SNSの危険性~犯罪に巻き込まれないために
2015/02/01                  前田 佳菜絵(14)

  いま「LINE」や「Facebook」、「Twitter」などのソーシャル・ネットワーキング・サービス(インターネット上のコミュニティー型のサービス、以下SNS)が多くの人に利用されている。しかし、2013年の「三鷹ストーカー殺人事件」のようにSNSがきっかけで多くの事件が発生し、またそれらに中高生が多く巻き込まれているのも事実だ。安全に楽しくSNSを利用するには、どうしたらいいのだろうか。

 実際にSNSを利用している中高生にアンケートをとってみた。まず、使っているSNSの種類を聞くと、「LINE」や「Facebook」、「Twitter」や「Skype」、さらには「instagram」や「vine」など多くの種類のSNSの名前が挙がった。それらの多くが連絡手段として、また情報の共有のために使われていることもアンケートから分かった。SNSで事件に巻き込まれないために行っている対策を聞くと、アンケートをとった中高生は全員が何らかの対策をとっていて、その内容は、フィルタリングや公開範囲の設定、個人情報や顔写真は載せない、大勢の人が閲覧できるところにはコメントを残さないなどだった。また、自身がSNS関連の事件に巻き込まれた人はいなかったが、友人が「Twitter」のアカウントのなりすましの被害にあったという人もいた。

警視庁生活安全部管理官少年育成課課長代理(少年育成担当)の古郷氏郎警視と警視庁生活安全部少年育成課学校地域係長の山崎広行警部
左から山崎警部、古郷警視、山本警部

 アンケートの結果を踏まえ、警視庁生活安全部少年育成課へ取材を行った。警視庁生活安全部管理官少年育成課学校地域係長の山崎広行警部によると、特にコミュニティーサイトに起因して犯罪被害にあった児童は、平成21年以降は全国で毎年1000人を超えていて、今年(2014年)の上半期だけでも698人だという。その中のほとんどは中高生の年齢の児童だ。今では、携帯電話かスマートフォンを所持している中高生のうち中学生の約50%、高校生の約80%がスマートフォンを所持しているという。

中高生が巻き込まれたSNS関連事件の例として警視庁生活安全部管理官少年育成課長代理の古郷氏郎警視は「スマートフォンなどで見知らぬ人と出会いメールなどで個人情報を流出し、性的被害にあったり恐喝される犯罪がある。特に中学生、高校生になるといろいろな人とメールをするから、その点を気をつけないといけない」と指摘した。 古郷警視は「フィルタリングの説明は、必ず携帯電話の購入の際にするように通信会社に働きかけている。スマートフォンでは携帯電話回線の他に無線LAN回線のフィルタリングも必要だから、その説明もするよう求めている」と語る。ただし、携帯電話に慣れると他の機能を使いたくなってフィルタリングを外してしまい、そこで犯罪被害に遭うケースがあるため注意しないといけないようだ。その証拠にフィルタリングの利用率は中学生で約61%、高校生で約49%だという。

また、「家庭や学校で、携帯電話を購入した際に話し合って、携帯電話の使い方に関するルールを作ってほしい。自分の身を守るためにも大切だ」とも古郷警視は語る。SNSの危険性を尋ねると、「相手が見えないから、相手がいい人ばかりとは限らない。いい人なのか悪い人なのかの判断ができない。相手は自分の悪いところを言わないから、どうしても相手のことを信用してしまう。さらに、インターネット上に載せた写真からもGPSで位置情報が分かってしまうから、そこにも注意しなければならない」と古郷警視は答えた。

 警視庁が行っているSNS関連の犯罪被害対策については、学校に出向いて(要確認)「サイバー犯罪対策教室」を開き、事件の事例を紹介し啓発活動をするほか、その際サイバー犯罪対策課が作成するDVDでトラブル事例を紹介し注意を促す活動をしているそうだ。このDVDは警視庁のホームページで私たちも見ることができる。SNS関連の犯罪被害対策についてについて古郷警視は「各学校において概ね年に1回は教室をやっている。。薬物乱用以外の内容で警視庁が行った教室は、2013年は東京都内だけでも小学校で1815回、中学校で379回、高校で115回行った。主に学校側からの要請に基づいて行っており、DVDを使ったサイバー犯罪対策教室など、話題性のあるものが一番反響が大きい」と語った。他には、「サイバー補導」を古郷氏は挙げる。「サイバー補導」とは、インターネット上で援助交際等の書き込みをしている子どもとメールでやり取りをした後に、実際に接触して注意することだという。

 警視庁や通信会社は、新しいタイプの犯罪、巧妙な手口の犯罪についても研究、対策を行っている。古郷警視は最後に、「相談することの重要さ」を訴えた。「インターネット上の見知らぬ人から、一緒に会ったり写真を送ったりするよう誘われたら、はっきり断りブロックするように。もし被害に遭いそうになっても誰にも言わなかったら被害に遭ってしまう。すぐに家族や警視庁に相談するように」と語った。警視庁の「ヤング・テレホンコーナー」(03-3580-4970)ならば、名前や住所を言わなくても相談に乗ってくれるという。 「三鷹ストーカー殺人事件」も、フィルタリングなどの対策をしていたら、SNSの危険性をもっと理解していたら、また家族や警視庁に早い段階で相談していたら起こらなかった悲劇かもしれない。もっとSNSの危険性の理解が社会に広まり、もう悲劇が繰り返されないことを願ってやまない。

By CEJ

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