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座談会

ケータイ小説

 ケータイ小説からミリオンセラーが誕生し、07年上半期(06年12月~07年5月)の文芸作品売り上げトップ10に5作品も入った。ケータイ小説とは携帯電話サイトで一般の人が執筆・閲覧できる小説の総称で、執筆者、読者ともに10代、20代が中心である。普段読書をしない若者が活字を読むようになる一方、語彙が少ない、文章表現に乏しいなどの問題もあり賛否両論だ。実際にケータイ小説を読む高校生はどのように受け止めているのだろうか。

2008/02/6  
出席者:原衣織(16)、畔田涼(16)、貝原萌奈実(16)、藤原沙来(18)、川口洋平(18)(司会)

普段読書をしない人もケータイ小説は読んでいる
洋平:ケータイ小説を読んだことありますか? どんな本をどんなときに読んだのか教えてください。

涼:私は通学時間や夜眠れない時に暇潰しとして「恋空」を携帯で途中まで読みました。

萌奈美:「恋空」を途中まで読みました。ちょっと古いけど、「DEEP LOVE」も読んだことがあります。通学時間や寝る前の他に、恋の話を聞きたい時に読むかな。本が読みたいからではなくて、面白い恋の話を聞きたいから読む感じ。でも結構目が疲れるので長時間続けては読めないんですけどね。

沙来:私も通学時間と学校で暇な時に、携帯で「恋空」を、本で「恋空」をちょっとだけ読みました。周りの友だちも客観的にケータイ小説を見ているので、「これおかしいよね」とか「おもしろいよね」と言い合いながら読むことが多いです。

衣織:「恋空」はマンガ・本・携帯、全部で読みました。他に今回のRTに向けて携帯から数作品途中まで読んでみましたが、名前はちょっと覚えていません。私は朝通学の時に携帯で読んでいて、何度か優先席以外でも携帯を使っているとおじさんに怒られたことがあったので、今は学校の休み時間に友だちの本を借りて読んでいます。

洋平:みんなの周りではどんな人がケータイ小説を読んでいますか。

涼:私は高校生ですが、周りで読んでいるという話はあまり聞きません。中学生の妹は携帯でも本でも読んだみたいです。学校の読書の時間に書籍化されたケータイ小説を読んでいる人もいると言っていました。

萌奈美:高校生ぐらいになると本を読む人と読まない人にはっきり分かれるけど、普段本を読まない人がケータイ小説を好きな傾向にあると思う。

衣織:私の周りには、本は難しいから読めなくて、マンガも話の展開がよくわからない、ケータイ小説が一番わかりやすいと言って読んでいる子がいます。

沙来:本は持ち運びが大変で重くてかさばるから読まないけど、携帯は手軽なので、授業中や眠くなりそうな時に読むという人はいます。

洋平:皆さん書籍だったり携帯の画面上だったり、何らかの形でケータイ小説を読んだことがあるんですね。どんなことを思ったのか第一印象を聞かせてください。

涼:カギ括弧が多く、個人的には普通の小説より親近感がわいて読みやすいという印象を受けました。でも情景描写がすごく少ないとも思います。

洋平:読みやすいというのはストーリーが学校生活に則していて、自分に近いから?

涼:それもあると思います。

衣織:私が読んだ4,5作品は全部共通して恋愛物でした。どの作品も女の子はびっくりするぐらいかわいくて頭も良くて、でもちょっと天然ボケという設定で、いつも4,5人の男の子から好かれているけど、結局彼氏を選ぶというストーリーが決まっていました。マンガの方がもっとヒネリがあると思います。

沙来:「恋空」はカギ括弧が多かったので、涼ちゃんとは反対に読みづらかった。私は主人公のような状況になることもないし、文体や言葉遣いも普段使わないものだったので読みにくいなという印象を受けました。でも一般の高校生はそういう言葉を使っているんだなって客観的に楽しめたし、面白く読めました。

萌奈美:ケータイ小説って、友だちから恋の話を聞いている感覚だと思う。普通の小説では登場人物が何人かいて、いろんな見方ができるようにキャラクター設定されているからそれぞれの登場人物に感情移入ができる。でも、ケータイ小説の場合はその主人公にだけ感情移入するから、ほんとに恋の話を聞いている感じがします。

洋平:主人公と同じ世代だからこそ受け入れられるのであって、もし自分がもっと大人だったら同じような話を読んでも共感はできないと思う?

萌奈美:そうですね。そう思います。

記号だからこそストレートに伝わる思い
洋平:今、括弧が多いという文体のことが出ました。僕もいくつかケータイ小説を本で読んでみて、セリフの後に星や音符などのメールでよく使う記号がついていることに気づきました。普通の小説には無いよね。記号が入っていることで、読むときに抵抗や読みにくさを感じたり、逆に読みやすいと思ったりしましたか。

衣織:そういう記号を使わないと表現できない思いもあると思います。普段友だちに恋の話をメールでするとしたら、絵文字とか顔文字とか多用するでしょ。情景描写が不十分な分、記号を使わないと表現できないんだなと思いました。

洋平:普通の小説での比喩的表現が、その記号一個に込められている感じ?

衣織:そうですね。会話のニュアンスとか。

洋平:それは多分この世代でしか共有できないようなものなんだよね。

沙来:記号を使うのはメールの延長線上だと思う。メールは絵文字だけで送ることもあるし、絵文字だからこそストレートに伝えられる思いもあります。文字は色々なことを伝えられるけれど、読む人によってイメージする情景は違ってしまうことも多い。でも携帯の記号が示している意味は大体同じだから、読む人にとってはわかりやすいと思います。

衣織:でも記号が多いとうんざりしませんか? メールなら絵文字の種類がたくさんあるけど、私が読んだケータイ小説の本の中では星や音符だけで、文字で表現できないのかなって思いました。

涼:私は「恋空」を携帯で読んだので、記号に全く違和感を覚えなくて、今言われて「ああそうだったかも」と思いました。もし本で読んでいたら、携帯で読んだ時とは記号に対する印象が変わっていたかもしれません。

衣織:ケータイ小説は行間がすごく広くて、本で見るとこの間がムダな感じがしますが、みんなは行間が広い方が読みやすいですか?

萌奈美:メールは行間が空いている方が読みやすいと思う。本はびっしり文字が書いてあるのが当たり前で、段落とか小学校で習う作文のルールがあるけど、メールには無い。メール感覚で読めば読みやすいけど、本になると確かに「なんでここ空いているの?」と思いますよね。

洋平:みんなはケータイ小説を本で読むとき、小説ではなくて、メールや掲示板の延長線上として読んでいるのかな。

萌奈美:そうですね。私が初めて読んだケータイ小説は「DEEP LOVE」で、普通の小説かと思って本を読んだら全く違いました。「恋空」は最初からそのつもりで携帯でしか読んでいません。

本ではなく携帯だから読むのか!?洋平:ケータイ小説は携帯だからヒットしたり読もうと思ったりするのかな、それとも本でも同じだと思う?

涼:私は携帯だからこその良さを大切にしてもらいたい。もし「恋空」が最初に本で出版されていたら、ここまでのヒットにはなっていなかったと思います。

沙来:「恋空」は映画化されて、映画の女優さんが有名だったから、みんな携帯や書籍に流れたんだと思う。テレビや雑誌などのメディアの宣伝に影響を受けて、自分たちがまだ知らない三角関係とかに興味を持ち、実際に読んだり見たりする子が多いんじゃないかな。

衣織:「恋空」は確かに携帯からじゃないとここまでヒットしなかったと思いますが、本屋さんに行ったら他にも沢山ケータイ小説が書籍化されて並んでいるので、今だったら携帯でアップされる前に書籍化されても、ある程度は売れると思います。

洋平:自分がケータイ小説のような小説を書くとして、原稿用紙に向かったら書けないけど、携帯でなら書けるな、と思うことはある?

萌奈美:私は普段自分で小説を書いています。導入や情景描写はきちんとしたいので、頭の中にイメージがあっても上手く書けないと嫌になってしまうけど、ケータイ小説はそもそもそういうのが必要ないからどんどん書けると思う。慣用句がわからなかったら記号でごまかせばいいわけだし。

衣織:ケータイ小説はすごく書きやすいと思います。友だちの恋愛模様を綴った日記と大差が無くて、導入部分も考えなくていい。私が昨日読んだものは携帯のプロフみたいに「何才、身長何センチ、顔は何、髪型は何」とズラズラ箇条書きにしてありました。言葉遣いも普段話している通りでいいので、書こうと思えば誰にでも書ける気がします。

沙来:携帯の方が書きやすいと思います。ペンを動かさなくても指先を動かせば書けるし、原稿用紙に比べて携帯のほうが手軽。「言葉にすると難しいけどこんな感じ」というニュアンスも記号一つで伝えることができるから。

ケータイ小説は新たなジャンル
洋平:ケータイ小説が流行して、最近ランキングの上位に入っているよね。それを受けて、日本語が乱れていくと言っている大人がいます。日本語の乱れや、小説の文学的価値が下がると言われていることについてはどう思いますか。

萌奈美:ケータイ小説はケータイ小説で、普通の小説は普通の小説って分けて考えればいいと思います。ケータイ小説を大人は批判するかもしれないけど、新しいものが生まれて、現に読んでいる人がいて、それを面白いと感じているなら存在を否定する必要は無いと思う。過激な表現は別にしても、誰かがイヤな思いをするわけでもないし、少しは物語を読むことにはなるので、小説とみなさずに新しいジャンルが成立したと考えればいいと思う。

涼:小説離れや本を読む人が少なくなっていることが問題視されているけど、日頃文庫本を読んでいた人が、ケータイ小説にはまって文庫本を読まなくなるケースは少ないと思う。ケータイ小説はケータイ小説として存在する価値があると思います。

衣織:今の二人と大体同じ意見だけど、ケータイ小説は状況や描写が似ているから、ずっと読んでいると飽きると思うんですよ。そうすると現代のわりと読みやすい普通の小説に流れることも考えられる。だから小説は難しいものだと捉えている人が読書の導入としてケータイ小説を読んだらいいのではないかと思います。

沙来:私もケータイ小説は読書をするきっかけになると思うし、記号や言葉遣いを楽しむこともできるので、一つのジャンルとして確立していけばいいと思います。ただ、ケータイ小説は実話ではないのにあたかもその子が存在しているかのように主観的になって読んでしまうし、短くて感情移入しやすい点が問題だと思います。

衣織:感情移入するのは問題ですか? 私は普通の小説を読んでいても感情移入するし、いいと思う本は友だちに貸して「あの主人公の考え方いいよね」と話し合ったりします。ケータイ小説ではみんながそれをしているみたいであんまり抵抗は無かったのですが。

沙来:例えば一般の書籍には書いていない恋愛の状況やリスクを負った行動を、興味本位で実行しようとしたり、三角関係を楽しみたいと言ったりしている友達がいる。現実ではあり得ないことを、身近に感じさせてしまうのは問題だと思います。
(編集注)携帯小説では、星や音符などの記号だけが使われている。絵文字は携帯の機種によって異なるため使用されていない。書籍化された場合も記号は原文のままである。

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スポーツ

スポーツを支える裏方「グリーンキーパー」

<スポーツを支える裏方>
「グリーンキーパー」山口義彦さん
―芝生は我が子。母親のように愛で、育てあげる。―

                 2007/12/22   川口洋平(17歳)
                         貝原萌奈実(18歳)
                          三崎友衣奈(15歳)

 「将来の夢」について考えるとき、頭に浮かんでくる職業は社会の表舞台で活躍する華やかな職業が多い。だが世の中には、私たちの知らない裏方の職業がたくさんある。スポーツにおいても、選手が最善の状態でプレーするためには、影で支える裏方の存在が欠かせない。今回はそんな裏方の中から、「グリーンキーパー」という職業に迫ってみた。

青々とした芝はグリーンキーパーによって支えられている。

 グリーンキーパーとは、その名の通り芝生の管理をする職業で、主にはゴルフ場、他にもスタジアムや競技を目的としたグラウンドの芝を育成、管理する仕事である。日産スタジアムのグリーンキーパー山口義彦さんはゴルフ場で 10 年、スタジアムで 10 年と計 20 年芝管理に携わっているベテランだ。

●グリーンキーパーとは?

 芝生の気持ちになって、何をしてやるべきか考えながら、実際に育てあげるのがグリーンキーパーの仕事です。芝生は生き物だから、赤ちゃんを育てる母親と同じような感じで接しています。病気にもなるし、虫に食われることもある。お腹がすいたら肥料をあげなきゃいけないし、喉が渇いたら水をあげなくてはいけない。一番大事なのは子どもの成長を見守るように日々観察することですね。

日産スタジアムグリーンキーパー
山口義彦さん

どうやって常緑の芝を保つの?

 J リーグのホームスタジアムでは芝を常緑に保つことが義務付けられています。
そのため横浜F・マリノスのホームスタジアムである日産スタジアムでは、暑さに強い暖地型の芝生と寒さに強い寒地型の芝生の両方を用いるトランジット ( 乗り換え ) 方式を採用しています。寒くなって暖地型の芝生が茶色く枯れる前に、寒地型の芝生の種を蒔く。お客さんには気づかれないように常緑を維持しているんです。

 また最近は地球温暖化の影響で、本来であれば 11 月初旬で茶色く枯れるはずの暖地型の芝が、 12 月を迎えてもまだ緑を維持してしまっている。そうなると、暖地型の芝生が水や養分を吸ってしまい、新しく蒔いた寒地型の芝生が育たないんです。暖地型の芝生に関しても、最近の異常な暑さでは管理方法の見直しが必要ですね。

 ちなみに人間が寒さを感じる「外気」が、芝生が寒さを感じる「地温」に伝わるのには 1 ヶ月ぐらいかかります。人間が少し寒さを感じる頃になっても、芝はいまだに残暑を感じていることもあるので、芝の気持ちになってあげなくてはいけないんです。

●芝生を育てるのに最も必要なことは?

 このスタジアムは、近くにある鶴見川の氾濫を防ぐために、大雨の際には地下に水が溜まる仕組みとなっています。100本以上の柱でスタジアム全体を持ち上げる高床式の植木鉢のような構造で、地面よりも土の量が少なく、保水能力が低い。だから自然の芝生なら雨が 1 回ふれば 1 ヶ月ぐらい水をあげなくてもいいのですが、ここでは頻繁に水を蒔かなくてはいけないんです。

 現在は雨水や再生水 ( 中水 ) を溜めて使うなどの工夫をしていますが、これには多くの水が必要なんです。水をあまり使わなくてもいいような根っこの長い芝を作ることが今後の課題ですね。

●芝にとってよくないこととは?

 芝にとっての天敵はコンサート!これだけ大きなスタジアムを運営するには億単位のお金がかかるので、その運営資金を稼ぐために、 J リーグの試合と比べ物にならないほど収益が大きいコンサートを行っています。でもコンサートでは芝生の上にも客席を設置するので、芝生はストレスを受けて黄色く変色してしまう。元に戻るのに 2 週間ぐらいかかりますが、試合の都合があるために十分な休養をとらせてあげられないのがつらいところです。

 グリーンキーパーにできることは、なるべくストレスのかからない芝生を作ることですから、どうすればいたわってやれるか、いつも、そのことで頭がいっぱいです。

スタジアムの芝は人工的な植木鉢のような状態になっている。

●なぜこの仕事に就こうと思ったんですか?

 実は、最初からこの仕事に就こうと思っていたわけではないんです。大学を出て就職したのがゴルフ場を開発・管理する会社で、最初の頃は、上司に「山で芝生を刈ってこい」と言われて途方にくれ、「なんで大学出て、こんなことやっているんだろう」と思う日々が続きましたね。でも、毎日の芝生を見ているうちに、自分のやったことに芝生が応えてくれて、変化がわかるようになり、だんだん楽しくなってきた。今ではこの仕事が天職だと感じていますよ。

●グリーンキーパーになるためにどんな勉強をすればいいのですか?

 学校で何を学んできたかはあまり関係ないですね。仲間には農学系の大学ではなく経済系の大学の出身者や高卒でこの仕事についている人もいますよ。大学での実験よりも実際に芝生に毎日触れて経験していくことが大切で、好きなら誰でもできます!ゴルフ場で働いていたときは、どういう風にお客さんがプレーすると芝生が傷むのかというのを知るために自分でプレーしてみたこともありました。

●どういう人がこの仕事に向いていますか?

 天気が関係して自分の思い通りにならない仕事なので、気の長い人が向いているとは思いますが、何より好きであることが一番大切!

●苦労したことは?

取材の様子

 芝生によかれと思って肥料をあげたりしても、芝生は肥料を欲しがっていなくて、余計なお節介になってしまうことがあるので、毎日試行錯誤の連続です。また、地面に生えている芝は、雨が 1 回降れば土の保水力で 1 週間ぐらい水をあげなくても大丈夫なんですが、人工的な植木鉢のようなスタジアムは、地面にある土よりも保水力がないため、頻繁に水をあげなくちゃいけない。ゴルフ場とは芝の管理が全然違って苦労しますね。

 なかなか、満足がいく芝生の状態に到達しないんですが、スタジアムを使用したいという需要は増える一方。ベストの状態にもっていけない現状に対して、ジレンマを感じますね。

●この仕事のやりがいは?

 まず、「自分達が作っている芝生が J リーグや、ワールドカップの舞台を支え、世界の一流プレイヤーのプレーを支えている」という誇りがありますね。それと、自分のやったことに対して芝生が応えてくれることがやりがい。自分が手をかけたらかけた分だけ芝生は応えてくれるんです。逆に、何か足りなければ、それなりの芝生にしかならない。その反応が、一番のやりがいにつながりますね。毎年毎年が新しい経験なんです!

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 ずっと目指してきた職業だけでなく、偶然手に入れた職業にも誇りを持てる場合がある。予想もしなかったような職業に就いてしまい、辛い時期もあるかもしれない。

しかし色々な職業があって初めて社会は成り立つ。表舞台で輝く人がカッコいいのは当然だが、裏方がいなくてはその人は表舞台には立てない。むしろ輝く人を創り出している裏方の方が、実はカッコいいのかもしれない。

どんな職業にも社会を支える誇りがある――このことを心にして、多くの職業の中から自分にとっての「天職」を見つけ出してほしい。

取材をした記者の感想

・貝原 萌奈実
芝生の上でプレーしている人もかっこいいけど、自分達が作っている芝生の上でワールドカップの試合が行われているということを誇りに思いながら、陰で支えている人もカッコいいと思いました。天職につける人が少ないなかで、仕事をやっていくうちにやりがいを見出して、好きになれるというのがすごいと思います。

・川口 洋平
芝の気持ちになって、芝生にとって一番いいことをやってあげたいと思えるぐらい仕事に打ち込めるってすごいと思いました。
自分も将来それぐらい打ち込める仕事に就けたらいいです。

・三崎 友衣奈
季節によって芝生を変えるというのは知らなかったです。まさか枯れた芝生の上に種を蒔いているなんて思いませんでした。知識以上に感覚や経験を必要とする職業だと思いました。

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座談会

若者の理系離れ

 経済協力開発機構(OECD)が57の国と地域の15歳男女(日本は高校一年生) 約40万人を対象とした、2006年国際学習到達度調査(PISA)の結果が2007年12月に発表された。日本は、数学的応用力が6位(2003年)から10位(2006年)へ、科学的応用力は2位(2003年)から6位(2006年)という結果になった。関心、意欲を示す指標は世界最下位、「理科の勉強は役に立つ」との回答は世界で2番目に少ない。進む理系離れをどうするのか。今まさに文理の選択を迫られている高校生が理系離れの理由にせまった。


2007/12/17  
出席者:大久保里香(16)、曽木颯太朗(16)、平吹萌(16)、川口洋平(18)(司会)

どうやって文系、理系の選択をしたの?
洋平:みなさんの学校では文系・理系のコース分けはありますか?
 
里香:私の学校は13クラスあるのですが、それの3分の1が理系クラスで、残りの3分の2は国立文系と私立文系対応のクラスになって、2年次から分かれなければなりません。

萌:うちの学校も13クラスあります。コースは3回のアンケートで決まるんですけど、2回目のアンケートの段階で、理系の方が7クラス分くらい。でもそれは今年だけで、例年11クラス中5クラスが理系で、残りの6クラスが文系っていう感じです。

洋平:何年生の時に分かれるの?

萌:高校2年生になる時に完全に分かれます。

颯太朗:うちの学校は高校2年の時に分かれるんですが、いつも6クラス中3クラスが理系で3クラスが文系。この前アンケートを取ったら文系がやや多いくらいでした。

洋平:ちなみに、みんなまだ高一だから選んでないと思うけど、文系か理系か決めている?

里香:私の学校はもう決まったのですが、私は理系に行こうと思っています。

萌:うちの学校ももう決まったんですけれど、私は文系に行こうと思っています。

颯太朗:僕の学校はまだ決まってないんですが、僕は文系に行こうと思っています。

洋平:なんで文系とか理系に行こうと思ったのか理由を教えてください。

里香:私の場合は明らかにテストの点数で、理系教科だけ良くて文系教科がダメなので、これは理系に行くしかないなと思って理系にしました。

萌:私は理系の方が成績的にはいいけれども、学校の授業を受けていて「このレベルで来年理系に行くともっと難しい」って言われて、自信がなくなって文系にしました。

颯太朗:僕は、一つは大学で歴史を勉強したいという理由があるんですけど、もう一つは数学がからっきしダメだからです。

洋平:数学っていつ頃から苦手になっちゃったの?
 
颯太朗:小学生のとき受験勉強はじめてから「ああ数学は苦手なんだ」と思いました。

教科が「好き」よりも受験で「有利」を選ぶ
洋平:里香ちゃんはテストの結果から理系が向いていると思ったみたいだけど、みんなけっこう妥協しちゃうんだよね。萌ちゃんみたいに「私、数学ダメだから文系にしよう」って思う人が多い気がする。まわりの子を見ていて「研究するのは好きだけど数学ができないからやめようかな」とか「宇宙飛行士になりたいけど、数学や物理が苦手だからな」という話を聞いたことない?

里香:理系の研究職に就きたいって思っていたけれど、テストの点数で見たら、文系科目の方が大学受験の時に有利なので文系にするという友達がいました。

洋平:なるほど、受験する道具として使う時にね。

萌:うちの学校は数学にすごい力を入れているから、みんな数学ができるのに、文理の選択の時に「薬学部に入りたいから理系にしたい」と言うと、先生が「このテストである程度の点数を取っておかないとちょっと理系は難しいんじゃない」って言う。特に女子で理系に進む人は少ないと思います。

洋平:女子は理系が少ないんだ。なんで理系に進む女の子は少ないんだろう。

萌:やっぱり三者面談とかですごい言われるから…。

洋平:じゃ女の子は数学とかの成績悪いの?

萌:数学はできます。ただ、物理・化学が難しくて男子と比べると点数が低くなる。

洋平:そういうものなのかな。男の子の方が物理・化学ができる。

里香ちゃんのところはそういうのはある?

里香:今は女の子も男の子も同じくらいできると思うんですけど、理系の先生が、男の子には先天的に備わった理系の理解力があるみたいなことを言っていました。

洋平:男の子は先天的に物理とか化学ができる頭になっているんだ。

里香:そう言われました。

洋平:もしかしたら、そういう先天的なものがあるのかもしれない。工学部とかは男子が多くて、女子は50人に1人いるかいないかっていう話を聞いたことがあるし。でも女の子が、「男の子がやるものだから、物理・化学は頑張らなくていいや」っていう発想をしているわけじゃないの? どうなんだろう?

萌:そういうのもあるとは思う。

洋平:職場環境の問題から女性が研究職に就きにくいっていう現実があるけど、女の子の立場から研究職に対して何かある?「研究所とか工場で働くのはイヤだな」みたいな。

里香:私は単純に化学とか数学を解いていて楽しいと思えるので、大学に入ったら研究所にも入ってみたいし、あまりそういう風には考えません。

萌:私は、女の子は研究職より文系に行くものなのかなって思うし、物理・化学もあんまり楽しいと思えない。テストのために、赤点を取らないように勉強している気がする。楽しく覚えるよりも、覚えなきゃいけない、やらなきゃいけないみたいな気持ちが強いから、最初はすごい興味があったけど、どんどん好きじゃなくなっていっちゃった。

洋平:入試制度って今文系入試と理系入試に分かれているよね。確かに国立志望か私立志望かでも分かれているけど、例えば「僕は選択で世界史と化学と物理取ります」というような文理融合的な入試制度があったらいいと思いますか?
 
里香:もし文系と理系の教科でそれぞれ得意な科目があって、その教科で受験できるとしても、大学に行った時に自分の専門分野を決めることができないと思うので、やっぱり理系と文系に大学入試の時点で分けることは必要だと思います。

日本は文理を分けるのが早すぎる!?
洋平:今みんなが高2で分かれるように、日本は文系・理系をはっきり分ける国だと言われています。高校の時に文系・理系って分けないで、みんなが同じことを学んで進学していく国もあるんだけど、そういう仕組みについてどう思う?

里香:正直まだ自分が理系なのか文系なのか、よくわかりません。高2の時に明確に分けられちゃうと、途中から文転しづらいので不安な面もあります。

萌:私は理系の教科もけっこう好きだから、あまり分けないでほしかった。でも「分けなきゃいけない、どっち?」って言われてギリギリまで悩んで決めたけど、本当は両方少しずつ学んでみたかったです。

颯太朗:僕は理系があまり得意じゃないので、あえて学びたいとは思いません。でも教育学部や芸術とか、理系と文系の中間的なところも色々あると思うので、そういうのも分からないうちにただ文系と理系に分けるのはどうかな、と思っています。

洋平:なるほど。理系の人が文系に変えるよりも、文系の人が理系に変える方が難しいよね。高校である程度基礎的なこと、物理・化学のことを両方学んでおけば、いざ進学って時に文系の人が理系にいけるようになることもあり得ると思いませんか?
 
里香:私の学校では理系は理系の教科だけ勉強して、文系も数学はほんとに初歩的なことしかやりません。一度文系に行ってしまったら理系にはいけないし、理系に行ったらもう文系についていけなくなるので、文転・理転するのはすごく難しい状況にあると思います。

洋平:学校が受験用のカリキュラムとして組んでいるから、そうなっちゃうんだよね。

萌:うちの学校は進学校と言われるところなので、中学のときから高校一年生までの間に理科は一学年一科目ずつ勉強しています。そのうえで決めているので、理系から文系に行くことはできるんですけど、文系から理系は難しいと言われるんです。

颯太朗:うちの学校は文系と理系に分かれ、さらにその中で私立と国立に分かれています。私立は文系・理系どちらもその教科しかやりませんが、国立だと文系でも数学と理科を、理系なら英語、国語と社会もやるんです。でも理系の方が数学も理科も進むのが早いので、よっぽど自信がある人じゃないと文系から理系には行きません。

理系離れが進む理由
洋平:今、文系・理系それぞれ分かれていると思うんだけど、理科は好き? 例えば液体窒素に花を入れて凍らせて、手で触るとぐちゃぐちゃってくずれたりとか、スーパーボール液体窒素の中入れるとはねなくなって割れるとか、そういう理科っぽいことって好き?

颯太朗:僕は文系なんですが、化学の周期表に非常に興味があって、周期表の話は好きです。でもそれに数学とか数式がからんでくるとダメです。

萌:私は実験とかはすごく好きだけど、それを化学的に考えなきゃいけないのがイヤ。実験は面白いけど、なんでそうなるのかっていう説明は好きじゃない。

洋平:力学的なことは考えずに、純粋にペットボトルロケット飛ばして遊ぶってことだね。わかりました。では、なぜ理系離れが進んでしまっているんでしょう。

颯太朗:やはり理系に進むと仕事の範囲が専門的なところとかに限られてしまう。しかも理系は文系に比べると、数学や理科など、面倒くさいイメージがあって、特に理系の技術者とか医者になろうと思っていない人たちは、一般のいろんな職業に就けるような文系を選んでしまうのではないでしょうか。

里香:理系と文系の大学の学費を比べると、理系の方が高くなります。文系・理系どちらを出ても、結局普通の会社に勤めるなら、学費の安い文系を出た方がいいと思う人も多いはず。大学を卒業するのも文系の方がラクなのかなと思います。

萌:私は進路を決めるために色々大学のことを調べて、やっぱり女の子で理系の研究職はいやだなって思いました。でも医学部や薬学部は大学にもこだわると難しかったり、お金がすごくかかったりします。そういうことを考えて、将来的になれる職業の幅や視野が広がる文系にしちゃいました。

理系離れを食い止めるには
洋平:最後に理系離れをくい止めるにはどうしたらいいと思いますか。以前、雑誌で見たんだけど、女子校で数学、化学、物理の先生を、今までのおじいちゃんとかおじちゃんから、全部若いイケメンの先生にしたんだって。そうしたらそれ目当てで食いついてくる生徒がいっぱいいて、その学校は理系の進学実績が上がったんだとか。これはすごく極端な例だと思うけど、何かそういう理系離れをくい止める方法はあると思いますか。

里香:義務教育の時から数学や理科の授業の難易度を上げて、文系の人でも理系に強くなる環境を作れば、理系好きの人も増えて理系離れが防げるんじゃないかなと思います。

洋平:でも落ちこぼれも増えそうだよね。

萌:私は最初に言われたように、やっぱり興味が持てた方がいいと思う。その興味がまずわかないんですよ。うちの学校も理科の先生だけすごいお年の人が多くて、黒板とかもめちゃくちゃ。若い人だったら興味が持てるし身近に感じる、そういうのがいい気もします。

颯太朗:今みんなが文系に進んでいるのは、安直な気持ちでラクだからだと思うんです。例えば世界史で覚えるものを今の三倍にするとか、文系でやることをすごく大変にしたら、みんなまた安直な気持ちで理系に行くんじゃないかと思います。

洋平:うちは理系の先生で個性的な方がすごく多いんだけど、それも一つの取り組みづらさになっているかなと思いました。これで理系離れ班の「なぜ理系離れが進んでいるのか」の座談会を終わりたいと思います。

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・理系離れを食い止めるために

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教育 国際

教育を受けるって当たり前?~カンボジアの学校を訪問して~

教育を受けるって当たり前? ~カンボジアの学校を訪問して~
2007/11/22              三崎 友衣奈(15)

 タイ、ラオス、ベトナムに囲まれたカンボジアは、年間を通して平均気温が36度。季節は5~11月の雨季と12~4月の乾季に分かれる。日本の蒸し暑い真夏の太陽の光を5倍くらい強くした暑さだ。

 カンボジアは1975年のポル・ポト政権によって知識人が虐殺されるという歴史を持つため、現在でも文字の読み書きができない人が多い。義務教育制度はあるものの、浸透していないという現状もある。そのなかで、カンボジアの子どもたちはどのような教育を受けているのだろうか。2007年3月27日~4月1日の間、 CE 記者としてカンボジアへ行くことになった。

 訪れたシェムリアップにはステファン・エリス小学校がある。しかし、そこに通うことができず、寺子屋で勉強している子どもたちもいる。その二つは、学ぶ内容にどのような違いがあるのだろうか、また、子どもたちの考え方はどう違うのだろうか。

チョンクニア村の水上寺子屋での授業

 ステファン・エリス小学校はシェムリアップ地方で唯一の公立の小学校。男子が212人、女子が211人いる。クラスは年齢ごとではなく、通学時間で判断されるため各クラスの年齢層はバラバラだ。

 教室には黒板があり、長い机が6つほど縦に並んでいる。ここでは、クメール語 ( 国語 ) や算数のほかに英語、コンピューターなども習う。皆とにかく勉強したいという意思が強い。また、「みんなと友達になれることが嬉しい」、「この学校でみんなと一緒に過ごせるのが誇り」など学校に通える喜びも大きいようだ。将来の夢も先生や医者など決まっている子どもが多い。

 しかし、カンボジアでは教師の暴力、家から遠すぎるなどの理由で学校へ行けなくなった子どもたちもいる。そのような場合、子どもたちだけでなく、残念に思っている親も多いため、日本ユネスコ協会連盟が設立した寺子屋の存在を知ってやって来る子どもたちのほとんどは公立の学校を経験している。

 トンレサップ湖にはチョンクニアという水上で生活する人々の村がある。村といっても湖の上であるため、人々は気に入った場所に長い木の枝を海底に刺して家を止めている。水上寺子屋はその村の中にある。

 この寺子屋は2006年の9月にできたばかり。3つの教室があり、1つは保育園、もう1つは図書室、3つ目が授業を受ける場所だ。ここでは、文字を読めない人に対して主に読み書きを教えている。識字を通して日常の暮らしに必要な衛生についての知識も教えている。年齢は12~53歳と幅広い。

 皆勉強がしたくてたまらない様子だった。しかし、水上であるためにボートを親が使っていたり、ボートがないなどの理由で来られなかったりする人もいる。

湖から少し離れた陸地にある寺子屋では夜の識字教室が開かれていた。この寺子屋は床と屋根と柱だけで、窓もない。そこに長机と椅子が置いてある。民家の離れを無償で使わせてもらっているのだ。

 ここでも子どもたちは大きな声で先生の言ったことを復唱し、我先にと手を上げて問いに対する回答を薄板に書きたがっていた。

 子どもたちの意欲とは裏腹に、寺子屋には大きな問題点がある。それは、寺子屋を修了してから公立の学校に行くことは難しいということだ。カンボジアでは 13 歳未満でないと寺子屋から公立の学校に行くことができない。家が貧しいため遅くになってからしか教育が受けられない子どもが多いので、年齢をオーバーしていることがほとんどなのだ。そのため、寺子屋を修了してからは行く学校もなく、また元の仕事をする毎日に戻ってしまう子どもが多い。

 ステファン・エリス小学校から中学校に進級できるのは全体の 50 ~ 60 %という割合に比べ、やはり寺子屋は大きなハンデがある。

 それでも「寺子屋でもらったテキストを毎日復習して忘れないようにする」、「ここで学んだ識字を活かし、将来良い職につきたい」と言う子どもたちは実にたくましい。  

 何とかしてちゃんとした職に就きたいと、片道歩いて2時間もかけて勉強をしに学校や寺子屋へ行くカンボジアの子ども。恵まれすぎた環境にある私たちは、学校に行けて当たり前、勉強できて当たり前。そんな中で勉強は嫌いという人が多い 。

 日本では公立なら徒歩数十分で通える学校、広い校舎、立派な教室、机、黒板が当たり前。こうした「当たり前」が「勉強嫌い」「面倒くさい」を生み出しているのではないだろうか。もう一度この恵まれた環境に感謝し、その環境にいる私たちだからこそできることを考えてみるいい機会だった。

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社会 国際

全然違う!日本と海外の学校

全然違う!日本と海外の学校
2007/11/10                 椎原 伶香(10)

 私は生まれた時からずっと海外に住んでいた。 10 歳で日本に帰国したとき、日本の学校と現地の学校の違いに興味を持ち、調べることにした。

 私が住んでいたシンガポールと友達が住んでいたアメリカの給食と運動会の違いを比べてみた。私が通っていた学校も、友達が通っていた学校も現地の公立校だ。

 アメリカもシンガポールも休み時間にお弁当を持ってきて食べてもいいし、買ってもいい。休み時間は学年によって違う。アメリカの学校はほとんどの人がカードで買っていて、お金で買う人もいる。そして売っている物は曜日によって違う。

 シンガポールの学校は、中国人、マレー人、インド人、がいるので給食のメニューは、マレー料理、インド料理、中華料理、そしてスナック菓子もあって、自動販売機もあった。コンビニみたいにペットボトルのジュースも売っていて、それは必ず 1 ドル以下だ。文房具や本も売っていた。

 シンガポールにいた時は、お茶を持って行っていたし、その他はほとんどお金で買っていたので、日本に来てお茶もお金も持っていけないことを知って、とてもびっくりした。日本の給食のように一緒に同じものをみんなで食べるのより、シンガポールやアメリカみたいにいろんな物を食べられる方が絶対いいと思う。

 次は運動会のことを比べてみた。アメリカには運動会はないそうだ。シンガポールの運動会は、ドッジボールとかけっこぐらいしかない簡単な運動会だ。日本は休日にあり、親も来るし全体競技もあり、まるでお祭みたいだ。

 他の国々はどうだろう?調べてみると、カナダにはなかった。オーストラリアはシンガポールとほとんど同じだ。

 運動会の事を調べてみて、海外には日本と全然違う所がたくさんあることに気付いた。運動会がない国があるのを知ってとても驚いた。私の個人の考えは運動会があったほうがいいと思う。なぜなら年に一度どこの国でもスポーツフェスティバルがあると楽しいからだ。

 運動会と給食のことを調べてみると、国によって色々違う所があり、とても驚いたし、興味深く感じた。その違いが生まれるのは、国々の文化が現れているからだと思う。色々な文化を感じることができて、今回調べた国と違う国についても、もっと知りたいと思った。これからも、他の国々と日本との違いについて考えていきたいと思う。

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政治

成人年齢の引き下げさらに、18歳選挙権の実施の実現に向けて

衆議院第2議員会館で枝野幸男衆議院議員へ取材

2007/11/06           藤原 沙来(17)

 現在、世界のほとんどの国が国民投票権所有者の対象年齢を 18 歳に定めているなか、日本でも対象者の年齢を 18 歳に下げる動きが始まっている。これからの日本の国民投票権所有者の対象年齢はいったいどうなっていってしまうのだろうか。

 18 歳に国民投票権所有者の対象年齢を引き下げるにあたって、多くの問題点も指摘されている。一つ目は大半の人が現在は高校に行き卒業したすぐ後に急に社会の一員として義務を負えるかだ。投票権を所有するということは同時に義務を負おうことであり、義務が果たせない人に権利を与えていいのかということだ。卒業後、 2 年間身をもって社会に関わり政治を知った後に選挙権を与えたほうが有効的ではないか。二つ目は、きちんと自分の意見を持ち、投票することができるかということ。しっかり意見を持ち投票している人とそうでない人の間では一票の重みが違ってきてしまうのではないだろうか。三つ目は喫煙や飲酒といった現在年齢の規定を 20 歳またはそれ以上に現在定めているものはどうなるのだろうか。また、もし万が一これらの規定の対象年齢を一度下げるとどんどん対象年齢が低くなってしまうのではないだろうか。

 私たちチルドレンズ・エクスプレスはこの問題に対して的場順三副官房長官と民主党の枝野幸男議員に取材した。現在、日本は若者の政治についての関心度がとても低く、また年代別に見ても 20 代の投票率は最も低い。 18 歳に引き下げる折にはどのように若者の政治についての関心度を高め、また投票率の向上を図っていくのだろうか。的場官房長官に 18 歳に年齢を引き下げてからの学校で行う政治に対する教育について変化はあるのかを質問したところ、「国が積極的に学校で投票についてもっと詳しく教育するようにこれからなるだろう」と語った。国が率先して政治に力を入れて教育を行うことは、これからの未来の日本にとっても心強いものだと感じた。国がもっと積極的に投票に関する教育をすることで若者が政治に対する自分の意見をしっかりと考え持ち社会に出ていくようになることが期待できると思う。

 また、 18 歳の若者がしっかり意見を持ち、考えて投票ができるかという問題について枝野議員に質問したところ「大人だってしっかりと考えて投票しているかわからないので、若者だからといって卑下することはない」と語った。ならば、なおさら少しでもしっかりと考えて投票する若者が増えるように政治に関心を持てるようなきっかけと社会に出てすぐ選挙ができるように十分な知識が必要だと感じた。

 この国民投票権所有者の対象年齢引き下げに伴い、喫煙や飲酒などの対象年齢はどうなるのだろうか。喫煙や飲酒の対象年齢は引き下げても何もメリットはないと感じられる。的場副官房長官や枝野議員はこれについて、一つ一つ対象年齢を引き下げるかどうかは慎重に検討していくと語った。メリットのあるものは積極的に規定を変更し、デメリットが出るものは変更しないそうだ。もし、喫煙や飲酒などといった規定の対象年齢が国民投票所有権対象年齢引き下げと同時に 18 歳に引き下げると、数年後さらに対象年齢が下がる気がして少し不安も感じる。

 実際に国民投票所有権の対象年齢が引き下がるかはまだわからないが、もっと多くの若者がこのことを機に、政治に興味を持ち積極的に社会に関わっていけるようになればよいと思う。そして、 18 歳になった人がすぐに社会に積極的に関われるように国がしっかりと教育をしてくれることを期待したい。



関連記事

国民投票法が2007年衆議院参議院で可決され、5月18日に公布された。この法律によると18才以上が投票権者となる。 いずれ国政選挙の投票も18才以上になるかもしれない、ということを前提に10代の若者が話し合った。 

https://cenews-japan.org/index.php/2007/08/16/565/
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政治

これからの日本の年齢による権利の制限

これからの日本の年齢による権利の制限
2007/10/18        大久保 里香(15)

 現在、世界のほとんどの国が国民投票権所有者の対象年齢を 18 歳に定めているなか、日本でも対象者の年齢を 18 歳に下げる動きが始まっている。これからの日本の国民投票権所有者の対象年齢はいったいどうなっていってしまうのだろうか。

 18 歳に国民投票権所有者の対象年齢を引き下げるにあたって、多くの問題点も指摘されている。一つ目は大半の人が現在は高校に行き卒業したすぐ後に急に社会の一員として義務を負えるかだ。投票権を所有するということは同時に義務を負おうことであり、義務が果たせない人に権利を与えていいのかということだ。卒業後、 2 年間身をもって社会に関わり政治を知った後に選挙権を与えたほうが有効的ではないか。二つ目は、きちんと自分の意見を持ち、投票することができるかということ。しっかり意見を持ち投票している人とそうでない人の間では一票の重みが違ってきてしまうのではないだろうか。三つ目は喫煙や飲酒といった現在年齢の規定を 20 歳またはそれ以上に現在定めているものはどうなるのだろうか。また、もし万が一これらの規定の対象年齢を一度下げるとどんどん対象年齢が低くなってしまうのではないだろうか。

 私たちチルドレンズ・エクスプレスはこの問題に対して的場順三副官房長官と民主党の枝野幸男議員に取材した。現在、日本は若者の政治についての関心度がとても低く、また年代別に見ても 20 代の投票率は最も低い。 18 歳に引き下げる折にはどのように若者の政治についての関心度を高め、また投票率の向上を図っていくのだろうか。的場官房長官に 18 歳に年齢を引き下げてからの学校で行う政治に対する教育について変化はあるのかを質問したところ、「国が積極的に学校で投票についてもっと詳しく教育するようにこれからなるだろう」と語った。国が率先して政治に力を入れて教育を行うことは、これからの未来の日本にとっても心強いものだと感じた。国がもっと積極的に投票に関する教育をすることで若者が政治に対する自分の意見をしっかりと考え持ち社会に出ていくようになることが期待できると思う。

 また、 18 歳の若者がしっかり意見を持ち、考えて投票ができるかという問題について枝野議員に質問したところ「大人だってしっかりと考えて投票しているかわからないので、若者だからといって卑下することはない」と語った。ならば、なおさら少しでもしっかりと考えて投票する若者が増えるように政治に関心を持てるようなきっかけと社会に出てすぐ選挙ができるように十分な知識が必要だと感じた。

 この国民投票権所有者の対象年齢引き下げに伴い、喫煙や飲酒などの対象年齢はどうなるのだろうか。喫煙や飲酒の対象年齢は引き下げても何もメリットはないと感じられる。的場副官房長官や枝野議員はこれについて、一つ一つ対象年齢を引き下げるかどうかは慎重に検討していくと語った。メリットのあるものは積極的に規定を変更し、デメリットが出るものは変更しないそうだ。もし、喫煙や飲酒などといった規定の対象年齢が国民投票所有権対象年齢引き下げと同時に 18 歳に引き下げると、数年後さらに対象年齢が下がる気がして少し不安も感じる。

 実際に国民投票所有権の対象年齢が引き下がるかはまだわからないが、もっと多くの若者がこのことを機に、政治に興味を持ち積極的に社会に関わっていけるようになればよいと思う。そして、 18 歳になった人がすぐに社会に積極的に関われるように国がしっかりと教育をしてくれることを期待したい。


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国民投票法が2007年衆議院参議院で可決され、5月18日に公布された。この法律によると18才以上が投票権者となる。 いずれ国政選挙の投票も18才以上になるかもしれない、ということを前提に10代の若者が話し合った。 

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政治

18歳から成人?

18歳から成人?
2007/10/18            川口 洋平( 17 )

首相官邸で的場順三官房副長官へ取材
首相官邸で的場順三官房副長官へ取材

 憲法改正に関する国民投票法 ( 日本国憲法の改正手続きに関する法律 ) が公布され、憲法改正をする際、満18歳以上に投票権が与えられることになった。それに伴い、今まで20歳だった成人年齢を18歳に引き下げようとする動きが広まっている。

 政府は5月14日に年齢条項の見直しに関する検討委員会 ( 委員長:的場順三官房副長官 ) を発足させ年齢条項がある法律の見直しを始めた。成人年齢が引き下がると参政権を得られるのだろうか?飲酒、喫煙はどうなるのだろうか。的場委員長によると、どのような法律が具体的にどう変わるかは検討中で、改正の必要のある法律を各省庁に調査してもらっている段階だという。

  そもそも、国民投票法成立で整合性をとるために、民法や公職選挙法などに必要な措置を講じる必要があるという名目で見直しがはじまった、今回の成人年齢引き下げ。国民投票法案を提出した枝野幸男衆議院議員によると、昔から成人年齢を引き下げようとする動きはあったという。その内容は、成人年齢を見直すことが国民投票法より先であり、目的は二つあった。一つは若い人たちに政治に関心をもってもらいたいということだ。もう一つは、世界の流れにあわせるというものだ。実際、海外では18歳成年制をとる国が多く、150カ国以上の国が18歳成人制を取り入れている。的場委員長が成人年齢を他国と同調することに関して、「政治に必要なのは外交だ」と言っていたことからも、世界各国にあわせたいというのが本音ではないだろうか。

衆議院第2議員会館で枝野幸男衆議院議員へ取材

 実際に成人年齢が18歳に下げられれば、それぐらいの年齢の人はどう思うのだろうか。 NPO 法人ドットジェイピーが今年4月、全国の大学生 430 名に実施した国民投票法案意識調査によると、約6割の学生が、「社会に対してある程度の判断力を持っていることが必要という理由で、成人年齢は20歳からが良い」という。チルドレンズ・エクスプレス中高生記者で行った座談会では成人年齢引き下げに伴う、参政権に関して「 18 歳に引き下げるのは良くない、政治を判断できないのではないか?」「権利だけもらっても義務を果たせない人が出てくるのではないか」と不安視する意見が多く出た。

 的場委員長は、政治を判断できない人が出てくることに関して「現行の20歳であってもきちんと判断できるとは限らない。深い知識を身に付けた専門家もいれば、なにも知らないような人がいて、それらが平均化されて政府ができあがる」という。

 とはいっても、一人でも多くの人がきちんと政治を理解し判断することは必要だろう。人気投票で政治家が生まれ、その政治家が作りあげる政府はあまり考えたくない。

 成人年齢引き下げは、まだ検討が始まったばかりだ。成人年齢が引き下げられ、憲法改正だけでなく、国政選挙や地方選挙において投票権を得ることができた場合、私たちが政治に興味を持たなくてはいけないのは言うまでもない。一方で、18歳できちんと責任をもって一票を投じるためにも、政治についての知識を学び、考えることが必要だ。そのためにも、学校で公民や政治経済などの薄っぺらい政治の仕組みを教える場だけでなく、政治を考える機会や教育制度を整備して欲しい。


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国民投票法が2007年衆議院参議院で可決され、5月18日に公布された。この法律によると18才以上が投票権者となる。 いずれ国政選挙の投票も18才以上になるかもしれない、ということを前提に10代の若者が話し合った。 

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政治

成人年齢が引き下げられたら・・・

成人年齢が引き下げられたら・・・
2007/10/18          曽木 颯太朗(15歳)

 2007 年の通常国会で憲法改正手続について定めた国民投票法が成立した。この法律の注目すべき点は参政権の一つである国民投票の投票権を 20 歳以上ではなく、 18 歳以上の国民に与えていることだ。これに伴って現在 20 歳となっている成人年齢を引き下げることが検討されているそうだ。

衆議院第2議員会館で枝野幸男衆議院議員へ取材

 成人年齢が 18 歳というのは世界の趨勢で、 20 歳という日本は少数派だ。選挙権を与えることで 若い世代の政治への関心が高まる ことを期待する声もある。しかし、成人年齢を引き下げることは参政権を得る年齢のみならず、喫煙や飲酒が可能な年齢などの引き下げにもつながってくる。また成人するということは一人前の大人になるということであり、社会に対して義務と責任を負う必要がある。

 周囲を見ていると、 18 歳で義務を果たすことはできるのか、また政治について深く考えずに選挙権を行使してしまうのではないか、と いう 疑問が浮かび上がった。

 まず、 政府の成人年齢引き下げについて検討する「年齢条項の見直しに関する検討委員会」委員長の的場順三内閣官房副長官にお話をうかがった。成人年齢引き下げに伴う飲酒・喫煙年齢などの引き下げについて「全てを必ずしも変える必要はない」としたうえで、「現行法制で未成年に有利か不利かなどを考えて検討する」という。また政治について学校で 現在よりも 詳しく教えないのかと尋ねたところ、「今もきちんと教えているが、さらに力を入れる必要もある」と答えた。

 こうして聞いてみると政府が年齢引き下げに伴って予想される弊害を極力抑えようとしていることが分かった。しかし、 18 歳に成人年齢を下げて僕たち子どもには一体どういうメリットがあるのだろうか。一定の配慮はあれども、成人するからには大人としての責任を果たさなければならず、当事者として は 無責任な言い方をすれば「いい迷惑」である。

 僕たちは、 18 歳への成人年齢引き下げを積極的に推進していた民主党憲法調査会長の枝野幸男衆議院議員に も インタビューを 行った。「成人年齢が 18 才というのは世界的な流れだ。加えて情報化が進んだ社会で、子どもが大人同様に情報を得られるようになり、昔より早く成熟しているのも理由のひとつ」と枝野さんはいう。 そして「本来ならば義務教育が終了する 16 歳で成人が望ましいが、社会全体に“高校生は まだ 子ども”だという強い観念がある。 18 歳に選挙権を与えることは、あまり深く考えず人気投票になりかねない懸念もある。もっとも年を重ねている人がしっかり考えて投票しているかどうかは分からないが…」ともいう。

 権利と義務の関係については 、 「成人年齢を引き下げれば少年法も改正し、大人と同じような罪を問うことになる」のでちゃんと義務も備わっていると強調した。

 枝野さんはインタビューを通して年齢の引き下げは子 ども たちのためではなく 、 社会全体のためだと強調していた。歳をとれば目先の利益に目がいってしまうが、若ければもっと長い目でものを見られるというのである。

 成人年齢の引き下げについていろいろな話や調査を通して、いかに有益なのかはよく分かった。引き下げに 向 けた準備も進行している。しかし、やはり当面は現行維持に留まったほうがよいと思う。国民投票法は施行まで 3 年間の準備期間が設けられるが、その間に引き下げを周知し、その結果生まれてくる権利と義務について学ぶにはおそらく時間が足りない。もっといえば責任感のある人間として育てなければならないのだ。僕自身現在それほど責任感があるとは思っていない。 18 歳までの残り少ない時間で成人の権利と義務を学んで、しっかり理解できるようになるとも到底思えない。引き下げには反対しないが、子ども を いかに教育するかが今後の課題だと思う。


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国民投票法が2007年衆議院参議院で可決され、5月18日に公布された。この法律によると18才以上が投票権者となる。 いずれ国政選挙の投票も18才以上になるかもしれない、ということを前提に10代の若者が話し合った。 

https://cenews-japan.org/index.php/2007/08/16/565/embed/#?secret=0MDI9f9USa#?secret=mq3Tti0NZr
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社会

食物を無駄にしているのは誰?
2007/10/09                          三崎 友衣奈( 15 )

 近年関心が高い環境問題の中でも日本の大きな課題である廃棄。「 MOTTAINAI 」が世界に知られていても、当の日本では全国で一日 33000 トン、東京だけで 6000トンの食料が捨てられている。

 なぜ、こんな大量の食料が捨てられなければならないのだろうか。少しでも捨てる量を減らすことができないのだろうか。

 セカンドハーベスト・ジャパン( 東京都台東区 )は、食品メーカーから余った在庫を寄付してもらい、それを生活困窮者や孤児院などへ無償で配給している非営利団体( NPO )だ。 2000 年よりホームレスに食事を配給する炊き出しを始め、 2002 年からは正式に NPO として今の活動を試みた。

 浅草駅からほど近いその事務所には、幅が 4 , 5 メートルほどの奥の広い場所に、ダンボールが所狭しと積み上げられている。そこにある中央のテーブルの横にある人が一人通れるくらいの通路の間をスタッフが縫うように作業している。

 一見、何の問題もないように見えるこのダンボールの多くは、運搬中に段ボールに傷ついたというだけで問屋やスーパーに受け取ってもらえなかったものなのだ。中身は問題ないのに、なぜ受け取られないのか?「日本の消費者は厳しい」。理事長のチャールズ・ E ・マクジルトン氏は苦笑いした。

ハインツ日本株式会社へ取材

 ハインツ日本株式会社では 2003 年からセカンドハーベスト・ジャパンに対して常温のレトルトのカレーや缶詰のスープなど、月に 300 ~ 400kg の食品の寄付を行っている。

 食品メーカーは一定期間にどの商品がどの程度売れるか、販売予測を立てるのだが、やはりどうしても余ってしまうそうだ。「消費者の『できるだけ新しいものがいい』という厳しい見方があるとともに、缶がへこんでいるなどの見た目の良くない商品は受け取ってもらえない」と池田真理子広報室マネジャーは語る。

 株式会社ローソンは 2006 年6月から 横浜市中区 の「さなぎの食堂」に販売期限が切れ、かつ消費期限は切れていないパンや弁当などを寄付している。「さなぎの食堂」では、それを再加工した温かい食事を寿地区の路上生活者を対象に低価格で提供している。

 ローソンでは弁当などの食品には厳しい販売期限を設け、それが切れた場合、すぐに店頭から下げている。これらの多くは消費期限が切れるまで数時間あるものばかりだ。「万が一事故があってからでは遅い。 100 %安全でなくては店頭におけない」と CSR 推進ディレクターの篠崎良夫氏は語る。

 篠崎氏によると「日本で PL 法が施行されてから、米国とは違って寄付した後でも生産者の責任が続くことから、多くの食品メーカーはリスクを感じてこのような活動に積極的でない」そうだ。セカンドハーベスト・ジャパンのマクジルトン理事長は、「日本は『念のため』が多すぎる」と語る。不二家の一件でも、外国からみればおおげさに見えるそうだ。

ローソンへ取材

 ハインツの企画担当執行役員のポール・モリ氏もリスクを分かった上で「今のところ問題はないので続けていく。結果としてはイメージアップになっている」と笑顔を見せた。

 食に対する安全は、賞味期限という数字だけでなく自分で判断する力も必要だ。「念のため」に余裕期間を見込んで定めた賞味期限を少しでも過ぎると食べなくなる。このような消費者の数字に依存した姿勢が、生産者にプレッシャーを与え、結果として大量の無駄を出しているのではないだろうか。

 私たちが毎日食べているのは、念には念を重ねた上で出荷されている食品である。それを我々が贅沢にも捨てている陰で、多くの人々が飢餓で苦しんでいるのを忘れてはいけない。


食べ物の裏事情
2007/10/09                          大久保 里香( 15 )

東京では一日 6000 トンもの食べ物が捨てられている。「日本では、食べられるものを捨てすぎではないだろうか?」この先進国ならではの問題について興味を持ち調べ始めた。

 現在日本の企業は驚くべき理由で食べ物を捨てている。商品のパッケージに傷がつくと中身に問題がなくても捨てることは当たり前であり、スーパーなどのお店が引き取ってくれないという理由から、商品が入っているダンボールに傷がついただけ、賞味期限が三分の一過ぎただけでも商品を捨ててしまうのだ。こういったまだ食べられる食品を有効活用しようとする活動がフードバンクだ。 

セカンドハーベスト・ジャパンへ取材

 このフードバンクの活動をしているセカンド・ハーベスト・ジャパンというNPO団体に取材に行った。この団体は企業からまだ食べられる食品を引き取り、その食品を炊き出しに使ったり、経済的に苦しい人たちに配ったり、福祉施設に提供している。日本ではこのフードバンクの活動はあまり知られておらず、フードバンクに食品を提供してくれる企業はまだ少ないそうだ。また提供をしている企業を調べてみるとほとんどは外資系の企業であった。「日本では捨てられるものが多すぎる。もったいないと感じ、捨てられる食品を有効利用できないものか、と思ったのがこの活動を始めるきっかけ」だと、セカンド・ハーベスト・ジャパンのチャールズ・マクジルトン理事長は語った。

 アメリカでは、フードバンクの活動は活発に行われており、食品を提供した後は食品の製造責任はフードバンクに移るといった企業が提供しやすくなるような法律も定められている。日本は食品を製造した企業が最後まで責任を負わなくてはならない。このことが、日本ではフードバンクが浸透していないこと、そして食品を提供することで企業へのリスクが増すために提供することをためらってしまう原因であると感じた。

 日本企業でありながら食品リサイクルを積極的に行っている株式会社ローソン執行役員の篠崎良夫氏は、企業が食品リサイクルやフードバンクにあまり取り組まない理由として「万が一でも食品で問題が起きたら製造者が責任を取らなければならい。日本の現在の法律では活動をするのに企業に多大なリスクが伴い、法律が変わらなければ活動は浸透しない」との理由を挙げていた。

 コンビニのローソンでは、食品のリサイクル活動のひとつとして、余ったまだ食べられるお弁当やパン、工場で余ったお弁当の残り物を「さなぎ達」というNPOの団体が経営している食堂に食品を提供している。この食堂では、提供された食材を使って料理を作り、安い価格で横浜市中区の寿地区の生活困窮者の人たちに食事を提供しているのだ。

 そもそも、日本でこんなにも多くの食品が捨てられるのは私たち消費者側のせいでもあるのではないだろうか。私たちは商品の中身に問題がないとわかっていても傷がついた商品を進んでは買わないだろうし、賞味期限もなるべく遅いものを買おうとする人も少なくない。私たちが捨てられる商品を間接的に作っているともいえる。もし、消費者が傷のついた商品を進んで買うようになったり、賞味期限が古いものから買うようになったらきっとダンボールに傷がついたり、賞味期限が三分の一以上過ぎてもスーパーなどのお店も商品を引き取るようになるだろう。  

  日本にも、生活困窮者は多くいる。十分に食べることができない人がいるにもかかわらず食べられる食品を捨てるのが当たり前になっている日本の社会はおかしいと思う。国内でフードバンクや食品リサイクルの活動が広まり活発になれば、食べられる食品の廃棄量をゼロにすることも可能になり、その食品で生活困窮者の人も毎日きちんと食事が取れるようになるかもしれない。私たち消費者はできる限り企業が廃棄する食品を出さないように買い物をするときに気を配らなければならないし、企業はできる限り食品を有効に使うように努力しなければならないと思う。そうすれば、きっと食べ物が日本内ですべての人々にうまく循環するだろう。

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その他

CE記者がNHK 新・BSディベートに出演 ~私の感想

CE記者がNHK 新・BSディベートに出演 ~私の感想 2007/08/26

 CE記者4名が8月26日新・BSディベート ~ いじめとどう闘うか~ (NHK衛星第一:22時10分~24時00分)に出演した。

記者の感想

藤原  沙来 (17)
 今回は2回目ということもあり緊張することもなく、自分の意見を簡潔に言うことができたので、前回よりは良い体験をすることが出来たかなと思います。
 いじめについての詳しいデータはなかなか得られないので、先生方4人の討論は非常に勉強になりました。
 また、前回とは違い、当事者の意見を直接聞くことが出来て、私自身にとっても参加した皆にとっても有意義な時間にすることが出来たのではないかと思います。
 前回に引き続き参加させて頂き、ありがとうございました。川口 洋平(17)
 簡潔に自分の考えをまとめるということが、これほど大変だと思いませんでした。書くのと、話すのは意見を言うということに関しては同じなのに、伝え方が違うのだなと改めて実感しました。こういうことが分かったということだけでも、とてもいい経験になったと思います。
  これからは、どんな状況でも素早く自分の意見をまとめ、簡潔に話すという練習をしていこうと思います。大久保 里香(15)
 前もって質問に対する答えを準備していたのにもかかわらず、いざとなると緊張してうまく自分の意見をまとめて発言することができませんでした。誰かの前で意見を発言することにもっと慣れなくてはならないと感じました。
  また、番組の出演を通して自分の意見を簡潔にわかりやすく表現することの難しさを実感しました。これからもCEの活動を通して自分の意見がもっとうまく言えるようにがんばりたいと思います。

原 衣織(15)
 私は CE の記者になって6年目になりますが、 TV で自分の意見を言う経験は今回の『新 BS ディベート』が初めてでした。収録中はとにかく緊張の連続で、意見を聞かれた時も、緊張のあまりその前に考えていたことがすっぽり頭から抜けてしまい、なんとか要点だけを簡単に言うのが精一杯でした。
  他にも色々と反省点はありますが、このような貴重な経験をさせていただき、とても嬉しく思っています。有難うございました。

参考:新BSディベート wikipedia

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政治 座談会

成人年齢引き下げ

参加者:
藤原沙来(17)、原衣織(15)、曽木颯太朗(15)、大久保里香(15) 川口洋平(17 司会)
2007/08/16

 国民投票法が2007年衆議院参議院で可決され、5月18日に公布された。この法律によると18才以上が投票権者となる。 いずれ国政選挙の投票も18才以上になるかもしれない、ということを前提に10代の若者が話し合った。

洋平:今日は「参政権もらったら自分たちは投票する?」をベースにしてやっていきたいと思います。今回、国民投票法が成立して、憲法を改正するにあたって、18歳以上が参政権を与えられることになったので、自分たちも投票できることになりました。憲法というものをきちんと理解して、投票できると思いますか?

沙来:あと数ヶ月で18歳なので、すぐに選挙権を得ることができるのですけど、今のところ、私自身は親が選挙に行くのを傍観者として客観的にしか見ていないので実際に選挙権を得ることができても、投票する責任とかはまだわいてないのが現状だなと思います。

洋平:では3年後に憲法改正の国民投票が行われました、自分はもう18歳すぎています。投票へ行きますか?

里香:私は行きます。自分の意見が社会に反映されたらうれしいと思うからです。

洋平:18歳になったから自分なりに憲法解釈して、投票できるよ、ということ?

里香:たぶん。そういうふうに決まってしまったらやるしかないと思うので。

洋平:自分は行くかもしれないけど、まわりの友だちとかは行くと思う?

里香:興味ない子もいると思うし、それに急に2年も引き下げられたら心の準備もまだできてないと思うので、行かない子もいると思います。

颯太朗:自分では行くつもりですけど、インターネットや掲示板などであおられて、それに影響されて行っちゃう友だちがいっぱいいるような気がする。

洋平:2チャンネルなどで憲法九条のもとにまとまるのか。なるほどね。憲法をきちんと理解して、投票する人はあんまりいないということかな。

衣織:私もたぶん行きます。ただ今の中高の公民の授業では、憲法をちょっと離れたこととして扱っていると思う ので、まわりに憲法という問題を身近なものと感じている人は少ないと思います。

洋平:憲法を身近に感じさせるためには何かいい方法ありますか? 学校の教育にゆだねるしかないのかな。

沙来:高校生の間に18歳になる子は高校生の段階で投票に行くことができてしまうから、学校での教育が必要だと思う。うちの学校の場合は総合授業の中で、投票ボックスみたいのを先生が借りてきてくれて、実際に投票するというデモンストレーションをやって、もうちょっと身近に感じてもらうみたいなことをしていました。他の学校でも黒板に書いて勉強するのではなくて、もっと実体験できるような機会を与えてあげたら、もっと身近に感じられると思います。

洋平:ちなみに国民投票法を受けて、いろいろな学校でもそういうふうな授業が実際に行われているらしいです。

18歳と20歳の違いは?

洋平:大学へ行かないで高校卒で就職している人はたくさんいます。その人たちはちゃんと自分で稼いで、税金 も払っているのに、成人とみなされる20歳まで子供扱いされている。参政権ももらえないし、いろいろと制限されていますが、それについてはどう思いますか?

衣織:なにかの資料に18歳でもう自立している人が3割弱ぐらいいるっていうのがあったのですけど、今の日本は社会がどんどん高度化しているのに、自立する年齢はどんどん遅くなっていっている。その中で下げるっていうのは逆な気がする。だいたいほとんどの人は大学や大学院を卒業してからじゃないと自立しないからそうすると22歳とかもっと上になっちゃうわけで、そうなると18歳で自立する人は少なくなる。

里香:18歳で自立して働いている人は少数派で、おそらく多くの人が大学に行っていて、まだ自分で税金も払ってないと思う。そんななかで18歳を基準にすると、大半の人が社会のことをあんまり考えないで選挙に出ることになるので意味がないと思います。

颯太朗:18歳で働いて、自立している人に限って参政権を与えるなら賛成です。

洋平:じゃ参政権をもらえる人っていうのは働いているかどうかを基準とする?

颯太朗:働いている人、または働いた経験のある人。

沙来:18歳で働いている人がいるから引き下げるというのは反対で、20歳という社会人になるためのボーダーが あるのだから、それまでは社会のモラルを勉強しなきゃいけない年齢と設定すればいい。一定の常識も働いている間に身につけることができると思うし。

洋平:さきほど大学や大学院を出るまでは自立できないという話をしていたのですけど、逆に18歳で「大人なんだから」とつきはなしたほうが自立早まるのではないかとも思うのですが。

衣織:つきはなされたところで、実際就職はできないですよね。

沙来:私は18歳で自立はいいのですが、ただ法としては20歳のほうが気持ち的にいいかな、と。働くのであれば社会でちゃんと自分でしっかりしなきゃいけないっていう、自分に対して厳しくできる期間が2年間あるというのがいいかなと思います。

洋平:話は変わりますが、20歳が成人ということで、飲酒や喫煙も20歳からとなっていますが、実際大学生は 18歳でも新歓コンパなどで飲みますね。だから飲酒に関しては、年齢制限があってもなくても変わらないのではないか、みたいになっていますけれど、それについて意見はありますか。

颯太朗:選挙権を引き下げるのはあえて言えばどちらでもいいけれど、喫煙や飲酒の年齢まで引き下げると、今は法律があるから隠れてやっているようなのに、18歳になるとおおっぴらにやるようになって身体に悪影響を及ぼすような気がします。

里香:18歳から飲酒やタバコがいいとなると、みんな堂々と飲んだり吸ったりするようになってどんどん社会現象として、飲酒喫煙の年齢が引き下がると思うので、20歳は変えない方がいいと思います。

沙来:私も20歳から下げない方がいいと思っています。逆に低年齢化しないようにもっと働きかけをするべきだと 身体に悪いのは当たり前なのになんで18歳に下げて「しょうがないからいいのですよ」という流れになっているのかが納得ができないので。逆に20歳以上でもいいぐらいにして、タバコとかお酒にはもっと税を課すとか。日本の社会が下げるっていう方向性じゃなくて、なるべく酒とか喫煙をしないという方向に進むべきだなと思います。

衣織:お酒を飲む危険性って?

沙来:飲酒運転もそうだし、身体にもちろん悪いし、脳も小さくなるから悪影響。

洋平:でも外国はけっこう16歳からOKというところもあって。昔は食べ物にあまり栄養価がなかったので成長が遅かったけれど、今は18歳でも20歳でも成長的にはあまり変わらないらしい、と。それでも20歳じゃなきゃダメ?

颯太朗:喫煙はよくない。

洋平:わかりました。では20歳と18歳の違いってなんだと思います?

里香:基本的に違いはあんまりないと思うのです。高校卒業はまだ子供という意識があるじゃないですか。その中で急に社会の権利を与えられてもどうしたらいいかわからないと思うので、2年間勉強期間をおいて、20歳になって成人と認められたほうがいい影響が出てくると思いますし、みんな選挙にも興味もってくると思います。

沙来:正確な違いはちょっとまだわからないけれど、20歳という響きも、社会に出た時に大人になったなって思うし。そんなに大きな違いはないとしても感覚的な違いはあるのかなと思います。

洋平:日本では20歳が一つの基準とされてきたから、そういうふうな意識が根付いているとも思えるのだけど。

成人年齢を下げる理由

洋平:僕自身は、18歳で投票権、18歳を成人とするべきだと思っています。それは高校卒業したら大人、としないと、いつまでたっても親から自立もできないだろうし、それがニートにつながることも考えられるわけだし。    あと、高校を卒業してすぐに社会人になる人は、もう大学とかで学んだりしないわけじゃないですか。だけど政治を理解して20歳になったら投票に行く。ということは18歳の時点ですべて政治も社会のしくみも分かっているという状態じゃなきゃおかしいと思うのですね。それについてなにか意見はありますか?

衣織:18歳で自立している人はいるとは思いますが、その人たちが本当に選挙権を望んでいるか疑問。

颯太朗:18歳で自立している人がいるので参政権も引き下げた方がいいということですが、少数ながら中卒で16歳で社会に出る人もいる。16歳で社会に出ている人と18歳で社会に出ている人をどうして区別をつけなきゃならないのかという問題があると思う。

洋平:中学卒業する時点では一通り政治のしくみだとか分かっていなくてもいいし。

颯太朗:だいたいあんまり中学ではやらない。

里香:学校で教えられても黒板とかを前にして教えられるだけなので、全然親近感もわかない。だから18歳か20歳の期間が政治とかを身体で覚えていく期間だと思う。

洋平:わかりました。さっき話に出たのですが、そもそもなぜ年齢を引き下げたがっているのだと思いますか? 

沙来:少年法が一番関係していると思っていて。犯罪が低年齢化しているという動きがあるなかで、少年法だと 18歳から20歳未満の大人も少年として扱わなければならないのが中途半端なのかな? それを今12歳ぐらいまで引き下げようとする動きとかを見ていると、全部を一気に低年齢化させて、それプラス選挙に行ける子たちをもっと増やそうとしているようで。

里香:18歳からにすると、初めて選挙権が与えられたらやっぱりちょっと興味本位で投票してみたくなるじゃないですか。それでよくわからないから、テレビや新聞などに出ている政党の言うことを信じがちになる。そうすると18歳の投票率が高くて賛成とかも得やすくなると思うので、政党が国を支配しやすくするために18歳に引き下げるのではないかなと思います。

洋平:政治的な目論見がある。なるほど。

颯太朗:新聞によると18歳に引き下げる案を出したのは政府じゃなくて野党の方で、低年齢層の方が野党の支持率が高いというので始め政府はそれに抵抗していたっていうふうに読んだことがあります。

低年齢化は防ぐべき?

洋平:参政権については「18歳に引き下げるのはあんまり良くない、判断できないのではないか?」という話がありましたが、そもそもなんでみんなは成人年齢をさげるのが嫌なの?

衣織:この引き下げには、少年法の適用年齢引き下げが大きく関わってくると思うんです。少年犯罪が凶悪化しているからというのが理由のようですけれど、それは統計的には不正確と言われているし、今の大人の子供に対する恐怖感が厳罰化として現れているだけだと思うので、18歳とかもっと下の年齢からそういう罰を与えるのは反対です。

沙来:逆に年齢を下げるんじゃなくて、低年齢化を防ぐ動きをするべきだと思っていて、少年法に関してもそうす べきだなと思います。

颯太朗:まわりを見ていて、若者が何事に関しても無責任すぎるところがあると思う。大人になっちゃったら、「大人だから何をやってもいいんだ」と、親のいうことをまったく聞かなくなっちゃって、社会全体が無責任になりそうで。そういう点から18歳、もっと低年齢化することには反対です。

里香:20歳でも無責任な人はいて、18歳に引き下げたところで、権利だけもらっても義務を果たさない人も出てくると思うので、2年間で義務を学ばせてから権利を与えるべきだと思います。

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