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CE記者がNHK 新・BSディベートに出演 ~私の感想

CE記者がNHK 新・BSディベートに出演 ~私の感想 2007/08/26

 CE記者4名が8月26日新・BSディベート ~ いじめとどう闘うか~ (NHK衛星第一:22時10分~24時00分)に出演した。

記者の感想

藤原  沙来 (17)
 今回は2回目ということもあり緊張することもなく、自分の意見を簡潔に言うことができたので、前回よりは良い体験をすることが出来たかなと思います。
 いじめについての詳しいデータはなかなか得られないので、先生方4人の討論は非常に勉強になりました。
 また、前回とは違い、当事者の意見を直接聞くことが出来て、私自身にとっても参加した皆にとっても有意義な時間にすることが出来たのではないかと思います。
 前回に引き続き参加させて頂き、ありがとうございました。川口 洋平(17)
 簡潔に自分の考えをまとめるということが、これほど大変だと思いませんでした。書くのと、話すのは意見を言うということに関しては同じなのに、伝え方が違うのだなと改めて実感しました。こういうことが分かったということだけでも、とてもいい経験になったと思います。
  これからは、どんな状況でも素早く自分の意見をまとめ、簡潔に話すという練習をしていこうと思います。大久保 里香(15)
 前もって質問に対する答えを準備していたのにもかかわらず、いざとなると緊張してうまく自分の意見をまとめて発言することができませんでした。誰かの前で意見を発言することにもっと慣れなくてはならないと感じました。
  また、番組の出演を通して自分の意見を簡潔にわかりやすく表現することの難しさを実感しました。これからもCEの活動を通して自分の意見がもっとうまく言えるようにがんばりたいと思います。

原 衣織(15)
 私は CE の記者になって6年目になりますが、 TV で自分の意見を言う経験は今回の『新 BS ディベート』が初めてでした。収録中はとにかく緊張の連続で、意見を聞かれた時も、緊張のあまりその前に考えていたことがすっぽり頭から抜けてしまい、なんとか要点だけを簡単に言うのが精一杯でした。
  他にも色々と反省点はありますが、このような貴重な経験をさせていただき、とても嬉しく思っています。有難うございました。

参考:新BSディベート wikipedia

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政治 座談会

成人年齢引き下げ

参加者:
藤原沙来(17)、原衣織(15)、曽木颯太朗(15)、大久保里香(15) 川口洋平(17 司会)
2007/08/16

 国民投票法が2007年衆議院参議院で可決され、5月18日に公布された。この法律によると18才以上が投票権者となる。 いずれ国政選挙の投票も18才以上になるかもしれない、ということを前提に10代の若者が話し合った。

洋平:今日は「参政権もらったら自分たちは投票する?」をベースにしてやっていきたいと思います。今回、国民投票法が成立して、憲法を改正するにあたって、18歳以上が参政権を与えられることになったので、自分たちも投票できることになりました。憲法というものをきちんと理解して、投票できると思いますか?

沙来:あと数ヶ月で18歳なので、すぐに選挙権を得ることができるのですけど、今のところ、私自身は親が選挙に行くのを傍観者として客観的にしか見ていないので実際に選挙権を得ることができても、投票する責任とかはまだわいてないのが現状だなと思います。

洋平:では3年後に憲法改正の国民投票が行われました、自分はもう18歳すぎています。投票へ行きますか?

里香:私は行きます。自分の意見が社会に反映されたらうれしいと思うからです。

洋平:18歳になったから自分なりに憲法解釈して、投票できるよ、ということ?

里香:たぶん。そういうふうに決まってしまったらやるしかないと思うので。

洋平:自分は行くかもしれないけど、まわりの友だちとかは行くと思う?

里香:興味ない子もいると思うし、それに急に2年も引き下げられたら心の準備もまだできてないと思うので、行かない子もいると思います。

颯太朗:自分では行くつもりですけど、インターネットや掲示板などであおられて、それに影響されて行っちゃう友だちがいっぱいいるような気がする。

洋平:2チャンネルなどで憲法九条のもとにまとまるのか。なるほどね。憲法をきちんと理解して、投票する人はあんまりいないということかな。

衣織:私もたぶん行きます。ただ今の中高の公民の授業では、憲法をちょっと離れたこととして扱っていると思う ので、まわりに憲法という問題を身近なものと感じている人は少ないと思います。

洋平:憲法を身近に感じさせるためには何かいい方法ありますか? 学校の教育にゆだねるしかないのかな。

沙来:高校生の間に18歳になる子は高校生の段階で投票に行くことができてしまうから、学校での教育が必要だと思う。うちの学校の場合は総合授業の中で、投票ボックスみたいのを先生が借りてきてくれて、実際に投票するというデモンストレーションをやって、もうちょっと身近に感じてもらうみたいなことをしていました。他の学校でも黒板に書いて勉強するのではなくて、もっと実体験できるような機会を与えてあげたら、もっと身近に感じられると思います。

洋平:ちなみに国民投票法を受けて、いろいろな学校でもそういうふうな授業が実際に行われているらしいです。

18歳と20歳の違いは?

洋平:大学へ行かないで高校卒で就職している人はたくさんいます。その人たちはちゃんと自分で稼いで、税金 も払っているのに、成人とみなされる20歳まで子供扱いされている。参政権ももらえないし、いろいろと制限されていますが、それについてはどう思いますか?

衣織:なにかの資料に18歳でもう自立している人が3割弱ぐらいいるっていうのがあったのですけど、今の日本は社会がどんどん高度化しているのに、自立する年齢はどんどん遅くなっていっている。その中で下げるっていうのは逆な気がする。だいたいほとんどの人は大学や大学院を卒業してからじゃないと自立しないからそうすると22歳とかもっと上になっちゃうわけで、そうなると18歳で自立する人は少なくなる。

里香:18歳で自立して働いている人は少数派で、おそらく多くの人が大学に行っていて、まだ自分で税金も払ってないと思う。そんななかで18歳を基準にすると、大半の人が社会のことをあんまり考えないで選挙に出ることになるので意味がないと思います。

颯太朗:18歳で働いて、自立している人に限って参政権を与えるなら賛成です。

洋平:じゃ参政権をもらえる人っていうのは働いているかどうかを基準とする?

颯太朗:働いている人、または働いた経験のある人。

沙来:18歳で働いている人がいるから引き下げるというのは反対で、20歳という社会人になるためのボーダーが あるのだから、それまでは社会のモラルを勉強しなきゃいけない年齢と設定すればいい。一定の常識も働いている間に身につけることができると思うし。

洋平:さきほど大学や大学院を出るまでは自立できないという話をしていたのですけど、逆に18歳で「大人なんだから」とつきはなしたほうが自立早まるのではないかとも思うのですが。

衣織:つきはなされたところで、実際就職はできないですよね。

沙来:私は18歳で自立はいいのですが、ただ法としては20歳のほうが気持ち的にいいかな、と。働くのであれば社会でちゃんと自分でしっかりしなきゃいけないっていう、自分に対して厳しくできる期間が2年間あるというのがいいかなと思います。

洋平:話は変わりますが、20歳が成人ということで、飲酒や喫煙も20歳からとなっていますが、実際大学生は 18歳でも新歓コンパなどで飲みますね。だから飲酒に関しては、年齢制限があってもなくても変わらないのではないか、みたいになっていますけれど、それについて意見はありますか。

颯太朗:選挙権を引き下げるのはあえて言えばどちらでもいいけれど、喫煙や飲酒の年齢まで引き下げると、今は法律があるから隠れてやっているようなのに、18歳になるとおおっぴらにやるようになって身体に悪影響を及ぼすような気がします。

里香:18歳から飲酒やタバコがいいとなると、みんな堂々と飲んだり吸ったりするようになってどんどん社会現象として、飲酒喫煙の年齢が引き下がると思うので、20歳は変えない方がいいと思います。

沙来:私も20歳から下げない方がいいと思っています。逆に低年齢化しないようにもっと働きかけをするべきだと 身体に悪いのは当たり前なのになんで18歳に下げて「しょうがないからいいのですよ」という流れになっているのかが納得ができないので。逆に20歳以上でもいいぐらいにして、タバコとかお酒にはもっと税を課すとか。日本の社会が下げるっていう方向性じゃなくて、なるべく酒とか喫煙をしないという方向に進むべきだなと思います。

衣織:お酒を飲む危険性って?

沙来:飲酒運転もそうだし、身体にもちろん悪いし、脳も小さくなるから悪影響。

洋平:でも外国はけっこう16歳からOKというところもあって。昔は食べ物にあまり栄養価がなかったので成長が遅かったけれど、今は18歳でも20歳でも成長的にはあまり変わらないらしい、と。それでも20歳じゃなきゃダメ?

颯太朗:喫煙はよくない。

洋平:わかりました。では20歳と18歳の違いってなんだと思います?

里香:基本的に違いはあんまりないと思うのです。高校卒業はまだ子供という意識があるじゃないですか。その中で急に社会の権利を与えられてもどうしたらいいかわからないと思うので、2年間勉強期間をおいて、20歳になって成人と認められたほうがいい影響が出てくると思いますし、みんな選挙にも興味もってくると思います。

沙来:正確な違いはちょっとまだわからないけれど、20歳という響きも、社会に出た時に大人になったなって思うし。そんなに大きな違いはないとしても感覚的な違いはあるのかなと思います。

洋平:日本では20歳が一つの基準とされてきたから、そういうふうな意識が根付いているとも思えるのだけど。

成人年齢を下げる理由

洋平:僕自身は、18歳で投票権、18歳を成人とするべきだと思っています。それは高校卒業したら大人、としないと、いつまでたっても親から自立もできないだろうし、それがニートにつながることも考えられるわけだし。    あと、高校を卒業してすぐに社会人になる人は、もう大学とかで学んだりしないわけじゃないですか。だけど政治を理解して20歳になったら投票に行く。ということは18歳の時点ですべて政治も社会のしくみも分かっているという状態じゃなきゃおかしいと思うのですね。それについてなにか意見はありますか?

衣織:18歳で自立している人はいるとは思いますが、その人たちが本当に選挙権を望んでいるか疑問。

颯太朗:18歳で自立している人がいるので参政権も引き下げた方がいいということですが、少数ながら中卒で16歳で社会に出る人もいる。16歳で社会に出ている人と18歳で社会に出ている人をどうして区別をつけなきゃならないのかという問題があると思う。

洋平:中学卒業する時点では一通り政治のしくみだとか分かっていなくてもいいし。

颯太朗:だいたいあんまり中学ではやらない。

里香:学校で教えられても黒板とかを前にして教えられるだけなので、全然親近感もわかない。だから18歳か20歳の期間が政治とかを身体で覚えていく期間だと思う。

洋平:わかりました。さっき話に出たのですが、そもそもなぜ年齢を引き下げたがっているのだと思いますか? 

沙来:少年法が一番関係していると思っていて。犯罪が低年齢化しているという動きがあるなかで、少年法だと 18歳から20歳未満の大人も少年として扱わなければならないのが中途半端なのかな? それを今12歳ぐらいまで引き下げようとする動きとかを見ていると、全部を一気に低年齢化させて、それプラス選挙に行ける子たちをもっと増やそうとしているようで。

里香:18歳からにすると、初めて選挙権が与えられたらやっぱりちょっと興味本位で投票してみたくなるじゃないですか。それでよくわからないから、テレビや新聞などに出ている政党の言うことを信じがちになる。そうすると18歳の投票率が高くて賛成とかも得やすくなると思うので、政党が国を支配しやすくするために18歳に引き下げるのではないかなと思います。

洋平:政治的な目論見がある。なるほど。

颯太朗:新聞によると18歳に引き下げる案を出したのは政府じゃなくて野党の方で、低年齢層の方が野党の支持率が高いというので始め政府はそれに抵抗していたっていうふうに読んだことがあります。

低年齢化は防ぐべき?

洋平:参政権については「18歳に引き下げるのはあんまり良くない、判断できないのではないか?」という話がありましたが、そもそもなんでみんなは成人年齢をさげるのが嫌なの?

衣織:この引き下げには、少年法の適用年齢引き下げが大きく関わってくると思うんです。少年犯罪が凶悪化しているからというのが理由のようですけれど、それは統計的には不正確と言われているし、今の大人の子供に対する恐怖感が厳罰化として現れているだけだと思うので、18歳とかもっと下の年齢からそういう罰を与えるのは反対です。

沙来:逆に年齢を下げるんじゃなくて、低年齢化を防ぐ動きをするべきだと思っていて、少年法に関してもそうす べきだなと思います。

颯太朗:まわりを見ていて、若者が何事に関しても無責任すぎるところがあると思う。大人になっちゃったら、「大人だから何をやってもいいんだ」と、親のいうことをまったく聞かなくなっちゃって、社会全体が無責任になりそうで。そういう点から18歳、もっと低年齢化することには反対です。

里香:20歳でも無責任な人はいて、18歳に引き下げたところで、権利だけもらっても義務を果たさない人も出てくると思うので、2年間で義務を学ばせてから権利を与えるべきだと思います。

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座談会

赤ちゃんポストあったらどうする?

 熊本の慈恵病院が捨て子を救済するために設置した「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)。設置をめぐり賛否両論議論されているなか、2007年5月10日から運用が始まった。
  このような施設が全国的に広まったら、簡単に自分の子どもを捨ててしまうのだろうか?


藤原沙来(17)、畔田涼(16)、曽木颯太朗(15)、佐藤美里菜(15) 川口洋平(17 司会)
2007/08/13

洋平:「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)が熊本の慈恵病院に設置されました。このことについてどう思いますか。

沙来:「赤ちゃんポスト」ができたことは賛成です。慈恵病院では後で連絡をとれるようなポストカードが置いてあり、フォローができる状態になっているようなので、きちんとしているのではないかと思います。基本的には自分の子どもは自分で育てなければいけないのだから、親の責任という考え方を植えつけるようなことは必要だと思います。

涼 :私は「赤ちゃんポスト」には基本的に反対です。生んでから「やっぱり育てられない」という人を対象にしているのだったら、それは単に育児放棄を助けている。できるだけ自分で育てられるように、例えば慈恵病院がしている無料電話相談などをする施設をもっと増やした方がいいと思います。

颯太朗:僕は赤ちゃんが親の育児放棄で死んでいってしまうよりは、捨てられても生きていけるほうが幸せなんじゃないかと思います。

美里菜:虐待されて生きていくよりは、「赤ちゃんポスト」に捨てられるほうが幸せなのかもしれないけれど、生きていくために預けられた子どもの精神面を考えると、私は反対です。それに「赤ちゃんポスト」があることによって、今の若者の多くに、簡単に育児から逃げられるという甘えが生まれるのではないかとも思うし。

■「ポスト」という呼び名

洋平:「赤ちゃんポスト」があるから育児放棄をしようと思うのか、なければ「しょうがないや」と頑張っていくべきなのか?

颯太朗:「赤ちゃんポスト」ができて、簡単に育児放棄をしてしまう親だったら、「赤ちゃんポスト」がなければ頑張る親だとは思わないけど。

美里菜:「赤ちゃんポスト」に預けるというと、ほんとに「ポスト」に入れるだけって感じですごく軽い気がして。

洋平:「ポスト」っていう名前がいけないのかな?

美里菜:それもあると思います。

洋平:もとは「こうのとりのゆりかご」っていう名前なのに、メディアが勝手に「赤ちゃんポスト」って報道しているのですよね。

美里菜:「ポスト」といわれると、いらない物を投函するような感じがするので、「赤ちゃんポスト」自体は悪いとは思わないけれど、報道の仕方に問題があると思います。

洋平:もしかしたらこの「赤ちゃんポスト」が今後全国に広がるかもしれない。

颯太朗:今は熊本にあるので、東京からそこまで行くってことは「気軽」ではないと思いますが、東京にあったら結構気軽に行っちゃうような気がするのですけど。

美里菜:東京から遠いから簡単じゃないって言っていたのですけど、メディアの報道を見ていると、簡単だなと思います。

颯太朗:そうかもしれない。だから「赤ちゃんポスト」は最終手段として使ってほしい。

涼 :緊急避難の措置なのだよ、というのをみんなが理解すれば「赤ちゃんポスト」はいいのかなと思うんですけど、この趣旨を理解している人が少なすぎるから、今のままだったら全国に広まるのは怖いと思う。

沙来:まだ熊本にしかないし、実験段階で実際に 3 ~ 4 人しか入れられていないし、現状を考えるとまだ親の責任を問う時間というのはこれからでも間に合うと思うし、新生児を入れて匿名性を生かすという意味では「赤ちゃんポスト」がある価値はあると思います。

涼 :匿名性って?

沙来:親の名前もバックグラウンドも全て伏せて、赤ちゃんが新生児として扱われること。   孤児院とかの施設に入ると親の戸籍とかを調べようと思えば調べられるし。後々そっちの方がつらいのかなと私は思います。

■預けられたら実の親を探しにいくか?
洋平:今度は子どもの観点から見て、もし自分が赤ちゃんだったら、どれが一番幸せだと思いますか。

沙来:私は虐待というのに耐えらないので、里親に出してもらってきちんとした教育が受けられるように導いてくれる環境にあればいいかなって思います。

涼 :虐待されているよりは、できるだけいいお家に預けられた方がいいと思うんです。生まれて数週間の時に預けられた方が里親の愛情も違うと思うので、できるだけ早く預けてもらって、でも戸籍は元の親がわかるようにしておいたほうがいいです。

颯太朗:虐待されるよりは里親に出してもらった方が幸福だと思うんです。

沙来:自分の中で親というものが存在していて、里親に預けられるのはすごくつらいと思う。「赤ちゃんポスト」に預けるのはたしか生まれて二週間以内と決まっているので、生まれてすぐちゃんとした環境の中で育てられる方が、その子にとっては恵まれた環境になると思います。

洋平:実際預けられたら、将来実親を捜しにいくとおもいますか。

美里菜:施設に預けられたら私は絶対親を捜しにいきます。

颯太朗:僕は将来自分を捨てたような親は捜さないと思います。

洋平:親は子どもが厄介で捨てて、幸せな家庭を築いているかもしれない。そういうところにいきなり「あなたの子です」とやってきたら、親にとって迷惑じゃない?

美里菜:それもあると思うけど、子どもの立場でいえば、そんなことより他の思いの方が先にたつし。迷惑といったって、親には少なからず責任はあるわけだから、捜しにいってはいけないという意見には私は反対です。

沙来:将来、親を捜そうと思うときに、別に親に会って何かしてもらおうという気はないと思います。親にしても「今さら会ってどうするの?」という感じだと思うし。親子関係が一度切れたのだから、それをお互いが認識して会ったところで何も進展しないと思います。養子として育てられたことを認識することは大事かもしれないけれど、親を捜すことは別に重要視しなくてもいいと思います。

美里菜:もし私が里親にちゃんと育てられたのであればきっと里親にすごく感謝するし、もとの親に戻りたいとも思わないけれど、やっぱりどこかで本当のことを知っておきたいというのがある。知りたい人がいれば知ることができるようにしたほうがいいんじゃないかなと思います。

洋平:今海外に養子としてだされる赤ちゃんの親たちは厄介だからと自分の名前を知らせないことが多いらしいんですけど、親の名前とかは知らせるべきだと思いますか。

美里菜:赤ちゃんのときに預けられて何も知らないまま育っていたなら、知らないままのほうが幸せかもしれないけれど、もし気づいていたら、本当のことを教えてあげた方がいいと私は思います。

洋平:「赤ちゃんポスト」に捨てるにしても親がちゃんと身元を明かして捨てる制度を作らないといけないとか。

美里菜:その方がいいと思います。

涼 :親権放棄の手続きとかがされていないと里親にスムーズに行けないのだったら、「赤ちゃんポスト」でも親が名乗り出て、ちゃんと里親にスムーズに行けるまで見守るという親の責任を果たすようにする。

■「赤ちゃんポスト」を利用する?

洋平:もしみなさんが妊娠して赤ちゃんをどうにかしなければならない立場になったときに、どうしますか。「赤ちゃんポスト」を利用しますか。

美里菜:わからないけれど、ほんとうに大変だったらたぶん「赤ちゃんポスト」に入れてしまうと思います。身近な問題ではないのでよくわからないのだけど・・・・・・。「赤ちゃんポスト」がなかったら、後で親がわかるような施設に入れて、その結果、あとで自分に何か責任がかえってきてもしかたがないと思う。

沙来:「赤ちゃんポスト」に賛成ですけど、自分が使うかといったら、絶対使わない。私は親の責任を絶対とるべきだと考えているので、児童相談所とかに行って里親に出すなりすると思います。そして親として自分の子どもがどこにいるのかは把握しておきたいし、子どもも自分の親がどこにいるのかをわかるような環境にしておきたいです。

涼 :もし私が妊娠したら、たぶん中絶しちゃうと思うんです。たとえ「赤ちゃんポスト」に入れようと、孤児院や里親に預けようと、生んだという事実が、自分の中でずっとつきまとう感じがするので。もし生まなければならないのだったら、ちゃんと里親にスムーズに行けるようにしてあげるし、「赤ちゃんポスト」を使うにしても親が最後まで責任を持つべきだと思う。

美里菜:特別な事情があったら私だったら涼ちゃんや沙来ちゃんのようにきちんとした考えをもてないと思います。それだったら本当に逃げるというか「赤ちゃんポスト」に頼ってしまうと思う。もし「赤ちゃんポスト」がなかったら、それはないだろうけれど。

洋平:やっぱり「赤ちゃんポスト」があると思うから、簡単に逃げるんだ。

美里菜:選択肢として簡単な方が。「赤ちゃんポスト」はただ赤ちゃんをポストに連れていくだけじゃないですか。そういうものが選択肢の中にあることはすごい反対ですけど、もし自分がそういう立場になったら使ってしまうかもしれない。

洋平:他の人もみなそういうふうに思っているのかな?

美里菜:人それぞれだと思うけれど、レイプされて生まれた赤ちゃんだったら「赤ちゃんポスト」に持っていくだろうなと思います。

沙来:私はたとえレイプされて生まれても、自分の体の中に存在している命、まだエコーなんかで見えなくても、殺されちゃうのは絶対に許されないことなので、中絶はしないし、どんなに嫌いな人の子どもでも育てたいと思います。

涼: 私だったら、どんな子でも自分に責任がもてないのだったら、生むべきじゃないと思う。今もし妊娠したら、責任をもって育てる自信がないから、生まないと思います。

洋平:それじゃあ、これまでの討論を通じて改めて聞きたいのですが、「赤ちゃんポスト」はあったほうがいいと思いますか?

涼: 私はどんな場合でも「赤ちゃんポスト」というのは基本的に反対です。「赤ちゃんポスト」イコール「簡単に赤ちゃん捨てられる」という認識が強すぎて。慈恵病院の理事長がいったみたいに「これは緊急措置なんだ」と、それで「母親が名乗りでてくれた方がいいんだよ」という趣旨が一般に伝わっていないんだったら、やっぱり「赤ちゃんポスト」を設置するべきでなかったんじゃないかと思います。

沙希:実際にそれを利用している人がいて、その人たちは私たちが想像している以上になんらかの事情があるのだから最終的な手段として使うのなら「赤ちゃんポスト」があることは賛成です。それに「赤ちゃんポスト」に気軽に捨てられるというふうに考えてはいないと思う。ただ、これ以上日本国内に増やすことは反対で、とりあえず、今は現状維持で、何らかの事情のある親に対しては「逃げ道」として必要なのじゃないかと思います。

美里菜:最初は「赤ちゃんポスト」なんてない方がいいと思っていたけれど、みんなの意見を聞いていて、私の知らない想像を絶する事情があったりしたときは、あった方がいいかもしれないと考えるようになりました。だけど設置した趣旨が一般にどれだけ伝わっているかで、「赤ちゃんポスト」の意味が大分変わってくるんじゃないかと思います。

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