颯太朗 |
ここにある2003年版の読書世論調査(毎日新聞社発行)という本のなかに、みんながどれぐらい読書をするのかを示す読書率のグラフがあります。これによれば、今は活字離れが起きているわけではなくて、逆に上昇傾向にあるんです。この結果についてはどう思いますか? |
友衣奈 |
なんでそういう結果が出ているにもかかわらず、みんな読まないみたいなことになっているのかがよくわからないんですが。友だちとか、姉は中学校から新聞読んでいたけど、私はまったく読まないので、やっぱり活字離れっていうのかなと思っていたぐらいなので、これを見て驚いています。 |
洋 平 |
最近活字離れだから、って学校で朝の15分だけとかいう朝読書をやるようになったために、読書率っていうのが上がっているんじゃないかなと思います。 |
沙 来 |
グラフの対象年齢って? |
颯太朗 |
小学4年生から70代で、年代別に見て、読書離れが進んでいるのは70代と50代。 |
沙 来 |
小学生の活字離れはそこまで進んでいないと思うんです。というのも私自身、小学生の時は定期的に図書室に行かされていて、読書に自然に触れる機会が多かったなって。中学生になると、難しい本とか面倒くさくなったりすることもあるので、本を読まなくなると思っていたからこの結果は意外なんですけど、強制的なのも入っているのかな? |
颯太朗 |
これは本だけの読書率。こっちが雑誌の読書率で、雑誌と書籍を合わせたのがこのグラフ。それでもう一つここには、「活字離れと日本語力」というグラフがあるんですが、ここではみんな活字離れが進んで、自分たちの日本語力が落ちていると実感している人が圧倒的に多いんです。活字離れが実際に起きてないにもかかわらず、一般には活字離れが起きていると言われ、今年に入って「文字活字文化振興法」という法律までできたということについてはどう思いますか? |
洋 平 |
読む本がだんだん簡単手軽に読める本になってきてしまっていて、難しい文を読まなくなっているので日本語の能力が落ちているんじゃないかな。 |
沙 来 |
日本語力っていうのをどう判断したらいいのかがわからないんです。本に触れる機会が少なくなったことによって、一般に言われる美しい日本語が使われなくなっちゃったかもしれないんですけど、普通に会話は成り立っているし、作文も書ける。そういう現状をみると、やっぱり活字離れはしてなくて、日本語力低下っていうのはどっから生まれてくるのかなって思います。 |
友衣奈 |
さっき沙来さんが強制的に読まされている部分が多いって言っていたんですけど、それは同感。強制的に読まされてるから、本の深いところまで考えずにただ読んで、表面的なところだけ理解して、日本語力というか国語の成績も下がっているっていうのがあると思うんです。 |
洋 平 |
もしかしたら日本語を読む量が増えても書くことが少なくなったりとかしていて、それで作文能力だとかそういうのが落ちて、日本語力が低下したんじゃないかなとも思いました。 |
颯太朗 |
活字離れによって日本語力が落ちたわけではない、というのが皆さんの意見ですね。それでもデータではまったくそうではないにもかかわらず、一般には活字離れが起きているという認識が強くて、活字離れが起きているという認識が強いのはなぜだと思いますか? |
洋 平 |
活字離れというのはたぶん読む・読まないで判断していると思うんですが、読書量は下がってきているかなとは思います。これ、自分で探してきた資料で、ちょっと古い2004年の読売新聞が世論調査した結果なのですが「一ヶ月に何冊本を読む?」という質問に対して、月に一冊というのが17%で一番多かったんです。なので、読む・読まないというよりは読む量が減っているから、活字離れしているという印象を受けるのかなと思います。 |
友衣奈 |
クラスごとに一ヶ月に何冊読んだかが毎回出るんですけど、そのデータではすごく本を読む人たちが貢献してる。でも読まない人はそのまま読んでないんじゃないかな。 |
沙 来 |
小学生の時は友だちと遊んで帰っても本を読む時間があったかもしれないけど、中学生や高校生になると、部活があったりとか習い事があったりとかで、なかなか読めないし、宿題もあって本に手を伸ばさなくなる。本に触れる機会が少なくなったから、学校から与えられた強制的な本とかも深く読むことができなくなったと思う。 |
颯太朗 |
2002年はハリーポッターがベストセラーで堂々の一位、それから「声に出して読みたい日本語」の日本語ブームが起きた年なんです。例えば「5月一ヶ月間に読んだ本」という表を見るとだいたいどこもハリーポッターが入り、しかも中学生から高校生までみんな同じような本を読んでいるんですね。ベストセラーの本が読書率の上昇の一因なんですが、こういう流行の本ばかり読んでいるから日本語力が落ちるという指摘もあるんです。それについてはどう考えていますか? |
友衣奈 |
流行の本を読んでいるからってなんで日本語力が落ちるんですか? |
颯太朗 |
流行の本の中には日本語の文法がひどく変なものがありますし、最近ではインターネットから出版された本が日本語力低下の一因となっているのではないかという指摘があります。あと、こういったベストセラーや流行の本をみんな読んで、いわゆる古い本をみんな読まなくなったんですね。 |
洋 平 |
流行の本なんで、流行させるために、みんなに読んでもらえるために、本を簡単に書くと思うんですよ。あえて難しい表現を避けたりとか難しい漢字使わなかったりとか。なので、そういうところがやっぱり関係してくるのかなというふうに思います。 |
沙 来 |
個人的にはあんまり流行の本を読まないんです。ハリーポッターも一冊も読んだことないし、みんなが騒いでいると、そういうのにはなるべく手を伸ばさないようにしてます。流行の本っていうのは読んでいて文法がおかしいなとか思うんですか? |
友衣奈 |
普通に読んでいて文法がおかしいとか思ったことがなくて、逆にちょっとあれって思ったことがあったとしても、「本だからこれが正しいんだ」って思っちゃうんですよ。だからそういう点で、自分のちゃんとした日本語がわかってないから、間違った本に洗脳されてというか、それでこういうもんだなと思って日本語がダメになってきているのかなと思いました。 |
颯太朗 |
それとは逆に、古典の方はあまり読まれなくなっているんですね。この中ではせいぜいシャーロック・ホームズシリーズと指輪物語ぐらいですが、古典の本をたくさん読んだ方がいいんでしょうか? |
友衣奈 |
確かに夏目漱石とかすごい名作ばっかりを残している人の本はちょっと見たことがあるんですけど、今と言葉使いが違うので、難しいしわかりにくいってことで、すぐあきらめちゃったんです。そういうのをむりやり読ませてわけがわからないっていうイメージを持たせるよりは、最初に簡単な本から入っていって、だんだんちょっと難しいのにチャレンジするっていうのもありだと思うので、まず日本語がおかしい本を出版させないっていうことが大事だと思います。 |
沙 来 |
古い本は学校で強制的に勉強するし、漢文とか古文とかも学校で触れる機会がある。自分で積極的に読もうと思っても、友衣奈ちゃんが言ったみたいに挫折しちゃう本だと思います。 |
洋 平 |
昔の本が読まれなくなっても別に僕はかまわないと思いますけど。なぜかというと、昔は夏目漱石だとか名文学だって言われていたものを読んでいたかもしれませんが、当時はたぶん文体とかも違和感なく読めたと思うんです、だから昔の感覚でいったら現代の本を読むっていうのも別に問題はないんじゃないのかなと思います。 |
颯太朗 |
それでは皆さんの意見としては、流行の新しい本でもあまり文法の誤っているものなどは読まない方がいいという一方で、古い本ばかりを読んだり読まされたりするのは良くないという意見ですね。
それでは、流行の本にみんな読むのがかたまってしまうのはどうでしょう? |
友衣奈 |
問題はないと思いますが、みんなが同じ考えになってしまうかもしれません。でも本を読んで思うことは、みんな一緒じゃないと思うので、本自体が良ければいいんじゃないかな。 |
沙 来 |
流行のものに走るのは別にいいと思うんですけど、「これがはやっているから読みました」っていう形だけで終わってるような気がして。確かに学ぶものはあるのかもしれないけど、ちゃんときちんとした日本語の文として読める本ではないと思います。 |
洋 平 |
本を読む目的というのが違うのかなと思いました。つまり本を読んで学ぼうとか吸収しようとか、読み解いていこうと捉えるんじゃなくて、話題を合わせられるように読むのかな。それは目的が違うから別に問題はないのかなと思います。 |
颯太朗 |
それでは今活字離れと呼ばれている現状をどう乗り越えて、またみんなが流行の本ばかりではなく、いろんなたぐいの本、その他を読むようになるにはどうすればよいと考えますか? |
友衣奈 |
とにかくいろんなものに興味を持って挑戦していくことを習慣づけるということが大切だと思います。私の友だちや周りの人は興味のないものには手をつけないというか、チャレンジというのがないので、「これいいよ」って言われたものしか読まない。インターネットではやり始めたものが本になっても、「面白いよ」って言われてから読んで、感動したとか言っているので、もっと自分の興味のある分野をもっと広げて、自分の視界を広げられるような環境にしていけば、いろんな本が読まれるようになって、流行だけに走らないと思います。 |
沙 来 |
本を読ませるには、流行の本をまず読ませるのが早いなと思いました。というのは、ハリーポッターも映画があるからみんな読むだろうし、話題作りのためにも読むだろうし。本を読ませたいなら、流行の本にまず手を出してみて、身近なところからまず本と触れる環境を自分で作っていくことが大事だなと思いました。 |
洋 平 |
映画とかニュースを知るうえで、新聞(活字)を読まないでニュースを見るというふうに変わってきているので、活字離れしているのはしかたのないことなのかなと思います。情報源が変わってきている。だから過激なことをいえば活字離れを防ぎたければ、テレビでニュース流すのを止めたらって、 |
颯太朗 |
それではこれで今回のRTを終わりたいと思いますが、最後に感想をお願いします。 |
友衣奈 |
これだけインターネットが普及すれば活字離れはしょうがないかなって思っています。しかもインターネットというのは情報を受け取るだけじゃなくて発信できるという利点があるので、みんなそっちの方に流れていっちゃってる。本は受け取るだけで、別に毎日変わったりしないから、変化を求めるにあたってみんなたぶんインターネットにいっているんだと思うんですけど、それは時代の流れなのでしょうがないかな。 |
沙 来 |
テレビを見ることで読書の時間も減り、ブログから生まれた不思議な日本語を耳にする。日本語はすごく崩れてきているなって感じるんです。読書とかは読もうと思わないと開かないけど、テレビとかインターネットとかは気軽な感じで入れるからそれはしょうがないのかなっていうふうに思っています。ただ活字離れが実際にしてないという現状を見て、緊急事態というほどでもなさそうなので、みんなハリーポッターとか読んでいるみたいだから、身近な今はやりの本とか、友だちに勧められた本とか、気軽なところから本に触れる機会をまず作り出すことが大事かなと思いました。 |
洋 平 |
活字離れが進んでくと、日本語の読解能力とかだけじゃなくて、本を読んだ時の想像力だとかそういうのもなくなってしまうと思うので、例えばハリーポッターを原作で読んだらホグワーツ城ってどんなお城だろうって想像する。だけど映画で見たらポンとそれが出てきちゃう。だからそういう想像力とかいうのもなくなってしまう。日本語の能力とかいうよりも、そっちの方が心配だなと個人的には思っています。 |