一般的な企業に就職するしか

ないかもしれない。でも確かに彼ら彼女たちは現代の社会問題を

大学で学んできた。

    私は児童問題についてしか学んでいないので、会社に勤めてから

    生かせる部分もきっと違うだろうし、将来大人になってからも

    生かせる部分が違うと思う。だから何かの目的を持ちつつ

自分が学びたいことを学ぶのが一番いいと思います。

■大学・就職・人生

文美 :大学に行くのは就職に有利だと、そこまでは否定しないでおきましょう。

 今ちょっと思ったの、

 人生のなかでは、生きる喜びが必要かなと。

 仕事には別にチェーホフとかはいらないから、大学はまったく楽しみの

ために行くもので勉強と仕事は違うと思っていたのですが、

 みなさんは大学で得る知識を仕事で生かそうと思っていますか? 

涼  :楽しみにプラスして、例えば自分のスキルアップをするために資格を

    取る期間として利用してもいいと思う。

文美 :それはそうだけれど、就職の先に何かないの?

    大学で学んだ事が母親、父親になった時に生かされるとか。

    お金を稼ぐだけじゃなくて国際的なことやボランティア論や起業など

    大学ではいろいろある。でも大学で取った教員資格が使えなくなったり

するし、 TOEIC もある程度の点数がないと意味がない。

    やっぱり不況を意識しますか?親からも就職の話を言われますか?

友衣奈:「どの大学行っていいかわからない」と言うと、

    「大学行ったらコネがすごいのよ」とか言われるので、

    やはり就職につながっているものだと思ってしまう。

祥世 :私は別に親からこの大学に行ってとか、この仕事をしろとか

    全然言われません。ただ自分の将来やりたいことがあるので、

    そのためにまず大学で知識をちゃんと学びたいのです。

    大学で学んだことは就職した後にも絶対生かせると思うし、

    学んだことを生かせる仕事に就きたいと思っているので、

    やはり大学は就職のこととつなげて考えます。

■目的があれば将来につながる

文美 :私と同い年の CE の元記者が、一番行きたかった大学に入ったのです。

ところが入ったら授業があまり興味をかき立てられなくて、

まじめに勉強する学生が少ないという話を聞いたの。

彼女はすごくショックを受けたらしい。

友衣奈ちゃんが入手した統計では 2007 年の高卒者は 114 万 7 千人。

そのうち 58 万7千人が四年制の大学に進学するそうです。

数十万人は大学へは行きたいのに経済的理由で社会人になる

という現実もあります。

58 万人の大学進学者がどれだけ考えているのか疑問ですよね。

友衣奈:私はきょうの話を聞いて大学でやったことがすべて就職に

    つながるわけではないことがすごく新鮮でした。

    目的があれば、大学は将来につなげるために学ぶ機会になり、

    目的がないなら、まだ学生でいたい人たちが行くのかなという

    弱い部分も見えたのでよかったと思います。

涼  :沙来ちゃんの話を聞いて、入学時にある程度目標を持っていないと

    大学は四年間しかなく自分の好きなことができる時間は短い。

    新たにそういう発見があったのでよかったと思います。

祥世 :麻衣ちゃんは高校三年生から短い期間に自分の夢をしっかり確立して

    すごいと思いました。私は将来やりたいことが決まっていないので、

    大学でそれを見つけに行くのも「あり」で、

    結局は自分次第で良くも悪くもなると思いました。

沙来 :私は、大学生になったらやりたいことがあったから今の学部を選んだし、

講義を休んでまで行きたいところがあったから行ったりしています。

 それを理解してくれる教授がいればネットワークも拡がるし、 

 ほんとうに将来一番自分を形成できる場所だと今すごく実感している。

 ただ勉強するだけじゃなくて、いろんな刺激を受けながら、

 自分のやりたいことを絞っていけるいい場所だと思う。

 就職のためにも、日本では大学に入っているといいのかなと改めて思いました。

麻衣 :大学へ行く理由とか、就職する理由の答えはないのです。

    ただ同じ四年間でも働いているか勉強しているかというだけで、

    結局はその人ひとりひとりの人生なのです。

    CE 記者をしていると、情報に流されるな、鵜呑みにするなとよく言われます。

    大学に行ってもまわりが遊んでいるから、それに流されないようにする、

    社会が学歴を求めているからといってそれに流されたりしない・・。

    自分らしくあれば環境はどうであってもいいのかなと思います。

文美 :その場その場の環境で学べばいいという感じでしょうか。
それぞれに大学へ行く意味が見いだせたところでラウンドテーブルを終わります。

関連記事
・大学へ行った意味
高校時代とは違い自主性が求められるのが大学生活です。
授業、部活、アルバイト、そして就職活動。
いまの大学生が何を思い4年間を過ごしているのか、
高校生から大人まで知っていて欲しいディスカッションです。

カテゴリー
スポーツ

スポーツを支える裏方「グリーンキーパー」

<スポーツを支える裏方>
「グリーンキーパー」山口義彦さん
―芝生は我が子。母親のように愛で、育てあげる。―

                 2007/12/22   川口洋平(17歳)
                         貝原萌奈実(18歳)
                          三崎友衣奈(15歳)

 「将来の夢」について考えるとき、頭に浮かんでくる職業は社会の表舞台で活躍する華やかな職業が多い。だが世の中には、私たちの知らない裏方の職業がたくさんある。スポーツにおいても、選手が最善の状態でプレーするためには、影で支える裏方の存在が欠かせない。今回はそんな裏方の中から、「グリーンキーパー」という職業に迫ってみた。

青々とした芝はグリーンキーパーによって支えられている。

 グリーンキーパーとは、その名の通り芝生の管理をする職業で、主にはゴルフ場、他にもスタジアムや競技を目的としたグラウンドの芝を育成、管理する仕事である。日産スタジアムのグリーンキーパー山口義彦さんはゴルフ場で 10 年、スタジアムで 10 年と計 20 年芝管理に携わっているベテランだ。

●グリーンキーパーとは?

 芝生の気持ちになって、何をしてやるべきか考えながら、実際に育てあげるのがグリーンキーパーの仕事です。芝生は生き物だから、赤ちゃんを育てる母親と同じような感じで接しています。病気にもなるし、虫に食われることもある。お腹がすいたら肥料をあげなきゃいけないし、喉が渇いたら水をあげなくてはいけない。一番大事なのは子どもの成長を見守るように日々観察することですね。

日産スタジアムグリーンキーパー
山口義彦さん

どうやって常緑の芝を保つの?

 J リーグのホームスタジアムでは芝を常緑に保つことが義務付けられています。
そのため横浜F・マリノスのホームスタジアムである日産スタジアムでは、暑さに強い暖地型の芝生と寒さに強い寒地型の芝生の両方を用いるトランジット ( 乗り換え ) 方式を採用しています。寒くなって暖地型の芝生が茶色く枯れる前に、寒地型の芝生の種を蒔く。お客さんには気づかれないように常緑を維持しているんです。

 また最近は地球温暖化の影響で、本来であれば 11 月初旬で茶色く枯れるはずの暖地型の芝が、 12 月を迎えてもまだ緑を維持してしまっている。そうなると、暖地型の芝生が水や養分を吸ってしまい、新しく蒔いた寒地型の芝生が育たないんです。暖地型の芝生に関しても、最近の異常な暑さでは管理方法の見直しが必要ですね。

 ちなみに人間が寒さを感じる「外気」が、芝生が寒さを感じる「地温」に伝わるのには 1 ヶ月ぐらいかかります。人間が少し寒さを感じる頃になっても、芝はいまだに残暑を感じていることもあるので、芝の気持ちになってあげなくてはいけないんです。

●芝生を育てるのに最も必要なことは?

 このスタジアムは、近くにある鶴見川の氾濫を防ぐために、大雨の際には地下に水が溜まる仕組みとなっています。100本以上の柱でスタジアム全体を持ち上げる高床式の植木鉢のような構造で、地面よりも土の量が少なく、保水能力が低い。だから自然の芝生なら雨が 1 回ふれば 1 ヶ月ぐらい水をあげなくてもいいのですが、ここでは頻繁に水を蒔かなくてはいけないんです。

 現在は雨水や再生水 ( 中水 ) を溜めて使うなどの工夫をしていますが、これには多くの水が必要なんです。水をあまり使わなくてもいいような根っこの長い芝を作ることが今後の課題ですね。

●芝にとってよくないこととは?

 芝にとっての天敵はコンサート!これだけ大きなスタジアムを運営するには億単位のお金がかかるので、その運営資金を稼ぐために、 J リーグの試合と比べ物にならないほど収益が大きいコンサートを行っています。でもコンサートでは芝生の上にも客席を設置するので、芝生はストレスを受けて黄色く変色してしまう。元に戻るのに 2 週間ぐらいかかりますが、試合の都合があるために十分な休養をとらせてあげられないのがつらいところです。

 グリーンキーパーにできることは、なるべくストレスのかからない芝生を作ることですから、どうすればいたわってやれるか、いつも、そのことで頭がいっぱいです。

スタジアムの芝は人工的な植木鉢のような状態になっている。

●なぜこの仕事に就こうと思ったんですか?

 実は、最初からこの仕事に就こうと思っていたわけではないんです。大学を出て就職したのがゴルフ場を開発・管理する会社で、最初の頃は、上司に「山で芝生を刈ってこい」と言われて途方にくれ、「なんで大学出て、こんなことやっているんだろう」と思う日々が続きましたね。でも、毎日の芝生を見ているうちに、自分のやったことに芝生が応えてくれて、変化がわかるようになり、だんだん楽しくなってきた。今ではこの仕事が天職だと感じていますよ。

●グリーンキーパーになるためにどんな勉強をすればいいのですか?

 学校で何を学んできたかはあまり関係ないですね。仲間には農学系の大学ではなく経済系の大学の出身者や高卒でこの仕事についている人もいますよ。大学での実験よりも実際に芝生に毎日触れて経験していくことが大切で、好きなら誰でもできます!ゴルフ場で働いていたときは、どういう風にお客さんがプレーすると芝生が傷むのかというのを知るために自分でプレーしてみたこともありました。

●どういう人がこの仕事に向いていますか?

 天気が関係して自分の思い通りにならない仕事なので、気の長い人が向いているとは思いますが、何より好きであることが一番大切!

●苦労したことは?

取材の様子

 芝生によかれと思って肥料をあげたりしても、芝生は肥料を欲しがっていなくて、余計なお節介になってしまうことがあるので、毎日試行錯誤の連続です。また、地面に生えている芝は、雨が 1 回降れば土の保水力で 1 週間ぐらい水をあげなくても大丈夫なんですが、人工的な植木鉢のようなスタジアムは、地面にある土よりも保水力がないため、頻繁に水をあげなくちゃいけない。ゴルフ場とは芝の管理が全然違って苦労しますね。

 なかなか、満足がいく芝生の状態に到達しないんですが、スタジアムを使用したいという需要は増える一方。ベストの状態にもっていけない現状に対して、ジレンマを感じますね。

●この仕事のやりがいは?

 まず、「自分達が作っている芝生が J リーグや、ワールドカップの舞台を支え、世界の一流プレイヤーのプレーを支えている」という誇りがありますね。それと、自分のやったことに対して芝生が応えてくれることがやりがい。自分が手をかけたらかけた分だけ芝生は応えてくれるんです。逆に、何か足りなければ、それなりの芝生にしかならない。その反応が、一番のやりがいにつながりますね。毎年毎年が新しい経験なんです!

- * - * - * - * - * - * -  

 ずっと目指してきた職業だけでなく、偶然手に入れた職業にも誇りを持てる場合がある。予想もしなかったような職業に就いてしまい、辛い時期もあるかもしれない。

しかし色々な職業があって初めて社会は成り立つ。表舞台で輝く人がカッコいいのは当然だが、裏方がいなくてはその人は表舞台には立てない。むしろ輝く人を創り出している裏方の方が、実はカッコいいのかもしれない。

どんな職業にも社会を支える誇りがある――このことを心にして、多くの職業の中から自分にとっての「天職」を見つけ出してほしい。

取材をした記者の感想

・貝原 萌奈実
芝生の上でプレーしている人もかっこいいけど、自分達が作っている芝生の上でワールドカップの試合が行われているということを誇りに思いながら、陰で支えている人もカッコいいと思いました。天職につける人が少ないなかで、仕事をやっていくうちにやりがいを見出して、好きになれるというのがすごいと思います。

・川口 洋平
芝の気持ちになって、芝生にとって一番いいことをやってあげたいと思えるぐらい仕事に打ち込めるってすごいと思いました。
自分も将来それぐらい打ち込める仕事に就けたらいいです。

・三崎 友衣奈
季節によって芝生を変えるというのは知らなかったです。まさか枯れた芝生の上に種を蒔いているなんて思いませんでした。知識以上に感覚や経験を必要とする職業だと思いました。

カテゴリー
座談会

若者の理系離れ

 経済協力開発機構(OECD)が57の国と地域の15歳男女(日本は高校一年生) 約40万人を対象とした、2006年国際学習到達度調査(PISA)の結果が2007年12月に発表された。日本は、数学的応用力が6位(2003年)から10位(2006年)へ、科学的応用力は2位(2003年)から6位(2006年)という結果になった。関心、意欲を示す指標は世界最下位、「理科の勉強は役に立つ」との回答は世界で2番目に少ない。進む理系離れをどうするのか。今まさに文理の選択を迫られている高校生が理系離れの理由にせまった。


2007/12/17  
出席者:大久保里香(16)、曽木颯太朗(16)、平吹萌(16)、川口洋平(18)(司会)

どうやって文系、理系の選択をしたの?
洋平:みなさんの学校では文系・理系のコース分けはありますか?
 
里香:私の学校は13クラスあるのですが、それの3分の1が理系クラスで、残りの3分の2は国立文系と私立文系対応のクラスになって、2年次から分かれなければなりません。

萌:うちの学校も13クラスあります。コースは3回のアンケートで決まるんですけど、2回目のアンケートの段階で、理系の方が7クラス分くらい。でもそれは今年だけで、例年11クラス中5クラスが理系で、残りの6クラスが文系っていう感じです。

洋平:何年生の時に分かれるの?

萌:高校2年生になる時に完全に分かれます。

颯太朗:うちの学校は高校2年の時に分かれるんですが、いつも6クラス中3クラスが理系で3クラスが文系。この前アンケートを取ったら文系がやや多いくらいでした。

洋平:ちなみに、みんなまだ高一だから選んでないと思うけど、文系か理系か決めている?

里香:私の学校はもう決まったのですが、私は理系に行こうと思っています。

萌:うちの学校ももう決まったんですけれど、私は文系に行こうと思っています。

颯太朗:僕の学校はまだ決まってないんですが、僕は文系に行こうと思っています。

洋平:なんで文系とか理系に行こうと思ったのか理由を教えてください。

里香:私の場合は明らかにテストの点数で、理系教科だけ良くて文系教科がダメなので、これは理系に行くしかないなと思って理系にしました。

萌:私は理系の方が成績的にはいいけれども、学校の授業を受けていて「このレベルで来年理系に行くともっと難しい」って言われて、自信がなくなって文系にしました。

颯太朗:僕は、一つは大学で歴史を勉強したいという理由があるんですけど、もう一つは数学がからっきしダメだからです。

洋平:数学っていつ頃から苦手になっちゃったの?
 
颯太朗:小学生のとき受験勉強はじめてから「ああ数学は苦手なんだ」と思いました。

教科が「好き」よりも受験で「有利」を選ぶ
洋平:里香ちゃんはテストの結果から理系が向いていると思ったみたいだけど、みんなけっこう妥協しちゃうんだよね。萌ちゃんみたいに「私、数学ダメだから文系にしよう」って思う人が多い気がする。まわりの子を見ていて「研究するのは好きだけど数学ができないからやめようかな」とか「宇宙飛行士になりたいけど、数学や物理が苦手だからな」という話を聞いたことない?

里香:理系の研究職に就きたいって思っていたけれど、テストの点数で見たら、文系科目の方が大学受験の時に有利なので文系にするという友達がいました。

洋平:なるほど、受験する道具として使う時にね。

萌:うちの学校は数学にすごい力を入れているから、みんな数学ができるのに、文理の選択の時に「薬学部に入りたいから理系にしたい」と言うと、先生が「このテストである程度の点数を取っておかないとちょっと理系は難しいんじゃない」って言う。特に女子で理系に進む人は少ないと思います。

洋平:女子は理系が少ないんだ。なんで理系に進む女の子は少ないんだろう。

萌:やっぱり三者面談とかですごい言われるから…。

洋平:じゃ女の子は数学とかの成績悪いの?

萌:数学はできます。ただ、物理・化学が難しくて男子と比べると点数が低くなる。

洋平:そういうものなのかな。男の子の方が物理・化学ができる。

里香ちゃんのところはそういうのはある?

里香:今は女の子も男の子も同じくらいできると思うんですけど、理系の先生が、男の子には先天的に備わった理系の理解力があるみたいなことを言っていました。

洋平:男の子は先天的に物理とか化学ができる頭になっているんだ。

里香:そう言われました。

洋平:もしかしたら、そういう先天的なものがあるのかもしれない。工学部とかは男子が多くて、女子は50人に1人いるかいないかっていう話を聞いたことがあるし。でも女の子が、「男の子がやるものだから、物理・化学は頑張らなくていいや」っていう発想をしているわけじゃないの? どうなんだろう?

萌:そういうのもあるとは思う。

洋平:職場環境の問題から女性が研究職に就きにくいっていう現実があるけど、女の子の立場から研究職に対して何かある?「研究所とか工場で働くのはイヤだな」みたいな。

里香:私は単純に化学とか数学を解いていて楽しいと思えるので、大学に入ったら研究所にも入ってみたいし、あまりそういう風には考えません。

萌:私は、女の子は研究職より文系に行くものなのかなって思うし、物理・化学もあんまり楽しいと思えない。テストのために、赤点を取らないように勉強している気がする。楽しく覚えるよりも、覚えなきゃいけない、やらなきゃいけないみたいな気持ちが強いから、最初はすごい興味があったけど、どんどん好きじゃなくなっていっちゃった。

洋平:入試制度って今文系入試と理系入試に分かれているよね。確かに国立志望か私立志望かでも分かれているけど、例えば「僕は選択で世界史と化学と物理取ります」というような文理融合的な入試制度があったらいいと思いますか?
 
里香:もし文系と理系の教科でそれぞれ得意な科目があって、その教科で受験できるとしても、大学に行った時に自分の専門分野を決めることができないと思うので、やっぱり理系と文系に大学入試の時点で分けることは必要だと思います。

日本は文理を分けるのが早すぎる!?
洋平:今みんなが高2で分かれるように、日本は文系・理系をはっきり分ける国だと言われています。高校の時に文系・理系って分けないで、みんなが同じことを学んで進学していく国もあるんだけど、そういう仕組みについてどう思う?

里香:正直まだ自分が理系なのか文系なのか、よくわかりません。高2の時に明確に分けられちゃうと、途中から文転しづらいので不安な面もあります。

萌:私は理系の教科もけっこう好きだから、あまり分けないでほしかった。でも「分けなきゃいけない、どっち?」って言われてギリギリまで悩んで決めたけど、本当は両方少しずつ学んでみたかったです。

颯太朗:僕は理系があまり得意じゃないので、あえて学びたいとは思いません。でも教育学部や芸術とか、理系と文系の中間的なところも色々あると思うので、そういうのも分からないうちにただ文系と理系に分けるのはどうかな、と思っています。

洋平:なるほど。理系の人が文系に変えるよりも、文系の人が理系に変える方が難しいよね。高校である程度基礎的なこと、物理・化学のことを両方学んでおけば、いざ進学って時に文系の人が理系にいけるようになることもあり得ると思いませんか?
 
里香:私の学校では理系は理系の教科だけ勉強して、文系も数学はほんとに初歩的なことしかやりません。一度文系に行ってしまったら理系にはいけないし、理系に行ったらもう文系についていけなくなるので、文転・理転するのはすごく難しい状況にあると思います。

洋平:学校が受験用のカリキュラムとして組んでいるから、そうなっちゃうんだよね。

萌:うちの学校は進学校と言われるところなので、中学のときから高校一年生までの間に理科は一学年一科目ずつ勉強しています。そのうえで決めているので、理系から文系に行くことはできるんですけど、文系から理系は難しいと言われるんです。

颯太朗:うちの学校は文系と理系に分かれ、さらにその中で私立と国立に分かれています。私立は文系・理系どちらもその教科しかやりませんが、国立だと文系でも数学と理科を、理系なら英語、国語と社会もやるんです。でも理系の方が数学も理科も進むのが早いので、よっぽど自信がある人じゃないと文系から理系には行きません。

理系離れが進む理由
洋平:今、文系・理系それぞれ分かれていると思うんだけど、理科は好き? 例えば液体窒素に花を入れて凍らせて、手で触るとぐちゃぐちゃってくずれたりとか、スーパーボール液体窒素の中入れるとはねなくなって割れるとか、そういう理科っぽいことって好き?

颯太朗:僕は文系なんですが、化学の周期表に非常に興味があって、周期表の話は好きです。でもそれに数学とか数式がからんでくるとダメです。

萌:私は実験とかはすごく好きだけど、それを化学的に考えなきゃいけないのがイヤ。実験は面白いけど、なんでそうなるのかっていう説明は好きじゃない。

洋平:力学的なことは考えずに、純粋にペットボトルロケット飛ばして遊ぶってことだね。わかりました。では、なぜ理系離れが進んでしまっているんでしょう。

颯太朗:やはり理系に進むと仕事の範囲が専門的なところとかに限られてしまう。しかも理系は文系に比べると、数学や理科など、面倒くさいイメージがあって、特に理系の技術者とか医者になろうと思っていない人たちは、一般のいろんな職業に就けるような文系を選んでしまうのではないでしょうか。

里香:理系と文系の大学の学費を比べると、理系の方が高くなります。文系・理系どちらを出ても、結局普通の会社に勤めるなら、学費の安い文系を出た方がいいと思う人も多いはず。大学を卒業するのも文系の方がラクなのかなと思います。

萌:私は進路を決めるために色々大学のことを調べて、やっぱり女の子で理系の研究職はいやだなって思いました。でも医学部や薬学部は大学にもこだわると難しかったり、お金がすごくかかったりします。そういうことを考えて、将来的になれる職業の幅や視野が広がる文系にしちゃいました。

理系離れを食い止めるには
洋平:最後に理系離れをくい止めるにはどうしたらいいと思いますか。以前、雑誌で見たんだけど、女子校で数学、化学、物理の先生を、今までのおじいちゃんとかおじちゃんから、全部若いイケメンの先生にしたんだって。そうしたらそれ目当てで食いついてくる生徒がいっぱいいて、その学校は理系の進学実績が上がったんだとか。これはすごく極端な例だと思うけど、何かそういう理系離れをくい止める方法はあると思いますか。

里香:義務教育の時から数学や理科の授業の難易度を上げて、文系の人でも理系に強くなる環境を作れば、理系好きの人も増えて理系離れが防げるんじゃないかなと思います。

洋平:でも落ちこぼれも増えそうだよね。

萌:私は最初に言われたように、やっぱり興味が持てた方がいいと思う。その興味がまずわかないんですよ。うちの学校も理科の先生だけすごいお年の人が多くて、黒板とかもめちゃくちゃ。若い人だったら興味が持てるし身近に感じる、そういうのがいい気もします。

颯太朗:今みんなが文系に進んでいるのは、安直な気持ちでラクだからだと思うんです。例えば世界史で覚えるものを今の三倍にするとか、文系でやることをすごく大変にしたら、みんなまた安直な気持ちで理系に行くんじゃないかと思います。

洋平:うちは理系の先生で個性的な方がすごく多いんだけど、それも一つの取り組みづらさになっているかなと思いました。これで理系離れ班の「なぜ理系離れが進んでいるのか」の座談会を終わりたいと思います。

関連記事

・理系離れを食い止めるために

Translate »
コンテンツへスキップ