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部活動をよりよくするために今動き出せ

三好 恵瑠(15)

 部活動は教員の負担が大きすぎるとメディアでも最近とりあげられ、話題になっている。「部活問題対策プロジェクト」というサイトも立ち上がり現職教員達も積極的に意見を公開している。では、部活動を行う生徒は負担を感じていないのだろうか。文部科学省は運動部活動に関して、平成9年に「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」という報告書を出している。その中で一週間の理想的な活動日数や一日の活動時間に関して具体的な数字が参考として出されている。しかし、それは守られていないという。そこで今回は運動部活動の在り方について取材した。

 初めに、ヤフー記事にこの問題を書いた名古屋大学院教育発達科学研究科准教授の内田良先生に取材した。 やりすぎの問題が起こるのは「たくさん練習したら強くなれる」という考え方が根強くあるためだと内田先生は言う。部活動の本来の意義は授業以外のスポーツや芸術活動をする機会を保証するということであり、強くなることが目的ではない。本当に強くなりたいのなら民間のスクールに行くべきだ、というのが内田先生の意見だ。部活動に外部指導者を招いて行うべきか、という問題については条件付きで賛成だという。外部指導者を呼ぶことで教員の負担を軽減することはできるが、専門的指導によって生徒の状況が悪化してしまうかもしれないという問題が出てくるからだ。出場した大会で勝つことはもちろん重要だけれども、あくまでも部活動は「教育の一環」であって,強化選手の育成ではないのだから、楽しむことが大事だということを忘れないでほしいと内田先生は強調した。

横浜市教育委員会

 横浜市教育委員会はどんな見解なのか、横浜市教育委員会事務局指導部指導企画課長の三宅一彦さんに聞いた。横浜市では「横浜の部活動」という指針を独自に出し、その中で目標を立てている。それは「部活動を通じて豊かな人間性とたくましく生き抜く力を育み、調和のとれた学校生活の実現を目指します」というものだ。部活動は国ではっきり決められている訳ではなく各学校ごとに行っている。そこには保護者の理解が不可欠だ。そのため横浜市では保護者に理解や協力を得るためにお願いを出しているという。部活動に外部指導者を呼ぶことについては財政的には厳しいが教員の負担を減らすこともできるため体育協会などと連携して積極的に取り入れているという。

文部科学省

 最後に「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」を発表した文部科学省に取材したスポーツ庁政策課学校体育室運動部活動推進係長の佐藤理史さんは、部活動はあくまで指導要領の範囲外であり、自主的な活動なので強制させることはできない。地域や年齢などによって適切な運動量は変わってくるので一概に決める事は出来ないと話す。外部指導者を部活動に取り入れる事に関しては、技術を教えるのも大切だが、スポーツ医学的なことも考えて指導してほしいと語った。文部科学省では外部指導者を呼ぶにあたって補助金を出している。そのほかにも指導者の資質向上のため、研修も実施しているという。
  現在、文部科学省では教員の負担問題を出発点にして部活動に関する集中審議を行っているという。最初にも書いたが、「部活問題対策プロジェクト」のメンバーなど、大勢の人々が問題の解決に向け動き出している。連日の練習に明け暮れる生徒たちも、部活動の最善の在り方について一度考えてみてはどうだろうか。

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「SGH」って?~今求められるグローバルリーダー~


2015/08/26                     前田 佳菜絵(14)  

 

2016年のG7伊勢志摩サミット開催、2020年の東京オリンピック開催などが決定されていく一方、まだまだ国際社会で活躍する日本人は少ないとされる。しかし、皆さんはスーパー・グローバル・ハイスクール(以下SGH)という言葉を聞いたことがあるだろうか。SGHとは「グローバルリーダー育成に資する教育を通して、生徒の社会課題に対する感心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素質を身に付け、もって、将来国際的に活躍できるグローバルリーダーの育成を図る」ために文部科学省に指定されて活動している高等学校のことだ。では、ここでのグローバルリーダーとはどのような人材なのか、またSGHの最終的な目標とは何なのだろうか。

文部科学省取材

 まず、SGHを創設した文部科学省初等中等教育局国際課計画指導係に取材を行った。矢田裕美係長によると、SGHを創設したのは「現代社会に対する感心と深い教養に加えてコミュニケーション能力や問題解決能力を身につけた、将来国際的に活躍できるようなグローバル人材を育成する」ためだそうだ。グローバルリーダーとは、と聞くと「私自身も思うところがある。だが、この事業で輩出したいのは、グローバルな社会課題を発見・解決し、様々な国際舞台で活躍できる人材、例えば、グローバル社会に出てイノベーション(改革)を起こしたり、新しいことをやったり、新しい事業を起こしたりして、社会に対してインパクトを与えられる人材も一つの例だ。」と矢田さんは答えた。また、矢田さんは「SGHに指定するずっと前からグローバルリーダーの育成の精神を持ってきた学校はもちろんあった。しかし、SGHに指定することによって、国費を投入して一線を画した特別な取り組みをやってもらう意味がある。大事なのは10年後、そしてその後もグローバルリーダーがちゃんと育成できているか」とも話す。

渋谷教育学園渋谷高等学校 北原隆志先生

 平成26年度は246校、平成27年度は190校の応募の中から両年度とも56校、つまり合計112校が選ばれてSGHに指定され、5年間文部科学省からの予算で活動する。各学校はSGHに指定されたら実施することをまとめた企画書を応募の段階で提出するが、選ばれる基準は「1つではない。学校が考えるグローバルリーダーは学校によって異なる」と矢田さんは説明した。指定されたら「目指すグローバル人材像の設定」「研究開発テーマの設定」「グローバルなビジネス課題、社会課題の研究」「大学との連携」「国際機関、企業等との連携」の活動を行うが、どの学校も目指すグローバル人材像や研究開発テーマは違うそうだ。また、矢田さんは「SGHの目的は英語教育ではなく、世界や地域の課題を世界の人々と一緒に解決できる人材の育成だ。しかし、これら解決するには必然的に英語が必要になってくる」とも話した。

実際に平成26年度からSGHに指定されている東京の渋谷教育学園渋谷高等学校に取材した。渋谷教育学園渋谷高等学校では「探究型学習を、いかにして「行動できるリーダーの育成」につなげるか」という研究開発テーマで活動している。同校SGH委員副委員長担当の北原隆志先生によると、一年生の一学期は「The World in 2050」というテーマで2050年の未来をデザインするプレゼンテーションや英語でのディベートを行い、二学期は「Hiroshima Project」というテーマでヒロシマについて議論などを実施、三学期は「Wars and Conflicts」というテーマで戦争や紛争について英語でのプレゼンテーション及びエッセイライティングを行っている。特に「Hiroshima Project」では米国フロリダにある提携校の世界史の授業用教材を作成し、優秀なチームはその学校で特別講師として授業を行うことができる。また、二年生では「Social Justice(社会正義)」というテーマで子どもの人権や環境課題について考え、発信していく。

 しかし、北原先生は「この学校は『自調自考』『高い倫理観』『国際人」の3つを目標としていて、SGHに指定される前から中学一年生からアクティブラーニングやディベートは行っていた。中学の授業で本格的なプレゼンテーションを行うようになってかれこれ15年になる。」と語った。SGHに選ばれてからについては「東京外国語大学に通う海外の大学院生を学校に呼ぶことと、フロリダへの派遣が文部科学省からの予算で新しくできるようになった。また、教科横断型授業は以前から少しずつ始まっていたが、SGHに指定されて本格的に実施するようになった」と北原先生はいう。例えば「Hiroshima Project」では公民科、情報科、英語科や国語科が連携し、「Wars and Conflicts」では生徒たちは経済、現代社会、歴史、理科数学、文学、芸術、家庭科保健体育の7つの分野に分かれて意見を交わすそうだ。さらに「Social Justice」では、子どもの人権については家庭科と英語科が連携、環境問題については国語科、地歴科、理科、英語科が連携する。

 また、北原先生は「地球社会の問題は、世界中の各分野のエキスパートが力を合わせて初めて解決できる」とも話した。そのため、「SGHに指定されノウハウをオープンすることは私立校としてはマイナス面もある。しかし、自分の学校のことだけを考えていては地球社会の問題を解決することはできないと思う。」と強調する。そしてグローバルリーダーについては「物事を地球規模で考えられる、多数の意見を聞ける、冷静である、自分の意見を作り出せる、それを上手に伝えられるコミュニケーション能力がある人」、行動できるリーダーについては「観察力、想像力、行動力から成る思いやりがある人。理想や問題発見能力 がある人。」と北原先生は語った。

 まだSGHの活動が始まって1年程だが、文部科学省やSGHに指定された学校へのインタビューからはグローバルリーダーの育成への熱意が感じられた。しかし、果たして5年間で成果が出るのかどうかなどの疑問点があるのも事実だ。それらも含め、今、日本の将来が変わってくる重要な局面に私たちは立っているのかもしれない。

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グローバルってなに?~SGHから学んだこと~

グローバルってなに?~SGHから学んだこと~
2015/08/26                   三好 恵瑠(14歳)

 皆さんは「SGH」という言葉を聞いたことはあるだろうか。SGHとはスーパーグローバルハイスクールの略だ。2014年から文部科学省が実施したグローバルリーダー育成事業のことである。この事業は2014年から5年間実施される。今回は最近よく聞く「グローバル」という言葉からSGHを考えてみる。

まず、SGHの理解を深めるため、文部科学省に取材した。質問に答えてくれたのは文部科学省初等中等教育局国際教育課計画指導係長の矢田裕美さんだ。グローバルリーダーの育成方法や質の高い教育課程等の開発・実践については、指定された学校側がスーパーグローバルハイスクール事業の趣旨に沿うように計画を立て実践し、文部科学省側は事業の開発・実践やその体制整備を支援する。学校側は自分たちで5年間の構想を立て、文部科学省へ提出し、それを文部科学省が審査して、スーパーグローバルハイスクールとして指定するという仕組みだ。指定された学校は、毎年度計画書を文部科学省へ提出しているという。

文部科学省初等中等教育局国際教育課計画指導係長の矢田裕美さん

次にSGHの指定校2校に、現場の実情を知るため、東京の渋谷教育学園渋谷中学高等学校(以下渋渋)と青山学院大学付属高等学校(以下青学)へ取材した。渋渋で質問に答えてくれたのは英語科教諭でSGH委員副委員長である北原隆志先生だ。渋渋では学校ごとの目標として「探究型学習を、いかにして行動できるリーダーの育成につなげるか」ということを挙げている。もともと「地球社会で活動できる人材」を育成することを目標としており、SGHに加入する以前からグローバルリーダーを育成する活動は行っていたという。

青山学院取材

渋渋でSGHに加入してから出来たことは、以前から行っていた教科連携が本格的に出来るようになったことと、文部科学省からお金が出るので東京外国語大学に通う海外の大学院生を呼べるようになり、以前からやっていた内容をより充実させることができるようになったことだという。以前より多くの先生が教科連携に前向きな姿勢を示していたため、SGHはとてもよい機会だったそうだ。

渋谷教育学園渋谷校取材
渋谷教育学園渋谷校取材

青学で取材に応じ答えてくれたのは英語科教諭の藤井徹也先生だ。青学では学校ごとの目標として「多様性の受容を基盤としたサーヴァバントマインドを持つグローバルリーダーの育成」ということを挙げている。キリスト教系の学校なのでキリスト教の考えかたが基盤となっており、キリスト教のサーヴァバントリーダーという考え方から出来た目標だという。具体的に言えば、立場の弱い人たちと共にいることで集団の下支えの出来るリーダーのことだ。
青学ではSGH加入後、「ポータル」というシステムを利用し自分がやったことを生徒同士がシェア出来るようにするというプロジェクトを文部科学省に提出しているという。SGHの活動は強制参加ではなく、好きなものに好きな時に参加するという仕組みだという。そこで、一人ひとりが違う活動をする中それをお互いにシェアし色々な経験を学ぶことができるようにするそうだ。

今回の取材で3つのところへ行き、共通していたことが2つある。それは「グローバル人材とグローバルリーダーの違い」ということと、「英語はツールだ」だ。

皆さんは普段「グローバルリーダー」という言葉よりも「グローバル人材」という言葉の方をよく聞くのではないかと思う。そこで、二つの違いとは何なのか取材先それぞれで質問してみた。するとグローバル人材についてはそれぞれ微妙に違う見解があったが、グローバルリーダーについては同じ答えが返ってきた。それは「みんなの意見に耳を傾けたうえで自分の意思を決められる、人を導けるリーダー」というものだ。

そして「グローバル」いう単語を聞いたとき英語をおもいうかべるひとが多いのではないかと思う。しかし、SGHとは前述の通り「様々な国際舞台で人を導けるリーダー」、グローバルリーダーを育成することであり英語教育を充実することではない。でも、世界で人を導くためには「英語はツールとして」必要だという。

今日、グローバル化が進んでいる社会で日本が生き残るためにはそのなかでリーダーとなれる存在になることが必要だ。そのためのSGHはとてもよい活動なのではないかと思う。しかし、この事業は5年で終了してしまう。この後の生徒たちはどうなるのだろうか。もう少し期間を長くすることはできないのだろうか。事業が終わったとしても学校ごとにこのような活動を続けてほしいと思う。

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SGHって何?


2015/08/26                   松本 哉人(16)

 最近、テレビの番組を見ていると、地域に根差した奇抜で画期的な取り組みをする学校がしばしば特集されている。これらは地域の活性化のために児童生徒が一生懸命考えることや、その取り組み、それらのもたらすメリットが評価されているのである。そんな中こうした活動を支援する政府の制度が昨年度から始まった。グローバルリーダーの育成を目的に指定校に国の委託費を出す、スーパーグローバルハイスクール(SGH)制度について、その意義と実態を文部科学省と、渋谷教育学園渋谷中学高等学校(渋渋)、青山学院高等部(青学)の2つの指定校に取材した。

青山学院取材

 そもそもSGHとは何のためにつくられたのか。文部科学省初等中等教育局国際教育課の矢田裕美計画指導係長は、「グローバルな社会課題を発見・解決し、様々な国際舞台で活躍できる人材を輩出すること、例えば、グローバル社会に出て改革を起こし、新しいマーケットを開いたり、社会に対してインパクトを与えられる人材等も輩出することも一つの例だ」と語る。実際には、学校が5年間の構想調書を提出し、文部科学省側による専門家によって審査が行われ、選ばれた学校がスーパーグローバルハイスクールに指定される。そして指定された学校は、毎年度計画書を提出し、その内容に応じた予算が学校に配分され、それをもとに学校は取り組みを進める。取り組みは、毎年度に出す報告書や各学校の示す成果物などを介して把握される。しかし一方で、スーパーグローバルハイスクール事業は、まだ2年目を迎えたばかりであり、取組がよくなるように改善を図って行きたいとも語っていた。

青山学院高等部の藤井徹也国際交流委員

 では、指定された学校ではどのように制度を利用しているのだろうか。今回取材した渋谷教育学園渋谷中学高等学校の北原隆志SGH委員副委員長と、青山学院高等部の藤井徹也国際交流委員はそろって、SGHに指定されたことの効果のひとつは様々なことを始めるきっかけになったことだったという。北原先生は、「何年も前から少しずつ進めていた教科連携(教科間の授業テーマの共有)が学校を挙げて本格的にスタートしたのは、昨年度、SGHに選ばれてからでした」と話す。渋渋は建学の精神の中にグローバルリーダーの育成が挙げられており、元々SGHの目標に近い取り組みをしていた。昨年度からはその取り組みをSGHの補助によってより充実させることができたという。例えば、英語で広島についてのブローシャーを作成し、アメリカの提携高校で世界史の教材として使ってもらう取り組みはもともとあったそうだが、SGHへの参加によって、選ばれた生徒数名が現地に渡航できるようになった。同様に今年度にSGHに指定されたばかりの青学では新しい学内の交流の場を開設しようとしている。インターネットを使用することでSGH指定期間が終わったのちも活用できるシステムにしていく予定だと藤井先生は語った。青学では学外からボランティアなどに携わる人を招いて講演を聞くことで青学のキリスト教精神に繋がる取り組みにしているという。

 それぞれの学校が企画を出すというSGH独特の方法ゆえに、活動の多様さを感じさせられる部分もあった。それは渋渋と青学の間にある校風の違いである。渋渋は、教科連携を実現させ、SGHを完全に授業に取り込んだ。こうしてグローバルリーダーの育成を、授業を通して推進していた。他方、青学においては自由な校風の特徴を生かし、イベントの内容や提案、参加の有無も生徒側が決める想定で組まれていた。そのため、SGHのプロジェクトでは放課後の講演など授業外のイベントが多かった。

 グローバルリーダーを定義するのは難しく、学校によってさまざまなとらえ方があるが、それゆえに地域や校風に合わせた取り組みがそれぞれ行われているのだと思う。生徒としても、単純な勉強以上に自分たちで考えて取り組むことのできるプロジェクトは楽しい上に学習しやすいのではないだろうか。SGHが、より多くの学校がそういった取り組みを始めるきっかけになればいい。

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