カテゴリー
社会

ベビーシッターの実情

松本 哉人(15)

  皆さんは、ベビーシッターについてどのように考えているだろうか。今年3月に起きた子どもの死亡事件はまだ記憶に新しく、危険だと考える人も多いのではないだろうか。ベビーシッターを利用することは本当に危険なのか、安全な利用方法はあるのか、ベビーシッターと事業者をまとめる法人に話を聞いた。

 ベビーシッターとは何か。それは平安時代の「乳母」にまでさかのぼる長い歴史を持つ職業だが、意外なことに現代ではベビーシッターという職業に国の定めた定義や規則は存在しない。しかし、一言で言えば「子どもの家庭に出向いてそこで保育をする人」であると公益社団法人全国保育サービス協会(ACSA)の事務局次長、研修課長の長崎真由美さんは言う。

長崎事務局次長

 ACSAは現在日本で唯一のベビーシッターに関する公益社団法人で、ACSAの定める入会審査を経た142ヶ所の事業者とその他の会員で構成されている。ACSAでは平成元年から独自にベビーシッターの自主基準や研修制度を作成し、研修会や資格認定試験を行っている。また、全国に42校ある指定校では「在宅保育論」という科目を設けてベビーシッターを養成している。この資格は全国で14.360人が取得しているが、今までACSAの会員から死亡事故の報告はないという。公的なものではないため資格認定の取得が義務付けられてはいないが、厚生労働省がベビーシッターを選ぶ際の基準のひとつとするほど、信頼性は高い。

 ベビーシッターは、市民の認識の変化や、働く女性の増加に伴い今では社会に欠かせない職業になっている。ACSAの行ったアンケートでは、利用する理由は「仕事のため」が大半で、保育園の送迎とそのあとの留守を頼む場合が多いという。

 しかし、ベビーシッターを利用することに不安を感じる人は多いと思う。長崎さんは「ACSAに加盟する事業者では、まずベビーシッターを各事業者が採用、雇用し、その事業者を選んだ利用者のもとに、利用者が事業者と決めた日時と場所にベビーシッターが訪問する。したがって、ACSAでは先日の事件のような、子どもを自分の家に預かる人をベビーシッターとは呼ばない。正しく見比べて判断することが大事だ」と語る。また、「ACSAへ加盟していない事業者では、事業者ごとに賠償保険やベビーシッターへの教育にも大きな違いがあるため、確認が必要だ」と語る。

 現在日本には、個人からACSAに加盟するような事業者まで、多くのベビーシッターが存在するが、費用と質を十分に見極めて自己責任で利用することが求められている。信頼できる事業者ならば経験と技術を併せ持った保育のプロは子育ての大きな支えになってくれるだろう。

カテゴリー
社会

ベビーシッターの賢い利用

近藤さくら(16)

 ことし、保育中に一人の幼い子どもが亡くなってしまうという事件が起きた。今の日本の在宅保育(ベビーシッター)にはどのような基準や制度があるのか、また実際の現場はどうなっているのか公益社団法人全国保育サービス協会の事務局次長、研修課長の長崎真由美氏にインタビューを行った。

 同協会は日本で唯一の公益事業を目的としたベビーシッターの団体である。施設型保育を中心に発展してきた日本において、訪問型保育に関する法律がない中、自主基準を設け、またベビーシッターの専門性を整理し研修を行ってきた。 142の独立した企業がこの協会の会員として加盟している(平成25年6月1日現在)。加盟するには協会の審査を通らなければならない。

 ベビーシッターは保育園と違って個々の家の考え方、方針、また子どもの特徴に沿って世話をするが、実際にどのような人が利用し、利用理由は何が多いのか。長崎氏によれば、利用者の中で一番多いのは親がフルタイムで働く家庭である。日中は保育園に預けてベビーシッターが迎え、その後、家での保育を依頼するというパターンが多いという。専業主婦の母親たちが冠婚葬祭、兄弟の学校行事の参加、通院しなければならないケースもそれに次いで多い。また長崎氏は母親自身のリフレッシュのための利用も推奨している。

 協会ではベビーシッター制度の安全性を高めるために自主的な研修や実態調査を行って事業に反映させている。これらの努力の結果、事故は一年を通して30~40件で、事故があっても重篤な事故や死亡事故はないそうだ。

 女性の社会進出が進む一方で保育の対策が現状に追いつかない中、こうした在宅保育が果たす役割は非常に大きく、期待されている。集団保育とは違い1対1、1対2と密に接するので、ベビーシッターとその家庭との関わりは深いものになる。このため何が一番大事なのか、よく考えて判断するべきだと長崎氏は指摘する。問題はこうした協会の存在を知らず、そこまで手が回らない人もいるという現状だ。そういう人たちにどのような対策をとるべきか、これが今後の課題になってくる。

カテゴリー
社会

ベビーシッターが果たす役割


小泉璃奈(16)

 近年、「待機児童」という言葉をよく耳にする。待機児童とは保育施設に入れない子どものことをいう。その解決策の一つとしてベビーシッターの活用が挙げられる。他人の子どもを預かるベビーシッターだが、安全対策はどうしているのか公益社団法人全国保育サービス協会事務局次長、研修課長の長崎真由美さんに取材をした。 ベビーシッターをどのような人が利用することが多いのだろうか。長崎さんによると最も多いのは働くママだそうだ。次に多いのは、冠婚葬祭や兄弟の行事などで、子どもを一緒に連れていくことが難しい時に利用するケースだという。 ベビーシッターは現在の日本の法律には詳しいことが定められていない。そのため同協会では、自主基準を設け、その自主基準に賛同できる会社がこの協会の加盟会社になる。全国保育サービス協会は利用者の家に行って子どもを預かることがベビーシッターと定義付けている。保育園では複数の保育士が大人数の子どもを見るが、ベビーシッターでは1人のベビーシッター対1人の子ども、と形態面での違いがある。また保育園ではその保育園の方針に沿って子どもを預かる。ベビーシッターでは各家庭の方針に沿って子どもを預かるという点で大きく異なる。利用者の家で一対一の環境で子どもを預かるベビーシッターは究極の言い方をすれば利用者の家の鍵と子どもの命を預かる仕事だと長崎さんは言う。そうなると子どもを預ける親は不安を感じてもおかしくない。安心して子どもを預けるための安全対策はどうしているのか。 長崎さんによると、認定試験に合格するか指定校を卒業することで認定ベビーシッターになれるそうだ。また試験を受けるまでに新任研修会、現任Ⅰ研修会を修了する必要がある。研修の中で安全を確保するために子どもの発達と成長に応じた「年齢別安全チェックリスト」というものがある。計60個のチェックポイントがあり、事故を防ぐために生かされている。また、もしもの時に備えて応急処置や心肺蘇生法についても学ぶ。これら以外にも子どもの健康管理、年齢に応じた関わり方、ほめ方や叱り方などたくさんの学ぶべきことがある。そしてベビーシッターになる前の研修だけでなく、なってからも毎年研修がある。また全国保育サービス協会では毎年実態調査も行っている。こうした努力もあって、協会に報告される事故発生数は一カ月で3~4件程度、これまでに重傷を負う事故はほとんどなく、死亡事故は0件だそうだ。「事故が起きたらどうする」はもちろん大切だが「事故を起こさないためにどうすべきか」が何よりも大切だと長崎さんは言う。「20年前頃は欧米の高校生のアルバイトのイメージがあったベビーシッターが、今では働く女性が増加したため、欠かせないものとなっている。また、専業主婦にとっても育児で疲れたり、不安になる前に、例えば自分が美容院に行く数時間だけ子どもを預けるなどリフレッシュを兼ねて上手に利用してほしい」と長崎さんは話す。子育ての手助けだけでなく、子どもを持つ母親の精神面の支えにもなるベビーシッター。上手に利用して心身に余裕がもてれば、母親と子どもの関係も、よりよいものになるのではないだろうか。

カテゴリー
教育

学校授業のSST(ソーシャル スキル トレーニング)

松本 哉人(15)
Youth Express Japanで読む

 「乱暴な性格だ」「引っ込み思案だ」「愛想がない」「自己中心的だ」・・・。
誰もが一度は周りから言われたことがあるであろう。しかし、分かっていてもいきなり翌日から改善できるものではない。だが、そのような人付き合いを苦手とする人々は性格のせいではなく、人間関係が上手な人が自然に駆使しているノウハウを知らないだけなのではないだろうか?

法政大学文学部心理学科・渡辺弥生教授
法政大学文学部心理学科・渡辺弥生教授

SST(ソーシャル スキル トレーニング)というものがある。これは人付き合いの上手い人が駆使するノウハウを「スキル」として整理し、そのスキルを苦手な人に気付かせ、身につけさせようというトレーニング方法である。臨床分野では,カリフォルニア大学ロサンゼルス校の医学部精神科のロバート・リバーマン教授がパイオニアとして知られており、精神疾患患者のために開発されたが、同じ時代に、発達領域で適応できない子ども達や更正施設の少年対象にも用いられたりした。現在は、対人不適応の予防だけではなく、円滑なコミュニケーションの形成を目標にして、一般の人々にも利用されつつある。

今、このSSTを学校教育に応用しようという動きが広がっている。集団、それも学校において使うことについて、どのような効果があるのかについて専門家に話をきいた。

SSTでどのような効果が期待されるのか。法政大学文学部心理学科・渡辺弥生教授は「個人のいいところをどんどん開発することができる。すなわち、性格が悪いから対人関係がうまくいかないと自信をなくしていた人に、練習次第でより良い方向に変われるのだという意欲を与える」と指摘する。また、「いじめや不登校、軽い人間関係の問題を予防でき、起きてしまった問題にも各個人のスキルを見て改善していくように働きかけることによって臨床的にも対処できる」と語る。さらに、その効果は授業の前後に行うアンケートの回答によって比較して確認されており、このトレーニングの効果を明らかにしてきている。

法政大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士後期課程の星雄一郎さん
法政大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士後期課程の星雄一郎さん

SSTの授業では何をするのだろうか。法政大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士後期課程の星雄一郎さんは「SSTの授業は学校によって変わるものの、道徳などの時間の中で年に5~10回ほど行い、毎回の授業で各回に習得してほしいスキルを決める」と話す。
しかし、それぞれの授業の基本構造は同じで、以下の四つの部分でできているという。

  1. インストラクション(教員がそのスキルがなぜ必要なのか、学ぶ意味は何なのか、どういったことを学ぶのかということを言葉で説明する。)
  2. モデリング(教員がそのスキルが使えている場面と使えていない場面がどう違うのか、使えている場面はどのように使えているからいいのか、使えていない場面ではどのように使えていないのかを寸劇などを使って説明する。)
  3. リハーサル(生徒が小さいグループになってスキルの正しい使い方を体験する。)
  4. フィードバック(生徒がお互いに反省点などの意見を出し合って考えを深める。教員がアドバイスする。)

具体的に言えば、
「人の話を聞くときにあいづちを打つ」というスキルを見るならば、「人の話を聞くときにはあいづちを打つといい」というインストラクションと、「人の会話を見ながら、あいづちを打っている人と打ってない人を見比べてどちらがいいか考える」というモデリング、さらに自分が「人と会話しながらあいづちを打ってみる」というリハーサルを行い、最後に自分のあいづちを見ていた人の意見を聞く(フィードバック)ことで「あいづち」という動作を習得するのである。

 喧嘩が少なくなってきたといわれる現代では多くの人がストレスをため込んでいるように感じられる。しかし、お互いに少しずつ、あいづちなどの相手の心の負担を減らす技術を身につけることで日々の暮らしが楽になっていくのではないだろうか。

カテゴリー
教育

Changing university admission system in Japan

Changing university admission system in Japan

by Rui Murakami(14)

   The Japanese government is planning to reform the National Center Test for University Admissions ( “Center Test”) and introduce a new achievement test to assess academic achievement of applicants to universities more accurately.

As one of the high school students affected by the introduction of this new standardized test, I am eager to know when it will start and what it will be like and furthermore, why is the new test system being launched now?

According to the protocol, the Center Test aims to assess test takers’ basic learning and performance in high school to help public and private universities evaluate how well applicants are academically prepared for college. How the test score will be used is up to each university.

One of the major criticisms of the Center Test is that it is only offered once a year. Even if the test takers miss the exam due to illness or any other reason, it can not be rescheduled and they have to wait until the next year. Their efforts over the years are in vain in such cases. The second problem is its multiple choice format. It is often said that you might get a right answer in the Center Test by rolling a pencil as a dice and get a high score by chance.

The new test will use the frameworks of the GCSE level and the GCE-A level in Britain, the SAT in the US and the baccalaureat in France as references. However, every test has pros and cons. Therefore, I interviewed young British journalists of Headliners, Children Express (CE)’s sister organization, who had taken GCSE during my visit to three Headliners offices as part of CE’s summer program in 2013.

131025_test970   One of the major differences from the Japanese Center Test is that the British test is divided into two levels: the GCSE level and the GCE-A level. The first one is designed for ninth grade students in junior high school and the score can be also used to prove qualifications for those who do not continue on to college and seek a job. Some of them may choose vocational schools, but they are not so popular because of the expensive tuition. For young people who start working right after school, the GCSE score is the only certified qualification. Regarding the disadvantage of the system, those who had already taken the test as well as those who are preparing to do so said unanimously, “It is too early to decide your future at that age.”

After taking the GCSE, the next stage is the GCE-A level, a prerequisite for university admission and similar to the Japanese Center Test. Test takers can choose the subjects depending on their chosen college enrollment requirement. On the one hand, it enables them to discover their competencies and inspires their curiosity given a broad range of subject choices; but on the other hand, if they change their mind on what to do in the future after starting preparing for the test, they may also need to change the subjects. Although it is possible to do so, in reality it is difficult to catch up with the studies afterwards.

After interviewing those who had taken the GCSE and the GCE A level, I found that in Britain, high school students have to decide what they want to do in the future early as they have to choose the subjects they will study for the exams. Many of young journalists of Headliners whom I interviewed felt that the Japanese center test is better than the British test system; if you make continuous efforts on study, you will get good scores in Japan and even when you have no idea what the correct answer is, at least you can pick up one answer randomly from multiple choices. However, the majority thought that the British style encourages students to think about their future career early.

I discovered that the British government is planning to reform their test system by implementing “international baccalaureat” for middle school and high school students which can be granted after completing the education program certified by International Baccalaureat Institution. To learn about the reform, I contacted the Ministry of Education.

The main purpose of this reform is to meet the demand from the universities and employers with stricter verification of the precise level of the applicants’ achievements. The historical survey of the British tests shows that applicants’ academic levels have not always matched their selected majors in the universities. The new test will be designed to focus more on the applicants’ intellectual activities than their test skills in order to assess their deep knowledge and intelligence.

While Japan is trying to overhaul the university admission test system, the British test system, one of the model systems for Japan, is also going through transformation. How the Japanese new test is reformed and when such a new test is introduced should be announced well in advance to students, schools and prep schools to reduce their anxiety and unnecessary confusion.

 

カテゴリー
社会

イヤホンの使い方

イヤホンの使い方
2014/05/01              松本哉人(14)

 街を歩いていると必ずと言っていいほど使用している人を見かけるイヤホン。しかし、多くの人はその危険性を意識しつつも正しい知識を持っていない。イヤホンの危険性の正しい理解のため、専門医に話を聞き、小学生から高校生までの記者6人で話し合った。

栃木県那須塩原の国際医療福祉大学病院の耳鼻咽喉科部長中川雅文教授を3月19日に訪ねた。中川先生によると、まず難聴とは、1日の耳の許容量を超える音量を聞きつづけることによって高い周波数の音が聞こえなくなっていくことである。難聴は段階的に進んでいき、高い周波数の音から聞こえなくなっていく。そして難聴は現在の医学では治らない。現在私たちの身の回りで行われている聴力検査では20歳の聴力を基準としているため、20歳未満の若者が仮にその年齢の聴力の基準値以下であったとしても発見できないという。このため10代の難聴は感じている人も少ない。

次になぜイヤホンは危険であるのか。中川先生はイヤホンをはめることによって耳をふさぐことになり、耳の空洞部分の容積が小さくなってしまうと話す。耳の空洞が狭くなると、反響する音の範囲が普段聞きなれない高い周波数の音に限定されてしまう。そうすると、高い音をもっとよく聞こうと音量を上げてしまい、難聴をひきおこす。難聴になると高い音がさらに聞き取りにくくなるのでもっと音量を上げてしまい難聴が悪化していく。

さらに周囲の環境も大事だという。街中や乗り物の中、そうでなくても周りに音のある場所にいる人がイヤホンで音楽を聴くと、音楽以外に周りの音も耳に入ってしまう。そうすると周りの音よりも高い音量で音楽を流さなければ音楽を聞くことができない。現に、インタビュー中に換気扇を止めたところ、止める前より先生の声が楽に、明瞭に聞こえるようになった。

では、イヤホンをどのように使えば安全に音楽を楽しむことができるのだろうか。中川先生は、「基本的には僕らの考え方は、イヤホンはやめましょう。ヘッドホンにしましょう」だと話す。決してヘッドホンを推奨するわけではないが、より防音性の高いヘッドホンのほうがまだいいそうだ。そしてなるべく周りの音が少ない環境で聞くべきだという。ヘッドホンが嫌だと言う人に対してはノイズキャンセルイヤホンというものも紹介していた。これは、周りの音を打ち消す音を出すイヤホンで、普通のイヤホンより周りの音が聞こえないが普通のイヤホンよりも値段が高い。また35歳未満の若者なら耳の許容量を超える音を聞いても48時間耳を休ませることによって聴力を回復する力があるため、大きな音を聞いた後は適度に耳を休ませることも大事だそうだ。

ではこのような危険性を若者はどう認識しているのか。また、先生の話す安全な使い方はどの程度実践可能なのか。小学生から高校生までの記者6人で話し合った。

最初に音楽をどの程度聴いているか尋ねると全員が日常で音楽を聴いていると答えた。また、聴いているのは歩きや交通機関の中などの移動中、勉強中など家に一人でいるときで、多い人は一日5時間以上も聴いているという。そこで、中川先生の話を披露したところ、ほぼ全員が少しは分かってはいたけれども大きな危機感はなく、知ってしまってもイヤホンの使用をやめることはないという返答だった。しかし、音量を下げたり聴く時間の長さを考え直してみたりとイヤホンの使い方を変える気にはなったようだ。また、ノイズキャンセルイヤホンについて、移動中に音楽を聴いている記者は、もし買えるとしても周りの音が聞こえなくなると困るので買わないと答えた。

若者にとって、イヤホンはもはや生活に深くつながる重要なツールのひとつといえるが、まだまだ多くの人が危険な使い方を続けている。しかも、知らないうちに失われた聴力は取り戻すことができない。まずは一人ひとりが正しい知識をもち、人に伝えていくことが大切である。


イヤホンの危険性  
2014/05/01               小泉璃奈(16)

 道を歩いている時や電車内で周りを見渡すと多くの人の耳にはイヤホンが装着されている。どこへでも自分の好きな音楽を持ち歩くことが容易なイヤホンは私たち、とくに若者の生活に欠かせないものとなっている。一方で常に音楽を聴くことが聴覚障害を引き起こす危険性はないのか不安でもある。国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科部長の中川雅文氏に取材をした。

中川雅文先生への取材

 中川先生によると若者を対象にした聴力検査では聴覚障害と判断できないこともあるそうだ。難聴は高い周波数(Hz)から聞こえなくなる。しかし今一般に行われている聴力検査では20歳の聴力を基準とし、125~8000Hzの周波数がどのくらい聞こえるかを検査している。ところが私たち10代は50~20000Hzの音を聞く力がある。つまりもし高い周波数が聞こえなくなっていても検査ではわからないということになる。検査の結果正常だと診断されても気づかないうちに、難聴の危険にさらされていることもあり得るのだ。さらに、例えば検査で難聴と診断されなかったので今まで通りイヤホンを使用しても問題はないのかというと、中川先生は、金属疲労がある段階になるとその金属が折れてしまうように、耳もたくさん音を聞いていると、ある時を境に難聴になってしまうと警告する。つまり、耳がどんなに過酷な状況であっても自分達が自覚することは難しいということだ。

 音というのは距離が半分になるとその音の大きさは倍になるが、イヤホンを装着することは耳の空洞の容積が狭くなるので耳にはさらに大きな負担になる。音量が大きいほど耳への負担が大きくなるのにもかかわらず、なぜイヤホンで聴くときボリュームをあげてしまうだろうか。中川先生によると私たちの体は普段125Hz以下の重低音を体の振動を通して聴いている。例えばライブや太鼓の音だが。イヤホンからでは重低音を流すことが難しいため、私たちはついその音を求めてボリュームをどんどんあげてしまっているのだそうだ。

 それではどのようにイヤホンを使用すれば耳に負担をかけずにすむのか。中川先生によると人は、85デシベル(山手線の走行音に相当)の音を8時間、91デシベル(新幹線に相当)の音を4時間聴くと耳の限度を超えてしまう。だが48時間耳を休めれば耳にかかった負担を軽減する力が私たちにはあるそうだ。あるいはイヤホンでなくヘッドホンを使用することも耳への負担軽減になる。ヘッドホンはイヤホンに比べて周りの余分な音を防ぐことができる。そのためボリュームを過度にあげなくてもよい。どうしてもイヤホンを使う場合は静かな環境で適度な時間聴けば負担を少なくすることができるそうだ。

 実際に日頃イヤホンを使用している10代の若者にこの取材結果をもとに話を聞いた。
まずイヤホンの危険性について意識したことがあるか、という問いに対して「なんとなく耳に悪いような気はしていたが、そこまで意識したことがない」という答えが多かった。そこで取材して将来難聴になるリスクが高いこと、形状はイヤホンよりもヘッドホンの方が耳への負担が少ないことが分かったと伝えた上で、これからはヘッドホンを使用しようと思うかと尋ねた。すると、「外では大きくて邪魔になるからイヤホンを使用し続ける」とする人がほとんどだった。一方「家ではヘッドホンを使用することもある」と答える人もいた。また、イヤホンの使用を制限しようと思うかという問いには「生活の一部になっているから今まで通り使用する」「制限するべきとは思うけどこのまま使用すると思う」という声が多かった。若者のイヤホンに対する危険意識が低いことが明らかになった。 自分の好きな音楽を外でも聴けるイヤホンは私たちにとって必要不可欠なものになっている。便利さ手軽さを追求した結果私たちがイヤホンに依存してしまうようになった。イヤホンとうまく付き合うために危険性の認識をもっと広めていく必要があるだろう。


イヤホン使用の危険性
2014/05/01                近藤さくら(16)

 最近、街中や電車・バスの中でイヤホンやヘッドホンなどのオーディオ機器を使用している人がとても多い。周りの人に迷惑をかけず、自分だけで音楽を楽しめる利点はあるが難聴の危険性はないのだろうか。国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科の中川雅文先生にインタビューした。

まず難聴とはどのようなものなのか、中川先生によれば、私たちの耳は正常な場合50Hz~20000Hzまで聞こえるという。難聴の症状がある人はこの20000Hzという高音域から徐々に聞こえなくなる。それもたくさんの音を聞いていて、それが積み重なってある日金属疲労でポキッと折れるように症状がでるという。つまり難聴は普段会話などで使用する高さの音域よりも高い音から聞こえなくなっていくので難聴であると自覚するのはとても難しいと言える。学校や病院で聴力検査を行う際に検査する範囲は125Hz~8000Hzなので、難聴の症状があっても検査ではわからないことになる。これらの理由から具体的にどれほど多くの難聴患者がいるのかは把握できていないが、実際に増えていると思うと中川先生は語った。

イヤホン使用による難聴はもう少し特殊だ。中川先生の説明によれば、耳の中にイヤホンをいれると鼓膜までの空洞がせまくなり、高い音が耳の中よく響くようになる。イヤホンを使用しないときよりも耳への負担が大きくなり、その状態が長く続くと耳が金属疲労のような状態になる。難聴の症状がでて高音が聞こえづらくなるので高い音聞きたさにさらにボリュームを上げてしまう。またイヤホンでは低い音は出せないのに、その音を聞きたいと思うがゆえにまたボリュームを上げてしまう。これらの悪循環で難聴の症状が進んでいってしまうという。

こうした危険性を回避するためにはイヤホンをどのように使用していくべきなのか、中川先生はこう指摘する。

まず耳が一日に聞く音の許容量を超えないこと。許容量は85デシベル(db)、つまり山の手線内の音の大きさで一日8時間、95db(新幹線の自由席音)で一日4時間である。一日のうちにこれほど長い時間聞かないかもしれないが、許容時間は音量が上がるとともに反比例していくので2~3時間ほどで許容量を超えてしまいかねない。つまり何か聞くときはできるだけ静かな場所で優しい音で聞いて耳に負担をあまりかけないようにすることがポイントである。その際ノイズキャンセリング機能があるイヤホンやヘッドホンを使用するとよい。
二つ目は、仮にたくさんの音を聞いてしまったらしっかりと耳を休ませることが重要だ。私達には耳を48時間休ませると元に戻る力が備わっているという。

では難聴になったとして治療法はあるのか。中川先生は「iPS細胞に期待をよせているが、仮にiPS細胞が適応できたとしてもその細胞は音を認識できてもその音がどういう意味を持つのか認識できない。この音がこういう意味であるということをもう一度ふきこまなければいけないので有効な治療法はまだない」と語った。ということは自分で難聴にならないように注意していかなければならない。

チルドレンズエクスプレスの記者6人(小6から高2)に話を聞いたところ、イヤホンの問題点を意識していた人は一人だけだった。私達の世代ではイヤホンを使用しないということは考えられないという。危険性の認識が低いままだと難聴はますます増えてしまう。とくに若い人は医師の指摘にもっと耳を傾けるべき状況であることがわかった。

カテゴリー
社会

捨てられるペットを減らすためにペットショップができること

捨てられるペットを減らすためにペットショップができること
2014/01/19               米山菜子(17)

日本動物愛護協会に取材

 1日850匹、約100秒に1匹の犬や猫が保健所で殺処分されている(内閣府特定NPO法人ConoasS HPより)。一時の「可愛い」という感情に流され、ペットを飼ったものの、その後、飼い主の身勝手な理由で捨てられるペットは後を絶たない。そして、平成25年9月1日に動物愛護に関する法律の一部を改正する法律(改正動物愛護管理法)が施行され、「ペットショップでの犬や猫の夜間展示の禁止」などが新しく義務付けられた。捨てられるペットを少しでも減らすために、売る側のペットショップはどのように対応しているのだろうか。

  東京のJR渋谷駅近くに、狭い空間に仔犬や仔猫を入れたケージが積み重なっているペットショップがあった。店内の壁には「預かり金0円で今日連れて帰れます」と書いた張り紙がある。店員に尋ねると身分証明書の提示とローンを組める20歳以上の人であれば、0円で連れて帰ることができるそうだ。値段も人気のトイプードルやチワワでも5万円~10万円とリーズナブルで若者の手にも届きやすい。

しかし、このような繁華街のペットショップのなかには衝動買いをさせる恐れがあると
ころもある。「衝動買いは避けてほしい」と訴えるのは、公益財団法人日本動物愛護協会の内山晶常任理事・事務局長だ。

内山晶常任理事

東急東横線自由ヶ丘駅近くにあるペットショップA店では、カラフルなペットグッズが陳列された奥の一段高いところに、立派なケージに仔犬が一匹ずつ5~6匹が陳列されている。値段は同じトイプードルでも35万円~40万円と高価だ。店員に尋ねると、この仔犬たちは大会で優勝した犬の子どもなので値段も高いそうだ。そのため、衝動買いをする人は見られないという。また、ペットグッズを多く販売しているため、リピーターが多く、販売後も犬の様子を見ることができるそうだ。「最後まで責任をもって飼うよう、購入時の説明は怠らない」と店員は断言した。

全国ペット協会に取材

同じく自由ヶ丘駅から住宅街に向かう商店街にあるペットショップB店は、明るい店内には仔犬が2匹ずつそれぞれ大きめのケージに入って遊んでいる。「1匹ずつだと、飼い主と一緒に暮らすうちに、自分が犬であることを忘れるので、幼い時に他の犬と一緒に遊ぶことで社会性を身に着けさせています」と店員が説明してくれた。それぞれの仔犬のブリーダーの氏名や写真が提示されている。気に入った仔犬の前で足を止めると、アルコール消毒液を手にかけてくれて、ゲージから仔犬を出して、抱かせてくれる。値段はどれも20万円台と最近の相場の価格だ。店員に尋ねると店内の仔犬、仔猫には全てにマイクロチップを装着しているので、購入後に行方不明になったり、捨てられたりしても、そのチップから飼い主の連絡先がわかることを購入希望者に説明して、衝動買いを防ぐようにしているという。販売後は、定期的に客に電話をし、ペットの健康状態や飼い主の心のケアも行っているそうだ。「ペットの一生を考えると、ペットを愛してくれる、温かいお家をできるだけ早く決めてあげることが私たちの使命です。そして老犬になって介護が難しくなったら、犬の養老院もあることをお伝えして、最後まで責任をもって飼っていただくようにお願いしています」と店員が話してくれた。

「理想的なペットショップは現状では少ない」、「法律を順守しモラルを大切にして、
より良いペットショップを目指して営業活動をしてほしい」と内山氏は話す。ペットショップは、もし飼い主が急にペットを飼えなくなったり、手放さなくてならなくなったりしても対応できるように、ペットと飼い主に寄り添ったケアを長くしていくべきだろう。そして、ペットショップは飼い主に対しても、命ある動物を飼う「モラル」を、売った後の丁寧なケアを通して長期間にわたって伝えていくことが必要とされるだろう。


これからのペットショップのあり方
2014/01/19               前田佳菜絵(13)

 2013年6月から動物愛護管理法改正によってペットショップの夜間営業が禁止となった。最近はペットショップで動物を見てその場で購入してしまう 『衝動買い』 が増えていることも事実だ。ペットを飼う人が増えているなか、ペットショップの現状はどうなっているのか。また、これからの理想のペットショップとはどんな店なのだろうか。

赤澤暁昌事務局長

東京都心の繁華街のペットショ ップと、近郊の自由が丘にあるペットショップを取材をしたところ、いずれのショップも動物を売る時間は法改正前から、法改正で定められた20時までだったそうだ。繁華街の店の店員は「理想のペットショップは、購入するお客さんにきちんと説明をして、買った後もケアすることができるところだと思う」と語った。また、自由が丘の店長は「なるべく早くペットの家を決めてあげて、ペットの人生のほとんどをその家で過ごさせてあげるのが理想のペットショップだと思うし、我々の使命だと思う」と語った。法改正後の対応について、繁華街のペットショップの店員は「20時以降のペットグッズの販売は法改正後も認められているのに、動物が入っているショーウィンドウにカーテンをしているため客が減ってしまった」と話していた。また、ペットの購入をその場で決めてしまう『衝動買い』を防ぐために、繁華街のペットショップでは20歳以下の人には動物を売らないようにし、20歳以上の人にも身分証明書があって契約書にサインした人にしか動物を売らないようにしていて、実際に返品された動物は今までにいないということだ。

繁華街のペットショップ

一方、自由が丘のペットショップでは、販売している動物にマイクロチップを装着させていて、仮にペットを飼ってからやむを得ず捨ててしまってもペットの身元を調べて飼い主のもとに帰すことができるようにしている。つまりペットを飼うことに責任を感じてもらう活動をしていることを事前に客に言って、納得した人にしか動物は販売していないそうだ。

日本動物愛護協会に取材をした。常任理事・事務局長の内山晶氏は「理想的なペットシ
ョップは現状では少ないのではないか。動物を小さくてかわいいうちに販売しようと、早
く親や兄弟と離れさせれば、犬としての習性を身に着けないで成長してしまう可能性が高
くなる」と語る。また、「日本では、ペットショップがペットを飼うための仲介役として存在するのは、商業活動として認められているので、法に触れない限り止めることはできない。しかし、生きている動物を扱うのだから、法律を順守し、モラルを大切にしてより良いペットショップを目指して活動していってほしい」と強調した。

ペットショップ(自由が丘)

また、全国ペット協会にも取材をした。全国ペット協会とは、生き物に関わる人のレベルアップを目指して、説明会を開いて人材育成をしている一般社団法人だ。事務局長の赤澤暁昌氏は、理想的なペットショップのあり方について「ただ動物の購入の窓口ではなく、長く飼い主さんとつきあっていけて、いつでも相談にのれるところだ」と言う。法改正については「規制がどんどん強くなっている。ただ、もともと夜間に営業していたペットショップは法改正前も少なかったため法改正をしてもペットショップのあり方は大きくは変わっていない。つまり、今までも法律の中に収まってきていた」と言う。動物の深夜販売、インターネット販売をしていたペットショップもある程度は自主規制をしていたとも語る。また、最近増えている『衝動買い』については、動物を販売する際にはその動物の寿命など18項目を説明してから販売することが義務 づけられているため、簡単に動物を購入することはできないそうだ。最後に「どのペットショップも『もっと良くなりたい』と思っている。そのようなペットショップの手伝いをするのが私たち全国ペット協会の仕事です」と強く語った。

今回の法改正によって営業スタイルが変わったペットショップは少ない。しかし、まだペットショップには『衝動買い』や『殺処分』などの問題があることも事実だ。これからのペットショップのあり方がより良いものとなることに期待したい。

カテゴリー
教育

Anyone can be a leader

Anyone can be a leader

Mariko Iinuma (17)

     In Japan, there is a long-held social tradition whereby whoever attracts attention like a nail sticking up will be hammered down, pounded back into conformity. Because of this trend, people tend to avoid taking leadership. In a survey of 33 youths by Children’s Express, there were only a handful who had received leadership education at school or outside of school.  Recently, however, people in Japan are clamoring for leadership.  College admissions tests and employment exams place high priority on leadership skills, and new employees are expected to show initiative. US schools already conduct leadership education, as do schools in the UK. Therefore, I researched and conducted interviews regarding the differences and similarities in leadership education in Japan, the US, and the UK in order to answer the central question: “What is leadership?”

<“Center of the Circle”>

a     Research was conducted at Y-PLAN, an organization that runs a leadership education program at the University of California, Berkeley. I interviewed Deborah McKoy, the director of Center for Cities and Schools, the parent organization of Y-PLAN, and Jessie Stewart (28) the Y-PLAN coordinator. Y-PLAN is a program where youths engage in a real city reform project with authentic clients, and present their ideas to them. With great confidence Ms. Stewart says, “You are given the opportunity to stand up and present your ideas to the panels that have the power to implement those ideas. This gives you more confidence that you can become a leader and make a change to the community.” According to Ms. Stewart, qualities essential for a leader are “compassion and the courage for risk taking. A leader needs to think about the whole group, and not just yourself. Also a leader needs the skill to listen to other conflicting ideas and create a balance because not everyone is going to agree with you.” The reason leadership is considered important in the US is because, “In the US, wealthy people who earned a degree at an institution of higher education became leaders; but as globalization spreads in the common society, whether you are rich or poor, educated or uneducated, anyone needs leadership skills in this era” says Ms. Deborah.

Some Japanese students have participated in Y-PLAN, including one hundred high school students who were victims of the Great East Japan Earthquake of March, 2011. In the group’s 2012 report on their Y-PLAN experience, one participant says, “A leader is not someone who stands on the apex of the triangle, but someone who stands in the center of the circle and organizes everyone’s ideas to make a nice round circle.” There were also many positive thoughts such as “One thing that I changed most is, I am not afraid to speak in front of people, and I am able to express my opinions to others.”

<Effect of Group Projects>

b     Children’s Express visited a leadership organization in London called Changemakers, as well as a branch of “Headliners,” a sister organization of Children’s Express.  Changemakers was established in 1994 by specialists in education and NGO’s, with the purpose of unlocking leadership potential in youth, developing a desire amongst youth to improve their surroundings, and instilling the values young people need to become a leaders. According to Suraj Vadgama (26), one of the coaches at Changemakers, “after youths participate in their program, they gain confidence, communication skills, motivation, and ambition”. When I told them about how people avoid taking leadership in Japan, Suraj commented, “To gain support from others, you have to be accepted by everyone and strongly appeal that you are here as a leader to support everyone.”

At Headliners in London, when I asked about the qualities necessary for a leader, most everyone mentioned confidence, the ability to listen to others, and valuing teamwork. Gabriella (17), one of the reporters at Headliners, has been a leader at a program where youths establish their own business. Through this program, “It was a struggle to gather the diversity of people in one whole group and lead them to the goal. But independence and the sense of responsibility grew in me,” Gabriella recounted. When I told my interviewees that there are not many group projects at school in Japan, and that people are shy to become leaders, the youth reporters at Headliners were surprised. They pointed out that you can learn communication skills through group projects and you can learn how to cooperate with others, so Japan should employ group projects more often. Even without such projects, though, leadership may be developed by embracing a certain worldview.  Naomi (18) from Belfast said, “Leadership can develop even if you don’t participate in leadership programs because you gain leadership when you lead your own life.”  Deanna (18) had a universal perspective, saying that “If the leader is absent, you need another leader from the rest of the members. So everyone needs leadership. Being a leader is not special.”c

The current generation of US and UK youth both agree that a leader is not someone who leads everyone from a position at the head of the group, but someone who is in the center, gathering the team and being accepted by others as he goes around and listens to different opinions. US and UK educational institutions emphasize that leadership roles are open to all members of society and that youth is the best time to practice leading. In this way, young people come to understand that leadership should be a common form of social interaction, not something special. If Japan introduces this educational approach, there will likely be far more world leaders “made in Japan.”

カテゴリー
教育

誰もがリーダーになれる

飯沼 茉莉子(16)

  「出る抗は打たれる」という諺が日本には昔からある。そのためかリーダーシップをとることを避ける風潮になってしまっていた。チルドレンズ・エクスプレス(CE)が日本の若者34名にアンケートをとったところ、学校やそれ以外でリーダーシップ教育を受けた学生はわずかだった。しかし、最近の日本では、リーダーシップの重要性が盛んに叫ばれ始めた。大学の推薦入試や就職試験の際にも「リーダーシップ」があるかどうかが重要視されてきている。アメリカでは以前からリーダーシップ教育が行われ、イギリスでも盛んだという。そこで日米英三カ国でのリーダーシップ教育の違いや共通点を調べ、そこから見える「リーダーとは何か」について取材した。

■円の中心にいるリーダー
  カリフォルニア大学バークレー校でY-PLANという教育を行っているCenter for Cities and Schoolsのディレクター. デボラ・マッコイさんと、コーディネーターのジェシー・スチュワートさん(28)にインタビューをした。Y-PLANとは、若者が地域の活性化プロジェクトに参加し、自分たちのアイディアを市長や企業に直接プレゼンテーションをするまでを行うプログラムだ。スチュワートさんは「ここでは、自分の意見やアイディアを表現する場が与えられるため、自分がリーダーとなってこの地域を変えてみようという自信をもつことができるようになる」と自信たっぷりに語った。リーダーになるための要素は「周りへの思いやりとリスクを取る勇気。リーダーは自分のことだけではなくグループ全体のことも考えなければいけないし、反対意見も聞いてグループをバランスよくまとめる能力が必要なの」と指導のコツを教えてくれた。なぜリーダーシップが重要視されているかを尋ねると、「アメリカではこれまで、高等教育を受けた裕福な人たちがリーダーになっていたが、グローバル化した今、金持ちか貧乏か、教育をうけたか受けてないかは関係なく、誰もがリーダーシップスキルを持つ必要がある時代になった」とデボラさんはいう。
このY-PLANを体験した日本人がいる。東北で被災した100人の高校生たちだ。彼らがまとめた昨年の報告書によると、参加者の一人は、「リーダーとは一番偉い人で三角形の頂点に立っている人ではなく、円の中心にいて、みんなの意見を一つにまとめてきれいな円を作りあげる人のことだ」と述べている。さらに「一番変わったことは、人前で話すことが全く怖くなくなり自分の意見を言えるようになった」という前向きな感想が多かった。

■グループプロジェクトの効果
ロンドンにあるリーダーシップ教育の団体Changemakersと、CEの姉妹団体であるHeadlinersの支局を訪ねた。Changemakersは1994年に教育学者やNGOによって設立された団体で、リーダーシップを通じて若者の潜在能力を引出し、周りにもっと強い影響を与えたいという精神と、リーダーに必要な要素を自身で見つけさせることを目指している。Changemakersの指導者の一人であるスラッジさん(26)によると、このプログラムを受けた後の若者は、自信、コミュニケーションスキル、モチベーション、それに大志が身に付くという。「日本では出る杭は打たれる」と話すと、スラッジさんは「リーダーになって支持を得るには、まずはみんなから認められ、みんなをサポートするためにリーダーがいるということを強く伝えなければいけない」と強調した。現在イギリスではこうした教育機関が多くあるため競争が激しいそうだ。イギリスでどのくらいリーダーシップが重要視されているか想像がつく。

Headlinersのロンドン局でリーダーに必要な条件を聞いたところ、どの記者も必ずあげたのが、自信、他人の意見を聞く、チームワークを大切にできるという三つの要素だった。記者の一人ガブリエラさん(17)は、若者でビジネスを立ちあげるというプログラムに参加しリーダーを務めたそうだ。彼女はこのプログラムを通して「十人十色のグループを一つにまとめて、みんなをゴールへ導くことに苦労したがこの経験によって、自立心が芽生え責任感を持つようになった」という。日本ではグループワークが少なくリーダーになることを恥ずかしがると話すと、イギリスの若者は意外な表情を見せた。グループプロジェクトはコミュニケーションスキルが身に付くし、他人から学ぶこともたくさんあるから日本ではもっと頻繁に行うべきだと指摘を受けた。

北アイルランド地方ベルファスト局のナオミさん(18)は「リーダーシップはプログラムを受けなくても育つ。自分の人生を自分で引っ張っている時点でもう身に付いている」と言う。ディアナさん(18)はもっと冷静な見方をした。「もしリーダーが休んだら残りのメンバーの中からまたリーダーシップを取れる人がいるようにするためには、みんなにリーダーシップが必要である。リーダーになることは特別なことではない」と。リーダーとはトップで引っ張っていくという意味ではなく、みんなの中心になって様々な意見を聞きながら周りに認めてもらい、チームをまとめていく役割であると米英の同世代の若者たちが共通して語った。リーダーシップは若いころにリーダーを経験することで誰もが身に着くものなので、アメリカやイギリスではこのような教育団体が多く存在することが分かった。リーダーシップは特別なものではなく身近なものであることを若者が理解することが大事だ。アメリカやイギリスのような教育を取り入れれば日本にもっと多くのリーダーが誕生していくのではないだろうか。

カテゴリー
教育

リーダーシップの可能性を考える

南雲 満友(18)

 リーダーシップって何だろう。 そしてそれを育むリーダーシップ教育とは何だろう。2013年8月1日から8日まで日英記者交流でイギリスを訪問した際に、チルドレンズ・エクスプレスの姉妹団体であるHeadliners(ヘッドライナーズ)の記者とユースワーカーたち14名(ロンドン局7名、ベルファスト局4名、フォイル局3名)、さらに日本の若者34名に取材をした。それを通して見えてきた「リーダーシップ」についてまとめた。

■可能性の引き出し
日本には、「出る杭は打たれる」という諺にもあるように、周りの空気を読むという文化が存在し、「リーダーをやりたい!」と宣言することで周りから浮いているように思われる風潮がある。皆で一緒という意識が強いのだ。そのためか、実際には学校でリーダーシップ教育が行われていないことが多いようだ。日本の若者34人に「リーダーシップ教育を受けたことはあるか」と質問をすると、「ない」という回答が多かった。

これに対し、イギリスではリーダーシップ育成プログラムが盛んで若者たちは自ら進んでリーダーの役割を経験していた。ロンドンデリーにあるフォイル局のキティー(17)は「私はドラマの監督をやった。皆がわかってくれないときに、仲間のやる気を引き出すことが大切だ」と語った。またロンドン局のプレシャス(17)は「バンク・オブ・ユーロのビジネスプログラムでリーダーに選ばれ、公平であることの大変さを学んだ」という。

イギリスで様々なリーダーシップ育成プログラムを実施している団体Changemakersにもロンドンで取材をした。同団体は1994年に教育者らによって設立され、信頼、知識、異端児、愛情、勇気という“5つの価値”をベースとしてリーダーを育成するプログラムを行っている。2泊3日のキャンプやプロジェクト、121のコーチングセッション、スキル育成期間を含む3ヶ月のリーダーシッププログラムがあり、対象年齢は16歳から25歳に絞っているという。スタッフのスラッジ氏は「16歳は個性が発達する時。自分についてわかり始める。だから16歳からを対象にしている」と説明する。また、「リーダーシップは元来自分の中から始まる。潜在能力を引き出し、自分を信じることで発揮できる」と語った。16歳で個性が芽生え、その時期にリーダーシッププログラムを経験することで、リーダーシップについて自分なりの定義を行い、自覚することにつながるのだ。参加した若者には、これらのプログラムを通して、自信、コミュニケーションスキル、影響力、自己動機付け、認識などを学んでほしいという。そして、「リーダーシップスキルは短期間で身に付くが、それをどんな状況でも発揮できるように育むことが大切だ」と話す。リーダーシップを育成する過程では、可能性を気づかせて引き出し、それを維持していくことが大切なのかもしれない。

■グループ学習
 日本との比較でスラッジ氏は授業のやり方の違いをあげた。イギリスやアメリカの学校授業ではグループ学習が多くとられている。それに対し日本は個人学習がほとんどである。フォイル局のグレイス(18)は「グループ学習はやりがいがあるし、自信とリーダーシップを身につけることができる」と話した。

■リーダーはサポーター
 リーダーに必要なスキルについてイギリスと日本の若者たちに聞いたところ、コミュニケーション能力、動機付け、誠実さ、グループを良い方向に導くこと、妥協、統率力という意見が共通して多かった。そしてリーダーときいて想い浮かべる人は女王、首相、生徒会長などがあがった。

そのなかで新たなリーダー像も見えてきた。ベルファスト局のナオミ(18)は「リーダーは皆をサポートする役割がある」と従来のリーダー像である皆を引っ張る人ではなく、支援するというポイントをあげた。Changemakersのスラッジ氏も「リーダーはまず仲間をサポートし、助言を与え、合意を形成していくことが必要だ」と語っている。力で上から指示するようなリーダーではなく、相手の立場にたって考え、コミュニケーションを通して、仲間をやる気にさせる。そして皆をサポートしながら、的確な方向に導いていくリーダーである。

そもそもリーダーシップとはリーダーだけに必要なことなのであろうか。ロンドン局のイスメール(21)は「将来、自分の子どもに何かを教え、育てていくにはリーダーシップが必要なのではないか」と身近なことにリーダーシップの必要性をあげた。またフォイル局のキティー(17)は「グループの中で誰もが色々な方法でリーダーになれる」と話す。これらは「リーダーシップは身近なことから始まる」というChangemakersのスラッジ氏とも重なる。

■リーダーシップの可能性
「リーダーシップはリーダーシップ教育がなくても育つ」とナオミ(18)は語る。学校でのグループ学習やディスカッション、そして友達関係などでもリーダーシップを身につけることができるという。つまりリーダーシップとは日常生活で行っていることに直結しているのだ。スラッジ氏はリーダーシップについて「一生の旅」と笑顔で締めくくった。私たち若者にとって本当に大切なことは、毎日の生活を自分でリーダーシップを育む機会にしていくことではないだろうか。そして「リーダーシップって何だろう」と考えていくことが、真のリーダーシップ教育なのかもしれない。

カテゴリー
教育

将来の職業につながる教育

瀧澤 真結(15)

 文部科学省がセンター試験を5年以内に廃止し、新たに複数回受験できる到達度テストを導入する方針であるとの新聞報道があった。それによれば文科省はイギリスのGCE‐Aレベル、アメリカのSAT、フランスの国際バカロレアなどの統一試験を参考にするという。では、欧米の試験がどのようなものなのか、現在のセンター試験との相違点はあるのかを調べるため8月上旬にCEの姉妹団体であるHeadlinersのロンドン局、ベルファスト局、フォイル局を訪ねて、実際にGCEやGCSEを受けている学生たちに取材をした。

 イギリスの学生たちにはまず日本のセンター試験は一回で結果が決まってしまうが、複数回受験し、一番良い結果を選択することができるイギリスのGCSEやGCEとどちらが良いかと聞いた。結果は、どの局でも学生たちの意見が分かれた。イギリスのシステムの方が良いと言った人は、「一回ではプレッシャーが大きすぎる」、「どんどん点数を良くしようと頑張るから継続的に成績があがる」、「何度もチャンスが欲しい」という意見だった。それに対して、ロンドン局のプレシャスさん(18)は「複数回受けられると最初に頑張った人と後から頑張った人の評価は同じものになってしまって、最初から頑張っていた人が報われない」と語った。一度だけのチャンスに向けて勉強をする方が、全員平等の結果が出るため、日々勉強している人にとっては一度の勝負が公平だという。

 驚いたのは日本のセンター試験に比べ、GCEやGCSEでは100科目という幅広い科目数から受験科目を選択することだ。そこで、このメリット、デメリットについて聞いた。メリットは、「自分の将来を真剣に考えられるようになる」、「得意な科目、興味のあることを選択することができる」などが挙がった。フォイル局のマイケル君(20)は、「自分のことは自分が一番良くわかっているから、自分にとって良い選択ができる一方で、自分で自分の可能性を閉じてしまうことになるかもしれない」と不安も語った。他のデメリットとしては、「14歳で自分の生涯に関わる科目を選択しなければいけないので、若すぎるのではないか」という意見が多くあった。また、イギリスでは選択した科目を途中で変更する場合は早い段階で決めなければいけないため、他の授業とかぶっていないか、受験枠の人数に空きがあるかなどの条件を満たさなければいけないそうだ。そのため、選択する前に考えることが大事なのだと数人が述べていた。

 最後に将来自分のやりたい職業に就くために大学は必要かと尋ねると、ほぼ全員が「必ずとは言えない」と答えた。理由は、企業はどのような学科や大学を卒業しているかよりも、経験を重視するからだという。ロンドン局のガブリエル君(17)は、記者になりたいと思って、文系の学科などに入って勉強をしても、HeadlinersやChildren Expressなどの子ども記者団体に入って実際に記事を書いたほうが良い記者になれると語った。ただし、医者や先生などの特定の職業に関しては大学は必要だと答えていた。

 各局への取材を終えて、イギリスの制度にも日本の制度と同じようにメリットとデメリットが存在することが分かった。また、日本がマークシート式なのに対して、イギリスでは記述式を重視した試験にしているという違いも知った。イギリスで取材した際、多くの学生がマークシート式の方が当たる確率が高いから受けやすいと答えていた。それに対してフォイル局のケイティーさん(17)は、マークシート式は答えの選択肢が似たりよったりしているので、正確に答えを知らなければいけないから難しいと語った。取材の最後にイギリスの制度と日本の制度のどちらが良いか、最初に聞いたが意見が変わったかと聞いた。結果は完全に変わったという人は少なかったが、どちらの制度にもメリットとデメリットがあり、学生たちのことをよく考えて作られてあると語っていた。 日本の教育制度がこれから変わろうとしているが、どの制度にもメリット・デメリットは存在する。それよりも、私たちの学生にとっては、将来の職業や専門につながる勉強や経験を重視した教育をすることが大事なのではないだろうか。少なくともイギリスはそういう方向であることが感じられた。日本の文科省の判断を待ちたい。

カテゴリー
教育

若者の大学受験のゆくえ

村上 類(14)

 日本の政府は大学受験生の学力をより正確にみるため、センター試験を見直して新しい到達度テストを導入する検討に入っている。若者としては新しい統一テストがいつ始まり、どのようなものになるのかすぐ知りたいところだが、なぜ今新しいテストが導入されようとしているのだろうか。

 そもそもセンター試験とは、「受験生が高校で勉強した基礎的な学習の達成の程度を判定することを目的としていて、国公私立の大学がそれぞれの判断と工夫に基づいて適切に利用することにより、大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等をさまざまな面から判定するために実施するもの」と大学入試センターの概要に記してある。

 この概要をベースにして今指摘されている改革理由の第一は、受験の機会が一年に一回しかないことだ。これだと体調をたまたまテストの日に崩しただけで何年もの苦労が水の泡になってしまう。二つ目は回答形式がマークシート式であることだ。「困ったら鉛筆を転がして解答できる」ことで有名なこの方式は、たまたま高得点を取ることができて大学に入学できる可能性もある。

 新しいテスト方式はイギリスのGCSE・GCE-Aレベル、アメリカのSATそしてフランスのバカロレアを参考にするようだが、どのようなテストにもメリットとデメリットは存在する。私たちはこの夏に参加した訪英プログラムの際にイギリス各地にあるCEの3姉妹局を訪ね、GCSEを実際に受験した若い記者たちにインタビューした。

 まず日本のセンター試験と大きく異なる部分は、テストがGCSEとGCE-Aレベルの二段階あることだ。GCSEは日本でいう中学3年生が対象で、このテスト結果は大学に行かない人もその後の就職活動に使われる。大学へ行かない人は職業訓練学校に行く道があるものの、学費が高いなどの理由からなかなか行く人は少ないと彼らは言う。つまりすぐ就職する人にとってはGCSEが唯一の“認定資格”になるのだ。このシステムについて、すでにテストを受けた人もこれから受ける人も「将来についてこの年齢で決断するのは早すぎる」と口をそろえて答えた。

 そしてGCSEを受けた後に待っているのがGCE-Aレベルのテストだ。これは大学へ行くためのテストで、日本のセンター試験に近い。大学入学に向けてということでテストの科目選択をするシステムになっている。このシステムは自分のやりたいことが見つかるし、科目選択の幅が広いので興味が探れるからいいと答える人がいる反面、将来やりたいことが途中で変わった場合、クラス変更は可能だが簡単にはできないし、その後勉強に追いつくのは大変という意見があった。

 GCSEとGCE-Aレベルの二つのテスト受験者の声を聞くと、イギリスではもう高校生の時点で自分の将来については自己責任となっていることがわかる。しかしCEの姉妹団体Headlinersの記者たちのほとんどはイギリスのテストが日本のテストよりもいいと話す。日本のテストは勉強をコツコツとする人にとってはいいし、答えが分からなくても適当に答えられるからいいという意見もあったが、イギリス方式のほうが将来についてより考える機会になると考えている記者がとても多かった。
 
 取材の結果、実はイギリスでも統一テストを改革する動きがあることがわかった。これは国際バカロレア機構が定める教育課程を修了すると得られる資格「国際バカロレア」を中高生に向けて新しく作るというのだ。では、なぜ今改革をするのか。イギリスの文部省に取材した。
  
 GCEのレベルの改革の主な理由は、レベルが的確にできていて且つ厳格であることを確認し、大学’や雇用者の要求に歩調を合わせることと、大学の学者が過去の結果を分析した結果、受験者の水準が常に適切に学部コースに適していないことが要因だと担当者は語った。今後は熟達した準備の熟達度や、それぞれの科目の深い知識と知的能力を図るためにテスト用の学習よりも、学習そのものに焦点を当てたテストにしていくそうだ。
  

 日本で新しいテスト方式を作ろうとしているなか、参考モデルの英国のテストの一つが変わろうとしている。これから受験を控える若者、学校、学習塾などが無用な混乱に直面しないように日本の大学受験改革については実施開始時期を含め、早く決めて知らせてほしいものだ。

Translate »
コンテンツへスキップ