「母の日にちなんで」
2003/04/06
出席者:近藤侑希(9才)、河村光(13才)、藤原沙来(13才)、大嶋はなみ(16才)
司会:秋津文美(15才)
今年も「母の日」が近付いてきた。今どきの子ども達は、この日 母親にどんなことをしているのだろうか−−−チルドレンズ・エ
クスプレスでは、小・中・高校生の記者たちが母の日にちなんで、日頃はあまり口にしない母への思いや理想の母親像などについて
話し合った。話題は母のことから家事が女性の仕事か否か、仕事と 家事・育児の両立は可能だと思うか、といったことにも及んだ。 |
母の日にはプレゼント
文美:これから母の日にちなんで母にについてのラウンドテーブル(座談会)を始めたいと思います。
もうすぐ母の日ということですが、母の日に何かしますか?
侑希:私は毎年お母さんに何かを買ってあげるので、今年もしようと思っています。
光:母の日と私のお母さんの誕生日が重なるので、誕生日と母の日を兼ねて、何かプレゼントします。
沙来:今まで何もあげたことがないので、ぜひ今年こそはと思って、妹とカーネーションを買いたいと思っています。
はなみ:特に今のところ予定はありません。
文美:買う予定があるという人は、だいたい、いくらぐらい使う予定ですか?
侑希:河村さんと同じように、私もお母さんの誕生日と母の日が重なっているので、母の日と誕生日のプレゼント合わせて、1000円ぐらい使います。
光:私も1000円以内です。
沙来:妹と合わせて1000円ちょっと出るぐらいです。
文美:1000円という意見が多いですが、やっぱりそれぐらいが妥当ですか?
光:おこづかいから考えても、1000円という額が高過ぎず安過ぎずって感じで、ちょうどいいかなと思います。
文美:はなみちゃんは何であげないんですか?
はなみ:こどもの日に何もくれないからです。
文美:なるほど(笑)。でもお母さんに感謝とかは?
はなみ:えー、きついとこついてきますねえ。うーん、うち、サンタさんが来ないんですよ。それで何か、無理です。
文美:藤原さんはカーネーションをあげるっていうことなんですけど、なんでカーネーションなんですか?
沙来:赤い色のカーネーションは愛の象徴って言われているんで、お疲れ様ですっていうことで。
お母さんは空気のように大切なひと
文美:次に母親について聞きたいと思います。お母さんっていうのはどう存在だと思いますか?
侑希:大きくなっていけば自分で物事が出来るようになるけど、私みたいに小学生のうちは、お母さんが家事をやってくれたり、ある家では働いてくれたりして、とっても大切な人だと思っています。
光:お母さんとはときどきケンカするし、笑いあったりとかもするし、今は友だちみたいな存在です。でも尊敬もできる友だちで、やっぱりいなくなってしまったりすると、たぶん私は生きていけないなっていう、すごい大切な存在です。
沙来:まず、自分のことというよりも、私たちのこと、家事や洗濯をしてくれたりします。自分でもできるようなことをお母さんがやってくれたことで、今自分がいるってこともわかるし、私にとって大切な存在であり、いなければいけないような存在だと思っています。
はなみ:家事は家族でけっこう微妙に分担となっているので、あんまり母を主婦とは思っていません。私の今の性格とかがいいのか悪いのかはともかく、母の性格とか育て方が結局今の私の人格などを形成しているので、とりあえず母は空気のような存在で、いないとここまで育たなかったと思います。
理想の母、最悪の母
文美:年齢によって、けっこうお母さんの存在が微妙に変わってくるかなと思うのですが、理想の母親というのはどういうもんでしょう?
はなみ:私の理想を言ってしまうと、リビングに降りていくと、ご飯がザーッと並んでいて、「ごちそうさま」っていうと、サーッと片づけてくれるような人が理想なんですが。はい、あくまで理想です。
沙来:理想は、子どもが中学を卒業するまでは、今の私のお母さんみたいな感じが理想で、高校ぐらいになったら、そんなに親に頼らずに子どもが自分でできることは自分でやって自立できる環境を作って、子どもの人生を考えるみたいなことをやってほしいなと思います。
光:理想のお母さんっていうのは今あまり想像ができません。というのは、ときどきケンカとかもするけど、私のなかでは今のお母さんが最高で、今のお母さんのままでずっといてほしいなと思うからです。
侑希:私のお母さんはあまり怒ったりしないんですけど、理想のお母さんはたまには怒ってくれた方がいいなと思います。よく友だちの家に行って怒られたりする時にきびしく感じるので、もうちょっと怒る機会を増やしてほしいと思っています。でも今の自分のお母さんが一番いいです。
文美:皆さん、けっこう自分のお母さんに満足していたり、してなかったりのようですけれども、世の中には子供を虐待してみたりとか、問題になってるお母さんもいるようですが、最悪だと思う母親はどんな人ですか? 一番母親がやっていけないと思うのはどういうことだと思いますか?
光:子供ができたから、女性はお母さんと呼ばれるようになったわけで、自分がお母さんであるからには、子供のことをつぶすようなことをしたらいけないと思います。子供がいけないことをしていても、その子供がそれをやったのは何か理由があるからだと思うし、その理由とかもちゃんと聞いて、お母さんがちゃんと子供に教えるというか、子供の思っていることも取り入れて教育していくことが一番だと思います。
はなみ:最近、若いお母さんには、なんかギャルママ?みたいな人が多くて、子供の前でもタバコをスパスパ吸っていたり、いろいろやっているようですが、やっぱり子供のうちは健康が一番だと思うので、子供が健やかに育つ環境をできるだけ保つべきだと思います。
沙来:怒るのはほどほどにして、ほめたり、その子供がそこの家にいて楽しい、幸せと感じられるような環境を作ってあげることが、最高の母親だと思います。虐待とか子供の心を傷つけるような行為は、親としておかしいんではないだろうかと思います。
こんな母親になりたい
文美:もし自分が母親だったら、子供にどうしてあげたいですか? 具体的なことでもいいし、接し方でも、教育姿勢でもいいですから、何かパッと思いつくことを教えてください。
はなみ:例えばテニスの選手とかは、ちっちゃい頃から英才教育じゃないですか。自分の子供に何かやりたいことがあったとして、それが大きくなってから始めるのじゃ遅いものだったとしたら、その子は後々、後悔するかもしれないので、小さいうちからどういうことに興味があるかをしっかり観察して、その子が望む環境に入れてあげたいなと思います。
光:私はさっき言ったように、子供の思っていることや子供がやりたいと思っていることをちゃんと聞いてあげて、何か習い事をするのでもそのうえで決めていってあげたいなと思います。そのほか、教育とか受験とかも日本にはいろいろあるけど、中学受験なんかも子供にやる気があるかどうかだと思うので、無理に「絶対、中学校は私立に行きなさいよ」とか言わずに、子供の考えていることを取り入れていってあげたいなと思います。
沙来:子供には怒る時は怒って、楽しむ時は楽しんで、ほめる時はほめて、子供と仲良くなれるいい関係の友だちのような存在になりたいと思っています。それから勉強面とかは、自分がこれはもうやらせたくないというのもあるけれども、一応、役に立っいてるし、将来的にもそうなってほしいっていう願望もあるから、習い事などは子供がやりたくないと言ったとしても、自分の体験などもまじえて話し、できる限り続けさせていきたいと思います。
侑希:自分がピアニストになってほしいからそれを押し付けるっていうんじゃなくて、子供がやりたいことをやらせてあげて、時にはやってはいけないこともあるけど、自分が将来なりたいものに向かってがんばっていくように、子供にしてあげたいです。
家事・育児は女性の仕事?
文美:話が前後しますが、子供を産みたいと思っていますか?
光:子供は、やっぱり欲しいです。自分が20才を過ぎて大人になっていたとしても、やっぱり子供を産む前と産んでからとでは、知ることが増えるし、自分も子供を産んで成長していけると思うし。とにかく子供は欲しいです。
沙来:子供は欲しいです。自分ひとりじゃわからなかったことが子供を通してわかったり、子供がいるからこそわかることがあると思うので、いないよりはいた方がいいと思います。
はなみ:私はまだ一概に欲しいとかいらないとかは言えません。なぜかというと、将来自分が何か職業に就いたとして、それが子育てよりも自分のやりたいことだったら、たぶん産まないと思うし、あとは育児には結婚相手の手助けとかも必要になってくると思うので、そのへんを良く考えてから決めたいと思います。もう一つ、産むのを懸念している理由は、最近キレル子供などが多いことです。家庭ではすごくおとなしくていい子ちゃんなのに、いきなり変貌して人を殺しちゃったりとか、そういうのが多くなってる気がして、自分の子育て、自分のやってることが間違ってないと信じていたとしても、もしそういう状況になったらどうしようとか、けっこう子育てが怖いなと思います。
文美:今、はなみちゃんから、子供を産むっていうか、育てることに対しての問題提起があったと思うんですが、それに対してどう考えますか? まず、子育てと職業と両立できると思うか、できないと思いますか?
光:自分が就いている職業によっても変わってくるとは思うんですけど、やっぱり人それぞれ違うと思うので一つにまとめることはできません。
文美:自分だったら?
光: 私だったら、たぶん子供ができたらやっている職業は辞めて、最初子供が幼稚園に行くまでとかそのくらいまでは、子供の子育てに一生懸命になると思います。そして、子どもが小学校を卒業してわりと自分の身の回りのことを管理できるようになってきたら、また働いてもいいかなと思っています。
沙来:仕事と子育てっていうのは両立できないと思います。やっぱり子育てしたい時は子育てをして、子供といっしょに楽しみたいし、仕事をしたい時は仕事に熱心になって、その仕事をがんばってやりたいから、中途半端な気持ちじゃなくて、どっちかにする。また子供が大きくなったら自分は働いて、子育ても家事とか基本的なことは少しやる。仕事をして子の面倒もよくみてっていうのは、ちょっと無理なんじゃないかなって思います。
文美:やっぱり家事とか子育てとかっていうのは女性の仕事だと思っていますか?
光:女性の仕事だとは思っていません。やっぱり家事が女性の仕事っていう考え方は、歴史から考えて、常識みたいになっているのかもしれないけど、別に女性がやらなくてもいいし。特に最近は女性が働くっていうケースも多くなってきているし、別に男性が家事を手伝っても全然問題は無いと思います。
侑希:私も河村さんと同じで、女性が家事と子育てをするって決まっているわけではないし、家庭によるけれど、働いている方が家事とかができないと思います。でも子育てと家事の両方に少しずつでも参加するようにしたらいいと思います。
はなみ:私自身としては、子育てとか家事は女性だけの仕事ではないと思っているんですけど。でも例えば結婚したとして、結婚相手がそういう価値観を持っているかは別問題だし、今の日本の社会体制として、やっぱり徐々にいくらかは改善されてきているとはいえ、「女性は家にこもれ」くらいの勢いがまだあるかなと思っているので、そこを何とかしてほしいと思います。
沙来:私も家事は女性の仕事として見たくないけれども、今、必ずしも実際に男の人が家事をやって女の人が働いているっていうようになっているわけではないから、主に女性の仕事として入れられてる。家事はそういうものだとして考えられているような気がするので、女性の仕事としても考えてもおかしくないのではないかと思います。
文美:あと、はなみちゃんから出たのは、もし自分の子供がちゃんと育たなかったらどうしようっていうことなんですけれど、どうでしょう。
光:子供にとって自分はひとりしかいないし、その子の人生っていうのも一回しかないわけだから、挑戦というふうになってしまうのかもしれないけれど、子供がちゃんと育つ・育たないというのは、やってみなきゃわからない。それを怖がって子供を作らないというのはちょっと…と思います。
沙来:私の場合は、親として子供に一番してほしいことは、のびのび生きてその人生を楽しんでほしいということです。子供に対してそういうふうに思いたいので、悪いことをしたら怒って、いけないってことを正して、また正しい道を歩んでほしい、と思います。
文美:そういうふうに正せる自信はありますか?
沙来:自信は無いですけれど、できる限り自分では正していきたいと思います。
侑希:子供が将来、殺人とかをするから育てるのが怖いっていう意見は、私もそう思うけれど、だからといって子育て、子供を産むのが怖いことって考えるのはだめかなって思います。
お母さんの疲れを少しでも少なく
文美:お母さんはけっこういつも疲れていると思うんですけれど、お母さんを疲れさせないためには、自分とか社会的にも何が必要で、どうしていったらいいと思いますか?
はなみ:やっぱり負担を減らすことですね。例えば、私もよく「お皿洗って」と言われて、「やだ」とかいうんですけど、結局は私が洗うことになるので、最初から素直に「はい」と言って洗ってあげること。あと社会としては、やはり少子化が進んでいるので、社会としての母親とか育児へのバックアップ体制が整わないと、どんどん少子化が進んで、老人ばっかりの国になってしまうので、そういうことをしっかり政府はやってほしいと思います。
光:今大嶋さんが言ったように、みんなが協力していくことが大切だと思います。私のお母さんは働いているので、仕事の方でももう疲れているので、お風呂を洗ったり、あと洗濯物たたんだりとか、そういう家事は私と妹がやるようにがんばっています。社会のことはあまりよくわからないんですけど、みんなが協力していけたら、ちょっとはお母さんは楽になるんじゃないかなと思います。
沙来:お母さんが今疲れているってわかっても、「何々手伝って」って言われて反抗して、それでさらにまた疲れを増やしてしまいます。お母さんの疲れからいろいろ自分がこうしなくちゃって思うことも多いので、出来る限り手伝ってあげて、お母さんが少しでも疲れないように考えていきたいと思います。
侑希:普段、平日はお父さんは会社に行っていて、家事のことは全部お母さんがやっていて、私がやろうとしても、お母さんは「やらなくていいよ」って言います。だから私もいつもあんまりやってないんですけど、お母さんはやっぱり疲れていると思うので、土曜日とか日曜日とかにお母さんをゆっくり休ませてあげたいです。
文美:はい。 それではこのラウンドテーブルを終わりにしたいと思います。皆さん、そして「お母さん」お疲れ様です。
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