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報告会、レクチャー

2010年の記者トレーニング及びCOP15報告会

 去る2010年2月7日(日)13時から青山こどもの城研修室にて、2010年度の記者トレーニングを行った。今回は、編集・校正スタッフの寺尾真樹氏による「記事を書くときに大切なこと~論理的に組み立てよう」のテーマで、パワーポイント・スライドを使った講義が行われた。
 続いて15時からはCOP15取材班による「報告会」があった。デンマーク現地で撮影したビデオ映像の上映や、記者各自が作成したパワーポイントを使ってのプレゼンテーションを実施した。16時からは元朝日新聞論説委員で科学記者の柴田鉄治氏による「国境なき南極」の講演を聞いた。

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座談会

私服か制服か


出席者:富沢咲天(14)、中元崇史(18)、勝部亜世満(17)、宮沢結(16)、三崎友衣奈(18)(司会)
2010/01/0

セーラー服か学ランか、それとも自由な私服か、着る本人たちには大問題。
制服がある学校に通う記者と自由な服装の学校に通う記者たちが、
それぞれの視点から見た「制服」について話し合う。

友衣奈(女):まず順番に自分の学校が制服か私服かを言ってください。
亜世満(男):私服になっています。
咲天 (女):私服です。
結  (女):制服です。
崇史 (男):制服です。

友衣奈:私も制服の学校に通っていますが、まず制服の二人に聞きます。
    制服でよかったですか?

結  :私は幼稚園からずっと制服です。私服の人は毎日選ぶのが面倒だ言う
    けれど、いま“なんちゃって制服”というのがあるので、そういうのを着て
    学校に行けたりするのがうらやましいです。

崇史 :僕は制服でよかったです。朝急ぐ時もすぐにそれを着ればいいから。

友衣奈:私服の人たちは毎日面倒ですか?

咲天 :私は中学生で私服になり開放感がありました。
    何を着るかは前の晩に用意しておけばいいことだし、まわりの人も
    おしゃれをして、自由ですごくいいです。

亜世満:私の高校は一応制服があるだけで、自由に着ていいのですが、
    “なんちゃって制服”が多いです。カーディガンなど自分の好みに
    あった感じで。衣替えもないので、暑さ寒さに柔軟に対応できます。

●なんちゃって制服
友衣奈:制服が決まっていると“なんちゃって”もできないですよね。
    自分でコーディネイトやカスタマイズができないけれどそれでよかったと思う? 

崇史 :朝急ぐことが一番の問題です。前の晩に用意しておけることができるタイプじゃないので。
    制服でも何かしらのアレンジはできるじゃないですか。カーディガンの
    色を変えてみたりとか。

咲天 :始業式と終業式などの行事では制服ですが、その時はブレザーしか指定されなくて、それ以外はみんな私服で、男女    問わずおしゃれをしています。違和感もなくすごしています。面倒って言っている人はいません。

●制服は学校の顔
友衣奈:制服って学校の顔みたいな部分あるでしょう?
    「制服がかわいいからあの学校の人気が出た」とかをよく聞くけれど。

咲天 :最初はすごく憧れて六年生の時に「あの中学の制服がかわいいな」と
    思ったんです。でもスカートが短いし、見ていて「寒そうだな、ズボンを
    はけないのもかわいそうだな」とか思って・・・
    だったら私服で自由な方が動きやすいし、自分で決められますから。

亜世満:中学の制服で服装検査に面倒な時間を食われることがありました。
    高校ではそういう検査もなく解放されたので今の学校を選んでよかったな
    と思います。男子だから制服に憧れるというのはありません。

友衣奈:学ランとブレザーどっちがいい?

亜世満:中学の頃ブレザーだったので学ランを着てみたい気持ちはありましたね。

友衣奈:制服が決まっていると、髪型なども指定される厳しさがあるけどどう? 

崇史 :うちの学校は厳しくありません。他校の男子に聞くと、耳は出してなければ
    いけないとか。そういう人は私服に憧れるみたいです。

結  :私の学校では、女子は髪型が自由ですが、男子はすごく短くないとダメで、
    定期的に先生の検査も入りします。制服は第一ボタンもはずしてはいけないし、その点でいうと私服の方がラクなの    かな。

●校風の表れ
友衣奈:制服には校風も表れているよね。厳しいところは靴下を替えただけで
    叱られるって。

亜世満:中学の頃に「ほらそこ!」とか言われて指導されるのを見ていて、
    なんか窮屈だなっていう感じがしますね。

友衣奈:逆に制服の利点は何かある? 朝がラクのほかに。

結  :制服があると校章もつくのでその学校に通っているあかしになる。
    私服だとどこの学校かわからない。

友衣奈:学校のあかしは一番あるよね、例えば○○校のバッグとか
    みんなの憧れじゃない? そういうのを持っていて「オレ○○校」みたいな。

崇史 :高一の時はそういう気持ちはやっぱりありましたね。学生カバンにマークの
    入っているのを。でも高二以降全然気にしなくなった。

友衣奈:名前以外に利点は?

崇史 :高校生までじゃないですか、制服を楽しめるのは。

咲天 :塾などで「制服があった方がいいよね」という人たちもいっぱいいて
    「あ~着てみたい」って思ったことはあるけれど、制服って学校によって
    可愛かったり、可愛くないのがあるから。

亜世満:制服を着るのって学生の特権ですからちょっとでも着ておかないと損と
    いう感じもします。

結  :私の友だちは休日は普通に“なんちゃって制服”で出かけているんです。

友衣奈:それがうらやましい?

結  :はい。

●監視の目
友衣奈:でも学校帰りに、例えば試験の最終日に私服だとそのまま
    遊びに行けるけど、制服だと一応先生らに監視されていない?

崇史 :男子校なので大丈夫。女子校はけっこう厳しいですよね。

友衣奈:あるよね? そのまま遊びに行きづらいっていうのは。

結  :それはすごく思いました。
    でも毎日着ているからこそ愛着があり、今だけしか着られないし
    卒業したらコスプレになっちゃうので、現役のうちに着ておきたい
    気持ちはあります。

●制服で受験者数アップ
友衣奈:セーラー服には憧れない?

咲天 :私はセーラー服じゃない方がよかった。

結  :私は憧れます。高校に行くときにまわりの学校では
    かわいい制服があって、そういうところに行きたいなって憧れたりしました。

友衣奈:私の学校もずっと前にセーラー服からチェックに変えて
    自称“チェック発祥の地”として人気が高まって、
    急に受験者数が上がったのが誇りだったらしいんだけど、
    そういう制服でのエピソードはありませんか? 男の子はない? 

崇史 :制服で学校を選んだりしないです。

亜世満:開成も制服は学ランですよ。ですからそこには憧れますね。
    竹早も学ランなので同じような格好になるんですよ。
    友人が開成の前を通って通学しているので、開成の学生の顔をして通るみたいな、少なからず憧れはあるみたいです    。

●学校を背負う制服
咲天 :制服には校章が付いていて、先生に「あなたたちは学校を背負っているから、
    外で買い食いすると受験者数が減る」とか、そういうこと言われるのは
    嫌じゃないですか?

友衣奈:制服着て「外で学校の悪い印象与えないで!」みたいな。

結:  ありますね。学校の近所でゴミをポイ捨てすると制服だから
    どこの学校ってすぐわかっちゃうし寄り道もできないし。

崇史 :僕の学校も学ランのボタンが金色のちょっと特殊で、
    電車で騒ぐと学校に苦情が入ったりするみたいですね。

●グループで明日の服を決める?
咲天 :女子はグループのみんなで「じゃ明日みんなで“なんちゃって制服”着て来よう」っていうこともあるのに、男子の    制服はダサイっていうイメージがあって絶対に着てこないんです。

友衣奈:自分の学校の制服が嫌い?

亜世満:微妙です。学ランでボタンが金色でなくて黒。全身黒ずくめで、
    ボタンが扇型でなんか天狗が使うような感じで、だからそれが微妙なんです。

亜世満:暑い日もあるじゃないですか。
    その時にも学ラン着なきゃいけないっていうのは苦しくないですか?

崇史 :自分は暑がりで、学ランは暑くなっちゃって全然着れないんです。
    憧れてはいましたけど。でも真冬は学ランを着て、中にセーター着てもまだ寒い。

●マナーチェック
咲天 :私の学校は私服で、先生が通りがかりに「ちょっとその服やばいんじゃない?」
    とかいってマナーが悪いとすごく厳しいです。
    女子だったら例えば「ハイヒールはいて廊下でコンコンうるさい」とか、
    「ブーツはちょっとどうなの?」とかって。「サンダルは足の爪があぶないから」とかって言われて、女子がすごく    いやがっています。「いいじゃん、自由なんだから」って。

●服装の常識
友衣奈:私服でも私服なりにそういう規制はちょっとある。

亜世満:うちの学校の人はそういうところに関してはけっこう常識的で、
    私服を着てくる人も普通に原宿で見かけるような、ちょっとおとなしめな感じですね。ハイヒールなども全然はかな    いし。第一学校が上履き制なので。

咲天 ;例え自分には制服が似合わなくても、周りの人みんなが同じものを
    着ているから違和感がないということはありますか。

結  :制服が似合うか似合わないかはよくわからないんですけど、
    やっぱり私服だと急いでいると、変になったりすることはありそうですね。

咲天 :たまにあるんですけど、でも何とかやってます。

亜世満:あんまりないですね。制服を着て同じカーディガンを着て、
    時々グレーも着ますけど、その二通りしかないんで今のところ。

崇史 :私服で悩んでいる人は絶対いると思うんです。私服でセンスがないと、
    「いまだにまだお母さんに言われたのを着てる」みたいな陰口が
    生まれそうです、共学だと。

友衣奈:いますか? 学校にそういう人。

咲天 :女子でもオシャレを気にしていない人もいるし、「これお母さんに買ってもらったんだ」っていう人はいるけど、
    男子ではジャケットを四重に着てきて「ちょっとおかしいんじゃない?」って
    言われたり、「毎日チェックだよね」とか言われていることもありました。

●自由すぎても
友衣奈:私服は自由すぎて、逆に道をそれてしまう人は確かにいるよね。
    その点、制服は決まっているし道をはずれないというのは利点ですね。

咲天 :でも服が違っても、それはその人の個性なんだとみんなは思っている。

友衣奈:制服の人って個性って出せると思う? 別に出さなくてもいいと思う?

崇史 :でもやっぱり限りはあるとは思いますけどね。

友衣奈:別にそんなに中高でそんな服で個性出すってどうでもいいやみたいな。
    自分の、今学生だからこそ着れる制服を楽しもうみたいな。

亜世満:ベルトを替えるとか、ネクタイも風味みたいなのを替えるとかはしないんですか?

崇史 :ベルトをやるか、中に着るカーディガンとかセーターをベストにしてみたり
    だとか、そういうこと程度なので、個性出せるほどではない。
    学ランに黒カバンを持っても映えないですし、
    そのあたりは制限されてくるところはあります。

友衣奈:私服もそういう自由な面はあって、でも道はずれちゃう面もあるけど、
    制服は決められすぎちゃうけど、逆にラクだし学生ならでの制服を楽しめるっていうことでよいでしょうか。これで    終わります。

※ “なんちゃって制服”とは、制服もどきの服装で、学校の正式な制服ではなくて、
制服らしい服装のことです。例えば紺のブレザーに白いシャツと紺のスカートの組み合わせなど。

                         

                                                    以上 

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教育

新しい教育~和田中学校「よのなか科」に参加して~

新しい教育~和田中学校「よのなか科」に参加して~
2010/1/24

原 衣織(18)

 「学校での勉強は、社会に出てからの役には立たない。」誰でも一度は耳にするこの「定説」が、いま崩れつつあるようだ。

 近年日本では、現代社会で生きていく上で必要な能力を育てる様々な「新しい教育」が導入されている。職業について学び、自分の将来を考える「キャリア教育」、ネットの基礎知識を学ぶ「情報リテラシー教育」などがそうである。

 私たちチルドレンズ・エクスプレスは、社会に通用する力を身につけることをテーマとした授業「よのなか科NEXT」が行われている杉並区立和田中学校を訪れ、「よのなか科 NEXT 」の授業に実際に参加するとともに、 代田昭久 校長ら にインタビューを行った。

 今回は、高校受験間近の三年生を対象として、「感じのいい自分をつくる」をテーマに入試の面接対策の授業が行われた。授業は、これまで1万人以上の面接をしてきたというウィルパワーサポート代表取締役の鈴木聡氏が担当した。

 三年生 160 名が集まった体育館の中で、入試でよく聞かれる質問を予想するクイズや、自分のアピールポイントを文章化して発表するワークシート、見えないボールをアイコンタクトでパスする訓練など、 90 分という時間を目一杯使った多彩なプログラムがテンポよく進められる。

 また、生徒たちは受け身でプログラムをこなすだけでなく、随所で校長先生からマイクが向けられ、学年全員の前で意見を言うことが求められる。「最初は中学生を対象として授業を行うことに不安があったが、和田中学校の生徒たちは、よのなか科の授業を普段から受けているせいか慣れていると感じた。」と鈴木氏が話すように、生徒たちは全体の前で話す時にも堂々としている。

 生徒に尋ねてみると、「未だにみんなの前で話すのは緊張するが、自分の意見が皆に聞いてもらえるし、いろんな人の意見も聞ける」と言う。「この授業を受けてきたことで、自分の意見を伝えることができるようになった。ニュースを聞くときの考え方も変わった」と話す生徒もいた。とはいえ、三年生にとってこの時期気になるのはやはり高校受験。受験勉強を優先したい気持ちはないのか尋ねると、「勉強したい気持ちはあるが、この授業は受験を乗り越えたあと、社会に出てからも役に立つものだと思う」という答えだった。

 「よのなか科」の授業が和田中学校で始まったのは7年前だ。都内の公立中学校で初の民間人校長である藤原和博元校長が始めたものを、代田昭久校長が昨年の4月から「よのなか科NEXT」として新たに始めたのだという。「書道と表現」「オリンピック」などユニークなものから「人工妊娠中絶の是非」「赤ちゃんポスト」などのシビアな問題まで幅広く扱うこの授業では、ワークシートなどの教材は全て校長の手作り、ゲストティーチャーの手配も校長が一人で行うという。負担も大きいが、それでも「社会に自立し、貢献する力をつけてほしいし、そのために社会とのつながりを教えていきたい」という思いから行っているそうだ。

 そして、「よのなか科 NEXT 」に代表される和田中学校の特別授業に欠かせないのが、多くの学生ボランティアや地域の方々の存在だ。今回の授業にも、大学院生などの 10 名近い学生ボランティアや保護者が参加していた。

 よのなか科 NEXT の授業について「普通の授業では取り扱いにくい微妙なテーマに取り組んでいるのがとても良い。答えのない授業でおもしろい。」と語る学生ボランティアの新堀亮輔さん( 23 )はキャリア教育に関心があり、昨年の 11 月から、よのなか科 NEXT の授業や「ドテラ(学生ボランティアが生徒に勉強を教える活動。土曜日寺子屋)」のサポートを行っているという。

 「たくさんの大人が参加することで、授業のクオリティーを高めることができる。」そう校長が話すように、和田中学校は授業の見学や参加、サポートなどを通して積極的に外部の人々を受け入れている。生徒たちに大人と関わる機会を作る一方、教育に興味のある大人たちに対しても、実際の現場を見て体験できる場を提供しているのだ。

 学校では教科学習のみを行い、社会的スキルは学校外の生活で学ぶという構図が成り立たなくなったと言われる今、学校には新たな役割が求められている。しかし教師だけでそれを教えるのは現実的に困難である。そこで、毎回外部から様々な分野の大人を講師として招くという和田中学校の取り組みは、他の公立学校にとっても参考になるのではないだろうか。多くの人脈を持つ民間人校長ではないと難しいようにも思えるゲストティーチャーの手配も、地域の大人やその知り合いがゲストティーチャーの役割を担えば解決できる。

 多くの社会経験を持つ大人と、柔軟な感受性を持つ子ども。それぞれが互いに学びあえるような「社会に開かれた学校」の実現を、子どもの一人として期待したい。

取材記者:原衣織( 18 )、建部祥世( 18 )、中元崇史( 18 )、宮沢結( 16 )

取材に参加した記者の感想

 宮沢 結( 16 )

「よのなか科 NEXT 」の授業に参加をし、授業を通して感じたことは、多くの人がこの授業に関わっているということです。生徒と先生はもちろんのこと、ゲスト講師や地域本部のボランティアの方々、見学者や私たちのような取材者。

参加する人が多いから、より踏み込んだ内容の話ができるし、多くの大人の目を配ることで授業の精度も高まるのではないかと思います。

今回授業の中で印象的だったことは、問題を投げかけて、生徒さんに自分の考えを発表させる機会が多かったことです。私自身、中学時代の授業を思い返してみても、自分の意見を発表する機会はほとんどありませんでした。

今回取材した生徒さんは意見を発表することに対して「緊張するけどだんだん言えるようになった」と答えていました。やはり長い期間「よのなか科 NEXT 」を受けてきているだけあり、きちんと発表している姿が印象的でした。これは社会に出た後も大きな糧になると思います。

多くの大人と生徒さんでつくられる「よのなか科 NEXT 」の授業。学校の枠を超えて学校外の結びつきによって行われていることが「よのなか科 NEXT 」魅力だと感じました。

原 衣織( 18 

  この取材で最も印象的だったのは、「この取り組みは、民間校長だからできるというわけではない。やる気がないとできない」という代田校長のお話でした。

それまで私は、この「よのなか科 NEXT 」の授業は校長が元民間人であるからこそできることであり、普通の公立学校では取り入れにくいと考えていたからです。

しかし今回の取材を通して、二年も前からあらゆる知人に連絡を取ってゲストティーチャーを引き受けてくれる人を探したり、授業の前は二日間ほぼ徹夜でワークシートを作ったりといった様々な苦労があるということを知りました。

確かにコネクションや企画力も重要ですが、それよりも大事なものは、「生徒に社会に通用する力を身につけさせたい」という強い思いなのだと感じました

中元崇史( 18 

初の民間人校長が誕生した公立中学校としてメディアでも注目を集めた杉並区立和田中学校。そんな和田中学校で行われている「よのなか科NEXT」の授業に実際に参加させていただいた。

メディアがよく取材に訪れるということもあり、授業は緊迫した雰囲気で行われ、生徒たちも委縮して授業を受けるのではないかと考えていた。しかし、そんな不安は一気に吹っ飛んだ。この和田中学校の生徒、実に良い意味でのびのびと授業を受けている。マイクを急に向けられても、臆さず堂々と喋ることができる。授業の最後にはアトランダムに生徒が二人選ばれ、模擬面接をステージ上でさせられたのだが、これにも上手に対応。また周りの生徒も意見を発した生徒を冷やかすこともない。ここまで生徒全体が自らを表現できる力や他人の意見を受けとめる力を身につけている中学校は珍しいだろう。

また、私が印象に残っているのは生徒と代田校長の距離感である。私の学校生活においての校長先生とは関わる機会があまりなく、どこか遠い存在であった。ところが代田校長は、すれ違う生徒全員に声をかけ、生徒たちも気軽に校長室に訪れていた。民間人校長ということもあり、独特な授業形式を取り入れていることから、どこかワンマンなイメージで生徒にとって近づきがたい存在になっているのではないかと想像していたのだが、実際は全く違った。この距離感だからこそ、和田中学校のアットホームな雰囲気が生まれているのではないかと感じた。また、授業後の校長室で行われた反省会に同席させてもらったのだが、ここでも校長を含めた教師陣と学生ボランティアが熱心に意見を出し合う。代田校長だけでなく周りの教育者としての強い想いを持った人たちのサポート姿勢があるからこそ、和田中学校は成立しているのだ。

テレビや本で得た印象を大きく覆される取材となった。私立に人気が集中する時代だが、一度は通ってみたいと思わせる魅力的な公立中学校であった。

建部祥世( 18 

私が小学生の時に本格的に開始されたゆとり教育。算数や国語といった通常の授業時間数が減り、変わって総合学習や土曜日の寺子屋などが新たに時間割に組み込まれた。中学校の総合学習の時間に読書や職業体験などをしたが、あまり熱心に取り組んでいなかった記憶がある。読書といってもマンガを読んでいる人もいればゲームで遊んでいる人もいたし、道徳ではほとんど先生が話し続け、生徒たちが一言も話さずに終わる授業もあり、総合学習の時間はほとんど崩壊しているようなものだったからである。

また小学生のときの寺子屋は全員参加となっていたが、実際には塾や習い事、用事のある人は参加していなかったし、「だるい」と言って休む人も大勢いた。

このような状況しか知らない私は、ゆとり教育を取り入れた理由や目的が全く分からずただ単純に、学校が休みになり授業が簡単になったことを喜んでいただけだった。しかし今回の取材を通して、ゆとり教育のあるべき姿を「よのなか科 NEXT 」 の授業に見た。

私たちは今回、高校入試に向けての面接講座に参加した。まず驚いたのが授業の進め方である。ゲストティーチャーと校長先生が舞台に立って授業を進めていくのだが、一方的に話すのではなく頻繁に生徒に質問したりクイズを出題したり、時にはゲームなどの実践を取り込んでいた。またオリジナルのワークシートを駆使して生徒たちの関心を途切れさせないようにするなど様々な工夫を凝らしていて、今まで私が受けてきた受け身の授業とは大きく異なっていた。

そして、生徒たちのけじめの良さや集中力の高さにも感心した。チャイムが鳴り終わったと同時にすぐ号令がかかり、体育館が一気に静まり返る。ゲストティーチャーが話している間も皆前を向き、真剣に話を聞いていた。極当たり前のことではあるのだが、私の学校では集会のときに誰も先生の話を聞いていないことがしばしば問題になり、そのような環境に慣れてしまっていたせいか、和田中学校の生徒たちの姿勢には驚いたのである。

また和田中学校の生徒たちは人前で意見を言うのにも慣れていて、グループでの話し合いのみならず、全体の前で話すことにも堂々としていた。生徒全員が真剣に授業に取り組み、積極的な雰囲気を皆で作り出しているからこそ、一人一人も一歩踏み出せるのだと同じ空間にいることで感じた。

私が中学生のころもこのようなユニークな授業が取り入れられていたら、もっと社会の問題に興味を持って生活をするようになっていたかもしれない。形式にとらわれるのではなく、このような新しい教育がどんどん普及し思考力や意見を発表する力、様々な情報をキャッチする力など通常の授業では学べない、社会に出たときに役立つ力を身につけられる生徒たちが増えていけば良いと思った。

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その他

ジャパンタイムズにCE記者の記事が掲載されました

COP15開催に併せて、ジャパンタイムズで記事を掲載いただきました。

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社会

東京電力の取り組み


2009/12/12                 富沢 咲天(14)

 私たちが日々日常的に使っている電気は、作られる様々な過程でCO 2 をたくさん排出している。地球温暖化に向けて電力会社はどのような環境対策を行っているのだろうか。

 今回は東京電力株式会社にインタビューした。

東京電力に取材
東京電力に取材

 まず初めに鳩山政権が掲げた温室効果ガス25%削減について電力会社としての反応を聞いてみた。「 2020 年までに温室効果ガス25%削減という目標を民主党が掲げることは予想していたが、この目標は経営の根幹に関わるので正直重たい数字だ」と環境部国際環境戦略グループの高橋浩之さんは言う。その理由は、CO2排出の少ない新たな発電所の計画・建設には時間がかかり、運転が始まるまでに少なくとも10年は必要だからだ。電力会社にとって時間が足りない。また、25%削減するためにはコストがかかる。だから会社の反応としてはあまりよくなかったらしい。

 しかし高橋さんは、この目標に反対なわけではないと強調する。。「削減に取り組むのは世界の流れであるので、前向きに取り組みたい。」と語った。

 では東京電力が実際に取り組んでいることは具体的にどんなことか。まずCO2排出量が多い火力発電を減らし、原子力発電を増やす。石炭は安く手に入りやすいが、同じ火力発電でも石炭の2分1しかCO 2 を排出しないLNG(液化天然ガス)の使用を増やすことでこれから貢献が期待できるという。他にもヒートポンプ(エコキュート)の導入など効率のよい機器の開発・普及に取り組み、CO2削減のための技術開発に努めている。

東京電力の高橋浩之氏

 リサイクルの点では、2010年までに産業廃棄物のリサイクル率100%を目指すそうだ。古くなった電柱は道路の土盤材に、水力発電などで取水路に付着した貝類は肥料やセメントの原料に、電柱に取り付けられている碍子(電線などから電気を絶縁する器具)は陶磁器部分を焼き物や路盤材に、金属部分は鉄鋼の原料に利用するなど力を注いでいる。

 東京電力といえば、アニメなどの楽しい内容のコマーシャルが私たちにとって身近だが、そのほかにも未来を担う子供たちに環境問題やエネルギーに関心を持ってもらうため様々な環境教育を行っているそうだ。各地の小中学校で東京電力の社員が講座を開催したり、自然観察会や自然体験、食育活動などのイベントも開催している。大学生には環境活動コンテストというイベントをNGOと一緒に企画・運営をしているそうだ。

 日本が排出している温室効果ガスの量は世界全体の3.3%だそうだ。だから高橋さんは「日本だけで削減しても他の国で削減が進まなければ温暖化防止の効果はでない。

 日本はとても高い環境技術を持っているのだから、その技術をどんどん外国に伝えなければいけない。今が国際的に貢献できるチャンスだ」と語った。

 「温暖化が深刻化するのを防ぐために、日本は環境に対してコストを負担することを受け入れる社会にならなくてはいけないと思う。。安全でCO2排出の少ない電気を安定して供給するにはコストがかかり、これは電気料金が高くなることを意味する。。それらを国民に納得してもらうためにも、政府は情報を広く国民に知らせてほしいし、国としてどういう社会をこれから目指すのか、国民をまきこんでもっと議論をしてほしい」と高橋さんは言う。

 私は家の毎月の電気料金がいくらかかっているのかも知らない。「冬は暖房代がかかって大変」と母は言う。もし今の電気代が倍になったら。あるいは 3 倍や 4 倍になったら、国民はみんな受け入れられるのだろうか。どんどん設備投資をしてCO2を減らすという理想と、そのための重いコスト負担の現実は私たちにどう影響するのだろう。それでもやはり、将来のために私たちは選択しなければいけない。

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社会

25%削減に向けて企業の取り組み


2009/12/12                 建部 祥世(18)

 政権交代により掲げられた、 2020 年までに温室効果ガスを 25% 削減( 1990 年比)するという目標は、麻生政権時に出された 15% 削減( 2005 年比。 1990 年比では 8% )という数値のおよそ 3 倍にもあたる。鳩山政権のこの数値目標は世界各国から拍手喝采を浴びたものの実際に達成できるのかどうか、国内ではまだまだ賛否両論がある。

東京電力に取材
東京電力に取材

 この目標を達成するにあたり欠かせないのが産業界の協力である。日本の温室効果ガス排出量を見てみると、産業部門からの排出量は 1990 年から徐々に減少しており、現在ではおよそ 13% の削減に成功している(東京電力株式会社資料より)。しかしそれでもまだ産業部門が占める割合は、日本全体の排出量の約 4 割にも上り、産業界はこれからの大幅な温室効果ガス削減成功の鍵を握っているのである。

 では、その産業界は今回の数値目標をどのように受け止め、今後どのような活動に取り組んでいこうとしているのか。産業界の中でも特に、様々な温室効果ガス削減活動や環境保護活動を積極的に行っている東京電力に話を聞いた。

 環境部国際環境戦略グループの高橋浩之氏は 25% 削減というこの目標について、「反対はしていない。ただ産業界全体としては厳しい、重たい数値であると受け止めている。、ビジネスを、環境に配慮した形にシフトしていくことが大切」と前向きな姿勢を示した。環境問題の影響を直接受ける私たち若者が自分たちの将来に不安を抱いているということに対しても、「不安になることはない。日本を含めた先進国等ですでに使用されている排出削減技術を国際的にさらに普及させていくことでかなりの効果が期待できる」と語ってくれた。

 しかし同時に「日本の高度な技術を国際的に普及させていかなければならないという産業界の役割に責任感を感じている」という。技術輸出と、世界との連携は簡単なことではないが、もしそれが実現したならば、より効果的な世界レベルでの温室効果ガス削減ができるのではないかと、私たちの将来に少し希望を持たせてくれた。

 東京電力は産業界の中でも特に多くの環境保護活動に取り組んでいる。重点を置いているのが環境教育だという。学生向けの出前講座や教職員を対象とした「環境・エネルギー教育研修会」の実施など、次世代を担う若者たちの育成に力を注ぎ、また「東京電力自然学校」という自然体験活動など、体を使うことによって全身で自然の雄大さや大切さを実感してもらう事業も展開している。これらの環境教育について高橋氏は「効果は出にくいが、草の根的なコミュニケーションを作っていくことが大切」と、持続的な活動の重要性を述べていた。

 最後に日本社会に対して、「『規制だからやる』のではなく、自発的に取り組んで欲しい。環境問題などの国際的な問題を深刻にとらえ、意識改革と行動改革を起こすことが大切。企業側の意識も上がってきているので、国民の人々にもっとサポートしてもらいたい」と、低炭素社会実現に向けてのメッセージを送った。

 「環境に優しい」や「エコ」を売りにする企業がどんどん増えてきており、企業レベルでの環境への取り組みも活発になってきている。私たち国民、ひとりひとりができることは企業の取り組みをサポートし、監視し、自らも様々な活動に積極的に参加していくことであろう。

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日本の環境対策を引っ張るのは?~東京電力取材~


2009/12/12                 三崎 友衣奈(18)

 鳩山首相が9月に出した「主要各国の参加の上での温室効果ガス25%削減」に対する反応の多くは「歓迎」であった。一方であまりにも厳しすぎると、これを批判してきたのが日本の経済界である。では、産業の一つとして大きな役割を果たす電力会社は今回の日本の目標についてどう対応していくのだろうか、東京電力に聞いた。

 東京電力では、発電の効率性、使用時の効率性、そして技術の向上という3つの面で温室効果ガス削減に向けて動いている。

 発電時は、 CO2 を排出しない原子力発電や、石油よりも CO2 排出量が少ない液化天然ガス( LNG )の使用が東京電力全体の7割近くを占める。また火力発電の熱効率を上げたり、最新技術によって石炭からの発電を高効率にしたりという取り組みを推進している。

 電気の使用者、特に若者への呼びかけでは、教育に重点をおいている。生徒に対してだけではなく、教師も知識を高めて正しい意識を持ってもらうのが狙いだ。教育は効果がでるまでに長い期間がかかるが、無駄なことではないという考えに基づいて、他社よりも率先して活動を行っているという。

 技術の面では、ヒートポンプという技術を使用した「エコキュート」を開発している。これによって投入する電気エネルギーより3倍~6倍多いエネルギーをつくることができるそうだ。また電気自動車やそれに伴う急速充電器の開発も行っており、本格的な使用に向けて動いている。

 このように活発な活動を実践している東京電力だが、前政権の温室効果ガス 2005 年比の15%削減から一挙に 1990 年比25%削減 (2005 年比 30 % ) という目標を掲げた鳩山政権について、どう考えているのだろうか。

  「我々は、決して反対はしていない」。環境部国際環境戦略グループの高橋浩之氏はこう強調した。会社として、低炭素社会にむけてビジネスを変えていくことについては前向きに捕らえているそうだが、懸念もあるという。日本の武器ともいえる先進的な技術に関してだ。高橋氏は「日本として世界に貢献できることは高度な環境技術を世界へ輸出することだが、25%削減目標はその芽をつぶしてしまうのでは」と語る。つまり、環境に配慮して作る日本製品はコストが上がるため、それがいくら地球に優しいと謳っても、環境に配慮していない国の安価な製品の方を消費者が購入しかねないというのだ。

 確かに、「鳩山イニシアチブ」は評価が高かった一方で、あまりにも飛躍しすぎた目標数値や、具体策の不透明性が指摘されてきた。しかし、25%削減という一見大きな数値を「日本をいち早く先進的なエコ国家にする」という宣言と捉えると、高い目標数値は逆に日本のさらなる技術向上へのきっかけになるとも思える。

 多くの企業が製造と環境対策とを両立させる経営に向かっていくので、高橋氏が「消費者にもコスト負担を理解してほしい」というように国民の意識が高まれば日本の技術が損に終わることはない。

 そのような理想的な国家を目指す中で、「 CO2 の排出量が多い東京電力だからこそ、逆に解決策がたくさんある企業となってほしい。

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政治

今すぐ必要な政策はもうすぐ?

2009/12/12          藤原 沙来(19) 

 日本政府は、気候変動に関する政策を一体、いくつ国民に示しているだろうか。気候変動とは何か、日本ではどのような影響があるのか、改善のために何をしたら良いのかなど、不透明な部分がいまだに多いのが実状である。 2009 年 12 月 7 日からコペンハーゲンで行われる COP15 (国連気候変動枠組み条約第 15 回締約国会議)が、まもなく開催される。もっと国が主体的に気候変動と向き合っても良いのではないだろうか。

 2009 年 9 月 22 日、鳩山由紀夫首相は「 1990 年比で 2020 年までに、温室効果ガス 25 %削減を目指す」と国連気候変動首脳会合で、中期目標を表明した。それから数か月たった今、日本では気候変動改善に向けた具体的な削減方法や活動はまだ明示されていない。“主要各国が合意したら”という条件付きで表明したが、主要各国に合意してもらうためにも、“数値目標達成のために何をしなくてはいけないのか”を示す必要があるのではないだろうか。

 政治家として以前から地球温暖化問題に関わり、民主党地球温暖化対策本部事務総長として講演などを精力的に行っている福山哲郎外務副大臣( 47 歳)に話を聞いた。

 副大臣はまず「気候変動問題は長く厳しいチャレンジになる。温室効果ガスを 25 %削減するために何をしなければいけないのか、具体的な案を練っている最中」だと説明した。

 新政府になって、まだわずかということもあり、政策作りのために必死に動いているようである。新たな政府として国民に伝えたいのは、「現状維持ではだめです。ポジティブに物事を考えて、多少負担がかかるとしても今の段階は、希望へのシナリオだと思ってほしい」ということだそうだ。

 具体的な政策を考えている最中で具体的なことはまだ決まっていないと言うが、気候変動は政策を決めている時間にも深刻さは増し、待ってくれる問題ではない。今すぐに改善のために手立てを打たなければいけないのである。

 そこで、今すぐにみんなで活動しようと呼び掛けたいところではあるが、実際は若者の気候変動への関心が低く、改善のための活動自体に意欲的ではない様子が見られることもある。そんな若者に対して福山氏は、「気候変動について知っている人が 1 人でも多くの人に伝える。若者ならではのネットワークを利用して改善のために何ができるのかを共有してほしい。さらに、将来気候変動問題に向き合うプレーヤーとして活動できるように意識を高く持ってほしい」と語った。押し付けたり強要したりせず、“エコはおしゃれなのだ”と感じてもらえれば早く広まるのではと提案もしていた。若者は若者に影響を与えられるよう、地道に活動していくことが求められているようだ。

 では、今後政府は何をしていくのだろうか。気候変動問題に取り組むにあたり政府の課題は、「経済面と気候変動改善をどのように混ぜるかが課題。地球温暖化対策基本法の成立、将来を見据えたプロセスをどのようにするのか、また国民の理解をどう求めていくかということも課題」といくつか挙げた。これらの課題をクリアしていくために今、色々と策を練っているそうだ。

 経済的な負担をかけることで技術開発が進み、再生可能な材料を使った原子力発電や風力発電などが将来可能になるかもしれないということから「未来につながるという思いを持って協力し合わなくていけない。国民にかかる様々な負担は将来への投資」と今後かかるかもしれない国民の負担についても話した。

 政治家として気候変動改善のために今後やらなくてはいけないことはたくさんある。しかし、まず「数値目標に掲げた温室効果ガス 25 %削減のために何をしたら良いのかといった具体案は、きるだけ早く提示したい」と語った福山外務大臣。その言葉を信じたい。

 温暖化は現実に起きている問題であり日々進行している。私たちが引き起こした問題は私たち自身で改善しなくてはいけない。改善する時は、将来ではなく、今である。“今”起こっている問題に“今”向き合わなくてはいけないのだ。地球に住む私たち自身が、危機感を持って、行動を起こさなくてはいけないのだ。政府が具体案を提示するのは COP15 前にともいうが、本当にあと数日間で日本の具体的な将来像が見えてくるのだろうか。

 経済的なことなども絡み、簡単な問題ではないが、政府、国民、世界が一体となって改善しなくてはいけない問題なのだと改めて痛感した。

 政府の積極的な行動案を期待して待ちたいと思う。

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政治

日本を先進的な環境対策国モデルへ

2009/12/12          三崎友衣奈(18)

  今年9月に鳩山首相が発表した「首脳国の同意の上での温室効果ガスの 1990 年比 25% 削減」をみなさんはどう思われただろうか。経済界からは「現実的でない」「国民の負担が増す」と反対される一方で、環境活動家、環境 NGO 等からは歓迎された。前政権の目標数値の 15% ( 2005 年比、 1990 年度比では 8 %)に比べると飛躍的な変化だが、 IPCC (気候変動に関する政府間パネル)が発表しているデータによると、地球温暖化を止めるために必要な主要国の温室効果ガスの削減数値は 25 ~ 40% なので、 25 %は最低ラインの数値設定である。

外務副大臣福山哲郎氏

 今まで環境対策に消極的だった日本による大幅な目標数値の変更は世界で注目された。一方で鳩山政権が掲げた政策の中の高速道路無料化や暫定税率の廃止が環境対策に反しているとして批判を浴び、まだ目標数値をどう実現していくかを具体的に提示していないことと重なり波紋を広げている。

 政府は環境問題という、現在だけでなく将来に重くのしかかってくる問題に対してどう考えているのか、これから日本として、どういう姿勢でこの問題に向き合っていけばよいのだろうか。外務副大臣の福山哲郎氏を取材した。

 福山哲郎氏は 1997 年の地球温暖化防止京都会議( COP 3)に民主党コーディネーターとして参加し、その後も環境問題について熱心に取り組んできた。地球温暖化対策本部事務総長などを経て今年9月から外務副大臣に就任した。

 福山氏は環境問題の将来についてとてもポジティブだ。環境問題への対策で懸念されている国民への経済的負担は「未来への投資」、高速道路の無料化は「一般道を含めて渋滞を緩和し CO2 排出を削減するため」と考えている。環境 NGO が温暖化を抑えるには足りないとする温室効果ガス削減目標の 25 %という数値についても「 2050 年までに温室効果ガス 80 %を削減する目標への一つのプロセス」、目標の実現性の問題も「環境問題において現状維持は意味がない。なぜ削減できないかを議論するより、これからどうやってその壁を乗り越えていくかを考える必要がある」と話し、長期的な問題に対して焦らず、経済とのバランスを考えながら対策を進めていくという姿勢を示した。

 また福山氏は、将来の問題の担い手である若者の環境活動にとても関心を持っている。環境問題はどこかの時点で誰かが何かをやって解決するものではなく、それを次の世代に繋いでいくことが大切であると強調し、「問題はこれからもずっと続くもので、若い人たちにはまずしっかりと現状を受け取ってもらいたい」と語った。

 「環境問題は避けては通れない問題。そこで日本がいち早く経済と環境問題とのバランスのとれた社会をつくり、世界に示すべきだ。」福山氏は問題を恐れることなく、あくまで「未来に繋げる環境問題」として見ている。

 現状を目の当たりにしている若い世代の一人として、福山氏が何度も使ったフレーズ「厳しいけれど新たな希望をつくるシナリオ」を実行していく一人となりたい。

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政治

未来への投資

2009/12/12          飯沼茉莉子(13)

 2009 年 12 月7日からデンマークのコペンハーゲンで開かれるCOP 15 は 2005 年に京都議定書が発効して以来の重要な会議になる。 2013 年以降各国がどのように対策を進めるのかという次期枠組みが決まるからだ。鳩山首相が打ち出した温室効果ガス 25 %削減の表明が、世界各国から注目をあびているなか、政府はどのように考えているのだろうか。

 民主党地球温暖化対策本部事務総長として温暖化対策に積極的に取り組み、COP 15 にも参加をする外務副大臣福山哲郎氏にお話しをうかがった。

 私たち若者が今取るべき行動は何だろうか?

 「温暖化対策は人類にとって長く厳しいチャレンジですが、新たな豊かさを作っていくための希望のシナリオになるかもしれません。しかし、この問題はすぐに解決しないため、その思いを次の世代の人々につないでいかなければいけない。受け継いだ人々は先輩がやっていることを認め、時には批判しながら、プレーヤーとしてそれを回りにつないでいってほしい」と言う。

 新聞には温暖化対策で、いまの家庭へはもちろん、将来は私たち子ども世代にも負担が増えると書かれているため、この問題にはとても関心がある。

 こうした指摘に対して 福山さんは、「温室効果ガス削減対策をすると消費者の経済的な負担が増えると言われています。しかし、『負担が増える』というのは一種の脅しの言葉です。太陽光発電やエコカーを普及させるために国が支援をするので、そのための負担は将来のための投資だとポジティブに考えてもらいたい」と語る。『負担が増える』だとばかり言うことは、気候変動へのチャレンジを国民から奪うということであり、この負担は未来につながることなので皆で頑張ろうと国民に負担の意味をしっかり伝えることが政府に必要なのだそうだ。

福山哲郎外務副大臣へ取材

 今までに取材してきたNGOの人々から、気候変動を改善していくには温室効果ガス 25 %削減では温暖化を抑えるのには不十分だという意見が出ている。それに対して福山氏は冷静な態度で、「まずは目の前にある 25 %削減を先に考えている。ステップ・バイ・ステップでやっていけば良い」と語った。

 国民はこの不景気の中で、温暖化対策によってこれ以上負担したくないと思う人は多いと思う。しかし、福山氏の言う通り、温暖化対策への負担は将来の自分たちへの投資だと思ったほうがい良いだろう。政府が、この負担は新たな豊かさを作っていくための希望のシナリオになると呼びかければ、国民の温暖化に対する気持ちは変わってくると思う。

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国際

国の政策を待つより、私たち自身が解決策を実行しよう

国の政策を待つより、私たち自身が解決策を実行しよう~COP15に参加する若者の意識とは~
                         藤原沙来(20)

 国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は、当初、京都議定書に定めのない2013年以降の地球温暖化対策を決定し、各国の同意を求めることが目的であった。しかし、結果は一部の途上国の反発などで全会一致の採択を断念し、“コペンハーゲン協定”を “合意する”ではなく“留意する”との決議採択にとどまった。つまり、今後はこの協定を支持した国だけに効力を持つこととなる。藩基文国連事務総長は「今回の会議が新たな枠組み作りの始まり」と話したそうであるが、具体的な数値目標、政策案などは、来年メキシコで開かれるCOP16に持ち越されることとなった。

 この結果に、若者からは落胆の声が上がった。彼らは、「今回の結果のように政府や各国が協力して改善に向けて積極的に動かないのであれば、私たち若者は地球が滅んで行くのを待っているしかない気がする」「若者として様々な活動をしていても地球に住む全ての人々が同じ危機感を感じて同じゴールを目指していなければ、何も変わらない」と不安な気持ちを語る。

 しかしながら、気候変動とは先延ばしにできるような問題ではない。気候変動がストリートチルドレンなど、生活が不安定な層に大きな影響を与えているのを目の当たりにしているインドネシアから来た学生のLindaとDevi(22歳)は「この世には1つの地球しかない。地球は私たち全ての人間のもの。政治家は単なる政策を決める人に過ぎない。政策を待つのではなく、私たち自身が意識を変えて、簡単なものでもいいから行動を起こさないと、生きることもままならなくなる。私たち自身が気候変動の要因で解決策でもあることを認識しなければいけない」と話した。

「350.org」という環境NGOが主催したキャンドルで文字を作り気候変動を訴えるアクション活動に参加していたCanadian Youth Delegation teamの1人Meagan Mckeen(18)は、「このように若者が必死に気候変動に向き合っている姿を多くの人に見せることや、意見を共有して若者としてできることをやるというのが目的」とCOP15に参加した理由を話した。また「COP15に参加して得た知識や経験、ネットワークを持ち帰って今後の活動に生かすことも大事なこと」と言う。MeaganはCOP14にも参加し、個人レベルでの活動を積極的に行っている。今回の経験を通して「若者としてできることは何か、新たなアイディアを得ることができれば自分のプロジェクトに生かしたい」と意欲的だった。
 British Councilのドイツ気候チャンピオンの一人としてCOP15に参加したFranka Stohling(18)は、ブログやHPを立ち上げ、若者に興味を持ってもらえるような方法で気候変動と向き合っている。「若者ならではの視点でこのCOP15に参加して、同年代に気候変動について伝えたい」と言い、「視覚で若者にアピールするのも大切だと思う。同年代に伝えるためにはどうしたらよいか考えるのも私たちの役目」と強く主張した。
 BBCのディベートに参加していた、アムステルダムの大学に通う中国人のJulie Zheng(20)は、「気候変動に直接関わる活動や勉強はしていないけれど、自分の将来に関わる問題だから、知識を得たり、ネットワークを作ったりしたくてCOP15に来た」と言う。今まで環境問題に関しては活動する機会すらなく、何もしていなかったようだが、NGOに所属して活動する若者や、大学で専門的に気候変動について学んでいる学生に会うことによって危機感が強まり、自分も何かしなくてはいけないと痛感したそうだ。「COP15で得たこの衝撃と知識を友人と共有して、早速エコな生活を始めたいと思う」と話し、COP15に参加していた若者の活動に刺激を受けたようであった。「中国政府は独自の意見を主張し、国際的な合意には至らなそうだが、政治が絡んだ政策に関してはどんなに活動をしたとしても市民の声は通らない。社会環境を変えていきたいのならば、私たちが草の根レベルの活動をしなくてはいけないということを今回示されたような気がする」と言い、意識が大きく変わったようだ。 

 本会議場とは別にセッション会場とされていたKlima Forumで出会ったインドネシアのNGO「Eco-Indonesia」から来たLinda Chalida (22)、 同じくインドネシアから来たGoris Mustaqim(26)はともに、「インドネシアには貧困の問題などがあり、気候変動の影響を受ける人が明らかで、気候変動問題に一人でも多くの人が向き合えるような環境作りがまず必要」と話した。「インドネシアでは、国際的な合意よりも、もっと市民レベルでの話をしないといけない。政治家の結論を待っている間にも市民が主体的に動かなくては」とすでに活動している自分たちの役割を改めて確認する機会となったようだ。
 世界各国から集まった若者は「気候変動は今の問題。だからこそ、今取り組まなくてはいけない」「気候変動は政治家の問題ではない。将来社会を担っていくことになる若者の問題」と語る。互いに意見を共有し、それを同年代に伝える。今すぐに行動をし、社会を少しずつでも良いから変えていく。それが今、気候変動問題と共に生きる若者としての使命でもあるとCOP15の取材で感じた。

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国際

若者を刺激し、一体感を強めたアクション活動

若者を刺激し、一体感を強めたアクション活動
                         藤原沙来(20)

 COP15には、本会議に参加する各国の政治家とは別に数多くのNGOも参加し、ブース出展やセッションを行った。さらには、多くのアクションが企画され、世界中から集まった活動家や若者が、共に同じアクションを行うことで各国政府にアピールしたり、本会議のより良い進行を促したりしていた。

たとえば、気候変動に向き合おうと呼び掛けるプラカードと共に会場の入り口に黙って立ったり寝たりし、危機感を表わすサイレントアクション。パジャマ姿で寝ているところから起きるという行動を見せて、各国の首脳、リーダーも目を覚ましてほしいという意思を表すアクション。本会議が思うように進まず各国の意見が分かれ始めると、各国首脳の顔写真をお面にし“Climate shame”と書かれた横断幕を掲げるアクション。皆でキャンドルによる文字を作るアクション。

こういったアクションに参加しているのは主に若者だ。私も若者が主体となって行われていたアクションに参加し、そこで出会った若者に、なぜアクションに参加しているのか聞いてみた。

 「気候変動の解決策に楽しく向き合う方法の一つだし、若者が一体となって危機感を表すのには良い方法だと思うから」とオーストラリアから来たLinhは話す。ドイツから来たFrankaは「これだけ多くの若者が一つになって気候変動に向き合う機会はそう多くない。本会議に参加している政治家にも良いアピールになっているはず」と話した。さらに彼女は、「私たちが若者として伝えなくてはいけないことは、少しずつ解決していこうということではなく、今解決するために今すぐ行動を起こさなくてはいけないということ。政治家は次のCOP16があるという前提で話をしているようだが、将来に持ち越すのはおかしい」と話し、合意に至らなかった政治家の姿勢に対しても苦言を呈した。

また、あるNGOスタッフは、アクションについて「自分たちに大きく関わる気候変動問題を主体的に考えて行動することが大事」と言っていた。自分たちの将来をより真剣に考えるために、多くの若者が一体となってアクションに取り組むというのは、政治家だけではなく、参加している若者自身にも良い刺激を与えてくれるものなのかもしれない。

アクション活動は、様々なNGOがCOP開催時に限らず常に行っているので、それに参加することができるほか、自分で考えて行うこともできる。しかし、現実を見てみると、多くの若者はまだまだ気候変動について知らない。まずは気候変動とは何なのかを共有していくアクションを行うことが必要であろう。

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