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レコード人気再来!

宇津野潤さん


2015/08/26                  村上 類(16)

  スマートフォン等で楽しむ定額制音楽配信サービスが急増する今、レコードが改めて人気を博してきている。なぜ一部の音楽リスナーはレコードという音楽媒体を選ぶのだろうか。レコード最盛期の時代から強く支持されているディスクユニオンのお茶の水駅前店の店長宇都野潤さんと、RECORD STORE DAYを日本に導入してブームをつくったNPO法人ミュージックソムリエ協会副理事長でRECORD STORE DAY JAPAN事務局の吉川さやかさんに取材をした。

吉川さやかさん

 ディスクユニオンお茶の水駅前店の店長の宇都野さんによると、レコードはジャンル問わず売れており、またお客さんの7割は男性だそうだが女性も最近は増えていて、取材当日も若い女性の姿がちらほら見られた。

 実際に自分の聞きたいレコードを探しているお客さんに話を聞くと、聴き始めた年代はそれぞれバラバラなものの、口をそろえて音に良さを感じているという。またジャケットのデザインやレコードのみで聴ける音源など、音楽自体のあたたかさを楽しめるところに魅力があるようだ。

 そしてレコードの売り上げが伸びている要因の一つとなっているのは、RECORD STORE DAYの存在だと宇都野氏は話す。特に昨年からは、年二回あるRECORD STORE DAYになるとお店がとても盛り上るようになった。

 その事務局の吉川さんによると、日本で本格的に始まったのは震災があった2011年からで、アメリカのヒップホップグループBeastie BoysがRECORD STORE DAY当日の売り上げをRECORD STORE DAY JAPANを通して日本赤十字社に寄付したことがきっかけだそうだ。現在世界20数か国にまで広がっているRECORD STORE DAYは、どの国でも共通している身近な街のMUSIC SHOPがなくなりつつある現状に危機を覚えたレコードストア店員の呼びかけに、ポール・マッカートニーやMetallicaなどの著名アーティストが反応し、貴重な限定アナログレコードを販売し始めたことが世界中に影響を与えている。

 日本でもRECORD STORE DAYが盛り上がるようになったのは、そのような海外での流行に敏感な若者がインターネット等で知ったことにも理由があると吉川さんは話す。またアーティストが、アナログレコードならではの音のふくよかさや表現をより求め、若いアーティストがアナログレコードを出すようになった。すると当然ファンの人はアナログレコードを支持するようになったのだろう。

 取材の中で宇都野さんも吉川さんも語ったのは、レコードをブームで終わらせたくないということだった。スマートフォンのようにどこでも楽しむことはできないし、A面B面をひっくり返すといった動作が必要なレコードだが、音楽を楽しむ時間がないと感じている人は、あえてレコードで音楽に本気で向き合ってみるのもいいかもしれない。今は音楽を聴く手段は沢山あるが、レコードは現在の若者にとってもなお気になる音楽ツールである。

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ホームレスと共に商売する!~THE BIG ISSUE~

2015/08/26                   松本 哉人(15)

   
新宿や渋谷の道端で、雑誌を掲げて立ち続ける人。しかし、多くの人はその目の前をまるでそこに何も無いかのように通り過ぎていく。そんな光景を目にしたことは無いだろうか。「ビッグイシュー日本版」という雑誌がある。その出版元である有限会社ビッグイシュー日本東京事務所の活動説明会と、販売者とスタッフ、ボランティアが参加する定例サロン(会合・月1回開催)に参加して話を聞いてきた。

そもそもビッグイシューはイギリスで1991年に創刊され、2003年に日本でも大阪を中心に活動を始めた。その活動はホームレスの人にビッグイシューが作った雑誌を独占的におろし、そのホームレスが販売者となってそれを路上販売して自らの収入源にするというものだ。実際には販売価格のほぼ半分である180円が販売者自身の収入になっている。日本でも創刊から去年までの12年間でおよそ668万冊が売られ、同時に9.5億円余りが販売者にもたらされてきた。現在も日本全国に140人ほどが販売者として雑誌を売り続けているそうだ。説明会の中で話してくれた東京事務所長の佐野未来さんは、「一番大切にしているコンセプトはセルフヘルプ。自分自身が助ける力を身につけることを私たちが側面から応援する、それを一番大事にしています」と話す。そのため、「雑誌を買った代金がただの寄付になってしまわないように皆さんが面白いと買い続けてくれる雑誌を作る、これがビッグイシュー日本の一番大事な仕事」と話していた。

さらに2007年には認定NPO法人ビッグイシュー基金が設立され、就業支援や健康診断、スポーツや文化のクラブ活動などをしている。私が参加させていただいた定例サロンの中ではボーリング部やサッカー部などのクラブとその活動が紹介された。それぞれの活動を語るときはどの人もとても誇らしげで、それらの活動もまた、販売者を支えているのだと感じさせた。

具体的にビッグイシューが支えるホームレスとはどんな人なのだろうか。以前はホームレスと言うと「仕事をしようとしない怖い人々」というイメージが大きかった。しかし、サロンに参加していた販売者の方々は世間の普通の大人たちと何も変わらないように見え、ホームレスの方々も人間として別段私たちと違うわけではないのだということを感じた。現実に、佐野さんは「私たちが、ビッグイシュー日本が設立された時、すでにホームレスの人の6割がなにかしらの仕事をしていて、必ずしも仕事をしたくない人々ではないのだと感じた」と話す。さらに、ビッグイシューの販売者は「ビッグイシュー行動規範」というものに基づいて販売をしている。これは実際にビッグイシューの表紙の裏にも書かれているが、「攻撃的または脅迫的な態度や言葉をつかいません」や「街頭で生活を稼ぐほかの人々と売り場について争いません」など全販売者への信頼を守るためのものだ。この最低限のルールの中で販売者は場所や時間、売り方などを各自工夫して販売しているのだという。

また、ビッグイシューを支えている要素の一つが「同じ販売者が同じ駅にずっと立っている」ことだという。販売者が日々同じ場所に立ち続けることで通りかかる人が興味を持つことでビッグイシューについて知り、販売者とかかわりを持つことで「実は、ホームレスの人は働かないって言われているけども、働きたいって思っている人もたくさんいる」、「ホームレスの人はもともとホームレスに生まれたのではなくてたまたまそうなってしまっただけなのだ」と知ってもらえたら社会の認識が少しずつでも変わると思っているそうだ。

 普段私たちはホームレスを見慣れてはいても彼らのことを正面から考える機会は少ないのではないだろうか。募金や寄付のお金ではなく商売を通して路上からの脱出を図る販売者の存在をこの機会に認識しなおし、考える人が増えることを期待する。

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「おじさん」と社会をつなぐ「ビッグイシュー」

2015/08/26                   村上 類(16)

  

取材

赤い帽子に赤いパーカー。渋谷駅のバス停前に、握りしめた雑誌を頭上に掲げて立つ「おじさん」がいる。午前7時20分。私が学校へ行くときに立っていたそのおじさんは、帰宅する午後4時になっても必ず人ごみの中で雑誌を掲げてしっかり立っている。手を下ろしたところを見たことがない。「あのおじさんはいったい何をしているんだろう」。通行人によく見えるように掲げた雑誌の表紙には「THE BIGISSUE日本版」(以下ビッグイシュー)の文字。なんとなく「怪しいな」と思い素通りしていたおじさんの前で、立ち止まってみた。

ビッグイシューを売っている「おじさん」たちはホームレス。ビッグイシューは1991年に英国のロンドンで創刊された雑誌で、ホームレスの人に仕事を提供し自立を応援する事業だ。日本では2003年に大阪で販売が始まった。販売者になる条件はふたつある。ひとつは現在ホームレスであること。もうひとつは「ビッグイシューの販売者として働いている期間中、攻撃的または脅迫的な態度や言葉は使いません」「どのような状況であろうと、ビッグイシューとその販売者の信頼を落とすような行為はしません」といった8つのビッグイシュー行動規範を守ることだ。

販売者には最初の10冊が無料で提供され、その売り上げ(3500円)を元手に、その後は1冊170円で仕入れて定価の350円で売ることで180円が彼らの収入になる仕組みになっている。ビッグイシューを発行する有限会社ビッグイシュー日本東京事務所長の佐野未来さんは、「ビッグイシューは生活状況の一番下から社会復活への階段であり、セーフティーネットとなっている」という。最近では職と同時に住まいや家族も失うケースが多く、ホームレスとなった人は口をそろえて「まさか自分が(ホームレスに)なるなんて」と言うそうだ。佐野さんは、「出来るだけ自分自身で、出来るだけ早い段階で立ち上がれるセーフティネットの仕組みを作っていくことがこれからの日本には必要だ」と話す。

雑誌を販売する山崎さん

ビッグイシューのカギは販売者だ。もちろん他の本屋で売られている雑誌同様、固定客を得るために工夫が必要で、そのためにいろんな人が興味を持つ話題を毎号オリジナルで作成したり、世界中にあるストリートペーパー(ビッグイシューと同じ形態でホームレスの仕事づくりをする雑誌)が配信している記事から面白そうなものを翻訳して掲載したりと工夫を凝らして出版されている。だが、「一番のキーパーソンは販売者。彼らが路上で雑誌を販売することが広報になり、ホームレスについて考える機会を作ることが出来ている」と佐野さんは語る。

そして販売者のやる気につながっているのは、「ビッグイシューを買い求めるお客さんとの会話」だそうだ。販売者と話をするためにビッグイシューを買う常連客もいる。体調を崩してしばらく販売ができず、久々に立った路上で常連客からかけられる「売ってなくて困ったよ」という一言が支えになる。佐野さんは「そういう関わりを糧に最終目標のホームレス状態からの脱出や就職をめざしていく。お客さんの一言で社会に必要とされているんだと感じられる」という。

試供品の配布かと思ってなんとなく避けていた「おじさん」はホームレスだった。ホームレスは「働きたくなくて路上で暮らしている人」だと思っていたが、ビッグイシューを通して自立するために必死で働いている人たちがいることを知った。少しでもホームレスの人たちが路上生活から抜け出しやすくなる社会になることを期待して、興味のある特集の号は「おじさん」から買おうと決めた。

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ビッグイシューを通して身近に感じるホームレス

2015/08/26                   前田 佳菜絵(15)

   家や学校、職場の近くの路上で、ホームレスが売っている雑誌がある。その雑誌の名前は「THE BIG ISSUE 日本版」(以下、ビッグイシュー)。ビッグイシューを発行する有限会社「ビッグイシュー日本」はホームレスに雑誌の販売という仕事を提供して自立を支援することを目的として活動している。「自分とは関係ない」と心のどこかで思っていたホームレスについてビッグイシューを通して考えた。

東京事務所長の佐野未来さん

 「ビッグイシュー日本」東京事務所長の佐野未来さんによると、2014年時点で日本のホームレスは7,508人だそうだ。ここでいうホームレスは「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」における「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所として日常生活を営んでいる者」のことであって、いわゆる「ネットカフェ難民」や「ホテル暮らしの人」などは含まれていない。佐野さんは「現場の実感として、リーマンショック以降は若いホームレスが増えているのではないか」と話す。
 
 厚生労働省が行った「ホームレスの実態に関する全国調査」によるとホームレスのうちの60.4%が廃品回収などの仕事をしているが、そのうち90.4%の収入が月給1万円未満。佐野さんが出会ったホームレスの人たちは「まさか自分が」というという。野宿の状態になるということは住居だけでなく、労働、家族、金銭を失うことでもある。「一度野宿の状態になると、元の生活に復帰するにはいくつかの条件を一気にクリアしなければならないため、一人では非常に困難。私たちの仕事はホームレスの人が野宿の状態から自立できるように支援すること。それに、野宿の状態に至る前のサポートのようなセーフティーネットも張っていけたら」と佐野さんは話す。

雑誌を購入

 ビッグイシューは英国のロンドンで誕生した雑誌だ。創刊者のジョン・バード氏はあるホームレスの青年の「物乞いをするくらいなら、何でもする」という言葉をスローガンとして発刊を始めた。日本では2003年に創刊され、現在14都道府県で販売、これまでに累計651万部を発行したという。また、販売者には延べ1,581人が登録され、現在は約140人が販売している。ビッグイシューは一冊350円で売られていて、仕入れ値の170円を引いた180円が販売者の収入となる。そしてそのお金で簡易宿泊所などに泊まりながら、少しずつ貯金をして住居と住所を確保して、定職を探すというのが販売者の目指す未来だ。

こだわっているのは「質の高い雑誌づくり」とホームレスだけが販売できる「独占販売」だ。「販売者はビッグイシューを売ることでほぼ毎日人と接する。その中で仲間や応援してくれる人に囲まれるように感じる。一方の購入者も販売者の存在に安心したり励まされたりする」と佐野さんは語った。実際「ビッグイシュー日本」の東京事務所で話を聞いた常連客という女性も「毎朝同じところにいる安心感がある」という。

 一度失敗してもやり直しのきく社会を作ろうと「ビッグイシュー日本」を母体として2007年に設立された認定NPO法人ビッグイシュー基金という組織もある。ビッグイシュー基金はホームレス状態の人に対して、生活自立、就業、文化活動などの支援を総合的に行っている。貧困問題の氷山の頂点とも言えるホームレス問題の解決に寄与することを目的としており、活動の軸は「ホームレスの自立応援プログラム」と「問題解決のためのネットワーク作りと政策提案」、「ボランティア活動と市民参加」だ。佐野さんは「誰もが排除されず、すべての人に居場所と出番のある社会をつくるためにある」と語った。

 これまで「ホームレスは自分とは関係ない」と考えていたが、「ビッグイシュー日本」の取り組みを知り、佐野さんの話を聞く中で「ちょっとしたきっかけで自分もホームレスになるかもしれない。今まで思っていたよりも身近な問題なのかもしれない」と考えるようになった。他人事と考えず、もっと理解を深めることがホームレスの社会復帰の手助けになるはずだ。

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「SGH」って?~今求められるグローバルリーダー~


2015/08/26                     前田 佳菜絵(14)  

 

2016年のG7伊勢志摩サミット開催、2020年の東京オリンピック開催などが決定されていく一方、まだまだ国際社会で活躍する日本人は少ないとされる。しかし、皆さんはスーパー・グローバル・ハイスクール(以下SGH)という言葉を聞いたことがあるだろうか。SGHとは「グローバルリーダー育成に資する教育を通して、生徒の社会課題に対する感心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素質を身に付け、もって、将来国際的に活躍できるグローバルリーダーの育成を図る」ために文部科学省に指定されて活動している高等学校のことだ。では、ここでのグローバルリーダーとはどのような人材なのか、またSGHの最終的な目標とは何なのだろうか。

文部科学省取材

 まず、SGHを創設した文部科学省初等中等教育局国際課計画指導係に取材を行った。矢田裕美係長によると、SGHを創設したのは「現代社会に対する感心と深い教養に加えてコミュニケーション能力や問題解決能力を身につけた、将来国際的に活躍できるようなグローバル人材を育成する」ためだそうだ。グローバルリーダーとは、と聞くと「私自身も思うところがある。だが、この事業で輩出したいのは、グローバルな社会課題を発見・解決し、様々な国際舞台で活躍できる人材、例えば、グローバル社会に出てイノベーション(改革)を起こしたり、新しいことをやったり、新しい事業を起こしたりして、社会に対してインパクトを与えられる人材も一つの例だ。」と矢田さんは答えた。また、矢田さんは「SGHに指定するずっと前からグローバルリーダーの育成の精神を持ってきた学校はもちろんあった。しかし、SGHに指定することによって、国費を投入して一線を画した特別な取り組みをやってもらう意味がある。大事なのは10年後、そしてその後もグローバルリーダーがちゃんと育成できているか」とも話す。

渋谷教育学園渋谷高等学校 北原隆志先生

 平成26年度は246校、平成27年度は190校の応募の中から両年度とも56校、つまり合計112校が選ばれてSGHに指定され、5年間文部科学省からの予算で活動する。各学校はSGHに指定されたら実施することをまとめた企画書を応募の段階で提出するが、選ばれる基準は「1つではない。学校が考えるグローバルリーダーは学校によって異なる」と矢田さんは説明した。指定されたら「目指すグローバル人材像の設定」「研究開発テーマの設定」「グローバルなビジネス課題、社会課題の研究」「大学との連携」「国際機関、企業等との連携」の活動を行うが、どの学校も目指すグローバル人材像や研究開発テーマは違うそうだ。また、矢田さんは「SGHの目的は英語教育ではなく、世界や地域の課題を世界の人々と一緒に解決できる人材の育成だ。しかし、これら解決するには必然的に英語が必要になってくる」とも話した。

実際に平成26年度からSGHに指定されている東京の渋谷教育学園渋谷高等学校に取材した。渋谷教育学園渋谷高等学校では「探究型学習を、いかにして「行動できるリーダーの育成」につなげるか」という研究開発テーマで活動している。同校SGH委員副委員長担当の北原隆志先生によると、一年生の一学期は「The World in 2050」というテーマで2050年の未来をデザインするプレゼンテーションや英語でのディベートを行い、二学期は「Hiroshima Project」というテーマでヒロシマについて議論などを実施、三学期は「Wars and Conflicts」というテーマで戦争や紛争について英語でのプレゼンテーション及びエッセイライティングを行っている。特に「Hiroshima Project」では米国フロリダにある提携校の世界史の授業用教材を作成し、優秀なチームはその学校で特別講師として授業を行うことができる。また、二年生では「Social Justice(社会正義)」というテーマで子どもの人権や環境課題について考え、発信していく。

 しかし、北原先生は「この学校は『自調自考』『高い倫理観』『国際人」の3つを目標としていて、SGHに指定される前から中学一年生からアクティブラーニングやディベートは行っていた。中学の授業で本格的なプレゼンテーションを行うようになってかれこれ15年になる。」と語った。SGHに選ばれてからについては「東京外国語大学に通う海外の大学院生を学校に呼ぶことと、フロリダへの派遣が文部科学省からの予算で新しくできるようになった。また、教科横断型授業は以前から少しずつ始まっていたが、SGHに指定されて本格的に実施するようになった」と北原先生はいう。例えば「Hiroshima Project」では公民科、情報科、英語科や国語科が連携し、「Wars and Conflicts」では生徒たちは経済、現代社会、歴史、理科数学、文学、芸術、家庭科保健体育の7つの分野に分かれて意見を交わすそうだ。さらに「Social Justice」では、子どもの人権については家庭科と英語科が連携、環境問題については国語科、地歴科、理科、英語科が連携する。

 また、北原先生は「地球社会の問題は、世界中の各分野のエキスパートが力を合わせて初めて解決できる」とも話した。そのため、「SGHに指定されノウハウをオープンすることは私立校としてはマイナス面もある。しかし、自分の学校のことだけを考えていては地球社会の問題を解決することはできないと思う。」と強調する。そしてグローバルリーダーについては「物事を地球規模で考えられる、多数の意見を聞ける、冷静である、自分の意見を作り出せる、それを上手に伝えられるコミュニケーション能力がある人」、行動できるリーダーについては「観察力、想像力、行動力から成る思いやりがある人。理想や問題発見能力 がある人。」と北原先生は語った。

 まだSGHの活動が始まって1年程だが、文部科学省やSGHに指定された学校へのインタビューからはグローバルリーダーの育成への熱意が感じられた。しかし、果たして5年間で成果が出るのかどうかなどの疑問点があるのも事実だ。それらも含め、今、日本の将来が変わってくる重要な局面に私たちは立っているのかもしれない。

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グローバルってなに?~SGHから学んだこと~

グローバルってなに?~SGHから学んだこと~
2015/08/26                   三好 恵瑠(14歳)

 皆さんは「SGH」という言葉を聞いたことはあるだろうか。SGHとはスーパーグローバルハイスクールの略だ。2014年から文部科学省が実施したグローバルリーダー育成事業のことである。この事業は2014年から5年間実施される。今回は最近よく聞く「グローバル」という言葉からSGHを考えてみる。

まず、SGHの理解を深めるため、文部科学省に取材した。質問に答えてくれたのは文部科学省初等中等教育局国際教育課計画指導係長の矢田裕美さんだ。グローバルリーダーの育成方法や質の高い教育課程等の開発・実践については、指定された学校側がスーパーグローバルハイスクール事業の趣旨に沿うように計画を立て実践し、文部科学省側は事業の開発・実践やその体制整備を支援する。学校側は自分たちで5年間の構想を立て、文部科学省へ提出し、それを文部科学省が審査して、スーパーグローバルハイスクールとして指定するという仕組みだ。指定された学校は、毎年度計画書を文部科学省へ提出しているという。

文部科学省初等中等教育局国際教育課計画指導係長の矢田裕美さん

次にSGHの指定校2校に、現場の実情を知るため、東京の渋谷教育学園渋谷中学高等学校(以下渋渋)と青山学院大学付属高等学校(以下青学)へ取材した。渋渋で質問に答えてくれたのは英語科教諭でSGH委員副委員長である北原隆志先生だ。渋渋では学校ごとの目標として「探究型学習を、いかにして行動できるリーダーの育成につなげるか」ということを挙げている。もともと「地球社会で活動できる人材」を育成することを目標としており、SGHに加入する以前からグローバルリーダーを育成する活動は行っていたという。

青山学院取材

渋渋でSGHに加入してから出来たことは、以前から行っていた教科連携が本格的に出来るようになったことと、文部科学省からお金が出るので東京外国語大学に通う海外の大学院生を呼べるようになり、以前からやっていた内容をより充実させることができるようになったことだという。以前より多くの先生が教科連携に前向きな姿勢を示していたため、SGHはとてもよい機会だったそうだ。

渋谷教育学園渋谷校取材
渋谷教育学園渋谷校取材

青学で取材に応じ答えてくれたのは英語科教諭の藤井徹也先生だ。青学では学校ごとの目標として「多様性の受容を基盤としたサーヴァバントマインドを持つグローバルリーダーの育成」ということを挙げている。キリスト教系の学校なのでキリスト教の考えかたが基盤となっており、キリスト教のサーヴァバントリーダーという考え方から出来た目標だという。具体的に言えば、立場の弱い人たちと共にいることで集団の下支えの出来るリーダーのことだ。
青学ではSGH加入後、「ポータル」というシステムを利用し自分がやったことを生徒同士がシェア出来るようにするというプロジェクトを文部科学省に提出しているという。SGHの活動は強制参加ではなく、好きなものに好きな時に参加するという仕組みだという。そこで、一人ひとりが違う活動をする中それをお互いにシェアし色々な経験を学ぶことができるようにするそうだ。

今回の取材で3つのところへ行き、共通していたことが2つある。それは「グローバル人材とグローバルリーダーの違い」ということと、「英語はツールだ」だ。

皆さんは普段「グローバルリーダー」という言葉よりも「グローバル人材」という言葉の方をよく聞くのではないかと思う。そこで、二つの違いとは何なのか取材先それぞれで質問してみた。するとグローバル人材についてはそれぞれ微妙に違う見解があったが、グローバルリーダーについては同じ答えが返ってきた。それは「みんなの意見に耳を傾けたうえで自分の意思を決められる、人を導けるリーダー」というものだ。

そして「グローバル」いう単語を聞いたとき英語をおもいうかべるひとが多いのではないかと思う。しかし、SGHとは前述の通り「様々な国際舞台で人を導けるリーダー」、グローバルリーダーを育成することであり英語教育を充実することではない。でも、世界で人を導くためには「英語はツールとして」必要だという。

今日、グローバル化が進んでいる社会で日本が生き残るためにはそのなかでリーダーとなれる存在になることが必要だ。そのためのSGHはとてもよい活動なのではないかと思う。しかし、この事業は5年で終了してしまう。この後の生徒たちはどうなるのだろうか。もう少し期間を長くすることはできないのだろうか。事業が終わったとしても学校ごとにこのような活動を続けてほしいと思う。

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SGHって何?


2015/08/26                   松本 哉人(16)

 最近、テレビの番組を見ていると、地域に根差した奇抜で画期的な取り組みをする学校がしばしば特集されている。これらは地域の活性化のために児童生徒が一生懸命考えることや、その取り組み、それらのもたらすメリットが評価されているのである。そんな中こうした活動を支援する政府の制度が昨年度から始まった。グローバルリーダーの育成を目的に指定校に国の委託費を出す、スーパーグローバルハイスクール(SGH)制度について、その意義と実態を文部科学省と、渋谷教育学園渋谷中学高等学校(渋渋)、青山学院高等部(青学)の2つの指定校に取材した。

青山学院取材

 そもそもSGHとは何のためにつくられたのか。文部科学省初等中等教育局国際教育課の矢田裕美計画指導係長は、「グローバルな社会課題を発見・解決し、様々な国際舞台で活躍できる人材を輩出すること、例えば、グローバル社会に出て改革を起こし、新しいマーケットを開いたり、社会に対してインパクトを与えられる人材等も輩出することも一つの例だ」と語る。実際には、学校が5年間の構想調書を提出し、文部科学省側による専門家によって審査が行われ、選ばれた学校がスーパーグローバルハイスクールに指定される。そして指定された学校は、毎年度計画書を提出し、その内容に応じた予算が学校に配分され、それをもとに学校は取り組みを進める。取り組みは、毎年度に出す報告書や各学校の示す成果物などを介して把握される。しかし一方で、スーパーグローバルハイスクール事業は、まだ2年目を迎えたばかりであり、取組がよくなるように改善を図って行きたいとも語っていた。

青山学院高等部の藤井徹也国際交流委員

 では、指定された学校ではどのように制度を利用しているのだろうか。今回取材した渋谷教育学園渋谷中学高等学校の北原隆志SGH委員副委員長と、青山学院高等部の藤井徹也国際交流委員はそろって、SGHに指定されたことの効果のひとつは様々なことを始めるきっかけになったことだったという。北原先生は、「何年も前から少しずつ進めていた教科連携(教科間の授業テーマの共有)が学校を挙げて本格的にスタートしたのは、昨年度、SGHに選ばれてからでした」と話す。渋渋は建学の精神の中にグローバルリーダーの育成が挙げられており、元々SGHの目標に近い取り組みをしていた。昨年度からはその取り組みをSGHの補助によってより充実させることができたという。例えば、英語で広島についてのブローシャーを作成し、アメリカの提携高校で世界史の教材として使ってもらう取り組みはもともとあったそうだが、SGHへの参加によって、選ばれた生徒数名が現地に渡航できるようになった。同様に今年度にSGHに指定されたばかりの青学では新しい学内の交流の場を開設しようとしている。インターネットを使用することでSGH指定期間が終わったのちも活用できるシステムにしていく予定だと藤井先生は語った。青学では学外からボランティアなどに携わる人を招いて講演を聞くことで青学のキリスト教精神に繋がる取り組みにしているという。

 それぞれの学校が企画を出すというSGH独特の方法ゆえに、活動の多様さを感じさせられる部分もあった。それは渋渋と青学の間にある校風の違いである。渋渋は、教科連携を実現させ、SGHを完全に授業に取り込んだ。こうしてグローバルリーダーの育成を、授業を通して推進していた。他方、青学においては自由な校風の特徴を生かし、イベントの内容や提案、参加の有無も生徒側が決める想定で組まれていた。そのため、SGHのプロジェクトでは放課後の講演など授業外のイベントが多かった。

 グローバルリーダーを定義するのは難しく、学校によってさまざまなとらえ方があるが、それゆえに地域や校風に合わせた取り組みがそれぞれ行われているのだと思う。生徒としても、単純な勉強以上に自分たちで考えて取り組むことのできるプロジェクトは楽しい上に学習しやすいのではないだろうか。SGHが、より多くの学校がそういった取り組みを始めるきっかけになればいい。

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座談会

18歳選挙権の是非について


参加記者:村上類(16)松本哉人(16)前田佳菜絵(15)三好恵瑠(14) 司会:藤原沙来(記者修了生)2015/08/26

沙来:来年(2016年)夏から選挙権が18歳に引き下げられます。引き下げられることについてみんなはどう思いますか?

類:よかったと思っています。今日のメンバーで、この制度の影響を一番早く受けるのは私ですが、将来のことを決めるのに、その将来に現役で働いていない人がいろいろ勝手に決めるのはおかしいと思うからです。例えば、集団的自衛権が将来もし変わるとなった時に、同世代の自衛隊学校に入っている人たちが直接影響を受けるので、身近な年齢の人が決めるのはよいと思います。

哉人:基本的に引き下げについては賛成です。その法案が施行されるときには、リタイアしている人が決めるのはおかしいと思います。実際に、大学生などの若者がいろいろな形で安保法案に反対だと行動を起こしているわけで、彼らが、デモではなく選挙で物事を変えられる状況が与えられるのはよいことです。

佳菜絵:私も基本的に賛成です。今法案を決めても、実際に施行されるのは1年後だから今から積極的に若い人たちの意見を取り入れた方がよいと思います。でも、18歳以上の人たちの意見を取り入れたからと言って、大きく政治が変わるのかどうかは疑問に思っています。*注1

恵瑠:私も基本的には賛成です。みんなが言うように、人口の中で、シニアの年齢の人たちが一番多く占めている中で、いずれは法案に一番関係してくる若者の意見を取り入れるというのはよいことだと思います。でもいま若者は一番投票に行っていないんです。引き下げても行かない人もいるかもしれないので、引き下げたうえでみんなが行くことが大切だと思います。

沙来:私自身は、CE記者時代に「成人年齢引き下げ」について取りあげた時、政治の知識も投票する責任感も実感もなくて不安しかなかったのですが、みなさんは選挙に行くことを身近に感じますか?投票することはそれなりの義務や責任が伴うけれども、どのように考えていますか?

類:中学受験の時や中学3年の公民の授業で勉強したのですが、ただ暗記しただけで、政治に関する単語は知ってもそれが実際にどう働くかは全然分かりませんでした。今回、調べてみて、まだ憲法改正投票は含まれないことなどが書いてあってびっくりしました。実際に、投票年齢が下げられるのは変えられるからよいと思ったのですが、正直細かいことはあまり分かりません。

哉人:18歳で行くときも20歳で行くときも、たいして感覚は変わらないと思います。ただ、統計で言えばこれで投票する人数が増えるわけです。たぶん思想的には大学生というと急進派だったりタカ派的なことを言う人も少なくないと思います。だから、意見の比率は変わってくると思います。でも、義務としての感覚の違いは2歳下がってもないと思います。

佳菜絵:今、私たちはあまり政治に詳しくないけれど、政治に興味を持っていろいろニュースを見ることだけでも意味はあると思います。政治をもっと身近に感じるということでも、選挙に行く意味はあると思います。

恵瑠:選挙権を得た以上、何歳であろうと投票に行かなければいけないと思います。しっかり調べて自分がこうした方がよいと思うところに行くべきだと思います。

沙来:調べたり政治を身近に感じたりすることは大事だとみんな言っていますが、今のみんなにとって政治は身近ですか?

類:そんなに身近ではないです。

恵瑠:ワイドショーぐらいです。

佳菜絵:テレビを見ていても、自分とは関係のないことと思ってしまっているところはあります。

沙来:これから身近になると思いますか?今後、何かが変わると思いますか?

類:変えるべきだとすごく思うのですが、公民で知識を詰め込んで覚えてきたものの(*注2)学校の方針も変わらないだろうし、政治家も向こうからこっちに歩み寄ってくることはないと思います。総理大臣も官僚の人たちの年齢も高いので、
考えすぎかもしれないのですが、その人たちの年齢に近い人の意見を通させたいというのはあると思います。そういうことを考えるとあまり変わらないと思います。

哉人:変わらないと思います。ただ、国の政治の一端を感じられていないわけではないです。ベビーシッターの取材をしたときに、ベビーシッター業界に国からの支援が下りるかという瀬戸際にあって、その変化がなぜ起きたかというと、数年前に国が決めた子育ての政策が変わったからです。そういう大きな政策がベビーシッターという僕らの身近に感じられる業界にもおりてきています。だから、政治の変化の一端は感じられています。

佳菜絵:学校の公民の授業で勉強はしているけれど、いざ自分が関わるとなると身近には感じません。自分とはあまり関係ないと思ってしまっているところがあります。

恵瑠:母と政治について話すこともあるので、意外と身近に感じます。それでも知識はワイドショーレベルなので、自分自身で政治を捉えることはできていないのかなと思います。

沙来:政治はあまり身近ではないけれど、投票には気軽に行けそうな印象ですか?

類:私の親は、軽い感じで投票に行っています。だから、気軽に行けるものなのかなという感じがします。

恵瑠:母はいつも選挙に行くときに私も連れて行き、私は投票所の前で待っています。母がいろいろ調べてから来ているようで、これは…、あれは…と私に話してきます。やっぱり、考えてから選挙に行かなくてはいけないと感じます。まずは、選挙に行くことが大事かなと思います。

佳菜絵:確かに、駅前で立候補者がいろいろ話していても、私の家の近くでも年配の人たちばかりが集まっていて、若い人はちゃんと考えているのかなと思うこともあります。

哉人:いざ、投票に行くとなったら、選挙の広報も読むと思います。駅前で配られるチラシにも目を通すだろうし、その候補者がこれから何をするだろうかは把握するようにすると思います。

類:来年高校3年生で、誕生日が遅いので来年の夏はまだ投票できないのですが、同学年の子が選挙に行くとなると、配っているマニフェストを読んでみようかなと思います。

沙来:いざ、行くとなったら、自分で政治を知ろうとする努力をするということですね。では、どうしたらもっと政治が身近になったり、選挙権を持つ責任を感じたりすることができると思いますか?

恵瑠:まず、政治が身近に感じられない原因を考えてみました。テレビで国会中継もやっているけれども、話自体が難しくて分からない、何をやりたいのかが分からないというのが前提にあると思います。そのうえで、私たちがどう思っていても、選挙で投票した時にしか私たちの意見は反映されないし、マニフェストに書いていなくても私たちはそれ以上関与できない。だから、何かやっているなという感じで終わってしまうのだと思います。身近に感じるにしても、限度はあると思います。デモ活動をしている人たちにとっては政治が身近かもしれません。その人は意見を持っているのだと思います。意見を持てば、政治を身近に感じられると思います。
そのためには、いろいろなことを知らないといけません。今の政治家たちが何をしようとしているのか知ろうとすれば、知らない時よりは身近になるのではと思います。

類:簡単に言えることではないですが、私たちに年齢が近い政治家が出てきてもらえれば、その人が若者向けの政策などを提案してくれて若い人たちも「それいいね!」となると思います。ただ、政治や選挙権について話している子は主に真面目に勉強している子たちだけです。他の子たちは分からないと言っています。学校でもプリントを渡されるのですが、すぐ捨てています。先生でもいいと思うのですが、私たちに年齢が近くて政治に興味があったり、関わったりしている人に直接話を聞くのがよいのではと思います。

沙来:実際に選挙に行くことに興味がある子が学校にいるのですね?

類:学校の授業で、戦争の話を英語で学習した時に、来年の選挙権の話になりました。「ちゃんと考えないと」と話している子が2人ほどいました。他の30人以上は何も考えていないか、中には知らない子もいると思います。現状としてはよくないと思います。

沙来:その子たちから周りに広がったりはしないのかな?

類:表面上は話すかもしれないけれども、すぐ忘れると思います。

哉人:良し悪しは別にして、政治家のやっていることや政治家の意見をバカにして笑っている風潮も一部ではあります。それは、写真のコラージュなどいろいろありますが、そういうものを作って遊んでいる人たちは、政治家が何をやっているのかを知った上でそれをやっているということになる。そういう動きもよいのかなと思っています。

佳菜絵:この前学校の授業で、公民の時間に18歳選挙権に賛成か反対かをやりました。ほとんどの人は賛成だったのですが、考えているのはあくまでも授業の間だけで、まだ中学生だからかもしれませんが、みんなはあまり興味がない感じでした。

沙来:政治に興味がない子たちやみんなにとって、どういうアプローチがあると政治に興味を持ったり、投票に行こうとしたりするかな?

哉人:20歳以上の人たちの間でも投票率が低いことが問題になっています。要するに、引き下げられる前に、どう手を尽くしても選挙に行くことや政治への関心を上げることができなかったので、年齢を引き下げたからと言って、いきなり投票率が上がったり、これから上がったりすることもないと思います。こうやって話していても、政治に興味がある人もいればない人もいて、改善のしようがないし、問題にすることではないと思います。

佳菜絵:いろいろな政治家がこんなことやりますと言っていても、難しいことばかり言ってそうで、言っている内容が私たちとあまり関係ないと思ってしまっていると思います。もっと身近な政策を言ってもらえるとみんなも興味を持つと思います。

恵瑠:選挙には20代で30%ほどしか行っていないようで、私たちが選挙権を得た時に考えることは面倒くさいか、選挙権を得たことがうれしくて投票に行くか、本当に真剣に考えて行くかだと思います。友達と話をしていても、家族が選挙に行っていないという話も聞きます。一番投票しているのはシニア層だから、政治家もその人たちに訴えかければ投票数が上がるから、そういう政策も立てているのではと思ってしまいます。自分たちの世代に関係のある法案も出されれば、もっと考えると思います。

哉人:実際に今、出ている法案は新しく作られると、施行されるのは2年か3年の後になるから、僕らの世代にかかわってくると思います。ほとんどの法案というのは、10年先、20年先のことを考えて作られているので、認識していないだけで、本当は僕らの世代にとても関係のあることだと思います。

沙来:私は、実際に20歳になって投票権を得てから、政治についてもっと知らないといけないと思ったし、いろいろな政治家のマニフェストにも目を通すようにもなりました。投票権を得たことが、政治に興味を持つきっかけになるかもしれないなと思います。
投票権を得たらこうしたいという思いはありますか?

佳菜絵:今から政治に関心を持つのは難しくても、18歳になっていざ選挙に行くとなったらいろいろと調べて、自分の意見をもって投票したいと思います。政治家の言っていることを聞いて、責任をもって投票ができたらと思います。

類:私も、マニフェストや政治家の意見を読んだり調べたりして、過去に学んだことを見直して、まず選挙に直接関わるところから、そして18歳になってからいろいろと知っていきたいと思います。

哉人:僕も、同じように18歳になったときに何が争点になっているかわからないのですが、それに関して、自分なりに調べて、自分の意見を持って、それに合う人を探して投票したいと思います。

恵瑠:私も、まず知ることが大事だと思います。自分の選挙区内の立候補者のマニフェストを一通り読んでみて、今起こっている話題についてもしっかりと知ったうえで、自分の意見を持って投票に行けたらよいなと思います。大学に入ってからも時事について学ぶ機会もあると思うのですが、できたら自分でも調べて、そういう話をすることで周りに興味を持ってくれる人も出てくるといいなと思います。

類:ただ、実際に行ってみて、票を投じたい候補者がいない時は、それでよいのか不安です。

恵瑠:私は、自分の意見に一致しなくて、白紙投票でもよいと思います。自分のいやなことを無理矢理、他の人の意見に合わせることはしなくてよいと思います。白紙投票も1つの意見の形だと思います。とりあえず白紙でもよいから投票することが大事だと思います。

佳菜絵:いろいろな人のマニフェストを聞いたうえでの白紙投票はよいと思います。何も知る努力をしないで、よくわからないから白紙投票というのはよくないと思います。白紙でも投票をするからには、責任をもって行うべきだと思います。

哉人:日本の選挙システムの理念的には白紙投票をするぐらいならば、自分で立候補をしようという理念だと思います。もしするならば、自分が立候補してもよいというぐらいの勢いと自信を持ってしなくてはいけないと思います。将来的には、被選挙権の年齢引き下げもあるのではないかと思います。

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報告会、レクチャー

石巻を訪問・取材

 去る8月22日、中学生記者と大学生記者が宮城県石巻市を訪問し、昨年に引き続き石巻日日こども新聞の記者たちと座談会を開いた。
また、石巻の若者たちが漁師として活躍している一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンの若者にも取材をした。

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報告会、レクチャー

第10回国際青少年メディア・サミットにCE記者が参加

 2015年7月27日~8月7日に、セルビアの首都ベオグラードで開催された第10回国際青少年メディア・サミットにCEの高校生記者が参加した。
スロベニア、クロアチア、コソボなど旧ユーゴスラビア諸国や、アメリカ、スウェーデン、イタリア、香港(中国)日本など20カ国から約50名の若者が参加し、世界共通の課題である、貧困、暴力、環境、差別、女性の権利、若者の地位向上、健康などの7つのグループに分かれて、1分間のビデオ作品を制作し、世界に向けての「宣言文」をビデオを通して発表した。

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