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座談会

英語いつから勉強したい? 2006/06/25  
出席者:川口洋平(16)、藤原沙来(16)、岡本遼弥(15)、曽木颯太朗 (14) 三崎令日奈(19)司会:寺尾佳恵(17)

小学校からの英語必修化など、現在、日本の英語教育が揺れ動いている。英語はいつから、どのように学ぶのが良いのか。

みんなはいつから英語を学んでいるの?

佳恵:いつから英語を勉強し始めましたか?

洋平:中学一年生の学校の授業からです。

遼弥:同じです。

颯太朗:小学校二年生の時にちょっと習いました。

沙来:中学校に入る三ヶ月前くらいに、中学に入ってから乗り遅れないようにやり始めました。

令日奈:小二くらいから 2 年間、近所のアメリカンスクールに行っている人に教えてもらっていました。中一から中三まではアメリカで現地校に通っていました。

佳恵:中学校から始めた人たちは、小学校からやりたいと思ったことがありますか?

洋平:小学生の頃から英会話をやっていた友達は日常会話程度なら喋っていましたが、うらやましいとは思いませんでした。

沙来:英語の授業に遅れないようにするためには予備知識が必要なこともあると思うので、習っていてよかった。

遼弥:興味をもったのが中学校からなので、中学校からでいいです。

佳恵:小学校の時に英語に触れたことがある人の感想を聞かせてください。

颯太朗:小学校で総合の時間に、英会話の基礎みたいなことをやったのですが、つまらないし、何の役にも立ちませんでした。

令日奈:教えてくれた高校生が電話でアメリカンスクールの友だちと英語で話しているのがとても新鮮でした。

■小学校から英語を必修化?

佳恵:今、小学校から英語を必修にしようという話が出ていますが、それについてはどう思いますか? 

遼弥:反対です。小学校ではもっと他にやるべきことがあるのではないでしょうか。例えば、国際的にコミュニケーションするっていう以前に、身近な人ときちんと交流し、深められるようにしていくことの方が大事じゃないかと思います。そのためには国語の方が大事だと僕は思います。

颯太朗:確かにまず日本語をしっかり学んでからじゃないと英語はできないような気がします。

洋平:小学校から取り入れるのはいいことなのでしょうが、ただ現状でできるかっていうと、教師も不足しているし、難しい。中途半端にやってもしゃべれるようになんてならないし、お遊び程度で終わるなら、やらない方がいい。

令日奈:英語はけっこう得意科目なのですが、日常会話程度にできたからって、あんまり役に立たない。それよりも母国語でいいから内容のあることを論理的に考えられるようにならなければ。

颯太朗:年配の方には中学から英語を始めて、留学もしないで、喋れる人がいっぱいいるんですよ。そういう人たちのことを考えると別に中学から始めても充分間にあう。

沙来:国際社会化している今を考えると、小さいうちに、好奇心があるうちにやった方がいいと思います。耳で聞いて自分でしゃべれるようになるという環境を、小さい頃から与えるべきです。

令日奈:小学校からやったほうがリスニング力は上がるという人がいるけど、それは中学からのやり方が悪いだけ。文法から始めると身構えちゃうと思うので、その前に耳でひたすら英語を聞くとか、歌を歌うとか、工夫が必要なのでは。

■文法が先か耳が先か
佳恵:でも中学に入ってからいきなり文法を始めずに、歌とかをする時間を取ると、ただでさえ少ないって言われている授業数が減っちゃうっていうことも考えられます。

洋平:時間がとれないし、高校受験がからんでくるので、歌ではなく、文法からちゃんと教えていった方がいい。

令日奈:でも文法から入ると、発音が「日本語英語」みたいになってしまう。英語の発音っていうのは、数ヶ月でも頭に入れといた方がいいと考えています。日本の私立の学校は受験英語にはけっこう時間を割いているようなので、そういう時間があったら発音も並行してやれないものでしょうか?

遼弥:耳から入るとか文法から入るとか、どっちでもいいのでは。

佳恵:でも小学校からやろうかって提言している人の中には、早くから耳に入れといた方がいいって言う意見もあるのです。それに今の中学校は文法ばっかりやっているから、日本人は英語がしゃべれないのだという意見も多くありますが。

遼弥:そうですね。

令日奈:中途半端に日常会話程度できますって言っても、仕事にも使えないし、コミュニケーションもある程度のレベルで終わっちゃう。自分の考えたことを言えるようになるには、書ける英語を身につけるためにはやっぱり文法は文法でやり始めてからみっちりやったほうがいい。

遼弥:英語を学ぶっていうのは、英語を話す人と関わりを持つみたいなことが第一だろうから会話することの方が大事なんじゃない?

令日奈:外国人の生徒のために英語を教えるっていうのがアメリカの公立の学校ではあって。参考までに私が通っていた現地校のポリシーは、「しゃべれるより書けなきゃダメだ」。だから毎日必ずエッセーを一枚は書かされていた。でもそれが大学に行っている今、すごく役にたっている。

沙来:結局、どっちかに重点を置くっていうのもダメってことね。両方できないと。

令日奈:しゃべれるけど書けないっていうのは、うちの弟が当てはまるかな。彼は帰国子女なのにまったく書けないし。

佳恵:公立小学校は英語が義務化されているのですが、教科として必修にしなくても、総合の学習の時間でやればいいじゃないかっていう意見もあるのですね。それに対してどう思いますか?

令日奈:英語を学ぶうえで大事なのは、自分と違うものを受け入れて、それを自分が使えるようになるためのトレーニングができるようになること。英語にとらわれずに、日本とカルチャーが違う外国のものでなんか遊んで、小学生にいい印象を与えられたらいいかな。

沙来:英語に触れる機会をもっと増やしてほしいと思うので、必修化として、専門の先生も雇って、きちんとした環境を整えて、将来に向けても、子どもたちにそういう機会を与えてほしいです。

颯太朗:総合学習の数時間だけ英語をやってもちっとも役に立たないし。

洋平:意味がなかったと、そういうふうになってしまうのがオチじゃないかな。

■誰が英語を教えるの?
佳恵:英語を必修化したあとに、「意味がなかった」、「無駄が多かった」というのでは、学んだ小学生もけっこうショックだと思うので、どんな授業だったらいいかとかアイディアありますか?

令日奈:小学校の時にしかできないものとか、小学校の時にやるからこそメリットが最大限にあるものを考えてみると、やっぱり耳で聞いたものをその聞いた通りに話すっていうことだと思うので、歌を使うなりなんなり、リスニングの対策になるものをやるのがいい。

洋平:僕はまったく反対の意見です。中学同様、まず文法から入った方がいい。というのも韓国では小学校でそんなふうにやっているらしくて、韓国の高校生と話してみたりすると、もう英語がペラペラです。だから他国での成功事例を見習って取り入れればいいんじゃないかな。

颯太朗:ちゃんとした先生がいることが第一でしょう。

遼弥:英語を学習する意味を小学校のうちからちゃんと学んで、小学生たちが英語に興味を持つことが大事だと思います。

佳恵:もし義務化された時に今の小学校の先生が他の教科と同じように教えた方がいいか、それとも外部から、完全に外国人、ALTの先生みたいなのを呼んでやった方がいいでしょうか?

洋平:外国人教師にやってもらうのが理想でしょうが、大変だと思うので、まず小学校の教員の採用試験の時に、厳しい英語力というのを求めるっていうのが、一番てっとり早い方法じゃないかな。

佳恵:今いる先生たちはどうするの?

洋平:教えちゃダメです。例えば今年からやりますっていったら、来年採用する教員が英語の授業をやるみたいな感じにしていく。そして 20 年、 30 年といった長い期間でみていくと、小学校の先生は全員英語をしゃべれるっていう形にもっていくのがいいのかなと。

颯太朗:公立中の英語の先生を公立小に赴任させるのも必要だと思う。

沙来:学校別に差が出てしまうのも困るので、全国で共通したテストなどの基準を作ったうえで、それに合格した英語圏の人を先生にする必要もある。

令日奈:でもテストを通過したようなくらいの英語をしゃべれる先生が、公立の学校の給与の条件でやると思う?

■大人たちへのメッセージ
佳恵:英語の義務化を審議している大人たちに、もうちょっと考えてほしいことがあったら言ってください。

遼弥:今大人がやるべきことは、もっと子どもたちに英語をしゃべらなきゃいけない環境を作るってこと。例えば、英語の先生には英語しか話せない人を赴任させたり、しゃべらなきゃいけない環境を作ったりしてみるとか。

沙来:弟が学校でフランス語をやっているのですが、学校で全部学ぶから教科書もノートも家に持って帰っちゃいけないっていうシステムなのです。そのほうが、詰め込みになっちゃうんじゃないかなって。気楽にできる環境を作ってあげた方が子どもたちはやる気も出る。

令日奈:それは学校のポリシーがしっかりしていることなのでは? 家ではしっかり日本語で家族とコミュニケーションとってほしいからっていうけじめをつけている。

洋平:極端な意見ですが、英語がある程度できないと小学校卒業できないようにするとか。それくらいすれば人間誰でもやるのですよ。逆にそんな状況にならなければやらない。だからそんな状況作り出すのが一番いいかな。

令日奈:いろんな人がいろんな意見を言っていて、どこの方向にいくのかわからなくて。英語を楽しんでほしいのか、英語で書いてほしいのか、英語でしゃべれる子どもを育てたいのか、英語で何ができる子どもにしたいのか全然ビジョンがないからいけない。

佳恵:小学校から始めるとしても、中学校のままだとしても、最初にどんなふうにしてもらったら興味を持って英語を学べるようになると思いますか?

颯太朗:英語に興味を持つ、持たないっていうのは個人差がある。僕のまわりを見ていても、外国人と話すのが楽しいっていう人もいれば、様々な場所でまあ役に立つ程度としか思ってない人もいる。

令日奈:英語をやるのが楽しければそれにこしたことはないのですが、つらいことも多い。コミュニケーションがとれるようになると倍以上の喜びってあると思うから、それまでは我慢かなと思う。

佳恵:今までずっと思ってきたことなんですけど、新しいことを始める時に賛否両論っていうのは当たり前だと思うんですね。でも、令日奈ちゃんや洋平くんが言ってたように、何となくこっちがいいんじゃないかみたいな流れのまんま、決定して始めてしまうっていうのが、ゆとり教育の二の舞にならなきゃいいなって思う。今、ゆとり教育を見直してるけど、それも含めて反省をして、いろんな国の事例をもっと研究したうえで必修化するなりしないなりを決めてほしいと思います。だから大人たちには、 10 年後 20 年後、今教育受けてる子どもたちが大人になった時に将来の日本をどうしていきたいのかっていうことまで考えて、カリキュラムを作っていってほしいと思います。これで「英語いつから勉強したい?」のRTを終わります。