内田恵美早稲田大学助教授
2005/12/03 三崎 令日奈(18歳)
「こんばんは。遠くからよくいらしてくれました」と穏やかな笑顔で迎えてくれたのは、早稲田大学政治経済学部の内田恵美助教授(
34 )だ。私たち若者の身近にいる、将来こうなりたいと思う大人の一人として取材した。
わたしたちが考える「魅力的な大人」の条件として挙がったことは、自分の考えやポリシーがあること、視野が広いこと、お金以外の何かのために活動していること、自分の弱みも見せられること・・・。
研究室のドアをあけると、英語を担当している教授の本棚には言語学関連の文献がたく並んでいた。きれいに片付いた室内が教授の人柄を表すようで印象的だ。学生時代はスキューバダイビングのサークルに所属し、アルバイトをしては英語圏の国々へ旅行する日々。「そんな真面目な学生ではありませんでしたよ。今でも、なんであなたが先生をやっているの?といわれていますけれど」と笑う姿からとても充実した学生時代が想像できる。
内田教授は大学で英文学を学んだ後、イギリスに7年間留学する。「先生の人生を変えるような出来事は?」の問いに、このときの経験をあげた。パーティーに行くような楽しいことももちろんあったが、一日、二日寝ずに課題に追われたことも。自分ひとりという精神的にさびしい面もあり、今少し大変なことがあっても「あのときに比べれば」と乗り越えることができるという。
また、内田助教授がもっとも影響を受けた人は母親。将来のことを色々と考えていた留学中に「目の前のことをとりあえず一生懸命やりなさい。そうしたら、道が開ける」といってくれたという。この言葉は、英語科の主任となり、仕事の量がとても増えた現在も振り返ることがあるという。
英語の授業をする際には、たとえばプロジェクトではいくつかの選択肢から学生にやりたいものを選ばせる。読むだけでなく、書く、話す。受身ではない授業を心がけている。また、なるべく学生の興味のある題材を用いるよう工夫している。
実際に内田助教授の授業を受けている学生は「物事をポジティブに捉える先生で、例えば学生の答えに対して、それはだめ、ではなくここをこうすればもっとよくなるというようなアドバイスの仕方をしてくれる」と言う。
今の学生へのメッセージは「目標を持ってください。」 インタビュー中何度も出たこの「目標」という言葉が、内田助教授の人生や物事に対するポジティブな姿勢を表している。
「人生においてもっとも価値のあるものは、人と人とのつながり。頼ったり、頼られたりすることで、多くの部分が成り立っている」と終始笑顔で語る内田教授。その自然体で、謙虚な人柄は学生だけでなく多くの人に魅力的にうつるだろう。
若者の目に映る〜いま魅力的な大人たち〜
ポジティブに一生懸命 内田恵美早稲田大学助教授 2005/12/03 川口 洋平(15歳)
「全く今の若者は…」という言葉をよく耳にする。しかし、自分のことを棚にあげておいて「全く今の大人は…」という事件も多発しているのではないだろうか。自分の為にどんな卑怯な手も使う大人など反面教師が多いなかで、“ミリョク的”だと思える大人はいるだろうか。
そんななか、学生から人気を集めているという早稲田大学政治経済学部 英語主任 内田恵美助教授(34)に、なぜ“ミリョク的”なのか探るべく、インタビューをした。
学生時代の内田助教授は、文学部で英文学や言語学を学ぶ、普通の学生だった。しかし、その後7年間イギリスに留学し、その時の自分を大きく変えたという。
1〜2日寝ないで論文を書いて、提出した瞬間ストレスで泣き出してしまうような、精神の限界を経験し、今では「あの時に比べれば大丈夫」と思えるという。
そんな内田助教授でも、行き詰まってしまったり困ったりすることがあるという。そんな時、とりあえず目の前にあることを一生懸命やり、何事もポジティブに明るい方向で考えるようにしているという。
「目の前にあることを一生懸命にやる」という言葉は苦しかった留学生時代、一番影響を受けた、自身の母親から手紙で受け取った言葉だ。
今でも、その言葉を大切にし、生き方そのものになっている。
今後も、何事にも一生懸命に取り組み、自身の言語学の研究に取り組むほか、さらに広い視野を持って人生を送っていきたいという。
また、今の学生には「もっと目標を持って欲しい」という。日本の学生は経済的にも比較的恵まれているので、ハングリー精神に欠けるところがあり、甘えてしまって自分の人生が見えなくなってしまうことがある。
自分のなりたいもの、目標を見つけて「一生懸命」やれば夢が叶うことが多いので、がんばって欲しい」
自分が笑っていると、周りの人も笑ってくれる。そのように物事をポジティブに捉える姿勢や、常に「一生懸命」という姿勢が、学生から多くの共感を集めているのではないだろうか。
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