カテゴリー
社会 IT

まず相談!!~SNSの危険性~


2015/02/01                  三好 恵瑠(13)

  最近、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)関連の事件の話をニュースでよく耳にする。今は3DS、 iPhone、iPad、iPod、Walkmanの一部の機種でもSNSを使うことができる。SNSが多くつかわれる今日、どうしたらトラブルに巻き込まれずにすむのだろうか。その方法をさぐるために事件を扱う警視庁に取材した。

警視庁生活安全部

私たちはSNS関連の事件について知っていることはあまり多くない。そこで、中高生が被害にあった事件の傾向や相談、SNSの危険性や対策についての質問をぶつけてみた。答えてくれたのは警視庁生活安全部管理官少年育成課課長代理(少年育成担当)の古郷氏郎警視と警視庁生活安全部少年育成課学校地域係長の山崎広行警部だ。山崎警部は学校で非行・被害防止教室を開くなどの活動をしている部署に所属している。

警視庁の統計によれば、SNS関連の事件の被害児童数、特にコミュニティーサイトを通じたものは平成21年以降毎年1000人を超えているという。一番近い統計は平成26年上半期(1月~6月)のもので、全国の18歳以下の児童(ほとんどが中高生)698人が被害にあっている。その半数が青少年保護育成条例違反にあたり、「性」に関するものだと山崎警部は言う。そのほかワンクリック詐欺、メール上で知り合った人に個人情報を漏らしてしまったことによる恐喝などもある。これらを防ぐためには安易に個人情報を漏らさないことや、知らない人からのメールに気をつけることが大切だという。ストーカー事件にあうこともあり、「被害にあったらまず相談することが被害を大きくしないためには大切だ」と古郷警視は語った。

警視庁が考えるSNSの危険性やその使い方、行っている対策についても聞いてみた。
「SNSの危険性は相手が見えないことだ」と古郷警視は言う。SNSなどのコミュニティーサイトはネット上のつながりなので相手のことがわからない。相手がいい人ばかりだとは限らない。例えば、あるコミュニティーサイトに写真を投稿したとする。驚いたことにその写真から位置情報がわかり、自分の自宅等を追跡することができるのだ。そこからストーカー事件などにつながることもある。

 SNSの望ましい使い方には2つあるという。ひとつはフィルタリングだ。これは、携帯電話会社、本人、両親が関係することだと古郷警視は指摘する。フィルタリングは、携帯回線と無線LANの2つがある。最初はフィルタリングを皆つけているが、慣れてくるとはずしてしまうという。これを安易にははずさないことも大切なことらしい。二つ目は、家庭内や学校で話しあってルールを作りそれを守ることだという。

 古郷警視によれば警視庁が行っている対策は1つとして学校において概ね年に1回行っている教室がある。 警視庁のOBがスクールサポーターとして非行防止教室を行っている。その中で警視庁が製作したDVDを見せ、事例を教えたり、フィルタリングやルール作りの必要性を教える。児童・生徒自身に自分を守る方法を身につけさせることが目標だという。その他にも、サイバー補導というものがあり、インターネットの掲示板などに援助交際の書き込みをする子どもを見つけ、実際に会って注意をするというものもあるという。

 今回の取材で警視庁の担当者が繰り返し強調したことがある。それは、「早めに相談する」ということだ。相談する相手は、もし嫌だったら親でなくてもかまわない。そのために、警視庁ではヤングテレホンコーナーを設置している。匿名で相談することができ、しっかりと警察がアドバイスや捜査してくれるという。(相談電話番号は03-3580-4970)今日、SNS無しでは生活が成り立たなくなりつつある。みんなが有効活用できればとても便利で居心地のよい世の中になるのではないだろうか。しかし、SNSにはこの記事で伝えたようにたくさんの危険性がまだまだ潜んでいるし予防策を覚えねばならない。私たち子どもは安全にSNSを利用できる日が来ることを待ち望んでいる。

カテゴリー
社会 IT

「さわれる検索」でみえたこと

高橋 優香(16)

  昨年、ヤフー株式会社が新しいプロジェクト「さわれる検索」を立ち上げた。検索がさわれるとはどのようなことなのかを調べてみた。

「さわれる検索」は3Dプリンターとインターネットを組み合わせた構造になっていて、まず音声入力でキーワードを検索し、3Dデータベースにアクセス、最後に3Dデータをプリントアウト(立体化)するという手順で機能する。ヤフーはこの「さわれる検索」を筑波大学に寄贈した。

実際に設置されている筑波大学附属視覚特別支援学校を訪問し、高校三年生の大島康宏さんに話を聞いた。大島さんは目が不自由だが、「さわれる検索」によって「想像していなかったものを手で触ることができ、形を認識しやすくなった」と語る。今までは立体の模型を購入したり、先生が手作りで作っていたのだが、「さわれる検索」の開発により実物の模型を機械で作ることが可能になった。動物の模型など立体のものが簡単に出てくるのは画期的で、形を理解する手間が以前と比べて短時間で可能になった。

大島康宏くんに取材

しかし利点ばかりではない。作られたモノの手触りがすべて同じであることや縮尺が表示されないなど改善してほしい点はまだまだあるという。また、3Dデータで作れるバリエーションの数には限りがあり、検索物によっては例えば台風や空気などといった形では表せないものをプリントアウトすることができない場合がある。このような場合には、「データを必要としている生徒がいます」といった通知がインターネットを介してヤフー側に伝わり、ヤフーがそのデータをYahoo!のネット上で募集する作業が行われる。こどもたちは「さわれる検索」のモニターの役割も果たしていると言える。

さわれる検索の開発者でヤフー株式会社マーケティングソリューションカンパニーのクリエーティブマネージャーである内田伸哉氏は、「目の不自由なこどもたちに検索結果を音声で表すことができないかと思い始め、最終的に『さわれる検索」を作った」と言う。内田氏は事業の企画を立てる時に企画案を100~200個も考えるそうだ。なぜ「さわれる検索」のような新しい企画がたくさん浮かぶのかを尋ねると「失敗したものを改良して新しいものを作る行為を繰り返しているうちにたくさんの企画が生まれ、それらをかぶらないように整理していく。人が今までやったことがない方法で人を喜ばせ、世の中の人があっと驚くようなものを作ってみたい」と充実した表情で答えてくれた。

ヤフーのプロジェクトはすでにことし3月で終了したが、筑波大学附属視覚特別支援学校の星祐子副校長によると、「さわれる検索」はこどもたちの声によってその後も進化し続けている。受け継いだのは文部科学省委託事業の「支援機器等教材を活用した指導方法充実事業」だ。今年度と来年度にわたって「さわれる検索」システムに入っているデータと、こどもたちが欲しがっているデータをデータベース化することを計画している。星副校長は「さわれる検索」について、「いろいろな取り組みの延長線上として「さわれる検索」が存在するのであり、いきなり出てきたわけではない」と語る。インターネット企業、検索技術者、プリンター設計者、大学の研究者、視覚障害教育の先生、ユーザーであるこどもたちが様々なアイデアを出し合った結果ではないだろうか。「さわれる検索」をもとに、より改善した装置が普及し、小さなこどもでも使えるような実用的な支援マシンが増えてほしいと願う。

カテゴリー
社会 IT

「さわれる検索」って何?

村上 類 (16)

  昨年、ヤフージャパンが「さわれる検索」を開発した。ヤフージャパンは日本人の多くの人に利用されている検索エンジンの一つだ。しかし、この「さわれる検索」は名前の通り、ただ検索するだけではなく視覚障害の音声検索によって認識されたデータを3Dプリンターで出力する。そして作ったものをさわって形を認識することが出来る、検索と3Dプリンターを融合させた今までにない画期的なコンセプトだ。

ヤフー株式会社マーケティングソリューションカンパニーの内田伸哉氏

3Dプリンターが世の中になじみ始めた今、実際に活用されている例の一つである「さわれる検索」はなぜ生まれ、また実際に利用者の視覚障害者の人たちは何を思うのか。

まず私たちは「さわれる検索」のプロジェクト責任者であるヤフー株式会社マーケティングソリューションカンパニーの内田伸哉氏に取材をした。そもそも「さわれる検索」誕生の発端はヤフージャパンがインターネットの未来を示す必要があるという使命感からだと内田氏は話す。現在インターネットの検索では情報を「見る」・「聞く」はできるが、五感の中の「触る」ことはできない。内田氏は、そのことが原因で困っている人は目が見えない人であると気付いた。また、「誰も考えたり作ったことがないものを作ったり、世の中の人が驚いて、喜ぶものを作ることが仕事のやりがいにもつながる」と語った。そして「さわれる検索」を開発したことで、目が見える自分では気づかない発見があったそうだ。例えば実際に使用した生徒から出た要望は、「蚊」や「スカイツリー」のように小さすぎたり、大きすぎて触れないものや、実物をさわることができない「竜巻」だった。

Yahoo! には社会貢献を簡単にすることが出来る仕組みがあり、それを活用して「○○の3Dデータを求めています」と出し、様々な企業や団体などからデータを提供してもらってきたことで、多くのものの形を3Dプリンターで出力することができるようになったそうだ。

「さわれる検索」によって想定していない発想がつぎつぎ寄せられ、データの提供により、ますます健常者の人との形に対する認識のギャップが埋められるようになったと感じていると内田氏は言う。世界に負けない技術が日本にあるから、ヤフーがいままでにやったり、見たりしたことのないものを世の中の課題を解決する検索エンジンをこれからは作っていきたいと将来展望を語った。

では実際に「さわれる検索」を使った生徒はどう感じているのだろうか。筑波大学附属視覚特別支援学校高等部3年生の大島康宏さん(18)に取材をした。

 大島さんは立体的な形が簡単にできるのは画期的だと思ったことが「さわれる検索」を使用して率直に感じたことだそうだ。今までは立体のものは学校の授業で使ったことはあるものの、先生たちが発砲スチロールや紙粘土などで時間をかけて作っていたため、時間がかなり短縮されている。中でも蚊はさわれる検索で作ってさわって一番驚いたものだと大島さんは話す。小さすぎて普段はさわれない蚊などは身近なもので一番おもしろいと感じたそうだ。そして蚊の羽の向きや脚の数なども実際に触ってわかったそうだ。これからは「さわれる検索」などで街並みの模型などを作れば、障害者の世界が広がって出かけやすくなるという。

星副校長が「さわれる検索」を説明

だが、「さわれる検索」には改善してほしい点もあると大島さんは語った。大島さんは現在高等部に通っているが「さわれる検索」は主に小学生が利用しているため、実は先生に紹介してもらうまで自分の学校に機械があることを知らなかったそうだ。それに加え、例えば蝶一つとっても、飛んでいる蝶と花に止まっている蝶では羽の広げ方が違うなどバリエーションが少なく対応できていないところもある。また、実物の大きさの縮小率が提示されないため、比較ができない。例えば恐竜とネコが同じ大きさになっていたりするそうだ。それに加えYahoo! のホームページにある「さわれる検索のデータ募集」も終了してしまったので、データの蓄積が限られてしまったそうだ。

 しかし星祐子副校長によると、当校では、今年度と来年度(予定)、文部科学省の受託を受け、「支援機器等教材を活用した指導方法充実事業」に取り組んでいる。日本全国の視覚障害者や団体からデータのリクエストを募集し、それらのリクエスト等も参考にしながら、3Dデータをデータベース化して公開することにより「さわれる検索」のアプリケーションをダウンロードしたパソコンと3Dプリンターさえあれば誰でも多くのデータから自分が欲しいものの形を作れるようになっていくことを検討しているそうだ。これにより動物の細かい動きから物理の電磁波の仕組みまでを3Dプリンターによって再現することが可能になっていくのではないだろうかと大島さんは語った。

 「さわれる検索」と他の情報をうまく組み合わせることによって視覚障害者にとっても生活で生かしやすいものになるのではないだろうかと大島さんは話す。3Dプリンターによって、視覚障害者が見られなかった形がさわることによってわかるようになったと、それだけを聞くとメリットばかりのように感じるが、障害者の視点に立った政策や事業がこれからも増えていくことを期待する。

カテゴリー
座談会

中高生の時間の使い方

参加記者:三好恵瑠(中学1年)、小泉璃奈(高校2年)、近藤さくら(高校2年)、米山菜子(高校3年)
2014/11/15

学校、部活、塾、習い事、家族行事、ボランティア、ネット、テレビ・・・いまの中高生はとにかく時間に追われているようにみえる。そこで東京都心の私立中学・高校に通う記者たちが自らの「時間」について語り合った。

菜子:まず、みなさんの部活や習い事などを教えてください。
璃奈:中学2年までピアノを習い、中学3年から塾に通っています。
菜子:週に何回ですか?
璃奈:ピアノが週1回で、塾は高2から週2回に増えています。
さくら:中学時代は金曜日に塾、火曜と木曜に部活でした。コンクール前は土日も部活があり
ます。塾はいま週に4回です。
恵瑠:部活が週に3回あって、それ以外は特にしていません。
菜子:私は中学時代は週2回部活があり、週5回朝練がありました。高校では部活が週3回に
なり、塾も増えて最終的には週7回塾に通っていました。ほかに地域貢献活動「ロック
そーらん」やCEの活動があります。

菜子:高校生は塾の日が多いようですが本当に必要ですか?
璃奈:中3で成績が悪くなり通い始めましたが塾の復習をあまりやらず、今思えば本当に必要
だったのかな?でもいま高2ですが塾以外にも自習室に行き、目標を持って勉強してい
ます。
さくら:璃奈さんと同じように高1の時はあまり意味がなかった・・言いすぎかな?いま高
で受験を意識して勉強しているので必要だと思います。
菜子:英語が苦手で高2から英語塾だけに通いました。その後受験を意識して3科目を習える
塾に通いました。今考えるとどれも必要でした。

■忙しいと感じますか?

菜子:みなさん、いまの生活は忙しいと思いますか?
璃奈:正直なところ、そこまで忙しいとは感じていません。テレビ視聴を減らしたら勉強の時
間ができたので、時間を見つめ直すことは大事だと思います。
さくら:私も無駄な時間がすごく多くて・・・勉強の時間を見直すようにしています。
恵瑠:中学の一学期はとても忙しいような気がしていましたが、試験を3回経てからは勉強の
仕方が分かってきたので、今はそこまで忙しいとは感じていません。
菜子:私はいま大学受験が終わり自分の時間が増えました。忙しさは高2がピークで部活、生
徒会、塾、CE、地域貢献と全てに手を出して忙しかったです。

■時間の捻出アイデア 

菜子:実際にどのように時間の使い方を改善しましたか?
璃奈:見たいテレビは録画して次の日の夕飯を食べながら見ます。
さくら:「やることの優先リスト」をつくり、終わったものから消していきます。
恵瑠:母が見るテレビをちらちら見ていたので、それをやめました。ほんとうに見たい番組が
あるときは頑張ってそれまでに宿題を終わらせます。
菜子:時間の融通の効く塾に通い、不定期活動のCEや地域貢献活動に対応しました。優先順
位をつけ、中学時代の朝練で朝が強かったので「勉強は朝」と決めていました。
璃奈:私はいつも無駄に早起きしていた気がします。それで早く学校に着くようにして、まだ騒がしくない教室で朝礼までの時間を勉強に充てています。

■失敗、後悔・・・

さくら:「やることリスト」の理想が高すぎました。予定通りにいかない時があって、そこをど
うしていくかが課題でした。
璃奈:先輩の菜子ちゃんの予定リストは、全部実現できそうなリストでしたか?
菜子:「やること」というよりも「やらなければいけないリスト」を作りました。その日にしな
いと次の日の自分が苦しめられることが分かっていたので。あふれた分は休日に消化し
ましたが、バスケ部の試合が日曜に入ると、次の週にまた先送りになり苦しかったです。
璃奈:私も「やらなければいけないリスト」を書いたんです。でも「英語宿題」というおおまかな予定ではなく、英語のどの分野を何時間、どのように勉強するか具体的に書くことが大事でした。
菜子:同感です。数学の問題集の何頁から何頁と具体的に書くようにすると、量が少なく感じて、やれることが多くなったと思います。
恵瑠:私の失敗談です。中1の最初の定期テストでは入学したばかりで遊んでいたので苦手の数学の問題集を解くのにすごく時間がかかりました。毎日2頁と計画を立てたのですが、数学だけで一日が終わり他の勉強が出来ませんでした。やりたい教科はすごく頑張れるんです。別にどっちでもないなっていう教科をないがしろにしていたらひどい点数を取ってしまったので、できる予定を立て、試験前にちゃんと勉強しておけば良かったと思いました。
璃奈:いまの話を聞いて思い出すのは、私も今日は世界史の日、明日は英語の日と極端になってしまい、その偏りが結果にも表れてしまいます。そのあたりはみなさんどうしていますか?勉強と自由時間の切り替えだけでなく、科目同士の切り替えについて。

■勉強の工夫

菜子:私は一教科をずっと続けると飽きるので、少ない量でいろんな教科をやっていたと思
います。
さくら:数学や化学の理系科目をやり、飽きたら文系科目の暗記を入れて、メリハリをつけます。
恵瑠:私は、これまで頁で区切って計画を立てていたのですが、そうしたら頁によって問題の量が違い、他の教科に手が回らなくなってしまったことがあります。それからは頁数の目標に加えて、これくらいの時間でやると決めて時間内に終わらせるようにしました。

璃奈:みなさんがとった方法の結果、充実した勉強時間になりましたか?
菜子:私は、音楽を聴きながら勉強する癖があったので、やることはこなすけれど集中していたかと言われるとだらだらやっていた気もします。
さくら:私も、ぼうっとしてしまう時間があります。
恵瑠:私は本当によくぼうっとしていると言われます。時間に集中できていなかった気もするし、時間で目標を立てても提出課題が終わらなかったりすると、前もってやっておくことは大切だと思いました。

■究極の手段?睡眠時間を削るか

菜子:みなさんは、やることリストを消化できないときに睡眠時間を削ってまでもやりますか?睡眠時間も一緒に教えてください。
璃奈:睡眠時間を削ってまでしません。私は夜の11時に寝て、朝5時半に起きるので6時間半寝ています。一夜漬けも何回かやりましたが、翌日に疲れが残るだけでした。睡眠時間をちゃんととる方が脳にも体にも良いと聞いて、睡眠は大事にしています。
さくら:私は部活の部長なので、部活の仕事が残ったときは睡眠時間を削ります。勉強も予習しないと次の日に支障をきたすものは、睡眠時間を削ってやるようにしています。1時に寝て翌朝7時までの6時間睡眠が平均です。
恵瑠:ことし9月に一度睡眠時間を削って苦手な算数の勉強をしていたら、熱が出て3日間学校を休みました。休むと次の勉強が大変なのでそれからは睡眠時間を減らさないようにしています。中学受験の後に睡眠時間をちょっと増やしただけであまり変えていないんですが、11時から朝の6時までの7時間です。
菜子:私も勉強以外での仕事が残ったときは、他の人に迷惑がかかるので、睡眠時間を削って
やりました。勉強は他人と関係なく自分が苦しむだけだし、眠いままやっても身に入ら
ないので寝てしまっていました。ただ私は、朝に勉強するリズムを作っていたので、眠
い時はさっさと寝て朝早く起きていました。当時は11時すぎに寝て、朝5時か5時半
には起きていました。
恵瑠:私は逆に夜型で、朝はほんとうに眠くてできません。夜はなるべく早い時間にお風呂に入り、他にやることをなくしてからご飯を食べた後にすごく頑張って勉強をするようにしています。
璃奈:私は夕飯を食べると眠くなるので、放課後はすぐ帰宅しお風呂も早めに入り、やるべきことを終えてから夕飯を食べるようにしたら、勉強も身につきやすくなりました。

■携帯、ネット、SNS

菜子:みなさんは帰宅後のスケジュールがぎゅうぎゅうに詰まっていますね。ケータイやパソ
コンをやってしまうことはありませんか?私はスマホで動画を見てしまったり、SNSをやる時間がやはり長くて、なかなか改善できません。どのようにしていますか?
璃奈:通学の電車は途中で乗り換えるのですが、短い乗車時間の電車をケータイの時間に使い、長い電車で勉強の暗記に使うと決めているので、家ではあまりネットは見ないです。動画をどうしても見たい時は、この勉強が終わったら見るというご褒美として見ます。
さくら:私も動画をすごく見てしまい、普段なら予習が2~30分で終わるのに集中できず1時間もかかったことがあります。
菜子:私も動画を見ながら勉強していたころ、試験前なのに全然勉強できなかったことがあります。結局、前日にあわてることになりました
恵瑠:私はスマートホンとかネットを使う環境がなくて、メールは母のパソコンでやっています。それも30分と時間をちゃんと決めています。

■休日はリフレッシュ

菜子:みなさん、日曜日や長期休暇はどのように時間の配分を考えていますか?
璃奈:試験前でなければ、平日に勉強をたくさんして日曜日は好きなことだけするリフレッシ
ュの日にしています。長期休暇は、去年はだらだら宿題をし、テレビ見て何にも身につかない夏休みや冬休みになったので、ことしの夏休みは遅くとも学校の1時間目が始まる時刻には起きて、午前中を勉強にあて、午後は好きな時間にしました。
さくら:土日に部活がない時はリフレッシュの時間にしたり、次の週の予習を一度にまとめてしています。長期休暇は恥ずかしいけど今年の夏もだらだら過ごしてしまいました。
恵瑠:日曜日はその週に授業でやった分の問題集を解いたりします。平日に比べてテレビを見る時間が多いです。長期休暇は宿題をだらだらやっていた気がします。でも、大きい宿題は期限を決め、遊びに行く予定があれば前日までに終わらせると決めて心置きなく遊べるようにしました。
菜子:中学と高校を振り返ると、休みの日に勉強した記憶があまりありません。日曜日は友達と遊ぶかCEの活動や地域貢献など勉強以外のことに時間を使っていました。長期休暇は学校の宿題を早めに終わらせ後半は友達と遊んだりボランティアなどしていました。
恵瑠:夏休み中に部活があって、それが午前や午後と時間にばらつきがあったので、勉強があまりできてないなと感じることが多かったです。それに加え9月に文化祭があったので丸一日勉強が出来ない日もありました。そのうえテレビを見たり、夏休みだからと思ってだらだらと過ごし8月の前半になってもこんなに残っているのかと思うほど宿題があり、慌ててやった記憶があります。

通学時間

菜子:ところで、みなさんは通学時間をどのように使っていますか?
璃奈:行きは約1時間、帰りは1時間半電車に乗っています。他にバスにも乗りますが、行きも帰りも暗記科目をやります。土曜日はわざと急行ではなく各停に乗って、平日よりも長い時間座り、ゆっくりと暗記科目をやっています。
さくら:電車に乗っている時間が30分ですが、朝は前の晩遅くまで起きているため寝ています。帰りは英語の本を読むか暗記科目にあてています。世界史のノートを見返したり、古典の単語を覚えたり。
恵瑠:通学時間は行き返りともに40分から50分です。逆に私はテスト前は勉強漬け
になるので、家と学校以外では勉強したくないです。でも古典のテストの日などは百人一首が心配なので、それだけはちゃんと確認するようにしています。
菜子:私は電車とバスを合わせて45分くらい乗っています。行きは新聞や本を読みます。帰りは、眠るか勉強です。試験前は必ず勉強をしていました。電車内では暗記が
しやすいです。百人一首のプリントをぶつぶつ言いながら丸暗記です。
璃奈:私は通学時間が長いので、一日の勉強時間を考えた時に、通学時間も勉強時間と
考えてやるようにしたら、放課後少し余裕が持てるようになりました。通学時間の
活用も大事です
菜子:みなさんはもっと時間が欲しいですか?
璃奈:いますごく時間に気をつけながら過ごしているので十分満足しています。
さくら:欲しいです。でも、あると時間の使い方がルーズになってしまうのが心配です。
菜子:あと何時間欲しいですか?
さくら:あと2時間、3時間、寝る時間が欲しいです。
恵瑠:私も欲しいです。苦手な数学(算数?)にほんとうに時間がかかってしまって、他の勉強が全然進まなかったりするので、時間が欲しいです。というか、時間よりもっと早く問題を解く能力が欲しい気がします。
菜子:私は受験が終わった今は24時間で十分です。ただ、一番忙しかった高2の時は、30時間くらい欲しかったです。仕事は計画的にやっているので時間が足りていましたが、試験前は勉強を計画的にできていなかったのでその時間が欲しかったです。

以上

カテゴリー
Interviews 国際

イラン出身のハニア・アスガリ(34)さんにインタビュー

村上 類(15)

村上類(15)記者は、2014年7月14日から27日まで南カリフォルニアのアリソ・ビエホで開かれた第9回国際青少年メディア・サミットに参加した。そこで7つの課題の一つの「環境」グループに参加し、グループのアドバイザーであるハニアさんに出会った。村上記者にとってはイラン人に会って話をしたのは初めてのことで、様々なイラン事情をインタビューで聞いてみた。

Q. どのようなお仕事に就いていますか?
A. こどものメディア専門家で、フリーランスのメディア研究家・教育者として働いています。また、私が主宰している「ユナイテッド・ドリーム」というセンターでこどもの問題、とりわけこどものメディア問題に取り組んでいます。

Q. なぜそのお仕事に就いているのですか?
A. 私たちは21世紀に生きており、この時代はメディアが大きな役割を果たしていると思うからです。この分野で、とくにこどもや若者たちと仕事をすることはとても大切ですし、興味もあるからです。メディアは貴方たち若者に新鮮さと活力を感じさせるだけでなく、こどもたちがメディア・リテラシー(メディアの活用能力)を得るための基盤を与えます。ご存知のように最近はリテラシー(識字能力)には読み書きの能力だけに限りません。

Q. 貴女の宗教は何ですか?

  1. 私はイスラム教徒です。

Q. イランについて貴女が好きなところは何ですか?
A. イラン(旧ペルシャ)には偉大な文化があります。私たちの文化は紀元前3000年にまでさかのぼりますし、私はそれを誇りに思っています。

Q. イランにはどういう問題があると思いますか?
A. イランには多くの問題がありますが、主な問題はイランが世界の一部の地域から孤立していることです。イランは世界に門戸を開き、世界は私たちに対して門戸を開くべきだと思います。もしそれぞれの国が平和に暮らしたいと望むのであれば、自らの信念をもって心から他の国々を尊重しなければいけないと思います。政治的見解とは切り離すべきです。他の信仰や考えを受け入れるために私たちの門戸を開き、共に平和に生きる方法について他の意見に耳を傾けるべきです。いかなる敵対心も取り除くべきです。

Q. ソーシャルメディアはどのような影響がありますか?
A. 私がプレゼンテーションでお話ししたように、ソーシャルメディアは私たちの生活で最も大切です。ご存知のように今の人々を見ていると、個人生活、仕事場、そして余暇のときでも、みんなソーシャルメディアに深く関わっています。ソーシャルメディアが酸素のようになれば、大きな影響力をもつでしょう。私たちはソーシャルメディア無しには生きられません。ですから私たちは適切な方法でソーシャルメディアを使って知識を増やすべきです。

Q. イランでは小学校から高等学校までに共学の学校はありますか?
A. 幼稚園は共学です。小学校から高等学校までは完全に男女別学ですが、同じカリキュラムを学びます。小学校は6歳から始まり高等学校は18歳で卒業です。大学は共学です。

Q. 貴女はイランの大学に行きましたか?

  1. はい、行きました。イランで修士号の学位を取得しました。イランでは鉱山学のように実践的で難しい学部がありますが、大多数は男子学生が専攻しています。

Q. 大学院での専攻は何ですか?
A. コミュニケーション、メディア研究です。

Q. なぜコミュニケーションを選択されたのですか?

  1. 私はコミュニケーションが本当に好きなのです。前にもお話ししたように、私たちはメ

ディアの時代に生きているので、いつでもどこでもメディアに関わっていますから。
私たちはメディアからメッセージ攻めに遭っていますし、私たち自身が試練を乗り越えるためにメディアをつくることもできます。これは私にはとても興味があります。コミュニケーションは、実際には心理学、人間科学、法律、政治、国際関係のような他の自然科学をすべて含んだような専攻科目だからです。

Q. イランには女子大学がありますか?
A. はい、あります。非常に優れた教授陣をもつ有名な女子大学です。でも私は共学の大学に行きました。

Q. 貴女はイランの教育に満足していますか?
A. 正直言って満足していません。規則が厳し過ぎるからです。勉強する量もとても多いのです。私は教育とはただ学校に行って勉強するだけだとは思っていません。教育とは学校へ行って様々な活動をして、様々な技能(スキル)を習得することです。貴方たちは社会的活動が求められています。イラン人は教育水準が高いですが、私たちは他の側面にも目を向けなければいけないと考えています。

Q. イランでは政府がソーシャルメディアを規制していると思いますか?
A. はい、そう思います。イランには国営テレビ局とラジオ局しかありません。民間の放送局はありません。新聞社には民間企業がありますが、完全に政府の管理下におかれています。インターネットにはフィルタリング(監視チェック)がかけられています。

最後に、イラン人の日本人に対する印象について言わせてください。
イラン人は日本人を尊敬しています。日本は第二次世界大戦で完全に破壊されたのに、戦後の日本人は自分たちの国を再建するために団結して一生懸命働いたからです。日本人はとても礼儀正しいですし、イラン人は日本人を高く評価しています。貴方たち日本人は世界の手本(モデル)になるべきです。

カテゴリー
国際

第9回国際青少年メディア・サミットに参加して

村上 類(15)

  7月14日の朝、目覚めたら母国語ではない言葉が聞こえてくる。自分がいったいどこにいるのか状況が読めなかった。日本の学校で授業を受けて英語を身につけてきた私にとって、朝起きたらまずグッドモーニングと言う習慣は、まさに自分は日本にいないと思い知らされる瞬間である。そうだ、今日からは英語で自分の意見を主張しなければ!と私は気持ちを引き締めた。

グループで自然公園訪問

2014年7月14日から26日まで、アメリカのカリフォルニア州にある米国創価大学の施設を借りて第9回国際青少年メディア・サミットが行われ、チルドレンズ・エクスプレスから私を含め記者2人が参加した。このサミットには世界22ヶ国の14歳から25歳までの若者が集まり、世界で起きている7つの問題(女性の権利・貧困・差別・環境・若者の地位向上・健康・暴力)毎にグループを作り世界へ発信するためにビデオを制作した。

 私が参加した環境のグループはアメリカ、アフガニスタン、アルメニア、オーストリア、コソボから参加した7人だ。アドバイザーはイランから参加した女性だった。活動を通して、普段日本国内にいるだけでは絶対話す機会がない国の人たちと親交が深めることができた。
 最初に、『環境』と言っても一言では語りきれないため、世界で起きている自然現象や自分の国で感じられる地球温暖化の影響などを出し合い、どの項目が世界的な問題でまた映像で表現しやすいかを話し合った。そして世界共通で身近な水不足にテーマを決めて映像を制作することにした。その後、映像でいかに水不足を表現するのかアイデアを出し合い、水を無駄にしている人と、水を探し求めている人を交互に見せることに決めた。

撮影準備

 撮影の前にはどんな行動をどんな状況で撮るのかを細かく記した絵コンテを描いていく。私は撮影中の指示や判断を英語で仕切ることが難しいため、この絵コンテを描く役を買って出た。それぞれの場面の役者のポーズから天気まで撮影の軸となる重要な場面を一つずつ漫画のように描いていくのはなかなか難しかった反面、とても面白くいい経験だった。

 そして撮影。私たち環境グループにとって、水不足と水の無駄使いを分かりやすく見せるには太陽がどのシーンでも鍵を握るため、その日の天気にしたがってスケジュールを次々と変更する必要があり四方八方へ動き回った。

 撮影後は編集作業に取り掛かる。しかしここで、外国ならではの問題が生じた。撮影しなおすか否かの話し合い中にグループのメンバー数人がいきなりどこかへ行ってしまったのだ。遅刻、欠席等の行動はありえないと考えられている社会環境で生活をしている日本人の「きっちりさ」を感じた瞬間である。しかし最終的には映像作成の経験があるメンバーが編集を積極的に進めてくれて、最後には無事納得のいく作品を作ることができた。

 サミット最終日には各グループが作成した映像が上映された。どのグループの作品もそれぞれの問題を深く考えさせる完成度だった。日本ではせっかく映像を制作してもなかなか注目してもらえないことを考えると、日本はスポーツと勉強ができる人だけでなく、その二つに負けない才能を持っている若者にももっと注目をしてそれを発揮する機会を作るべきだと思った。

自然公園で説明を聞く

 私が今回サミットに参加して強く感じたこと。それは国や宗教、肌の色に関係なく支えあっていけば、たとえ少人数であっても生活しやすくなる人が増え、うれしいと思う人が必ずいるということだ。実際私は今回のサミットでさまざまな人に沢山助けられた。もし助けがなかったらおそらく二週間私は無事に生活できなかったと思う。活動外の時間に同じグループだったアフガニスタンの女の子に寮の部屋に呼んでもらって絵コンテの書き方を教えてもらったり、アドバイザーの人がミーティング終了後にわからなかった部分をもう一回教えてくれたりと、数え始めたらきりがないほどサポートしてもらった。特にルームメイトのアルメニア人の女の子が言ってくれた「困ったらいつでも助ける」という言葉は心の支えになった。 自分の学校のクラスだけが交流関係の中心だと思っていた私をサミットは変え、世界は広いようだが全員人種は違っても同じ人間であり、互いを支えあっていく大切さに気づかされた2週間だった。

カテゴリー
国際

The celebration of youth voices(若者の声の祭典)

松本 哉人(15)

 サミットに参加して3日目の昼、僕のグループ7人はオリエンテーションとしてそれぞれが自分のことを発表していた。みんなとちがって英語の得意でない僕はほとんど内容のないような事しか話せず、泣きたくなっていた。
 しかし、仲間たちは辛抱強く聞こうとしてくれた。話が止まるたびに「ソーリー」を繰り返していた僕に「英語がうまくないからといって否定することはしないし、だから謝る必要もない」と励ましてくれた。この言葉をもらってから僕は「サンキュー」という言葉を多く使うようになった。そして、この言葉が残りのサミット期間中、僕に話す勇気をくれた。
ことし7月14日から27日まで南カリフォルニアにある米国創価大学のキャンパスで第9回国際青少年メディア サミットが開催された。アフガニスタン、イラン、イスラエル、パレスチナ、コソボなど22ヶ国から来た80人近くの若者が差別、貧困、暴力、健康、環境、女性の権利、若者の地位向上の7つのグループに分かれて話し合った。

グループ活動の報告

僕は若者の地位向上のグループに参加した。僕のほかのメンバーはアルメニア、スロベニア、コソボ、アメリカ、メキシコ、ナイジェリアの若者たちだ。まず、それぞれの国の中で起きている若者の地位に関する問題を話し、共有し、改善するにはどうすればいいのか意見を交わした。ナイジェリアから来た女の子は金銭や社会的な立場の問題で自分の望む道に進めない若者がいることを話し、その場にいる全員が自分の周りにも同じようなことがあると話していた。

チームの課題は1分間のビデオ作品の制作だ。それぞれが自分の知っている映像を参考に見せ合いながら何を問題にするのか、どんな構成にするのかについて話し合った。その結果、テーマは「EVERY TALENT HAS ITS POWER」(全ての才能には活かしどころがある)で、自分の進むべき道を思い悩んでいる人たちに向けて自分の才能を信じるように呼びかける内容になった。

撮影は大学の構内で行った。メンバーはそれぞれ、プロデューサー、ディレクターなどの役を割り当てられた。各役割には専門家からのトレーニングも用意され、僕はガッファー(照明係)を担当した。ガッファーはライトや反射板を使って光の加減を調節する役で、撮影体験の少ない僕にとっては新しい知識だった。他のメンバーはほとんどの役割をよく理解していてビデオ作成の技術の高さに驚いた。意見がぶつかり合うことも多々あったが、結局はお互いの意見を理解した上で話し合い、納得する結論を出していた。日本では意見がぶつかると相手の話を聞かずにすぐに撤回したりしてしまうときが少なからずあるので、この点では日本は世界を見習うべきだと思った。 編集を終えてビデオ作品が完成した時はグループ全員で喜んだ。

撮影中の照明係

 もうひとつの難関はデクラレーション(宣言文)の作成だった。グループのメンバー全員が自分の国で起きている問題と解決方法について文章を作成し、その中から一人を選ぶ。選ばれた人は文章を読み上げて録画し、ビデオと一緒に閉会式で上映するのだが、若者の地位向上グループでは僕の提出した文章が選ばれた。日本の、子を持つ親や学校の先生達に向けて、子供にもっと励ます言葉をかけるよう呼びかける内容のものだ。英語の発音にとても苦労し、練習には多くの人の協力と時間とを必要としたが、ビデオ作品とともに閉会式でまとめて上映され、みんな達成感と喜びでいっぱいだった 気がつけば、サミットの最初には多くの不安を抱えていたのに、最後にはみんなとひとつになってビデオ作成や意見交換に取り組み、何事もまずやってみることが大事だということを学んだ。グループの中で口喧嘩になってふて腐れている様子などを見ていると、どこに住んでいても同じ人間であるということを実感させてくれたが、口喧嘩の原因がそれぞれの民族の信念の違いであったりすると参加者の「変えたい」という気持ちの強さを感じさせられた。それぞれの境遇の中で問題意識をもって参加した若者の中で共に作業できたことは世界に目を向けるいい機会になったと思う。また、自分の意見を発表し、人と話し合うことに長けた人たちの中にいると、自分の意見を主張し続けることの大切さやそのために必要な英語のスキルの重要性に気づかせてもらえた。

宣言文を撮影される

カテゴリー
社会 IT

VOCALOID™という文化


2014/10/04                 坂本 光央(11)

「初音ミク」のソフトウェア

   読者の皆さんは、VOCALOID(ボーカロイド)というものを知っているだろうか。歌声の合成技術の一つで、VOCALOID楽曲を作るためのソフトウェアにも使われている。VOCALOIDという名前はVOCALOID小説などで聞いたことがあったり、ニコニコ動画でVOCALOID楽曲の曲名を目にしたことがある、という人もいるかもしれない。
   具体的にはどのようなものなのか。VOCALOIDソフト発売元の一つであるクリプトン・フューチャー・メディア株式会社の広報担当 門野 亜由美氏、ニコニコ動画を運営している(株)ドワンゴ戦略的ETC事業部ユーザーマーケティング部クリエイティブプロデューサーの 阿部 大護氏、そしてVOCALOIDを開発したヤマハ株式会社 事業開発部 yamaha+推進室 VOCALOIDプロジェクト リーダー 剣持 秀紀氏に取材した。

ボーカロイド開発者へ取材

   そもそもVOCALOIDとは、はじめにも書いたように、ヤマハ株式会社が開発した歌声合成技術、そしてその技術の応用ソフトウェアの総称である。歌声は、実際の歌手の声をもとに作られた「歌声ライブラリ」とよばれる声のデータ―ベースをもとに合成している。この歌声ライブラリを変えることによって「初音ミク」「鏡音リン」などVOCALOIDキャラクターの声で歌わせることができる。さらに歌声ライブラリと、曲を打ち込む専用のVOCALOIDソフトウェアを使って曲を作ることができる。

門野氏によると、初めて日本語の歌声ライブラリ入りのVOCALOIDソフトウェアが発売されたのは2004年、「MEIKO」というソフトウェアだった。その後、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社では「KAITO」「初音ミク」などを発売していったという。このソフトウェアを使った楽曲の中で有名なのは昨年から今年にかけて放映されていたCMで使われた初音ミクの楽曲「千本桜」だろう。

(株)ドワンゴ社へ取材

   VOCALOIDを作った理由を剣持氏に尋ねると、「いろいろな楽器があり、コンピューターのなかに音源があったりはしたが、歌声だけは実際の歌手を呼ばなければならなかった」からだそうだ。

   阿部氏によると、 VOCALOID楽曲がニコニコ動画で流行り始めた時期は、2008年の半ばから2009年にかけてで、当時から初音ミクの楽曲は一番多かったそうだ。 また、現在のVOCALOID楽曲は、J-POPなどのカバー曲はほとんどなく、VOCALOIDのオリジナル曲、またそのカバー(既存曲を歌い手が歌ったものなど)がほとんどだという。

   ニコニコ動画でのボーカロイド楽曲の人気ポイントを質問すると、「一つ目は一つの動画を映像も声も全て自分で創ることができること、二つ目はキャラクターの人気で興味を持つ人が増えて、自分たちの思うままに想像して創ることができる二次創作(VOCALOID小説など)の現象が起きたところが人気のポイントだったのではないか」と話す。

クリンプトン社へスカイプ取材

   剣持氏に「VOCALOIDソフトを使った曲が最近増えてきているが何が魅力なのか」と聞くと、「いくつかあるが、人間の声のようでいて少し機械的なところ、また今までの常識にとらわれないところではないか」という。
 
   VOCALOIDという技術は、これからどのように進化していくのだろうか。剣持氏は「どんどん人間の声に近づけていきたい、完全な人間の声にはならないが、完全な人間の声ではないところがまた新しい表現になるのではないか」と語る。

  現在発売されている最新のVOCALOIDソフトはVOCALOID3で、このソフトでは、それ以前にはできなかった伴奏をつけることができるようになった。またiPadなどで楽しむことができる「iVOCALOID」や、自動作曲機能・ボカロデューサーを使った「ボカロネット」というものもある。

  「VOCALOID」という一つの新しい文化が、これからどのように躍進するのか、日本や世界の映像と音楽にどのように変化をもたらしていくのかを見守りたい。
※VOCALOID、ボカロネット、ボカロデューサーは、ヤマハ株式会社の登録商標または商標です。

カテゴリー
社会

住民のため、地域を伝える「地域新聞」

米山菜子(17)

  8月16日、真夏にも関わらず肌寒かったこの日に宮城県石巻市を訪れた。東日本大震災最多の被災者を出したこの町で、被災者でありながら、「伝える使命」を背負い情報を発信し続けた人々がいる。震災直後、避難所に張り出した「壁新聞」が広く評価された石巻日日(いしのまきひび) 新聞社だ。社員28名(そのうち記者は6名)で、宮城県石巻市、東松島市、牡鹿郡女川町の2市1町をエリアとして発行している。地域新聞のありかたについて、武内宏之常務(57)に取材した。

石巻漁港

 「地域の回覧板たれ」
 石巻日日新聞を創刊した山川清初代社長の言葉だ。まるで回覧板のように、地域住民に必要な情報を届ける地域新聞でありたい、という思いが込められている。「震災を経て大正元年の創刊当時の原点に戻りました」と武内氏は語る。震災前は、新聞は報道機関であって回覧板ではないという反発の気持ちが武内氏にはあったが、「震災直後は、被害状況や給水車がいつ来るのかなど、住民に必要な生活情報を提供する壁新聞はまさに回覧板のようでした」という。

石巻日日新聞が長年にわたって築き上げた住民との信頼関係は「住民とともに石巻で生活し、毎日のように顔を合わせ、共に考える。この日々の積み重ねが、住民と同じ思いを持ち、活発な情報交流を行うことにつながりました」。「震災当時、私たち記者も被災者と同じ経験をしたので、被災者が何を欲しいのかがよくわかりました。自分の家族の様子もわからないまま、記者として取材を続け、家に帰りたくても帰れない状態の中で、住民のために新聞を作り続けました」と武内氏は当時を振り返る。

 石巻日日新聞は地域新聞ではあるが震災後は、最大規模の被災地である石巻がどのように復興するのかを全国に発信するために、ネット配信Hibi-netを始めたそうだ。武内氏は「これから首都圏直下型や南海トラフ地震が予想されるので、他の地方の人たちの参考になればと思います」と言う。そして、武内氏はタブレット端末による発信も将来の視野に入れているそうだ。石巻には高齢者が多く、字の小さい新聞は読みにくいため敬遠される。タブレットは字を拡大できるので、ニュースも読んでもらえると期待する。また真冬の震災時、多くの高齢者は閉め切った室内にいて、外で流れる津波警報のサイレンや防災無線のアナウンスが聞こえなかったため、今後は防災機能としても使えると言う。新たな取り組みにも一貫して「地域のため」という強い意志がある。

武内常務に取材

 そして地域貢献にも力を入れる石巻日日新聞社では、スポーツを通して未来の担い手であるこどもたちを育てている。少年野球大会は半世紀以上も前から行われている。また、震災後多くの人に震災を知ってもらうために絆の駅「石巻NEWSee(ニューゼ ニュースの博物館の意味)」を開設した。誰でも無料で入館でき、震災当時の写真の展示や地域の人々と交流できる場として、武内氏は館長を務めている。

 石巻に生まれ育つ若者たちにとって、石巻日日新聞は生活に身近だという。遠藤友さん(19)は、「地域のニュースをたくさん伝えてくれるので、全国紙とは全然ちがいます」。そして木村ひな子さん(15)は「地域の祭りに家族と行って、そのことが新聞にも載ったりするからとても身近」と答えた。武内氏はこの言葉を聞いて、嬉しいと笑みをこぼした。そして、作家井上ひさし氏の「自分の住んでいる地域の歴史を軽んじる地域に未来はない」という言葉を引用して「自分の住んでいるところを知らなくて日本のことや世界のことを語るな、と思いますよ」と言った。地域新聞は地元のことを知るために必要不可欠な存在だ。

カテゴリー
社会

石巻は今

坂本 光央(11)

 あれから3年半がたったが、皆さんは3月11日のことをどれだけ覚えているだろうか。マグニチュード9.0、最大震度7の地震は東日本全体を襲い「東日本大震災」と名付けられた。また、この地震は大きな津波を引き起こし、三陸沿岸の市や町を流し去った。そんな多大な被害を受けた被災地の現在の状況と、そこに住んでいるこどもたちからこの被災地がどのように見えるのかを知るため、8月16日に宮城県石巻市と女川町を回り、石巻で活動しているキッズ・メディア・ステーションのこども記者に取材した。

   最初に、石巻駅前から観光タクシーで石巻の日和山公園、石巻港、湊小学校、そして女川町地域医療センター(旧女川町立病院)を訪ねた。日和山公園は、石巻市街を一望できる高台で、ところどころに震災前の写真が掲示してあり、震災前と今でどこが変わってしまったのかが一目で分かるようになっている。その写真と今の様子を比べてみると、明らかに建物が減り、南浜地区や門脇地区にはほとんど建物がなく、旧北上川の中洲も、面積が小さくなっている。津波で流されてしまったのである。

   石巻港には、津波で半壊した建物が未だに残っていて、とても痛々しかった。
 湊小学校は、震災により2013年に閉校した湊第二小学校と統合していた。湊小学校の前には「湊第二小学校  沿革」「湊第二小学校閉校記念碑」などの石碑が建っていた。
  
女川町地域医療センターは海抜18メートルの高台にあった。それでも津波が押し寄せて、一階が2メートルほど浸水したそうだ。また、通る道の途中には、あちこちに「津波到達高」を示す看板があり、また狭い仮設住宅などがあって、実際に行ってみないと分からないことが多かった。
    そして、一般社団法人キッズ・メディア・ステーションの記者たちに震災について話を聞いた。キッズ・メディア・ステーションは、「石巻日日こども新聞」を作っている団体である。

石巻漁港

  まず、地震が起きた時の気持ちを尋ねると、八重樫蓮君(石巻中学校1年)は、「その時(小学4年生)は学校にいたので、家族のことが心配でした」と語った。

石巻の町がこれからどのような町になって欲しいかについて聞くと、松林拓希君(蛇田中学校1年)は「震災後は津波の影響で、こどもたちの遊び場が屋内だけだったので、屋外に遊び場をたくさん作ってほしいです」。木村ひな子さん(門脇中学3年)は「震災後は商店街も閉まってあまり人がいないので、店が開いてもっと明るくなってほしいと思います」。八重樫蓮君は「郊外に店が集中して、みんなそっちに行ってしまい、中心市街地を賑やかにしてほしい」など、津波によって大きく変わった町の環境に対する希望が多かった。

また、今の石巻はみんなの理想の街に近づいているかどうかについて、酒井理子さん(門脇小学校6年)は、「近づいているとは思うけど、まだまだ理想の街とは思わない」。阿部文香さん(蛇田小学校6年)は「門脇小学校があった南浜地区は津波でほとんど流されてしまって今は雑草だらけで夜になると灯りがなくて暗いので、そこを明るくしてほしいです」と語り、まだまだ震災前の状態にさえ戻っていない様子がうかがえた。  

    被災地に対して、全国の人たちにして欲しいことは、「石巻のことをもっと目立たせてほしいし『石巻日日こども新聞』(http://kodomokisha.net/index.html)を読んで欲しい」(酒井さん)と、記者ならではの意見もあったが、「石巻に来て一緒に交流して欲しいです」(木村さん)。「今よりもっと観光客が増えてほしいし、震災のことをもっと色々な人に知ってもらいたい」(阿部さん)など、石巻を訪れてほしいという希望が多かった。

   最後に、震災を通して全国の人に伝えたいことを聞いてみると、八重樫君は「石巻の人たちが(寝る時には懐中電灯を枕元に置くなど)備えているのは震災があったからなので、ないところでは備えをしてほしいです」。木村ひな子さんは「地震はいつ起きるかわからないし、津波がくるかもしれないから、備えはした方がいいと思います」。酒井さんは「地震が起きたら、どういうことをしなければならないかを考えて欲しい」など、震災を経験した人ならではの「備え」を話してくれた。

   今回、石巻を訪ねて、ニュースやテレビのドキュメンタリーなどではわからない、被災地の空気を感じ、現地の人々に直接聞かないと分からないことはたくさんあると改めて感じた。 一人でも多くの人が現地に出向いて大地震や津波のことを知ることは、これから起きると予想されている首都圏直下型や南海トラフ地震などの被害を少しでも減らせるのではないかと思う。

カテゴリー
社会

筆記具流行の秘密

前田 佳菜絵(13)

 最近の女子中高生は、大型文房具店で多くの筆記具を買い、筆箱の中に入れている。決して安くはない筆記具をなぜ多く集め、持ち歩くのだろうか。また、女子中高生に注目を集める筆記具の魅力とは何だろうか。

取材をする記者

 実際に女子中高生にアンケートをとってみた。まず、今筆箱に入っている筆記具の数を聞くと、ほとんどの人が毎日10本以上の筆記具を持ち歩いていた。だが、その中で毎日使う数はほとんどの人が10本を下回った。分が持ち歩いている筆記具は多いと思うか尋ねると、12本持っていて多いと思うという意見もあったが、40本以上持ち歩いていても多いと感じていない意見もあった。理由は全部使うかもしれないから、きれいなデザインのものや可愛いキャラクターの筆記具を持っていたいから、という意見が多かった。また、10本以上の筆記具を毎日必ず使うという意見も少なくなかった。

 アンケート結果を元に、株式会社パイロットコーポレーションへ取材に行った。営業企画部筆記具企画グループの二宮清夏氏は、「女子中高生が持つ筆記具は昔から多かった例えば今販売している『ハイテックC コレト』(以下コレト)の前身『ハイテックC』は20年以上前から発売しているが、その頃から若い女の子たちの間で流行していたと思う」と話す。そして、「昔は単色のペンが多かったが、今はコレトのような『カスタマイズペン』や『多機能ペン』が増え、筆記具を選ぶ選択肢が増え、女子中高生の筆箱の中身が変化、多様化したのではないか」とも話した。カスタマイズペンは、本体のデザインや、中に入れるインクの色、数などを自分で決めることができる。

 女子中高生の多くが持っている、本体にいろいろな柄がついたペンについては、二宮氏によると、昔から販売はしていたが、数ヶ月に一回というように頻繁に発売するようになったのはごく最近だと言う。ほとんどが女子中高生向けで、二宮氏は「ペンも一つの雑貨。手にとって可愛いほうが楽しいだろうし買ってもらえるだろう」と話す。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 140720_hikki328.jpg
PILOTの二宮清夏氏

 パイロットは過去2回、女子中学生向け雑誌ニコラとコラボレーションしたコレトを発売したことで有名だが、それについても女子中高生がターゲットだと言う。二宮氏は「どのようにしたらもっと女子中高生に買ってもらえるか、どうやったらもっと使ってもらえるかと考えた」と言う。具体的な開発策を聞くと、最初はニコラを発行している新潮社を訪ねファッションの流行などに合わせたデザインを考えて、実際にニコラのモデルや読者へのアンケートで人気だったデザインを製品化したうだ。反響については、「初めてニコラとコラボしたときは春に製品を発売したので、初めてニコラを読んだ人、新学期に向け新しく筆記具が欲しい人たちに買ってもらえたのではないか。コラボしていないペンは、たまたま店頭で見て買ったという人も多いだろうが、コラボした製品はニコラでの宣伝により製品を知って、本当に気に入ってもらってから買ってもらえたのではないか」と二宮氏は語った。

 女子中高生向けのように男子向けの製品は発売しないのかという質問には、「どうしても今は筆記具のユーザーは女子中高生が多い。男子向けの製品について協議はしてはいるが、今のところ予定は無い」と二宮氏は話す。以前男子向けのキャラクターとコラボレーションしたペンが発売されたが、それはキャラクターを作った会社側からのオファーだったそうだ。

 これからはどの世代向けに製品を開発、販売していくか計画を聞くと、「パイロットは老若男女向けに製品を発売しているし、これからもそうするつもりだ。例えば、万年筆は年配者向け、色鉛筆は小さいこども向け、カスタマイズペンは女子中高生向け、というように製品によって対象とする世代、性別は変えていく。並行して期間限定、数量限定などやコラボレーションした製品は今後も発売していきたい」と二宮氏は語った。また、「インクなどの機能の追求、技術の革新を進めていきたい。外見が変わっても機能などが変わらなければ、本当の意味では新しい製品にはならない。柄などのデザインも新しくはしていくが、まずは新しい機能の追求が先」とも語る。 女子中高生の間で筆記具が流行する理由は、筆記具メーカーが女子中高生のニーズを追いかけてきたからこそあった。これから女子中高生の間の流行はどのように変化していくか、まだ誰も分からないが、筆記具メーカーがどのようにそのニーズを追いかけていくか目が離せない。

カテゴリー
社会

女子中高生の筆記具 ~なぜそんなに多いの?~

三好 恵瑠(13歳)

 なぜ、女子中高生の持ち歩いている筆記具は多いのか?
中学1年生の私の筆箱には、26本の筆記具がはいっている。まわりの友だちの持っている筆箱もパンパンだ。柄ものの筆記具も増え、ますます女子中高生の欲しそうな筆記具が店頭に並んでいる。

今、女子中高生たちは筆記具についてどう思っているのだろうか。

その理由を探るために記者仲間やその友だちにアンケートをとった。その結果、平均20本前後筆記具を持ち歩いていることや、自分の筆記具についてどう思っているのかがわかった。これは企業の戦略にのせられてしまっているのだろうか?女子中高生向け雑誌「ニコラ」とコラボしたカスタマイズペンを発売している株式会社パイロットコーポレション(PILOT)に取材した。

PILOTの二宮清夏氏

 アンケート結果から、20本前後の筆記具を持ち歩いている女子中高生は、柄をみて買っていることや、全部使うかもしれないと思っていることがわかっていた。その結果を持って質問をぶつけてみた。

 PILOT営業企画部筆記具企画グループの二宮清夏氏は、女子中高生の筆記具が昔より増えているという認識はないという。しかし、昔から多かったという。PILOTでは、約20年前から女子中高生向けに文房具を販売しているが、その中身は変わってきているらしい。

 「はじめは、1本ずつ様々な色のペンを持っていた。それが、いまでは、ペン本体を買い、中にいれるインクを自分で選びカスタマイズするのが主流。筆記具の選択肢が増え、筆箱の中身が多様化してきた」と二宮氏は語った。

 また、カスタマイズ商品「コレト」については、もっと多く使ってもらうために考えた結果、女子中高生に人気が高い雑誌「ニコラ」とコラボすることにしたという。柄物の筆記具は、女子中高生向けのものが多く、「ニコラ」とコラボすることで、彼女らの生の声を聞き「かわいい」と思ってもらえる物を作ろうとしたという。

 雑誌とのコラボの反響は大きかった。
平凡なデザインだと偶然見つけて、たまたま買うことになる場合が大半だ。だが、雑誌とのコラボでは記事に納得して気に入ってから買う場合が多い。売上も伸びたという。

筆記具の新商品

 さらに、地方での反響については、東京に比べるとさすがに小さいが、あまり格差はないという。なぜなら、PILOT社は全国に営業マンがいるため、小さい店にまで営業に行き商品を置いてもらっているからだ。このようなこともあり、全国的に女子中高生は筆記具をたくさん手にしているという。

 PILOT社のこれからの筆記具について聞いてみた。
まず、機能性にはこれからも力をいれていくという。そうしなければ本当の意味で新しいものが作れないからだ。しかし、並行して雑誌とのコラボや期間、数量限定の商品も作り、色々な年代の人に楽しんでもらえる商品を作っていきたいと考えているそうだ。

 今回の取材やアンケートの結果から、女子中高生の筆記具が以前から多いことは分かったが、企業がいち早くそれを察し、対応していることも分かった。そして、女子中高生にかける企業の熱意を見ることができた。時代の流れに敏感な女子中高生の筆記具は、これからどのように変化していくのだろうか。

Translate »
コンテンツへスキップ