2014年7月14日~27日まで、南カリフォルニアのアリソ・ビエホで開催された第9回国際青少年メディア・サミットに、CE記者2名が参加した。ナイジェリア、イスラエル、パレスチナ、イラン、アフガニスタン、香港(中国)、スエーデンなど22カ国約50名の若者が参加し、世界共通の課題である貧困、差別、暴力、女性の権利、など7つのグループに分かれて1分間のビデオ作成を制作し、世界に向けて「宣言文」をビデオを通して発信した。
月: 2014年7月
前田 佳菜絵(13)
最近の女子中高生は、大型文房具店で多くの筆記具を買い、筆箱の中に入れている。決して安くはない筆記具をなぜ多く集め、持ち歩くのだろうか。また、女子中高生に注目を集める筆記具の魅力とは何だろうか。
実際に女子中高生にアンケートをとってみた。まず、今筆箱に入っている筆記具の数を聞くと、ほとんどの人が毎日10本以上の筆記具を持ち歩いていた。だが、その中で毎日使う数はほとんどの人が10本を下回った。分が持ち歩いている筆記具は多いと思うか尋ねると、12本持っていて多いと思うという意見もあったが、40本以上持ち歩いていても多いと感じていない意見もあった。理由は全部使うかもしれないから、きれいなデザインのものや可愛いキャラクターの筆記具を持っていたいから、という意見が多かった。また、10本以上の筆記具を毎日必ず使うという意見も少なくなかった。
アンケート結果を元に、株式会社パイロットコーポレーションへ取材に行った。営業企画部筆記具企画グループの二宮清夏氏は、「女子中高生が持つ筆記具は昔から多かった例えば今販売している『ハイテックC コレト』(以下コレト)の前身『ハイテックC』は20年以上前から発売しているが、その頃から若い女の子たちの間で流行していたと思う」と話す。そして、「昔は単色のペンが多かったが、今はコレトのような『カスタマイズペン』や『多機能ペン』が増え、筆記具を選ぶ選択肢が増え、女子中高生の筆箱の中身が変化、多様化したのではないか」とも話した。カスタマイズペンは、本体のデザインや、中に入れるインクの色、数などを自分で決めることができる。
女子中高生の多くが持っている、本体にいろいろな柄がついたペンについては、二宮氏によると、昔から販売はしていたが、数ヶ月に一回というように頻繁に発売するようになったのはごく最近だと言う。ほとんどが女子中高生向けで、二宮氏は「ペンも一つの雑貨。手にとって可愛いほうが楽しいだろうし買ってもらえるだろう」と話す。
パイロットは過去2回、女子中学生向け雑誌ニコラとコラボレーションしたコレトを発売したことで有名だが、それについても女子中高生がターゲットだと言う。二宮氏は「どのようにしたらもっと女子中高生に買ってもらえるか、どうやったらもっと使ってもらえるかと考えた」と言う。具体的な開発策を聞くと、最初はニコラを発行している新潮社を訪ねファッションの流行などに合わせたデザインを考えて、実際にニコラのモデルや読者へのアンケートで人気だったデザインを製品化したうだ。反響については、「初めてニコラとコラボしたときは春に製品を発売したので、初めてニコラを読んだ人、新学期に向け新しく筆記具が欲しい人たちに買ってもらえたのではないか。コラボしていないペンは、たまたま店頭で見て買ったという人も多いだろうが、コラボした製品はニコラでの宣伝により製品を知って、本当に気に入ってもらってから買ってもらえたのではないか」と二宮氏は語った。
女子中高生向けのように男子向けの製品は発売しないのかという質問には、「どうしても今は筆記具のユーザーは女子中高生が多い。男子向けの製品について協議はしてはいるが、今のところ予定は無い」と二宮氏は話す。以前男子向けのキャラクターとコラボレーションしたペンが発売されたが、それはキャラクターを作った会社側からのオファーだったそうだ。
これからはどの世代向けに製品を開発、販売していくか計画を聞くと、「パイロットは老若男女向けに製品を発売しているし、これからもそうするつもりだ。例えば、万年筆は年配者向け、色鉛筆は小さいこども向け、カスタマイズペンは女子中高生向け、というように製品によって対象とする世代、性別は変えていく。並行して期間限定、数量限定などやコラボレーションした製品は今後も発売していきたい」と二宮氏は語った。また、「インクなどの機能の追求、技術の革新を進めていきたい。外見が変わっても機能などが変わらなければ、本当の意味では新しい製品にはならない。柄などのデザインも新しくはしていくが、まずは新しい機能の追求が先」とも語る。 女子中高生の間で筆記具が流行する理由は、筆記具メーカーが女子中高生のニーズを追いかけてきたからこそあった。これから女子中高生の間の流行はどのように変化していくか、まだ誰も分からないが、筆記具メーカーがどのようにそのニーズを追いかけていくか目が離せない。
女子中高生の筆記具 ~なぜそんなに多いの?~
三好 恵瑠(13歳)
なぜ、女子中高生の持ち歩いている筆記具は多いのか?
中学1年生の私の筆箱には、26本の筆記具がはいっている。まわりの友だちの持っている筆箱もパンパンだ。柄ものの筆記具も増え、ますます女子中高生の欲しそうな筆記具が店頭に並んでいる。
今、女子中高生たちは筆記具についてどう思っているのだろうか。
その理由を探るために記者仲間やその友だちにアンケートをとった。その結果、平均20本前後筆記具を持ち歩いていることや、自分の筆記具についてどう思っているのかがわかった。これは企業の戦略にのせられてしまっているのだろうか?女子中高生向け雑誌「ニコラ」とコラボしたカスタマイズペンを発売している株式会社パイロットコーポレション(PILOT)に取材した。
アンケート結果から、20本前後の筆記具を持ち歩いている女子中高生は、柄をみて買っていることや、全部使うかもしれないと思っていることがわかっていた。その結果を持って質問をぶつけてみた。
PILOT営業企画部筆記具企画グループの二宮清夏氏は、女子中高生の筆記具が昔より増えているという認識はないという。しかし、昔から多かったという。PILOTでは、約20年前から女子中高生向けに文房具を販売しているが、その中身は変わってきているらしい。
「はじめは、1本ずつ様々な色のペンを持っていた。それが、いまでは、ペン本体を買い、中にいれるインクを自分で選びカスタマイズするのが主流。筆記具の選択肢が増え、筆箱の中身が多様化してきた」と二宮氏は語った。
また、カスタマイズ商品「コレト」については、もっと多く使ってもらうために考えた結果、女子中高生に人気が高い雑誌「ニコラ」とコラボすることにしたという。柄物の筆記具は、女子中高生向けのものが多く、「ニコラ」とコラボすることで、彼女らの生の声を聞き「かわいい」と思ってもらえる物を作ろうとしたという。
雑誌とのコラボの反響は大きかった。
平凡なデザインだと偶然見つけて、たまたま買うことになる場合が大半だ。だが、雑誌とのコラボでは記事に納得して気に入ってから買う場合が多い。売上も伸びたという。
さらに、地方での反響については、東京に比べるとさすがに小さいが、あまり格差はないという。なぜなら、PILOT社は全国に営業マンがいるため、小さい店にまで営業に行き商品を置いてもらっているからだ。このようなこともあり、全国的に女子中高生は筆記具をたくさん手にしているという。
PILOT社のこれからの筆記具について聞いてみた。
まず、機能性にはこれからも力をいれていくという。そうしなければ本当の意味で新しいものが作れないからだ。しかし、並行して雑誌とのコラボや期間、数量限定の商品も作り、色々な年代の人に楽しんでもらえる商品を作っていきたいと考えているそうだ。
今回の取材やアンケートの結果から、女子中高生の筆記具が以前から多いことは分かったが、企業がいち早くそれを察し、対応していることも分かった。そして、女子中高生にかける企業の熱意を見ることができた。時代の流れに敏感な女子中高生の筆記具は、これからどのように変化していくのだろうか。
ストップ!温暖化 知らないフリをしていませんか
2014/07/12 村上 類 (15)
毎日、雨傘を持ち歩かなければ困る夏がここ数年続いている。今までは地球温暖化による影響の一つとして学校やニュースで何気なく聞いていた気候変動がすでに始まっていることにうすうす気づき始めた人は多いのではないだろうか。
2011年に東日本大震災に見舞われた日本では、放射性物質が人体へ与える危険性を心配してすべての原子力発電所稼働をストップし、現在主に化石燃料を使った火力発電に頼っている。一見、原発稼働を停止したことにより目に見える危険性は減ったように思われるものの、その代わりに大量の二酸化炭素を排出しているのが現状だ。
これからの世界を担う若者はどのように地球温暖化に向き合い、行動をとるべきなのか、WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)気候変動・エネルギーグループリーダーの山岸尚之氏に取材した。
これから進んでいく温暖化の影響として山岸氏は気候変動による二種類の影響を挙げた。一つ目は文化的な影響だ。日本では昔から四季を重んじる考え方が根強くあるが、中でも桜は春の入学式や新年度の始まりのシンボルだ。しかし近年、平均気温の上昇によって、桜の開花日が東北、北海道を除いて4月から3月にまで早まっている。つまり卒業式や年度末に開花しているのだ。実害は少ないかもしれないが、このように伝統文化にも気候変動が影響していることを忘れてはいけないと山岸氏は指摘する。
もう一つは自然的な影響である。世の中にもよく知られている北極をはじめとする極域での夏季の海氷面積の減少や、アメリカやオーストラリアで起きている熱波や寒波。世界の熱帯低気圧が年々強くなる傾向にあるほか、今年4月にヒマラヤで起きた今までにない規模の雪崩による大事故も山頂付近の氷河の決壊が原因の一つだと考えられているそうだ。
これらに加え、私たちが体験したことがない新しい気候現象も、近い将来地球温暖化をストップしない限り起きていくことは確実という予想まで出ている。例えば、日本では蚊が運んでくるマラリアなどの感染症が拡大する。淡水、つまり海水ではなくて普通の水不足の打撃を受ける人々が数億人単位で増加、特に中東諸国では干ばつによる水不足で紛争が起きる危険性も指摘されている。
しかし、WWFは二酸化炭素排出を減らさなければと焦って原子力発電所をすべて再稼働させる必要はないと考えている。実際、東日本大震災後の東京都はそれ以前に比べて15%も省エネにより節電されたという数値も出ていて、まだまだある無駄をなくせば、再生可能エネルギーによって未来の日本は電気を賄える可能性が考えられるという。また幸か不幸か、日本は人口が減少傾向にあり、必要とされるエネルギーの量も減っていくので希望すらもつこともできると山岸さんは語った。
では原子力の代わりにどんなエネルギーがあるのか。現在でも比較的使用されている風力や太陽光を始め、最近ではジオサーマルつまり地熱を使ったり、木材や家畜の糞を燃やすバイオマス、海の波の力を利用する海洋エネルギー、海の浅瀬と深海の海洋温度差を利用するものなどのグリーン電力と呼ばれるエネルギーが開発されている。
若者にも地球温暖化をストップさせられる行動は沢山あると山岸氏は言う。両親が選挙の投票に行くときに若者が「環境目標などを政策に入れている候補者を選んでほしい」と伝える方法だ。地球温暖化を軽視している人が当選したら温暖化対策が進まない。
そして日本にはまだ広まっていないが、グリーン電力の供給会社のエネルギーで作られた商品を買うことで再生可能エネルギーを支援することができる。WWFジャパンでも風力発電を使って作ったWIND MADEと呼ばれる認証をとった企業のタオルを販売している。アサヒビールでは2009年からスーパードライの生産の電力に風力とバイオマス発電を利用している。このような商品にはラベルに、グリーンエネルギー(G)を使用しているというマークがついているので消費者にもわかりやすく、日常の中で探してみるのもいいのではないだろうか。
アメリカにはすでに発電、送電、売電と3つの事業に分かれた業者があるが日本でも2016年度から規制緩和で一般家庭でも売電が出来るようになることが今年6月11日に発表された。今まで東京都民は東京電力からしか電気を購入できなかったが、これによって他の電力会社からでも可能になる。火力発電の会社の代わりにグリーンエネルギー発電の会社から購入する人が増えれば、地球温暖化の減速につながるのではないだろうか。
環境問題は決して軽い問題ではないけれど、これからはもっとポジティブに考えていくべきではないだろうか。放っとけば温暖化はどんどん進行していってしまう。身近なことから将来のためにも、温暖化対策をはじめていくことが大切だ。
ベビーシッターの実情
松本 哉人(15)
皆さんは、ベビーシッターについてどのように考えているだろうか。今年3月に起きた子どもの死亡事件はまだ記憶に新しく、危険だと考える人も多いのではないだろうか。ベビーシッターを利用することは本当に危険なのか、安全な利用方法はあるのか、ベビーシッターと事業者をまとめる法人に話を聞いた。
ベビーシッターとは何か。それは平安時代の「乳母」にまでさかのぼる長い歴史を持つ職業だが、意外なことに現代ではベビーシッターという職業に国の定めた定義や規則は存在しない。しかし、一言で言えば「子どもの家庭に出向いてそこで保育をする人」であると公益社団法人全国保育サービス協会(ACSA)の事務局次長、研修課長の長崎真由美さんは言う。
ACSAは現在日本で唯一のベビーシッターに関する公益社団法人で、ACSAの定める入会審査を経た142ヶ所の事業者とその他の会員で構成されている。ACSAでは平成元年から独自にベビーシッターの自主基準や研修制度を作成し、研修会や資格認定試験を行っている。また、全国に42校ある指定校では「在宅保育論」という科目を設けてベビーシッターを養成している。この資格は全国で14.360人が取得しているが、今までACSAの会員から死亡事故の報告はないという。公的なものではないため資格認定の取得が義務付けられてはいないが、厚生労働省がベビーシッターを選ぶ際の基準のひとつとするほど、信頼性は高い。
ベビーシッターは、市民の認識の変化や、働く女性の増加に伴い今では社会に欠かせない職業になっている。ACSAの行ったアンケートでは、利用する理由は「仕事のため」が大半で、保育園の送迎とそのあとの留守を頼む場合が多いという。
しかし、ベビーシッターを利用することに不安を感じる人は多いと思う。長崎さんは「ACSAに加盟する事業者では、まずベビーシッターを各事業者が採用、雇用し、その事業者を選んだ利用者のもとに、利用者が事業者と決めた日時と場所にベビーシッターが訪問する。したがって、ACSAでは先日の事件のような、子どもを自分の家に預かる人をベビーシッターとは呼ばない。正しく見比べて判断することが大事だ」と語る。また、「ACSAへ加盟していない事業者では、事業者ごとに賠償保険やベビーシッターへの教育にも大きな違いがあるため、確認が必要だ」と語る。
現在日本には、個人からACSAに加盟するような事業者まで、多くのベビーシッターが存在するが、費用と質を十分に見極めて自己責任で利用することが求められている。信頼できる事業者ならば経験と技術を併せ持った保育のプロは子育ての大きな支えになってくれるだろう。
ベビーシッターの賢い利用
近藤さくら(16)
ことし、保育中に一人の幼い子どもが亡くなってしまうという事件が起きた。今の日本の在宅保育(ベビーシッター)にはどのような基準や制度があるのか、また実際の現場はどうなっているのか公益社団法人全国保育サービス協会の事務局次長、研修課長の長崎真由美氏にインタビューを行った。
同協会は日本で唯一の公益事業を目的としたベビーシッターの団体である。施設型保育を中心に発展してきた日本において、訪問型保育に関する法律がない中、自主基準を設け、またベビーシッターの専門性を整理し研修を行ってきた。 142の独立した企業がこの協会の会員として加盟している(平成25年6月1日現在)。加盟するには協会の審査を通らなければならない。
ベビーシッターは保育園と違って個々の家の考え方、方針、また子どもの特徴に沿って世話をするが、実際にどのような人が利用し、利用理由は何が多いのか。長崎氏によれば、利用者の中で一番多いのは親がフルタイムで働く家庭である。日中は保育園に預けてベビーシッターが迎え、その後、家での保育を依頼するというパターンが多いという。専業主婦の母親たちが冠婚葬祭、兄弟の学校行事の参加、通院しなければならないケースもそれに次いで多い。また長崎氏は母親自身のリフレッシュのための利用も推奨している。
協会ではベビーシッター制度の安全性を高めるために自主的な研修や実態調査を行って事業に反映させている。これらの努力の結果、事故は一年を通して30~40件で、事故があっても重篤な事故や死亡事故はないそうだ。
女性の社会進出が進む一方で保育の対策が現状に追いつかない中、こうした在宅保育が果たす役割は非常に大きく、期待されている。集団保育とは違い1対1、1対2と密に接するので、ベビーシッターとその家庭との関わりは深いものになる。このため何が一番大事なのか、よく考えて判断するべきだと長崎氏は指摘する。問題はこうした協会の存在を知らず、そこまで手が回らない人もいるという現状だ。そういう人たちにどのような対策をとるべきか、これが今後の課題になってくる。
ベビーシッターが果たす役割
小泉璃奈(16)
近年、「待機児童」という言葉をよく耳にする。待機児童とは保育施設に入れない子どものことをいう。その解決策の一つとしてベビーシッターの活用が挙げられる。他人の子どもを預かるベビーシッターだが、安全対策はどうしているのか公益社団法人全国保育サービス協会事務局次長、研修課長の長崎真由美さんに取材をした。 ベビーシッターをどのような人が利用することが多いのだろうか。長崎さんによると最も多いのは働くママだそうだ。次に多いのは、冠婚葬祭や兄弟の行事などで、子どもを一緒に連れていくことが難しい時に利用するケースだという。 ベビーシッターは現在の日本の法律には詳しいことが定められていない。そのため同協会では、自主基準を設け、その自主基準に賛同できる会社がこの協会の加盟会社になる。全国保育サービス協会は利用者の家に行って子どもを預かることがベビーシッターと定義付けている。保育園では複数の保育士が大人数の子どもを見るが、ベビーシッターでは1人のベビーシッター対1人の子ども、と形態面での違いがある。また保育園ではその保育園の方針に沿って子どもを預かる。ベビーシッターでは各家庭の方針に沿って子どもを預かるという点で大きく異なる。利用者の家で一対一の環境で子どもを預かるベビーシッターは究極の言い方をすれば利用者の家の鍵と子どもの命を預かる仕事だと長崎さんは言う。そうなると子どもを預ける親は不安を感じてもおかしくない。安心して子どもを預けるための安全対策はどうしているのか。 長崎さんによると、認定試験に合格するか指定校を卒業することで認定ベビーシッターになれるそうだ。また試験を受けるまでに新任研修会、現任Ⅰ研修会を修了する必要がある。研修の中で安全を確保するために子どもの発達と成長に応じた「年齢別安全チェックリスト」というものがある。計60個のチェックポイントがあり、事故を防ぐために生かされている。また、もしもの時に備えて応急処置や心肺蘇生法についても学ぶ。これら以外にも子どもの健康管理、年齢に応じた関わり方、ほめ方や叱り方などたくさんの学ぶべきことがある。そしてベビーシッターになる前の研修だけでなく、なってからも毎年研修がある。また全国保育サービス協会では毎年実態調査も行っている。こうした努力もあって、協会に報告される事故発生数は一カ月で3~4件程度、これまでに重傷を負う事故はほとんどなく、死亡事故は0件だそうだ。「事故が起きたらどうする」はもちろん大切だが「事故を起こさないためにどうすべきか」が何よりも大切だと長崎さんは言う。「20年前頃は欧米の高校生のアルバイトのイメージがあったベビーシッターが、今では働く女性が増加したため、欠かせないものとなっている。また、専業主婦にとっても育児で疲れたり、不安になる前に、例えば自分が美容院に行く数時間だけ子どもを預けるなどリフレッシュを兼ねて上手に利用してほしい」と長崎さんは話す。子育ての手助けだけでなく、子どもを持つ母親の精神面の支えにもなるベビーシッター。上手に利用して心身に余裕がもてれば、母親と子どもの関係も、よりよいものになるのではないだろうか。