Q. あなたの国コソボ共和国について簡単に説明していただけますか? A. コソボ共和国はヨーロッパでもっとも新しく生まれた国です。過去600年の間オスマン・トルコやセルビアに占領されていたのですが、2008年に米国と欧州連合(EU)の支援を受けて独立しました。コソボはバルカン半島の中部にあり、アルバニア、モンテネグロ、マケドニア、セルビアに囲まれています。人口は約200万人の小さな国です。首都はプリシュティナです。古くから残る町がたくさんありますが、私はマリシェヴァ(Malisheva)に住んでいます。我が国は音楽、衣装、食べ物にとても古い伝統があります。
Q. どのような仕事をされていますか? A. Ibrahim Mazrekuという小学校で英語の先生をしています。また、Value for Better FutureというNGOを創設し、理事をしています。私たちは子ども、学生や若者たちのための多くの活動をしています。教育、文化、芸術、メディアに関しする活動が行われています。私たちは、若者が才能を見出すようにサポートし、短編映画やWADADA NEWS FOR KIDS向けのニュースを制作するために共に仕事をしています。
Q. なぜその仕事を選んだのですか? A. コソボでは急速に英語が広がっていますが、英語の先生の数が足りません。英語ができると仕事を得やすいしの国際的な団体、青少年サミットや映画祭に関わる人々と交流することもできます。 私は、19歳から英語の先生として働いています。私の父も英語の先生で父が教えてくれました。私が住む町には英語の先生が十分いないので、この仕事を得るのは簡単でした。 私は、最初の映画「ドリーマー(The Dreamers)」をこの町で作りました。夢を持つ子どもたちが何かをしたいと思ってもうまくいかないという内容です。子どもたちの持つ才能を表現したくて作りました。この映画を持って、ドイツで行われた国際青少年映画祭に私の務める学校の生徒たちと一緒に参加しました。そこでとても刺激を受けて、もう一つ映画を作ることにしました。それは、「コソボの子ども自治(Kosovo’s Children Government)」です。コソボではこの映画でとても成功を収めることができたので、生まれつき両手がない少年についての映画、「手がなくても問題はない(No hands, no problems)」も作りました。 私は、英語、メディア、さらに国際関係を好む多くの生徒たちから刺激を受けているので、教師として働くのをとても幸せに思っています。このことが関係機関から評価され、マリシバ(Malisheva)の町で2014年~2015年で最も積極的な教師の一人として発表されました。
Q. このサミットに参加した理由は何ですか? A, 新しい出会いがあるし、私の作品を観てもらおうと思ったからです。自分の作品を文化、背景、教育レベルの異なる30か国の参加者に観てもらうことはとても大事だと思います。サミットはとても素晴らしい経験でしたし、私がこのサミットに参加できるように支援してくれたコソボ駐在のノルウェー大使館に感謝しています。
Q. このサミットを通して学んだことは何ですか? A. 多くの経験を積むことができ、それぞれ異なる背景の教育、文化、伝統があることを知ることができました。しかし、何よりも大事なことは、これからもっと良い映画を制作するにはどうすればよいかということを学んだことです。
Q. なぜ「貧困グループ」を選んだのですか? A. コソボはまだ貧困で苦しんでいるので、私自身にもっとも影響があると思って選びました。貧困の経験をみなに伝えようと思いました。 劣悪な状況の中で生きるのは難しいので、貧しい人々を助けるのは良いことだからでず。現在でも教育を受ける機会のない子どもたちが大勢います。かれらは他の人たちからの援助がもっと必要です。コソボは戦争で被害を受けたので多くの貧しい人たちがいます。私たちは彼らの生活や未来がもっと良くなるように頑張っています。
Q. コソボの貧困についての問題点は何ですか? A. コソボは2008年に独立したまだ新しい国ですが、税金が使われるべき所に使われていないことです。工場を建てたり雇用を増して事業の収益を上げるための投資ができるはずなのに、適切なところにお金を送っていません。
Q. 貧困の解決策は何だと思いますか? A. これは国境を越えた問題ですから、解決するのはとても難しいです。自分達で可能性を生み出すことができない人々にもっと多くの場所や機会が欲しいし、そしてお互いを守るために私たちはチームとして活動しなければいけないと思います。また、政府が若者たちにもっと雇用の機会を創出するような適切な所に資金を投資することです。 政府は人口が増加し、現在の状況に満足していない若者たちにうまく対応する必要があります。若者たちはコソボから出て、他の国で働こうとしています。政府はもっと手をうつべきだと思いますが、私個人としては1人の市民として、また教師として何か役立とうと思っています。私にできることは貧しい子どもたちに教育をすることです。
Q. 政府はどのようにお金を得ているのですか? A. 200万人の国民や中小企業からの税金だけです。コソボにもっと多くの工場を建てて若者たちに働く元気を与える時期にあると思います。
Q. 産業は発展していますか? A. 少数の産業と企業はありますが、造船業、航空機産業、科学技術、貿易産業のような巨大産業はありません。中小企業しかありません。自分たちが使うための電力や農業は大丈夫です。
Q. 他の国から十分な支援を受けていますか? A はい。欧州連合やアメリカが沢山投資してくれました。50万人以上が海外で働いていますが、各国にあるような企業がもっと必要です。しっかりした企業を設立しなければなりません。
Q. 教育については、何か問題点はありますか? A. かつてはいくつか問題点がありました。しかし、戦争が終わってからは学校やすべての子どもが教育を受けられることに、もっと関心を寄せるようになりました。大学に通うことはそれほどお金がかかりません。年間授業料はたった100ユーロ(約13,500円)です。多くの若い女性は教育を受けて将来より良い家庭をつくり、仕事をもてるように学校に通っています。以前は大学に行く女性は一人もいませんでしたが、今では、性別に関係なく大学に行ける可能性があります。
Q. すべての人が大学に行くことができていないのは、貧困が理由の一つだと思いますか? A. はい。どんなに優秀な学生でも親が貧しければサポートできません。残された道は、結婚するか、どこかでより良い暮らしをするためにコソボを離れるしかありません。
Q. 独立してから7年たちますが、コソボの生活はよくなっていますか? A. はい、良くはなっていますが、まだいくつかの問題があります。コソボの人口の大半は若者たちで、平均年齢は30歳です。若者たちは、より良い仕事や生活を求めて海外に出かけていっています。この状況には対処されていません。昨年は、20万人の若者がドイツやオーストリア、イタリアで生活するためにコソボを離れました。これは、戦後の我が国では最悪の状況です。
Q. 日本人はどのように支援をしたらよいですか? A. 日本人に何ができるのかわからないので答えにくいですが、若者や学校を支援することはできるかもしれません。すでに使わなくなった技術や設備のようなものをコソボに持ってくることができるかもしれないですね。たとえ日本から遠く離れていても、日本はこれまでにコソボ政府に対して技術協力や医薬品、町をきれいにする廃棄物収集トラックやコソボフィルファーモニー交響楽団への楽器の供与のような無償資金協力(二国間援助)をしてきているので、これからも別の良い方法をみつけられるでしょう。私たちはこのような日本からの援助に対して大変感謝していますし、これからの技術革新や市民権の模範になっている日本からの良いニュースをいつも期待しています。
Q. どのようなお仕事に就いていますか? A. こどものメディア専門家で、フリーランスのメディア研究家・教育者として働いています。また、私が主宰している「ユナイテッド・ドリーム」というセンターでこどもの問題、とりわけこどものメディア問題に取り組んでいます。
Q. なぜそのお仕事に就いているのですか? A. 私たちは21世紀に生きており、この時代はメディアが大きな役割を果たしていると思うからです。この分野で、とくにこどもや若者たちと仕事をすることはとても大切ですし、興味もあるからです。メディアは貴方たち若者に新鮮さと活力を感じさせるだけでなく、こどもたちがメディア・リテラシー(メディアの活用能力)を得るための基盤を与えます。ご存知のように最近はリテラシー(識字能力)には読み書きの能力だけに限りません。
Q. 貴女の宗教は何ですか?
私はイスラム教徒です。
Q. イランについて貴女が好きなところは何ですか? A. イラン(旧ペルシャ)には偉大な文化があります。私たちの文化は紀元前3000年にまでさかのぼりますし、私はそれを誇りに思っています。
Q. イランにはどういう問題があると思いますか? A. イランには多くの問題がありますが、主な問題はイランが世界の一部の地域から孤立していることです。イランは世界に門戸を開き、世界は私たちに対して門戸を開くべきだと思います。もしそれぞれの国が平和に暮らしたいと望むのであれば、自らの信念をもって心から他の国々を尊重しなければいけないと思います。政治的見解とは切り離すべきです。他の信仰や考えを受け入れるために私たちの門戸を開き、共に平和に生きる方法について他の意見に耳を傾けるべきです。いかなる敵対心も取り除くべきです。
Q. ソーシャルメディアはどのような影響がありますか? A. 私がプレゼンテーションでお話ししたように、ソーシャルメディアは私たちの生活で最も大切です。ご存知のように今の人々を見ていると、個人生活、仕事場、そして余暇のときでも、みんなソーシャルメディアに深く関わっています。ソーシャルメディアが酸素のようになれば、大きな影響力をもつでしょう。私たちはソーシャルメディア無しには生きられません。ですから私たちは適切な方法でソーシャルメディアを使って知識を増やすべきです。
Q. イランでは小学校から高等学校までに共学の学校はありますか? A. 幼稚園は共学です。小学校から高等学校までは完全に男女別学ですが、同じカリキュラムを学びます。小学校は6歳から始まり高等学校は18歳で卒業です。大学は共学です。
Q. イランには女子大学がありますか? A. はい、あります。非常に優れた教授陣をもつ有名な女子大学です。でも私は共学の大学に行きました。
Q. 貴女はイランの教育に満足していますか? A. 正直言って満足していません。規則が厳し過ぎるからです。勉強する量もとても多いのです。私は教育とはただ学校に行って勉強するだけだとは思っていません。教育とは学校へ行って様々な活動をして、様々な技能(スキル)を習得することです。貴方たちは社会的活動が求められています。イラン人は教育水準が高いですが、私たちは他の側面にも目を向けなければいけないと考えています。
Q. イランでは政府がソーシャルメディアを規制していると思いますか? A. はい、そう思います。イランには国営テレビ局とラジオ局しかありません。民間の放送局はありません。新聞社には民間企業がありますが、完全に政府の管理下におかれています。インターネットにはフィルタリング(監視チェック)がかけられています。
チームの課題は1分間のビデオ作品の制作だ。それぞれが自分の知っている映像を参考に見せ合いながら何を問題にするのか、どんな構成にするのかについて話し合った。その結果、テーマは「EVERY TALENT HAS ITS POWER」(全ての才能には活かしどころがある)で、自分の進むべき道を思い悩んでいる人たちに向けて自分の才能を信じるように呼びかける内容になった。
2011年8月1日から12日まで、南東ヨーロッパのバルカン半島にあるセルビア共和国の首都ベオグラードで、第6回国際青少年メディア・サミットが開催された。サミットのテーマは、世界の若者たちが映像作品を通して未来を形作る(Shape the future)。環境、貧困、差別、暴力、健康、女性の権利、若者の地位向上の課題別に、世界16カ国の若者が50名ほど集まり、1分間のビデオを作った。