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ベビーシッターの実情

松本 哉人(15)

  皆さんは、ベビーシッターについてどのように考えているだろうか。今年3月に起きた子どもの死亡事件はまだ記憶に新しく、危険だと考える人も多いのではないだろうか。ベビーシッターを利用することは本当に危険なのか、安全な利用方法はあるのか、ベビーシッターと事業者をまとめる法人に話を聞いた。

 ベビーシッターとは何か。それは平安時代の「乳母」にまでさかのぼる長い歴史を持つ職業だが、意外なことに現代ではベビーシッターという職業に国の定めた定義や規則は存在しない。しかし、一言で言えば「子どもの家庭に出向いてそこで保育をする人」であると公益社団法人全国保育サービス協会(ACSA)の事務局次長、研修課長の長崎真由美さんは言う。

長崎事務局次長

 ACSAは現在日本で唯一のベビーシッターに関する公益社団法人で、ACSAの定める入会審査を経た142ヶ所の事業者とその他の会員で構成されている。ACSAでは平成元年から独自にベビーシッターの自主基準や研修制度を作成し、研修会や資格認定試験を行っている。また、全国に42校ある指定校では「在宅保育論」という科目を設けてベビーシッターを養成している。この資格は全国で14.360人が取得しているが、今までACSAの会員から死亡事故の報告はないという。公的なものではないため資格認定の取得が義務付けられてはいないが、厚生労働省がベビーシッターを選ぶ際の基準のひとつとするほど、信頼性は高い。

 ベビーシッターは、市民の認識の変化や、働く女性の増加に伴い今では社会に欠かせない職業になっている。ACSAの行ったアンケートでは、利用する理由は「仕事のため」が大半で、保育園の送迎とそのあとの留守を頼む場合が多いという。

 しかし、ベビーシッターを利用することに不安を感じる人は多いと思う。長崎さんは「ACSAに加盟する事業者では、まずベビーシッターを各事業者が採用、雇用し、その事業者を選んだ利用者のもとに、利用者が事業者と決めた日時と場所にベビーシッターが訪問する。したがって、ACSAでは先日の事件のような、子どもを自分の家に預かる人をベビーシッターとは呼ばない。正しく見比べて判断することが大事だ」と語る。また、「ACSAへ加盟していない事業者では、事業者ごとに賠償保険やベビーシッターへの教育にも大きな違いがあるため、確認が必要だ」と語る。

 現在日本には、個人からACSAに加盟するような事業者まで、多くのベビーシッターが存在するが、費用と質を十分に見極めて自己責任で利用することが求められている。信頼できる事業者ならば経験と技術を併せ持った保育のプロは子育ての大きな支えになってくれるだろう。

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ベビーシッターの賢い利用

近藤さくら(16)

 ことし、保育中に一人の幼い子どもが亡くなってしまうという事件が起きた。今の日本の在宅保育(ベビーシッター)にはどのような基準や制度があるのか、また実際の現場はどうなっているのか公益社団法人全国保育サービス協会の事務局次長、研修課長の長崎真由美氏にインタビューを行った。

 同協会は日本で唯一の公益事業を目的としたベビーシッターの団体である。施設型保育を中心に発展してきた日本において、訪問型保育に関する法律がない中、自主基準を設け、またベビーシッターの専門性を整理し研修を行ってきた。 142の独立した企業がこの協会の会員として加盟している(平成25年6月1日現在)。加盟するには協会の審査を通らなければならない。

 ベビーシッターは保育園と違って個々の家の考え方、方針、また子どもの特徴に沿って世話をするが、実際にどのような人が利用し、利用理由は何が多いのか。長崎氏によれば、利用者の中で一番多いのは親がフルタイムで働く家庭である。日中は保育園に預けてベビーシッターが迎え、その後、家での保育を依頼するというパターンが多いという。専業主婦の母親たちが冠婚葬祭、兄弟の学校行事の参加、通院しなければならないケースもそれに次いで多い。また長崎氏は母親自身のリフレッシュのための利用も推奨している。

 協会ではベビーシッター制度の安全性を高めるために自主的な研修や実態調査を行って事業に反映させている。これらの努力の結果、事故は一年を通して30~40件で、事故があっても重篤な事故や死亡事故はないそうだ。

 女性の社会進出が進む一方で保育の対策が現状に追いつかない中、こうした在宅保育が果たす役割は非常に大きく、期待されている。集団保育とは違い1対1、1対2と密に接するので、ベビーシッターとその家庭との関わりは深いものになる。このため何が一番大事なのか、よく考えて判断するべきだと長崎氏は指摘する。問題はこうした協会の存在を知らず、そこまで手が回らない人もいるという現状だ。そういう人たちにどのような対策をとるべきか、これが今後の課題になってくる。

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ベビーシッターが果たす役割


小泉璃奈(16)

 近年、「待機児童」という言葉をよく耳にする。待機児童とは保育施設に入れない子どものことをいう。その解決策の一つとしてベビーシッターの活用が挙げられる。他人の子どもを預かるベビーシッターだが、安全対策はどうしているのか公益社団法人全国保育サービス協会事務局次長、研修課長の長崎真由美さんに取材をした。 ベビーシッターをどのような人が利用することが多いのだろうか。長崎さんによると最も多いのは働くママだそうだ。次に多いのは、冠婚葬祭や兄弟の行事などで、子どもを一緒に連れていくことが難しい時に利用するケースだという。 ベビーシッターは現在の日本の法律には詳しいことが定められていない。そのため同協会では、自主基準を設け、その自主基準に賛同できる会社がこの協会の加盟会社になる。全国保育サービス協会は利用者の家に行って子どもを預かることがベビーシッターと定義付けている。保育園では複数の保育士が大人数の子どもを見るが、ベビーシッターでは1人のベビーシッター対1人の子ども、と形態面での違いがある。また保育園ではその保育園の方針に沿って子どもを預かる。ベビーシッターでは各家庭の方針に沿って子どもを預かるという点で大きく異なる。利用者の家で一対一の環境で子どもを預かるベビーシッターは究極の言い方をすれば利用者の家の鍵と子どもの命を預かる仕事だと長崎さんは言う。そうなると子どもを預ける親は不安を感じてもおかしくない。安心して子どもを預けるための安全対策はどうしているのか。 長崎さんによると、認定試験に合格するか指定校を卒業することで認定ベビーシッターになれるそうだ。また試験を受けるまでに新任研修会、現任Ⅰ研修会を修了する必要がある。研修の中で安全を確保するために子どもの発達と成長に応じた「年齢別安全チェックリスト」というものがある。計60個のチェックポイントがあり、事故を防ぐために生かされている。また、もしもの時に備えて応急処置や心肺蘇生法についても学ぶ。これら以外にも子どもの健康管理、年齢に応じた関わり方、ほめ方や叱り方などたくさんの学ぶべきことがある。そしてベビーシッターになる前の研修だけでなく、なってからも毎年研修がある。また全国保育サービス協会では毎年実態調査も行っている。こうした努力もあって、協会に報告される事故発生数は一カ月で3~4件程度、これまでに重傷を負う事故はほとんどなく、死亡事故は0件だそうだ。「事故が起きたらどうする」はもちろん大切だが「事故を起こさないためにどうすべきか」が何よりも大切だと長崎さんは言う。「20年前頃は欧米の高校生のアルバイトのイメージがあったベビーシッターが、今では働く女性が増加したため、欠かせないものとなっている。また、専業主婦にとっても育児で疲れたり、不安になる前に、例えば自分が美容院に行く数時間だけ子どもを預けるなどリフレッシュを兼ねて上手に利用してほしい」と長崎さんは話す。子育ての手助けだけでなく、子どもを持つ母親の精神面の支えにもなるベビーシッター。上手に利用して心身に余裕がもてれば、母親と子どもの関係も、よりよいものになるのではないだろうか。

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イヤホンの使い方

イヤホンの使い方
2014/05/01              松本哉人(14)

 街を歩いていると必ずと言っていいほど使用している人を見かけるイヤホン。しかし、多くの人はその危険性を意識しつつも正しい知識を持っていない。イヤホンの危険性の正しい理解のため、専門医に話を聞き、小学生から高校生までの記者6人で話し合った。

栃木県那須塩原の国際医療福祉大学病院の耳鼻咽喉科部長中川雅文教授を3月19日に訪ねた。中川先生によると、まず難聴とは、1日の耳の許容量を超える音量を聞きつづけることによって高い周波数の音が聞こえなくなっていくことである。難聴は段階的に進んでいき、高い周波数の音から聞こえなくなっていく。そして難聴は現在の医学では治らない。現在私たちの身の回りで行われている聴力検査では20歳の聴力を基準としているため、20歳未満の若者が仮にその年齢の聴力の基準値以下であったとしても発見できないという。このため10代の難聴は感じている人も少ない。

次になぜイヤホンは危険であるのか。中川先生はイヤホンをはめることによって耳をふさぐことになり、耳の空洞部分の容積が小さくなってしまうと話す。耳の空洞が狭くなると、反響する音の範囲が普段聞きなれない高い周波数の音に限定されてしまう。そうすると、高い音をもっとよく聞こうと音量を上げてしまい、難聴をひきおこす。難聴になると高い音がさらに聞き取りにくくなるのでもっと音量を上げてしまい難聴が悪化していく。

さらに周囲の環境も大事だという。街中や乗り物の中、そうでなくても周りに音のある場所にいる人がイヤホンで音楽を聴くと、音楽以外に周りの音も耳に入ってしまう。そうすると周りの音よりも高い音量で音楽を流さなければ音楽を聞くことができない。現に、インタビュー中に換気扇を止めたところ、止める前より先生の声が楽に、明瞭に聞こえるようになった。

では、イヤホンをどのように使えば安全に音楽を楽しむことができるのだろうか。中川先生は、「基本的には僕らの考え方は、イヤホンはやめましょう。ヘッドホンにしましょう」だと話す。決してヘッドホンを推奨するわけではないが、より防音性の高いヘッドホンのほうがまだいいそうだ。そしてなるべく周りの音が少ない環境で聞くべきだという。ヘッドホンが嫌だと言う人に対してはノイズキャンセルイヤホンというものも紹介していた。これは、周りの音を打ち消す音を出すイヤホンで、普通のイヤホンより周りの音が聞こえないが普通のイヤホンよりも値段が高い。また35歳未満の若者なら耳の許容量を超える音を聞いても48時間耳を休ませることによって聴力を回復する力があるため、大きな音を聞いた後は適度に耳を休ませることも大事だそうだ。

ではこのような危険性を若者はどう認識しているのか。また、先生の話す安全な使い方はどの程度実践可能なのか。小学生から高校生までの記者6人で話し合った。

最初に音楽をどの程度聴いているか尋ねると全員が日常で音楽を聴いていると答えた。また、聴いているのは歩きや交通機関の中などの移動中、勉強中など家に一人でいるときで、多い人は一日5時間以上も聴いているという。そこで、中川先生の話を披露したところ、ほぼ全員が少しは分かってはいたけれども大きな危機感はなく、知ってしまってもイヤホンの使用をやめることはないという返答だった。しかし、音量を下げたり聴く時間の長さを考え直してみたりとイヤホンの使い方を変える気にはなったようだ。また、ノイズキャンセルイヤホンについて、移動中に音楽を聴いている記者は、もし買えるとしても周りの音が聞こえなくなると困るので買わないと答えた。

若者にとって、イヤホンはもはや生活に深くつながる重要なツールのひとつといえるが、まだまだ多くの人が危険な使い方を続けている。しかも、知らないうちに失われた聴力は取り戻すことができない。まずは一人ひとりが正しい知識をもち、人に伝えていくことが大切である。


イヤホンの危険性  
2014/05/01               小泉璃奈(16)

 道を歩いている時や電車内で周りを見渡すと多くの人の耳にはイヤホンが装着されている。どこへでも自分の好きな音楽を持ち歩くことが容易なイヤホンは私たち、とくに若者の生活に欠かせないものとなっている。一方で常に音楽を聴くことが聴覚障害を引き起こす危険性はないのか不安でもある。国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科部長の中川雅文氏に取材をした。

中川雅文先生への取材

 中川先生によると若者を対象にした聴力検査では聴覚障害と判断できないこともあるそうだ。難聴は高い周波数(Hz)から聞こえなくなる。しかし今一般に行われている聴力検査では20歳の聴力を基準とし、125~8000Hzの周波数がどのくらい聞こえるかを検査している。ところが私たち10代は50~20000Hzの音を聞く力がある。つまりもし高い周波数が聞こえなくなっていても検査ではわからないということになる。検査の結果正常だと診断されても気づかないうちに、難聴の危険にさらされていることもあり得るのだ。さらに、例えば検査で難聴と診断されなかったので今まで通りイヤホンを使用しても問題はないのかというと、中川先生は、金属疲労がある段階になるとその金属が折れてしまうように、耳もたくさん音を聞いていると、ある時を境に難聴になってしまうと警告する。つまり、耳がどんなに過酷な状況であっても自分達が自覚することは難しいということだ。

 音というのは距離が半分になるとその音の大きさは倍になるが、イヤホンを装着することは耳の空洞の容積が狭くなるので耳にはさらに大きな負担になる。音量が大きいほど耳への負担が大きくなるのにもかかわらず、なぜイヤホンで聴くときボリュームをあげてしまうだろうか。中川先生によると私たちの体は普段125Hz以下の重低音を体の振動を通して聴いている。例えばライブや太鼓の音だが。イヤホンからでは重低音を流すことが難しいため、私たちはついその音を求めてボリュームをどんどんあげてしまっているのだそうだ。

 それではどのようにイヤホンを使用すれば耳に負担をかけずにすむのか。中川先生によると人は、85デシベル(山手線の走行音に相当)の音を8時間、91デシベル(新幹線に相当)の音を4時間聴くと耳の限度を超えてしまう。だが48時間耳を休めれば耳にかかった負担を軽減する力が私たちにはあるそうだ。あるいはイヤホンでなくヘッドホンを使用することも耳への負担軽減になる。ヘッドホンはイヤホンに比べて周りの余分な音を防ぐことができる。そのためボリュームを過度にあげなくてもよい。どうしてもイヤホンを使う場合は静かな環境で適度な時間聴けば負担を少なくすることができるそうだ。

 実際に日頃イヤホンを使用している10代の若者にこの取材結果をもとに話を聞いた。
まずイヤホンの危険性について意識したことがあるか、という問いに対して「なんとなく耳に悪いような気はしていたが、そこまで意識したことがない」という答えが多かった。そこで取材して将来難聴になるリスクが高いこと、形状はイヤホンよりもヘッドホンの方が耳への負担が少ないことが分かったと伝えた上で、これからはヘッドホンを使用しようと思うかと尋ねた。すると、「外では大きくて邪魔になるからイヤホンを使用し続ける」とする人がほとんどだった。一方「家ではヘッドホンを使用することもある」と答える人もいた。また、イヤホンの使用を制限しようと思うかという問いには「生活の一部になっているから今まで通り使用する」「制限するべきとは思うけどこのまま使用すると思う」という声が多かった。若者のイヤホンに対する危険意識が低いことが明らかになった。 自分の好きな音楽を外でも聴けるイヤホンは私たちにとって必要不可欠なものになっている。便利さ手軽さを追求した結果私たちがイヤホンに依存してしまうようになった。イヤホンとうまく付き合うために危険性の認識をもっと広めていく必要があるだろう。


イヤホン使用の危険性
2014/05/01                近藤さくら(16)

 最近、街中や電車・バスの中でイヤホンやヘッドホンなどのオーディオ機器を使用している人がとても多い。周りの人に迷惑をかけず、自分だけで音楽を楽しめる利点はあるが難聴の危険性はないのだろうか。国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科の中川雅文先生にインタビューした。

まず難聴とはどのようなものなのか、中川先生によれば、私たちの耳は正常な場合50Hz~20000Hzまで聞こえるという。難聴の症状がある人はこの20000Hzという高音域から徐々に聞こえなくなる。それもたくさんの音を聞いていて、それが積み重なってある日金属疲労でポキッと折れるように症状がでるという。つまり難聴は普段会話などで使用する高さの音域よりも高い音から聞こえなくなっていくので難聴であると自覚するのはとても難しいと言える。学校や病院で聴力検査を行う際に検査する範囲は125Hz~8000Hzなので、難聴の症状があっても検査ではわからないことになる。これらの理由から具体的にどれほど多くの難聴患者がいるのかは把握できていないが、実際に増えていると思うと中川先生は語った。

イヤホン使用による難聴はもう少し特殊だ。中川先生の説明によれば、耳の中にイヤホンをいれると鼓膜までの空洞がせまくなり、高い音が耳の中よく響くようになる。イヤホンを使用しないときよりも耳への負担が大きくなり、その状態が長く続くと耳が金属疲労のような状態になる。難聴の症状がでて高音が聞こえづらくなるので高い音聞きたさにさらにボリュームを上げてしまう。またイヤホンでは低い音は出せないのに、その音を聞きたいと思うがゆえにまたボリュームを上げてしまう。これらの悪循環で難聴の症状が進んでいってしまうという。

こうした危険性を回避するためにはイヤホンをどのように使用していくべきなのか、中川先生はこう指摘する。

まず耳が一日に聞く音の許容量を超えないこと。許容量は85デシベル(db)、つまり山の手線内の音の大きさで一日8時間、95db(新幹線の自由席音)で一日4時間である。一日のうちにこれほど長い時間聞かないかもしれないが、許容時間は音量が上がるとともに反比例していくので2~3時間ほどで許容量を超えてしまいかねない。つまり何か聞くときはできるだけ静かな場所で優しい音で聞いて耳に負担をあまりかけないようにすることがポイントである。その際ノイズキャンセリング機能があるイヤホンやヘッドホンを使用するとよい。
二つ目は、仮にたくさんの音を聞いてしまったらしっかりと耳を休ませることが重要だ。私達には耳を48時間休ませると元に戻る力が備わっているという。

では難聴になったとして治療法はあるのか。中川先生は「iPS細胞に期待をよせているが、仮にiPS細胞が適応できたとしてもその細胞は音を認識できてもその音がどういう意味を持つのか認識できない。この音がこういう意味であるということをもう一度ふきこまなければいけないので有効な治療法はまだない」と語った。ということは自分で難聴にならないように注意していかなければならない。

チルドレンズエクスプレスの記者6人(小6から高2)に話を聞いたところ、イヤホンの問題点を意識していた人は一人だけだった。私達の世代ではイヤホンを使用しないということは考えられないという。危険性の認識が低いままだと難聴はますます増えてしまう。とくに若い人は医師の指摘にもっと耳を傾けるべき状況であることがわかった。

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捨てられるペットを減らすためにペットショップができること

捨てられるペットを減らすためにペットショップができること
2014/01/19               米山菜子(17)

日本動物愛護協会に取材

 1日850匹、約100秒に1匹の犬や猫が保健所で殺処分されている(内閣府特定NPO法人ConoasS HPより)。一時の「可愛い」という感情に流され、ペットを飼ったものの、その後、飼い主の身勝手な理由で捨てられるペットは後を絶たない。そして、平成25年9月1日に動物愛護に関する法律の一部を改正する法律(改正動物愛護管理法)が施行され、「ペットショップでの犬や猫の夜間展示の禁止」などが新しく義務付けられた。捨てられるペットを少しでも減らすために、売る側のペットショップはどのように対応しているのだろうか。

  東京のJR渋谷駅近くに、狭い空間に仔犬や仔猫を入れたケージが積み重なっているペットショップがあった。店内の壁には「預かり金0円で今日連れて帰れます」と書いた張り紙がある。店員に尋ねると身分証明書の提示とローンを組める20歳以上の人であれば、0円で連れて帰ることができるそうだ。値段も人気のトイプードルやチワワでも5万円~10万円とリーズナブルで若者の手にも届きやすい。

しかし、このような繁華街のペットショップのなかには衝動買いをさせる恐れがあると
ころもある。「衝動買いは避けてほしい」と訴えるのは、公益財団法人日本動物愛護協会の内山晶常任理事・事務局長だ。

内山晶常任理事

東急東横線自由ヶ丘駅近くにあるペットショップA店では、カラフルなペットグッズが陳列された奥の一段高いところに、立派なケージに仔犬が一匹ずつ5~6匹が陳列されている。値段は同じトイプードルでも35万円~40万円と高価だ。店員に尋ねると、この仔犬たちは大会で優勝した犬の子どもなので値段も高いそうだ。そのため、衝動買いをする人は見られないという。また、ペットグッズを多く販売しているため、リピーターが多く、販売後も犬の様子を見ることができるそうだ。「最後まで責任をもって飼うよう、購入時の説明は怠らない」と店員は断言した。

全国ペット協会に取材

同じく自由ヶ丘駅から住宅街に向かう商店街にあるペットショップB店は、明るい店内には仔犬が2匹ずつそれぞれ大きめのケージに入って遊んでいる。「1匹ずつだと、飼い主と一緒に暮らすうちに、自分が犬であることを忘れるので、幼い時に他の犬と一緒に遊ぶことで社会性を身に着けさせています」と店員が説明してくれた。それぞれの仔犬のブリーダーの氏名や写真が提示されている。気に入った仔犬の前で足を止めると、アルコール消毒液を手にかけてくれて、ゲージから仔犬を出して、抱かせてくれる。値段はどれも20万円台と最近の相場の価格だ。店員に尋ねると店内の仔犬、仔猫には全てにマイクロチップを装着しているので、購入後に行方不明になったり、捨てられたりしても、そのチップから飼い主の連絡先がわかることを購入希望者に説明して、衝動買いを防ぐようにしているという。販売後は、定期的に客に電話をし、ペットの健康状態や飼い主の心のケアも行っているそうだ。「ペットの一生を考えると、ペットを愛してくれる、温かいお家をできるだけ早く決めてあげることが私たちの使命です。そして老犬になって介護が難しくなったら、犬の養老院もあることをお伝えして、最後まで責任をもって飼っていただくようにお願いしています」と店員が話してくれた。

「理想的なペットショップは現状では少ない」、「法律を順守しモラルを大切にして、
より良いペットショップを目指して営業活動をしてほしい」と内山氏は話す。ペットショップは、もし飼い主が急にペットを飼えなくなったり、手放さなくてならなくなったりしても対応できるように、ペットと飼い主に寄り添ったケアを長くしていくべきだろう。そして、ペットショップは飼い主に対しても、命ある動物を飼う「モラル」を、売った後の丁寧なケアを通して長期間にわたって伝えていくことが必要とされるだろう。


これからのペットショップのあり方
2014/01/19               前田佳菜絵(13)

 2013年6月から動物愛護管理法改正によってペットショップの夜間営業が禁止となった。最近はペットショップで動物を見てその場で購入してしまう 『衝動買い』 が増えていることも事実だ。ペットを飼う人が増えているなか、ペットショップの現状はどうなっているのか。また、これからの理想のペットショップとはどんな店なのだろうか。

赤澤暁昌事務局長

東京都心の繁華街のペットショ ップと、近郊の自由が丘にあるペットショップを取材をしたところ、いずれのショップも動物を売る時間は法改正前から、法改正で定められた20時までだったそうだ。繁華街の店の店員は「理想のペットショップは、購入するお客さんにきちんと説明をして、買った後もケアすることができるところだと思う」と語った。また、自由が丘の店長は「なるべく早くペットの家を決めてあげて、ペットの人生のほとんどをその家で過ごさせてあげるのが理想のペットショップだと思うし、我々の使命だと思う」と語った。法改正後の対応について、繁華街のペットショップの店員は「20時以降のペットグッズの販売は法改正後も認められているのに、動物が入っているショーウィンドウにカーテンをしているため客が減ってしまった」と話していた。また、ペットの購入をその場で決めてしまう『衝動買い』を防ぐために、繁華街のペットショップでは20歳以下の人には動物を売らないようにし、20歳以上の人にも身分証明書があって契約書にサインした人にしか動物を売らないようにしていて、実際に返品された動物は今までにいないということだ。

繁華街のペットショップ

一方、自由が丘のペットショップでは、販売している動物にマイクロチップを装着させていて、仮にペットを飼ってからやむを得ず捨ててしまってもペットの身元を調べて飼い主のもとに帰すことができるようにしている。つまりペットを飼うことに責任を感じてもらう活動をしていることを事前に客に言って、納得した人にしか動物は販売していないそうだ。

日本動物愛護協会に取材をした。常任理事・事務局長の内山晶氏は「理想的なペットシ
ョップは現状では少ないのではないか。動物を小さくてかわいいうちに販売しようと、早
く親や兄弟と離れさせれば、犬としての習性を身に着けないで成長してしまう可能性が高
くなる」と語る。また、「日本では、ペットショップがペットを飼うための仲介役として存在するのは、商業活動として認められているので、法に触れない限り止めることはできない。しかし、生きている動物を扱うのだから、法律を順守し、モラルを大切にしてより良いペットショップを目指して活動していってほしい」と強調した。

ペットショップ(自由が丘)

また、全国ペット協会にも取材をした。全国ペット協会とは、生き物に関わる人のレベルアップを目指して、説明会を開いて人材育成をしている一般社団法人だ。事務局長の赤澤暁昌氏は、理想的なペットショップのあり方について「ただ動物の購入の窓口ではなく、長く飼い主さんとつきあっていけて、いつでも相談にのれるところだ」と言う。法改正については「規制がどんどん強くなっている。ただ、もともと夜間に営業していたペットショップは法改正前も少なかったため法改正をしてもペットショップのあり方は大きくは変わっていない。つまり、今までも法律の中に収まってきていた」と言う。動物の深夜販売、インターネット販売をしていたペットショップもある程度は自主規制をしていたとも語る。また、最近増えている『衝動買い』については、動物を販売する際にはその動物の寿命など18項目を説明してから販売することが義務 づけられているため、簡単に動物を購入することはできないそうだ。最後に「どのペットショップも『もっと良くなりたい』と思っている。そのようなペットショップの手伝いをするのが私たち全国ペット協会の仕事です」と強く語った。

今回の法改正によって営業スタイルが変わったペットショップは少ない。しかし、まだペットショップには『衝動買い』や『殺処分』などの問題があることも事実だ。これからのペットショップのあり方がより良いものとなることに期待したい。

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聴導犬って?

聴導犬って?
2013/10/11               坂本 光央(10)

 皆さんは、『聴導犬』という犬を知っているだろうか。聴導犬とは、耳の不自由な聴覚障害者を補助する犬のことである。普段ほとんど見かけない聴導犬だが、具体的にはどんな仕事をしているのだろうか、どのような訓練をしているのだろうか、8月18日に社会福祉法人日本聴導犬協会八王子支部で、日本聴導犬協会会長の有馬もと氏と利用者の村澤久美子さんに話を聞いた。

目覚し時計を使ったデモ

 聴導犬は、もともと、1966年にアメリカのデトロイトで生まれて、その後、日本では1983年に聴導犬第一号が誕生した。

 有馬会長の話では、聴導犬は、聴覚障害者に八つの音(料理タイマーや警報機の音)を利用者に教えるように訓練されているが、生活の中で八つの音の他にも、利用者の必要な音を聞き分け、教えるようになるという。さらに例えば、利用者が目覚まし時計をセットするのを忘れても、聴導犬の方が習慣を理解しているので、いつも起きる時間に起こしてくれる。

 聴導犬を利用する村澤さんによると、以前は、鍵を落とした時、近くの人が気付いてくれて、声をかけられても気付かなかったという事や、湯を沸かし過ぎても気づかず、匂いがし始めてから気づくという事もあったという。しかし、聴導犬が来てからは、湯が沸いた音が鳴ると、自分の前まで来て音が鳴ったところへ連れて行ってくれるという。聴導犬がいることで、一緒にいるだけでも安心できるし、助かっているという。

 聴導犬の服の色はオレンジ色で、はぐれた時に見つけやすくするためである。さらに、服には聴導犬だという事を証明するためのIDコードがついていて、これは聴覚障害という『見えない障害』に気付いてもらうためでもあるという。

有馬会長に取材

 有馬会長の説明によると、このような仕事をする聴導犬の候補犬は、捨てられて、保健所や動物愛護センターに送られた犬から選ぶという。捨てられてきちんと世話をしてもらえなかった犬を補助犬に育てるのは愛情と時間がかかるが、一頭でも多くの犬を救い、障害者の良きパートナーに育てたい、これが日本聴導犬協会の設立当初からの基本理念なのだ。訓練法は、保健所などで候補犬選びをして、ソーシャライザーと呼ばれるボランティアの家で2~8ヶ月育ててもらい、社会のマナーを教える。その後、本当に適性があれば、訓練をし、最終試験に合格すると、ようやく聴導犬になることができる。最終試験では、電車・バスなどの乗車、スーパーでの買い物など十一科目があり、電車・バスの乗車の試験の時には、車内で空き缶を転がしたり、わざと物を落としてその反応を見るというのがあるそうだ。訓練では、決して叱らずに、できたらほめる。音を教えると褒美がもらえる、と考えるようになるそうだ。また、聴覚障害者は話せないこともあるので言葉で命令しないで、手で指示する訓練をしている。こうした訓練で、聴導犬になれるのは、実は、600頭に1頭だという。

 日本聴導犬協会では、このような訓練のほかに、聴導犬の無料貸与とアフターケア、身体障害者支援、地域貢献など、色々な仕事をしている。

 聴導犬は、日本全国で52頭(2013年8月現在)しかいない。これには、『聴導犬』というものが世間に知られていない、又は借りたいけれど職場の協力が得られないという理由が挙げられる。なぜなら、聴導犬を借りる条件の1つに、日中も聴導犬の介助が必要な人しか飼えない、と書いてあるからだ。しかし、聴覚障害者でも、ペット犬と暮らしている人なら、家の中で3種類の音を教えてくれる『聴力お手伝いペット犬』になれる訓練方法を無料で教えてくれるそうだ。

 聴導犬の実働頭数を多くするには、知る人が多くならなければならない。日本聴導犬協会も普及活動をしているが、借りた人が、それと同時に広報もしなければいけないそうだ。
聴導犬を知り、借りることが出来ても、一般市民に知られていないがために、飲食店やスーパーには入れないことがある。そういう時には、ユーザーにも説明義務があるが、それでも理解してもらえなかったときは、日本聴導犬協会はアフターケアとして説明してくれるそうだ。 聴導犬は、盲導犬や介助犬と違いあまり知られていない。しかし、日本聴導犬協会の努力により、聴導犬を知る人が増え、普及にもつながることを期待したい。

聴導犬の今
2013/10/11               前田佳菜絵(12)

 町で補助犬の募金活動などをよく目にする。だが視覚障害者の補助をする「盲導犬」を知っている人は多くても、聴覚障害者の補助をする「聴導犬」を知っている人は少ないだろう。日本聴導犬協会八王子支部で話を聞いた。「聴導犬は聴覚障害のある人の体にタッチして日常生活の音を知らせる犬です」と日本聴導犬協会会長の有馬もとさんは言う。デモンストレーションしてくれた犬は、目覚まし時計の音や警報機の音をCE記者の体にタッチしたり「ふせ」をして教えてくれた。
  
 日本聴導犬協会が設立されたきっかけは、保健所が犬や猫を処分していることの批判をかわすためだと有馬会長は言う。そのため、今でも保健所で保護された犬が聴導犬になっている例が多い。だが保護犬の中でも人間が大好きなことなどの素質がある犬は300頭のうち1頭だと言う。

利用者の村澤さんに取材

 厚生労働省の調査によると、日本聴導犬協会に取材をした8月時点の聴導犬の実働頭数は52頭だという。これは「盲導犬」の約二十分の一、身体障害者の補助をする「介助犬」の六分の五だ。聴覚障害者の数と比べると、やはり聴導犬は圧倒的に不足しているという。また、都道府県ごとの実働頭数も10頭の県がある一方で、1頭もいない都道府県も多い。その対策について有馬会長は「仕事などの関係上聴導犬を借りることができない人もいると思いますが、実際に聴導犬を借りている(借りていた)人が耳の不自由な人に『聴導犬はいいよ』と広めてもらわないとなかなか普及しません」と言う。現在、世界で一番成功している英国聴導犬協会も、最初のユーザー50名が広報活動を引き請けて、聴覚障害者へのPRをしてくれるようになってから頭数が増えたそうだ。日本聴導犬協会も今年度、12名の元聴導犬ユーザーと聴導犬の協力のもと「全国聴導犬普及キャラバン」をおこなっているという。
   
 最後に有馬さんは、訴えるように「耳が聞こえない人は孤独なんです。家族などと話していても話についていけず孤独感を味わうことがあるんです。聴導犬は癒しです。音を知らせてくれるだけではありません」と語った。

デモが終わってごほうびを待つ聴導犬たち

 実際に聴導犬と生活している長野県の村澤久美子さんにも取材をした。聴導犬のことは新聞で知って、村澤さんが指導している手話のサークルで日本聴導犬協会のデモンストレーションを見に行ったそうだ。
 
 だが、村澤さんは当時精密機械の会社に勤めていて 、聴導犬を会社に連れて行くことができず、聴導犬を借りることができなかったため、家の中のみで音を知らせる「聴力お手伝いペット犬」を借りた。しかし、日本聴導犬協会に転職して、今の聴導犬「かるちゃん」との生活を始めることができたそうだ。今は、かるちゃんに目覚まし時計の音やキッチンタイマーの音、職場でのドアノックの音などを教えてもらっているそうだ。

 今でも日本聴導犬協会からアフターケアを受けている村澤さん。最後に聴覚障害者に「聴導犬は道具ではありません。大事な家族です。聴導犬と生活を始めることで、今までにない安心が得られ、リラックスできるのは、聴導 犬と生活して初めて分かることなんですよ。一人でも多く の耳の不自由な方に、聴導犬との生活で、安全と安心を得てほしいです」と語った。
   
 盲導犬や介助犬が活躍している中にも聴導犬を必要としている聴覚障害者が確かにいる。広報活動などを続けている日本聴導犬協会の人、募金をしている一般の人がいる。そのことをこの取材で強く実感した。これから、聴導犬がもっと社会に広まること、障害者や補助犬が暮らしやすい社会になることを強く願う。

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「黒目のおしゃれ」に隠れる危険性

「黒目のおしゃれ」に隠れる危険性
2013/09/15               米山 菜子(16歳)

 「黒目の大きさや色を変えたりすることのできる魔法のレンズ」が今、若い女性を中心に人気だ。目の色を茶色や青色などに見せられる「カラーコンタクト」や黒目を大きく見せるために黒く縁取られている「サークルコンタクト」だ。 1か月分のレンズ代は約4,000~5,000円かかる。決して安くはない金額を払ってまでも彼女たちがする「黒目のおしゃれ」の魅力とは何か。また、ネットでも買うことのできる気軽さに危険性は隠れていないのか。専門医にインタビューし、東京渋谷の繁華街で若者の声を拾った。

糸井素純院長(54歳、日本コンタクトレンズ学会常任理事)

 「目を大きく見せたい」とカラーコンタクトを使用している女性が口をそろえて言った。街頭取材では、カラーコンタクトを使用したことのない人も含め、黒目は大きいほうが可愛いと考える人が多かった。しかし、可愛さを求めるばかりに眼科医の処方を受けずに、あるいは使用期限を守らずに使用する人もいた。

 道玄坂糸井眼科医院の糸井素純院長(54歳、日本コンタクトレンズ学会常任理事)は、彼女たちのように正しくコンタクトを使用していない人に警鐘を鳴らす。コンタクトのトラブルを訴える人は年々、増加している。その中でも日常生活に支障が出るほどに視力が低下する人は年間1,000人(推定)にものぼる。

 トラブルに繋がる原因の一つには、カラーコンタクトの色素が関係していると、糸井先生は言う。本来、カラーコンタクトは色素がレンズとレンズの間に挟まれ、サンドイッチにされた形が正しい。しかし、サンドイッチ構造に製造するには、特許や、作り方が難しい、などの理由から色素が黒目側にかたよっていたり、色素が一部露出しているコンタクトがあるという。そのため、サンドイッチ構造が不十分な使い捨てカラーコンタクトを綿棒でこすると綿棒に色素がついてしまう。また、1か月使用可能のものもこすり洗いをきちんとして1か月使用すると色が落ちてしまうことがあるそうだ。色素が落ちると、レンズに凹凸ができ、眼球を傷つける原因に繋がるという。

 この事実を街頭取材でカラーコンタクトを使用している人に伝えてみた。しかし、彼女たちは「使い方は改めるが、使用はやめられない」と答えた。やはり、トラブルは他人事のように感じるようだ。ある女性(18)はカラーコンタクトの使用について「依存」という言葉を使った。その女性は何度か角膜を傷つけたことがあるが、「やはりやめられない」と話し、「スッピンは良くても裸眼は嫌」と断言した。

 糸井先生はコンタクトの正しい使い方や危険性を様々な形で広めようとしている。日本コンタクトレンズ学会で話し合い、記者会見という形でマスコミを通して訴えたり、正しい使い方を説明する映像を作成したりしている。コンタクトは正しい使い方をしていてもトラブルは起こる。しかし、継続して定期検査を受けている人はトラブルが起こる確率が2%以下まで下がるという。目の状態を眼科医に診てもらい、コンタクトと眼球との相性のよいコンタクトレンズを処方してもらい、定期的に検診を受けることがとても大事だと糸井先生は話す。

 若者にとっておしゃれの必須アイテムになりつつあるカラーコンタクトは一概に悪いものとはいえない。ただし、使い方を誤れば、失明もしかねない危険なものであることも事実だ。今後、皆が安全に使用するためには、カラーコンタクトとの正しい付き合い方を広めることが必要とされるだろう。

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オシャレなカラーコンタクトに潜む危険

オシャレなカラーコンタクトに潜む危険
2013/09/15               村上 類(14)

最近よく街で日本人らしくない目の色をした若者を見かける。それはカラーコンタクトレンズをつけているからだ。色はさまざまでナチュラルな茶色から派手なピンクや紫など幅広い。しかし危険が伴うことはネットが情報源の主流になった今、よく知られた話だ。ではなぜそこまでして若者はカラーコンタクトを使用するのだろうか。

若者にカラーコンタクトの危険性を伝えるために、日本コンタクトレンズ学会常任理事を務めている眼科医の糸井素純氏を取材した。

そもそもカラーコンタクトは両目で色が違っていてそれに対してコンプレックスを感じる外国人や、先天性白皮症で体の色素が薄い人などが通常の見た目に近づけるために作られたものでオシャレのために作られたものではないと糸井医師は話す。しかしカラーコンタクト使用者は増える一方で、しかも正しい使い方をしない人が多く一週間に2人位は病院を訪れるそうだ。

なぜカラーコンタクトによる眼障害を訴える人がいるのか。それは3つ理由がある。一つは購入者が正しいカラーコンタクトの使い方をしていないからだ。通常コンタクトレンズの洗浄は指でこすり洗いをしっかりとしなければならない。しかし、眼科医の処方を受けていないので、ケアの指導を受けておらず、適当に洗っている人が多く、目に傷つけている。二つ目は利用者が自分にあったカラーコンタクトを使用していないからだ。人により眼球の形も違うことを知らずに見た目で選んでしまう若者が多く、それに加えてマスカラなどを目の近くに塗るため、目が乾き、酸素の供給もうまくいかなくなり目が充血する。最悪失明の患者がでるのだ。三つ目はカラーコンタクトの製造会社が、必ずしも品質の安定した製品を作っていないからだ。添付文書に詳しいケアの方法を書いていない場合も多く、インターネットや雑貨店でレンズを購入し、誤った使い方をしてしまう。またサンドイッチ構造と言って色素をレンズの透明な部分で挟んでいる製品が安全と言われているが、特許や製造技術の問題で、実際には色素の一部が露出している製品も多い。

サンドイッチ型として販売されているにもかかわらず、一部、色素が露出している。だから利用者が正しい洗い方をしていても色素が取れてしまい、色は薄くなったり、目に害を与える可能性も高くなる。

それでもなぜ若者はカラーコンタクトを使用するのか。生の声を聞くために渋谷のセンター街で街頭取材をした。

使用者は14歳からとかなり若い年齢の人もいて、目が大きく見えるからかわいいとか顔映えがよくなる、違う自分になれるとやはりオシャレで使用している人が多かった。そしてその大半がカラーコンタクトの危険性は知っているが、まだ自分にはトラブルにあったことはないからこれからも使いたいという意見が多かった。

その一方でかわいいと思わない、違和感がある、危険だかれ使いたくないという意見も多く、特に男性でカラーコンタクト未使用者は女性使用者に対してカラーコンタクトなしの方がいいと思う、興味がないとの意見もあった。

若者のなかにはカラーコンタクトに潜む危険を理解している人もいる。しかしトラブルを経験するまで危険性を知っていても使用を続ける人は多い。安易なオシャレを優先して不正確な使用の仕方を続ける若者に危険性を真剣に伝え広めていくことが必要だろう。

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社会

若者のカラーコンタクト使用時の危険性

若者のカラーコンタクト使用時の危険性
2013/09/15               高橋優香(15)

 現代の女子中高生などが使用しているカラーコンタクトレンズ(以下カラコン)は、今やファッション目的や、自分好みのお洒落な目元を演出するためにも用いられている。だが使用を誤ると大事な目に傷がつきかねない。カラコン使用時の安全性を検証するために若者たちを取材し、専門医に話を聞いた。

 渋谷区の道玄坂糸井眼科医院の糸井素純院長を8月11日に訪ねた。糸井先生によると、ソフトコンタクトレンズは1970年代に初めて作られ、より多く酸素などを供給するために改良を重ねている。現在普及している透明なレンズは、非常に酸素透過性が高い。コンタクトレンズは視力補正が本来の目的であったが、病気ために目の色が正常と違う患者用に目の色素を補正するカラコンが開発された。一方、現在普及している多くのカラコンは、1970年代の開発当初のHEMAと呼ばれる素材をそのまま使用していて、その素材に色素を付着させ用いられている。開発当初の素材なので酸素供給がとても低い。そのため、目の健康を考えると安全性が高いとは言えない。

 カラコンはHEMAと色素をサンドイッチにした構造になっている。この製造方法はメーカーによってそれぞれ異なり、特許も関係する。そのため眼科で処方されていないカラコン(ネットなどで簡単に手に入るカラコン)はサンドイッチ構造が不十分で、カラコンの色素が眼球側に偏り、一部露出していることがある。色素が露出していると、眼球に直接色素が触れてしまう。そうすると、眼球がひどく傷つき眼病にかかってしまう恐れが出てくるそうだ。

 これまでも眼科ではカラコンを処方していた。それらのカラコンは、酸素透過性も、透明なレンズと同等であり、主に眼科で処方を受け、購入していた。眼科で処方を受けた人は、少しでも異変を感じると、処方を受けた眼科に行くので、重症な例は少なかった。しかし、眼科医の処方を受けないで、ネットなどでカラコンを購入した人はトラブルがあってもひどくならない限り眼科には行かないそうだ。そうすると、より重症になる。
 
 カラコンを使用している20名ほどの東京の女子中高生にアンケートを取ったところ、お洒落目的や、使用期限を守っていないなどという回答が多かった。中には、一度使用するとやめられなくなるといった人もいた。また、カラコンを使用していない人たちの理由を聞くと、イメージ的に危ない、自分は目に異物が入るのでつけたくないなどの意見が多かった。また使用していない人たちは、つけている人々について特に何も思わないようだ。

カラコンをつける多くの人は化粧もしている。マスカラやつけ睫毛をつけると目が乾燥する。そのうえにカラコンをするので更に乾燥するそうだ。

 カラコンを利用する若者たちにとっては価格が最優先であって、安全性は二の次なのであろう。医師の忠告を聞かずに、危険性を軽く見るカラコン利用者は減りそうにもない。

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未来のまちづくり~スマートシティ~

2013/06/03               前田佳菜絵(12)

UDCK染谷康則氏に取材

 現在、日本は環境問題、高齢化社会問題、経済問題を抱えている。そんな中、日本ではスマートシティという未来のまちづくりの構想が広まりつつある。スマートシティとは、情報通信技術・環境技術などの先端技術を用いて社会インフラを効率化・高度化した都市や地域のことだ。現在、日本のスマートシティではどのような新しいことが進んでいるのだろうか。
実際に政府に環境未来都市に指定された、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」を4月13日に訪問し、後日柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)ディレクターで柏市企画部企画調整課副参事の染谷康則さんと柏市企画部企画調整課統括リーダーの伊藤浩之さんに取材をした。
 柏の葉スマートシティでは、日本の3つの問題の解決モデルとなるように「環境共生都市」「健康長寿都市」「新産業創造都市」をテーマにおいている。環境問題については、エネルギーマネジメントの実施と、災害時に元々太陽光発電などでためておいた電気を公道の向かい側に送ることが出来る電力融通、高齢化社会問題については、市民の健康データのストック、経済問題については、グローバルネットワークでの国際的なビジネスコンテストの開催などを実現しようとしている。
「柏の葉スマートシティが他のスマートシティと大きく異なる点は、まちの人、大学、企業の「公民学」が連携して活動をしていることだ」と染谷さんは話す。UDCKとは、いわゆる「まちづくりセンター」の機能も持ち、「『公民学』のそれぞれの立場に平等、中立的な組織だ」と染谷さんは言う。
 現在柏の葉では、「公民学」が連携して、高齢者などの健康を守るための口腔ケア、利用者の要求に合わせて運行する「オンデマンドバス」などに取組み、成果を得てきたそうだ。若者との連携では、市民、市街の方、行政、関係事業者、学生などが参加する「まちづくりスクール」を実施して、まち作りについて学ぶ機会を設けたり、東京大学柏キャンパスの大学院生が中心の学生サークルが小学生の夏休みの宿題の手伝いをする機会を設けているという。

 柏の葉では、一部の住民は太陽光発電で作られた電気を使っていたり、家にも電気の「見える化(家で消費している電力をタブレット等で見られる仕組み)」を取り入れたりしている。共同の畑で作物を育てる施設もあり、畑を耕している人に話を聞くと、「高齢者や子供も積極的に参加している」ということだ。クラブハウスでは、市民たちで立ち上げた様々なクラブが活動することができる。しかし目標はまだまだ先にあるようだ。市民からは「これからのまち。将来に期待したい」との声があがっている。
しかし、まだ建設中の施設も多く、染谷さんは「完成まで10年かかるが、市は最後までやらなければいけない」と言う。 柏の葉スマートシティには日本の3つの問題(環境、高齢化、経済)に対する政策が見える。しかし、それを実現するためには、染谷さんが言うようにまだ10年はかかるようだ。これから、日本のまちづくりがどのように変わっていくのかが楽しみだ。

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Dural-surname System, Pros and Cons

September 2, 2012                                               By Nana Hanta (17)

According to the survey conducted by the Cabinet in 2001, 29.9 % of the respondents felt that married couple should always use the same surname and opposed any revision of the current law, down from the 39.8 % who felt this way in 1996. The percentage of those who favored allowing married couples to use separate surnames even in the household registers, however, rose from 32.5% to 42.1%.

Dural-surname System, Pros and Cons
Fujiko Sakakibara, lawyer and professor of Waseda Law School

The result indicates an increased interest in dual-surname system in Japan. So I interviewed three people on this issue; Fujiko Sakakibara, lawyer and professor of Waseda Law School who advocates for the change, Tsugio Watanabe, who is married but not registered to keep individual surnames, and Lower House member Shizuka Kamei who opposes any changes.

Sakakibara said there are three major advantages to dual-surname system. “First, people do not need to give up their original names which may be the symbol of their identity. They also can protect from others their privacy on marital status. Next, changing surnames risks losing credibility on past business performance but the dual-surname system allows people to avoid such troubles and encourages women’s social advancement. Finally, under the single-surname system, the custom of women giving up their original names persists, but the dual system fosters the sense of gender equality, symbolizing the equality between husbands and wives.”

Watanabe said, “All we want is the right to choose separate surnames. It will not affect the couples who favor single surname, so I see no disadvantages.”

On the other hand, Kamei was the one who virtually blocked the implementation of the dual-surname system amid the big chorus of politicians demanding the change during the Hatoyama administration. Kamei, who has been active on the front lines of this issue, said, “I don’t see the point of discussing the advantages and disadvantages of the dual-surname system, since it is not an absolutely necessity. The current system is convenient so why should we abolish it and cause needless chaos?”

On May 16, 2012, The World Health Organization (WHO) announced in “World Health Statistics 2012” that the birthrate in Japan was 1.4%, ranking 175th out of 193 member nations. With the falling birthrate, marriages of people without siblings increase, causing the ends of “family names.” Sakakibara pointed out that “Many couples want to retain their surnames because they regard the names as inheritance from their parents and ancestors.” Dual-surname system is an incentive measure for marriage and birth. It is time for us to take some concrete steps.

 

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Capital Punishment in Japan July 17, 2012 by Sara Tomizawa (16)

Capital Punishment in Japan
July 17, 2012
Sara Tomizawa
 (16)

A 2010 survey indicated that 85% of Japanese are in favor of the death penalty seeing it as unavoidable punishment for brutal crimes.  However, there are some groups seeking to abolish capital punishment in Japan. Will Japan maintain the death penalty in the future?  To come to a better understanding of the situation, parties on both sides of the issue were interviewed.

  Tsuneo Matsumura, Acting Chairman of the National Association of Crime Victims and Surviving Families (Asu no Kai)     Tsuneo Matsumura, Acting Chairman of the National Association of Crime Victims and Surviving Families (Asu no Kai) insists that capital punishment is necessary. He said “the possibility of wrongful convictions cannot be a reason to abolish the death penalty; it is the duty of the police to carry out proper investigations. The crime victims and surviving families demand the death penalty and such demand has nothing to do with wrongful convictions.”  “If you support respecting the human rights of criminals, then the same holds true for the victims and family members perhaps even more so.”

The global trend is toward abolition of capital punishment with fewer and fewer nations supporting it. One of the current conditions for a country to join the EU is that the death penalty be abolished if in existence.  Amnesty International reported in 2009 that approximately 30% of all countries including the United States, Japan, China, India, Iran, and Saudi Arabia have the death penalty. When asked about this trend, Matsumura responded “other countries have a religious basis behind this issue and Japan does not. Besides, if we look at population instead of the number of countries, more than half of the world’s population lives in an area with the death penalty.”

In addition, Matsumura is skeptical in regard to the introduction of life imprisonment as a substitute for capital punishment; currently more taxes are spent on prisoners than for supporting lower income families. Life imprisonment would increase the operational costs of prisons. Spending taxes paid by crime victims for the benefit of the criminals is unreasonable. “How could a murderer compensate for the life he took while still alive? Surviving families desire to recover their lost ones, but we know this is impossible. So, the only consolation available is to take away the life of the criminal.”

 Shizuka Kamei, the chairman of the diet members group for abolishing the death penalty   Shizuka Kamei, the chairman of the diet members group for abolishing the death penalty, advocates its elimination. As a former public official belonging to the Police Agency, he stated that it is impossible to prevent 100% false accusation. He said “even criminals should have their human rights protected. The government must protect their rights because it is its duty.”

Kamei points out that the survey indicating that the majority of the people support the death penalty was not developed properly. The questionnaire limits choices and leads respondents to choose that the death penalty is unavoidable. His group conducted a survey asking whether or not people were in favor of abolishing the death penalty when lifelong incarceration is put in place. The majority said “yes.” Based on this survey, he believed that the ratio of Japanese in favor of the death penalty would significantly fall if life imprisonment is alternatively proposed.

Kamei proposed life imprisonment as a first step to abolish the death penalty.  Life imprisonment could be crueler than imprisonment with the possibility of parole after 10-20 years.  However, he thinks there is no choice but for criminals to consider the damage they caused and reflect on their crimes. He strongly advocates as a politician that the government must not kill a citizen.

With the introduction of the jury system, ordinary citizens are now involved in the judicial process and need to deal with the application of the death penalty.  Accordingly, we are obliged to study and think about capital punishment. Debate over this issue will continue.

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