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教育


 

変わりゆくパーソナル・コンピューティング
2017/07/19                     前田 佳菜絵(16)

 

 「パソコンを使いこなせていない人」と聞くと、多くの人が若いころにパソコンを使っていなかった中高年の人を想像するかもしれない。しかし、最近ではスマートフォンの普及に伴い「パソコンを使いこなせていない若者」が増えているという。NECパーソナルコンピュータ株式会社が2016年12月に大学生に実施したアンケート調査によると、大学生の約7割が自分のパソコンスキルに自信がないという。

 NECパーソナルコンピュータ株式会社で鈴木正義広報部長に話を聞いた。パソコンに苦手意識を抱いている若者が増えていることについて「スマートフォンの普及と関係している。今の若者はいわゆる『デジタルネイティブ』でSNSなどは使いこなせているが、新入社員は案外パソコンを使いこなせていない」といい、また採用担当者の6割がそれを感じていると鈴木氏は語った。同社は今年、女子大学生の意見を取り入れた新型ノートパソコンを発売した。商品のセールスポイントについて鈴木氏は「大きさ・バッテリー・重さ」の3つだと説明する。パソコン自体の機能ではなく上記の点を従来のパソコンより改善した理由について、鈴木氏は「パソコンスキルを上げるために一番効果的な方法は、パソコンを使う時間を長く取ることだ。より長い時間パソコンを使ってもらえるように、また大学生などが運びやすいような製品にした」「パソコンの中身を変えてしまったらほかのパソコンを使うときに操作しにくくなってしまうため、あえて中身はほかのモデルと同じにした」と話した。さらに、「パソコンからタブレット端末へと形は変わっても、コンピューターを使うという本質は変わらない」という理由で、タブレット端末の普及はNECにとって脅威では全くないと鈴木氏は言う。しかしその一方で「子どもへのIT教育は今や国策になっているから、そこではパソコンが必要になるだろう。今は10代のパソコン所有率が低いが、これからは1人1台パソコンを持つ時代が来るのではないか」「NECも子ども向けにプログラミング教室を行っている。プログラミングは論理的思考力をはぐくむためにも大切だ」と、パソコンから学べることの大切さについても強調した。最後に鈴木氏は「パソコンそのものの操作形態は変わらないから、どんどんパソコンに触れて慣れていってほしい」と改めて希望を表明した。

 一方、日本マイクロソフト株式会社コーポレートコミュニケーション本部の岡部一志本部長は「個人がコンピューティングする『パーソナルコンピューティング』という本質は変わっていないが、そのデバイスや使っているアプリが変わっている」「今の若者は、例えばキーボードのみならずタッチパネルで指で操作することも標準搭載されている、今までより進化したパソコンを使っている」と話す。そして、若者がパソコンに苦手意識を抱いているのではないかという質問に対して、「学生時代に最新型のパソコンを使っていた人が、就職してから古いタイプのパソコンを使わなければいけなくなった時に戸惑うのではないか」と答えた。また、「メールを送付する際の表現や表計算ソフトから内容を分析すること、プレゼンテーションの仕方などができない若者も多い」とも岡部氏はいう。そして「例えばパソコンとスマートフォンの間で連携させた機能や使い方を増やしていくなどといったことが、これからは必要ではないかと提案した。

 また、ある大手商社人事部に新入社員のパソコン使用状況についてメールで質問してみた。その会社は採用段階でパソコンのスキルは見ず、内定者研修の一環でパソコンスキルについて学ぶ機会があるが基本的には仕事をしながら身に着けていくそうだ。入社後はメールをする機会がどの部署でも多く、その時はタッチパネルとしては使うことができない一般的なノートパソコンを使うという。

 今回の取材で、「若者はパソコン操作に慣れるべき」などといった課題が明らかになった。しかし、まずはパソコンとスマートフォンの間の機能の落差を減らす、個人が使用するパソコンと企業がオフィスに設置するパソコンのモデルをそろえる必要がありそうだ。「パーソナルコンピューティング」の形が変化する中でパソコン利用者たちも足並みをそろえてコンピューティングに関わることが望まれる。

 

 

 


NECの鈴義正義広報部長

 

 

 

 

 

 

 

 

 


▲マイクロソフトの岡部一志コーポレーションコミュニケーション本部長