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座談会

多様化する修学旅行
曽木颯太朗(15)、三崎友衣奈(15)、藤原沙来(17)、大久保里香(15)、 川口洋平(17、司会)
2007/06/01

 修学旅行といえば、学年全体で行き先は同じ。行き先は決まって京都・奈良。夜は枕投げをし、昼間は仏閣見物をしお土産を買って帰る…。
  ところが今、中国、韓国をはじめとする海外への修学旅行や、2〜3人のグループに分かれて農家に宿泊するなど、修学旅行が多様化してきている。 

洋平:まず、自分の学校ではどんな修学旅行をしているのかを教えてください。

颯太朗:今年の秋に四泊五日で、三重の鳥羽と奈良・京都に行きます。これはもう数十年前からの恒例だそうです。

友衣奈:私の学校では、高二のときに北海道に一週間いくのですが、とても自由で、バスで現地に行って、勝手に作ったグループでまわります。

沙来:うちの学校もかなり自由で、修学旅行とは呼ばず、「地域研究」といっています。内容は毎日自由行動で集合写真撮る時だけ拘束されます。目的地に行ったらそこで解散、ホテル集合が毎日の基本です。

里香:冬に東北の方へ行って、スキー合宿のような修学旅行です。自由行動とかはあまりなくて、スキー研修がメインです。

■修学旅行の楽しみは?

洋平:決まったコースをやるところと、けっこう自由な修学旅行に分かれましたですけど、修学旅行の楽しみってなんだと思いますか?

友衣奈:やっぱり夜だと思います。みんなで集まって遊ぶとか。

里香:夜の雑談みたいなのが好きですけど、あんまり夜遅くまで話していると、先生に怒られるのがちょっと・・・・・・。

颯太朗:僕もやはり夜ベラベラとしゃべります。

洋平:どうしてそんなに遅くまで話すくらい楽しいのかな。普段でも話せない? 

友衣奈:修学旅行だとみんなちょっとテンションがあがっているから、けっこう、ぶっちゃけみたいな話が多くて、それがまた楽しい。

洋平:友だち 2 、3人で卒業旅行に行くのと修学旅行は何か違うものがある? 

友衣奈:確かに卒業旅行の方が自分たちで全部手配しなきゃいけないしから学ぶことはあるけれど、修学旅行では、ご飯を一緒に食べる時はちゃんとお皿を片づけるとかみんなでやることが多いので、団体行動というのが重要な課題だと思います。その課題が魅力なのかな?

洋平:そもそも修学旅行には、集団生活して楽しむ以外に、歴史的な建造物見て教養を高めるような目的があるらしいんですけど、最近はわりと自由で遊びの要素が強い修学旅行が多い傾向にある。となると最近の修学旅行に意味はあると思いますか?

友衣奈:例えば東京にいただけだったら、高いビルしか見られないけど、沖縄や北海道に行けば、もっと広い土地やシーサーみたいな現地ならではのものとかも見られるし、気候の面でも蒸し暑いとかとても寒い空気も体感できる。写真だけではわからないことに触れるだけでも、充分学ぶことは多いと思います。

沙来:私の学校は自分で行く場所を決めて行く目的を考えるので学ぶことはあると思います。

里香:奈良とか京都とか定番な場所に行くのもいいと思うけれど、そういう定番じゃない場所でも事前に調べて行けば学べることはいっぱいあると思います。

颯太朗:京都や奈良に教養を高める目的で行きますけど、でもそんなことよりも、中高の思い出づくりみたいな感じでいいんじゃないかと思います。

■従来とは違う修学旅行に興味ある?
洋平:集団でまわるだけではなくて、2、3人のグループで好きなところに行くとか、自分の興味のあるところに行く修学旅行に行ってみたいと思う? 例えば北海道の農家に何グループかに分かれて農業体験をするとか。 

友衣奈:農業体験とかは将来の職業に関して参考になれば、ということで行くのでしょうけれど、それはまた修学旅行とは別で行ったほうがいいかな。修学旅行はみんなで楽しくまとまって行きましょうみたいなのだと思います。

沙来:うちの学校は中学校の時に農業体験で越後にいきます。そのほかにも平和学習として広島と長崎に行くのと、国際理解として、福島のブリティッシュヒルズへいくというのもある。それも分散して自由行動です。私は型にはまった修学旅行はよく分からないので、何とも言えませんですが、越後に農業体験に行った子たちは堅苦しかったり、面倒くさかったり、辛かったりするけれど、それを中学生の時に、楽しさと同時に学べるのが貴重だと思う。

颯太朗:農業体験とかは修学旅行としてあまりおもしろくない。京都や奈良に行くのもはっきり言って、そんなにおもしろくはないけれど。 

里香:私も中二の時に研修旅行ということで農業体験に参加したけれど、修学旅行とは別にしたほうがいいと思います。学びと遊びと分けたほうがもっと充実したものになるんじゃないかな。

洋平:また違う例で、主に地方の学校に多いらしいんですけど、高校生であれば修学旅行と大学見学を兼ねて東京に来る。そういう修学旅行どう思いますか?

友衣奈:それはちょっと。確かに大学とか見られるのは楽しいと思うんですけれど、大学の授業に参加してみるのは修学旅行とは別で、そういう計画の旅行で行った方がいいと思うんです。

里香:私もわけた方がいいと思います。別に東京に行きたいと思っている人ばかりじゃないので、大学の見学とかは、個人的に行けばいいと思います。

沙来:地方の人のためにはいいのかなと思うので、修学旅行という名称を変えればいいんじゃないかなと思います。

颯太朗:地方の人たちが修学旅行で東京に来るのはとってもいいと思うんですけど、大学に来るのは「これから大学受験だから最後に遊ぶぞ、思い出を作るぞ」という時に何となく気分を重くするような気がするんですけど。でもそういうのを見たい人たちもいると思うので、自由時間とかに一部の先生が「大学に行きたい人はついておいで」みたいな感じで、修学旅行の一部としてやるのはいいんじゃないかと思います。

■修学旅行は遊びか学びか?

洋平:修学旅行って一応名目上は学び。だけど実際はどうなんでしょうね。

友衣奈:学びもあるけど、けっこう遊びも大切。今までガチガチに拘束してきた学校が、修学旅行になると突然とても優しくなる。「自由にしていいよ」。言い換えれば「遊んでいいよ」となる。だから修学旅行は最後に友だちと楽しむというのが大切なんじゃないかなと思います。

里香:修学旅行に行く前はなんかワクワクするんですよ。普段学校へ学びに行くっていったらあんまりワクワクしないじゃないですか。だから現状では修学旅行は遊びがあって、学びが付け足しになっている気がします。

沙来:私は逆に文字通り学びが主体で、みんなその開放感に浸って楽しんでいるものだと思います。

颯太朗:純然たる遊びだと思うんです。先生たちも口では「よく見とけ」とか言いながらも、生徒を遊ばせているようなもので。例えば京都や奈良に行ってお寺を見て、すごいなと感心する生徒もいれば、あんまり感心しないで、宿で遊ぶかとかそういうことを考える生徒もいる。だから結局は人それぞれ。

洋平:だいたい修学旅行の料金っていうのは平均5、6万円って言われていて、普通に行くパック旅行の2倍から3倍ぐらいのお金がかかる。それは大人数で行くし、添乗員さんがいっぱい付くとか、後は事前学習とかの費用とかでそれくらいかかっちゃうらしいんですけど、その遊びにそんなお金を親に出してもらってわざわざ遠くまで行く必要ある?

里香:学校の行事として一応歴史的なところや学べるところに行かせて、「学びも大事だけど遊んで来いよ」みたいな感じで、親にもその費用を出してもらってるんじゃないかなと思います。

友衣奈:確かに遊びのために5、6万もっていうのもあると思いますけど、お金を払った分、先生も多いし、添乗員もいるし、安全を保証するためのお金だと思っていればそんなに高くはないのかなと思います。

颯太朗:親の世代も、修学旅行はほとんどが体験しているわけです。で、親たちも友だちと楽しんでいたから、子どもたちも自分たちと同じようにやっぱり楽しむものだと自然に考えている。

■修学旅行に海外はあり?

洋平:なるほど、親にもちょっと意見聞いてみたいところですね。ところで私立の学校を中心に海外へ修学旅行に行く学校が増えている。近場だと韓国や中国、遠いところだとヨーロッパ。もちろんそれに比例して費用はウン十万かかるし、ヨーロッパへ行くとなると一年生の時から積み立てして、 50 万くらい必要な修学旅行も出てきているらしい。海外に高いお金を出して行きたい?

友衣奈:ヨーロッパなんて飛行機も 11 時間くらいかかるし、ウン十万は高いかなと思います。そんなにかかるんだったら家族で行けばいいし。私は国内の方がまだ安全だし言葉も通じるし、いいと思います。

沙来:海外に行こうと思えば大人になったら行ける。国内だと私が行った東北とかは自分で行こうと思わないし、歴史的建造物も興味なきゃ見ない。だから修学旅行は貴重な機会だと思うし、それを学校側が提供してくれるならなにか体験できればいいなと思うので、海外にお金をかけてまで行く必要はないと思います。あと、公立との差も出てきちゃうからそれも問題かな。

里香:日本国内を旅行するだけでもパックツアーの二倍もお金がかかると言うのに、海外へ行ったらもうそれこそとんでもないお金がかかる。海外に行きたければ個人的に行けばいいし、日本のこともよく分かっていないのに修学旅行で海外へ行ってもあんまり意味がないかなと思います。

颯太朗:海外は日本に比べてあまり治安は良くない。国内の修学旅行の何倍ものお金かけても、安全とか保証できないわけですよ。それを考えると海外に行くならもっと平和で安全な日本のなかでのんびりとやった方がいいんじゃないかと思います。

■理想の修学旅行はどういうもの?

洋平:海外にはわざわざ修学旅行で行きたくないみたいな、それはみんな共通なのかな。じゃ自分がもし自由に決めていいって言われたらこんな修学旅行行きたいみたいなの、教えていただけないでしょうか。

颯太朗:僕は拘束されるタイプの修学旅行で、一週間まるまる京都に行きたいです。いくつかのグループにわかれていろんな名所をまわる。京都の郊外の比叡山などにも足を伸ばしていいというようなもの。

友衣奈:北海道、沖縄、京都などとたくさん選択肢があって、そのなかで行きたいところまではみんなで行って、着いたら自由行動という拘束されない旅行。修学旅行だから学ばないのはまずいので課題はちゃんとある。ただお金の面とか自分たちで考えて行動できる修学旅行が楽しいと思います。

里香:場所はどこでもいいって感じです。ただ最後の活動なので、みんなで修学旅行に行って、同じところに泊まって楽しみたいなって思います。歴史的名所もみんなで見たらきっと一人で見るよりは楽しいと思うので。

沙来:うちの学校はまったく自由。行く前に事前レポートとしてテーマを先生に提出。修学旅行中は自由に課題に添った旅行を自分で組み立て、終わった後にレポートを出すというもの。だからみんなの意見を聞いていると、現状維持が一番いいかなと。ただみんなで一緒に行動する機会があまりないので、みんなが嫌だと言っている集団行動のきつさも体験してみたいなって気がします。