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座談会

中高生の化粧

神代の昔から化粧は存在するが2010 年、東京の中高生はそれぞれの判断基準で化粧を楽しむ。校則は?親の目は?気になる世代が、気になるテーマを討論した。保護者も教師も必読の本音トーク

参加記者 富沢咲天(国立中学3年)、谷 彩霞(私立中学3年) 、南雲満友(私立高校1年)、宮澤 結(私立高校2年)
氏会  堀 友紀(私立高校2年)
2010/10/31

友紀:私の学校では半分以上のクラスメイトが化粧をしていて、放課後の駅のトイレでは多くの高校生が化粧をするのが目につきます。皆さんの学校では、どれくらいの生徒が化粧をして登校していますか。

咲天:私の学校に化粧を禁止する規則はありませんが、学校は学ぶ場だから、化粧をしている人はほとんどいません。

結 :校則で禁止されているので化粧をしてくる人は全くいません。でもアイプチなどで目を二重にする人が多くなって、学校でもそれを許すかどうか問題になっています。

満友:私の学校はとても校則が厳しく化粧をしてはいけません。月に一回、先生がチェックします。

彩霞:私の学校もすごく厳しいんですけど、たまに放課後のバスの中でつけまつ毛付をする人はいます。

●リップ、マスカラ、アイプチ・・・

結 :私は中 3 からつけまつ毛やマスカラなどに興味を持ちました。きっかけは雑誌の影響がありました。

満友:私も中 3 の頃から。雑誌やテレビの影響が強いです。

咲天:私は中 2 の頃です。周りの人がやっているので、やってみたいと思いました。

彩霞:中3の夏休みから。友だちがしているんで、してみようと思いました。

友紀: まわりの友だちは中2や中 3 の頃から興味を持ちだして、お母さんとかに化粧品のお店に連れて行ってもらったりして、今も続けているっていう子が多いです。どの程度の化粧をしますか?そして友だちはどの程度?

結 :放課後や友だちと遊ぶ時。 私はBBクリームと化粧下地から始めて、つけまつ毛やアイプチなどをしています。目が腫れてしまった時に二重にするためにしています。友だちも、する子もしない子もいるのですが、する子はつけまつ毛などはしないで、マスカラやアイシャドウなど薄い化粧をしています。

咲天:学校で色付きのリップはしますが、マスカラはしません。顔色が悪いのでちょっと健康に見せるためにやっているだけです。休日に友だちと遊ぶときにはマスカラなどをしています。たまにクマの下にファンデーションを塗ったりしています。友だちはマスカラとかリップはするんですが、つけまつ毛など、もとの顔がわからないほど、すごいケバくなるお化粧はしていません。

彩霞:登下校中はしませんが、やっぱり友だちと遊ぶ時の休日は化粧をします。マスカラとリップだけ。友だちも休日に化粧をするんですけど、そのときはマスカラやアイライン、アイシャドウも付けています。リップも必ず付けています。

満友:休日に友だちと遊ぶ時はグロスやマスカラなど。ファンデーションや BB クリームは肌が荒れるのでしません。友だちは休日にいっしょに遊ぶ時は、ファンデーションからマスカラからつけまつ毛まで全部やっています。それはたぶん学校が厳しいので、そういう時にやりたいんじゃないかなと思います。

友紀:私の学校は私立ですが自由な校風です。自分がやったことは自分で責任をとる学校なので、化粧する子は多いです。何にもしていない子は運動部をバリバリやっているか、本当に興味がない子だけです。昼休みのお手洗いでは、化粧直しをしている人が多くておどろきました。私は運動をすると汗で気になって逆に恥ずかしいので、化粧をしていません。

● Before & After

友紀:「今日時間がなかったの」と友達がすっぴんで学校に来ると本当に顔が違っていて、そのギャップにとてもびっくりして、化粧ってすごいなと思いました。担任の先生はいつも「高校生のうちが一番肌がきれいだし、化粧なんかしなくても一番きれいな時期なんだからしない方がいい」と言います。

ところで化粧を始めたきっかけは?

結 :雑誌に毎月メイクページという特集があって立ち読みする「ポップティーン」などの雑誌では化粧のページでビフォー・アフター(化粧前と化粧後)を両方載せているんです。その差が激しくて、別人のようになれるんだというのを最初に見た時、衝撃でした。「私もこういうふうに変われるのかな」とか思って始めました。最近では若い子向けの化粧品が多くて雑誌のモデルは中高生の憧れです。

彩霞:クラスに帰国子女が多いんですが、外国では小学生ぐらいからお化粧を始めるので、それが身についてしまったみたいです。

咲天:「このマスカラはすごくボリュームが出て、誰が誰だかわからなくなるくらいケバイからやめた方がいいよ」とか、「これはお勧めだよ」とか・・友達同士の話しで広がっていきます。

満友:友だちと憧れのモデルの写真を見て「かわいいね」って・・どんどんそのモデルの載っている雑誌を見て、メイクページを見て「こういうふうにするんだ」とみんなでやっています。

友紀:やっぱり雑誌に自分の好きなモデルがやっているメイクの方法を真似する子が多いみたいで、その雑誌のメイクページにはどこの会社の何を使っているっていうのがしっかり明記されているので、それを買いにいったりする子がよくいます。私の学校では“薄く少しやってかわいく見せる”というのが彼女たちのポリシーのようです。私のようにしていない子に「したら絶対かわいくなる」って言うんです。仲よしグループの子と遊びに行くとよく化粧コーナーに連れていかれます。仲間意識というのがあって、友だちの影響が大きいのかなって思います。

●なぜ化粧を?

結 :私はよくプリクラを撮るんですね。写真と同じようにプリクラでも目を加工してくれるんですけど、すっぴんよりも化粧した方がかわいく写るので、プリクラを撮るために化粧をするようになったことが大きいです。

満友:私もプリクラを撮るためなのですが、学校がすごく厳しいので、その反動で休日に始めました。

咲天:私はプリクラを撮ることもあるんですけど、普段学校ではしないので、気分転換に学校以外の場所でやっています。

彩霞:プリクラでかわいく写るために化粧をする子が多いんですけど、クラスの友だちで、学校では化粧をしていないので休日にしようかなっという子が多いですね。

友紀:男の子にもてて嬉しくない子はいないでしょう?ちょっとでもかわいく見せたい気持ちでしょうか。

●化粧をして変わった?

満友:気分転換ができたっていうのと、目が大きくなって、雑誌で見たビフォー・アフターみたいに自分がなったのがびっくりしました。

咲天:マスカラで目が強調されるのかな。ちょっと健康そうにみえる。一回始めると、化粧なしで外出できないなというのがちょっと大変です。

彩霞:私は気分転換が大きいです。目の下のクマがすごくて、よくファンデーションで隠したりするんですけど、それがいいかなと思います。

結 :夏休みはほとんど化粧をしていたんですが学校が始まる新学期の朝にすっぴんの自分を見て、“私こんな顔してたんだ”って驚いて・・・アイプチで一重から二重にしたり、自分のコンプレックスを変えることができるって嬉しいです。

友紀:友だちの顔を見ていると、やっぱりしている時としてない時ではほんとに違うって思うし、化粧してる時の方がかわいいし、きれいになっているなってすごく感じます。

●だれに見てもらいたい?

友紀:化粧をした顔を誰に見てもらいたいですか。例えばボーイフレンドに。

満友:中高生になって周囲のみんなを意識するようになって、女子校なのでクラスメイトにこういうふうに変わったんだよって見せたいなと思います。

彩霞:女子校なので、お化粧した姿を見せる男の子はいないんですが、でもまわりから「あ、かわいくなったね」と言われるとすごくうれしくなるんです。

結 :特に男の子に見てもらいたい意識はないんですけど、遊びのときに化粧をした方が自信が持てる。

友紀:クラスの子のことなんですけど、私が「いつもと違うね」と言っても、恥ずかしそうに「いや…」っていうような子もいれば、逆に気づいて欲しいって思う子もいるみたいです。やっぱり周囲の目を気にしていることをすごく感じます。

咲天:男女関係なく、そこまでお化粧なしとありで「えっこんなに違うの?」って私的には思われたくないので、まわりの人がそこまで気づかないように最低限にやっています。

●保護者は知っていますか?

彩霞:知っています。母に買ってもらったり、いっしょに使ったりします。

咲天:私の親は「マスカラはしない方がいいんじゃない? ビューラーだけでいいんじゃない?」って言うんです。化粧品は自分のお小遣いの中で買っています。

満友:いっしょに選んで母が買ってくれて使っています。「するしないは自由だけど、場所をちゃんと考えてしなさいよ」と言います。

結 :化粧品は自分で買うことが多いのですが、たまに母の化粧品を借りて使うこともあります。濃いメイクをしたりすると、「ちょっと濃いのでは」と注意されますが「時と場所をわきまえて化粧しなさい」とよく言われます。

友紀:私の家では化粧に賛成ではないので、そのままの顔でいてほしいっていうのがたぶん家では大きいので、冗談ですけれど、「もし高校 3 年間化粧をしなかったら何でも買ってあげる」っていうくらいです。文化祭で化粧をしなきゃいけない時があって朝したんですけど、時間もかかるし、それだったら他のことをしていたいので毎朝化粧をしている人を逆に尊敬します。

結 :この座談会のまえにインターネットで化粧の低年齢化について調べたんですが、掲示板には親世代から「派手なメイクをする時間があるなら勉強や部活に費やせ」という意見が多かったのが印象的でした。やはり中高生のうちに今できることをやる、優先順位をつけることが大切だと思うし、化粧したとしても時と場所をわきまえることが大切なんだなと思いました。

友紀:私の家がそうなんです。化粧の話をちょっとするだけで「あなたはそんなことより勉強しなさい」ってきっぱり言われるので私は「はい」って従っています。化粧品ってほんとに高いので、それだけの出費で他に費やすお金が無くなってしまう。

彩霞:私は外国に従姉妹がいるんです。彼女は学校が始まる 2 時間前に起きて 1 時間かけてお化粧をしているんですよ。叔母は「学校に行くのになぜそんなに化粧をしなくてはいけないのか疑問だ」って言っていました。

満友:夏に英国のサマースクールに行って、いろんな国からの中高生と寮生活をしました。男女共学だったので外国人の女子たちは朝早く起きて、寮のバスルームに集まってメイクして、髪の毛にワックス付けたり色々やって・・・ 日本では私の学校はダメなので、そういう文化がまわりにないから、「うわぁっすごいな!」ってびっくりしました。

● ” 化粧をしてもよい“学校だったら

満友:学校は学ぶ場所だからナチュラルなグロスとか、自分で考えて、ファンデーションもマスカラもせずにケバクないのにします。

結 :私もそうです。やはり学校は勉強する場所なので、遊ぶ時だけで化粧はいいと思っています。

彩霞:学校は学ぶ場所なのでグロスとかリップだけでいいと思います。

咲天:私の学校は化粧してはいけないルールはないんですけど、学校では体育の授業もあるし、昼休みに化粧をしている余裕もないし時間がもったいないし、親に別に言われてはいないけど、みんなで「学校はしていかない方がいいよね」っていっています。

友紀:私の学校は清楚な子が多くて、化粧はしてもケバクしないのが暗黙の了解です。でもその中にもやっぱり「ポップティーン」を読んでいる子は学校にはして来ないで、放課後にお手洗いなどに行くと、つけまつ毛をして、これからどっか出かけるのかなっていうような子はいます。

●TPO次第

咲天:化粧の低年齢化は別に悪いことではないんですけど、 TPO をわきまえているのかどうかが心配です。例えば学校とか大事な人の話を聞く重要な時にはお化粧をしないとかをちゃんと考えられるかどうかが重要だと思います。

結 :たまに電車の中で化粧をしている中高生などがいて、そういうのを見ると、見た人は不快に思うかもしれないし、そういうのは良くないと思います。私も TPO をわきまえることがすごく大切だと思います。

満友:私も通学に電車に乗るんですけど、中高校生がよくマスカラをしていて、周りの人にかかったりしたらすごく迷惑だし、マナー違反なのでTPO をわきまえてほしいと思います。

結 :高校生が毎日化粧をしていると、将来肌がボロボロになるということをインターネットで見ました。化粧をするのにも知識が必要だと思います。

友紀:中学生、高校生は一番肌がきれいな時期だし、そういう時にお化粧をするともったいないなというのが私の本音です。自己責任なので、やるやらないは自分の自由ですけど、化粧する場所と時間をきちんと考えてほしいと思います。

以上  

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社会 座談会

ファストファッションでおしゃれを楽しむ

2000 年代半ばから使われるようになり、 2009 年新語・流行語大賞トップ 10 にも選ばれた「ファストファッション」。低価格の衣料品を、流行を取り入れながら短いサイクルで大量生産、販売するファッションブランドやその業態を指す。ファッションに敏感な高校生、大学生がファストファッションをどう捉えているのかを語った。

参加記者:大久保里香(18)、寺浦優(15)、持丸朋子(15)、南雲満友(15)、 司会・編集:寺尾佳恵(ユースワーカー)
2010/05/10

利用が広がるファストファッション

佳恵:ファストファッションと聞くと、どんなお店を思い浮かべますか。

里香:ユニクロを思い浮かべます。後は H&M や ZARA 。海外のお店が多い気がします。

優 :私は FOREVER21 によく行きます。しまむらも今流行っていると思います。

朋子:日本のブランドだとユニクロが一番に思い浮かびます。ファストファッションのお店は原宿とか渋谷とかに多いような気がします。

佳恵:みんなは実際それらのお店で洋服を買っていますか?

里香:コートとかレギンスとか、どこにでも売っていそうなデザインの物はファストファッションのお店で買います。 T シャツとか「あ、あれユニクロだ」って見てわかるようなのはあまり買いたくないです。

満友:その時流行の物を買います。 H&M とかだと安いし、デザインもいいので、ワンシーズンで捨てても大丈夫かなと思い、よく買っています。

朋子:ファストファッションって安い代わりに物が良くない場合もあるので、使える期間が短いと思って、流行の物を買います。

優 :私は海外のデザインが好きで、サイズもいろいろあるので、 FOREVER21 とか H&M はよく利用します。流行りの服は安いところで買っていて、毎年使えるような物は高いところで買います。

佳恵:新しいお店なわけではなくて、しまむらは 1953 年から、ユニクロ(前身のサンロード)は 1974 年からありますよね。 2008 年以降、 H&M や FOREVER21 が日本に出店して注目を集め、ファストファッションと言われるようになったけれど、 2009 年の流行語大賞トップ10に入る前後でファストファッションの捉え方は変わりましたか。

里香:以前は、ユニクロ=フリースみたいなイメージがありました。海外のブランドが入ってきたこと、マスコミが報道したことで注目を浴びて、デザインも良くしていくことになったのかなと思います。

優 :ファストファッションといわれるようになって、まわりの友人も利用していたので、私も買うようになりました。例えばユニクロで無地の服を買って、自分でリボンやラインストーンを付けてオリジナル T シャツを作り、費用を安く抑えるようにしています。

朋子:ファストファッションはただ安い洋服というイメージがありましたが、海外のブランドが入ることによってファストファッションもブランド品のひとつのような捉え方をするようになりました。ひとつのジャンルとして捉えて、ユニクロ=安い=洋服にあんまりお金費やしてないという悪いイメージが無くなった気がします。ユニクロの物を着ていたら、「あ、あの人ユニクロの服を着ているってことはあまりファッションに興味ないのかな」と思っていたけど、最近はあまりそう思わなくなりました。

安さも流行もしっかり意識

佳恵:安さという話が出たけれど、買い物には誰と行く?お金は親に出してもらいますか。それとも安く買える服が増えたこともあり、自分のお小遣いで買いますか。

朋子:買い物には友だちとも親とも行きます。友だちと行く時はあらかじめ親にお金をもらい、そのなかで買うので、安いものを多く買います。親と行く時は親が買ってくれるので、友だちと行く時よりは高い物も買ってもらえます。

優 :私も親とも友だちとも行きます。親と行くとお金を全部出してもらえるのでちょっと高い物をねだってみますね。友だちと行く時も、お金だけは出してもらいます。

里香:私はもう大学生なので自分で出さなくてはいけないんですね。一人で行く時も親と行く時もだいたい自分で出します。親が「あれいいじゃない」と言っても自分が気に入らなかったら買いません。自分のお金は有効に使いたいので、ちゃんと着そうな物を選んで買うようにしています。

佳恵:流行も意識しているのかな。

里香:流行は波が激しいじゃないですか。いつ流行が終わるかわからないので、あまり高いものは買わないで、ファストファッションとか安いお店で買いたいと思っています。

朋子:流行っているもののなかで、欲しい物があったらそれを取り入れる感じです。高い物は流行のない、年が変わっても着られるコートとか、パーカーを買うようにしています。

満友:洋服はファストファッションや109に友だちと行って買っているんですけど、小物は流行が洋服より浮き沈みが激しくないので、高いブランドで買います。あと、セブンティーンなどの雑誌に今年流行のかわいい服、自分の気に入った服があれば買います。みんなが着ているから自分も欲しいなという面もあって、みんなが着ていて自分が持ってないと、ちょっと取り残されていると思うので私は流行の服を買っています。

佳恵:里香ちゃんは、みんなが買っていたら自分も取り残されたくないと思ったりする?

里香:ファストファッションのお店に行けば、一通りトレンドの物って揃っているじゃないですか。それでもし値段がそんなに高くないのであればワンシーズン物だなとは思いつつ買うことはあります。

朋子:私は満友ちゃんと逆で、みんなが買っていると同じになっちゃうから嫌だなと思い、避ける時もあります。

優 :ファストファッションのお店って、流行を取り入れながら低価格に抑えた洋服を短いサイクルでどんどん品を代えて販売しているので、まわりの人と服が重なったことはありません。逆に思い切り流行に乗っちゃえっていう勢いがあります。自分の気持ちが楽で着たいと思えるような洋服を安く買えるのが一番だと思います。

佳恵:例えばユニクロだったら一枚しか買えないトップスが、同じお金を持って g.u. に行けば二枚買えるというように「同じお金でファッションの選択肢を増やす」っていう考え方はどう思う?

満友:私はファッションの幅を広げたいので、同じお金があったら一枚多く買うようにしています。ちょっと安く、でも二、三種類買えた方がいい。

里香:ジーンズは三日に一回同じ物を着ていたとしてもわからないと思うけど、トップスを三日に一回だと、「またかよ」と思われるので、トップスはできる限り安く抑え数をそろえたいです。ジーンズはいい物を高くて買ってもいいかなと思います。

優 :私も安くて何種類も買えた方がいいです。その日の気分に合わせて、コーディネートは変えたいので、いろんな種類があった方が毎日楽しいと思います。

自分に合ったコーディネートを。でも本音ではブランド品も欲しい?

佳恵:コーディネートはどう考えているのかな?

優 :私は全身を一つのブランドで揃えたいっていう気持ちはあまりなくて、自分が着たい物を探します。例えばユニクロのパンツがはきたい、でもトップスは H&M がいいとか FOREVER21 がいい、そうなるとトップスは FOREVER21 でパンツはユニクロっていうふうに分けたりするので、全身を一つのブランドで揃えたいとか、このブランドじゃなきゃ嫌っていうのはないです。

佳恵:なるほど。 H&M だからいいんじゃなくて、たまたま H&M においてあったこの洋服がいい!という感じ?

優 :そうです。デザインとか着心地とか自分が着たいと思えるものがたまたま H&M にあったんだと。

朋子:私も同じで自分の着たい服で値段もそれなりだったら、べつに全然知らないブランドでも買います。

満友:雑誌にいいコーディネートが載っていたら、まず自分の持っている物を考えて、もしなかったらユニクロとか H&M とかデザインが優れてえて安いところで買います。朋子ちゃんや優ちゃんと同じで買うお店はバラバラですね。

里香:私も特にブランドとかは気にしないんですけど、やっぱり大学生になると毎日が私服で、同じ物着ていくわけにいきません。なるべく一枚を安く抑え、自分に合うもので、なおかつ自分が今持っている物と合うものを買って、着回せるようにしています。

佳恵:新語・流行語大賞トップ10に入って話題になっている「ファストファッション」だけど「ファストファッションなんて古い」と言われるようになったら、自分の洋服の買い方は今と変わると思いますか?

優 :時代に流されるというよりは、欲しい物が安かったら安いところで買うっていう考え方は変わらないと思う。今もファストファッションのお店はやっぱり一番には見に行くけれど、そこに欲しい物がなかったら無理には買わないし、ファストファッションが古いと言われたとしても、あまり気にしないと思います。

満友:私もデザインを重視していて、加えてお金も安ければ一石二鳥だなと思うので、安いところでいい物があったら買うし、高い物でもずっと使う物、バックとかお財布とかそういうのだったら高い物で買う。たぶん今の自分のスタンスは変わらないかなと。

里香:私も特に好きなブランドとか、絶対これ着たいとかいうブランドはないので、自分の気に入った物を安ければいいなっていう感じでファストファッションのお店をのぞいて、良ければ買うし、なければちょっと高くなっても別のお店で買ったりすると思います。

朋子:安くても買うと思うんですけど、逆にもし高級ブランドが流行り始めたらそっちの方に目がいっちゃうような気もします。ちょっと流されるような気がします。

里香:確かに、普段はちょっと高いお店なんだけど、セールで安くなっている時に私はそのお店のブランドの物を買うんですね。やっぱりちょっと名の通っているブランドも少し欲しいと思うので。セールになった時にファストファッションと同じくらいの値段だったとしたら、みんなはどちらを買いますか?

朋子:私は絶対ブランドの方を買うと思うんです。お正月とか安くなっていて、このブランドでこの値段ならファストファッションのブランドより高いけど、出す価値があると思って買っちゃいます。

優 :セールは見に行くけど、最後はデザインや自分が着たいかというところに行き着きます。かわいいって思ったらやっぱりブランドの方を買い、同じような物がファストファッションのお店にも置いてあったら見比べてどっちがいいか悩んで決めます。

満友:前から探していた服が、セールをしているブランドよりファストファッションの方が自分に似合うと思ったり、好きだったらファストファッションの店を選ぶかもしれません。

お金がなくてもファッションを楽しめるのが「ファストファッション」

佳恵:今日の座談会の前後でファストファッションの捉え方は変わりましたか。みんなの意見を聞いて気付いたことなどがあれば教えてください。

満友:私は同じお金を持っていたら高いブランドを見つつ安い方で枚数を多く買うと言ったけれど、みんながブランド物を選ぶと聞いて、私もこれからは悩むと思いました。

朋子:ファッションってそれぞれの考え方があるんだなと改めて思いました。同じお金で、ファッションの幅を広げたいっていう考えもあるんだなって思ったけど、私は好きな物だったら高いお金を出すっていう考えだし、いろんなファッションの選び方があるんだなって思いました。

優 :ファストファッションも一つの流行りだと思いました。ファストファッションじゃなきゃ嫌だという人もいればそうでない人もいる。自分はやはり流行りがすごく気になるということに気づいたので、視野を広くして考えてみたいなって思いました。

里香:ファストファッションは安くてかわいいからみんな買うけれども、セールで他のもっといいブランド品が安くなっていたらそっちを買うという意見を聞いて、やっぱりファストファッションのブランドよりもちょっと高いブランドの方をみんな本当は買いたいと思っているんだなとわかりました。ファストファッションは、若くてお金がないけれど、ファッション楽しみたいっていう人のためのブランドなのかなと思いました。

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座談会

私服か制服か


出席者:富沢咲天(14)、中元崇史(18)、勝部亜世満(17)、宮沢結(16)、三崎友衣奈(18)(司会)
2010/01/0

セーラー服か学ランか、それとも自由な私服か、着る本人たちには大問題。
制服がある学校に通う記者と自由な服装の学校に通う記者たちが、
それぞれの視点から見た「制服」について話し合う。

友衣奈(女):まず順番に自分の学校が制服か私服かを言ってください。
亜世満(男):私服になっています。
咲天 (女):私服です。
結  (女):制服です。
崇史 (男):制服です。

友衣奈:私も制服の学校に通っていますが、まず制服の二人に聞きます。
    制服でよかったですか?

結  :私は幼稚園からずっと制服です。私服の人は毎日選ぶのが面倒だ言う
    けれど、いま“なんちゃって制服”というのがあるので、そういうのを着て
    学校に行けたりするのがうらやましいです。

崇史 :僕は制服でよかったです。朝急ぐ時もすぐにそれを着ればいいから。

友衣奈:私服の人たちは毎日面倒ですか?

咲天 :私は中学生で私服になり開放感がありました。
    何を着るかは前の晩に用意しておけばいいことだし、まわりの人も
    おしゃれをして、自由ですごくいいです。

亜世満:私の高校は一応制服があるだけで、自由に着ていいのですが、
    “なんちゃって制服”が多いです。カーディガンなど自分の好みに
    あった感じで。衣替えもないので、暑さ寒さに柔軟に対応できます。

●なんちゃって制服
友衣奈:制服が決まっていると“なんちゃって”もできないですよね。
    自分でコーディネイトやカスタマイズができないけれどそれでよかったと思う? 

崇史 :朝急ぐことが一番の問題です。前の晩に用意しておけることができるタイプじゃないので。
    制服でも何かしらのアレンジはできるじゃないですか。カーディガンの
    色を変えてみたりとか。

咲天 :始業式と終業式などの行事では制服ですが、その時はブレザーしか指定されなくて、それ以外はみんな私服で、男女    問わずおしゃれをしています。違和感もなくすごしています。面倒って言っている人はいません。

●制服は学校の顔
友衣奈:制服って学校の顔みたいな部分あるでしょう?
    「制服がかわいいからあの学校の人気が出た」とかをよく聞くけれど。

咲天 :最初はすごく憧れて六年生の時に「あの中学の制服がかわいいな」と
    思ったんです。でもスカートが短いし、見ていて「寒そうだな、ズボンを
    はけないのもかわいそうだな」とか思って・・・
    だったら私服で自由な方が動きやすいし、自分で決められますから。

亜世満:中学の制服で服装検査に面倒な時間を食われることがありました。
    高校ではそういう検査もなく解放されたので今の学校を選んでよかったな
    と思います。男子だから制服に憧れるというのはありません。

友衣奈:学ランとブレザーどっちがいい?

亜世満:中学の頃ブレザーだったので学ランを着てみたい気持ちはありましたね。

友衣奈:制服が決まっていると、髪型なども指定される厳しさがあるけどどう? 

崇史 :うちの学校は厳しくありません。他校の男子に聞くと、耳は出してなければ
    いけないとか。そういう人は私服に憧れるみたいです。

結  :私の学校では、女子は髪型が自由ですが、男子はすごく短くないとダメで、
    定期的に先生の検査も入りします。制服は第一ボタンもはずしてはいけないし、その点でいうと私服の方がラクなの    かな。

●校風の表れ
友衣奈:制服には校風も表れているよね。厳しいところは靴下を替えただけで
    叱られるって。

亜世満:中学の頃に「ほらそこ!」とか言われて指導されるのを見ていて、
    なんか窮屈だなっていう感じがしますね。

友衣奈:逆に制服の利点は何かある? 朝がラクのほかに。

結  :制服があると校章もつくのでその学校に通っているあかしになる。
    私服だとどこの学校かわからない。

友衣奈:学校のあかしは一番あるよね、例えば○○校のバッグとか
    みんなの憧れじゃない? そういうのを持っていて「オレ○○校」みたいな。

崇史 :高一の時はそういう気持ちはやっぱりありましたね。学生カバンにマークの
    入っているのを。でも高二以降全然気にしなくなった。

友衣奈:名前以外に利点は?

崇史 :高校生までじゃないですか、制服を楽しめるのは。

咲天 :塾などで「制服があった方がいいよね」という人たちもいっぱいいて
    「あ~着てみたい」って思ったことはあるけれど、制服って学校によって
    可愛かったり、可愛くないのがあるから。

亜世満:制服を着るのって学生の特権ですからちょっとでも着ておかないと損と
    いう感じもします。

結  :私の友だちは休日は普通に“なんちゃって制服”で出かけているんです。

友衣奈:それがうらやましい?

結  :はい。

●監視の目
友衣奈:でも学校帰りに、例えば試験の最終日に私服だとそのまま
    遊びに行けるけど、制服だと一応先生らに監視されていない?

崇史 :男子校なので大丈夫。女子校はけっこう厳しいですよね。

友衣奈:あるよね? そのまま遊びに行きづらいっていうのは。

結  :それはすごく思いました。
    でも毎日着ているからこそ愛着があり、今だけしか着られないし
    卒業したらコスプレになっちゃうので、現役のうちに着ておきたい
    気持ちはあります。

●制服で受験者数アップ
友衣奈:セーラー服には憧れない?

咲天 :私はセーラー服じゃない方がよかった。

結  :私は憧れます。高校に行くときにまわりの学校では
    かわいい制服があって、そういうところに行きたいなって憧れたりしました。

友衣奈:私の学校もずっと前にセーラー服からチェックに変えて
    自称“チェック発祥の地”として人気が高まって、
    急に受験者数が上がったのが誇りだったらしいんだけど、
    そういう制服でのエピソードはありませんか? 男の子はない? 

崇史 :制服で学校を選んだりしないです。

亜世満:開成も制服は学ランですよ。ですからそこには憧れますね。
    竹早も学ランなので同じような格好になるんですよ。
    友人が開成の前を通って通学しているので、開成の学生の顔をして通るみたいな、少なからず憧れはあるみたいです    。

●学校を背負う制服
咲天 :制服には校章が付いていて、先生に「あなたたちは学校を背負っているから、
    外で買い食いすると受験者数が減る」とか、そういうこと言われるのは
    嫌じゃないですか?

友衣奈:制服着て「外で学校の悪い印象与えないで!」みたいな。

結:  ありますね。学校の近所でゴミをポイ捨てすると制服だから
    どこの学校ってすぐわかっちゃうし寄り道もできないし。

崇史 :僕の学校も学ランのボタンが金色のちょっと特殊で、
    電車で騒ぐと学校に苦情が入ったりするみたいですね。

●グループで明日の服を決める?
咲天 :女子はグループのみんなで「じゃ明日みんなで“なんちゃって制服”着て来よう」っていうこともあるのに、男子の    制服はダサイっていうイメージがあって絶対に着てこないんです。

友衣奈:自分の学校の制服が嫌い?

亜世満:微妙です。学ランでボタンが金色でなくて黒。全身黒ずくめで、
    ボタンが扇型でなんか天狗が使うような感じで、だからそれが微妙なんです。

亜世満:暑い日もあるじゃないですか。
    その時にも学ラン着なきゃいけないっていうのは苦しくないですか?

崇史 :自分は暑がりで、学ランは暑くなっちゃって全然着れないんです。
    憧れてはいましたけど。でも真冬は学ランを着て、中にセーター着てもまだ寒い。

●マナーチェック
咲天 :私の学校は私服で、先生が通りがかりに「ちょっとその服やばいんじゃない?」
    とかいってマナーが悪いとすごく厳しいです。
    女子だったら例えば「ハイヒールはいて廊下でコンコンうるさい」とか、
    「ブーツはちょっとどうなの?」とかって。「サンダルは足の爪があぶないから」とかって言われて、女子がすごく    いやがっています。「いいじゃん、自由なんだから」って。

●服装の常識
友衣奈:私服でも私服なりにそういう規制はちょっとある。

亜世満:うちの学校の人はそういうところに関してはけっこう常識的で、
    私服を着てくる人も普通に原宿で見かけるような、ちょっとおとなしめな感じですね。ハイヒールなども全然はかな    いし。第一学校が上履き制なので。

咲天 ;例え自分には制服が似合わなくても、周りの人みんなが同じものを
    着ているから違和感がないということはありますか。

結  :制服が似合うか似合わないかはよくわからないんですけど、
    やっぱり私服だと急いでいると、変になったりすることはありそうですね。

咲天 :たまにあるんですけど、でも何とかやってます。

亜世満:あんまりないですね。制服を着て同じカーディガンを着て、
    時々グレーも着ますけど、その二通りしかないんで今のところ。

崇史 :私服で悩んでいる人は絶対いると思うんです。私服でセンスがないと、
    「いまだにまだお母さんに言われたのを着てる」みたいな陰口が
    生まれそうです、共学だと。

友衣奈:いますか? 学校にそういう人。

咲天 :女子でもオシャレを気にしていない人もいるし、「これお母さんに買ってもらったんだ」っていう人はいるけど、
    男子ではジャケットを四重に着てきて「ちょっとおかしいんじゃない?」って
    言われたり、「毎日チェックだよね」とか言われていることもありました。

●自由すぎても
友衣奈:私服は自由すぎて、逆に道をそれてしまう人は確かにいるよね。
    その点、制服は決まっているし道をはずれないというのは利点ですね。

咲天 :でも服が違っても、それはその人の個性なんだとみんなは思っている。

友衣奈:制服の人って個性って出せると思う? 別に出さなくてもいいと思う?

崇史 :でもやっぱり限りはあるとは思いますけどね。

友衣奈:別にそんなに中高でそんな服で個性出すってどうでもいいやみたいな。
    自分の、今学生だからこそ着れる制服を楽しもうみたいな。

亜世満:ベルトを替えるとか、ネクタイも風味みたいなのを替えるとかはしないんですか?

崇史 :ベルトをやるか、中に着るカーディガンとかセーターをベストにしてみたり
    だとか、そういうこと程度なので、個性出せるほどではない。
    学ランに黒カバンを持っても映えないですし、
    そのあたりは制限されてくるところはあります。

友衣奈:私服もそういう自由な面はあって、でも道はずれちゃう面もあるけど、
    制服は決められすぎちゃうけど、逆にラクだし学生ならでの制服を楽しめるっていうことでよいでしょうか。これで    終わります。

※ “なんちゃって制服”とは、制服もどきの服装で、学校の正式な制服ではなくて、
制服らしい服装のことです。例えば紺のブレザーに白いシャツと紺のスカートの組み合わせなど。

                         

                                                    以上 

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座談会

何故みんな同じ格好をするの?

個性の出し方が難しいのか、目立ちたくないのか、成人式や就職活動で若者が同じ格好をする日本独特の傾向を5 人の高校生、大学生、卒業生がホンネでトークした。

出席者:曽木颯太朗 (記者、新高三)、浅見浩平(ユースワーカー、新大学二年) 畔田涼(記者、新大学一年)、
秋津文美(ユースワーカー、新大学四年)、 司 会:三崎令日奈(ユースワーカー、新社会人)
2009/03/29

令日奈:まず、入学式や成人式、卒業式にどんな格好で行きましたか?

文美: 大学の入学式には近くのアオキで買ったスーツでした。黒です。
     成人式には振袖を買ってもらいました。
     卒業式には大学に「貸し袴」も「販売」にも来るので、女子大だし、
それを友だちと見にいこうと言っています。

涼:  私は4月に入学式を控えていて、友人と相談し就職活動も使える
黒のスーツを買いました。二年後の成人式には振り袖を着る予定です。

浩平: 大学の入学式は近所で買ったスーツでした。成人式では袴で行く予定です。

颯太朗:まだ大学の入学式まで一年ちょっとあるのですが、
正直何も考えていないです。

伝統vs個性

令日奈:周りがスーツならばスーツで行きますか? 

颯太朗:それが普通ではないかと思って。ただ着物は着ないと思います。

令日奈:私は商業主義に乗せられていないかと思い費用をかけなかった。
就職活動は入学式で着たスーツに白を合わせたら没個性になるので、
青のシャツにしました。卒業式もみんなが袴で来ると思ったので、
母親の昔の振り袖を着ました。私はこれでいいと思っていたのですが
文美ちゃんや涼ちゃんは自分が納得してそういう格好をしてたの? 

文美 :祖母が振り袖を買ってくれたんです。
    
令日奈:涼ちゃんは?

涼  :個性を出したいから、黒でなくてストライプが入っているスーツを
     買おうと思ったけれど、友人と話すと就活でも使えるものを買う人が
     多かったので自分の「個性」はあきらめました。

店員さんに言われて

文美: ストライプのスーツは就職では使えないの?

涼 : 店員さんにそう言われました。

令日奈:そう、店員さんに言われるんですね。
「ふつうそれは無いですよね」と。実際に私の就職活動では、
よほど堅い業種以外はストライプでもかまわなかった。

涼:  こうやって先輩の生の声が聞けるといいけれど、
     店員さんの言葉を鵜呑みにしてしまう現状がある。

文美: 「皆さん買われないですよ」とか言われたらそうですね。
男の人はスーツを買ったんですね。一番相談したのは誰ですか? 

浩平: 母と買いに行きました。母は「二つボタンより三つボタンがいい」と言い、
ぼくは「そんなの知らん」という感じだったのですが、
僕が着やすくて、華美でなく、線が入ってないものを選びました。

颯太朗:おそらく買う時は両親と行くと思います。

あなた一人だけの卒業式じゃないの

令日奈:文美ちゃんがさっき言った祖母の思いとは?

文美: 祖母は呉服が盛んな地域の人で、晴れの日には着物を着せたいと
     いうのでお祝いしてくれる気持ちを大事にしようと思いました。
金銭的には大変な負担だった思います。

令日奈:それと似た話で、私の友だちが「袴のお金で他のことをしたい」
     とお母さんに言ったところ「あなた一人だけの卒業式じゃないのよ」
     と言われたって。それには私も納得して、記念写真を撮る時に一人だけ
     スーツ姿になってしまうし、お世話になった人もいるわけだから、
「あ、そういう考え方もあるんだ」と私は思いました。

リクルートスーツ

文美: リクルートスーツを自分で買いました。
     正直なところ「学生で五万円の服買うの?それって身の丈に合ってる?」と 
     考えてしまいます。しかも一着、二着、就活本によると三着とか。
鞄は一万円、靴も一万円が二足でしょう?バイトは時給が千円ないのに。

令日奈:黒の上下で五万円というのは注文のこと?

文美 :いいえ丸井などで上着が三万円、スカートが二万円。
私はスカートだけで通していますが、女の子だとズボンもあるから、
一つのコーディネートで七万円くらいかかってしまう。

令日奈:究めつけは就活バッグよね。絶対に仕事では使わないような
     真っ黒のA4書類が入るバッグで、さらにチャックが付いて・・。

文美: それでいて、なかなか物が入らない・・。

令日奈:理由は、面接で他の企業の案内書が見えるのはまずいから
     チャックが付いているんだって。

文美: 会社員になって人に接する営業職ならば仕方がないと思うけれど、
私は身の丈に合っていないと思います。

浩平: 僕は身の丈に合っていないとは思わない。
人はそれぞれで、スーツを親に買ってもらえる人もいれば
バイトで月に何十万円も稼いでいる人もいるので、
彼らにしたら決して身の丈に合っていないとは思わない。
僕も月に十万円近く稼ぐことがあるのでそんなに苦にならないかな。

文美: 勉強する時間や本を読む時間、友だちと遊ぶ時間を全部削って稼いだお金が、
ほとんどそれに流れるのをどう思いますか? 
プラスアルファには何もならないんですよ。

令日奈:文美ちゃんが言っているのは働いたバイト代が、例えば
自分のためにバックパッカーで旅に行く費用にもなり得たのに、
無個性なスーツに消えていくのが空しいということ?

文美: それもありますが、高すぎるんじゃない?という単純な感想です。
それが標準になっているのは大変なこと。

令日奈:私の友だちは卒業式の袴と写真撮影代とヘアメイク全部で五万円
かかったんだって。その五万円衣装は午前中で脱いでしまうのね。

レンタル20万円

文美: 成人式の着物のレンタルなんか、友だちが二十万円のを借りたって。

浩平: それって悪いことなんですか?

令日奈:考え方だと思う。逆になんで悪くないと思う?

文美: 価値があると思うんでしょ。

浩平: 自分がこういう服を着たい・・今持ち合わせがなく親が出してくれるなら
僕はいいと思う。二十万かかろうと、二十万の価値があると思うなら
     本人はやるべきだと思うし、それで潤っている人もいる。

令日奈:例えば面接で自分のカラーを出そうとしたときに、今までそうやって
「全部そろえてもらってきた」としたら、うまくカラーをだせる人は
あまりいないのではと思う。

目立たたないためのコスト

浩平: 目立たないようにするためにみんな同じ格好をするんだと僕は思います。

令日奈:浩平くん自身の意見は?

浩平 :僕も目立ちたくないので同じような格好をしたい。
「あいつ目立ちたいんだ」というレッテルを貼られることがイヤなので、
「別に同じ服を着ていればいいではないか」という考えです。

涼:  私は成人式でワンピースを着るつもりで高いバッグを買って一生使おう
と思っていたんです。それが振り袖に変わったのは、まわりの人から
「成人式に振り袖を着ない子は浮くよ」と言われるんです。
個性を発揮すべき場なのか、すべき場じゃないのかというのが大切だと思う。
パーティでは自分が目立ってもいいかもしれないけど、成人式は
「振り袖は買わない」というポリシーがあったとしても、私だけの式
ではないことを考えると、「目立たないため」ではなくて、「好き勝手
な服を着ることができない」から、みんな同じ服を着てしまうんじゃな
いかと思います。

没個性はメリット?

令日奈:目立ちたくない理由は「あいつ目立ちたがってああいう格好している」
     と思われたくないのが一番の理由ですか?

浩平: そうですね。「どうせあいつ目立ちたがり屋だろ」と言われたくないのが
僕のポリシーなので、個性的な格好をするよりは没個性的な方が得だと
僕は思います。

令日奈:自分にとって得?

浩平: はい。

令日奈:では普段の生活では個性を自由に出していますか?

浩平: 着たい服を着ようと思っていますが、基準はあまり「個性的だな」
と言われず、「流行に乗ってる」とか「みすぼらしい」とか、
どれも言われない格好をしようと心がけています。

文美: 目立たないことで何かメリットがあるんですか?

浩平: 少なくともデメリットがないと思います。

令日奈:成人式や卒業式で、みんなが「リスクの少ない」ということに
     労力とお金をかけているのはすごいと思う。
     「なんで袴なの?」とか「それに五万円もかかるんだ」と私が反応しても、
「まわりがやっているから仕方がない」という答えが返ってくる。

文美: 私は女子大ですけど、入学式に真っ白なスーツで来た子がいるんです。
     「ああそれって選択だな」と私は思いました。
     他に白いスーツで来た子は何人かいましたが今も固まっているの。
     ブランドバッグを持ってきた子も集団で固まっている。
     嗜好は人間にはあるし、別にそんなに合わせなくていいと思う。
     自分で私はこれで行くと主張することで生きやすくなることもあると思います。

外見で決まる?

令日奈:以前CEの取材で女性誌の読者モデルに来てもらったところすごい格好で
     現れたの。髪の毛なんかこんな感じだし、お化粧も濃くて・・・。
     その人が言うには「外見で人を判断する人は私に寄って来ないから
     この格好はいわば“第一関門”。外見で判断しない人だけが私とやっと話す」
     と言っていたのを思い出しました。
     いま文美ちゃんが言っていた「自分は白いスーツを着る目立ちたい人間です」
     と主張することで、そういう人たちと四年間仲間でいられた・・。
     それは居心地がいいのかもしれないね。
    
文美: きょう私が感じたのは、目立たないためとか、目立つためとか、
     その人なりに一応考えてそういう格好をしているのかなということです。
     ただリクルートスーツが毎年毎年あんなにおいてあるのをみると、
     そういう産業が成り立っているのだということも考えました。

令日奈:仮にリクルートスーツというものが世の中から無くなって、
     あなたが選んだ格好をしてきてくださいと言われたら?

文美: ある会社では全身写真が必要なのですが、「リクルートスーツはやめてください」といわれてみんな迷ったようです。ある程度の指針があった方がいいかもしれません。私は、リクルートスーツはラクだと思っています。
     だって洋服だけじゃないでしょ、個性を発揮するのって。
    
浩平: 会社に入ったら服装を自由にしたいですけど、
     僕が就職活動をするにあたってはスーツの方がラクですね。

令日奈:それはなぜ?

浩平: 服装だけで見えてくる部分もあるでしょうし、ぼろ切れみたいな服を着てきたら見る側(人事部)としてはおもしろいでしょうが、僕はそういうふうに選別されたくないです。

令日奈:それはなぜ? お金がかかるから?

浩平: どんな服を着たらいいのか、何が求められているのかを考えない
     リクルートスーツの方がラクだと思うので僕はいいです。

個性を主張できる社会に

文美: でもやはり考えないのはよくないと思います。
     例えばシャネルに受けに行くのにリクルートスーツで行っても通るらしい
     んです。でもファッション業界に行くのにリクルートスーツ?
     「個性が発揮できると若者が思える社会」でもいいのではないでしょうか。

令日奈:学生がリクルートスーツやバッグも靴もそろえるのは、少なからず
社会の習慣を反映しているのかな。
     日本社会の「目立たない方がいい」、リスクかからない方がいい」という考えと
価値観が少なからず学生の動きにも影響していると思いました。

文美: 社会を見てそうしているのではなく、「知らなすぎて」そうしている気がします。就職活動などもほんとにそう思う。
     いかに親との関係が希薄で、いかに世の中を見て来なかったか、
     だからどの程度まで自分の力が個性を発揮できるかわからない。
     お化粧でも表現できないし、企業のエントリーシートや面接でも個性を発揮
できないのは、私もそうだけど、世の中といかに関わって来なかったのかと
いう点だと思います。

令日奈:確かに私もCEの大人のスタッフの話を聞かなかったら、
     「黒じゃなきゃいけない」と思っていたかもしれない。
     店員さんに惑わされない自分の考えや、まわりの助言は必要ですね。
       (完)

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