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座談会

座談会「父の日にちなんで」
出席者:三崎令日奈(16才)、秋津文美(15才)、藤原沙来(13才)、三崎令雄(11才)、島田菫(10才)、近藤侑希(9才)
司会:清水菜々子(15才)

2003/06/01

 6月の第3日曜日は「父の日」。でもその印象はいまひとつ。外で忙しく働く父親の存在は、母親に比べて薄いようだ。父親を、子どもたちはどのように見ているのか、そして自分が父親になるとしたら、どんな父親になりたいかなど、お父さん達にはちょっぴり耳の痛いような本音を、チルドレンズ・エクスプレスの9才から16才までの記者たちが語った。

「父の日」に何かしてあげる?
菜々子:あと2週間ほどで父の日ということになるんですけど、皆さん、何かあげたりしますか?
令雄:あげる予定はありません。
令日奈:あげません。
侑希:毎回だいたい500円〜1000円ぐらいの物をお母さんといっしょにお金を出してあげるので、今年もハンカチ一枚とかは買うと思います。
菫:私はお兄ちゃんといっしょにネクタイとかを買うと思います。
文美:百均で、たぶんライターを買ってあげます。
沙来:毎年、お年玉とかで一万円ぐらいのネクタイ買っているんで、今年も買おうと思っています。
菜々子:一万円ぐらいのネクタイを父の日にあげるんだ。すごい、お父さんを尊敬してるんだ。三崎姉弟はなぜあげないんですか?
令雄:父は普通に理想の父であってほしいんですけど、全然理想的じゃないので、あげても意味が無いかな(笑)。
令日奈:うちは妹がパパッ子で、妹が毎年何かあげて、父もそれでとても喜んですごく満足しているので、妹に全部まかせています。
菜々子:今、令雄くんは意味が無いって言ったけど、どういう意味が無いの?
令雄:ライターとかあげても、自分で買ったので充分って感じで使ってくれないし、ガラクタ同然の扱いなんです。あげたとしても妹の方を全面活用だから。
菜々子:使ってくれなさそうだからあげない感じかな。あとの4人はあげるっていう方向なんだけど、喜んでくれますか、お父さんは?
侑希:去年は携帯のストラップと靴下をあげたんですけど、とても喜んでくれて、毎日のようにはいたり、携帯に付けています。
菫:喜ぶっていうのはよく覚えてないんですけど、よく使っていることは確かです。
沙来:あげた次の日に必ずそれを付けて会社に行ってくれて、けっこううれしいっていう感情を表してくれているように思います。
菜々子:みんなあげるとしたら、物だけど、例えばご飯を作ってあげたりとか、お父さんといっしょにどっか行ってあげるとか、そういうことは考えたりしますか? 
侑希:母の日の時はお母さんの誕生日が近かったこともあって、私が得意な料理を作ってあげたり、ケーキも作ってあげたりしていたので、お父さんの誕生日と父の日は近くないんですけど、私の得意な料理を作ってあげようかなって思っています。
菫:私は毎年、お父さんの誕生日とか、お母さんの誕生日とか、父の日や母の日には私がお母さんに手伝ってもらいながら作っています。
菜々子:あげない二人は、やってあげるっていうことはどうですか?
令日奈:物をあげるのも、何かをしてあげるのも基本的に妹のやることだと思っているので。みんなで食べに行くと言ったら食べに行くけど、妹があげてお父さんが喜んで、そうやって静かに過ぎていくのがうちの父の日というものです。
文美:うちは父が男一人だから、その日だけちょっと立場を上げてあげて、「はい、はい」「何でも聞きますよ」みたいな感じでやってあげないと、ちょっとかわいそう。
菜々子:かわいそう? じゃ、普段はけっこうすみっこの方なの?
文美:なんか自分で行くしね、すみっこに。
沙来:手伝いとかは普段通りで、そこまで気をつかわないで、ネクタイだけでその日を味わってもらおうと思っています。


家族の中のお父さんの存在
菜々子:みんなのお父さんはどういう存在ですか?
令雄:存在っていうのと、ちょっと意味が違うかもしれないけど、ちょっとぐらい理想の父になってほしい存在だと思います。まず、理想の父っていうのはゲームとかもやってくれるし、遊ぶ時は遊んでくれるし、働く時はがんばって働いてくれるし、疲れを見せずにパソコンでホームページとかも作ってくれるし、土日とか出かてくれるし、――けっこう旅行とかは連れて行ってくれるけどーー、勉強とかの手伝いもしてくれるお父さんが理想だと思うんですけど、うちのお父さんは全て反対。
菜々子:そうなんだ。じゃあ理想のお父さんに近づくには令雄くんにとってはまだまだなんだ。
令日奈:私は、小4くらいまではけっこうパパッ子でいっしょに遊んでいたりしたんですけど、それからはそうじゃなくなってしまって。言葉でどういう存在っていうのは難しいです。パパッ子だった時よりもずっとその存在っていうのは薄くなってきました。
菜々子:令日奈ちゃんは思春期ですね。
侑希:お母さんも仕事はしているけれども、お父さんが仕事一生懸命やってくれているから、私たちは普通に生活できるわけだから、お父さんがいないと、お父さんは私の家にとって大黒柱で、すごく大切な存在です。理想のお父さんと同じようなもので、とても優しくて。だからお父さんはこのままでいいです。
菫:私のお父さんっていうのはどんな存在かっていうと、勉強教えてくれて、わからないこと教えてくれたり、たまーにだけど、いっしょに遊んでくれたり、図書館とかに連れて行ってくれたりします。
文美:お父さんはうちにとって、良識だし、あとスポンザーです。なんでかというと、父親は外に働きに行ってて、一番社会とかを見てるから、彼が一番常識とかに近いのかなっていう気もするし、良識あふれる人なんです。あとスポンサーっていうのはやっぱりお金。育ててもらっているから、ある程度そういう面もある。
菜々子:スポンサーね。テレビみたいだね。収入として家族を養ってくれる大事な存在。
沙来:うちのお父さんはすごいしゃべるのが大好きで、ちょっとだらしない面というのもあるんですけれど、逆にお父さんが会社から帰って来た時に、お父さんが楽しい話をすることによって家族の中に笑いがこぼれたりとか、話の中心になるような存在で、理想の父ではないんですけれども、家族にとってはいなければならない存在です。
令日奈:さっき文美ちゃんが、世の中の常識を一番知ってるのが父って言ったんですけど、あと、よくお父さんを尊敬する人が言うのは、仕事をあれだけがんばってるからとか、お父さんの仕事を見て自分がそういう仕事をやってみたいと思ったとか、あと学生時代からバリバリできてるお父さんだったりすると、そういうのにすごく憧れるっていう人が多いと思うんですけど。私の場合は、確かに世の中を一番知ってるのはお父さんなんですけど、お父さんだけが働いているわけじゃなくて、母も働いているので、みんなが感覚的にお父さん一人に支えられているっていうのはありません。二人で協力してやっているっていうイメージが強いので、お父さん一人をすごく尊敬
することもない。あとお母さんの方が身近に感じるので、べつにお父さんに世の中の常識とかそういうことを聞かなくても、その前に母がいるという感じです。


お父さんは仕事に熱い
菜々子:みんなのお父さんは働いていると思うんですけど、働くお父さんっていうのはどんな感じでしょうか。いいものですか?
令日奈:今はコンピューター持って帰って来て、家で電話会議とかすることが多くなったので、夜遅くまで会社だった時よりは、なんかすごく大変そうだなっていう感じはしないんですけど、やっぱり自分の仕事について誰かに話しているところを見たりすると、自分の仕事について熱く語れるのはうらやましいことだと思うし、自分もああいうふうに言えるようになりたいなとは思います。
菜々子:お父さんは自分のお仕事に誇りを持ってやってそうかな?
令日奈:はい。話したりしている時はすごい熱く、これはこうで今こういうことをやってとか、自分の仕事について、たぶん誇りに思ってるんじゃないかなと思います。
侑希:お父さんは夜2時とか3時とに家に帰って来て、この前は朝の6時に帰って来て、6時20分まで寝るとか言って、ほんの少ししか寝てなくて、ものすごくかわいそうだなって思った。いつも朝しか会えないし、土日もどちらか必ず一日は会社に行ってしまって、あんまりいっしょにいる時間が無いので、すごく仕事が大変なのはわかるけど、いっしょにいる時間がもう少しあるといいなって思っています。
菜々子:超多忙だね。そういうお父さん。
令雄:大阪の従兄が今年就職するんで、それで最近、面接受けた後うちに来て、お父さんと話してるのを見て、いとこがすごく苦労してるんだなと思うのに、なんかうちのお父さんはそれでもよく大きな会社に入れたなって思って、ちょっとある意味尊敬しちゃいます。
沙来:うちのお父さんは税理士業なんですけど、平日8時ぐらいに帰ってすぐおふろ入ってすぐ寝て、けっこうのんびり生活していて、土日に計算しています。平日なんで仕事やって来ないんだろうというぐらい、土日すごいがんばってやっていて、全然しゃべらない。私が話しかけないというのもあるかもしれないんですけど。食事の時とかは面白い話をたくさんして、また話したら計算の方に集中するみたいな感じなんで、みんなが集まる時間だけにしかしゃべったりはしません。


お父さんのストレス発散法
菜々子:お父さん、けっこう忙しいって感じだけど、そんなお父さんに自分ができることはあるでしょうか? 
文美:とりあえず、あんまり疲れさせないためにどっか連れてってとか言わないとか、あとあんまりいじめすぎないとか、そんな感じです。
菜々子:え、文美ちゃん、いっしょに行きたいとか思うの? どっかに。
文美:うちは父も私も本が好きだから、本屋さんをけっこう巡るんですよ、車で。それをちょっと我慢してみる。
菜々子:お父さん、家に帰って来たらビール飲みますか? 
令雄:うちのお父さんはお酒が全然飲めない。
菜々子:じゃあ、会社から帰って来たらプシーッとかいって開けて飲んだりはしない?
令日奈:お酒類は飲みません。
文美:じゃあお父さんはどうやってストレス発散してるの?
令日奈:寝たりとか…。
菜々子:趣味とか?
令日奈:趣味はヨットなんですけど、ヨット行ったりとか、寝るっていうのが一番大きいと思います。特にビールを飲みまくるとかいうことよりも、ボーッとしたり、テレビを見たり、新聞読んだり、そうやって普通にするということが、そのままストレス発散になってるんじゃないかなと思います。
侑希:お父さんはビールがけっこう好きだから、会社から帰って来て毎日ではないけど3日に1回ぐらいはビールを飲んでいます。よく土日とかは、会社行って帰って来たら、会社行かない日でも、お母さんといっしょに250ml半分して飲んで、ガーッて寝ます。
菫:お父さんはちょっと帰りが遅い時、私たちが先にご飯を食べ始めちゃって、その時にビールが出てたら、そのビールを飲むぐらいにしかビールを飲みません。
文美:うちは父がまず土日しか帰って来ないんですけど、帰ってきたらとりあえずビールを3本ぐらい飲んで、そんで、あとタバコも吸うんですよ。
沙来:去年は、お酒を飲んでるのをよく見てましたが、今年はまだお酒飲んでる姿見たことないですね。
菜々子:じゃあ、みんなのうちのお父さんはベロベロに酔って家族に当たり散らすとか、そういうことは無いんですか?
令日奈:無いです。
菫:そういうことは起こった記憶はありません。


最悪な父親、理想の父親
菜々子:父親として一番最悪だと思うのはどんなところですか? 自分の父親じゃなくても、こういう父親は最悪だとか、あったら教えてください。
令雄:まずタバコを吸う父親がいやです。なぜかというと、タバコってすごい体に悪いから。自分は体に悪いことはあんまりしたくない。あともう1ついやなのが、うちのお父さんは違うんですけど、油っぽい髪のおじさん。
菜々子:見ててもいや。電車とかでよくいるよね。
令日奈:3点ありまして、1つは自分をコントロールできないで、仕事の鬱憤とか日々のいやなことを家族に当たり散らしたりしていつも怒ってるような人と、もう1つはすごい頑固な人。頑固なのが必ずしも悪いとは限らないんですけど、自分の子供はこうだと決めて、その道通りに進まなかったらもう自分の子供じゃないみたいな、自分の考えだけに縛られて、他の考え方がわからなくなるような頑固さは、いや。常にいろんなことを知っていて、いろんな観点から考えられる寛容さがある人がいいです。最後は紳士っぽくないのはいや…。
菜々子:紳士? ジェントルマン?
令日奈:そうジェントルマンじゃないのはいやです。ある程度理想なんですけど、50才とか過ぎても、まだけっこう様になるというか、そういう紳士っぽいのがよくて、そういうのをすべて捨てたような、いわゆる親父っていうのは私はあまり好きではありません。
菜々子:俳優さんとかでも、高倉健さんとか山崎努とかかっこいい人いるよね。持てるかどうかは知らないけど、自分に誇りを持って、もうちょっとそういうところに気を使えばいいのかもしれない。
令日奈:何才になっても、ある意味かっこいいっていうか、そういう人が理想。
菜々子:どっかが輝いてる。
侑希:私とまったく趣味が正反対の人はいやです。よく、運動会のリレー選手になっても、いっしょに走る練習につきあってくれたり、私と趣味とかが同じだと、よくいっしょに遊んでくれたりするし、お互い好きなことを分かり合えるっていうのはいいかなって。
菜々子:侑希ちゃんの趣味は何? お父さんと共有している趣味があるの?
侑希:運動。お父さんも運動大得意だし、私も得意なので。
菫:私にとって最悪な父親っていうのは、仕事ばっかりやっていて、仕事専門、あとはどうでもいいっていう感じの父親が一番嫌です。
菜々子:いやだね。家族のこと顧みない父親。よくある話です(笑)。なんかドラマとかでよくある話。
文美:私も3つで、1つは子供を負担に思う人。「子供がいるから」とかいう人とか、子供の面倒みない人はとにかくあんまり好きじゃない。あと働こうとしない父親っていうのは最悪。働けないんだったらしようがないけど。最後は、「子供の頃はよかった」とかって言う人が一番むかつきます。「子供の頃」は、自分が大人じゃなかったからよかったんだろうとか、ほんとに思う。
菜々子:熱いね。俺が子供の頃はあれそれだったっていうような人。
沙来:家族で外出している時にすごい大声で、まわりの人に聞こえるような声で叱ったりすると、怒られてるこっちもすごい恥ずかしいし、惨めな気持ちになってくるから、そういうことはやめてほしい。怒ることは別にいいと思うんですけれど、すごく細かいこととかで怒らないでほしくて、ちょっと子供のおふざけの範囲とか考えてほしいって思うこともあります。


自分はこんな父親になる
菜々子
:最後になりますが、今日は女の子が多くて令雄くん一人男の子だけど、自分が父親っていう立場になったら、子供にはどう接していきたいと考えますか? 
令雄:やっぱり自分が目指すっていうか、自分の父親になってほしい理想の父を目指します。
菜々子:自分の中での理想になりたいんだ。そりゃそうだよね。
令雄:父が理想にならなくちゃいけないというか、なれって思うんだったら、自分もなるようにしなきゃいけないなって感じです。
文美:令雄くん、すごく大変だと思う。なんか求めすぎてるもん、お父さんに。
令日奈:さっき言ったいやな点3つのまったく逆であるのと同時に、「お父さんなんてどうせこういうこと言っとけばいいし」みたいに子供になめられるようなのは絶対にいやです。いつも威厳があるというか、お父さんが言っていることはいつも頭のどこかに置いとかなきゃいけないなと思えるような…。
菜々子:尊敬しがいのある。
令日奈:尊敬しがいのある人になりたいです。
侑希:私は今のお父さんのようになりたいです。お父さんが私の理想全部を持ってるわけじゃないんですけど…。
菜々子:いいんじゃない、それでも。いいことだよ。
侑希:甘やかさずに悪いことした時はきちんと叱って、子供が反省するような怒り方したいし、あと子供とか回りにいる人に、あの人の指示に従えば絶対平気で、見習ったらいいんじゃないかっていうような、すごく尊敬してもらえる人になりたいです。
菫:私は自分が思う最悪の父にならなければいいと思います。
菜々子:最悪の父にならなけりゃ、とりあえずいい? 
文美:今ね、ちょっと考えていたら、あ〜うちの父親みたいな父親でもいいかなって思ってきました。私は尊敬されない父親になりたいです。
菜々子:うん? 尊敬されない父親になりたい?
文美:なりたいなと思って。子供との間に距離をそんな取りすぎるのは、子供のために良くないと思うから。尊敬されるってことは、子供はそれだけ距離を感じるわけだから、だって自分と同レベルの人を尊敬はしないじゃん。もっと子供に近い存在でありたいな。けど、やっぱり経済力かな。経済力のある父親になりたい。
沙来:平日、会社に行っていていつも遊べない分、遊べる日はいっしょに、子供が満足いくまでいっしょに遊んであげる。それに、大変でもういやだって思われる勉強とかじゃなくて、勉強楽しいって思ってくれるような勉強の仕方とか。将来役に立つことを教えてあげたいです。
菜々子:何か他にはありますか? 私はとにかくかっこいい、さっき令日奈ちゃんが言ったようなかっこいいお父さんになれたら、すごいくいいと思います。子供の心を忘れずに。そしたら子供のやることも理解できると思うし。そういうお父さんになれたらいいと思います。ではこれで「父の日にちなんで」のラウンドテーブルを終わります。

(終わり)