カテゴリー
座談会

電子辞書か紙の辞書か

学習や生活で辞書を引く必要性は今の昔も変わらないが、デジタル技術が一番得意とする分野が「検索」。私たちが親しんできた辞書にも革命がおきつつある。

出席者:飯沼茉莉子(13)、富沢咲天(14)、宮沢結(16)、勝部亜世満(17)、三崎令雄(18)三崎友衣奈(18)(司会)2009/11/01

友衣奈:みんなは学校や家でどちらの辞書を使っていますか、それはなぜかを聞かせてください。

咲天 :家では電子辞書を使っています。時間の節約のためです。

茉莉子:私は、家では電子辞書、学校では紙の辞書を使わされています。
    紙の辞書は調べることで「頭を使う」ので、というのがその理由だと思います。

亜世満:家でも学校でも電子辞書を使っています。
    学校で「紙の辞書を引いた方がいい」と言われますが、
    英和辞典とかは三冊持ってくればこれくらい(の量)になってしまうし、
    教科書もあるので辞書は学期始めに持ってきて大掃除の日に持って帰る感じです。

令雄 :電子辞書をいつも使います。他のことが知りたい時も思わぬ辞書が
    収録してあって便利です。

●昔からやっていることを大事に
友衣奈:「頭を使うから紙の辞書がいい」という発言がありましたが本当にそうだと思う? 

咲天 :思います。全てパソコンや電気に頼っていると頭を使わなくなって、
    いざという時にわからなくなる。例えば辞書が壊れたら紙の辞書を使うし、
    自分の子どもにも最初から「はい」って電子辞書を渡すわけじゃないので、
    そういう時に自分もできていないと困る。

友衣奈:引けなくなるのがこわい?

咲天 :はい。昔の人は電子辞書がなかったし、そういう面でも
    昔からやっていることを大切にしたい。

結  :私は学校では電子辞書、家で勉強する時は紙の辞書を使っています。
    学校で電子辞書を使うのは、授業中に先生が言った言葉をすぐに調べられるからです。家では、言葉を引いた時に
    (単語が)辞書のどこにあるかを「場所で」覚え、周りの言葉も見えるから紙の辞書も優れていると思います。

亜世満:紙の辞書にしかできない機能ってあると思います。
    例えば「広辞苑」には天皇家の系図とか、いろいろな図が載っていて、
    そういう面でも調べるのに役立っている。

●イカルガ(斑鳩)の声を出す辞書
友衣奈:では「紙」ではできず、電子辞書でできるものは例えば何ですか?

亜世満:最近の電子辞書ではセミの鳴き声や、身近な鳥ではない鳥の声も収録されていて
    音声でも学習することができるようになっています。

友衣奈:それはいいことだと思う?

亜世満:ウグイスなどは有名ですけど、イカルとかウソとかメジロの鳴き声は
    あまり聞けないでしょう。(辞書で)聞いておけば、例えば自分も最近まで
    ヒグラシやツクツクボウシの鳴き声も知らなくて・・・、
    それで実際に聞いてみた時に「あ、このセミだ」って。
    同じ鳴き声が実際に生で聞こえてきた時は感動を覚えますね。

●電子辞書にも書き込める
友衣奈:では電子辞書にできなくて、紙ができることは何かありますか?

茉莉子:紙の辞書は言葉を調べたあとにメモしておきたい時は
    メモに書いて辞書に貼ることができて自分のオリジナルにできるので、
    紙の辞書もいいと思います。

亜世満:でも最近の電子辞書にも漢字とかタッチペンで書く機能があって、
    それでメモをとったりすることもできるみたい。

友衣奈:そのページにメモするの?

亜世満:その項目に登録できる個数は6つとかに制限されてようですが
    とりあえず付箋みたいなものを貼ることができるそうです。

友衣奈:自分のオリジナルを電子辞書でもできるということですね。他に何か?

●進化しすぎ?電子機能
咲天 :電子辞書は読めない漢字があったら、キーボードの側に書くところがあって、
    そこに漢字を書くと読み仮名も出てくる機能がある。

結  :紙の辞書にはいっぱい載っているけど重いのです。
    学校に行く時は教科書とかいろいろ持ってかなくちゃいけなくて、
    電子辞書はコンパクトなので持ち運びに便利だと思います。

友衣奈:重いという理由で、家では紙の辞書を使っているんですね。
    電子辞書よりも紙のほうが言葉を覚えられるものですか?

結  :紙の方が調べた時に「あ、ここにあるんだ」って思ったり、
    けっこう隣の言葉も見るんです。そういう点では紙がいいと思う。
    私の学校では先生が紙の辞書を勧めます。でも電子辞書を使う人が
    クラスでは圧倒的に多くて、高校生になると紙の辞書は2~3人です。

友衣奈:では皆さんは持ち運びを考えなければ紙の方がいいと思う?

令雄 :そういうことを考えなければ、紙の方がいいと思います。
    電子辞書に実は今はいろんな機能が付いたために弊害が多くて、
    例えばワンセグ機能で授業中テレビを見たりする人もいます。
    普通の辞書は、純粋に紙の辞書で学習の教材として使えるんですけど、
    電子辞書はもう辞書なのかどうかわからない多機能な「携帯する何か」に
    なっちゃった。

友衣奈:機能が付きすぎているのも欠点になりうるということですね。

●苦労して使った達成感
茉莉子:電子辞書は画面が小さいので眼に入ってくる情報が少ないと思います。
    紙の辞書はもっと大きくて眼に入ってくる情報が多いので覚えやすいかな。

友衣奈:電子辞書の特長だけれど、検索したらぱっと出てくるじゃない?
    それって引いている過程が無くなるということで「トンネルデザイン」と
    言われていて、目的に達するまで潜って一直線に行くから他のものがまったく
    見えない。若いうちから「過程」で苦労しなくていいものでしょうか。 

亜世満:さまよって目的地に到達するのは、途中でもいろいろな発見があるし
    時間がある時はクネクネしながらたどり着くのが大切だと思います。

令雄 :確かにラクを覚えるとロクなことがないと思う。
    さっきは教材として電子辞書は不向きって言ったんですけど、
    今は電子辞書ってほんとにいろんなもの、例えば「世界遺産」とか何でも
    入っているので電子辞書をいじっていて自分の知らなかったことの発見もある。
    英語の辞書では他の単語を知るぐらいですけども、電子辞書は分野を問わず何でもあると思います。

友衣奈:さっきの話に戻って携帯しやすいかどうかはやはり電子辞書が一番という
    意見があったけど、わざわざ紙の辞書を持ち歩く理由はあると思う? 
    みんな電子辞書を知ってしまった世代だけど。

咲天 :電子辞書は調べて終わり!なんですけど、紙の辞書だったら何回も使っていたら
    黒くなったり付箋とか付けたりしてそういう達成感とかもあると思います。

友衣奈:目に見えて分かるよね、自分がどれだけやってきたかっていう。

●辞書がテレビ、ゲームに
結  :いっぱい機能があって便利だという意見が出ていたんですけど、
    最近の辞書はテレビも見られるので学校でも昼休みにテレビを見る人がいて、
    機能が付きすぎると勉強の弊害になることもあると思います。

友衣奈:なぜわざわざメーカーはテレビとかゲームを付けているんだと思う?

令雄 :シンプルなものより、電子辞書にはとりあえず何でも入れないと
    売れなくなるという感じじゃないですか。

友衣奈:逆にそれは消費者が求めている表れではないの?

咲天 :最近の学校は電子辞書を持っている生徒が多くて、辞書を作る会社は
    「じゃあ子どもが喜ぶ機能はなんだろう」と考えて、
    そういうゲームも付けているのではないでしょうか。

●ケガをして電子辞書をひく?
友衣奈:消費者として電子辞書を選ぶ基準は、たくさんの辞書が入っていたり、
    機能が付いていることになりますか?

亜世満:ないよりはあった方がいいですよね。例えば日常的に使わない「医学」や
    「スピーチの文例集」や「冠婚葬祭」に関することとか、そういうものが辞書に
    おまけで付いていると、その状況になった時に調べることができますから。

令雄 :意識としてはおまけです。
    僕は部活でケガすることが多かったんです。整形外科へ行って、
    「君は何々だよ」ってケガの名前を言われて、
    「どういうケガだろうな」と知りたくなって電子辞書の「家庭の医学」で
    調べられたりするんで、「ああ、こうしたケガなんだ」とわかる。
    多機能はみんなが電子辞書を選ぶ基準だと思います。

友衣奈:多機能は魅力的だと思う?

結  :「クロスワード」や「脳トレ」まで付いているんですよ。そうすると、
    けっこう授業中にやってしまう人も多いんじゃないかなと思います。

友衣奈:(まとめ)やはり本質を得ているというか、一番自分の目的にストイックに探求で
    きるのは「紙」だとみんなは言っていたけど、電子辞書も使う人の用途によると
    いうことですね。その一方で要らない部分もあるから、へんな娯楽の方に行って
    しまうという現代を反映している部分も電子辞書にはあるのでしょう。
    でも、それって勉強している側には迷惑というか、紙の辞書とは目的が違って
    きてしまったという感じでしょうか。 ではこれでRTを終わります。

                         

                                                    以上

カテゴリー
座談会

小学生の環境教育

人類は地球上の生き物の仲間のひとつにすぎない。それを自覚すべき時代となって久しいが、環境保護の大切さを小学校の段階でどのように教えるべきか、また家庭や企業にはどんな役割があるか、4人のCE記者が意見を交換した。

出席者:宮澤結(15)、大久保里香(17)、寺浦優(14)、司会:三崎友衣奈(17)
2009/06/2

友衣奈:小学校で環境問題はどのように教わりましたか?

里香 :社会科などで、環境について触れることはありましたが授業に「環境」というタイトルはついていませんでした。

優  :社会科でリサイクルセンターなどに行きました。一応は環境教育をやっていたことが後から分かりました。

結  :総合学習の時間にリサイクルセンターに行ったり、田植えもしました。でも小学校の頃は環境教育を受けていたとい
    う実感はなかったです。

■環境という授業の設置を

友衣奈:皆に共通するのは「習った」実感よりも、「そういえば環境についてだった」という実感ですね。先生のほうも後か
    らでいいから分かってほしいという気持ちがあったと思うんだけども、今のままで充分だと思う?それとも自然と触
    れ合う授業などを増やした方がいいですか。    

里香 :一ヶ月に一回でいいから環境授業の枠を作る方が効果的だと思います。小学生は他の科目のなかに含めると環境教育
    を受けている実感は絶対わかない。

友衣奈:授業として環境の認識をしっかり持った方がいいということですね。他の皆さんの意見は?

結  :賛成です。私の場合は総合学習の時間に、環境だけでなく地域のことや校外学習もあったので、環境の授業を別に設
    けることで小学生の意識が変わると思います。

優  :小学生なので誰かに言ってもらって気づくことが多いと思うんです。実際私もそうでした。自分たちの生活に関わる
    環境問題だということをきちんとその部分で言わないと気がつかない・・・

■きっかけを与える教育

友衣奈:三人とも同じ意見でしたね。でも環境問題は、温暖化も含めて今までの地球自体の流れ(自然現象)だという人もい
    るでしょう?それを勝手に「温度が上がるのはいけないんだ」と小学校の頃に植え付けてしまうとそれは頭から離れ
    にくくなるし、反対意見を言われても「だって学校で習ったもん」となってしまわないですか?

里香 :人の行動が原因で悪くなったのではない環境問題もありますが、絶対に人間の行動が関連している問題があると思い
    ます。例えばゴミ問題や、クーラーの利用で有毒なガスが出るとか、それは人間の行動が原因であって、改善してい
    かなければならない。学校ではそういった絶対的なものを教えて、その後はきっかけを与えて学習を進めていけば子
    供たちが自分たちで環境についてもっと考えるようになるのではないかと思います。

優  :気づいてもらう、ということが一番大事だと思う。特に小学生の場合は先生が言うことは正しいと思い込んでしまう
    から、先生がきっかけを与えてあげることで、そこから興味を持つ子はどんどん調べていくと思う。環境に関しては
    分からないことがいっぱいあるから、きっかけを与えてあげるのが一番なんだと思います。

結  :例えばリサイクルセンターやゴミ処理場に行っても、私が小学校の時は行って感想を書かせて終わりだったんです。     

友衣奈:私が取材した名古屋大学の先生は「日本でリサイクルしても意味がない」という意見を言われるのね。「そんな微量
    を回収しても、回収費や人件費が無駄だ」って。そういう反対意見を小学生に言っても判断できないでしょう?自分
    が小学生だった頃を思いだせば分かるけれど、賛成と反対意見を比べて「じゃ自分で考えてね」って言える状況では
    ないですよね。自然と触れあう感覚を大事にするというだけではだめなのかな?例えばフィンランドは自然が多いか
    らそれを利用してふれあいを中心にして教育しているらしいんだけど、どうしたら小学生には一番いいのかな。

里香 :例えばリサイクルサンターに行ったら、みんな頭では「リサイクルはいいこと」って思うだろうけれど、行く前にリ
    サイクルをいろいろな側面から見せる授業をしなければいけないと思うんです。車で運ぶ時に出る二酸化炭素の量も
    考えるべきだし、環境問題自体が何が原因なのかよく分かっていない面もあるから、いろんな面を教えることで子供
    たちが将来大きくなって興味を持つきっかけになったり、教わったことに対して疑問を持った子は調べていけるよう
    になると思います。絶対一つの側面には相反するものがあるから、そこもちゃんと見せていかなければならないと思
    います。

友衣奈:小学生にも、例えば二酸化炭素が車から出て良くないからバスを使おうとか言っているけれども、一方では暖かいこ
    とは別に悪いことだけではないということを教えるってこと?

里香 :そのためにも環境というしっかりした授業がないと、そういう細かいことまで教えられないので、私は環境教育を作
    った方がいいと思います。

■小さい子は好奇心旺盛

友衣奈:でもそれって中学校で習わないですか?小学校から取り入れて早い段階で知っておくのはいいかもしれないけど。

里香 :小さい子の方が好奇心が旺盛だから、中学生になると高校受験の準備で「環境の授業なんてどうでもいいや」となる
    と思うんです。基本的な理解を小学生のうちになるべく早い時点で持つ方がいいと思います。

優  :小学生の方が「あれはどうなの、これはどうなの」って不思議に思うことが多いような気がするんです。私自身、中
    学生になると不思議でなくなることでも、小学生の時はすごく気になって調べたことが多くて、疑問に思うことが多
    いから小学生のうちに触れることは大事だと思います。     

結  :小学一年の時はいろんなところに行ったり、自然に触れることがメインでいいと思うんです。でも小学校高学年は考
    える力がついているから、校外学習も、行くだけではなくて、そこから自分は何ができるかを考えることは大切だと
    思います。

■授業時間が足りない中の環境教育

友衣奈:現実問題として、授業時間数が足りないのにわざわざ環境の授業をやるのは難しくないですか?社会科などに計画的
    に取り込まれていたのを(環境だけを)一個切り離すと・・。      

里香 :私は中学生の時に、地域でゴミ拾いなど環境を考えるセミナーがあって、積極的に子供たちの環境意識を育てていこ
    うとする活動があったんです。ゆとり教育のなかで、環境の授業を作るのはムリかもしれないけども、地域と一丸と
    なって環境の活動を促進していけたらいいと思います。

結  :学校の土日の休みを利用して、学校で環境セミナーみたいな感じでいろいろ開いたりとか、参加者を募ってやったり
    とか。

優  :平日は多くの教科があって、いろんなことを考えなければならないから、土曜日の午前中だけは環境について考えよ
    うと決めることで小学生が集中して考えることができるのではないかと思います。

友衣奈:最近は、英語が「五・六年生は必修」といわれるなかで、英語を「そんなにやって国語は大丈夫なのか」という反論
    もありますね?そういうなかでさらに環境を週一回でも一ヶ月に一回でも増やして小学生にとっては負担になりませ
    んか?

優  :いま環境が世界的に大きなテーマで子供たちが大人になった時にどうなるかは分からないから、今から少しずつでも
    考えたり話し合ったりすることで、自分たちが将来どうしていくべきなのかが見えてくると思う。英語もこの先必要
    になることだから、必要になることをやっていくのはいけないことではないと思うし、むしろ必要なんじゃないのか
    なって思います。

友衣奈:でも重要なことはたくさん増えてくると思うのね、これから。減ることは絶対ない。教科はいま国語、算数、理科、
    社会があって、家庭科とか体育もあって、英語もプラスされて、さらに環境もプラスされて・・・、それでもいいと
    思う? 

里香 :私の場合は小学校が勉強に特化した学校ではなかったんです。中学は勉強をすごく一生懸命やる学校に入ったことも
    あって、教科も増えたし、やることも増えたからすごく大変になって・・・・小学一年生に言っても分からないでし
    ょうが、自分がやることっていうのはこれだけあって、今知らなきゃいけないことがこんなに沢山あるんだというこ
    とを分からなければいけないと思うんです。     

友衣奈:では中高の勉強の予習というか、一気に詰め込む型ではなくてだんだんやっていく方式として小学校でもいれていく
    ということ?

結  :環境教育はけっして今やっておいて損ではないし、むしろ得だし、自分たちの将来に関わってくることだから、そう
    いう時間を設けた方がいいと思う。

■親にも環境教育を

友衣奈:学校でやらなくても、例えば家で「ペットボトルの処分」とか「アルミと牛乳パックを分別しなきゃいけない」とか
    、そういうところから子供に「何で?」という疑問が湧いて、「それは焼却炉からダイオキシンが出るから」とかそ
    ういうふうに家庭で教えることってできませんか。     

結  :私は家であんまりゴミ問題を考えてなくて、学校の方が環境について学ぶことが多いかなと思います。

優  :家庭でやるとバラツキが出てしまう。親から教わることはすごく子供にとっては大きいと思いますが、やらない親も
    いるし、学校でみんな均等に知識がある方がいい。

里香 :私は環境の授業は作った方がいいという意見に変りはないのですけど、確かに家庭生活で親がすごく環境に興味があ
    れば、その子供も環境に興味を持つと思うんです。だから親に対する環境の授業も開いて、学校にまかせるだけでな
    くて、家でも環境教育ができるような状態にしたらどうかなと思います。

■企業の授業参加

友衣奈:今の小学校では、例えば三洋のエネループという「繰り返し使える電池」について企業が小学校に‘出前授業’にき
    て紹介するケース出てきています。そういうものだけだと足りないと思う?これは多分小五小六が対象なんだけど。

里香 :小五小六になると自分で考えることができるので、出前授業を受けて環境に興味を持てれば、自ら調べ出すと思う。
    学校で教えられなくてもテレビをつければ環境番組やCMが流れているし、いま環境問題を軽視している人はそんな
    にいないと思う。自分で何ができるかということだけをとりあえず教えて、学校だけでなくても地域や家庭でも教え
    ていければいいと思います。

優  :先生自身も、三洋の人がそうやって来て授業をしてくれると、深い話をより細かく知ることができると思う。そうい
    うものを見ることで疑問も生まれてくると思う。     

友衣奈:これは企業の宣伝ではないかとか、そういう疑問はある?

結  :宣伝とかの問題ではなくて、専門家が言うことに疑問を持ったらその人にその場で質問することができるし、そうい
    う場を持つことはすごく大切だと思う。現状だと社会科では環境問題でも地理的なことをやり、理科では二酸化炭素
    がどうなっているかを学び、それらを総合学習でつなげることもできる。

■多様な環境学習

友衣奈:では今の総合学習の時間の使い方には特に異議はないということですね。

優  :道徳などは「総合」の時間でやるしかないと思う。環境教育は、やる学校はやり、やらない学校はやらないのはおか
    しいから、そこは徹底して必ず含めなければいけないと思います。文部科学省が総合の時間に「必ず年に何回」とい
    う規定を作れば総合の時間の中なら取れると思う。そうでないと、やらない学校がどうしても出てくると思います。

友衣奈:出前授業は、やる小学校が限られているから、行き渡らない?

優  :行き渡らないし、環境の教育を「総合」のなかでやらない学校が出てくると思うから。

友衣奈:総合の時間はいろんなことをやり、その中で少しでも環境に触れあうとか、企業の人にきてもらうとか、そういう時
    間はとった方がいいということですね。今までの討論をまとめると、理想は、学校でしっかり環境の授業を作っても
    らうことだけれども、現実には時間が足りず教科が多すぎて出来ない。いま私たちがやってほしいことは、平等に文
    科省から「ここまで」っていう規定をもらって、それを絶対各学校でクリアすることと、家庭でも絶対的にこれは事
    実だとか認められていることを教え、賛否両論があるところも教えて、固定観念を持たないようにする。出前授業も
    いいけれども総合的な時間のなかで社会とか理科でやってきたことをつなげる授業をしてほしいということですね。   

                                                    以上 

カテゴリー
座談会

何故みんな同じ格好をするの?

個性の出し方が難しいのか、目立ちたくないのか、成人式や就職活動で若者が同じ格好をする日本独特の傾向を5 人の高校生、大学生、卒業生がホンネでトークした。

出席者:曽木颯太朗 (記者、新高三)、浅見浩平(ユースワーカー、新大学二年) 畔田涼(記者、新大学一年)、
秋津文美(ユースワーカー、新大学四年)、 司 会:三崎令日奈(ユースワーカー、新社会人)
2009/03/29

令日奈:まず、入学式や成人式、卒業式にどんな格好で行きましたか?

文美: 大学の入学式には近くのアオキで買ったスーツでした。黒です。
     成人式には振袖を買ってもらいました。
     卒業式には大学に「貸し袴」も「販売」にも来るので、女子大だし、
それを友だちと見にいこうと言っています。

涼:  私は4月に入学式を控えていて、友人と相談し就職活動も使える
黒のスーツを買いました。二年後の成人式には振り袖を着る予定です。

浩平: 大学の入学式は近所で買ったスーツでした。成人式では袴で行く予定です。

颯太朗:まだ大学の入学式まで一年ちょっとあるのですが、
正直何も考えていないです。

伝統vs個性

令日奈:周りがスーツならばスーツで行きますか? 

颯太朗:それが普通ではないかと思って。ただ着物は着ないと思います。

令日奈:私は商業主義に乗せられていないかと思い費用をかけなかった。
就職活動は入学式で着たスーツに白を合わせたら没個性になるので、
青のシャツにしました。卒業式もみんなが袴で来ると思ったので、
母親の昔の振り袖を着ました。私はこれでいいと思っていたのですが
文美ちゃんや涼ちゃんは自分が納得してそういう格好をしてたの? 

文美 :祖母が振り袖を買ってくれたんです。
    
令日奈:涼ちゃんは?

涼  :個性を出したいから、黒でなくてストライプが入っているスーツを
     買おうと思ったけれど、友人と話すと就活でも使えるものを買う人が
     多かったので自分の「個性」はあきらめました。

店員さんに言われて

文美: ストライプのスーツは就職では使えないの?

涼 : 店員さんにそう言われました。

令日奈:そう、店員さんに言われるんですね。
「ふつうそれは無いですよね」と。実際に私の就職活動では、
よほど堅い業種以外はストライプでもかまわなかった。

涼:  こうやって先輩の生の声が聞けるといいけれど、
     店員さんの言葉を鵜呑みにしてしまう現状がある。

文美: 「皆さん買われないですよ」とか言われたらそうですね。
男の人はスーツを買ったんですね。一番相談したのは誰ですか? 

浩平: 母と買いに行きました。母は「二つボタンより三つボタンがいい」と言い、
ぼくは「そんなの知らん」という感じだったのですが、
僕が着やすくて、華美でなく、線が入ってないものを選びました。

颯太朗:おそらく買う時は両親と行くと思います。

あなた一人だけの卒業式じゃないの

令日奈:文美ちゃんがさっき言った祖母の思いとは?

文美: 祖母は呉服が盛んな地域の人で、晴れの日には着物を着せたいと
     いうのでお祝いしてくれる気持ちを大事にしようと思いました。
金銭的には大変な負担だった思います。

令日奈:それと似た話で、私の友だちが「袴のお金で他のことをしたい」
     とお母さんに言ったところ「あなた一人だけの卒業式じゃないのよ」
     と言われたって。それには私も納得して、記念写真を撮る時に一人だけ
     スーツ姿になってしまうし、お世話になった人もいるわけだから、
「あ、そういう考え方もあるんだ」と私は思いました。

リクルートスーツ

文美: リクルートスーツを自分で買いました。
     正直なところ「学生で五万円の服買うの?それって身の丈に合ってる?」と 
     考えてしまいます。しかも一着、二着、就活本によると三着とか。
鞄は一万円、靴も一万円が二足でしょう?バイトは時給が千円ないのに。

令日奈:黒の上下で五万円というのは注文のこと?

文美 :いいえ丸井などで上着が三万円、スカートが二万円。
私はスカートだけで通していますが、女の子だとズボンもあるから、
一つのコーディネートで七万円くらいかかってしまう。

令日奈:究めつけは就活バッグよね。絶対に仕事では使わないような
     真っ黒のA4書類が入るバッグで、さらにチャックが付いて・・。

文美: それでいて、なかなか物が入らない・・。

令日奈:理由は、面接で他の企業の案内書が見えるのはまずいから
     チャックが付いているんだって。

文美: 会社員になって人に接する営業職ならば仕方がないと思うけれど、
私は身の丈に合っていないと思います。

浩平: 僕は身の丈に合っていないとは思わない。
人はそれぞれで、スーツを親に買ってもらえる人もいれば
バイトで月に何十万円も稼いでいる人もいるので、
彼らにしたら決して身の丈に合っていないとは思わない。
僕も月に十万円近く稼ぐことがあるのでそんなに苦にならないかな。

文美: 勉強する時間や本を読む時間、友だちと遊ぶ時間を全部削って稼いだお金が、
ほとんどそれに流れるのをどう思いますか? 
プラスアルファには何もならないんですよ。

令日奈:文美ちゃんが言っているのは働いたバイト代が、例えば
自分のためにバックパッカーで旅に行く費用にもなり得たのに、
無個性なスーツに消えていくのが空しいということ?

文美: それもありますが、高すぎるんじゃない?という単純な感想です。
それが標準になっているのは大変なこと。

令日奈:私の友だちは卒業式の袴と写真撮影代とヘアメイク全部で五万円
かかったんだって。その五万円衣装は午前中で脱いでしまうのね。

レンタル20万円

文美: 成人式の着物のレンタルなんか、友だちが二十万円のを借りたって。

浩平: それって悪いことなんですか?

令日奈:考え方だと思う。逆になんで悪くないと思う?

文美: 価値があると思うんでしょ。

浩平: 自分がこういう服を着たい・・今持ち合わせがなく親が出してくれるなら
僕はいいと思う。二十万かかろうと、二十万の価値があると思うなら
     本人はやるべきだと思うし、それで潤っている人もいる。

令日奈:例えば面接で自分のカラーを出そうとしたときに、今までそうやって
「全部そろえてもらってきた」としたら、うまくカラーをだせる人は
あまりいないのではと思う。

目立たたないためのコスト

浩平: 目立たないようにするためにみんな同じ格好をするんだと僕は思います。

令日奈:浩平くん自身の意見は?

浩平 :僕も目立ちたくないので同じような格好をしたい。
「あいつ目立ちたいんだ」というレッテルを貼られることがイヤなので、
「別に同じ服を着ていればいいではないか」という考えです。

涼:  私は成人式でワンピースを着るつもりで高いバッグを買って一生使おう
と思っていたんです。それが振り袖に変わったのは、まわりの人から
「成人式に振り袖を着ない子は浮くよ」と言われるんです。
個性を発揮すべき場なのか、すべき場じゃないのかというのが大切だと思う。
パーティでは自分が目立ってもいいかもしれないけど、成人式は
「振り袖は買わない」というポリシーがあったとしても、私だけの式
ではないことを考えると、「目立たないため」ではなくて、「好き勝手
な服を着ることができない」から、みんな同じ服を着てしまうんじゃな
いかと思います。

没個性はメリット?

令日奈:目立ちたくない理由は「あいつ目立ちたがってああいう格好している」
     と思われたくないのが一番の理由ですか?

浩平: そうですね。「どうせあいつ目立ちたがり屋だろ」と言われたくないのが
僕のポリシーなので、個性的な格好をするよりは没個性的な方が得だと
僕は思います。

令日奈:自分にとって得?

浩平: はい。

令日奈:では普段の生活では個性を自由に出していますか?

浩平: 着たい服を着ようと思っていますが、基準はあまり「個性的だな」
と言われず、「流行に乗ってる」とか「みすぼらしい」とか、
どれも言われない格好をしようと心がけています。

文美: 目立たないことで何かメリットがあるんですか?

浩平: 少なくともデメリットがないと思います。

令日奈:成人式や卒業式で、みんなが「リスクの少ない」ということに
     労力とお金をかけているのはすごいと思う。
     「なんで袴なの?」とか「それに五万円もかかるんだ」と私が反応しても、
「まわりがやっているから仕方がない」という答えが返ってくる。

文美: 私は女子大ですけど、入学式に真っ白なスーツで来た子がいるんです。
     「ああそれって選択だな」と私は思いました。
     他に白いスーツで来た子は何人かいましたが今も固まっているの。
     ブランドバッグを持ってきた子も集団で固まっている。
     嗜好は人間にはあるし、別にそんなに合わせなくていいと思う。
     自分で私はこれで行くと主張することで生きやすくなることもあると思います。

外見で決まる?

令日奈:以前CEの取材で女性誌の読者モデルに来てもらったところすごい格好で
     現れたの。髪の毛なんかこんな感じだし、お化粧も濃くて・・・。
     その人が言うには「外見で人を判断する人は私に寄って来ないから
     この格好はいわば“第一関門”。外見で判断しない人だけが私とやっと話す」
     と言っていたのを思い出しました。
     いま文美ちゃんが言っていた「自分は白いスーツを着る目立ちたい人間です」
     と主張することで、そういう人たちと四年間仲間でいられた・・。
     それは居心地がいいのかもしれないね。
    
文美: きょう私が感じたのは、目立たないためとか、目立つためとか、
     その人なりに一応考えてそういう格好をしているのかなということです。
     ただリクルートスーツが毎年毎年あんなにおいてあるのをみると、
     そういう産業が成り立っているのだということも考えました。

令日奈:仮にリクルートスーツというものが世の中から無くなって、
     あなたが選んだ格好をしてきてくださいと言われたら?

文美: ある会社では全身写真が必要なのですが、「リクルートスーツはやめてください」といわれてみんな迷ったようです。ある程度の指針があった方がいいかもしれません。私は、リクルートスーツはラクだと思っています。
     だって洋服だけじゃないでしょ、個性を発揮するのって。
    
浩平: 会社に入ったら服装を自由にしたいですけど、
     僕が就職活動をするにあたってはスーツの方がラクですね。

令日奈:それはなぜ?

浩平: 服装だけで見えてくる部分もあるでしょうし、ぼろ切れみたいな服を着てきたら見る側(人事部)としてはおもしろいでしょうが、僕はそういうふうに選別されたくないです。

令日奈:それはなぜ? お金がかかるから?

浩平: どんな服を着たらいいのか、何が求められているのかを考えない
     リクルートスーツの方がラクだと思うので僕はいいです。

個性を主張できる社会に

文美: でもやはり考えないのはよくないと思います。
     例えばシャネルに受けに行くのにリクルートスーツで行っても通るらしい
     んです。でもファッション業界に行くのにリクルートスーツ?
     「個性が発揮できると若者が思える社会」でもいいのではないでしょうか。

令日奈:学生がリクルートスーツやバッグも靴もそろえるのは、少なからず
社会の習慣を反映しているのかな。
     日本社会の「目立たない方がいい」、リスクかからない方がいい」という考えと
価値観が少なからず学生の動きにも影響していると思いました。

文美: 社会を見てそうしているのではなく、「知らなすぎて」そうしている気がします。就職活動などもほんとにそう思う。
     いかに親との関係が希薄で、いかに世の中を見て来なかったか、
     だからどの程度まで自分の力が個性を発揮できるかわからない。
     お化粧でも表現できないし、企業のエントリーシートや面接でも個性を発揮
できないのは、私もそうだけど、世の中といかに関わって来なかったのかと
いう点だと思います。

令日奈:確かに私もCEの大人のスタッフの話を聞かなかったら、
     「黒じゃなきゃいけない」と思っていたかもしれない。
     店員さんに惑わされない自分の考えや、まわりの助言は必要ですね。
       (完)

カテゴリー
座談会

大学へ行く意味 ~なぜ大学へ行くのか~

大学へ行く意味は時代によって、国によって大きく異なります。もちろん個人の事情もあります。日本の若者は大学へ行く目的、あるいは青年期の4年間をどのように使おうとしているのか、高校生、大学生、そして高卒で就職したCE記者6人が本音で語り合いました。

井上麻衣(19社会人)、藤原沙来(19大学2年)、畔田涼(18高校3年)、三崎友衣奈(17高校2年)、建部祥世(17高校2年)、秋津文美(21大学3年・司会)
2009/03/01

■率直な志望理由

文美 :高校生の祥世ちゃん、涼ちゃん、友衣奈ちゃんは

    大学へ進学志望だそうですが率直な理由は?

祥世 :将来は海外で仕事がしたいので

    しっかりした学歴が必要だと思いました。

涼  :英語の学習をもっと深めたいのと、

    就職の時に大卒の方が有利ではないかと。

友衣奈:社会に出る前に、実践的に使えるものを大学で学びたい。

    大学へ行かないと就職できないなというイメージがあります。

文美 :大学に行かないと就職できないのではという考え方に

(高卒で就職した)麻衣ちゃんはどう思いますか?

麻衣 :私も高校二年までは大学に行くと決めていたので、

まさかこんな道(注:化学メーカー)に入るとは・・という感じはあります。

大卒でないと就職できないと思っていたけれど、

こうやって就職しているので、‘できる’というのが現実です。

文美 :会社では大卒の人と、高卒の人は同じ仕事をするの?

麻衣 :大卒よりも大学院卒とドクターが約 95 %です。

    研究職なのでそうなります。残りの5%が四年生大学卒と高卒です。

    高卒は 10 年ぶりに採ったそうですが同じ仕事をしています。

文美 :仕事は変わらない?

麻衣 :自分ががんばれば変わらないと思います。

■世界には色々な生き方がある

涼  :麻衣ちゃんは、どうして進路を変えて就職しようと思ったのですか?

麻衣 :学歴がないとダメだぞ!と思っていました。

    でも私は世界の人に興味があって、世界には「学歴」でなく、

フリーで活動している人も多く、いろいろな生き方があるのだと感じたの。

そうしたら、大学へ行かなくても働けば同じように生きていけるし、

楽しい人生は自分が選ぶものだと思えてきて、ころっと 180 度変わりました。

祥世 :今の仕事は自分が希望した仕事なんですか?

麻衣 :希望しました。将来を考えた時にこれをやりたいって思っているから。

文美 :沙来ちゃんはなぜ大学に行ったの?

沙来 :専門知識を得たいと思いました。本でも勉強はできるけれど

    教授の経験を通しての話や、友人からの刺激など、

    そういう環境にいることで得るものもあると思い大学に入りました。

文美 :大学でできる人脈や友だちは大事ですか?

沙来 :そうですね。自分一人で生きていては絶対に出会わないような

    色々なコネクションができるのが強みだと思います。

友衣奈:就職にコネは絶対条件というイメージがあって、大学には行くものだと

    思っていましたが、いま高校二年生になって考えると、

このままあと一年で社会に出るのはすごく不安です。

麻衣ちゃんがそのまま就職した勇気はすごいなと思います。

麻衣 :私は社会人というカテゴリーに自分がいることに実感がないの。

    周りは大学院卒やドクターが多いから、よけい学歴の差を感じて

    ジレンマになるのだけれど、先輩たちが教えてくれる。

    それをコツコツ勉強して学生気分で仕事をしている感じなのです。

    社会人って言われるとびっくりします。

■大学は自分探しの場所?

文美: 私の経験では、大学は知識を詰め込むところではなく

    考える場所なのです。

知識は会社に勤めながらでも得られると麻衣ちゃんが指摘しているし

高卒でも就職できる。それでもあえて大学へ行こうと思う皆さんが

大学を出た先に描くビジョンってどういうものですか?

涼  :大学では自分探しの時期として利用したいと思っています。

自分探しのためだけに親のスネをかじって大学に行かせてもらう

のだけれど、でもやはり私にはそういった時期が必要です。

今どの職業に就きたいっていう明確なものがないので。

麻衣 :とてもいい意見だと思います。

    高校卒業までにみんなが就きたい職業が決まっているかと

    言われたら絶対そうじゃないし、

    一生の事だから焦って決めなくていいと思う。

友衣奈:大学生って、社会人みたいなことをする人たちもいるでしょう?

    社会人予備軍的な存在なのかと考えるのですが、どうなんでしょう。

沙来 :私は、大学に入ってから「自分探し」では手遅れかなと思う。

    なぜかというと私は勉強したくて入ったからすごく嬉しいし、

    学ぶのが楽しい。フラフラしていたら四年間しか大学はないし、

    将来や自分を見失うと思うので、自分のやりたいものに絞って

    やった方が有意義になると思います。

友衣奈:沙来ちゃんに質問です。

    例えば「自分には夢とか興味が何もありません」みたいな人が

    「とりあえず大学行くか」といって行くでしょう?

    そういう人はフラフラしがちで・・・

    大学に行く価値ってどんなものものだと思いますか?

沙来 :目的を持たずに成績によって入ってきた学生も実際にいます。

    授業を受けながらサークルに入って・・でも単位を取るために

    勉強しなきゃいけないし、みんな義務感を持って勉強しているのが現実なの。

フラフラしているようでも自分なりに目標を立てているのが今の大学生かな

と思います。

■社会の風潮に洗脳

文美 :でも本当に目標もなく大学に行く人もいますよね。

親も「大学を卒業しておけばとりあえず就職とかの間口も拡がるから」

みたいに言う。私立で年間 100 万円の授業料。国立でも 50 万円以上でしょう。

それに対して何か意見はありますか? 

沙来 :日本がそういう社会なのです。四年制大学を卒業してないと採りませんと。

例えばギャップイヤー(例:高校卒業して 1 年間海外でボランティア活動)とか、わずか一年間のことで「何をやっていたのか」って言われて、

それでもうマイナスになってしまう。

日本の企業に入りたいなら四年制大学を出るしかないっていう感じです。

麻衣 :そういう風潮が日本は強いです。大学へ行かなくちゃ就職できない

    みたいな固定概念がある。社会の風潮に私たちの考えも洗脳されている

    感じがします。

■仕事にニーチェはいらない?

友衣奈:私の姉は就職したばかりですけど、友だちと似たような会社を

    とりあえずたくさん受けて、内定をもらったところに行く・・。

就職目的は各人が違うのに、結局はみな同じようなところを受けて、

そういう企業に入っていく。

同じ進路になってしまうのがすごく疑問なのです。

よほど専門的な道を選ばない限り受ける企業も同じっていう。

文美 :確かに文系で就職しようと思うと総合職か一般職で、

    ある程度専門的になるのは会社に入ってからです。

    仕事に歴史の知識や文学部の知識とかニーチェはいらないから、

    大学で違うことをやってきても同じ仕事に就くでしょうね。

友衣奈:それを否定しているわけじゃないんですけど。

沙来 :でも大学で学んだ経験や知識はみんな違うし、

    自分が興味あることをやってきたわけだから

    仕事のためにならなくても、就職するときにアピールできたり

    自分の興味のあることを伸ばせるし、それは無駄ではないと思います。

友衣奈:就職を最終目的としているのではなくて、

    自分のやりたいことをもっと吸収できる場所っていうこと?

沙来: 例えば現代社会を学んでいる人たちは一般的な企業に就職するしか

ないかもしれない。でも確かに彼ら彼女たちは現代の社会問題を

大学で学んできた。

    私は児童問題についてしか学んでいないので、会社に勤めてから

    生かせる部分もきっと違うだろうし、将来大人になってからも

    生かせる部分が違うと思う。だから何かの目的を持ちつつ

自分が学びたいことを学ぶのが一番いいと思います。

■大学・就職・人生

文美 :大学に行くのは就職に有利だと、そこまでは否定しないでおきましょう。

 今ちょっと思ったの、

 人生のなかでは、生きる喜びが必要かなと。

 仕事には別にチェーホフとかはいらないから、大学はまったく楽しみの

ために行くもので勉強と仕事は違うと思っていたのですが、

 みなさんは大学で得る知識を仕事で生かそうと思っていますか? 

涼  :楽しみにプラスして、例えば自分のスキルアップをするために資格を

    取る期間として利用してもいいと思う。

文美 :それはそうだけれど、就職の先に何かないの?

    大学で学んだ事が母親、父親になった時に生かされるとか。

    お金を稼ぐだけじゃなくて国際的なことやボランティア論や起業など

    大学ではいろいろある。でも大学で取った教員資格が使えなくなったり

するし、 TOEIC もある程度の点数がないと意味がない。

    やっぱり不況を意識しますか?親からも就職の話を言われますか?

友衣奈:「どの大学行っていいかわからない」と言うと、

    「大学行ったらコネがすごいのよ」とか言われるので、

    やはり就職につながっているものだと思ってしまう。

祥世 :私は別に親からこの大学に行ってとか、この仕事をしろとか

    全然言われません。ただ自分の将来やりたいことがあるので、

    そのためにまず大学で知識をちゃんと学びたいのです。

    大学で学んだことは就職した後にも絶対生かせると思うし、

    学んだことを生かせる仕事に就きたいと思っているので、

    やはり大学は就職のこととつなげて考えます。

■目的があれば将来につながる

文美 :私と同い年の CE の元記者が、一番行きたかった大学に入ったのです。

ところが入ったら授業があまり興味をかき立てられなくて、

まじめに勉強する学生が少ないという話を聞いたの。

彼女はすごくショックを受けたらしい。

友衣奈ちゃんが入手した統計では 2007 年の高卒者は 114 万 7 千人。

そのうち 58 万7千人が四年制の大学に進学するそうです。

数十万人は大学へは行きたいのに経済的理由で社会人になる

という現実もあります。

58 万人の大学進学者がどれだけ考えているのか疑問ですよね。

友衣奈:私はきょうの話を聞いて大学でやったことがすべて就職に

    つながるわけではないことがすごく新鮮でした。

    目的があれば、大学は将来につなげるために学ぶ機会になり、

    目的がないなら、まだ学生でいたい人たちが行くのかなという

    弱い部分も見えたのでよかったと思います。

涼  :沙来ちゃんの話を聞いて、入学時にある程度目標を持っていないと

    大学は四年間しかなく自分の好きなことができる時間は短い。

    新たにそういう発見があったのでよかったと思います。

祥世 :麻衣ちゃんは高校三年生から短い期間に自分の夢をしっかり確立して

    すごいと思いました。私は将来やりたいことが決まっていないので、

    大学でそれを見つけに行くのも「あり」で、

    結局は自分次第で良くも悪くもなると思いました。

沙来 :私は、大学生になったらやりたいことがあったから今の学部を選んだし、

講義を休んでまで行きたいところがあったから行ったりしています。

 それを理解してくれる教授がいればネットワークも拡がるし、 

 ほんとうに将来一番自分を形成できる場所だと今すごく実感している。

 ただ勉強するだけじゃなくて、いろんな刺激を受けながら、

 自分のやりたいことを絞っていけるいい場所だと思う。

 就職のためにも、日本では大学に入っているといいのかなと改めて思いました。

麻衣 :大学へ行く理由とか、就職する理由の答えはないのです。

    ただ同じ四年間でも働いているか勉強しているかというだけで、

    結局はその人ひとりひとりの人生なのです。

    CE 記者をしていると、情報に流されるな、鵜呑みにするなとよく言われます。

    大学に行ってもまわりが遊んでいるから、それに流されないようにする、

    社会が学歴を求めているからといってそれに流されたりしない・・。

    自分らしくあれば環境はどうであってもいいのかなと思います。

文美 :その場その場の環境で学べばいいという感じでしょうか。
それぞれに大学へ行く意味が見いだせたところでラウンドテーブルを終わります。

関連記事
・大学へ行った意味
高校時代とは違い自主性が求められるのが大学生活です。
授業、部活、アルバイト、そして就職活動。
いまの大学生が何を思い4年間を過ごしているのか、
高校生から大人まで知っていて欲しいディスカッションです。

カテゴリー
座談会

大学へ行った意味

大学へ行く意味は時代によって、国によって大きく異なります。もちろん個人の事情もあります。日本の若者は大学へ行く目的、あるいは青年期の4年間をどのように使おうとしているのか、高校生、大学生、そして高卒で就職したCE記者6人が本音で語り合いました。

出席者: 清水菜々子( 21 ) 、田村綾子(19)、川口洋平(19)、 司 会:三崎令日奈
2009/02/28

高校時代とは違い自主性が求められるのが大学生活です。
授業、部活、アルバイト、そして就職活動。
いまの大学生が何を思い4年間を過ごしているのか、
高校生から大人まで知っていて欲しいディスカッションです。

参加者の2009年3月現在のプロフィール
三崎令日奈(22)
私立大学総合政策学部4年。体育会ラクロス部女子にも所属し
在学中に国際青少年メディアサミット(米国、ロサンゼルス)と
大学生G8模擬サミット(ドイツ)の日本代表を務めた。清水菜々子(21) 私立大学経済学部3年。
2007年年女子U19ラクロス世界大会(カナダ)日本代表、
2009年女子U22ラクロスアジア大会日本代表に選抜される。
        
川口洋平 (19)
私立大学人間科学部1年。グリークラブ、ボランティア活動などで活躍中
                  
田村綾子 (19)
私立大学人間社会学部1年。テニスサークル、ボランティア活動などで活躍中

高校時代と違う大学像

令日奈:1月にCE記者が開いた「大学へ行く意味」のRTで高校生たちは
大学生活について想像をしていました。皆さんは高校時代にイメージした
大学生活と、現在との間にどんな差がありますか?

洋平: 「大学生は勉強する人がいる一方で大半は遊んでいるのではないか」
     と思っていました。確かにそういう人は多いけれど遊びを通じて人と付き合う
方法や、場の雰囲気を盛り上げる方法などを学んでいるように思える。

綾子: 高校時代に漠然と将来やりたいことがあったので、
     第一志望の大学、学部、学科もその基準で選んで、頑張ろうと思っていた。
     でも違う大学に入り、違う学問を学ぶことになりました。
     その結果興味の幅が拡がり、やりたいことも変わった。
「勉強」という思いよりも、「紙だけの勉強にとどまらず色々ところで
勉強しよう」という気になりました。

菜々子:大学で一番思うのは、自主性の部分が大きくて、
     授業に行かないで寝るのも、勉強やサークルを頑張るのも、
     選択肢のひとつで、自主性にまかされている部分が
高校時代に思い描いていたよりも強いと感じました。

令日奈:私は大学=勉強であり、サークルは勉強のおまけと思っていた。
     就職も決まった今考えると、勉強よりも「人との付き合い方」、
     「チームの中での役割」という人間的な部分が就職活動で問われるのだ
     と思いました。
    

一生つきあえる友人を得た

令日奈:つぎに、皆が実際に大学へ行って得たものは何ですか。

菜々子:私が得たものは部活での経験がすべてです。
     普通の生活では築き上げられない信頼関係や、
     一生付き合えると思える頼もしい友だちができたこと。
     70人のチーム全員で一つの目標に向かって頑張ることは
     社会人になったらできないと思う。その二点です。

綾子 :女性が働くことなどの話を聞く機会が増えて自然に自分の興味の幅が
拡がったのは授業や勉強がきっかけです。
     でも大学生活で得たものは、自分が属する各コミュニティーにおいて、
自分はどうあるべきか、今何をすべきか等を今まで以上に考える習慣が
ついた事かな。
    
洋平: 大学に入ってからの方が勉強を熱心にするようになった。
     高校までは興味のないものも嫌々勉強したけれど、
大学では自分のやりたい学問を中心にできるので成績も良くなりました。
やる気も高いです。大学には留学生も含めて何万人もいます。
     だから様々な人とのつながりを得ることができた。

菜々子:補足します。さきほどの私の発言だと私は勉強嫌いかと思われるかも
しれないけれど決してそうではなくて、出席する授業は面白いし、
興味が拡がりすごく役に立っているので時間の許す限り出たい。
    
令日奈:最近受けたおもしろい授業って?

菜々子:金融投資サービス論です。みずほ銀行や野村證券から外部講師を招いて
話を聞き、講義後にまとめを書いていると自分が経済学部にいることを
実感します。一、二年時のマクロ・ミクロ理論は退屈でしたが、
     三、四年になって実践的な部分を学ぶ機会ができたので捨てたものでは
ないなと思います。

部活の意義

令日奈:高校生からみると、部活が授業よりもプライオリティが高いところに
     あるのが分からないと思うけど、それが大学ではできるのですね。

菜々子:できますね。自分次第ですね。試験をがんばらないと進級できないし、
     単位はちゃんと取るべきですけど、部活をやっている人は多いです。

令日奈:就職に直結しないけれど面白い授業がたくさんあって、
     そこでディスカッションし、先生の話を聞いて学んだことは
     自分の考えを整理するのに役に立ち、自分に残るものです。

    部活では今までの自分の友だちにいなかった負けず嫌いな人が多く、
例えば自分が一番になりたいとか・・・。
     これは自分に無かった部分なので大きな刺激をもらいました。
     授業では、将来の夢に向けてすごいビジョンを持っている人が
     いてそれも刺激になりました。
     どっちもいいところがあって、自分もがんばらねばと思いました。
     ゼミでは自分の意見の裏付けをとることが必要で、それは
     高校までとの大きな差です。そのために本を何冊も参考にし、
     数字を間違えてもいけないし、厳密になってきました。
   

就職のための大学?

令日奈 高校生のRTでは、大学は就職するための場所?という意識が
     高かったけれど皆さんの意見は?

菜々子:大学で自分のやりたいことが明確にある高校生は珍しいと思う。
     それがある人は希望通りの大学を選べばいいと思う。
     たいていの人は何となく、まったく分からないよ、みたいな感じだと
     思うので高校生で将来の就職への意識があることにはびっくりしました。

綾子 :私も、どこかいい大学に入っていた方が就職は有利というイメージでした。
     でも興味の幅を拡げるうちに、「自分次第だ」と思えてきました。
     女子大は一般職が多いとか、金融関係に沢山行っているなどと言われますが、
     内側を見ていると、結局は自分の興味と判断で就活するのだと
割り切るしかないというのが二年間大学へ行って思うことですね。
    
令日奈:「就職がいい」という一言にはウラがあるということですよね。
     一般職が多かったり特定の会社に沢山入っていたりとか。
     就職がいい=希望の会社に行けるとは限らない・・それは同感です。

洋平: 高校生が就活を考えているのは意外でした。僕なんか高校生の頃は
     全然考えていなかったし、今もそうです。
     高校生は、たぶんあの大学に入れれば・・と考えるのだと思うけれど、
     大学を名前で選んで文学部、法学部、商学部を全部受ける人が
けっこういます。何がやりたいんだ!と言いたいです。
     名前やランクを気にせずに、法律をやりたいなら法学部を色んな大学で
受けるとか、そういう受験をしてもらいたい。
     そうでないと大学の授業もつまらないですよ。

令日奈:「大学生G8サミット」などの機会に話をしたのですが、
海外の人と「専攻は何なの?」という話題になると、
     国際関係だったら本当に国際関係の学問のことを指すんです。
     日本で「学部どこ?」と聞くと、キャンパス内の雰囲気を指している気がする。
     例えば経済学部は経済学部というカラーというかイメージ・・
あそこは勉強が大変そう、あそこは遊んでいてもラクそうとか、
大きい大学になるとあるんです。その反面、大学院生をみると
専門知識をつけるには学部の四年間では足りないのかなと・・。
  
菜々子:専門的にやるには四年間では足りないと思います。

令日奈:高校時代私は国連に興味があったのだけれど、
     国連職員って学部生は採らなくて、大学院生からなのです。
     その意味がすごくよくわかりましたね。
    
菜々子:どの大学の何学部を受けるかは重要な選択だと思う。
     私自身、文学部以外の経済・商・法を受けました。
そういう人も多いはず。それが悪いというわけでなくて、
     興味がないと思っていたところでも意外に面白い発見ができます。
     それが将来就職するときの一つの指針になる。

令日奈:例えば「開発」ならば、経済学部でも法学部政治学科でも、
     私が行っている総合政策学部でもそれぞれの切り口で勉強できるし、
     建築も理工のほかに環境情報などの視点から勉強している人がいます。
     要は切り口で自分のやりたいことを持って欲しいということですよね。
    
大学名より自分の力

令日奈:たくさんのエントリーシートが送られてくる企業では
     大学名を見ている暇はないとバッサリ言われました。
     だから逆に大学名に甘えていると採ってもらえないよと。

洋平: 大学名を見ている暇はないって何を見ているんですか。

令日奈:最終面接になれば人数が少ないから見る暇はあるけど、
     流れるように人が入ってくる一次面接では大学名だけで
    「この子いいな」と思う暇はないそうです。一部の企業の話ですけど。

菜々子:私はいま就職活動のまっただ中です。学歴は重要だと思うけれども、
     それは選考の最初だけで、最終的に大学名で選ばれるとは感じていません。

令日奈:大学名だけで採用される人は一人もいないということですよね。

菜々子:大学名、それにプラスして人間性が高く評価されるならば、
     その人は採用されるだろうし、
     大学名があまりなくてもできる人はたくさんいます。
     だから自分の見せ方次第なのかな、大学名に甘えていたら結果は出ない。

綾子: 結局は自分による。

菜々子:就活時には、けっこう自分を振り返るものです。
     今まで適当に生きてきた人、周りに流されて生きてきた人よりは、
     これをやりたいから、ここに入ってしっかりやるとか、
     この勉強をしたいから、しっかり学んだとか、
     自分の意志で行動した軸がしっかりした人を企業も欲しいのかな。

令日奈:私は国連に本当に行きたかった。
     でも国連に入るには大学院をでるか実務経験が必要なことを知り、
     国連は大官僚組織で動きが遅いといった不都合な点も知った。
そんな過程でいま自分が行ける企業が手の届くところにあったんです。
     この間台湾に旅行したんですけど、日本の機械メーカーが数多く進出していました。それを見ていると、国連オンリーよりも、民間企業に入って海外マーケティングや海外営業をすれば、
     自分がやりたい仕事がもうできるじゃないかと思って、
     とりあえずそっちの道に進もうとしたわけです。
     決して大企業だから受けたわけじゃないんですね。そこを理解してほしい。

洋平: 気づくことができたのは、大学で色々なことを学んだからですね。

令日奈:そうです。勉強で世界と張り合おう

菜々子:今までの発言と反対になるかもしれないですが、
     日本の学生はもっと勉強してもいいと思います。
     アメリカの学生に「なぜあなた大学に行っているの」って言われて、
     明確に答えられる人はそんなには多くない。
     世界の学生は大学に勉強という目的で来ている人が多いと思う。
     色々な選択肢がある日本の大学はすばらしいけれど、
     勉強をもうちょっとした方が張り合えるのかな、世界に。
    
令日奈:勉強していないって、どこで気づくんですか?

菜々子:フェイスブックとか。

令日奈:アメリカ版ミクシィみたいなものですね。

菜々子:日本の高校生が金銭的に恵まれて、親の収入で大学に行ける環境が
     いっぱいあるから、それも一因だとは思うんですが、
     せっかく入るなら少しは勉強した方がいいと思います。

綾子: 私は大学へちゃんと行って勉強はしていますが、
     「日本の大学に行きたい」と言って日本語を勉強している人を
     知っているんです。でも自信を持って「日本の大学来なよ」って
     言えないのがあるんですね、だからやっぱり勉強を是非してくださいと
     みんなに言いたい。
   
令日奈:「単位が足りているなら大変な授業取ることないじゃん」とか、
     「大変でない授業を取って要領よくやりなよ」と言う人がいる。
     でも私は面白いと思った授業を自分の為になるから受けようと考えました。
     自分の能力や適性は周囲からの見方ではなくて、
     フットワークを軽くして自分がしたいと思うことをやれば充実した
     大学生活が送れます。だから大学受験でも何でも「誰々にはムリだよ」
     という忠告を聞いてはいけないということです。

綾子: 可能性を自分で潰す行為はしてはけない。

令日奈:最後にひと言ずつ感想をお願いします。

菜々子:大学では自主性が求められると思うので
     自分で考えて行動できる人間になれるようにがんばってください。

綾子: 優先順位は人それぞれです。だから自分自身によく問いかけて
     いろいろなものに熱中してみてください。

洋平: このRTをやって、自分自身もこれから大学生活をどのように
過ごしていくかを考える、いいきっかけになりました。

令日奈:私はもう大学生活は終わるのですが、
     入学時と価値観も変わり、それが一番得たことと思います。
     自分の考えが揺さぶられるような友だちや目標を見つけられれば、
     遊びでも勉強でもクラブでも充実した生活が送れるすごくいい時だと思います。
    (完)高校時代と違う大学像

令日奈:1月にCE記者が開いた「大学へ行く意味」のRTで高校生たちは
大学生活について想像をしていました。皆さんは高校時代にイメージした
大学生活と、現在との間にどんな差がありますか?

洋平: 「大学生は勉強する人がいる一方で大半は遊んでいるのではないか」
     と思っていました。確かにそういう人は多いけれど遊びを通じて人と付き合う
方法や、場の雰囲気を盛り上げる方法などを学んでいるように思える。

綾子: 高校時代に漠然と将来やりたいことがあったので、
     第一志望の大学、学部、学科もその基準で選んで、頑張ろうと思っていた。
     でも違う大学に入り、違う学問を学ぶことになりました。
     その結果興味の幅が拡がり、やりたいことも変わった。
「勉強」という思いよりも、「紙だけの勉強にとどまらず色々ところで
勉強しよう」という気になりました。

菜々子:大学で一番思うのは、自主性の部分が大きくて、
     授業に行かないで寝るのも、勉強やサークルを頑張るのも、
     選択肢のひとつで、自主性にまかされている部分が
高校時代に思い描いていたよりも強いと感じました。

令日奈:私は大学=勉強であり、サークルは勉強のおまけと思っていた。
     就職も決まった今考えると、勉強よりも「人との付き合い方」、
     「チームの中での役割」という人間的な部分が就職活動で問われるのだ
     と思いました。
    

一生つきあえる友人を得た

令日奈:つぎに、皆が実際に大学へ行って得たものは何ですか。

菜々子:私が得たものは部活での経験がすべてです。
     普通の生活では築き上げられない信頼関係や、
     一生付き合えると思える頼もしい友だちができたこと。
     70人のチーム全員で一つの目標に向かって頑張ることは
     社会人になったらできないと思う。その二点です。

綾子 :女性が働くことなどの話を聞く機会が増えて自然に自分の興味の幅が
拡がったのは授業や勉強がきっかけです。
     でも大学生活で得たものは、自分が属する各コミュニティーにおいて、
自分はどうあるべきか、今何をすべきか等を今まで以上に考える習慣が
ついた事かな。
    
洋平: 大学に入ってからの方が勉強を熱心にするようになった。
     高校までは興味のないものも嫌々勉強したけれど、
大学では自分のやりたい学問を中心にできるので成績も良くなりました。
やる気も高いです。大学には留学生も含めて何万人もいます。
     だから様々な人とのつながりを得ることができた。

菜々子:補足します。さきほどの私の発言だと私は勉強嫌いかと思われるかも
しれないけれど決してそうではなくて、出席する授業は面白いし、
興味が拡がりすごく役に立っているので時間の許す限り出たい。
    
令日奈:最近受けたおもしろい授業って?

菜々子:金融投資サービス論です。みずほ銀行や野村證券から外部講師を招いて
話を聞き、講義後にまとめを書いていると自分が経済学部にいることを
実感します。一、二年時のマクロ・ミクロ理論は退屈でしたが、
     三、四年になって実践的な部分を学ぶ機会ができたので捨てたものでは
ないなと思います。

部活の意義

令日奈:高校生からみると、部活が授業よりもプライオリティが高いところに
     あるのが分からないと思うけど、それが大学ではできるのですね。

菜々子:できますね。自分次第ですね。試験をがんばらないと進級できないし、
     単位はちゃんと取るべきですけど、部活をやっている人は多いです。

令日奈:就職に直結しないけれど面白い授業がたくさんあって、
     そこでディスカッションし、先生の話を聞いて学んだことは
     自分の考えを整理するのに役に立ち、自分に残るものです。

    部活では今までの自分の友だちにいなかった負けず嫌いな人が多く、
例えば自分が一番になりたいとか・・・。
     これは自分に無かった部分なので大きな刺激をもらいました。
     授業では、将来の夢に向けてすごいビジョンを持っている人が
     いてそれも刺激になりました。
     どっちもいいところがあって、自分もがんばらねばと思いました。
     ゼミでは自分の意見の裏付けをとることが必要で、それは
     高校までとの大きな差です。そのために本を何冊も参考にし、
     数字を間違えてもいけないし、厳密になってきました。
   

就職のための大学?

令日奈 高校生のRTでは、大学は就職するための場所?という意識が
     高かったけれど皆さんの意見は?

菜々子:大学で自分のやりたいことが明確にある高校生は珍しいと思う。
     それがある人は希望通りの大学を選べばいいと思う。
     たいていの人は何となく、まったく分からないよ、みたいな感じだと
     思うので高校生で将来の就職への意識があることにはびっくりしました。

綾子 :私も、どこかいい大学に入っていた方が就職は有利というイメージでした。
     でも興味の幅を拡げるうちに、「自分次第だ」と思えてきました。
     女子大は一般職が多いとか、金融関係に沢山行っているなどと言われますが、
     内側を見ていると、結局は自分の興味と判断で就活するのだと
割り切るしかないというのが二年間大学へ行って思うことですね。
    
令日奈:「就職がいい」という一言にはウラがあるということですよね。
     一般職が多かったり特定の会社に沢山入っていたりとか。
     就職がいい=希望の会社に行けるとは限らない・・それは同感です。

洋平: 高校生が就活を考えているのは意外でした。僕なんか高校生の頃は
     全然考えていなかったし、今もそうです。
     高校生は、たぶんあの大学に入れれば・・と考えるのだと思うけれど、
     大学を名前で選んで文学部、法学部、商学部を全部受ける人が
けっこういます。何がやりたいんだ!と言いたいです。
     名前やランクを気にせずに、法律をやりたいなら法学部を色んな大学で
受けるとか、そういう受験をしてもらいたい。
     そうでないと大学の授業もつまらないですよ。

令日奈:「大学生G8サミット」などの機会に話をしたのですが、
海外の人と「専攻は何なの?」という話題になると、
     国際関係だったら本当に国際関係の学問のことを指すんです。
     日本で「学部どこ?」と聞くと、キャンパス内の雰囲気を指している気がする。
     例えば経済学部は経済学部というカラーというかイメージ・・
あそこは勉強が大変そう、あそこは遊んでいてもラクそうとか、
大きい大学になるとあるんです。その反面、大学院生をみると
専門知識をつけるには学部の四年間では足りないのかなと・・。
  
菜々子:専門的にやるには四年間では足りないと思います。

令日奈:高校時代私は国連に興味があったのだけれど、
     国連職員って学部生は採らなくて、大学院生からなのです。
     その意味がすごくよくわかりましたね。
    
菜々子:どの大学の何学部を受けるかは重要な選択だと思う。
     私自身、文学部以外の経済・商・法を受けました。
そういう人も多いはず。それが悪いというわけでなくて、
     興味がないと思っていたところでも意外に面白い発見ができます。
     それが将来就職するときの一つの指針になる。

令日奈:例えば「開発」ならば、経済学部でも法学部政治学科でも、
     私が行っている総合政策学部でもそれぞれの切り口で勉強できるし、
     建築も理工のほかに環境情報などの視点から勉強している人がいます。
     要は切り口で自分のやりたいことを持って欲しいということですよね。
    
大学名より自分の力

令日奈:たくさんのエントリーシートが送られてくる企業では
     大学名を見ている暇はないとバッサリ言われました。
     だから逆に大学名に甘えていると採ってもらえないよと。

洋平: 大学名を見ている暇はないって何を見ているんですか。

令日奈:最終面接になれば人数が少ないから見る暇はあるけど、
     流れるように人が入ってくる一次面接では大学名だけで
    「この子いいな」と思う暇はないそうです。一部の企業の話ですけど。

菜々子:私はいま就職活動のまっただ中です。学歴は重要だと思うけれども、
     それは選考の最初だけで、最終的に大学名で選ばれるとは感じていません。

令日奈:大学名だけで採用される人は一人もいないということですよね。

菜々子:大学名、それにプラスして人間性が高く評価されるならば、
     その人は採用されるだろうし、
     大学名があまりなくてもできる人はたくさんいます。
     だから自分の見せ方次第なのかな、大学名に甘えていたら結果は出ない。

綾子: 結局は自分による。

菜々子:就活時には、けっこう自分を振り返るものです。
     今まで適当に生きてきた人、周りに流されて生きてきた人よりは、
     これをやりたいから、ここに入ってしっかりやるとか、
     この勉強をしたいから、しっかり学んだとか、
     自分の意志で行動した軸がしっかりした人を企業も欲しいのかな。

令日奈:私は国連に本当に行きたかった。
     でも国連に入るには大学院をでるか実務経験が必要なことを知り、
     国連は大官僚組織で動きが遅いといった不都合な点も知った。
そんな過程でいま自分が行ける企業が手の届くところにあったんです。
     この間台湾に旅行したんですけど、日本の機械メーカーが数多く進出していました。それを見ていると、国連オンリーよりも、民間企業に入って海外マーケティングや海外営業をすれば、
     自分がやりたい仕事がもうできるじゃないかと思って、
     とりあえずそっちの道に進もうとしたわけです。
     決して大企業だから受けたわけじゃないんですね。そこを理解してほしい。

洋平: 気づくことができたのは、大学で色々なことを学んだからですね。

令日奈:そうです。勉強で世界と張り合おう

菜々子:今までの発言と反対になるかもしれないですが、
     日本の学生はもっと勉強してもいいと思います。
     アメリカの学生に「なぜあなた大学に行っているの」って言われて、
     明確に答えられる人はそんなには多くない。
     世界の学生は大学に勉強という目的で来ている人が多いと思う。
     色々な選択肢がある日本の大学はすばらしいけれど、
     勉強をもうちょっとした方が張り合えるのかな、世界に。
    
令日奈:勉強していないって、どこで気づくんですか?

菜々子:フェイスブックとか。

令日奈:アメリカ版ミクシィみたいなものですね。

菜々子:日本の高校生が金銭的に恵まれて、親の収入で大学に行ける環境が
     いっぱいあるから、それも一因だとは思うんですが、
     せっかく入るなら少しは勉強した方がいいと思います。

綾子: 私は大学へちゃんと行って勉強はしていますが、
     「日本の大学に行きたい」と言って日本語を勉強している人を
     知っているんです。でも自信を持って「日本の大学来なよ」って
     言えないのがあるんですね、だからやっぱり勉強を是非してくださいと
     みんなに言いたい。
   
令日奈:「単位が足りているなら大変な授業取ることないじゃん」とか、
     「大変でない授業を取って要領よくやりなよ」と言う人がいる。
     でも私は面白いと思った授業を自分の為になるから受けようと考えました。
     自分の能力や適性は周囲からの見方ではなくて、
     フットワークを軽くして自分がしたいと思うことをやれば充実した
     大学生活が送れます。だから大学受験でも何でも「誰々にはムリだよ」
     という忠告を聞いてはいけないということです。

綾子: 可能性を自分で潰す行為はしてはけない。

令日奈:最後にひと言ずつ感想をお願いします。

菜々子:大学では自主性が求められると思うので
     自分で考えて行動できる人間になれるようにがんばってください。

綾子: 優先順位は人それぞれです。だから自分自身によく問いかけて
     いろいろなものに熱中してみてください。

洋平: このRTをやって、自分自身もこれから大学生活をどのように
過ごしていくかを考える、いいきっかけになりました。

令日奈:私はもう大学生活は終わるのですが、
     入学時と価値観も変わり、それが一番得たことと思います。
     自分の考えが揺さぶられるような友だちや目標を見つけられれば、
     遊びでも勉強でもクラブでも充実した生活が送れるすごくいい時だと思います。
    (完)

関連記事
・大学へ行く意味~なぜ大学へ行くのか~

カテゴリー
座談会

ネットの便利さ

 インターネットは便利である。子どもたちの生活や学校に定着し、その利用範囲はネット技術の進歩に比例して急速に拡大しつつある。ネットの便利さの裏にはリスクと責任が伴うことを子どもたちがはどこまで実感しているのか、4人が座談会で語った。


井上麻衣(18)、曽木颯太朗(17)、平吹萌(17) 、藤原沙来(18 司会)
2009/01/10

■子供のネット活用法
沙来: みなさんはどんな時にネットを使いますか?
?
麻衣: 何か調べて情報を得る時に利用します。

萌:  友だちのブログなどを見る時に利用します。

颯太朗:僕は本を買う時に、たまに使うことがあります。

沙来: 情報をそのまま鵜呑みにしてしまう?それとも自分の基準を持っていますか?

萌:  私はどちらかというと鵜呑みにして、そのまま友だちや親に
「こんなこと書いてあったよ」って伝えてしまいがちです。

颯太朗:新聞社のサイトはそのまま見るのですが、他のブログなどに書いてある
ことは、いくつか見比べて内容を確かめます。

沙来: ネットで一番便利な点はどこですか?

麻衣: 情報がいち早くその場でわかることです。

萌:  フィギュアスケート競技をテレビで観ているとイライラするけれど
ネットで検索すると結果が出ている、そういう便利さがある。

麻衣: 誰でもその情報を見られるから「情報の共有化」ができる。

颯太朗:僕も同じです。インターネットでは、新聞やテレビではわかりにくいこと、
つまり、みんながどのようにこの品物を考えているかすぐわかる。

■リスクへの意識
沙来: 逆にネットの危険性を考えたことはありますか? 匿名のブログとか、
    お金の振り込みだけだったりすることもあるわけですが・・。

麻衣: ネットの危険性は、情報がすぐ得られる分、何が本当かがわかりにくい部分が
ある。誰がしゃべっているのか分らないので判断基準が難しい。
アダルトサイトも誰でも見られるので教育に良くない。

萌:  匿名で、しかも本人の知らないところで誹謗中傷できる点は危険だと思います。

颯太朗:誰でもどこでも見られるので、まちがった情報が世の中の隅から隅まで
広まることもあるし、個人情報も一度広まったらなかなか収拾が
つけられないと考えてしまいます。

沙来: いま出てきた危険性に、みんなは何か対応していますか?

麻衣: 誰かを中傷したり、そういうことは書き込まないとか、
当たり前のルールは守っています。

萌:  なるべく見るだけで書き込みはしません。自分の情報を書き込む掲示板も
作りません。

沙来: 自分でブログを作ったりはしてない?

萌:  プロフも作らない。

■宿題もコピペで?
沙来: 学校生活では、どんな時にネットを使いますか?

麻衣: 課題が出て調べる時に、図書館へ行くよりも家のパソコンですぐできるので
情報を得るのはそっちになってしまいます。

萌:  情報の授業でインターネットを使うので、学校でおもしろいサイトを見つけたら  
家に帰ってそのサイトを見てみたり・・。

颯太朗:僕は情報の授業もないので、学校生活と関わる点ではあまりないです。

沙来: 授業の課題にネットのものをそのまま使っていいのかという問題が
があるけれど、実際にやったことはありますか?

麻衣: 例えば「この人について調べなさい」という課題には、
その人の本を探したり、関係する情報はどこで得られるかを調べるために
使うので、年表などをそのまま使ったりすることはないです。

萌:  ウィキペディアで見て、それを基準にその人の情報をまとめています。

沙来: それはコピー&ペーストでなくて、自分の言葉で書き換える感じですか?

萌:  書かれていることを自分でメモする感じ。

沙来: 颯太朗くんは学校の友だちでコピペをしている生徒はいますか?

颯太朗:インターネットからはないですね。僕もすごく知ってるわけでもないんですが。

沙来: 逆にどこがコピペの利点だと思いますか?

麻衣: 短い時間でものができあがることと、自分で考えないので考える時間を他のこと
に使えたりする。

沙来: 逆にコピーペーストすることで私たちにとって何かマイナスな点は?

颯太朗:自分でまったく勉強になってない。

麻衣: 全然自分の頭を使わないから調べても入って来ない。自分のためにならない。

萌:  私は、著作権に関わったりすると悪いということを知らずに
当たり前にそれでいいことのように使ってしまっている。

■時間節約か、自分の思考訓練か
沙来: ネガティブな点も出てきましたね。最近あったTV番組で知ったのだけれど、
    読書の感想文をネットにアップしてる大人の方がいました。
    その人は「子どもたちにネットの感想文をそのまま写させることで自由な時間が
    できるから子どもは遊べる。子どもにとって成長できるいい機会を与えられるか
    ら感想文に時間を割く必要はない」と考えておられたのだけれど、どう思いますか?

麻衣: 確かに考える時間が減って遊ぶ時間がもっと使えるかもしれないけれど、 
若い時に書く練習も必要だと思うから、遊びだけが小さい時にすることじゃない
と思う。勉強する時はする、遊ぶ時は遊ぶ、でやれば別に問題はないと思います。

萌:  一人のものをみんながコピーしてしまうと同じものになって、
その人独自の考え方がわからなくなる。同じものばかりになる気がします。

颯太朗:おそらくその人は読書感想文がつまらなくて時間の無駄だと、僕もそう思うんで
すけれど、まがりなりにも宿題として出ているのだから、そこは手を抜かないで
ちゃんとやらないといけないと思います。

沙来: 逆に遊ぶ時間を沢山与えることで、何かいいこともあると思いますか? 
それと宿題は自分でやるべきだとみんな思いますか?

颯太朗:日本の子どもは、ただでさえ勉強時間が世界の中でも少ない方なのに、 
もっと遊ぶ必要はないのではないかと思います。

沙来: 遊びではなくても、宿題のかわりに自分の興味のある星座を見るとか、 
自分が興味のあることを極められる利点があるかもしれないね

萌:  限られた時間のなかでうまく時間を使う方法を学んだ方がいいと思う。

■時間節約か、自分の思考訓練か
沙来: 時間短縮のためにインターネットを使う現状と、ちゃんと宿題をやった方がいい
    と思うのは矛盾していますね。そのあたりは皆さんはどうしたいと思いますか。

麻衣: ある程度自分のなかで制御して、ここまではやっていいけど、ここからは
いけないという範囲があると思います。他人がしてくれたものを写して自分が
やりましたと提出して、それで満足しているのは私にはできない。
インターネットはどこまでも何でもできてしまうから、そういう線引きが大事な  
んだと思います。

萌:  早く調べられるメリットを生かして、でもそれだけではなくて自分の頭で考えて、  
自分の書き方に変えてまとめ直す方がいい。

颯太朗:いくら時間短縮ができるといっても、勉強や宿題はしっかりと時間をかけて     やるべきであって、そこまで時間を短縮して遊ぶというのはよくないことです。

■利便性の裏にリスク
沙来: ではネットの危険性に焦点を当てていきます。
    ブログを見るのは匿名性があるかもしれないけど履歴が残ります。
    危険性は薄いけれどブログを見ることにリスクを感じていますか?

萌:  私は、例えば地元の子どもたちで最近連絡を取っていない人の近況を見るという
意味でブログを見ている。だからそれでリスクを考えたことはないです。

沙来: ただ見ているだけだから大丈夫だなって?

萌:  それが正直な実感。

沙来: それはどうにかしなければいけないという気持ちはありますか?

萌:  言われて今そうだなと思ったくらいです。

沙来: ネットの便利さばかりに頼っているという感じははありませんか?

麻衣: ほんとに頼ってるなと常に思う。リスクがあるのは感じていて、
アドレスも悪用されるかもしれないし、迷惑メールとかもあるし、
そういう意味ではリスクは感じても対応できていない部分があります。

萌:  私はさっきリスクを感じていないと言いましたが、去年、ある学校の裏サイトを見つけて、正直いい掲示板ではないのですが気になったので見てしまいました。その後で、友だちに「それはアクセス解析がついてるから、誰か見たかばれたら大変かも」と言われすごくあせって怖くなりました。
けっきょく私はアクセス解析のボタンを押して勝手に取っちゃって、
アクセス跡は消えたからいいかな、でも危なかったと思ったことはありま
した。よく考えると確かにリスクを感じるべきだと思います。

沙来: 颯太朗くんは本を買う時に個人情報を載せますね。それは大丈夫だと
信じて使っていますか?

颯太朗:そんなに頻繁に使うわけでもないので大丈夫かなと。

沙来: どうにかしなければいけないと思いますか?

颯太朗:いや、そのアクセス解析で向こうにわかってしまうのもあまり考えたことがなかったです。    

■向こう側で見られている
沙来: アクセスの跡を消去すればいいと思うかもしれないけど、今後手動でなく
    ハイテクなことになればもっと大きいリスクがあるわけだし・・・。

萌:  我が家でよく親に言われるのは「みんなが知っているサイト以外は使うな」。
それがすごく印象に残っているので、本を買う時もなるべく大手の有名な安心
できるところを活用する。ブログも見ないとまでは言えないけれども、
安全が保証されている人のものやサイト以外は見ないようにしている。

麻衣: 私はまだリスクにどう対応するか全然わからないんだけど、とりあえず
ヘンなことはしない。

沙来: ヘンなことって、書き込みとか?

麻衣: そうですね。自分が不快に思うことは自分もしないとか・・でも今後はリスクを 
考えないと。今ほんとうにネットだけでしか情報を得られなかったり、それだけ   
でしか生きていかれなくなる気がするからピンチを感じています。

颯太朗:向こうから見られるっていうのがどうもよくわからない。我が家は詳しい人間が 
皆無なので特にそういうことはしてないんですよ。

沙来: アクセス履歴に残ることを知らなくて、でもそれは仕方がないということ?

颯太朗:必要悪だと思う。

麻衣: リスク回避で私がしていることはその程度で、それだけではダメなことに
気がつきました。今後対応していきたいと思います。

■ネットなしの生活は不可能
沙来: 今まで出てきたのは、情報を得たり、ブログで友だちの情報を知るとか、
    時間節約ができるとか、ポジティブな点がたくさんあるんだけど、一方で
    リスクを考えないというのは、私だったらそれは矛盾点ですね。
    今後は自分で自分の情報を守ってリスクを避けないといけないと思う。
    大手のサイトを使ったり、必要最低限のネットを使ったりとか・・。
   
麻衣: 例えば情報を鵜呑みにするというのもリスクの一つであると思うし、それらを
    常に考えながら利用していかないといけないと思います。

萌:  インターネットやITというのは、もう今の時点で無くすことはできない。
すごく頼っているから無くすのではなく、どう向き合っていくかです。

颯太朗:インターネットを使う限り、どうやってもリスクは負うものだし、それを
無くしながら使うのは無理な話だと思う。なるべくリスクを負わないように、     これからも静かに平和に使っていきたいと思います。

カテゴリー
座談会

実施まであと少し!裁判員制度を考える

 2009年には裁判員制度が実施される。裁判員制度とは複数名の一般国民が職業裁判官に加わって現行の刑事裁判を担当する刑事裁判制度である。裁判員は私たち国民の中から無作為に選出されるため、成人の誰もが選ばれる可能性を持っている。CEでは曽木徹也氏(検事)に「裁判員制度」についての説明を伺った後、賛否両論が渦巻く裁判員制度について話し合った。


2008/04/05  
出席者:原衣織(16)、曽木颯太朗(16)、貝原萌奈実(18)、川口洋平(18)、寺尾佳恵(19)(司会)

裁判員制度への期待と不安
佳恵:裁判員制度が始まることによって得られるメリットは何だと思いますか。

洋平:今まで閉ざされていた司法の世界が広く国民に開かれることだと思います。

颯太朗:裁判が早くなり、素人にも分かりやすくなると思います。

衣織:私も国民が司法に近くなるとは思うけど、必ずしもそれが必要であるかはわかりません。

萌奈実:国民としての意識が高まることがメリットだと思います。

佳恵:逆にデメリットは何だと思いますか?

颯太朗:今まで世間一般が考える量刑と実際の判決の量刑に開きがあり、判決の量刑が軽いという声が多くありました。裁判員制度の導入で一般の人が協議することにより、今までより刑罰が重くなるのではないかと思います。

萌奈実:日本人はまだそういう制度に慣れてないから、欧米のようにうまく機能するか心配です。

衣織:一般市民が裁判員になることで、統一性がなくなるんじゃないか、守秘義務とかがあって、裁判員をやりたくない人もいるんじゃないかという心配があります。

佳恵:統一性がないっていうのは、協議する人が違うので事例によって刑量が変わってしまう可能性がある、それは不公平じゃないかということですよね。裁判中に知ったことを他人にしゃべってはいけないという守秘義務についてはどう思いますか?

洋平:やっぱり現実問題として難しいと思います。

佳恵:難しいっていうのは何がどう難しいのかな?

洋平:ばらした人には罰則を課すと言われていますが、今はネットや匿名性の高いメディアに気軽に投稿できるので、今の環境では守らない人が多いと思います。

まだ体制が整っていない?
佳恵:メリットとデメリットがそれぞれあると思いますが、今日本以外のG8の国では、何らかの形で国民が裁判に関わっています。世界では国民も司法に参加するのがメジャーになりつつある中で、日本が採り入れてないことについてはどう思いますか?

衣織:日本が遅れていると考える人もいると思うけど、日本にも昔は陪審制度がありました。昔から何も制度がなかったわけではなくて、陪審制度があったのをあえて変えて今の制度になっているわけだから、単に変えただけで遅れてはいないと思います。

萌奈実:でもその陪審制度があったのは戦前の話だから欠陥もあったかもしれないし、今他の国で行われている陪審制度とか参審制度とは全然違うと思います。戦前の日本社会にはその制度は合わなかったけど、今はまた違うんじゃないかな。

衣織:でも、アメリカの陪審員制度でえん罪が多いのは有名じゃないですか。えん罪が増えるかもしれないのに今導入する必要は感じない。

佳恵:戦前にあった日本の陪審制度では、必ず陪審でやらなくてはいけない法定陪審と被告人の請求によって行われる選択陪審があったのね。でも被告人が辞退することが多くて結局年に数件だけになってしまったということと、戦争が始まるのを理由に1943年に施行を停止したらしいです。そのまま今まで国民が司法に関わる機会はないわけだけど、みんなはこのままでもいいと思う?

衣織:現状のままでかまわないと思います。

颯太朗:今までプロの裁判官だけがやってきてほとんどの場合はうまくいっているので、今のままでもいいと思う。でも裁判が長引くのを、国民が参加することで改善できるなどのメリットを考えると裁判員制度を採り入れてもいいと思います。

洋平:今までの制度とこれからの制度、どっちにもメリット・デメリットがあると思いますが、重要なのは採り入れる時にちゃんと準備をすること。法律用語を分かりやすく言い換えたり、裁判員を招集する時に工夫したり、あと一年そういう準備をしっかりする必要があると思います。

萌奈実:私は準備期間が今から一年間では足りないと思います。今始める必要はないという衣織ちゃんの意見とは若干違うけど、いきなり「一年後に裁判員制度やります」と言われても、今の状況では機能しないと思う。ただ、G8の話を聞くと、やっぱり日本もそういう制度採り入れるべきだと思うので、今から小学生にきちんと教育をして、その子たちが大人になった時点で始めればいいと思います。

衣織:色んな本や専門家が反対意見を出しているし、国民も戸惑っているなかでやるのは賛成できなくて、もっと国民が納得できる制度になっていくのなら、あってもいいと思う。

佳恵:例えば衣織ちゃんが考える国民が納得できる制度ってどういうもの?

衣織:それが難しいんですよね。今も制度導入にあたってすごくコストがかかっているし、裁判員を辞退するための制度も整っていない。それなのに今すぐやる必要性がわからない。

萌奈実:人の意見に流される人や、選ばれても参加したくないという人が出てくる。みんな仕事があるわけで、参加してくれと言われて喜んで参加する人はほとんどいないと思います。ただそれを国民の義務ではなくて権利だと考えられるようになるべきだと思うし、そういう意識のない人が今の段階でやるのは難しいと思います。

佳恵:子どもたちに裁判への参加は義務じゃなくて権利なんだよと教えてあげて、その子たちが大きくなったときに制度を導入するということ?

萌奈実:そうですね。欧米人のようになるのが一概にいいとは言えないけど、そういう場でちゃんと意見を言えるのはこれから国際社会で生きていくのに必要だと思う。ちゃんと意見を言える人じゃないと裁判員制度は難しいと思います。

佳恵:2009年に選ばれる可能性のある人たちは、裁判員として不十分な点が多いのかな?

颯太朗:人それぞれだと思います。ただ、この前見た新聞のアンケートで20代の約75%がやりたいと答えていて、以前からお年寄りも関心が高いという結果が出ている。そう考えると今導入してもそんなに早いという訳ではないと思います。

衣織:内閣府が最近行った調査だと60~70%の人が参加したいと答えているけど、実はその質問が誘導っぽくなっている。「もっと素直に聞くと実は30何%なんだよ」と書かれている本を読みました。アンケートは聞き方次第で結果が大きく変わるので、一概には言えないと思います。

洋平:2005年の内閣府の調査では70%が参加したくない、25%が参加したいと答えていて、2008年には参加したいという人が多くなったって感じじゃないですか。ということは今までいろいろと裁判所だとか関係各所が努力をしてきた結果、参加したいっていう人が増えている。もう少し頑張ればいい方向に向かっていくと思います。

国民が参加することで量刑は重くなる?
佳恵:実際2004年・2005年に比べ2008年は、導入が近づいている分国民の関心も高まっているし、アンケート上の参加したい人の数値は事実として増えているようですね。もちろん衣織ちゃんの言うように、アンケートは質問の仕方によって結果が変わるので、一つのアンケートを単純に信じることはできないのですが。みんなは裁判員をやってみたいと思いますか。

洋平:僕は参加してみたいです。純粋に好奇心で。

萌奈実:私は法学部の学生なので意識とか関心は高いし、参加もしてみたいと思いますが、やっぱりメディアの意見に流されそうだし、守秘義務も守れるのか不安なので、進んで参加したいというわけではありません。

颯太朗:時間があったら僕も参加してみたいです。テレビに流される心配はないけど、守秘義務はついしゃべってしまうんじゃないかと心配です。

衣織:裁判員は法律のことを知らなくても大丈夫となっている。でも私は人を裁く時に、法律とか過去の事例とかを知らないで人の運命を決めることはできないし、したくないなと思うんですよ。だからいくら知らなくていいと言われても、自分の気持ちの問題でしたくはないです。

萌奈実:確かに自分の判断で人の運命を決めてしまうのは不安な部分もある。

洋平:一人で決めろと言われたら困るけど、自分の意見だけじゃなくて、裁判員・裁判官の総意で決める判決だから、僕はそこまで重いとは思いません。

颯太朗:みんなで決めるので自分で悩むことはないとは思うけど、なるべく軽い刑罰にしちゃうと思います。

佳恵:最初の方で颯太朗くんは、裁判の結果が報道されると、量刑が軽いと感じる国民が多いと言っていたけれど、颯太朗くん自身が裁判員として参加する場合は犯人の人生も考えて、軽い量刑にしてしまうということ?

颯太朗:はい、そうです。

萌奈実:私も颯太朗くんのように、自分だったら軽めにすると思うんですけど、ちゃんと考えていない人ほど被害者の立場だけで考えて重い刑にしてしまうんだと思います。もちろん被害者のことは考えなきゃいけないけど、客観的に考えられない人は多いから。

衣織:日本のメディアは、家族の泣いている姿を映すなど、被害者目線で報道をすることが多いから、それを見た人たちはやっぱり重い刑にするんじゃないかなと思います。

洋平:そこは裁判官が「そうはお思いでしょうが、ここは司法の場ですから」みたいな感じでうまく話をもっていけばいいんじゃないのかな。

佳恵:みんな、「自分は軽い刑にするけれど、他の人は重い刑を選ぶだろう」と思っているようだけど、あまり客観的に考えていない人でも個人的な感情はあるし、一人一人がそう考えたら結果的に軽い刑が増えるとは考えられませんか。

萌奈実:前に友だちとそういう話をしたことがあったけど、友達は「もっと重くするべきだ」と言っていました。私は「自分に当てはめて考えてみなよ」と言ったけど、「悪いやつは悪いんだから」と言っていたので、みんなが軽くするわけではないのかなと思います。

衣織:私は、いくらみんなで決めるといっても九人しかいないのだから、自分の一票は重いと思う。颯太朗くんや洋平くんは「みんなで決めるから大丈夫」っていうけど、私は色々考えちゃうし、こういうところでも人によってすごく差が出てくると思います。

颯太朗:僕が世論全体でみると重くなるのではないかと言ったのは、前に法務省でやっていた模擬裁判を見たからです。配役は全員検事で観客が全員裁判員という設定だったのですが、この時ほぼ全員一番重い刑に手を挙げていたんです。被告の演技が下手で、悪い方に働いたのかもしれないけど。

萌奈実:それは全員検事がやっていたんですよね。

颯太朗:はい。全員検事です。

萌奈実:検事は有罪を主張する方だから重い刑になったのかもしれないよね。

佳恵:確かに全員弁護士でやったら、逆に無罪になっていたのかもしれないですね。

認知度アップで国民の不安を解消
佳恵:さて、裁判員制度が2009年に始まることはほぼ確定しています。今の日本で裁判員制度を導入することについて、今までの話をふまえたうえでの自分の意見と、RTの前と今とで考え方が変わった部分があれば教えてください。

萌奈実:これまで国民が負う負担とか、人を裁けるのかという不安しか考えてこなかったけど、話を聞いていて、裁判自体が円滑に進むようになることや、不透明な部分が透明になって、誰にでも分かりやすい裁判になることを知りました。全体としてデメリットよりメリットが大きいなら導入してもいいかもしれないと考え方変わりました。

颯太朗:僕は裁判員制度に賛成でしたが、話聞いていて今やるのは早いのかなと思う部分もありました。国民の中にやりたくない人がどれだけいるのかわからない中で、強行して始めてうまくいくのか心配です。

衣織:私はもともと、2009年から裁判員制度を導入することについてよく思っていませんでした。でも今日検事さんの話を聞いて、何で民事じゃなくて刑事で導入するのかとか、疑問だった細かい部分が解決できてよかったと思います。今まで読んだ本ではデメリットが多く書かれていましたが、導入することで国民が司法を身近に考えられるとか、そういうメリットを今日初めて考えました。

洋平:僕は今日までは裁判員制度の導入がすごく不安でした。でも色々なところで裁判員への対応策が考えられていることを知り、何とかやれるかもしれないなと思いました。守秘義務のこととか、まだまだ考えが甘い部分もあると思うので、そういうところを2009年の導入までに整備していく必要があると思います。

カテゴリー
座談会

ケータイ小説

 ケータイ小説からミリオンセラーが誕生し、07年上半期(06年12月~07年5月)の文芸作品売り上げトップ10に5作品も入った。ケータイ小説とは携帯電話サイトで一般の人が執筆・閲覧できる小説の総称で、執筆者、読者ともに10代、20代が中心である。普段読書をしない若者が活字を読むようになる一方、語彙が少ない、文章表現に乏しいなどの問題もあり賛否両論だ。実際にケータイ小説を読む高校生はどのように受け止めているのだろうか。

2008/02/6  
出席者:原衣織(16)、畔田涼(16)、貝原萌奈実(16)、藤原沙来(18)、川口洋平(18)(司会)

普段読書をしない人もケータイ小説は読んでいる
洋平:ケータイ小説を読んだことありますか? どんな本をどんなときに読んだのか教えてください。

涼:私は通学時間や夜眠れない時に暇潰しとして「恋空」を携帯で途中まで読みました。

萌奈美:「恋空」を途中まで読みました。ちょっと古いけど、「DEEP LOVE」も読んだことがあります。通学時間や寝る前の他に、恋の話を聞きたい時に読むかな。本が読みたいからではなくて、面白い恋の話を聞きたいから読む感じ。でも結構目が疲れるので長時間続けては読めないんですけどね。

沙来:私も通学時間と学校で暇な時に、携帯で「恋空」を、本で「恋空」をちょっとだけ読みました。周りの友だちも客観的にケータイ小説を見ているので、「これおかしいよね」とか「おもしろいよね」と言い合いながら読むことが多いです。

衣織:「恋空」はマンガ・本・携帯、全部で読みました。他に今回のRTに向けて携帯から数作品途中まで読んでみましたが、名前はちょっと覚えていません。私は朝通学の時に携帯で読んでいて、何度か優先席以外でも携帯を使っているとおじさんに怒られたことがあったので、今は学校の休み時間に友だちの本を借りて読んでいます。

洋平:みんなの周りではどんな人がケータイ小説を読んでいますか。

涼:私は高校生ですが、周りで読んでいるという話はあまり聞きません。中学生の妹は携帯でも本でも読んだみたいです。学校の読書の時間に書籍化されたケータイ小説を読んでいる人もいると言っていました。

萌奈美:高校生ぐらいになると本を読む人と読まない人にはっきり分かれるけど、普段本を読まない人がケータイ小説を好きな傾向にあると思う。

衣織:私の周りには、本は難しいから読めなくて、マンガも話の展開がよくわからない、ケータイ小説が一番わかりやすいと言って読んでいる子がいます。

沙来:本は持ち運びが大変で重くてかさばるから読まないけど、携帯は手軽なので、授業中や眠くなりそうな時に読むという人はいます。

洋平:皆さん書籍だったり携帯の画面上だったり、何らかの形でケータイ小説を読んだことがあるんですね。どんなことを思ったのか第一印象を聞かせてください。

涼:カギ括弧が多く、個人的には普通の小説より親近感がわいて読みやすいという印象を受けました。でも情景描写がすごく少ないとも思います。

洋平:読みやすいというのはストーリーが学校生活に則していて、自分に近いから?

涼:それもあると思います。

衣織:私が読んだ4,5作品は全部共通して恋愛物でした。どの作品も女の子はびっくりするぐらいかわいくて頭も良くて、でもちょっと天然ボケという設定で、いつも4,5人の男の子から好かれているけど、結局彼氏を選ぶというストーリーが決まっていました。マンガの方がもっとヒネリがあると思います。

沙来:「恋空」はカギ括弧が多かったので、涼ちゃんとは反対に読みづらかった。私は主人公のような状況になることもないし、文体や言葉遣いも普段使わないものだったので読みにくいなという印象を受けました。でも一般の高校生はそういう言葉を使っているんだなって客観的に楽しめたし、面白く読めました。

萌奈美:ケータイ小説って、友だちから恋の話を聞いている感覚だと思う。普通の小説では登場人物が何人かいて、いろんな見方ができるようにキャラクター設定されているからそれぞれの登場人物に感情移入ができる。でも、ケータイ小説の場合はその主人公にだけ感情移入するから、ほんとに恋の話を聞いている感じがします。

洋平:主人公と同じ世代だからこそ受け入れられるのであって、もし自分がもっと大人だったら同じような話を読んでも共感はできないと思う?

萌奈美:そうですね。そう思います。

記号だからこそストレートに伝わる思い
洋平:今、括弧が多いという文体のことが出ました。僕もいくつかケータイ小説を本で読んでみて、セリフの後に星や音符などのメールでよく使う記号がついていることに気づきました。普通の小説には無いよね。記号が入っていることで、読むときに抵抗や読みにくさを感じたり、逆に読みやすいと思ったりしましたか。

衣織:そういう記号を使わないと表現できない思いもあると思います。普段友だちに恋の話をメールでするとしたら、絵文字とか顔文字とか多用するでしょ。情景描写が不十分な分、記号を使わないと表現できないんだなと思いました。

洋平:普通の小説での比喩的表現が、その記号一個に込められている感じ?

衣織:そうですね。会話のニュアンスとか。

洋平:それは多分この世代でしか共有できないようなものなんだよね。

沙来:記号を使うのはメールの延長線上だと思う。メールは絵文字だけで送ることもあるし、絵文字だからこそストレートに伝えられる思いもあります。文字は色々なことを伝えられるけれど、読む人によってイメージする情景は違ってしまうことも多い。でも携帯の記号が示している意味は大体同じだから、読む人にとってはわかりやすいと思います。

衣織:でも記号が多いとうんざりしませんか? メールなら絵文字の種類がたくさんあるけど、私が読んだケータイ小説の本の中では星や音符だけで、文字で表現できないのかなって思いました。

涼:私は「恋空」を携帯で読んだので、記号に全く違和感を覚えなくて、今言われて「ああそうだったかも」と思いました。もし本で読んでいたら、携帯で読んだ時とは記号に対する印象が変わっていたかもしれません。

衣織:ケータイ小説は行間がすごく広くて、本で見るとこの間がムダな感じがしますが、みんなは行間が広い方が読みやすいですか?

萌奈美:メールは行間が空いている方が読みやすいと思う。本はびっしり文字が書いてあるのが当たり前で、段落とか小学校で習う作文のルールがあるけど、メールには無い。メール感覚で読めば読みやすいけど、本になると確かに「なんでここ空いているの?」と思いますよね。

洋平:みんなはケータイ小説を本で読むとき、小説ではなくて、メールや掲示板の延長線上として読んでいるのかな。

萌奈美:そうですね。私が初めて読んだケータイ小説は「DEEP LOVE」で、普通の小説かと思って本を読んだら全く違いました。「恋空」は最初からそのつもりで携帯でしか読んでいません。

本ではなく携帯だから読むのか!?洋平:ケータイ小説は携帯だからヒットしたり読もうと思ったりするのかな、それとも本でも同じだと思う?

涼:私は携帯だからこその良さを大切にしてもらいたい。もし「恋空」が最初に本で出版されていたら、ここまでのヒットにはなっていなかったと思います。

沙来:「恋空」は映画化されて、映画の女優さんが有名だったから、みんな携帯や書籍に流れたんだと思う。テレビや雑誌などのメディアの宣伝に影響を受けて、自分たちがまだ知らない三角関係とかに興味を持ち、実際に読んだり見たりする子が多いんじゃないかな。

衣織:「恋空」は確かに携帯からじゃないとここまでヒットしなかったと思いますが、本屋さんに行ったら他にも沢山ケータイ小説が書籍化されて並んでいるので、今だったら携帯でアップされる前に書籍化されても、ある程度は売れると思います。

洋平:自分がケータイ小説のような小説を書くとして、原稿用紙に向かったら書けないけど、携帯でなら書けるな、と思うことはある?

萌奈美:私は普段自分で小説を書いています。導入や情景描写はきちんとしたいので、頭の中にイメージがあっても上手く書けないと嫌になってしまうけど、ケータイ小説はそもそもそういうのが必要ないからどんどん書けると思う。慣用句がわからなかったら記号でごまかせばいいわけだし。

衣織:ケータイ小説はすごく書きやすいと思います。友だちの恋愛模様を綴った日記と大差が無くて、導入部分も考えなくていい。私が昨日読んだものは携帯のプロフみたいに「何才、身長何センチ、顔は何、髪型は何」とズラズラ箇条書きにしてありました。言葉遣いも普段話している通りでいいので、書こうと思えば誰にでも書ける気がします。

沙来:携帯の方が書きやすいと思います。ペンを動かさなくても指先を動かせば書けるし、原稿用紙に比べて携帯のほうが手軽。「言葉にすると難しいけどこんな感じ」というニュアンスも記号一つで伝えることができるから。

ケータイ小説は新たなジャンル
洋平:ケータイ小説が流行して、最近ランキングの上位に入っているよね。それを受けて、日本語が乱れていくと言っている大人がいます。日本語の乱れや、小説の文学的価値が下がると言われていることについてはどう思いますか。

萌奈美:ケータイ小説はケータイ小説で、普通の小説は普通の小説って分けて考えればいいと思います。ケータイ小説を大人は批判するかもしれないけど、新しいものが生まれて、現に読んでいる人がいて、それを面白いと感じているなら存在を否定する必要は無いと思う。過激な表現は別にしても、誰かがイヤな思いをするわけでもないし、少しは物語を読むことにはなるので、小説とみなさずに新しいジャンルが成立したと考えればいいと思う。

涼:小説離れや本を読む人が少なくなっていることが問題視されているけど、日頃文庫本を読んでいた人が、ケータイ小説にはまって文庫本を読まなくなるケースは少ないと思う。ケータイ小説はケータイ小説として存在する価値があると思います。

衣織:今の二人と大体同じ意見だけど、ケータイ小説は状況や描写が似ているから、ずっと読んでいると飽きると思うんですよ。そうすると現代のわりと読みやすい普通の小説に流れることも考えられる。だから小説は難しいものだと捉えている人が読書の導入としてケータイ小説を読んだらいいのではないかと思います。

沙来:私もケータイ小説は読書をするきっかけになると思うし、記号や言葉遣いを楽しむこともできるので、一つのジャンルとして確立していけばいいと思います。ただ、ケータイ小説は実話ではないのにあたかもその子が存在しているかのように主観的になって読んでしまうし、短くて感情移入しやすい点が問題だと思います。

衣織:感情移入するのは問題ですか? 私は普通の小説を読んでいても感情移入するし、いいと思う本は友だちに貸して「あの主人公の考え方いいよね」と話し合ったりします。ケータイ小説ではみんながそれをしているみたいであんまり抵抗は無かったのですが。

沙来:例えば一般の書籍には書いていない恋愛の状況やリスクを負った行動を、興味本位で実行しようとしたり、三角関係を楽しみたいと言ったりしている友達がいる。現実ではあり得ないことを、身近に感じさせてしまうのは問題だと思います。
(編集注)携帯小説では、星や音符などの記号だけが使われている。絵文字は携帯の機種によって異なるため使用されていない。書籍化された場合も記号は原文のままである。

カテゴリー
座談会

若者の理系離れ

 経済協力開発機構(OECD)が57の国と地域の15歳男女(日本は高校一年生) 約40万人を対象とした、2006年国際学習到達度調査(PISA)の結果が2007年12月に発表された。日本は、数学的応用力が6位(2003年)から10位(2006年)へ、科学的応用力は2位(2003年)から6位(2006年)という結果になった。関心、意欲を示す指標は世界最下位、「理科の勉強は役に立つ」との回答は世界で2番目に少ない。進む理系離れをどうするのか。今まさに文理の選択を迫られている高校生が理系離れの理由にせまった。


2007/12/17  
出席者:大久保里香(16)、曽木颯太朗(16)、平吹萌(16)、川口洋平(18)(司会)

どうやって文系、理系の選択をしたの?
洋平:みなさんの学校では文系・理系のコース分けはありますか?
 
里香:私の学校は13クラスあるのですが、それの3分の1が理系クラスで、残りの3分の2は国立文系と私立文系対応のクラスになって、2年次から分かれなければなりません。

萌:うちの学校も13クラスあります。コースは3回のアンケートで決まるんですけど、2回目のアンケートの段階で、理系の方が7クラス分くらい。でもそれは今年だけで、例年11クラス中5クラスが理系で、残りの6クラスが文系っていう感じです。

洋平:何年生の時に分かれるの?

萌:高校2年生になる時に完全に分かれます。

颯太朗:うちの学校は高校2年の時に分かれるんですが、いつも6クラス中3クラスが理系で3クラスが文系。この前アンケートを取ったら文系がやや多いくらいでした。

洋平:ちなみに、みんなまだ高一だから選んでないと思うけど、文系か理系か決めている?

里香:私の学校はもう決まったのですが、私は理系に行こうと思っています。

萌:うちの学校ももう決まったんですけれど、私は文系に行こうと思っています。

颯太朗:僕の学校はまだ決まってないんですが、僕は文系に行こうと思っています。

洋平:なんで文系とか理系に行こうと思ったのか理由を教えてください。

里香:私の場合は明らかにテストの点数で、理系教科だけ良くて文系教科がダメなので、これは理系に行くしかないなと思って理系にしました。

萌:私は理系の方が成績的にはいいけれども、学校の授業を受けていて「このレベルで来年理系に行くともっと難しい」って言われて、自信がなくなって文系にしました。

颯太朗:僕は、一つは大学で歴史を勉強したいという理由があるんですけど、もう一つは数学がからっきしダメだからです。

洋平:数学っていつ頃から苦手になっちゃったの?
 
颯太朗:小学生のとき受験勉強はじめてから「ああ数学は苦手なんだ」と思いました。

教科が「好き」よりも受験で「有利」を選ぶ
洋平:里香ちゃんはテストの結果から理系が向いていると思ったみたいだけど、みんなけっこう妥協しちゃうんだよね。萌ちゃんみたいに「私、数学ダメだから文系にしよう」って思う人が多い気がする。まわりの子を見ていて「研究するのは好きだけど数学ができないからやめようかな」とか「宇宙飛行士になりたいけど、数学や物理が苦手だからな」という話を聞いたことない?

里香:理系の研究職に就きたいって思っていたけれど、テストの点数で見たら、文系科目の方が大学受験の時に有利なので文系にするという友達がいました。

洋平:なるほど、受験する道具として使う時にね。

萌:うちの学校は数学にすごい力を入れているから、みんな数学ができるのに、文理の選択の時に「薬学部に入りたいから理系にしたい」と言うと、先生が「このテストである程度の点数を取っておかないとちょっと理系は難しいんじゃない」って言う。特に女子で理系に進む人は少ないと思います。

洋平:女子は理系が少ないんだ。なんで理系に進む女の子は少ないんだろう。

萌:やっぱり三者面談とかですごい言われるから…。

洋平:じゃ女の子は数学とかの成績悪いの?

萌:数学はできます。ただ、物理・化学が難しくて男子と比べると点数が低くなる。

洋平:そういうものなのかな。男の子の方が物理・化学ができる。

里香ちゃんのところはそういうのはある?

里香:今は女の子も男の子も同じくらいできると思うんですけど、理系の先生が、男の子には先天的に備わった理系の理解力があるみたいなことを言っていました。

洋平:男の子は先天的に物理とか化学ができる頭になっているんだ。

里香:そう言われました。

洋平:もしかしたら、そういう先天的なものがあるのかもしれない。工学部とかは男子が多くて、女子は50人に1人いるかいないかっていう話を聞いたことがあるし。でも女の子が、「男の子がやるものだから、物理・化学は頑張らなくていいや」っていう発想をしているわけじゃないの? どうなんだろう?

萌:そういうのもあるとは思う。

洋平:職場環境の問題から女性が研究職に就きにくいっていう現実があるけど、女の子の立場から研究職に対して何かある?「研究所とか工場で働くのはイヤだな」みたいな。

里香:私は単純に化学とか数学を解いていて楽しいと思えるので、大学に入ったら研究所にも入ってみたいし、あまりそういう風には考えません。

萌:私は、女の子は研究職より文系に行くものなのかなって思うし、物理・化学もあんまり楽しいと思えない。テストのために、赤点を取らないように勉強している気がする。楽しく覚えるよりも、覚えなきゃいけない、やらなきゃいけないみたいな気持ちが強いから、最初はすごい興味があったけど、どんどん好きじゃなくなっていっちゃった。

洋平:入試制度って今文系入試と理系入試に分かれているよね。確かに国立志望か私立志望かでも分かれているけど、例えば「僕は選択で世界史と化学と物理取ります」というような文理融合的な入試制度があったらいいと思いますか?
 
里香:もし文系と理系の教科でそれぞれ得意な科目があって、その教科で受験できるとしても、大学に行った時に自分の専門分野を決めることができないと思うので、やっぱり理系と文系に大学入試の時点で分けることは必要だと思います。

日本は文理を分けるのが早すぎる!?
洋平:今みんなが高2で分かれるように、日本は文系・理系をはっきり分ける国だと言われています。高校の時に文系・理系って分けないで、みんなが同じことを学んで進学していく国もあるんだけど、そういう仕組みについてどう思う?

里香:正直まだ自分が理系なのか文系なのか、よくわかりません。高2の時に明確に分けられちゃうと、途中から文転しづらいので不安な面もあります。

萌:私は理系の教科もけっこう好きだから、あまり分けないでほしかった。でも「分けなきゃいけない、どっち?」って言われてギリギリまで悩んで決めたけど、本当は両方少しずつ学んでみたかったです。

颯太朗:僕は理系があまり得意じゃないので、あえて学びたいとは思いません。でも教育学部や芸術とか、理系と文系の中間的なところも色々あると思うので、そういうのも分からないうちにただ文系と理系に分けるのはどうかな、と思っています。

洋平:なるほど。理系の人が文系に変えるよりも、文系の人が理系に変える方が難しいよね。高校である程度基礎的なこと、物理・化学のことを両方学んでおけば、いざ進学って時に文系の人が理系にいけるようになることもあり得ると思いませんか?
 
里香:私の学校では理系は理系の教科だけ勉強して、文系も数学はほんとに初歩的なことしかやりません。一度文系に行ってしまったら理系にはいけないし、理系に行ったらもう文系についていけなくなるので、文転・理転するのはすごく難しい状況にあると思います。

洋平:学校が受験用のカリキュラムとして組んでいるから、そうなっちゃうんだよね。

萌:うちの学校は進学校と言われるところなので、中学のときから高校一年生までの間に理科は一学年一科目ずつ勉強しています。そのうえで決めているので、理系から文系に行くことはできるんですけど、文系から理系は難しいと言われるんです。

颯太朗:うちの学校は文系と理系に分かれ、さらにその中で私立と国立に分かれています。私立は文系・理系どちらもその教科しかやりませんが、国立だと文系でも数学と理科を、理系なら英語、国語と社会もやるんです。でも理系の方が数学も理科も進むのが早いので、よっぽど自信がある人じゃないと文系から理系には行きません。

理系離れが進む理由
洋平:今、文系・理系それぞれ分かれていると思うんだけど、理科は好き? 例えば液体窒素に花を入れて凍らせて、手で触るとぐちゃぐちゃってくずれたりとか、スーパーボール液体窒素の中入れるとはねなくなって割れるとか、そういう理科っぽいことって好き?

颯太朗:僕は文系なんですが、化学の周期表に非常に興味があって、周期表の話は好きです。でもそれに数学とか数式がからんでくるとダメです。

萌:私は実験とかはすごく好きだけど、それを化学的に考えなきゃいけないのがイヤ。実験は面白いけど、なんでそうなるのかっていう説明は好きじゃない。

洋平:力学的なことは考えずに、純粋にペットボトルロケット飛ばして遊ぶってことだね。わかりました。では、なぜ理系離れが進んでしまっているんでしょう。

颯太朗:やはり理系に進むと仕事の範囲が専門的なところとかに限られてしまう。しかも理系は文系に比べると、数学や理科など、面倒くさいイメージがあって、特に理系の技術者とか医者になろうと思っていない人たちは、一般のいろんな職業に就けるような文系を選んでしまうのではないでしょうか。

里香:理系と文系の大学の学費を比べると、理系の方が高くなります。文系・理系どちらを出ても、結局普通の会社に勤めるなら、学費の安い文系を出た方がいいと思う人も多いはず。大学を卒業するのも文系の方がラクなのかなと思います。

萌:私は進路を決めるために色々大学のことを調べて、やっぱり女の子で理系の研究職はいやだなって思いました。でも医学部や薬学部は大学にもこだわると難しかったり、お金がすごくかかったりします。そういうことを考えて、将来的になれる職業の幅や視野が広がる文系にしちゃいました。

理系離れを食い止めるには
洋平:最後に理系離れをくい止めるにはどうしたらいいと思いますか。以前、雑誌で見たんだけど、女子校で数学、化学、物理の先生を、今までのおじいちゃんとかおじちゃんから、全部若いイケメンの先生にしたんだって。そうしたらそれ目当てで食いついてくる生徒がいっぱいいて、その学校は理系の進学実績が上がったんだとか。これはすごく極端な例だと思うけど、何かそういう理系離れをくい止める方法はあると思いますか。

里香:義務教育の時から数学や理科の授業の難易度を上げて、文系の人でも理系に強くなる環境を作れば、理系好きの人も増えて理系離れが防げるんじゃないかなと思います。

洋平:でも落ちこぼれも増えそうだよね。

萌:私は最初に言われたように、やっぱり興味が持てた方がいいと思う。その興味がまずわかないんですよ。うちの学校も理科の先生だけすごいお年の人が多くて、黒板とかもめちゃくちゃ。若い人だったら興味が持てるし身近に感じる、そういうのがいい気もします。

颯太朗:今みんなが文系に進んでいるのは、安直な気持ちでラクだからだと思うんです。例えば世界史で覚えるものを今の三倍にするとか、文系でやることをすごく大変にしたら、みんなまた安直な気持ちで理系に行くんじゃないかと思います。

洋平:うちは理系の先生で個性的な方がすごく多いんだけど、それも一つの取り組みづらさになっているかなと思いました。これで理系離れ班の「なぜ理系離れが進んでいるのか」の座談会を終わりたいと思います。

関連記事

・理系離れを食い止めるために

カテゴリー
政治 座談会

成人年齢引き下げ

参加者:
藤原沙来(17)、原衣織(15)、曽木颯太朗(15)、大久保里香(15) 川口洋平(17 司会)
2007/08/16

 国民投票法が2007年衆議院参議院で可決され、5月18日に公布された。この法律によると18才以上が投票権者となる。 いずれ国政選挙の投票も18才以上になるかもしれない、ということを前提に10代の若者が話し合った。

洋平:今日は「参政権もらったら自分たちは投票する?」をベースにしてやっていきたいと思います。今回、国民投票法が成立して、憲法を改正するにあたって、18歳以上が参政権を与えられることになったので、自分たちも投票できることになりました。憲法というものをきちんと理解して、投票できると思いますか?

沙来:あと数ヶ月で18歳なので、すぐに選挙権を得ることができるのですけど、今のところ、私自身は親が選挙に行くのを傍観者として客観的にしか見ていないので実際に選挙権を得ることができても、投票する責任とかはまだわいてないのが現状だなと思います。

洋平:では3年後に憲法改正の国民投票が行われました、自分はもう18歳すぎています。投票へ行きますか?

里香:私は行きます。自分の意見が社会に反映されたらうれしいと思うからです。

洋平:18歳になったから自分なりに憲法解釈して、投票できるよ、ということ?

里香:たぶん。そういうふうに決まってしまったらやるしかないと思うので。

洋平:自分は行くかもしれないけど、まわりの友だちとかは行くと思う?

里香:興味ない子もいると思うし、それに急に2年も引き下げられたら心の準備もまだできてないと思うので、行かない子もいると思います。

颯太朗:自分では行くつもりですけど、インターネットや掲示板などであおられて、それに影響されて行っちゃう友だちがいっぱいいるような気がする。

洋平:2チャンネルなどで憲法九条のもとにまとまるのか。なるほどね。憲法をきちんと理解して、投票する人はあんまりいないということかな。

衣織:私もたぶん行きます。ただ今の中高の公民の授業では、憲法をちょっと離れたこととして扱っていると思う ので、まわりに憲法という問題を身近なものと感じている人は少ないと思います。

洋平:憲法を身近に感じさせるためには何かいい方法ありますか? 学校の教育にゆだねるしかないのかな。

沙来:高校生の間に18歳になる子は高校生の段階で投票に行くことができてしまうから、学校での教育が必要だと思う。うちの学校の場合は総合授業の中で、投票ボックスみたいのを先生が借りてきてくれて、実際に投票するというデモンストレーションをやって、もうちょっと身近に感じてもらうみたいなことをしていました。他の学校でも黒板に書いて勉強するのではなくて、もっと実体験できるような機会を与えてあげたら、もっと身近に感じられると思います。

洋平:ちなみに国民投票法を受けて、いろいろな学校でもそういうふうな授業が実際に行われているらしいです。

18歳と20歳の違いは?

洋平:大学へ行かないで高校卒で就職している人はたくさんいます。その人たちはちゃんと自分で稼いで、税金 も払っているのに、成人とみなされる20歳まで子供扱いされている。参政権ももらえないし、いろいろと制限されていますが、それについてはどう思いますか?

衣織:なにかの資料に18歳でもう自立している人が3割弱ぐらいいるっていうのがあったのですけど、今の日本は社会がどんどん高度化しているのに、自立する年齢はどんどん遅くなっていっている。その中で下げるっていうのは逆な気がする。だいたいほとんどの人は大学や大学院を卒業してからじゃないと自立しないからそうすると22歳とかもっと上になっちゃうわけで、そうなると18歳で自立する人は少なくなる。

里香:18歳で自立して働いている人は少数派で、おそらく多くの人が大学に行っていて、まだ自分で税金も払ってないと思う。そんななかで18歳を基準にすると、大半の人が社会のことをあんまり考えないで選挙に出ることになるので意味がないと思います。

颯太朗:18歳で働いて、自立している人に限って参政権を与えるなら賛成です。

洋平:じゃ参政権をもらえる人っていうのは働いているかどうかを基準とする?

颯太朗:働いている人、または働いた経験のある人。

沙来:18歳で働いている人がいるから引き下げるというのは反対で、20歳という社会人になるためのボーダーが あるのだから、それまでは社会のモラルを勉強しなきゃいけない年齢と設定すればいい。一定の常識も働いている間に身につけることができると思うし。

洋平:さきほど大学や大学院を出るまでは自立できないという話をしていたのですけど、逆に18歳で「大人なんだから」とつきはなしたほうが自立早まるのではないかとも思うのですが。

衣織:つきはなされたところで、実際就職はできないですよね。

沙来:私は18歳で自立はいいのですが、ただ法としては20歳のほうが気持ち的にいいかな、と。働くのであれば社会でちゃんと自分でしっかりしなきゃいけないっていう、自分に対して厳しくできる期間が2年間あるというのがいいかなと思います。

洋平:話は変わりますが、20歳が成人ということで、飲酒や喫煙も20歳からとなっていますが、実際大学生は 18歳でも新歓コンパなどで飲みますね。だから飲酒に関しては、年齢制限があってもなくても変わらないのではないか、みたいになっていますけれど、それについて意見はありますか。

颯太朗:選挙権を引き下げるのはあえて言えばどちらでもいいけれど、喫煙や飲酒の年齢まで引き下げると、今は法律があるから隠れてやっているようなのに、18歳になるとおおっぴらにやるようになって身体に悪影響を及ぼすような気がします。

里香:18歳から飲酒やタバコがいいとなると、みんな堂々と飲んだり吸ったりするようになってどんどん社会現象として、飲酒喫煙の年齢が引き下がると思うので、20歳は変えない方がいいと思います。

沙来:私も20歳から下げない方がいいと思っています。逆に低年齢化しないようにもっと働きかけをするべきだと 身体に悪いのは当たり前なのになんで18歳に下げて「しょうがないからいいのですよ」という流れになっているのかが納得ができないので。逆に20歳以上でもいいぐらいにして、タバコとかお酒にはもっと税を課すとか。日本の社会が下げるっていう方向性じゃなくて、なるべく酒とか喫煙をしないという方向に進むべきだなと思います。

衣織:お酒を飲む危険性って?

沙来:飲酒運転もそうだし、身体にもちろん悪いし、脳も小さくなるから悪影響。

洋平:でも外国はけっこう16歳からOKというところもあって。昔は食べ物にあまり栄養価がなかったので成長が遅かったけれど、今は18歳でも20歳でも成長的にはあまり変わらないらしい、と。それでも20歳じゃなきゃダメ?

颯太朗:喫煙はよくない。

洋平:わかりました。では20歳と18歳の違いってなんだと思います?

里香:基本的に違いはあんまりないと思うのです。高校卒業はまだ子供という意識があるじゃないですか。その中で急に社会の権利を与えられてもどうしたらいいかわからないと思うので、2年間勉強期間をおいて、20歳になって成人と認められたほうがいい影響が出てくると思いますし、みんな選挙にも興味もってくると思います。

沙来:正確な違いはちょっとまだわからないけれど、20歳という響きも、社会に出た時に大人になったなって思うし。そんなに大きな違いはないとしても感覚的な違いはあるのかなと思います。

洋平:日本では20歳が一つの基準とされてきたから、そういうふうな意識が根付いているとも思えるのだけど。

成人年齢を下げる理由

洋平:僕自身は、18歳で投票権、18歳を成人とするべきだと思っています。それは高校卒業したら大人、としないと、いつまでたっても親から自立もできないだろうし、それがニートにつながることも考えられるわけだし。    あと、高校を卒業してすぐに社会人になる人は、もう大学とかで学んだりしないわけじゃないですか。だけど政治を理解して20歳になったら投票に行く。ということは18歳の時点ですべて政治も社会のしくみも分かっているという状態じゃなきゃおかしいと思うのですね。それについてなにか意見はありますか?

衣織:18歳で自立している人はいるとは思いますが、その人たちが本当に選挙権を望んでいるか疑問。

颯太朗:18歳で自立している人がいるので参政権も引き下げた方がいいということですが、少数ながら中卒で16歳で社会に出る人もいる。16歳で社会に出ている人と18歳で社会に出ている人をどうして区別をつけなきゃならないのかという問題があると思う。

洋平:中学卒業する時点では一通り政治のしくみだとか分かっていなくてもいいし。

颯太朗:だいたいあんまり中学ではやらない。

里香:学校で教えられても黒板とかを前にして教えられるだけなので、全然親近感もわかない。だから18歳か20歳の期間が政治とかを身体で覚えていく期間だと思う。

洋平:わかりました。さっき話に出たのですが、そもそもなぜ年齢を引き下げたがっているのだと思いますか? 

沙来:少年法が一番関係していると思っていて。犯罪が低年齢化しているという動きがあるなかで、少年法だと 18歳から20歳未満の大人も少年として扱わなければならないのが中途半端なのかな? それを今12歳ぐらいまで引き下げようとする動きとかを見ていると、全部を一気に低年齢化させて、それプラス選挙に行ける子たちをもっと増やそうとしているようで。

里香:18歳からにすると、初めて選挙権が与えられたらやっぱりちょっと興味本位で投票してみたくなるじゃないですか。それでよくわからないから、テレビや新聞などに出ている政党の言うことを信じがちになる。そうすると18歳の投票率が高くて賛成とかも得やすくなると思うので、政党が国を支配しやすくするために18歳に引き下げるのではないかなと思います。

洋平:政治的な目論見がある。なるほど。

颯太朗:新聞によると18歳に引き下げる案を出したのは政府じゃなくて野党の方で、低年齢層の方が野党の支持率が高いというので始め政府はそれに抵抗していたっていうふうに読んだことがあります。

低年齢化は防ぐべき?

洋平:参政権については「18歳に引き下げるのはあんまり良くない、判断できないのではないか?」という話がありましたが、そもそもなんでみんなは成人年齢をさげるのが嫌なの?

衣織:この引き下げには、少年法の適用年齢引き下げが大きく関わってくると思うんです。少年犯罪が凶悪化しているからというのが理由のようですけれど、それは統計的には不正確と言われているし、今の大人の子供に対する恐怖感が厳罰化として現れているだけだと思うので、18歳とかもっと下の年齢からそういう罰を与えるのは反対です。

沙来:逆に年齢を下げるんじゃなくて、低年齢化を防ぐ動きをするべきだと思っていて、少年法に関してもそうす べきだなと思います。

颯太朗:まわりを見ていて、若者が何事に関しても無責任すぎるところがあると思う。大人になっちゃったら、「大人だから何をやってもいいんだ」と、親のいうことをまったく聞かなくなっちゃって、社会全体が無責任になりそうで。そういう点から18歳、もっと低年齢化することには反対です。

里香:20歳でも無責任な人はいて、18歳に引き下げたところで、権利だけもらっても義務を果たさない人も出てくると思うので、2年間で義務を学ばせてから権利を与えるべきだと思います。

カテゴリー
座談会

赤ちゃんポストあったらどうする?

 熊本の慈恵病院が捨て子を救済するために設置した「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)。設置をめぐり賛否両論議論されているなか、2007年5月10日から運用が始まった。
  このような施設が全国的に広まったら、簡単に自分の子どもを捨ててしまうのだろうか?


藤原沙来(17)、畔田涼(16)、曽木颯太朗(15)、佐藤美里菜(15) 川口洋平(17 司会)
2007/08/13

洋平:「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)が熊本の慈恵病院に設置されました。このことについてどう思いますか。

沙来:「赤ちゃんポスト」ができたことは賛成です。慈恵病院では後で連絡をとれるようなポストカードが置いてあり、フォローができる状態になっているようなので、きちんとしているのではないかと思います。基本的には自分の子どもは自分で育てなければいけないのだから、親の責任という考え方を植えつけるようなことは必要だと思います。

涼 :私は「赤ちゃんポスト」には基本的に反対です。生んでから「やっぱり育てられない」という人を対象にしているのだったら、それは単に育児放棄を助けている。できるだけ自分で育てられるように、例えば慈恵病院がしている無料電話相談などをする施設をもっと増やした方がいいと思います。

颯太朗:僕は赤ちゃんが親の育児放棄で死んでいってしまうよりは、捨てられても生きていけるほうが幸せなんじゃないかと思います。

美里菜:虐待されて生きていくよりは、「赤ちゃんポスト」に捨てられるほうが幸せなのかもしれないけれど、生きていくために預けられた子どもの精神面を考えると、私は反対です。それに「赤ちゃんポスト」があることによって、今の若者の多くに、簡単に育児から逃げられるという甘えが生まれるのではないかとも思うし。

■「ポスト」という呼び名

洋平:「赤ちゃんポスト」があるから育児放棄をしようと思うのか、なければ「しょうがないや」と頑張っていくべきなのか?

颯太朗:「赤ちゃんポスト」ができて、簡単に育児放棄をしてしまう親だったら、「赤ちゃんポスト」がなければ頑張る親だとは思わないけど。

美里菜:「赤ちゃんポスト」に預けるというと、ほんとに「ポスト」に入れるだけって感じですごく軽い気がして。

洋平:「ポスト」っていう名前がいけないのかな?

美里菜:それもあると思います。

洋平:もとは「こうのとりのゆりかご」っていう名前なのに、メディアが勝手に「赤ちゃんポスト」って報道しているのですよね。

美里菜:「ポスト」といわれると、いらない物を投函するような感じがするので、「赤ちゃんポスト」自体は悪いとは思わないけれど、報道の仕方に問題があると思います。

洋平:もしかしたらこの「赤ちゃんポスト」が今後全国に広がるかもしれない。

颯太朗:今は熊本にあるので、東京からそこまで行くってことは「気軽」ではないと思いますが、東京にあったら結構気軽に行っちゃうような気がするのですけど。

美里菜:東京から遠いから簡単じゃないって言っていたのですけど、メディアの報道を見ていると、簡単だなと思います。

颯太朗:そうかもしれない。だから「赤ちゃんポスト」は最終手段として使ってほしい。

涼 :緊急避難の措置なのだよ、というのをみんなが理解すれば「赤ちゃんポスト」はいいのかなと思うんですけど、この趣旨を理解している人が少なすぎるから、今のままだったら全国に広まるのは怖いと思う。

沙来:まだ熊本にしかないし、実験段階で実際に 3 ~ 4 人しか入れられていないし、現状を考えるとまだ親の責任を問う時間というのはこれからでも間に合うと思うし、新生児を入れて匿名性を生かすという意味では「赤ちゃんポスト」がある価値はあると思います。

涼 :匿名性って?

沙来:親の名前もバックグラウンドも全て伏せて、赤ちゃんが新生児として扱われること。   孤児院とかの施設に入ると親の戸籍とかを調べようと思えば調べられるし。後々そっちの方がつらいのかなと私は思います。

■預けられたら実の親を探しにいくか?
洋平:今度は子どもの観点から見て、もし自分が赤ちゃんだったら、どれが一番幸せだと思いますか。

沙来:私は虐待というのに耐えらないので、里親に出してもらってきちんとした教育が受けられるように導いてくれる環境にあればいいかなって思います。

涼 :虐待されているよりは、できるだけいいお家に預けられた方がいいと思うんです。生まれて数週間の時に預けられた方が里親の愛情も違うと思うので、できるだけ早く預けてもらって、でも戸籍は元の親がわかるようにしておいたほうがいいです。

颯太朗:虐待されるよりは里親に出してもらった方が幸福だと思うんです。

沙来:自分の中で親というものが存在していて、里親に預けられるのはすごくつらいと思う。「赤ちゃんポスト」に預けるのはたしか生まれて二週間以内と決まっているので、生まれてすぐちゃんとした環境の中で育てられる方が、その子にとっては恵まれた環境になると思います。

洋平:実際預けられたら、将来実親を捜しにいくとおもいますか。

美里菜:施設に預けられたら私は絶対親を捜しにいきます。

颯太朗:僕は将来自分を捨てたような親は捜さないと思います。

洋平:親は子どもが厄介で捨てて、幸せな家庭を築いているかもしれない。そういうところにいきなり「あなたの子です」とやってきたら、親にとって迷惑じゃない?

美里菜:それもあると思うけど、子どもの立場でいえば、そんなことより他の思いの方が先にたつし。迷惑といったって、親には少なからず責任はあるわけだから、捜しにいってはいけないという意見には私は反対です。

沙来:将来、親を捜そうと思うときに、別に親に会って何かしてもらおうという気はないと思います。親にしても「今さら会ってどうするの?」という感じだと思うし。親子関係が一度切れたのだから、それをお互いが認識して会ったところで何も進展しないと思います。養子として育てられたことを認識することは大事かもしれないけれど、親を捜すことは別に重要視しなくてもいいと思います。

美里菜:もし私が里親にちゃんと育てられたのであればきっと里親にすごく感謝するし、もとの親に戻りたいとも思わないけれど、やっぱりどこかで本当のことを知っておきたいというのがある。知りたい人がいれば知ることができるようにしたほうがいいんじゃないかなと思います。

洋平:今海外に養子としてだされる赤ちゃんの親たちは厄介だからと自分の名前を知らせないことが多いらしいんですけど、親の名前とかは知らせるべきだと思いますか。

美里菜:赤ちゃんのときに預けられて何も知らないまま育っていたなら、知らないままのほうが幸せかもしれないけれど、もし気づいていたら、本当のことを教えてあげた方がいいと私は思います。

洋平:「赤ちゃんポスト」に捨てるにしても親がちゃんと身元を明かして捨てる制度を作らないといけないとか。

美里菜:その方がいいと思います。

涼 :親権放棄の手続きとかがされていないと里親にスムーズに行けないのだったら、「赤ちゃんポスト」でも親が名乗り出て、ちゃんと里親にスムーズに行けるまで見守るという親の責任を果たすようにする。

■「赤ちゃんポスト」を利用する?

洋平:もしみなさんが妊娠して赤ちゃんをどうにかしなければならない立場になったときに、どうしますか。「赤ちゃんポスト」を利用しますか。

美里菜:わからないけれど、ほんとうに大変だったらたぶん「赤ちゃんポスト」に入れてしまうと思います。身近な問題ではないのでよくわからないのだけど・・・・・・。「赤ちゃんポスト」がなかったら、後で親がわかるような施設に入れて、その結果、あとで自分に何か責任がかえってきてもしかたがないと思う。

沙来:「赤ちゃんポスト」に賛成ですけど、自分が使うかといったら、絶対使わない。私は親の責任を絶対とるべきだと考えているので、児童相談所とかに行って里親に出すなりすると思います。そして親として自分の子どもがどこにいるのかは把握しておきたいし、子どもも自分の親がどこにいるのかをわかるような環境にしておきたいです。

涼 :もし私が妊娠したら、たぶん中絶しちゃうと思うんです。たとえ「赤ちゃんポスト」に入れようと、孤児院や里親に預けようと、生んだという事実が、自分の中でずっとつきまとう感じがするので。もし生まなければならないのだったら、ちゃんと里親にスムーズに行けるようにしてあげるし、「赤ちゃんポスト」を使うにしても親が最後まで責任を持つべきだと思う。

美里菜:特別な事情があったら私だったら涼ちゃんや沙来ちゃんのようにきちんとした考えをもてないと思います。それだったら本当に逃げるというか「赤ちゃんポスト」に頼ってしまうと思う。もし「赤ちゃんポスト」がなかったら、それはないだろうけれど。

洋平:やっぱり「赤ちゃんポスト」があると思うから、簡単に逃げるんだ。

美里菜:選択肢として簡単な方が。「赤ちゃんポスト」はただ赤ちゃんをポストに連れていくだけじゃないですか。そういうものが選択肢の中にあることはすごい反対ですけど、もし自分がそういう立場になったら使ってしまうかもしれない。

洋平:他の人もみなそういうふうに思っているのかな?

美里菜:人それぞれだと思うけれど、レイプされて生まれた赤ちゃんだったら「赤ちゃんポスト」に持っていくだろうなと思います。

沙来:私はたとえレイプされて生まれても、自分の体の中に存在している命、まだエコーなんかで見えなくても、殺されちゃうのは絶対に許されないことなので、中絶はしないし、どんなに嫌いな人の子どもでも育てたいと思います。

涼: 私だったら、どんな子でも自分に責任がもてないのだったら、生むべきじゃないと思う。今もし妊娠したら、責任をもって育てる自信がないから、生まないと思います。

洋平:それじゃあ、これまでの討論を通じて改めて聞きたいのですが、「赤ちゃんポスト」はあったほうがいいと思いますか?

涼: 私はどんな場合でも「赤ちゃんポスト」というのは基本的に反対です。「赤ちゃんポスト」イコール「簡単に赤ちゃん捨てられる」という認識が強すぎて。慈恵病院の理事長がいったみたいに「これは緊急措置なんだ」と、それで「母親が名乗りでてくれた方がいいんだよ」という趣旨が一般に伝わっていないんだったら、やっぱり「赤ちゃんポスト」を設置するべきでなかったんじゃないかと思います。

沙希:実際にそれを利用している人がいて、その人たちは私たちが想像している以上になんらかの事情があるのだから最終的な手段として使うのなら「赤ちゃんポスト」があることは賛成です。それに「赤ちゃんポスト」に気軽に捨てられるというふうに考えてはいないと思う。ただ、これ以上日本国内に増やすことは反対で、とりあえず、今は現状維持で、何らかの事情のある親に対しては「逃げ道」として必要なのじゃないかと思います。

美里菜:最初は「赤ちゃんポスト」なんてない方がいいと思っていたけれど、みんなの意見を聞いていて、私の知らない想像を絶する事情があったりしたときは、あった方がいいかもしれないと考えるようになりました。だけど設置した趣旨が一般にどれだけ伝わっているかで、「赤ちゃんポスト」の意味が大分変わってくるんじゃないかと思います。

カテゴリー
座談会

多様化する修学旅行

 修学旅行といえば、学年全体で行き先は同じ。行き先は決まって京都・奈良。夜は枕投げをし、昼間は仏閣見物をしお土産を買って帰る…。
  ところが今、中国、韓国をはじめとする海外への修学旅行や、2~3人のグループに分かれて農家に宿泊するなど、修学旅行が多様化してきている。 


曽木颯太朗(15)、三崎友衣奈(15)、藤原沙来(17)、大久保里香(15)、 川口洋平(17、司会)
2007/06/01

洋平:まず、自分の学校ではどんな修学旅行をしているのかを教えてください。

颯太朗:今年の秋に四泊五日で、三重の鳥羽と奈良・京都に行きます。これはもう数十年前からの恒例だそうです。

友衣奈:私の学校では、高二のときに北海道に一週間いくのですが、とても自由で、バスで現地に行って、勝手に作ったグループでまわります。

沙来:うちの学校もかなり自由で、修学旅行とは呼ばず、「地域研究」といっています。内容は毎日自由行動で集合写真撮る時だけ拘束されます。目的地に行ったらそこで解散、ホテル集合が毎日の基本です。

里香:冬に東北の方へ行って、スキー合宿のような修学旅行です。自由行動とかはあまりなくて、スキー研修がメインです。

■修学旅行の楽しみは?

洋平:決まったコースをやるところと、けっこう自由な修学旅行に分かれましたですけど、修学旅行の楽しみってなんだと思いますか?

友衣奈:やっぱり夜だと思います。みんなで集まって遊ぶとか。

里香:夜の雑談みたいなのが好きですけど、あんまり夜遅くまで話していると、先生に怒られるのがちょっと・・・・・・。

颯太朗:僕もやはり夜ベラベラとしゃべります。

洋平:どうしてそんなに遅くまで話すくらい楽しいのかな。普段でも話せない? 

友衣奈:修学旅行だとみんなちょっとテンションがあがっているから、けっこう、ぶっちゃけみたいな話が多くて、それがまた楽しい。

洋平:友だち 2 、3人で卒業旅行に行くのと修学旅行は何か違うものがある? 

友衣奈:確かに卒業旅行の方が自分たちで全部手配しなきゃいけないしから学ぶことはあるけれど、修学旅行では、ご飯を一緒に食べる時はちゃんとお皿を片づけるとかみんなでやることが多いので、団体行動というのが重要な課題だと思います。その課題が魅力なのかな?

洋平:そもそも修学旅行には、集団生活して楽しむ以外に、歴史的な建造物見て教養を高めるような目的があるらしいんですけど、最近はわりと自由で遊びの要素が強い修学旅行が多い傾向にある。となると最近の修学旅行に意味はあると思いますか?

友衣奈:例えば東京にいただけだったら、高いビルしか見られないけど、沖縄や北海道に行けば、もっと広い土地やシーサーみたいな現地ならではのものとかも見られるし、気候の面でも蒸し暑いとかとても寒い空気も体感できる。写真だけではわからないことに触れるだけでも、充分学ぶことは多いと思います。

沙来:私の学校は自分で行く場所を決めて行く目的を考えるので学ぶことはあると思います。

里香:奈良とか京都とか定番な場所に行くのもいいと思うけれど、そういう定番じゃない場所でも事前に調べて行けば学べることはいっぱいあると思います。

颯太朗:京都や奈良に教養を高める目的で行きますけど、でもそんなことよりも、中高の思い出づくりみたいな感じでいいんじゃないかと思います。

■従来とは違う修学旅行に興味ある?
洋平:集団でまわるだけではなくて、2、3人のグループで好きなところに行くとか、自分の興味のあるところに行く修学旅行に行ってみたいと思う? 例えば北海道の農家に何グループかに分かれて農業体験をするとか。 

友衣奈:農業体験とかは将来の職業に関して参考になれば、ということで行くのでしょうけれど、それはまた修学旅行とは別で行ったほうがいいかな。修学旅行はみんなで楽しくまとまって行きましょうみたいなのだと思います。

沙来:うちの学校は中学校の時に農業体験で越後にいきます。そのほかにも平和学習として広島と長崎に行くのと、国際理解として、福島のブリティッシュヒルズへいくというのもある。それも分散して自由行動です。私は型にはまった修学旅行はよく分からないので、何とも言えませんですが、越後に農業体験に行った子たちは堅苦しかったり、面倒くさかったり、辛かったりするけれど、それを中学生の時に、楽しさと同時に学べるのが貴重だと思う。

颯太朗:農業体験とかは修学旅行としてあまりおもしろくない。京都や奈良に行くのもはっきり言って、そんなにおもしろくはないけれど。 

里香:私も中二の時に研修旅行ということで農業体験に参加したけれど、修学旅行とは別にしたほうがいいと思います。学びと遊びと分けたほうがもっと充実したものになるんじゃないかな。

洋平:また違う例で、主に地方の学校に多いらしいんですけど、高校生であれば修学旅行と大学見学を兼ねて東京に来る。そういう修学旅行どう思いますか?

友衣奈:それはちょっと。確かに大学とか見られるのは楽しいと思うんですけれど、大学の授業に参加してみるのは修学旅行とは別で、そういう計画の旅行で行った方がいいと思うんです。

里香:私もわけた方がいいと思います。別に東京に行きたいと思っている人ばかりじゃないので、大学の見学とかは、個人的に行けばいいと思います。

沙来:地方の人のためにはいいのかなと思うので、修学旅行という名称を変えればいいんじゃないかなと思います。

颯太朗:地方の人たちが修学旅行で東京に来るのはとってもいいと思うんですけど、大学に来るのは「これから大学受験だから最後に遊ぶぞ、思い出を作るぞ」という時に何となく気分を重くするような気がするんですけど。でもそういうのを見たい人たちもいると思うので、自由時間とかに一部の先生が「大学に行きたい人はついておいで」みたいな感じで、修学旅行の一部としてやるのはいいんじゃないかと思います。

■修学旅行は遊びか学びか?

洋平:修学旅行って一応名目上は学び。だけど実際はどうなんでしょうね。

友衣奈:学びもあるけど、けっこう遊びも大切。今までガチガチに拘束してきた学校が、修学旅行になると突然とても優しくなる。「自由にしていいよ」。言い換えれば「遊んでいいよ」となる。だから修学旅行は最後に友だちと楽しむというのが大切なんじゃないかなと思います。

里香:修学旅行に行く前はなんかワクワクするんですよ。普段学校へ学びに行くっていったらあんまりワクワクしないじゃないですか。だから現状では修学旅行は遊びがあって、学びが付け足しになっている気がします。

沙来:私は逆に文字通り学びが主体で、みんなその開放感に浸って楽しんでいるものだと思います。

颯太朗:純然たる遊びだと思うんです。先生たちも口では「よく見とけ」とか言いながらも、生徒を遊ばせているようなもので。例えば京都や奈良に行ってお寺を見て、すごいなと感心する生徒もいれば、あんまり感心しないで、宿で遊ぶかとかそういうことを考える生徒もいる。だから結局は人それぞれ。

洋平:だいたい修学旅行の料金っていうのは平均5、6万円って言われていて、普通に行くパック旅行の2倍から3倍ぐらいのお金がかかる。それは大人数で行くし、添乗員さんがいっぱい付くとか、後は事前学習とかの費用とかでそれくらいかかっちゃうらしいんですけど、その遊びにそんなお金を親に出してもらってわざわざ遠くまで行く必要ある?

里香:学校の行事として一応歴史的なところや学べるところに行かせて、「学びも大事だけど遊んで来いよ」みたいな感じで、親にもその費用を出してもらってるんじゃないかなと思います。

友衣奈:確かに遊びのために5、6万もっていうのもあると思いますけど、お金を払った分、先生も多いし、添乗員もいるし、安全を保証するためのお金だと思っていればそんなに高くはないのかなと思います。

颯太朗:親の世代も、修学旅行はほとんどが体験しているわけです。で、親たちも友だちと楽しんでいたから、子どもたちも自分たちと同じようにやっぱり楽しむものだと自然に考えている。

■修学旅行に海外はあり?

洋平:なるほど、親にもちょっと意見聞いてみたいところですね。ところで私立の学校を中心に海外へ修学旅行に行く学校が増えている。近場だと韓国や中国、遠いところだとヨーロッパ。もちろんそれに比例して費用はウン十万かかるし、ヨーロッパへ行くとなると一年生の時から積み立てして、 50 万くらい必要な修学旅行も出てきているらしい。海外に高いお金を出して行きたい?

友衣奈:ヨーロッパなんて飛行機も 11 時間くらいかかるし、ウン十万は高いかなと思います。そんなにかかるんだったら家族で行けばいいし。私は国内の方がまだ安全だし言葉も通じるし、いいと思います。

沙来:海外に行こうと思えば大人になったら行ける。国内だと私が行った東北とかは自分で行こうと思わないし、歴史的建造物も興味なきゃ見ない。だから修学旅行は貴重な機会だと思うし、それを学校側が提供してくれるならなにか体験できればいいなと思うので、海外にお金をかけてまで行く必要はないと思います。あと、公立との差も出てきちゃうからそれも問題かな。

里香:日本国内を旅行するだけでもパックツアーの二倍もお金がかかると言うのに、海外へ行ったらもうそれこそとんでもないお金がかかる。海外に行きたければ個人的に行けばいいし、日本のこともよく分かっていないのに修学旅行で海外へ行ってもあんまり意味がないかなと思います。

颯太朗:海外は日本に比べてあまり治安は良くない。国内の修学旅行の何倍ものお金かけても、安全とか保証できないわけですよ。それを考えると海外に行くならもっと平和で安全な日本のなかでのんびりとやった方がいいんじゃないかと思います。

■理想の修学旅行はどういうもの?

洋平:海外にはわざわざ修学旅行で行きたくないみたいな、それはみんな共通なのかな。じゃ自分がもし自由に決めていいって言われたらこんな修学旅行行きたいみたいなの、教えていただけないでしょうか。

颯太朗:僕は拘束されるタイプの修学旅行で、一週間まるまる京都に行きたいです。いくつかのグループにわかれていろんな名所をまわる。京都の郊外の比叡山などにも足を伸ばしていいというようなもの。

友衣奈:北海道、沖縄、京都などとたくさん選択肢があって、そのなかで行きたいところまではみんなで行って、着いたら自由行動という拘束されない旅行。修学旅行だから学ばないのはまずいので課題はちゃんとある。ただお金の面とか自分たちで考えて行動できる修学旅行が楽しいと思います。

里香:場所はどこでもいいって感じです。ただ最後の活動なので、みんなで修学旅行に行って、同じところに泊まって楽しみたいなって思います。歴史的名所もみんなで見たらきっと一人で見るよりは楽しいと思うので。

沙来:うちの学校はまったく自由。行く前に事前レポートとしてテーマを先生に提出。修学旅行中は自由に課題に添った旅行を自分で組み立て、終わった後にレポートを出すというもの。だからみんなの意見を聞いていると、現状維持が一番いいかなと。ただみんなで一緒に行動する機会があまりないので、みんなが嫌だと言っている集団行動のきつさも体験してみたいなって気がします。

Translate »
コンテンツへスキップ