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座談会

小学生の環境教育
出席者:宮澤結(15)、大久保里香(17)、寺浦優(14)、司会:三崎友衣奈(17)
2009/06/20

人類は地球上の生き物の仲間のひとつにすぎない。それを自覚すべき時代となって久しいが、環境保護の大切さを小学校の段階でどのように教えるべきか、また家庭や企業にはどんな役割があるか、4人のCE記者が意見を交換した。

友衣奈:小学校で環境問題はどのように教わりましたか?

里香 :社会科などで、環境について触れることはありましたが授業に「環境」というタイトルはついていませんでした。

優  :社会科でリサイクルセンターなどに行きました。一応は環境教育をやっていたことが後から分かりました。

結  :総合学習の時間にリサイクルセンターに行ったり、田植えもしました。でも小学校の頃は環境教育を受けていたとい
    う実感はなかったです。

■環境という授業の設置を

友衣奈:皆に共通するのは「習った」実感よりも、「そういえば環境についてだった」という実感ですね。先生のほうも後か
    らでいいから分かってほしいという気持ちがあったと思うんだけども、今のままで充分だと思う?それとも自然と触
    れ合う授業などを増やした方がいいですか。    

里香 :一ヶ月に一回でいいから環境授業の枠を作る方が効果的だと思います。小学生は他の科目のなかに含めると環境教育
    を受けている実感は絶対わかない。

友衣奈:授業として環境の認識をしっかり持った方がいいということですね。他の皆さんの意見は?

結  :賛成です。私の場合は総合学習の時間に、環境だけでなく地域のことや校外学習もあったので、環境の授業を別に設
    けることで小学生の意識が変わると思います。

優  :小学生なので誰かに言ってもらって気づくことが多いと思うんです。実際私もそうでした。自分たちの生活に関わる
    環境問題だということをきちんとその部分で言わないと気がつかない・・・

■きっかけを与える教育

友衣奈:三人とも同じ意見でしたね。でも環境問題は、温暖化も含めて今までの地球自体の流れ(自然現象)だという人もい
    るでしょう?それを勝手に「温度が上がるのはいけないんだ」と小学校の頃に植え付けてしまうとそれは頭から離れ
    にくくなるし、反対意見を言われても「だって学校で習ったもん」となってしまわないですか?

里香 :人の行動が原因で悪くなったのではない環境問題もありますが、絶対に人間の行動が関連している問題があると思い
    ます。例えばゴミ問題や、クーラーの利用で有毒なガスが出るとか、それは人間の行動が原因であって、改善してい
    かなければならない。学校ではそういった絶対的なものを教えて、その後はきっかけを与えて学習を進めていけば子
    供たちが自分たちで環境についてもっと考えるようになるのではないかと思います。

優  :気づいてもらう、ということが一番大事だと思う。特に小学生の場合は先生が言うことは正しいと思い込んでしまう
    から、先生がきっかけを与えてあげることで、そこから興味を持つ子はどんどん調べていくと思う。環境に関しては
    分からないことがいっぱいあるから、きっかけを与えてあげるのが一番なんだと思います。

結  :例えばリサイクルセンターやゴミ処理場に行っても、私が小学校の時は行って感想を書かせて終わりだったんです。     

友衣奈:私が取材した名古屋大学の先生は「日本でリサイクルしても意味がない」という意見を言われるのね。「そんな微量
    を回収しても、回収費や人件費が無駄だ」って。そういう反対意見を小学生に言っても判断できないでしょう?自分
    が小学生だった頃を思いだせば分かるけれど、賛成と反対意見を比べて「じゃ自分で考えてね」って言える状況では
    ないですよね。自然と触れあう感覚を大事にするというだけではだめなのかな?例えばフィンランドは自然が多いか
    らそれを利用してふれあいを中心にして教育しているらしいんだけど、どうしたら小学生には一番いいのかな。

里香 :例えばリサイクルサンターに行ったら、みんな頭では「リサイクルはいいこと」って思うだろうけれど、行く前にリ
    サイクルをいろいろな側面から見せる授業をしなければいけないと思うんです。車で運ぶ時に出る二酸化炭素の量も
    考えるべきだし、環境問題自体が何が原因なのかよく分かっていない面もあるから、いろんな面を教えることで子供
    たちが将来大きくなって興味を持つきっかけになったり、教わったことに対して疑問を持った子は調べていけるよう
    になると思います。絶対一つの側面には相反するものがあるから、そこもちゃんと見せていかなければならないと思
    います。

友衣奈:小学生にも、例えば二酸化炭素が車から出て良くないからバスを使おうとか言っているけれども、一方では暖かいこ
    とは別に悪いことだけではないということを教えるってこと?

里香 :そのためにも環境というしっかりした授業がないと、そういう細かいことまで教えられないので、私は環境教育を作
    った方がいいと思います。

■小さい子は好奇心旺盛

友衣奈:でもそれって中学校で習わないですか?小学校から取り入れて早い段階で知っておくのはいいかもしれないけど。

里香 :小さい子の方が好奇心が旺盛だから、中学生になると高校受験の準備で「環境の授業なんてどうでもいいや」となる
    と思うんです。基本的な理解を小学生のうちになるべく早い時点で持つ方がいいと思います。

優  :小学生の方が「あれはどうなの、これはどうなの」って不思議に思うことが多いような気がするんです。私自身、中
    学生になると不思議でなくなることでも、小学生の時はすごく気になって調べたことが多くて、疑問に思うことが多
    いから小学生のうちに触れることは大事だと思います。     

結  :小学一年の時はいろんなところに行ったり、自然に触れることがメインでいいと思うんです。でも小学校高学年は考
    える力がついているから、校外学習も、行くだけではなくて、そこから自分は何ができるかを考えることは大切だと
    思います。

■授業時間が足りない中の環境教育

友衣奈:現実問題として、授業時間数が足りないのにわざわざ環境の授業をやるのは難しくないですか?社会科などに計画的
    に取り込まれていたのを(環境だけを)一個切り離すと・・。      

里香 :私は中学生の時に、地域でゴミ拾いなど環境を考えるセミナーがあって、積極的に子供たちの環境意識を育てていこ
    うとする活動があったんです。ゆとり教育のなかで、環境の授業を作るのはムリかもしれないけども、地域と一丸と
    なって環境の活動を促進していけたらいいと思います。

結  :学校の土日の休みを利用して、学校で環境セミナーみたいな感じでいろいろ開いたりとか、参加者を募ってやったり
    とか。

優  :平日は多くの教科があって、いろんなことを考えなければならないから、土曜日の午前中だけは環境について考えよ
    うと決めることで小学生が集中して考えることができるのではないかと思います。

友衣奈:最近は、英語が「五・六年生は必修」といわれるなかで、英語を「そんなにやって国語は大丈夫なのか」という反論
    もありますね?そういうなかでさらに環境を週一回でも一ヶ月に一回でも増やして小学生にとっては負担になりませ
    んか?

優  :いま環境が世界的に大きなテーマで子供たちが大人になった時にどうなるかは分からないから、今から少しずつでも
    考えたり話し合ったりすることで、自分たちが将来どうしていくべきなのかが見えてくると思う。英語もこの先必要
    になることだから、必要になることをやっていくのはいけないことではないと思うし、むしろ必要なんじゃないのか
    なって思います。

友衣奈:でも重要なことはたくさん増えてくると思うのね、これから。減ることは絶対ない。教科はいま国語、算数、理科、
    社会があって、家庭科とか体育もあって、英語もプラスされて、さらに環境もプラスされて・・・、それでもいいと
    思う? 

里香 :私の場合は小学校が勉強に特化した学校ではなかったんです。中学は勉強をすごく一生懸命やる学校に入ったことも
    あって、教科も増えたし、やることも増えたからすごく大変になって・・・・小学一年生に言っても分からないでし
    ょうが、自分がやることっていうのはこれだけあって、今知らなきゃいけないことがこんなに沢山あるんだというこ
    とを分からなければいけないと思うんです。     

友衣奈:では中高の勉強の予習というか、一気に詰め込む型ではなくてだんだんやっていく方式として小学校でもいれていく
    ということ?

結  :環境教育はけっして今やっておいて損ではないし、むしろ得だし、自分たちの将来に関わってくることだから、そう
    いう時間を設けた方がいいと思う。

■親にも環境教育を

友衣奈:学校でやらなくても、例えば家で「ペットボトルの処分」とか「アルミと牛乳パックを分別しなきゃいけない」とか
    、そういうところから子供に「何で?」という疑問が湧いて、「それは焼却炉からダイオキシンが出るから」とかそ
    ういうふうに家庭で教えることってできませんか。     

結  :私は家であんまりゴミ問題を考えてなくて、学校の方が環境について学ぶことが多いかなと思います。

優  :家庭でやるとバラツキが出てしまう。親から教わることはすごく子供にとっては大きいと思いますが、やらない親も
    いるし、学校でみんな均等に知識がある方がいい。

里香 :私は環境の授業は作った方がいいという意見に変りはないのですけど、確かに家庭生活で親がすごく環境に興味があ
    れば、その子供も環境に興味を持つと思うんです。だから親に対する環境の授業も開いて、学校にまかせるだけでな
    くて、家でも環境教育ができるような状態にしたらどうかなと思います。

■企業の授業参加

友衣奈:今の小学校では、例えば三洋のエネループという「繰り返し使える電池」について企業が小学校に‘出前授業’にき
    て紹介するケース出てきています。そういうものだけだと足りないと思う?これは多分小五小六が対象なんだけど。

里香 :小五小六になると自分で考えることができるので、出前授業を受けて環境に興味を持てれば、自ら調べ出すと思う。
    学校で教えられなくてもテレビをつければ環境番組やCMが流れているし、いま環境問題を軽視している人はそんな
    にいないと思う。自分で何ができるかということだけをとりあえず教えて、学校だけでなくても地域や家庭でも教え
    ていければいいと思います。

優  :先生自身も、三洋の人がそうやって来て授業をしてくれると、深い話をより細かく知ることができると思う。そうい
    うものを見ることで疑問も生まれてくると思う。     

友衣奈:これは企業の宣伝ではないかとか、そういう疑問はある?

結  :宣伝とかの問題ではなくて、専門家が言うことに疑問を持ったらその人にその場で質問することができるし、そうい
    う場を持つことはすごく大切だと思う。現状だと社会科では環境問題でも地理的なことをやり、理科では二酸化炭素
    がどうなっているかを学び、それらを総合学習でつなげることもできる。

■多様な環境学習

友衣奈:では今の総合学習の時間の使い方には特に異議はないということですね。

優  :道徳などは「総合」の時間でやるしかないと思う。環境教育は、やる学校はやり、やらない学校はやらないのはおか
    しいから、そこは徹底して必ず含めなければいけないと思います。文部科学省が総合の時間に「必ず年に何回」とい
    う規定を作れば総合の時間の中なら取れると思う。そうでないと、やらない学校がどうしても出てくると思います。

友衣奈:出前授業は、やる小学校が限られているから、行き渡らない?

優  :行き渡らないし、環境の教育を「総合」のなかでやらない学校が出てくると思うから。

友衣奈:総合の時間はいろんなことをやり、その中で少しでも環境に触れあうとか、企業の人にきてもらうとか、そういう時
    間はとった方がいいということですね。今までの討論をまとめると、理想は、学校でしっかり環境の授業を作っても
    らうことだけれども、現実には時間が足りず教科が多すぎて出来ない。いま私たちがやってほしいことは、平等に文
    科省から「ここまで」っていう規定をもらって、それを絶対各学校でクリアすることと、家庭でも絶対的にこれは事
    実だとか認められていることを教え、賛否両論があるところも教えて、固定観念を持たないようにする。出前授業も
    いいけれども総合的な時間のなかで社会とか理科でやってきたことをつなげる授業をしてほしいということですね。   

                                                    以上