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座談会

日英合同座談会「北アイルランドと日本の学校教育について」
2003/08/05

参加者
CE東京局: 大島はなみ(17)、高橋理也子(15)、三崎令日奈(16) 司会:秋津文美(16)
CEベルファスト局: クレア(14)、コナー(17)、テュヴァーン(16)、トーマス(17)
 2003年8月初旬の1週間を日本のチルドレンズ・エクスプレス(CE)記者が英国のCE記者と交流するためにロンドンとベルファスト(北アイルランド)を訪れた。ベルファストは2年前まではプロテスタント系とカトリック系の住民の抗争が絶えず、テロを繰り返していた。CEベルファスト局は、両方の住民の子どもたちが一緒に活動をしている。対立を回避するために宗教教育を重視している北アイルランドの学校に通う記者たちと、都内の有名私立・国立校に通う日本の記者たちとが「学校教育」について座談会を開いた。

文美:まず最初に何系の学校に行っているのか、例えば日本人なら私立の女子校に行っているだとか、北アイルランドの人ならプロテスタントの学校のグラマースクールに行ってるとか、を言ってください。

クレア:カトリックのグラマースクールに通っています。女子校です。

コナー:男子校のカトリックのグラマースクールに行っています。

テュヴァーン:カトリックのグラマースクールに行っています。

メラニー(スタッフ):トーマスはあとから参加するみたい。彼はプロテスタントの男子校に通ってるわ。

里也子:私立の女子校にいってます。

令日奈:私立にいっています。共学で、キリスト教(プロテスタント)の学校です。

はなみ:国立の高校に行ってます。

北アイルランドの学校教育について

クレア:北アイルランドにはカトリックの学校とプロテスタントの学校があるの。二ついっしょになっている学校もあって、それをインターグレイティド(人種・宗教の差別をしない)学校というの。公立に行くほうが一般的で、プロテスタントの学校が多い地域、カトリックの学校が多い地域と分かれている。

文美:プロテスタントとカトリックと分かれてるというけれど、内容的には違うの?

クレア:違わないと思う。違うのは宗教だけだと思うわ。カトリックとプロテスタントで祝日が違ったりする。

文美:プライベートスクール(私立)に行くのはお金がかかるの?

クレア:どうだろ…… 私立行くのって高い?(とスタッフに聞く)……そうじゃないと思う。

令日奈:じゃあ政府が私立に払っているってこと? 私立に行くためにお金を払わなくていいの?

ジュード(スタッフ):ややこしいけど、ここではプライベートスクールといわれているものが事実上パブリック(公立)なのよね。北アイルランドには私立がほとんどないの。学校はほとんど州立ね。

文美:何歳から学校へ行き始めるの?

クレア:幼稚園のあと小学校は4歳から11歳まで。

里也子:小学校で4歳から勉強…… 字を書いたりするってこと?

クレア:そうね。4歳で入る頃にはアルファベットや短い文を書けるくらいにしておかないといけない。

文美:11歳以降はどうするの? 義務教育?

クレア:11歳になったら、受けたくなければ受けなくてもいんだけど、ほぼ全員がイレブンテストを受けるのね。合格すればグラマースクールというところに行くし、不合格ならセカンダリースクールと言うところに行く。

令日奈:グラマースクールとセカンダリースクールの違いって何?

クレア:そんなに違いはないと思うけど、グラマースクールの方が勉強の進度が速かったりして大学に入りやすいの。

里也子:じゃあ頭のいい人がグラマースクールに行くってことではないのね?

クレア:そうね。例えばセカンダリースクールに行っても1年目で一生懸命勉強していい点数をとれば2年目に他の学校へ転校することも出来るし。それと、イレブンテストはほとんどの人が受けるけど、受けない人はセカンダリースクールに行ったあと受けることも出来る。でもイレブンテストはここではあまりよく思われていないの。子供にすごくプレッシャーをかけるし。だからここ数年で無くなりつつある。

令日奈:無くしているのは北アイルランドだけ?

クレア:いいえ。ここが唯一イレブンテストをやっているところ。イングランドではもうやっていないと思う。

学校のいいところ

文美:学校は好きですか。

コナー:好きだと思う。授業はたくさん科目があるしテクノロジーも教えてくれる。スポーツはアイルランドのスポーツじゃなくて他のも教えてくれる。それと男子校だから男子しかいないから落ち着くしね。

クレア:学校は好き。いつもいろいろな、幅広い機会に恵まれている。私は英語と歴史が好きなんだけど、大会みたいなのがあってそこで自分の力を試すことが出来る。それは自分の自信にもなります。

テュヴァーン:アイルランドの言葉、文化にすごく重点をおいている学校で、言葉も習うし、アイルランドの歌も歌ったりもする。それをとても楽しんでるわ。それを試す大会もある。

里也子:学校は好き。200年くらい前に出来て歴史がある。日本の多くの学校は古きよきところを変えてしまっているけど、他の学校では見れない古きよきところがまだ私の学校にはある。昔と同じ学校生活だとか。新しい良いところも取り入れてるけれどね。

令日奈:学校は好き。嫌いな授業もあるけど、学校の雰囲気が好きです。私達の本当にやりたいことを学校はやらせてくれる。大学がついていて、試験なしで大学に行けるので、雰囲気がゆったりしている。

はなみ:私の学校は校風が自由で、例えばアクセサリーとか、なんでも自由につけていい。1学年120人くらい、全体で400人もいないので、コミュニケーションがとりやすいです。

文美:自分の学校で誇れる点はどこですか?

クレア:きちんとしているところが好き。でも先生達はあんまり厳しくないし、とてもフレンドリーなの。

コナー:多分自分の学校で一番いいところはグラマースクールであるという点だと思う。政府が管理していて、普通のセカンダリースクールよりも先生の質がよかったりする。そこが誇れる点です。

テュヴァーン:私の学校は古いお城で、とても歴史的で、景色が綺麗。自由時間にいろんなことが出来るの。ゴルフとかね。

里也子:私の学校は皇族が通う学校なの。だから他の学校に比べて歴史がある。そしていい先生がたくさんいる。先生は公立校よりいいと思う。

令日奈:私の学校はとても自由だと思う。先生は私達をとても信頼していて、何がいいのか悪いのか、私達の判断で決められる。制服とか、それが学校にふさわしいかどうか私達で判断できる。

はなみ:私の学校は日本で唯一の国立女子校で、幼稚園から大学まで同じところにあります。歴史が古く特に幼稚園は日本で1番古いかな。

好きな学校だけど、問題点は…

文美:学校だけでなく教育システムについて何か問題点はありますか。

クレア:イレブンテストがあるのがいけないと思う。それで、グラマー、セカンダリーと分かれるってことで、生徒にすごくプレッシャーがかかる。ここ数年で無くす動きが出てきてるんだけど、無くしてほしいと思う。

コナー:テストがたくさんあるのが問題だと思う。クレアが言っていたようにGCSC(中等教育終了試験)とかたくさんある。それはフェアでないと思う。北アイルランドはヨーロッパで一番テストが多いところだそうだけど。勉強とかだけじゃなくて社会関係とか人間関係とか、自分達はそういうことも考えなきゃいけない。それなのにそうやってテストをして大学とか決めるのはいいことじゃないと思う。

文美:1年間にどれくらいテストがあるの?

コナー:10〜12科目あって夏と冬。年間の勉強がどれくらい出来ているかをみる。これはイレブンテストほど大事じゃないけどね。

テュヴァーン:統一感と言うのをすごく重視されて、自分個人であることよりもみんなと一緒ってことを大事にする。みんなが同じ制服で、同じように行動する感じで。

里也子:個人的に私の学校では多くの問題があると思う。まず、幼稚園から大学まであるから、大学入試の準備をしないし、そんなに教えようとしない。数学より体育に多くの時間を費やしたりする。1年中毎週水泳の授業があって、ダンスもあって、教科書も使ってテストもする。バスケットと、バレーボールと……週に5時間もある。

令日奈:私の学校だけじゃなくて、全体的に日本の学校は平均的にどの科目も出来る、ということにこだわりすぎていると思う。例えば国語がすごく得意で数学がちょっと苦手でもそれは別にいいと思う。その人が何か一つでも秀でている科目がある限りいいと思うのに、日本の教育はすべてを同じにしたがる。それはフェアじゃないと思う。人は一人一人違うのだから、良いところも悪いところも認めるべきだと思う。

はなみ:私のところは国立で、文部科学省がカリキュラムを決めてそれにそって授業が決められていくので、私立の学校よりも英語の時間が極端に少なかったりします。(教育の)実験をするのが目的なので仕方がないと思うけど、大学には受験をしなきゃ行けないのに、学校ではそういうケアが何もなくて、クラスの5分の4以上は塾に行っている。

テストは必要?

文美:問題点としてテストのことが出ましたが、イレブンテストについてどう思いますか?

令日奈:テストから学ぶことも多くある。テスト前は遊べないし、ちゃんと勉強しなきゃいけない。そういうことを通して精神的に強くなれるのだと思うから、悪いとも良いとも言えないかな。

コナー:セカンダリースクールに行ってもグラマースクールとまったく同じことを学ぶ。だからセカンダリースクールできちんとやってGCSEでAやBをとればちゃんと大学に行ったり出来る。グラマースクールに行ってたくさんのテストに明け暮れるようになることだってある。イレブンテストは学校が決まるだけで、それで人生が決まったりはしないと思う。

テュヴァーン:グラマースクールはセカンダリースクールより政府から資金がたくさん出るし、何かと機会に恵まれていたりすることもあるけど、違いといったらそれくらいよ。

令日奈:勉強がよく出来るっていうのは大事なことだと思うけど、でも周りの友達との関係も良くなきゃいけないと思う。数学とか理科とかの勉強以外のことから私達が学ぶことは多くある。成長するためにね。だからそんなに多くのテストはあるべきじゃない。たくさんのテストですごいプレッシャーがかかっている。もっと学校で勉強以外のコミュニケーションとかにも時間をさくべきだと思う。最近、少年犯罪が多いのはここに理由があると思うから。どうやって友達に自分の気持ちを伝えるかとか、そういったことを学ぶ時間がとても少ない。私達は勉強だけしか習っていない気がする。勉強だけテストされてるけど、そんなのが人間の価値じゃないと思う。

トーマス:イレブンテストは11歳の子にすごくプレッシャーがかかりフェアじゃないと思う。11歳っていったら普通は外で遊びたい年ごろだから。

日本の教育をどう思う?

文美:日本の教育についてどう思いますか?

コナー:まず、とても自分達と似てると思った。ひとつは通学するのに遠くまで行かなきゃいけないこと。自分の学校でも遠くから通っている人がいる。普通は1〜2時間だけど、もっと時間がかかる人もいる。もうひとつは、制服が自分達のものと似ていること。驚いたけど、シャツとかネクタイとか、セーラー服も似ている。それから、日本はテクノロジーが進んでいるから、学校でもそうなのかと思っていたら、コンピューター室が一つしかなくて、それもあんまり使わないと知ってちょっとショックだった。自分の学校でさえコンピューター室が3つあって毎日使っている。自分達の国よりずっと進んでいるから教育もそうかと思っていたけど、そんなに高くないみたいで。他の国と比べてもね。反対に日本の教育の強さはテストが自分達ほど多くないことだと思う。

令日奈:実際はあるんだよ(笑)、たくさん。

里也子:イレブンテストほど大事なものじゃないけどね。1学期に2回。

令日奈:中間、期末が1学期にあって、1年は3学期あるから、4〜5回くらいテストがある。私の学校では1回のテストで14科目ある。

里也子:私のところは17科目。

トーマス:日本の学校には行きたくないね(笑)。

はなみ:そちらの学校にはコンピューターが1人1台あるんですか?

トーマス:うちの学校では個人個人にはないけど2つか3つコンピュータ室があって、とっている科目によってはそこに行ったりするし、いつでも自由に使える。

はなみ:私の学校では2人に1つくらいあって、学校の中に100台以上ある。

令日奈:コンピューターって教育の中で大事なことだと思う?  私はそこまで大事だと思わない。

コナー:科目によると思う。コンピューターの科目をとればもちろん必要だよね。コンピューターのほうが手書きよりきれいに見えたりする。100台以上あるって言ってたけど、自分の学校だったらそこまで払うお金がないと思うし、そんなにたくさん必要じゃないと思う。

トーマス:うちの学校では最初の3年間はコンピューターは必須科目で、他に演劇とかフランス語、スペイン語が最初の3年間は必須だったりする。コンピューターが必要な科目をとればそれは必要だよね。

里也子:そういう意味での必要じゃなくて将来使うかってことだよね? コンピューターのクラスをたくさんとったらそれは将来に役立つと思う?

コナー:まあね。コンピューターはどんどん便利になっているし、たくさんの仕事がコンピューターを必要としている。それでも人生のその他の視点からみると、コンピューターが必要不可欠だと思わない。図書館に行くかわりにインターネットで調べたり、買い物したり、どんどん簡単になっていっているけど、それはいいことじゃないと思う。きみたちはコンピューターは必要だと思う?

令日奈:教育においてコンピューターがそこまでかかわってくることが必要不可欠だとは思わない。ワープロじゃなくて自分の手で書くことも大事だし、本で調べることも大事だと思う。コンピューターがなくてもいい教育は出来る。

北アイルランドの宗教教育

文美:日本の公立学校ではあまり宗教とかないんだけど、こっちでは宗教で分かれているみたいですね。それについてちょっと聞かせくれますか?

トーマス:最初の3年間は宗教は必須です。

里也子:授業が必須なの? それで成績がつくの?

トーマス:そう、テストがあって成績がつく。

テュヴァ-ン:聖書の個所を覚えたり、神が何をしたかとかきかれるんだよね。

令日奈:学校が宗教的なのは良いことだと思う?

コナー:宗教的なのはいいことだとも思わないけど、例えば宗教を学ぶことによって自分が本当にどういう人なのか発見できたりする。プロテスタント、カトリックだけでなく、仏教とか他の宗教についても大体全部触れる。5年までは必須で、5年が終わったあとは、自分でやる。

里也子:じゃあ学校が宗教を教えなかったら、あなたたちは宗教について何も知らないってこと?

トーマス:いや、友達や家族と話したり……

テュヴァ-ン:教会とかね。

コナー:僕は宗教ってすごく難しく扱いにくいことだと思う。友達とは宗教の話ってしないでしょ?(笑)もっと他のことに興味があるから。だからそこに学校で宗教を扱う意味があるのだと思う。

里也子:宗教は学校で教えるべきだと思う?

テュヴァーン:そうね、ここだからこそ必要ね。教わらないと対立してしまう。プロテスタントだからって必ずしも対カトリックでないとか、一般に凶暴だって知られている宗教でもその宗教を信じる人すべてがテロを起こしたり、道端で歩いている人を殺すわけじゃないとか、宗教について正しく教わることで対立しないでいられるから。他の地域で学校が宗教的であるべきかは別として、ここ(北アイルランド)では必要です。

座談会を終えて

令日奈:RT(座談会)を終えて日本の教育についてどう思った?

トーマス:テストが15科目っていうのはちょっとやだね(笑)。夏の前とクリスマス休暇のあとにすぐ試験が始まるんだけど、休暇の間もテストのこと考えなきゃいけないからそれが嫌い。もうごめんだよ・・・多すぎ(笑)

令日奈:日本の教育について知るのは面白かった?

トーマス:うん。

コナー:うん、アイルランドだけじゃなくてイングランド、アメリカ、いろんな国の教育を知っていたいと思う。いろんな違いが見えてくるだろうし。

トーマス:日本でもGCSEはあるの?

里也子:GCSEって?

トーマス:(16才の)学年末のテスト。

里也子:16歳でそういうのはないの。毎年、中間、期末、中間、期末ってある。

令日奈:で、それで成績がつけられる。

トーマス:あ、そう、それで最終的な成績がつくんだ。

テュヴァーン:それと、あなたの学校のダンスが出来るっていうの、いいね。

理也子:ダンスって言ってもヒップホップみたいのじゃなくてワルツとかだよ(笑)。

令日奈:このRTの前はなんでアイルランドの学校がカトリック、プロテスタントと分かれているのか知らなかった。でも今は何故宗教的なのかわかってよかったです。

文美:終わります。