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英国の少年司法システム ~日本との違い~

英国の少年司法システム ~日本との違い~
2008/12/06                原 衣織( 16 )

 罪を犯した時は刑罰を受けるという刑法上の責任を、刑事責任という。日本では最近、この刑事責任年齢に合わせて刑事処分可能年齢を 14 歳に引き下げたことが話題を 呼 んだが、この責任を 10 歳から負うとされている国がある。英国だ。

英国の少年司法システムはどのようになっているのか。これについて調べるため、英国 法務省の少年司法関係部局と児童・学校・家庭省の少年司法関係部局を統合した合同少年司法委員会の Simon Emerson 氏にEメールを通して質問に答えてもらった 。また、 少年司法システムの運営、主務大臣への助言等を職務とする非政府公益機関である少年司法委員会の広報責任者 Claire Forbes 氏に、「日英記者交流事業」で訪英した際に話を聞いた。

10 歳と い う年齢は、日本以外の他の諸外国と比べても低いと言える。 10 歳の少年が大人の犯罪者と同じような刑を受けることがあるのか。国として少年犯罪に対し厳罰の姿勢をとっているということなのか。

Emerson 氏は 10 歳という年齢 設定 のメリットを、「早期の介入により犯罪を防ぎ、若者に自分自身の犯罪行為に対する責任を育てることができる」ことだと説明する。 Forbes 氏も 10 ~ 11 歳を「犯罪的行動に引きずり込まれ始める年齢」だとし、「早めに当局が介入することで犯罪の方向に進むのを防止できる」と述べる。そして、 10 歳で刑事責任を持つということは、 「 10 歳から大人の犯罪者と同じように扱われることを意味するものではない 」 と 言う 。施設収容を命じる「収容 およ び訓練命令」の対象も 12 歳以上であり、 10 歳、 11 歳の少年が施設に収容されることはない。

12 歳以上の少年が「収容 およ び訓練命令」を受け取ると、主に年齢や居住地によって「少年犯罪者施設( Young offender institution )」「子ども収容施設( Secure children’s home )」「収容訓練施設( Secure training centre )」の 3 種類の施設のうちいずれか一つに収容される。これらの施設は日本の少年院に相当するもので、義務教育を終えた年長の少年向けの「少年犯罪者施設」では職業教育を実施し、年少者向けの「 Secure children’s home 」では 2 人に 1 人の割合でスタッフを配置するなど、それぞれの施設ごとに異なったアプローチによって少年を更生させている。また、全ての施設に週に最低 25 時間の教育が法律で定められており、必要に応じてカウンセリングなどもあるという。

とはいえ、英国では 18 歳以下の施設収容は「最後の手段」であり、実際少年司法委員会の年間統計によると 2005 年から 2006 年の 1 年間で、少年施設への収容命令を受けたのは 21 万人以上の少年犯罪者のうちたったの 3 パーセントだという。では、残りの大多数はどうなるのか。

英国には、施設収容以外の様々な処遇方法が存在する。親に対しカウンセリング授業またはガイダンス授業の受講を要求する「養育命令」や、治安判事裁判所が個々の少年に禁止事項を言い渡す「反社会的行動禁止 命令 」、保護観察官の監督のもと被害者またはコミュニティ全体に賠償を行う「賠償命令」などだ。

そのほかに、 10 歳未満の少年が罪を犯した場合には責任オフィサーが児童を監督する「児童保全命令」や、所定の期間中、午後 9 時~午前 6 時まで所定の地域内の公共の場所への立ち入りを禁ずる「地域児童外出禁止命令」が出され、施設収容ではなく地域内で児童がこれ以上犯罪の方向に進まないよう予防する。

ロンドンYJB取材

そして、地域で少年犯罪の防止や非行少年の更生に従事するのが、少年司法委員会の地域担当部局としてイングランドとウェールズの全ての自治体に配置されている「少年犯罪対策チーム」だ。保護観察官・公的ソーシャルワーカー・警察官などで構成され、少年司法業務の提供の調節や、「少年司法計画」に定められた職務を行っている。このような機関があるからこそ、地域内での少年への働きかけが為 され うるのだ。

先ほど触れた「賠償命令」は、被害者が望む場合は加害者から直接賠償、謝罪を受けることができるという 。 日本ではまだ珍しい方法だが、このように被害者と加害者が直接に接触を持つ 手法として他に、修復的司法がある。こ れは 1998 年の「犯罪・秩序違反防止法」によって英国の少年司法システムに導入された手法で、被害者・加害者・家族などその犯罪に関係する人々が 一堂に会し、 話し合いを行う場を設けることで更正へと繋げるというものだ。加害者である少年には、自分の行為がどういう結果をもたらしたかを理解して被害者に謝る機会を、被害者には、自分の思いを表明する機会を与えることができるという。

今回 、 英国の少年司法システムについて取材を行い、英国が少年犯罪に対して様々なアプローチを行っていることを知った 。 英国の少年司法システムの全てが素晴らしいと言いたいのではない。実際 Forbes 氏は、「統計上、初犯の数は減っているものの再犯は増えており、今最も心配されている」と話す。それに、全く違った社会的背景を持つ英国と日本では少年犯罪の内容や傾向も異なるだろうし、英国のシステムをそのまま日本に導入したからといって効果を現すとも思えない。

しかし、親へのガイダンスやカウンセリングで家庭に働きかけ を行うなど、 日本にも取り入れたらどうだろうかと思うような手法も存在することは確かだ。

Headlinersのロンドン支局で取材

近年多くの先進国が頭を悩ます重大な社会問題である少年犯罪。日本でも、近年少年犯罪が「凶悪化」していると言われ、この数年の間に相次いで少年法の改正が行われるなど、少年司法システムが大きく変化している。処罰や少年院送致などの対象年齢の引き下げや犯罪被害者の配慮だけに留まらず、今後は罪を犯してしまった少年の更生、再犯防止にも今まで以上に熱心に取り組む必要があるだろう。その際、今後各国の様々な取り組みを知ることで見えてくるものもあるのではないだろうか。

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社会

廃プラスチックはどうなるの?

廃プラスチックはどうなるの? 
2008/10/14                曽木 颯太朗(16歳)

 東京23区では収集区分の変更が行われ、プラスチックごみについては、 2008 年から 順次汚れていない容器包装は資源ごみに、その他は可燃ごみになった。プラスチックを燃やすとダイオキシンが発生すると小学校で習ったせいか、プラスチックを燃やすと聞いてかなり違和感を持ったものだ。おまけに私の住む区では 突然 4 月から 区分が変わったので、しばらくの間ごみを捨てるのに手間取ってしまった。最終処分場を延命させるためだという話を耳にしたが、そのためにプラスチックを燃やして環境に害は無いのだろうか、全部リサイクルできないのか、など様々な疑問が頭に浮かんだ。

 東京 23 区のごみの焼却・破砕(ごみの中間処理)を行う東京 23 区清掃一部事務組合の総務部企画室長の小林正自郎さんと広報・人権係長の石井菜穂子さんにお話を伺った。小林さんによるとプラスチックを不燃ごみとして扱うようになったのは、燃やすことによる汚染物質排出の問題もあったが、なにより生ごみを優先的に焼却する必要があったこともある。さらに、増大一途のプラスチックごみを他のものと共に焼却した場合、発熱量の違いから工場の調子が狂うおそれもあったという。

  しかし、その後の公害防止設備の設置などによって汚染物質の排出は減少した。特にダイオキシン類対策特別措置法の制定後、対策を進めた結果、ダイオキシン類をはじめ汚染物質の排出は国・都の基準を大幅に下回っている。モデル地区で出されたプラスチックを可燃ごみとして焼却しても問題はなかったそうだ。

プラスチック処理促進協会 神谷氏

 今回プラスチックと皮革・ゴム類が不燃ごみ扱いされなくなると不燃ごみは以前の 40% に減り、収集・運搬を集約化できるほか、処分場の寿命も 30 年から 50 年超まで延ばせるという。

 しかしプラスチックにはリサイクルという方法もある。小林さんも「プラスチックはリサイクルすることが前提」とおっしゃっていた。 プラスチック・リサイクルを進めてごみを圧縮できないのだろうか。廃プラスチックの活用方法の研究や広報活動を行っているプラスチック処理促進協会広報部の神谷卓司さんによると、実は材料として再利用するマテリアル・リサイクルだけでなく、焼却すること自体がリサイクルになるのだという。焼却することで電力としてそのエネルギーを回収するこの方法はサーマル・リサイクルと呼ばれている。

 廃プラスチックのうち埋め立ててしまうのは全体の 13% に過ぎず、全体の実に 50% はサーマル・リサイクルで処理されているという。一方で材料化するマテリアル・リサイクルはコストが高く、付着物があると上手く処理できないため、家庭からの廃プラスチックを処理することは難しい。油化・ガス化するケミカル・リサイクルは技術的には完成しているものの、普及は進んでいない。いずれも初めて聞いた話だった。

 いくら工場でダイオキシンが基準を下回っているとはいえ 30 万トンもの不燃ごみが焼却される場合の環境への負荷は分からないという話も聞いた。それでもやはりプラスチックを焼却すること自体がリサイクルでもあるのだから、可燃ごみとして積極的に扱っても構わないだろう。

 一方でどうして廃プラスチックが可燃ごみになるのか最終処分場の延命問題ばかり伝わってきて、エネルギー資源と成りうることはちっとも取り上げられていない。うちのマンションでは区分変更が行われてから丸一月は以前のままで、現在も変更の告示があるだけで以前のように捨てている人もいるようだ。最終処分場の問題だけなら「自分だけなら別に不燃ごみとして捨てても大した量ではない」と以前のまま捨ててしまうことだってあり得る。資源としてプラスチックはどのように利用できるのか、リサイクルの実態を積極的にアピールして各家庭の意識をあげる必要があろう。


プラスチック、可燃ごみで大丈夫?
2008/10/14                大久保 里香(16)

 今までは不燃ごみとして処分していたプラスチックを現在、可燃ごみとして処分している地域が日本で増えている。東京 23 区でも平成 20 年度 から 順次 可燃ごみとしてプラスチ ックを処分する予定だ。

 そもそもなぜプラスチックを不燃ごみとしてではなく可燃ごみとして処分する地域が増えているのだろうか。理由のひとつが埋め立て量の限界だろう。 プラスチックは不燃ごみ全体の 52 パーセントを占めている。このまま、プラスチックを不燃ごみとして処分し続けると埋め立て地が数十年と待たずにいっぱいになってしまうだろう。しかし、プラスチックを可燃ごみとして処理すると埋め立て量の約 60 パーセントを削減できる。 今まで埋め立てられていたごみの体積を半分以下に抑えることができるのだ。将来を見越すと、プラスチックを可燃ごみとして処分することで埋め立て地が抱えている問題を軽減できるなら画期的な方法かもしれない。

 2 つめの理由が、プラスチックリサイクルの難しさにあるだろう。プラスチックには多くの種類があり、同じ種類のプラスチックだけを多量に集めるのはまず難しい。ペットボトルやトレーなどは一目見ただけで誰でも分別できるので例外的に再び集めたもので製品を作ることができる。あまり知られていないが、プラスチックが資源として回収されても再び製品となるケースは少ないのだ。

 また、プラスチックは塗装がしてあることや、残飯などが付着して回収されることが多いので、仮にプラスチックを再形成してもにおいと色の問題でリサイクルパレットなどの用途に限られてしまう。こういった、製品にはならないプラスチックはエネルギーリサイクルとして活用される。エネルギーリサイクルとはごみなどを燃焼させるときに燃焼効率を上げるために鉄鉱石や石油の代わりに製品としては使えなくなったプラスチックを使うことである。

東京二十三区清掃一部事務組合 小林氏

 取材を受けていただいたプラスチックの処理促進協会の神谷卓司氏は「無理をしてプラスチックを製品として再びリサイクルしようとすると、逆にエネルギーがかかり環境に対して負荷になる。」とおっしゃっていた。プラスチックの可燃ごみ化は環境に対しての不信感を抱く人もいるだろうが、可燃ごみ化もプラスチックの有効なリサイクルといえることは間違いない。また、プラスチックを可燃ごみとして処理することやエネルギーリサイクルをすることは今問題になっている石油の枯渇や資源問題の解決策にもなりうるのだ。これからは、あまり知られていないプラスチックのエネルギーリサイクルも世間に広めていくべきだろう。

 しかし一見、よいことだらけに見えるプラスチックの可燃ごみ化だが、プラスチックを可燃ごみとして処分することで環境への悪影響は本当にないのだろうか。

 取材を受けていただいた 東京二十三区清掃一部事務組合の小林正自郎氏は「公害防止設備が向上し、また国のダイオキシン対策特措法によって平成 14 年 12 月までに清掃工場のダイオキシン対策が義務づけられているので、プラスチックを可燃ごみとして処理をしても環境に有害なガスは出ない。しかし、原則として資源としてリサイクルすることは大切である。」とおっしゃった。 環境の面では、プラスチックの可燃ごみ化は問題ないといえる。しかしながら、プラスチックの可燃ごみ化は日本で統一されているわけではないので、個人が住んでいる地域以外でごみを捨てるときのごみの分別が大変になることは間違いない。ごみの分別の統一化はプラスチックの可燃ごみ化にとってもっとも重大な課題だろう。

 プラスチックの可燃ごみ化は将来の地球を見据えた魅力的な方法であるといえる。しかし、プラスチックをむやみやたらに可燃ごみとして私たちが捨てるのでなく、資源としてリサイクルするか、エネルギーとしてリサイクルするかをしっかり考え、分別することでより一層、環境に優しいシステムが確立されるだろう。


ごみを分別しなくてもいいの?
2008/10/14                川口 洋平(18)

 「紙は燃えるごみ、プラスチックは燃えないごみに捨てなさい」。

小さい頃からこう言われて育ってきた。しかし東京23区では、プラスチックも燃えるごみになりつつあるそうだ。あれだけ注意されて育ってきた身としては、なんとも奇妙な感覚である。

 東京都でプラスチックが不燃ごみとして扱われ始めたのは、今から約35年前の昭和48年から。大量生産、大量消費の幕開けとも言える高度経済成長の当時、ごみは年々増加し、清掃工場で焼却処理しきれなくなったものはそのまま埋め立てをしていた。その結果、処分場に近い江東区で悪臭やハエの発生という環境被害を招いてしまった。それらの発生原因となっていた生ごみや紙を優先的に焼却処分し始めたのが分別の始まりだ。

 その当時の状況からしてみれば、分別は面倒だが仕方がなく、プラスチックごみは分別してそのまま“埋めるしかなかった”のだ。

 ところが21世紀になり科学技術が飛躍的に進歩した今、プラスチックを燃やしても有害物質が出ない焼却炉に全て入れ替わった。平成11年に国がダイオキシン類対策特別措置法を制定し、清掃工場が排ガス対策するようになったからだ。現在は有害物質そのものを測定できる限界値を下回る工場があるほど、きちんと排ガス、排水、焼却灰について対策がなされている。

 東京都の調査によると、不燃ごみの 57.8% を占める(※1)プラスチック類を焼却処分することで、30年しかないと言われている最終処分場の寿命も50年程度に延びるそうだ。

 プラスチックごみの分別をしなくても良い理由は分かったが、ごみを回収する市区町村によっては、分別をしなくてはいけない地域もある。処分方法を統一することはできないのだろうか。

ごみの焼却などの中間処理を担う、東京都二十三区清掃一部事務組合によると、プラスチック資源化施設の設置、コスト負担の考え方など、各区によって事情が異なり、23区内での収集方法統一は難しいという。

 平成17年に廃プラスチックの収集方法統一を検討した特別区の助役会では「各区事項としてそれぞれの創意工夫により再生利用を推進する」としたまでで、統一をする方向性はないようだ。

 原油高の今、貴重な原油から作られているプラスチックを簡単に焼却処理してしまうことに疑問視する声もある。

 廃プラスチックを適切に処理するための研究開発を行っている社団法人プラスチック処理促進協会によると、ペットボトルなど資源化しやすいものを除き、廃棄物から使えるプラスチックを選定する必要があり、プラスチックの資源化にはコストがかかるという。また、汚れたプラスチックの資源化を無理に行うより、エネルギーとして利用するサーマルリサイクルをするほうが効率がよいともいう。従来は焼却処理をする際に、紙や生ごみだけでは炉の温度が上がらず、炉で燃やすための燃料を投入していたこともあるそうだ。プラスチックは燃やすと高温になるため、炉の温度をあげる燃料の代わりにもなるのだ。

 他の自治体の状況を調べていくうちに、意外にも日本や世界全体で見ると、プラスチックは燃えるごみとして使用され、焼却の際に発生するエネルギーを回収、利用するサーマルリサイクルをしている地域が多いようだ。ごみを新しい製品や材料にする、マテリアルリサイクルが環境に良いように見えるが、目に見える形でリサイクルされることが必ずしも最善とは限らないのだ。

 急に分別がなくなったのは、こういった背景があった。一方で、プラスチックの処分方法は自治体によって異なる。プラスチックごみは、原料として生まれ変わることもあれば、熱エネルギーとして利用されることもある。どちらもきちんとリサイクルされていることには変わらない。

 プラスチックを再資源化する方法が違うということをきちんと広報することが、より効率的な再資源化につながるのではないだろうか。

※1平成18年度清掃工場等搬入先ごみ性状調査報告書より

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インターナショナル・ユース・メディア・サミット2008

インターナショナル・ユース・メディア・サミット2008
2008/09/15               三崎 友衣奈(16)

 セルビア共和国という国を知っているだろうか。南東ヨーロッパのバルカン半島にあり、人口は約750万人、面積は北海道と同じくらいである。旧ユーゴスラビア連邦で、歴史的に戦争が絶えない地域でもあった。1990年以降、連邦の中で独立が相次ぎ、2006年のモンテネグロ独立に伴ってセルビアも独立宣言をした。

 そのセルビアでこの夏8月20日~27日に、インターナショナル・ユース・メディア・サミットが開かれることとなり、首都ベオグラードには世界18カ国から約40名の15歳~22歳までの参加者が集まった。2006年にアメリカ・ロサンゼルス、翌年にはオーストラリアのシドニーで行なわれたサミットに続く第3回目の開催である。

 このサミットでは差別、環境、女性の権利、暴力、貧困、保健、ユース・エンパワーメントの7つのグループに分かれた若者たちが出した結論を、極力言葉を使わずに1分間のフィルムにまとめ、世界へ発信する。 私が参加した『女性の権利』では、「女性をエンパワーする」ことをソリューションとした映像をつくることになった。

 アイディアを出し合いながら大まかなスクリプトを作り上げ、どのような映像を撮るかを細かく決めたストーリーボードを完成させる。映像を撮り終わると、編集に取り掛かる。ここからは個人的な主観も入り、小さなシーンでも意見の食い違いが出てくるが、一週間の日程で時間と闘いながらやっと作り上げられたときはみんなでほっとした。

  グループで編集をしているとき、映像全体をセピア調にしたいという意見と、色を残したいという意見で分かれた。セピア調を押し切って勝手に編集してしまう場面もあったが、結局元の色彩を活かしたもので治まった。ともすれば強引とかわがままに見えてしまいそうだが、それほど1シーンに対して自分の意見を押そうとする意気込み、意思の強さに感心した。撮影・編集の技術ではなく、映像に対して自分のこだわりをしっかり持っていることが肝心だと学んだ。

 国が違うということは、育ってきた環境が違う。だからこそ、ひとつのものを作るときにも全く予期しない意見が出てきて、とても新鮮だ。映像では同じことを伝えようとしているのに、表現方法が異なってくる。日本では経験しないことに始めは慣れなかったが、次第に自分の意見が言えるようになってきた。

 どう相手と自分の考えをひとつに取り入れるかも重要だった。 また、セルビアは風景も日本と全く違う。旧ユーゴスラビア時代の建物も残っており、歴史を感じられる建物ばかりだ。ときどき一部が崩壊したままの建物も見る。しかし町はのんびりとしていて、宿泊していたユースホステルの近くにはキオスクやスーパー、雑貨屋もあった。サミット中はホステルで他国の参加者も混ざった3人部屋での寝泊りだ。食事は向かい側にある建物の中の食堂でとり、すぐ隣の建物にある図書室で活動する。

 すべてが違うわけではない。それも今回学んだ大きな収穫のひとつだった。それはやはり一つの最終的な目的があったからだと思う。何となく欧米とアジアは一線を越えられないかと感じていたときに、同じグループのセルビア人の女の子が「私はあなたがとても身近に感じられるよ」と言ってくれた。その言葉は、私が勝手に感じていた壁を壊してくれた。違うことが当たり前であるからこそ、悩み事や感じ方が同じだったときはとても親近感が沸く。同年代でも、全く違う生き方をしてきたティーンとこうして活動できたことは、私に広い視野を与えてくれた。

International Youth Media Summitに参加して
2008/09/15               藤原沙来(18)

 2008年8月20日~27日、セルビア共和国の首都ベオグラードにて3rd International Youth Media Summitが開催された。セルビア共和国・ブルガリア・キプロス・ナイジェリア・スウェーデン・アメリカ合衆国・韓国・日本など18カ国から集まった15歳~22歳の若者たちが“健康、貧困、環境、人種差別、暴力、女性の権利、若者の地位向上”をテーマにした映像と宣言書を作った。  

 各国の参加者は事前課題として、Filmmakerなら3分間のビデオ、Diplomatなら最も興味のある1つのテーマに関する文章、どちらかの提出が必要であった。参加が正式に決まってからは、Filmmaker・Diplomatのどちらもサミットへの下準備として、7テーマから選んだ1つのテーマに関する自国の問題点のレポートを提出した。 各自がテーマに沿った明確な問題意識を持った上でこのサミットに臨んだため、映像や宣言書作りは非常に内容の濃いものとなり、多くの討論が重ねられ異なる意見の集まった価値のある7つの映像と7つの宣言書となった。

 私は“環境”を最も興味のあるテーマに選び、Filmmakerとしてこのサミットに参加した。環境グループとして活動したのは私の他に、オーストラリア人、スコットランド人、キプロス人、韓国人、セルビア人であった。まず、私たちのグループは映像と宣言書を作るにあたり、それぞれが事前にまとめた各国の問題点、解決策を共有し合った。

 日本の環境に関する問題として、夏には歴代最高気温を更新し続け、また、突然の雷雨が頻繁に起こり、冬は年々気温が上昇していて雪は滅多に見なくなったことなど気候変動による数多くの影響が顕在化してきた点を挙げた。気候変動による大きな被害を私たちは受けているのにも関わらず、便利な生活に慣れてしまい、日常生活での気候変動を改善するための小さな我慢もできない人が、日本人の半分以上を占める現状も紹介した。

 日本に限らず、他の国でも同じような状態のようで、「自分の街にはリサイクルのシステムがない」というような小さなことから「ごみの処理を他国に委託している国もあり、それぞれの政府がもっと自国の環境問題に目を向けるべき」といった政府規模にまで及び、数多くあげられた。それに対して、解決策は非常にはっきりとしていて

1.『環境に関する教育を学校や家庭でする』、
2.『私たちの環境に対する態度を変える』、
3.『私たちの生活習慣を変える』の3つに絞られた。

この3つの解決策を軸に映像と宣言書が作られた。 環境グループは個人個人の主張がとても強く、誰ひとりとして自分の意見を譲ろうとはしなかった。そのため、早々に軸となる3つの解決策は決まったのだが、映像や宣言書を作る際には常にぶつかり合い、なかなかまとまらなかった。

 しかし、ぶつかりあいやそれぞれの意見の主張がなければ誰の意見も組み込まれていないつまらない映像や宣言書になっていただろう。まとまるには時間がかかったが、環境グループとして誇れるような映像、宣言書を作ることができたのではないかと思う。

 Closing partyで7つの作品を上映した際は、参加者全員がお互いの努力をたたえ合い、ここに至るまでの意見のぶつかり合いを誇りに思い、達成感を抱いた。8日間という短い間ではあったが今までに感じたことのないような感情を抱いているようだった。人種、文化、言語など、異なる背景をもった若者たちが同じ場所に集まり同じゴールを目指して活動できたことに一体感を感じた。

 同じ問題意識を持った若者同士が意見をぶつけ合い、アイディアを共有し合い1つのものを作り上げる過程は容易なものではなかったが、私にとっては刺激的な体験であった。同世代であるからこそ思ったことや考えたことを気兼ねなく口にして伝えられ、理解をしてもらうことができるのだと思った。

 さらに若者であるからこそ同じ目的に向かって激しく意見を交換し、私たちなりのメッセージを社会に伝えていけるのだとも思った。そして、何より、人種、文化、言語が何であれ自分の意見をしっかりと持ち、責任を持ってはっきりと発言すること、相手の意見を自分とは異なる意見としてまず受け入れることの大切さを感じた。

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第3回国際青少年メディア・サミットにCE記者2名が参加

第3回国際青少年メディア・サミットにCE記者2名が参加
2008/07/28~08/04

 8月19日~8月29日の10間、セルビアのベオグラードで開催された第3回国際青少 年メディア・サミットに、CEの記者2名が参加した。
 旧ユーゴスラビア諸国やナイジェリア(アフリカ)、オーストラリア、アメリカ、
 スウェーデン、オーストリア、ギリシャ、ハンガリー、インド、韓国、日本など18 カ国から約50名の若者が参加し、世界共通の課 題である貧困、暴力、環境、人種 差別など7つのグループに分かれて共同活動を行った。
 参加記者の記事

第3回国際青少年メディアサミット

 

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子ども環境サミット in KOBE(5記事)

2008年5月21日~24日、神戸市で「子ども環境サミット in KOBE」が開催された。これは民間主導型のG8環境大臣会合関連事業で、日本を含む21カ国から子どもたちが集まり、環境問題について意見を交わし未来へのメッセージを世界へと発信しようというものだ。
このサミットには、ブリティッシュ・カウンシルが選んだ「国際気候チャンピオン」(日本を含む13カ国から選んだ高校生39名)と日本国内から選んだ「気候チャンピオン」(小学生から高校生たち7名)も参加した。国際気候チャンピオたちは、こ

▲英国環境大臣との会談

の「子ども環境サミット」への参加に先立ち、ロンドンで開かれた国際気候チャンピオン会議に出席し、各国の気候変動の問題やそれへの取り組み・改善方法などについて意見を出し合った。そこで出た意見を草案とし、世界の子どもたちからの投票を経て、「神戸チャレンジ」と題した「提言」がこの「子ども環境サミットin KOBE」でまとめられた。国際気候チャンピオンは「神戸チャレンジ」を、ヒラリー・ベン英国環境大臣に手渡した。
このサミットを、日本の気候チャンピオンでもあった2名を含むCE記者4名が取材した。

子ども環境サミット in KOBE」に参加して
2008/7/13                 寺浦 優(14歳)

 サミットには、世界21カ国の小学生から高校生までの幅広い年代の人たちが参加していました。ここに、私は日本の「気候チャンピオン」の一人として参加し、日本の気候チャンピオンたちの意見を代表して発表しました。各国からの参加者の話を聞き、多くの刺激も受けました。開会式では、ツバルを取材した女優の藤原紀香さんの話のほか、ツバルの女の子アンジェラさんの話も直接聞くことができたり、貴重な体験をすることができました。その経験について報告します。

  
サミットでは、世界13カ国の「国際気候チャンピオン」が、国ごとに自国の環境問題の状況やチャンピオンたちの活動内容を、各々3分間にまとめたプレゼンテーションを行いました。私は日本のプレゼンを担当しました。日本のチャンピオンたちは、「日本人の環境問題に対する意識の低さと、それを解決するには自ら率先して活動しなくてはならない」という2つを強く訴えかけることにしました。

 昔から「MOTTAINAI」(もったいない)は日本特有の考えとして受け継がれてきました。しかし今、「MOTTAINAI」という考え方が国民の心の中から薄れているように感じます。これは、「日本人の環境問題に対する意識の低さ」につながっていると私たちは考えました。そして解決のためには、「マイバック・マイはし・マイボトル」の使用を呼びかけるのはもちろんのこと、小中学校への出張授業でこれからの未来を担う小中学生に気候変動の実態を伝え、一緒に活動してもらえるようにお願いしたり、「エコな商品」や「エコなサービス」の開発や提供を企業に働きかけたりしようと計画しています。

 3分という短い時間の中で、私たち「気候チャンピオン」の思いを全て入れるのはとても大変でした。前日も夜遅くまでかかって、「私たちの生活が便利になればなるほど気候変動や環境問題は悪化していく。しかし今私たちは改善に向けて動き出さなければいけない。今の私たちの行動は、私たちの未来、私たちの子どもの世代に直接影響する。意識改善を今すぐ始めることが必要だ」ということが一番大事だと確認し合いました。

 私の言葉で果たしてうまく伝えられるのか不安もありましたが、精一杯伝えたつもりです。プレゼンが終わった時の達成感と、このサミットでプレゼンできた喜びは忘れることができません。

 「子ども環境サミットin KOBE」に参加し、私には「国際気候チャンピオン」をはじめ世界に沢山の仲間がいると思うことができました。それは、海外にも自分たちと同じように出張授業を行ったり、友人に呼びかけている人たちが沢山いたからです。イタリアのチャンピオンは「今まで地球を汚してきたことに対して、私たちが責任ある行動を取っています」と発言していて、説得力のある言葉だと感じました。
こういった仲間が沢山いることは、これからの活動への大きな自信となりました。そして気候変動をグローバルに考えている彼らからは、「自分ももっと広い視野で考え行動しなくてはならない」と刺激を受けました。

 私がこのサミットに参加して最も忘れられないことの一つが、ツバルのアンジェラさんの次の言葉でした。「私はツバルが大好きです。だから沈まないと信じています」。家族が大好きだから、島が大好きだから、沈むと思いたくないという、アンジェラさんの素直な気持ちは、私の心に響いています。こんなに島を愛しているのに生活できなくなってしまうかもしれないということには、憤りを感じました。今自分に出来ることを考え、何の罪もないツバルの人たちを少しでも助けたいと、心に誓いました。  私たち「気候チャンピオン」のスローガンは「OUR CRIMATE, OUR FUTURE, OUR VOICE」(私たちの気候、未来、声)、そして「SAVE OUR PLANET」(私たちの惑星を救え)です。私は、このサミットが開催されたことで、私たちの未来そして地球を守っていくことができると信じています。

「私たちの気候・未来・声」~気候変動を考える~
2008/7/13                 佐藤 美里菜(16歳)

▲中国の気候チャンピオンに取材

「子ども環境サミット in KOBE」が開催され、5月24日には神戸芸術センターで閉会式が行われた。私はその閉会式に参加し、そこでG8環境大臣会議への提言「神戸チャレンジ」が発表されるのを見ると同時に、気候変動について考える子ども達に取材を行った。

◇              ◇  

 現在、英国や中国の一部では洪水、中国の北京、ブラジルのサンパウロなどの都市では大気汚染、メキシコ、ロシアでは水質汚染、というように、気候変動は世界的な規模で深刻となっている。そうした気候変動について、世界の約40名の子どもたちが話し合って改善策を練り、それを子どもたちから大人へのメッセージである「神戸チャレンジ」として、G8国の環境大臣に提言した。

 神戸チャレンジの草案は3月にロンドンで行われた「国際気候チャンピオン会議」において三つ決められた。それを、ブリティッシュ・カウンシルのWebサイトを通じて行った世界の人からの投票により、一つに決定した。三つの草案に共通しているのは「気候変動に関する教育を」というものだった。

 日本で気候変動に関する授業などを行っているところは少ないようだが、英国、南アフリカ、カナダ、中国(北京)ではすでに教育制度に導入されているという。

英国の気候チャンピオン、ステファニー・リンチさん(18)によると、英国では11-14歳の授業に「気候変動問題」を取り入れているそうだ。南アフリカのザネル・ヴァン・ジルさん(17)によると、政府が作成した「ライフ・オリエンテーション」というプログラムがあり、彼女の学校はそのプログラムで、アル・ゴアの映画『不都合な真実』を観て、教育を受けているそうだ。また大学の建築学や理工学では環境に良いビルや家をつくるよう教育されているという。中国のチャンピオンである丁英瀚くんの通う北京の公立高校では「クライメート・クール・プログラム」という週1回の気候変動に関する授業があるそうだ。選択授業ではあるが、彼は「必須科目とするべきであり、特に低学年の授業に取り入れるべきだ」と話す。

 しかし気候変動についての教育を導入したくても言語の違いがある国や識字率が低い国では難しい。公用語が11もあるインドのカラン・セガールくん(17)は、この問題について「本やインターネットを通してメッセージを伝えて理解する」「映画や歌、路上パフォーマンスによって多くの人々にメッセージを伝える」というアイディアもあると語り、言語が多くても教育することは決して不可能ではないことを伝えてくれた。ブラジルのギレム・ディ・シキィラ・パストレくん(17)は「識字率が低く、教育制度が必ずしも優れていない」と話すが、彼の学校では地理などの授業で気候変動について学んでいるようだ。

 私の通う高校では授業での教育はしていないが、古紙やブリックパックを回収しリサイクルしている。そういった実践的なことも含めて、もっと世界中で学校としての積極的な取り組みが必要だと思う。

 神戸チャレンジの中にもある「国際的排出権取引制度」については英国のヒラリー・ベン環境大臣と子どもたちが意見を交換する場面もあった。

  排出権取引制度(Cap & Trade)とは、国や企業ごとにCO2の排出枠を決定し、排出枠に余裕のある国・企業と排出枠を超えている国・企業が取引(トレード)する制度である。つまり、地球規模でのCO2排出量をコントロールしようということだ。

 大臣は「どの国が排出したCO2かを見分けるのは困難である」と話す。その現実に対して国際気候チャンピオンたちは「深刻な問題であるが、世界での認識を高め、世界規模でのCO2の排出を制限しなければならない」と語った。チャンピオンたちは「先進国はもっと途上国に対して技術や資金を提供するなどの支援をするべきだ」と考えている。

  私もこの問題のように世界規模の問題に関しては、「支え合う社会」を意識することによって少し解消されるのではないかと思う。

 いずれにせよ、子どもたちの力だけではこの問題を解決することは不可能である。チャンピオンたちは「大人は子どもたち以上に気候変動に対する認識を高めるべきであり、技術や資金などで世界規模の影響力をもつ大人が行動にでるべきである」「将来、直接影響を受ける僕らの声に耳をかたむけてほしい」と強く語った。

 今すぐ、大人が率先し気候変動について積極的に取り組むべきである。そして未来を生きる子どもたちは「自分たちの気候」「自分たちの未来」であることを強く意識し地球とうまく付き合う生活を送ることがとても重要だと思う。

  現代社会において、環境に優しい生活を送ることはそこまで難しいことではない。自分ができることを少しでも生活に取り入れてみてはどうだろうか。その努力は地球だけでなく、必ず自分にとってもプラスになると、私は思っている。

子どもたちから未来への提言~子ども環境サミット in KOBEに参加して~
2008/7/13                 宮澤 結(14歳)
 皆さんは「気候変動」についてどう考えているだろうか? おそらくこのような質問を突然投げかけられたらびっくりするだろう。また、「そんなの考えたことがないから分からない」という人も多いのではないだろうか。その答えを考えて行動していた子どもたちの思いが、「神戸チャレンジ」という形でG8国の環境大臣に伝えられた。その様子を取材し、参加した子どもたちの意見を聞いた。

▲インドの気候チャンピオンに取材

 様々な環境問題を子どもたちの視点で地球規模に見ていこうと、ブリティッシュ・カウンシルが主催して、3月にロンドンで「国際気候チャンピオン会議」が行われた。そこで話し合われた内容から「神戸チャレンジ」のための三つの草案が生まれた。そのうちの一つを、5月24日に神戸で開催されたG8環境大臣会議に提言するため、世界各国のブリティッシュ・カウンシルがウェブサイトを通して、世界の若者たちに投票を呼びかけ、23日までに17,000もの投票が寄せられた。
「子ども環境サミットin KOBE」では、神戸で再会した13カ国の国際気候チャンピオンと日本国内の気候チャンピオンとがその投票結果に基づいて話し合い、「神戸チャレンジ」の内容を次のように決め、G8の環境大臣会議に提言した。

気候変動対策に取り組むために、私たちは、その難しさを認め、責任を受け止め、一貫性をもって対応しなければなりません。
・すべての教育制度に気候変動を取り入れ、実用的に解決策を全社会に提示して下さい。
・厳しい国際的排出権取引制度を導入して、排出を制限してください。
・気候変動の避けられない影響によって受ける最悪の打撃のために、技術と資金を提供してください。

 この提言の中でも特に気候変動に関する教育を充実させることについては、多くの期待が寄せられているのを感じた。今回「神戸チャレンジ」を議会に提出したことを報告したヒラリー・ベン英国環境大臣は「より多くの人が教育を通して気候変動の問題を理解して政治を変えることができるから、教育は大切だ」と述べた。また、私たちの世代が将来、直接影響を受けるのだから、同年代の子どもたちに学校教育という形で理解してもらえば数年後に良くなっているだろう、と話す国際気候チャンピオンも多くいた。

「教育制度に気候変動を取り入れる」ということに関して、すでに実行している国の話も聞くことができた。カナダのメーガン・マックイーンさん(16)によるとカナダでは「エコ・スクール・プログラム」というのを設けて環境基準を設定し、電球を省エネタイプに変えたり、緑を植えたり、ゴミを減らすように努力しているそうだ。また南アフリカでは、文部省が作成した「ライフ・オリエンテーション」というプログラムがあり、エイズや自国の直面する問題について人々とどのようにコミュニケーションをとるのかを学校で学ぶという。南アフリカのザネル・ヴァン・ジルさん(17)の学校では、アル・ゴアのドキュメンタリー映画『不都合な真実』を見て環境について教育を受けているそうだ。

一方、気候変動についての教育を受けられない国の事情なども聞けた。都市部だろうと農村部であろうと、気候変動は人々に影響する問題であるのに、インドでは識字率が約50%と低いので学ぶことができない、とインドのカラン・ヤーくん(17)は言っていた。

 各国で問題になっている気候変動の被害についても聞いてみた。香港の陳旭培くんよると、内陸での砂漠化が進んでいて、都市部にも黄砂が飛んでくることが問題らしい。ブラジルのギレム・ディ・シキイラ・パストレくん(17)は、アマゾン川流域の森林伐採が問題になっていると言っていた。ザネル・ヴァン・ジルさんは、5000種もの南アフリカ固有の植物が気候変動の影響を受けていると言った。

ザネル・ヴァン・ジルさんは「私たちが大人になってからでは遅すぎるから大人たちには今、行動を起こしてほしい」と言っていたし、インドのカラン・セーガルさん(17)も大人たちの経験や資金が無ければ実行できないから、大人に協力してほしいと言っていた。この問題においては、世代を越えての協力が必要となってくるだろうし、やはり大人の力が必要だと思った。

各国の気候チャンピオンたちの話を聞いて印象的に思ったのは、どのチャンピオンもしっかりと自分の意見や考えを持ち、真剣に話してくれたことだ。取材前の私は正直、「他の人が頑張れば」と他人任せな思いが少しばかりあった。だからこそ気候変動について深く考えている気候チャンピオン達は輝いて見えたし、今までの自分の考え方が恥ずかしくなった。恐らく前の私のように考えている人は多いだろう。だが、この気候変動は、他の誰でもなく、私たちの世代の問題である。誰一人として知らん顔は出来ないし、世界が一丸となってこの問題に取り組む必要がある。サミットに参加してみて、「自分の出来ることは何があるのか」と考えてみた。冷房の設定温度を数℃上げてみるとか、電気をこまめに消すとかほんの小さなことでいい。今日から自分の出来ることを見つけて、地球をいたわっていこうと思う。そして自分が実行することで、自分の周りの人にもその考えかたを浸透させていきたい。

「子ども環境サミット in KOBE」に参加して
2008/7/13                 三崎 友衣奈(16歳)
 7月の北海道洞爺湖サミットに合わせ、5月17日~25日に開催された「子ども環境サミットin Kobe」では、国際気候チャンピオンたちによる活発なディスカッションが行われたほか、京都へ観光に行ったり、神戸祭りに参加したり、グループに分かれて企業訪問に行ったりと、日本の様子も見学した。また、このプログラムに対し多額の寄付をしてくれた女性との対話の時間もあったほか、日本人としての意識を改めて考えさせられる場面もあった。参加しての報告と感想をまとめた。

▲日本のチャンピオンによるプレゼンの様子

サミットでは、国際気候チャンピオンたちによるディスカッションが多く行なわれた。自分が自国の大臣になったつもりで国民にやってもらいたいことを考えたり、他国の国民に成り代わってその国にやってもらいたいことを話し合い、その国のチャンピオンに提案したりした。特に京都議定書に関しては盛り上がり、アメリカのチャンピオンが「国がやっていることと国民の意思とは大きな違いがある」と主張し、気候変動の問題に対する真剣な姿勢をアピールした場面もあった。

今回の「子ども環境サミット」の日本開催には、同サミットが企画したロンドンでの「国際気候チャンピオン会議」で話し合われた内容を「神戸チャレンジ」という形で「G8環境大臣会合」に提出するという目的があったため、その準備も進められた。主に、ロンドン会議で出された案を再確認し、内容をより深めるための話し合いが重ねられた。

チャンピオンたちがオープニングセレモニーに向けてプレゼンテーションを考えていたとき、スタッフから一人の女性が紹介された。この女性は、このサミットを企画し、多額の寄付をした人の一人だ。簡潔な紹介のあと、多くの質問がチャンピオンから飛び出した。「サミットを企画した動機は?」「どうして寄付しようと思ったの?」など、みな積極的に手を挙げて質問する。

 時間が押していた中で最後に「なぜ‘若者’を対象としたのか」という質問が出た。この質問に対して彼女は「直接影響が出る未来に生きる人たちでもある若者に考えてほしいから」と10代の若者への大きな期待を語った。

 サミットでは世界規模だけでなく、日本人としての意識を改めて考えさせられる機会もあった。ある夜、豆腐や漬物、刺身、すき焼きなどの日本料理が振る舞われたときのことだ。外国の料理とは全く違うため、豆腐の触感が気持ちが悪いから、また味付けが合わないからという理由で料理を残す人が多かった。そんな中、一人の外国人チャンピオンが友達の料理がほとんど手付かずのまま残してあったのを見て、「作った人に申し訳ない」と残りをつまんでいた。自分で身近にできる範囲のことを、自然に実行していた姿に感心した。

 「MOTTAINAI」(もったいない)という日本語は世界で広がっている、日本独自のものの言い表し方である。しかし現在、日本では一人が一日当たり平均約50gもの食べ残しを出しているという。古来の日本人の心持ちを受け継いだ「もったいない」を実践できる人でありたいと思った出来事だった。  世界中の同年代の若者と話し合う中で、気候変動についてだけでなく世界の中の日本を垣間見ることができたと思う。「MOTTAINAI」を発信する日本人として、未来をつくるティーンとして、この大きな問題に立ち向かおうと思う。気候変動は規則や条例によって改善される問題ではなく、一人一人が、将来を見据えていかに行動するかが大きく関わってくる。若者が、気候変動という将来に大きく関わってくる問題を敏感に感じ取っていくことができれば、世代が変わっていく中で違いが現れてくると信じている。

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教育

先生には“1”がつかないの?

先生には“1”がつかないの?
2008/07/09               川口 洋平(18)

 相次ぐ教員の不祥事、教員の指導力を一定に保つために導入された教員免許更新制度。一連の動きを見ていると、出来の悪い生徒にはすぐ ” 1 ” をつけるのに、教員には通信簿がないのかと思えてくる。

 結果がすぐに出ない教育という現場に携わる教員の評価は確かに難しい。教員を評価するためにはどうしたら良いのだろうか。

 教員評価制度は各都道府県によって若干異なるものの、学校の責任者である校長が各教員を評価する場合が大半を占める。しかし、「実際の授業や生活指導を全て見ることのできない校長になにが分かる」「報告書を書くので雑務が増えて教育活動に専念できない」など不満の声があがっている。

 経済界や財界からは、教員にも能力給などの市場原理を適用するべきだという意見もある。

 宮城県の小学校に勤める土屋聡教諭( 43 )は、教員評価制度導入によって、本来の教育活動ができなくなるとして、評価制度に反対する団体『教員評価制度を許さない会』で活動している。

 教員評価制度が導入された現在、「クラスが上手くいっていないから相談がある」と評価されてしまうことから、同僚の教師の間でもお互いの弱みを見せまいと、相談さえできない状況だという。

 「先輩の教員につまずきやすい単元の効果的な指導法についてアドバイスをもらうことは、よりよい教育を目指す有効な手段。お互いに悩みを打ち明け、協力することなしには良い教育はできない」と評価制度を導入するだけが、教員の質向上につながらないと主張する。

 さらに東京都や大阪府では既に評価結果が給料に反映される評価制度が導入されている。土屋教諭は「給料に評価が反映されてしまうと、さらに悪循環を招く。教師としては評定に響くので問題児を引き受けたくないし、当たり障りのないことしかできず、本来の教育ができなくなる」と嘆く。

 東京大学大学院教育学研究科の勝野正章准教授によると、実際の教育活動に力を注げないなどの理由で、ある地域では新規採用教員の3割が1年でやめてしまったという。

東京大学大学院教育学研究科の勝野正章准教授

 つまり、評価が厳しくなるにつれて教育活動に熱心になるよりも、自分のタスクをこなすだけの、サラリーマン教師が増えるということだ。

 そこで、管理職による評価だけでなく、実際に授業を受けている生徒が評価するという動きもでてきた。

 東京の大東学園高等学校は 2003 年に、教師、生徒、保護者で構成される三者協議会を設置した。生徒が授業アンケートに教員への意見を記入し、先生が悪い点を直すという生徒評価をする。同校校長の池上東湖先生によると、 自分自身の授業について 「しゃべるときの語尾をはっきりしてほしい」といった今まで出なかった意見が生徒から出てくるようになり、教師も授業の改善を行っているという。

 三者協議会では、他にも年に数回、代表生徒約 60 名と教員、保護者が話し合う場を設けている。「制服にブルーのワイシャツを許可して」といった生徒の要望もその問題点と妥当性を3者で話し合う。学校は先生に言われたことを守る場ではなく、学校を 協 同で作り上げて行こうという取り組みだ。

 勝野准教授は、教員を評価するより批評をしていくことが大切だという。生徒が教師を評価すると、生徒がお客様のようになり、生徒にあまい教師が高評価を得て、厳しい先生が低い評価を受けるようになることも懸念される。

生徒からの評価もただの数字のアンケートだけではなく、なにがいけないのかというアンケートをとって、それを生かすということが重要だと言う。

 学校を良くしていきたいという気持ちは生徒も教師も同じだろう。「良い学校」というのは、生徒、教師によって様々だろうが、お互いの目指す「良い学校」に向けて議論を重ねていく。そして、教員に問題があれば、教員を評価するのではなく、教員にアドバイスをする。 先生には1をつけないで、「こうしたら2にあがるよ」と生徒が教えてあげればいい。教員評価を制度化するまで至らずともそのような方法があるのではないだろうか。

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教育

教員評価制度から見る学校づくり

教員評価制度から見る学校づくり
2008/07/09               島田 菫(15)

 終業式の日、生徒たちが少しばかり緊張した顔で先生から「通知表」を受け取る。誰もが経験したことだろう。

 年齢を重ねるごとに通知表の価値は重くなっていく気がする。小学生の時は、通知表を見た時の一喜一憂はその先にある長期休暇の期待にかき消されてしまっていた。中学生、高校生と年齢が上がるにつれ、自分の成績を周囲と比較し、優越感に浸ったり劣等感にさいなまれたりした。

 最近、もう1つの通知表が配られる学校が増えてきている。この通知表は生徒が先生から受け取るものではなく、先生が生徒から受け取るものだ。この、「もう1つの通知表」を制度として取り入れる動きが起こっている。  

 「教員評価制度」は、生徒という教わる側の視点から教師の授業を評価する制度だ。生徒が授業を評価することは、授業の改善につながるから良い制度ではないか、という人も、きっと多いだろう。

 しかし、このたった6文字の制度に怯えている教師がいることを知っている人は一体どれだけいるだろうか。教師が怯えている理由は、この通知表の結果を給与に反映させる、という点が盛り込まれてしまうかもしれないということだ。評価するのは子供。一人一人の子供の評価に教師の生活がかかっている。

 宿題を出さず、テストは簡単、授業は半分遊びのようなもので、いつもすこしふざけているような印象を与える教師。一方、毎日問題集を一ページずつ進めるように指示し、授業の密度が非常に濃く応用的な内容も取り扱い、標準より若干高い難易度の試験を出す、非常に厳格な教師。どちらの先生が親しみやすいかと聞かれたら私は前者を選ぶだろう。しかし客観的にみてどちらの教師が優れているか。

 誰から見てもだめな教師もいるかもしれない。しかし、その教師にも人生はあるし、家庭もあるだろう。一人の人生を狂わすかもしれないという重大な責任を子供たちに負わせてしまっていいのだろうか。生徒がこのことを自覚したとき、彼らは正当に評価できるのだろうか。

 他にも問題がある。『教員評価制度を許さない会』の土屋聡氏に取材をしたところ、教師への悪影響をこう指摘した。「行政側がこの制度を作る理由は、子供のためではなく、教員評価制度の導入によって各学校が活性化され、自主的な学校改革が進めば、行政から各校への指導をする必要が減る、つまり、行政の教育費の負担を削減できることにある。それに教師はマイナスの評価を受けると不適格というレッテルを貼られ、排除される。これでは、脅し、またはいじめを正当化する手段として使われかねない。教育はすぐに成果がでるものではないのに、短期間にある側面だけで教師を評価することは子供に対して無責任だ。」

 一方、東京大学大学院教育学研究科の勝野正章准教授は取材の際、「生徒が教員を評価するような制度は法律ではない形で作るべき。ただし、取り入れ方にはきちんとした考えが必要だ。教師をランク付けし、それを給与に反映させることはただの脅しでしかない。それでは教師は給与を上げるための授業ばかりをするようになる。教師が批判される中、評価が給与にじかに響いてしまうことが怖くないはずが無い。生徒からの関心を得るための授業になってしまう。」と言う。もしそうなってしまえば、これは教育現場の崩壊につながるだろう。

 生徒からの評価が、給与に反映されることに関して私は強く反対する。なぜなら一切自分の感情抜きで自分の教師を評価することができる生徒はおそらく皆無に近いからだ。給与が生徒からの人気で決まってしまう教師にも、先生たちの人生をだめにしてしまうかもしれないというプレッシャーに耐えなければいけない生徒たちにも、給与に評価が反映されるという制度は息苦しいだけだ。

 だが、この「給与反映」という点さえなくなれば非常に素晴らしい制度だと私は感じる。先生と生徒が共に一つの授業を作り上げて行く、というある意味教育の理想とも言えるものがこの制度で実現されるのだ。

東京大学大学院教育学研究科の勝野正章准教授

 勝野准教授は「子供は毎日授業を受けている。管理職の先生や業者の査察の何倍も正しく授業を評価できるだろう。」と言う。授業の良し悪しはやはり受ける生徒本人が一番正確に評価できるのだろう。

 さて、ここまでの文を読み、「どうやって生徒が先生を評価するのか」の疑問が浮かんできた人もいるだろう。

 一番わかりやすいのはアンケートだろうが、ただ ○ × をつけるようなアンケートではいけない。これでは教師を追い詰めてしまうだけだ。「外国では顔のマークを使って評価しています。笑顔から泣き顔まで使用し、沢山の観点を評価します」と、勝野准教授。だが、これでも「泣き顔」の多い教師は教育現場から排除されてしまいかねない。

 ここで紹介したいのが、生徒、保護者、教師の三つの立場から代表が集まり、それぞれに意見していく「三者協議会」という制度だ。この制度において重要なことは、出席する3つの立場の人々がすべて対等であるということだ。

大東学園高等学校、池上東湖校長

 この三者協議会を実施している東京都世田谷区にある大東学園に取材した際、池上東湖校長は「生徒も先生も三者協議会への参加が非常に積極的で、お互いの意見をしっかりと発言できている。」という。生徒の意見を教師、さらには学校にも反映させるためにはこのような制度は不可欠だろう。

 しかし、私は三者協議会を教員評価制度のためだけに利用するのは非常にもったいないことだと思う。せっかく生徒が保護者、教師と対等に話せる場所を与えられたのだ。この協議会をうまく生かせば、誰にとっても居心地の良い学校となるだろう。   ちなみにこの大東学園の制服のワイシャツの色はブルーも許可されている。これも生徒側が「色つきのワイシャツを許可してほしい」と提案し、三者協議会での激しい議論の末、ブルーに限り許可されたそうだ。ホームページの写真に載るブルーのワイシャツを着た生徒たちの生き生きとした笑顔は自分たちの意見が学校に聞いてもらえたという喜びから生まれるのだろう。学校から言われるまま白いワイシャツを嫌がりながら着ている私に、彼らのような笑顔はまぶしく見える。それが、ひどく悔しくもある。

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教育

「教員を評価するということ」

「教員を評価するということ」
2008/07/09               佐藤 美里菜(16歳)

 みなさんは「教員評価制度」というものを知っているだろうか。

教員評価制度とは名前のとおり教員を評価する制度である。ただし、教員を評価すると言ってもさまざまな評価方法があり、さまざまな問題もある。

 まず、教員を評価するには「生徒が教員を評価」「校長先生などの管理職が教員を評価」「教員同士で評価」という主に3つの方法があるようだ。しかし、生徒が教員を公正に評価することは可能なのだろうか。

東京大学大学院教育学研究科の勝野正章准教授

2008 年 4 月 7 日に東京大学大学院教育学研究科の勝野正章准教授に取材したところ、「『保護者を含めての協議会形式』や『答えやすいアンケートなどで集めた意見を教員の中で議論する』といった方法なら生徒が教員を公正に評価できる」と言う。ただアンケートで意見を回収するだけでなく、意見について「議論する」という過程が重要だ。教員たちの中できちんと意見を吸収し反映させようとしなければ意味がない。なぜならば、勝野准教授が言う通り、授業をほぼ毎日約6時間受けている生徒たちの授業に対する目は本物だからである。

 しかし、この制度に反対する人も少なくない。 5 月 16 日に取材した、小学校の教員でもある『教員評価制度を許さない会』の土屋聡氏は「マイナスの評価を受ければ不適格だとレッテルをはられ排除される恐れが高い」と言う。本来お互いが補い合って子どもを教育するべき教員同士がこの制度によってギスギスしてしまうのではないか、という不安もあるようだ。

 果たして、教員の仕事を企業などのように「業績」として評価してよいものなのだろうか。

 土屋氏は「子どもを教育するにあたって1年で結果を出すのは難しい。よって教員を評価するのは非常に難しい」と話す。また、はっきりしたデータとして出すことができないのもこの制度に反対の理由のようだ。

 また、勝野准教授は「教育を成果主義で行うと、いわゆる “ サラリーマン教師 ” が発生し、消費者とされる子どもやその保護者の顔色を伺う教育になる」とデメリットを指摘する。

 しかし、実際にこの「教員評価制度」を導入している大東学園高等学校では、 2003 年から保護者を含めた 年に 2 回の 「三者協議会」と「アンケート」という形で教員を評価している。「子どもが中心になる学校作り」のためにも生徒の意見を積極的に取り入れている。生徒たちに発言させることによって教員同士では言いづらかったことが伝わったり、授業に対する生徒たちの思いが分かると池上東湖校長先生は言う (5 月 6 日取材 ) 。三者協議会やアンケートで、生徒たちの意見によって教師が気づかされることは少なくないようだ。

 要は、教員を評価する「方法」が重要であり、保護者や生徒と教員はもちろん、教員同士のコミュニケーションをもっと増やすことが必要なのだ。「学校をつくるための1つの習慣として子どもの意見を取り入れるべき」と勝野准教授は話す。また、大東学園の新入生 62 %が「楽しそう」という理由で入学したようだ。その背景には「三者協議会で生徒の意見を反映させたことによって、生徒たちが活き活きした学校生活を送る結果になったのではないか」と池上校長先生は言う。

 教員評価制度を導入する際は、「生徒、教員、保護者間の信頼できる関係を築くこと」「どのような評価方法ならその学校が目指す『良い学校』になるのか」をきちんと考えたうえで、実施することが重要だろう。

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その他

CE記者がフジテレビ「報道-2001-」に出演

CE記者がフジテレビ「報道-2001-」に出演 2008/04/06

 CE記者5名が4月6日にフジテレビ「報道-2001-」(2008年4月6日7:30~8:55)に出演し、
ネットいじめについて発言した。
報道2001出演

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座談会

実施まであと少し!裁判員制度を考える

 2009年には裁判員制度が実施される。裁判員制度とは複数名の一般国民が職業裁判官に加わって現行の刑事裁判を担当する刑事裁判制度である。裁判員は私たち国民の中から無作為に選出されるため、成人の誰もが選ばれる可能性を持っている。CEでは曽木徹也氏(検事)に「裁判員制度」についての説明を伺った後、賛否両論が渦巻く裁判員制度について話し合った。


2008/04/05  
出席者:原衣織(16)、曽木颯太朗(16)、貝原萌奈実(18)、川口洋平(18)、寺尾佳恵(19)(司会)

裁判員制度への期待と不安
佳恵:裁判員制度が始まることによって得られるメリットは何だと思いますか。

洋平:今まで閉ざされていた司法の世界が広く国民に開かれることだと思います。

颯太朗:裁判が早くなり、素人にも分かりやすくなると思います。

衣織:私も国民が司法に近くなるとは思うけど、必ずしもそれが必要であるかはわかりません。

萌奈実:国民としての意識が高まることがメリットだと思います。

佳恵:逆にデメリットは何だと思いますか?

颯太朗:今まで世間一般が考える量刑と実際の判決の量刑に開きがあり、判決の量刑が軽いという声が多くありました。裁判員制度の導入で一般の人が協議することにより、今までより刑罰が重くなるのではないかと思います。

萌奈実:日本人はまだそういう制度に慣れてないから、欧米のようにうまく機能するか心配です。

衣織:一般市民が裁判員になることで、統一性がなくなるんじゃないか、守秘義務とかがあって、裁判員をやりたくない人もいるんじゃないかという心配があります。

佳恵:統一性がないっていうのは、協議する人が違うので事例によって刑量が変わってしまう可能性がある、それは不公平じゃないかということですよね。裁判中に知ったことを他人にしゃべってはいけないという守秘義務についてはどう思いますか?

洋平:やっぱり現実問題として難しいと思います。

佳恵:難しいっていうのは何がどう難しいのかな?

洋平:ばらした人には罰則を課すと言われていますが、今はネットや匿名性の高いメディアに気軽に投稿できるので、今の環境では守らない人が多いと思います。

まだ体制が整っていない?
佳恵:メリットとデメリットがそれぞれあると思いますが、今日本以外のG8の国では、何らかの形で国民が裁判に関わっています。世界では国民も司法に参加するのがメジャーになりつつある中で、日本が採り入れてないことについてはどう思いますか?

衣織:日本が遅れていると考える人もいると思うけど、日本にも昔は陪審制度がありました。昔から何も制度がなかったわけではなくて、陪審制度があったのをあえて変えて今の制度になっているわけだから、単に変えただけで遅れてはいないと思います。

萌奈実:でもその陪審制度があったのは戦前の話だから欠陥もあったかもしれないし、今他の国で行われている陪審制度とか参審制度とは全然違うと思います。戦前の日本社会にはその制度は合わなかったけど、今はまた違うんじゃないかな。

衣織:でも、アメリカの陪審員制度でえん罪が多いのは有名じゃないですか。えん罪が増えるかもしれないのに今導入する必要は感じない。

佳恵:戦前にあった日本の陪審制度では、必ず陪審でやらなくてはいけない法定陪審と被告人の請求によって行われる選択陪審があったのね。でも被告人が辞退することが多くて結局年に数件だけになってしまったということと、戦争が始まるのを理由に1943年に施行を停止したらしいです。そのまま今まで国民が司法に関わる機会はないわけだけど、みんなはこのままでもいいと思う?

衣織:現状のままでかまわないと思います。

颯太朗:今までプロの裁判官だけがやってきてほとんどの場合はうまくいっているので、今のままでもいいと思う。でも裁判が長引くのを、国民が参加することで改善できるなどのメリットを考えると裁判員制度を採り入れてもいいと思います。

洋平:今までの制度とこれからの制度、どっちにもメリット・デメリットがあると思いますが、重要なのは採り入れる時にちゃんと準備をすること。法律用語を分かりやすく言い換えたり、裁判員を招集する時に工夫したり、あと一年そういう準備をしっかりする必要があると思います。

萌奈実:私は準備期間が今から一年間では足りないと思います。今始める必要はないという衣織ちゃんの意見とは若干違うけど、いきなり「一年後に裁判員制度やります」と言われても、今の状況では機能しないと思う。ただ、G8の話を聞くと、やっぱり日本もそういう制度採り入れるべきだと思うので、今から小学生にきちんと教育をして、その子たちが大人になった時点で始めればいいと思います。

衣織:色んな本や専門家が反対意見を出しているし、国民も戸惑っているなかでやるのは賛成できなくて、もっと国民が納得できる制度になっていくのなら、あってもいいと思う。

佳恵:例えば衣織ちゃんが考える国民が納得できる制度ってどういうもの?

衣織:それが難しいんですよね。今も制度導入にあたってすごくコストがかかっているし、裁判員を辞退するための制度も整っていない。それなのに今すぐやる必要性がわからない。

萌奈実:人の意見に流される人や、選ばれても参加したくないという人が出てくる。みんな仕事があるわけで、参加してくれと言われて喜んで参加する人はほとんどいないと思います。ただそれを国民の義務ではなくて権利だと考えられるようになるべきだと思うし、そういう意識のない人が今の段階でやるのは難しいと思います。

佳恵:子どもたちに裁判への参加は義務じゃなくて権利なんだよと教えてあげて、その子たちが大きくなったときに制度を導入するということ?

萌奈実:そうですね。欧米人のようになるのが一概にいいとは言えないけど、そういう場でちゃんと意見を言えるのはこれから国際社会で生きていくのに必要だと思う。ちゃんと意見を言える人じゃないと裁判員制度は難しいと思います。

佳恵:2009年に選ばれる可能性のある人たちは、裁判員として不十分な点が多いのかな?

颯太朗:人それぞれだと思います。ただ、この前見た新聞のアンケートで20代の約75%がやりたいと答えていて、以前からお年寄りも関心が高いという結果が出ている。そう考えると今導入してもそんなに早いという訳ではないと思います。

衣織:内閣府が最近行った調査だと60~70%の人が参加したいと答えているけど、実はその質問が誘導っぽくなっている。「もっと素直に聞くと実は30何%なんだよ」と書かれている本を読みました。アンケートは聞き方次第で結果が大きく変わるので、一概には言えないと思います。

洋平:2005年の内閣府の調査では70%が参加したくない、25%が参加したいと答えていて、2008年には参加したいという人が多くなったって感じじゃないですか。ということは今までいろいろと裁判所だとか関係各所が努力をしてきた結果、参加したいっていう人が増えている。もう少し頑張ればいい方向に向かっていくと思います。

国民が参加することで量刑は重くなる?
佳恵:実際2004年・2005年に比べ2008年は、導入が近づいている分国民の関心も高まっているし、アンケート上の参加したい人の数値は事実として増えているようですね。もちろん衣織ちゃんの言うように、アンケートは質問の仕方によって結果が変わるので、一つのアンケートを単純に信じることはできないのですが。みんなは裁判員をやってみたいと思いますか。

洋平:僕は参加してみたいです。純粋に好奇心で。

萌奈実:私は法学部の学生なので意識とか関心は高いし、参加もしてみたいと思いますが、やっぱりメディアの意見に流されそうだし、守秘義務も守れるのか不安なので、進んで参加したいというわけではありません。

颯太朗:時間があったら僕も参加してみたいです。テレビに流される心配はないけど、守秘義務はついしゃべってしまうんじゃないかと心配です。

衣織:裁判員は法律のことを知らなくても大丈夫となっている。でも私は人を裁く時に、法律とか過去の事例とかを知らないで人の運命を決めることはできないし、したくないなと思うんですよ。だからいくら知らなくていいと言われても、自分の気持ちの問題でしたくはないです。

萌奈実:確かに自分の判断で人の運命を決めてしまうのは不安な部分もある。

洋平:一人で決めろと言われたら困るけど、自分の意見だけじゃなくて、裁判員・裁判官の総意で決める判決だから、僕はそこまで重いとは思いません。

颯太朗:みんなで決めるので自分で悩むことはないとは思うけど、なるべく軽い刑罰にしちゃうと思います。

佳恵:最初の方で颯太朗くんは、裁判の結果が報道されると、量刑が軽いと感じる国民が多いと言っていたけれど、颯太朗くん自身が裁判員として参加する場合は犯人の人生も考えて、軽い量刑にしてしまうということ?

颯太朗:はい、そうです。

萌奈実:私も颯太朗くんのように、自分だったら軽めにすると思うんですけど、ちゃんと考えていない人ほど被害者の立場だけで考えて重い刑にしてしまうんだと思います。もちろん被害者のことは考えなきゃいけないけど、客観的に考えられない人は多いから。

衣織:日本のメディアは、家族の泣いている姿を映すなど、被害者目線で報道をすることが多いから、それを見た人たちはやっぱり重い刑にするんじゃないかなと思います。

洋平:そこは裁判官が「そうはお思いでしょうが、ここは司法の場ですから」みたいな感じでうまく話をもっていけばいいんじゃないのかな。

佳恵:みんな、「自分は軽い刑にするけれど、他の人は重い刑を選ぶだろう」と思っているようだけど、あまり客観的に考えていない人でも個人的な感情はあるし、一人一人がそう考えたら結果的に軽い刑が増えるとは考えられませんか。

萌奈実:前に友だちとそういう話をしたことがあったけど、友達は「もっと重くするべきだ」と言っていました。私は「自分に当てはめて考えてみなよ」と言ったけど、「悪いやつは悪いんだから」と言っていたので、みんなが軽くするわけではないのかなと思います。

衣織:私は、いくらみんなで決めるといっても九人しかいないのだから、自分の一票は重いと思う。颯太朗くんや洋平くんは「みんなで決めるから大丈夫」っていうけど、私は色々考えちゃうし、こういうところでも人によってすごく差が出てくると思います。

颯太朗:僕が世論全体でみると重くなるのではないかと言ったのは、前に法務省でやっていた模擬裁判を見たからです。配役は全員検事で観客が全員裁判員という設定だったのですが、この時ほぼ全員一番重い刑に手を挙げていたんです。被告の演技が下手で、悪い方に働いたのかもしれないけど。

萌奈実:それは全員検事がやっていたんですよね。

颯太朗:はい。全員検事です。

萌奈実:検事は有罪を主張する方だから重い刑になったのかもしれないよね。

佳恵:確かに全員弁護士でやったら、逆に無罪になっていたのかもしれないですね。

認知度アップで国民の不安を解消
佳恵:さて、裁判員制度が2009年に始まることはほぼ確定しています。今の日本で裁判員制度を導入することについて、今までの話をふまえたうえでの自分の意見と、RTの前と今とで考え方が変わった部分があれば教えてください。

萌奈実:これまで国民が負う負担とか、人を裁けるのかという不安しか考えてこなかったけど、話を聞いていて、裁判自体が円滑に進むようになることや、不透明な部分が透明になって、誰にでも分かりやすい裁判になることを知りました。全体としてデメリットよりメリットが大きいなら導入してもいいかもしれないと考え方変わりました。

颯太朗:僕は裁判員制度に賛成でしたが、話聞いていて今やるのは早いのかなと思う部分もありました。国民の中にやりたくない人がどれだけいるのかわからない中で、強行して始めてうまくいくのか心配です。

衣織:私はもともと、2009年から裁判員制度を導入することについてよく思っていませんでした。でも今日検事さんの話を聞いて、何で民事じゃなくて刑事で導入するのかとか、疑問だった細かい部分が解決できてよかったと思います。今まで読んだ本ではデメリットが多く書かれていましたが、導入することで国民が司法を身近に考えられるとか、そういうメリットを今日初めて考えました。

洋平:僕は今日までは裁判員制度の導入がすごく不安でした。でも色々なところで裁判員への対応策が考えられていることを知り、何とかやれるかもしれないなと思いました。守秘義務のこととか、まだまだ考えが甘い部分もあると思うので、そういうところを2009年の導入までに整備していく必要があると思います。

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CE記者2名が「気候チャンピオン」に選出

CE記者2名が「気候チャンピオン」に選出 2008/03/16

 藤原沙来(18)記者と三崎友衣奈(16)記者の2名が3月16日、英国の国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシル主催の「気候チャンピオン」 に選出された。

 同日都内で行われた 「気候チャンピオン」発表記者会見では、 気象予報士の石原良純さんをゲストに迎え、制作作品の発表を行った。

  気候チャンピオンは世界33カ国 で、気候変動を伝える役割を担う。5月22日から開催される「子ども環境サミット in KOBE」に参加、
意見交換をし、G8環境大臣会合への「神戸チャレンジ」提言を行う予定。

  日本の気候チャンピオンは全国の小中高生を対象に身近な気候変動の実態をとらえた映像作品を募り、106件の応募作の中から作品の内容や面接などで10人が選出された。
 
  藤原記者は10人の「気候チャンピオン」の中から、日本代表である3人の「国際気候チャンピオン」の1人として13カ国が参加する「 ロンドン国際気候チャンピオン会議」(3月24日(月)~3月30日(日))に参加する。

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CE記者がNHK 「日本の、これから」に出演

CE記者がNHK 「日本の、これから」に出演 2008/03/08

 CE記者1名が3月8日にNHKスペシャル番組「学力日本の、これから」 (NHK総合:19:30~22:30)に出演した。

現在上記のリンク先のページはありません。以下、参考ページ
日本の、これから』(にっぽんの、これから) Wikipedia

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