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スタートとしてのCOP15


                              三崎友衣奈(18)

  「持続可能な未来へのシナリオをつくる」。11月23日、チルドレンズ・エクスプレスの取材にそう語った福山哲郎外務副大臣。京都議定書の次の新しい議定書を決めるCOP15で日本の、そして世界の環境問題に関する「シナリオ」はどうなるのか。会議終盤の12月17日、コペンハーゲン市内のImperial Hotelで福山氏に聞いた。 まず福山氏は、日本の姿勢として京都議定書の単純延長を望んでいないことを強く主張した。「京都議定書の延長だけでは日本として認められない」。温室効果ガスの主要排出国アメリカ・中国が批准していないのでは、京都議定書の次の枠組みを決めるというCOP15としての目的が達成されない。

 しかし会議では、中国を代表とする新興国・途上国の猛烈な反対が続いていた。日本の掲げる「主要国の合意の上での温室効果ガス25%削減」は難しいのではないか。合意がない場合、日本の今後の環境問題対策はどうなるのだろうか。福山氏は「25%の目標はもちろん続ける」とした上で、「けれど、まだ各国の合意という段階にもなっていない」と会議がいかに混乱していたかを語った。
 混乱の原因は、発展途上国と先進国の言い分の違いにある。現在の温暖化の責任を先進国に問う途上国と、新興国である中国・インドの経済優先の姿勢を懸念する先進国とで完全に交渉が固まっている。「途上国の拒否度が大きく、とにかく会議を動かそうとしている」という状態だった。

 取材当日の午後4時には鳩山首相が到着する予定で、18日にかけて各国の首脳がコペンハーゲンに集う。それでも会議は「首脳たちに何を決めてもらうか決まっていない状態」だったそうだが、福山氏は「最後の最後までがんばるしかない」と力強く言い残した。
 会議は混乱を極め、ようやく決まったのは最終日の18日に非公式で行われた会合による米・中・ブラジル・インド・南アフリカの合意だった。会議に参加できなかった発展途上国から非難されたものの、デンマークの議長ラスムセン氏がこれに留意するという形でコペンハーゲン協定が成立した。内容は世界全体で気温上昇を摂氏2度で抑えることや、先進国には来月末までの自主的な温室効果ガス削減目標登録と発展途上国への支援、発展途上国には国の温室効果ガス排出量の透明化などで、各国の参加は自主的となった。
 この結果は、福山氏の17日時点での「見通しは正直分からない」という発言からすると最悪の事態は防ぐことができた、と受け止められる。しかし、現在も進行している気候変動による災害の危機に直面している国・地域の不安を考えると、これで満足してはいられない。
 米中の枠組み参加は来年11月のCOP16に向けての第一歩である。COP16では気候変動の被害を受けている、または受けるであろう国・地域の人々の焦りを認識した決議により重点を置くべきではないだろうか。国の経済成長の妨げとなる法的拘束の回避ばかりを気にしていては、協定は結べても合意には至れない。未来へのシナリオはまだ始まったばかりである。 

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