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教育


 

未来への投資
2009/12/12          飯沼茉莉子(13)

 2009 年 12 月7日からデンマークのコペンハーゲンで開かれるCOP 15 は 2005 年に京都議定書が発効して以来の重要な会議になる。 2013 年以降各国がどのように対策を進めるのかという次期枠組みが決まるからだ。鳩山首相が打ち出した温室効果ガス 25 %削減の表明が、世界各国から注目をあびているなか、政府はどのように考えているのだろうか。

 民主党地球温暖化対策本部事務総長として温暖化対策に積極的に取り組み、COP 15 にも参加をする外務副大臣福山哲郎氏にお話しをうかがった。

 私たち若者が今取るべき行動は何だろうか?

 「温暖化対策は人類にとって長く厳しいチャレンジですが、新たな豊かさを作っていくための希望のシナリオになるかもしれません。しかし、この問題はすぐに解決しないため、その思いを次の世代の人々につないでいかなければいけない。受け継いだ人々は先輩がやっていることを認め、時には批判しながら、プレーヤーとしてそれを回りにつないでいってほしい」と言う。

 新聞には温暖化対策で、いまの家庭へはもちろん、将来は私たち子ども世代にも負担が増えると書かれているため、この問題にはとても関心がある。

 こうした指摘に対して 福山さんは、「温室効果ガス削減対策をすると消費者の経済的な負担が増えると言われています。しかし、『負担が増える』というのは一種の脅しの言葉です。太陽光発電やエコカーを普及させるために国が支援をするので、そのための負担は将来のための投資だとポジティブに考えてもらいたい」と語る。『負担が増える』だとばかり言うことは、気候変動へのチャレンジを国民から奪うということであり、この負担は未来につながることなので皆で頑張ろうと国民に負担の意味をしっかり伝えることが政府に必要なのだそうだ。

 今までに取材してきたNGOの人々から、気候変動を改善していくには温室効果ガス 25 %削減では温暖化を抑えるのには不十分だという意見が出ている。それに対して福山氏は冷静な態度で、「まずは目の前にある 25 %削減を先に考えている。ステップ・バイ・ステップでやっていけば良い」と語った。

 国民はこの不景気の中で、温暖化対策によってこれ以上負担したくないと思う人は多いと思う。しかし、福山氏の言う通り、温暖化対策への負担は将来の自分たちへの投資だと思ったほうがい良いだろう。政府が、この負担は新たな豊かさを作っていくための希望のシナリオになると呼びかければ、国民の温暖化に対する気持ちは変わってくると思う。

日本を先進的な環境対策国モデルへ
2009/12/12          三崎友衣奈(18)

  今年9月に鳩山首相が発表した「首脳国の同意の上での温室効果ガスの 1990 年比 25% 削減」をみなさんはどう思われただろうか。経済界からは「現実的でない」「国民の負担が増す」と反対される一方で、環境活動家、環境 NGO 等からは歓迎された。前政権の目標数値の 15% ( 2005 年比、 1990 年度比では 8 %)に比べると飛躍的な変化だが、 IPCC (気候変動に関する政府間パネル)が発表しているデータによると、地球温暖化を止めるために必要な主要国の温室効果ガスの削減数値は 25 〜 40% なので、 25 %は最低ラインの数値設定である。

 今まで環境対策に消極的だった日本による大幅な目標数値の変更は世界で注目された。一方で鳩山政権が掲げた政策の中の高速道路無料化や暫定税率の廃止が環境対策に反しているとして批判を浴び、まだ目標数値をどう実現していくかを具体的に提示していないことと重なり波紋を広げている。

 政府は環境問題という、現在だけでなく将来に重くのしかかってくる問題に対してどう考えているのか、これから日本として、どういう姿勢でこの問題に向き合っていけばよいのだろうか。外務副大臣の福山哲郎氏を取材した。

 福山哲郎氏は 1997 年の地球温暖化防止京都会議( COP 3)に民主党コーディネーターとして参加し、その後も環境問題について熱心に取り組んできた。地球温暖化対策本部事務総長などを経て今年9月から外務副大臣に就任した。

 福山氏は環境問題の将来についてとてもポジティブだ。環境問題への対策で懸念されている国民への経済的負担は「未来への投資」、高速道路の無料化は「一般道を含めて渋滞を緩和し CO2 排出を削減するため」と考えている。環境 NGO が温暖化を抑えるには足りないとする温室効果ガス削減目標の 25 %という数値についても「 2050 年までに温室効果ガス 80 %を削減する目標への一つのプロセス」、目標の実現性の問題も「環境問題において現状維持は意味がない。なぜ削減できないかを議論するより、これからどうやってその壁を乗り越えていくかを考える必要がある」と話し、長期的な問題に対して焦らず、経済とのバランスを考えながら対策を進めていくという姿勢を示した。

 また福山氏は、将来の問題の担い手である若者の環境活動にとても関心を持っている。環境問題はどこかの時点で誰かが何かをやって解決するものではなく、それを次の世代に繋いでいくことが大切であると強調し、「問題はこれからもずっと続くもので、若い人たちにはまずしっかりと現状を受け取ってもらいたい」と語った。

 「環境問題は避けては通れない問題。そこで日本がいち早く経済と環境問題とのバランスのとれた社会をつくり、世界に示すべきだ。」福山氏は問題を恐れることなく、あくまで「未来に繋げる環境問題」として見ている。

 現状を目の当たりにしている若い世代の一人として、福山氏が何度も使ったフレーズ「厳しいけれど新たな希望をつくるシナリオ」を実行していく一人となりたい。

今すぐ必要な政策はもうすぐ?
2009/12/12          藤原 沙来(19) 

 日本政府は、気候変動に関する政策を一体、いくつ国民に示しているだろうか。気候変動とは何か、日本ではどのような影響があるのか、改善のために何をしたら良いのかなど、不透明な部分がいまだに多いのが実状である。 2009 年 12 月 7 日からコペンハーゲンで行われる COP15 (国連気候変動枠組み条約第 15 回締約国会議)が、まもなく開催される。もっと国が主体的に気候変動と向き合っても良いのではないだろうか。

 2009 年 9 月 22 日、鳩山由紀夫首相は「 1990 年比で 2020 年までに、温室効果ガス 25 %削減を目指す」と国連気候変動首脳会合で、中期目標を表明した。それから数か月たった今、日本では気候変動改善に向けた具体的な削減方法や活動はまだ明示されていない。“主要各国が合意したら”という条件付きで表明したが、主要各国に合意してもらうためにも、“数値目標達成のために何をしなくてはいけないのか”を示す必要があるのではないだろうか。

 政治家として以前から地球温暖化問題に関わり、民主党地球温暖化対策本部事務総長として講演などを精力的に行っている福山哲郎外務副大臣( 47 歳)に話を聞いた。

 副大臣はまず「気候変動問題は長く厳しいチャレンジになる。温室効果ガスを 25 %削減するために何をしなければいけないのか、具体的な案を練っている最中」だと説明した。

 新政府になって、まだわずかということもあり、政策作りのために必死に動いているようである。新たな政府として国民に伝えたいのは、「現状維持ではだめです。ポジティブに物事を考えて、多少負担がかかるとしても今の段階は、希望へのシナリオだと思ってほしい」ということだそうだ。

 具体的な政策を考えている最中で具体的なことはまだ決まっていないと言うが、気候変動は政策を決めている時間にも深刻さは増し、待ってくれる問題ではない。今すぐに改善のために手立てを打たなければいけないのである。

 そこで、今すぐにみんなで活動しようと呼び掛けたいところではあるが、実際は若者の気候変動への関心が低く、改善のための活動自体に意欲的ではない様子が見られることもある。そんな若者に対して福山氏は、「気候変動について知っている人が 1 人でも多くの人に伝える。若者ならではのネットワークを利用して改善のために何ができるのかを共有してほしい。さらに、将来気候変動問題に向き合うプレーヤーとして活動できるように意識を高く持ってほしい」と語った。押し付けたり強要したりせず、“エコはおしゃれなのだ”と感じてもらえれば早く広まるのではと提案もしていた。若者は若者に影響を与えられるよう、地道に活動していくことが求められているようだ。

 では、今後政府は何をしていくのだろうか。気候変動問題に取り組むにあたり政府の課題は、「経済面と気候変動改善をどのように混ぜるかが課題。地球温暖化対策基本法の成立、将来を見据えたプロセスをどのようにするのか、また国民の理解をどう求めていくかということも課題」といくつか挙げた。これらの課題をクリアしていくために今、色々と策を練っているそうだ。

 経済的な負担をかけることで技術開発が進み、再生可能な材料を使った原子力発電や風力発電などが将来可能になるかもしれないということから「未来につながるという思いを持って協力し合わなくていけない。国民にかかる様々な負担は将来への投資」と今後かかるかもしれない国民の負担についても話した。

 政治家として気候変動改善のために今後やらなくてはいけないことはたくさんある。しかし、まず「数値目標に掲げた温室効果ガス 25 %削減のために何をしたら良いのかといった具体案は、きるだけ早く提示したい」と語った福山外務大臣。その言葉を信じたい。

 温暖化は現実に起きている問題であり日々進行している。私たちが引き起こした問題は私たち自身で改善しなくてはいけない。改善する時は、将来ではなく、今である。“今”起こっている問題に“今”向き合わなくてはいけないのだ。地球に住む私たち自身が、危機感を持って、行動を起こさなくてはいけないのだ。政府が具体案を提示するのは COP15 前にともいうが、本当にあと数日間で日本の具体的な将来像が見えてくるのだろうか。

 経済的なことなども絡み、簡単な問題ではないが、政府、国民、世界が一体となって改善しなくてはいけない問題なのだと改めて痛感した。

 政府の積極的な行動案を期待して待ちたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲福山哲郎外務副大臣へ取材