自立に挑戦する子どもたち
2011/06/01
飯沼 茉莉子(14)
チルドレンズエクスプレスのカンボジア取材プログラムとして訪れたプノンペンは、 首都であることから、 高級ホテルがいくつも建ち並んでいた 。しかし、カンボジアは、長く内戦が続いた途上国であり、少しずつ経済は発展しているものの、人々の生活が豊かであるとは感じられなかった。 注目したのは孤児や貧しい農村地方の子どもたちの 自立支援だ。
プノンペン市内にあるFLO(Future Life Orphanage )という孤児院を訪れた。 Nuon Phaly会長 は「ここには、6歳から16歳までの390人の子ども達がいます。そのうち100人は村から通っていて、残りはここに住んでいます。100人の子ども達は、午前中は公立学校へ通っているので、午後からここに学校外教育(Non-formal education)を受けにきます。村から通っている100人の子どもたちも受け入れたいのですが 、ここにはもうスペースもないので、親のいない子ども達を優先的に受け入れています」という。
FLOには、パソコン、空手、カンボジアの伝統的な踊りのクラス 、さらに 日本語、英語、クメール語などコミュニケーションに必要なクラス もある。それは孤児達が将来少しでも良い職業につくためだ。子どもたちも自覚していて「英語ができないとパソコンも使えない」「パソコンが使えると、将来仕事に就くときに有利だ」と語っていた。
FLOを卒業してから 、もっと勉強をしたい子ども達に対しては、2年間大学の授業料を払うという。大学に行かない子どもは、専門学校に進んだり、職業訓練を受けるそうだ。自立してからも、必要な子どもに対しては、日常生活を送れる程度の資金や食べ物も援助しているという。
FLO の子ども達は様々な理由で孤児院に集まってきている。母親がHIV のために、子どもだけが 連れてこられたり、両親を亡くして伯父や叔母に連れてこられた子ども、当時の記憶がない子どもなどがいる。
次に訪れたのは、孤児院ではないが、優秀な生徒を貧しい農村地方 から集めて 全寮制で勉強をしているBFKH(Bright Future Kids Home)という施設だ。BFKHは2007年9月に日本や米国から寄付援助をうけて米国人ジャーナリストによって設立された。代表者のPark Savang氏 によると 現在中学1年生から高校3年生までの 48人がここで授業を受けているそうだ。
「ここに住んでいる子ども達は孤児ではありません。優秀なので、地元の小学校の先生に推薦されてきた子ども、テストに合格をした子ども、私達が派遣したスタッフによって選抜された子ども達なのです」とSavang氏 は胸を張った 。家庭の経済的な事情や、本人の勉強への意欲をみて、受け入れるかどうかを面接を通して判断されるが、 地元に高校がないなど、田舎に住んでいる子どもも多いため、BFKHに入ることが決まった時は、家族全員で喜ぶという。
生徒 達は朝4時30 分から5時の間に起床 し、午前中は公立の学校で授業を受ける。 午後からBFKHで英語、クメール語、パソコンの授業を集中的に受けるそうだ。日本語のクラス も週に2回ある。ここでもFLOと同じように、パソコンと英語のクラス には特に力を入れている。「パソコンができると、世界が広がるし、レポートや調べ物をする時に役に立つ」と彼ら は話した。パソコンのクラス では、専門の先生からHTMLやエクセルを習っているそうだ。子ども達に取材をしてみ ると、全員 パソコンを使いこなし、世界の様々な情報を取り入れているらしく、知識が豊富だった。
BFKHには将来医者を希望する子どもがたくさんいた。「医者になって病気の人を助けたい」、「医者の足りない田舎に行って、病気の人を助けたい。」子ども達はこのような夢を抱いて、今必死で勉強をしている。しかし、副代表のSarun Panharith氏によると、カンボジアの医大の学費は 日本円で年間250万円だそうだ。これを個人で8年間払い続けるには相当 無理がある。奨学金はもらえるが、医学生にとっては学費の8%にしかならないそうだ。だが、BFKHはカンボジア・デーリーという新聞社と連携 して、医学部の学費を援助してもらえるスポンサーを探すという。ただ、BFKHは設立されたばかりであるため、医大 に入ったという実績はまだ一度もないそうだ。これから生徒が、たくさん医大に入った時、学費をどうするかが当面の課題だ。
カンボジアの子どもたちを支えるNGO
2011/06/01 富沢 咲天(15)
カンボジアでは多くの子どもたちが学校に行かれず一日中働いている。18歳未満の子どもの労働は国の法律で一応禁じられてはいるが、国民の認識はまだまだ薄い。2001年に行われたカンボジア児童労働調査によると227万6千人の子どもが働いており、これは5〜17歳の児童人口の半分以上で、5〜14歳の児童人口でも45%に上る。
貧しい家の子どもたちをどのように労働から解放し学校に通えるようにしているのかを知るため、プノンペンにあるPIO(People Improvement Organization)というNGOに取材した。 インタビューに答えてくれたのはPIOを設立・ 運営している専務理事のNoun Phymean さん。彼女は 子どもたちが働いているゴミ山(ゴミ集積場)に通うのが日課だ。 PIOの主な活動内容は公立学校に通えない子どもたちのために学校を開き、教育を受けさせることである。
PIOはStung Mean Chey Education Center(児童数280人)、Borey Keila Education Center(310人)、Borey Santipheap II Education Ceneter(230人)の3つの学校を運営し、今までにおよそ2千 人の子どもたちに教育の場を提供してきた。カンボジアでは、貧しいため子どもも働いて当然と考える親は少なくない。Phymeanさんは以前、1日10〜12時間もゴミ山で働いていた8歳の男の子を見つけたことがあるそうだ。彼女とスタッフは毎日ゴミ山に足を運び、そんな子どもを見つけては、学校に来させるように親を説得し、家庭に米を提供している。
プノンペンにあるStung Mean Chey Education Centerにはすぐ隣にゴミ山があった 。 子どもが素手やサンダル履きでゴミ山に入って働くなど、日本では信じがたい光景が貧しい彼らの日常にある。
ゴミ山以外にも、働きに出ている両親に代わって一日中家事をさせられ、弟妹の面倒をみている女の子も多いそうだ。そういった子どもたちは発見が難しい。そのためPIOでは一軒一軒訪ねてそのような子がいないか確かめているという。
他にもレンガ工場で働くなど、危険な重労働をさせられている子どもたちがいる。このような仕事では大ケガをしたり事故で死んだりすることもある。死に至るまでいかなくとも体をこわし寿命が縮む場合が多い。しかし危険な工場は郊外や田舎にあることが多いので PIOの手が届かず支援が難しいという。
PIOが子どもたちを保護する他にもう一つ力を入れているのに 職業訓練プログラムがある。これは貧しい子どもたちが学校を卒業して社会に出ていく時に必要なスキルを学ぶトレーニングのことだ。すぐにお金を稼ぎたいあまり、売春まがいの接待のあるカラオケやレストランなどの仕事に就く女の子たちが多いという。
だからPIOでは自分の体を売らずに働くことができるように、コンピューター、ヘアメイク、ビューティーサロン、メイクアップ、クッキングなどのトレーニングを子どもたちに行っている。私たちが取材している間も、若い女性がメイクとヘアアレンジの練習をしていた。対象となっているのは14〜18歳の若者。ヘアメイクなどのトレーニングは女子限定だが、男子はIT関係などのトレーニングに参加しているそうだ。トレーニングを受けた後はそれを生かしてビューティーサロンで働いたり、友達同士で会社を起業したりすることもあるそうだ。PIOの役割は彼らに安定した職を紹介してあげることで、学校を出た後のことも考えて 自立支援を行っているのがうかがえる。「他にもバイクや車の修理の訓練 を希望する男の子が多いから将来始めたい」と Phymean さん は意欲的に語っていた。
うまく いっているようにみえても 、PIOにもいくつかの問題がある。まずは受け入れられる子どもたちの人数に限度があるということ。カンボジアでは学校に通えず働いている子どもたちが本当にたくさんいる。そんな子どもたちを全員救うのは資金の問題があり 不可能だ。PIOの各学校には待機リストというものがあり、現在各校で150人ほどの子どもたちが学校に入るのを待たされている。PIOには孤児院もあるのだがそこの受け入れは50人が限度だそうだ。「本当はもっと受け入れたいのに」と残念そうにPhymeanさん は語った。これらの問題を解消するにはやはり資金が必要である。PIOの運営は全て寄付金でまかなわれているが、二年前に米国で起きた金融危機に続く不景気によって資金を出してくれるスポンサーが減って いるらしい。これはどのNGOも共通の問題だろう。
今回の取材では、カンボジアの子どもたちの置かれている状況を実際に見て多くの衝撃を受けた。ゴミ山の子どもたち、信号で止まった私たちの車に寄って来る物売りの少年。カメラを持つ手が何度もためらった。
答えのでない子ども買春問題
2011/06/01 谷 彩霞(15)
カンボジアが直面する 様々な問題のなかに 「子ども買春」 がある。 中学生や高校生の 年齢の少女達が家計を支えるため に体を売 ることが多く、様々な問題が絡まって いる。なぜこのようなことが起きてしまったのか。また、子ども買春を解決する為にカンボジアではどのようなことが行われているのかについて 首都プノンペンでNGOと新聞社に取材 した。
The Daily Cambodia新聞の編集主幹Douglas Gillison氏によると、カンボジアでは1975年から1979年にかけてクメール・ルージュ政権や内戦により知識人の大量虐殺が行われ、 死者は200万人に上った。多くの知識人が殺害されたため、カンボジアの経済状況が悪化し 国民の3割が貧困層 という状況に陥ってしまった 。カンボジアで一家族の1日の平均収入は2ドル以下。そのため、子ども達も働くのが当たり前なのだ。その中でも一番速く収入を得られるのが体を売ることである。
日本を出発する前に取材したNPO法人国際子ども権利センター(C-Rights)代表理事の甲斐田万智子氏によると、カンボジア王国憲法68条によって全ての国民は9年間義務教育を無料で受けられると保障されているそうだ。しかし、
ECPAT(End Child Prostitution , Child Pornography And Trafficking in Children for Sexual Purposes、子ども買春、子どもポルノと性目的の子ども売買を止める会)の 専務理事Chin Chanveasna氏によると、子ども買春を強いられる 多くの子ども達は正規の教育を受けていないという。 こうした少女達は家計を支えるために、学校がある日も働かざるをえず、学校を途中で止めなくてはならない 。また、 教師の給料はとても低く、テストを受けるためには教師にお金を払わなければならないそうだ。 そのため、お金を払えない 子ども達は 学校を辞めて働かなくてはいけないのである。子ども達は教育を受けていないため、働くといってもお金をたくさん稼ぐには 体を売る事しか出来ないのが現状だ。
Gillison氏によるとカンボジア政府の国家予算は120億円しかないため、子ども買春の問題は NGO が受け持つ状態で、資金がなかなかまわらないという。
このような状況の中で子ども達に対してNGOでは、エイズ予防、職業訓練、心理的支援を行うなどして、被害児童が経済的に自立できるよう支援をしている。しかし、ECPATの Chanveasna氏によると、子ども買春をしている多くの子ども達は、自分の意志でおこなっている ことが多いと言う。
彼女たちは 一家の長女である事が多く、自分を犠牲にして家計を支えなければならないという考えが根付いているため、子ども達の意識を変えることは難しいようだ 。そのため、買春から本当に抜け出したいと望んでいる子どもしかNGO の支援が受けられない状態なのである。
NPO法人 かものはしプロジェクトの岩澤美保氏によると、NGOでは農業技術やバイクの修理などの職業技術訓練や、被害にあった子ども達が見習いとして働ける縫製工場を提供しているため職業訓練でも収入が得られるものの、買春をした時のような収入は得られないそうだ。 また、Chanveasna氏によると、被害児童の家族は経済的自立のための支援を受けられないため、家族を支えるために多くの子ども達がNGOのシェルターから逃げ出し、また子 ども買春に走ってしまうのが現状だそうだ。
岩澤氏は「 カンボジア政府が 買う人を取り締まるために 警察に 訓練を行っている」そうだが、People Improvement Organizationの Noun Phymean専務理事によると「 最近の子ども買春は人目のつかないカラオケボックスで起こる事が多く、なかなか摘発が出来ないのが現状である」という。
また、 Chanveasna氏は「 子ども達は被害者ではなく容疑者とされてしまう場合が多々ある。そのため、 警察が買春する大人 を確実に逮捕し、犯罪を未然に防げるように政府が訓練を行っているが、彼らを 逮捕しても、 賄賂により釈放をされてしまうということが多くあり、なかなか買春 を減らすことができない」と言っている。
Gillison氏によると、カンボジアの子ども買春の数は経済が良くならない限り今後増えて行くという。 貧困が無くなっただけでは解決しないかもしれないが、 子ども買春をひとつでも無くすために現地のNGO の努力が続けられている。
カンボジアでみた現実ー子ども売買、NGOの自立支援
2011/06/01 青野 ななみ(17)
「家族全員飢え死にするか」「一人が身体を売るか」こんな選択を迫られている家族がいる。
カンボジアは1975年ポルポト政権による大量虐殺により知識人がいなくなり、不安定であったが、経済も徐々に回復してきており、2004年から2007年まで年率二桁の経済成長率を記録した (外務省)。だが依然として 世界でも特に貧しい国のひとつである。 子どもの労働が家庭の主要な収入源であり、子ども買春が日常的に横行している。隣国タイとの国境規制が緩いため、タイにも売られ、強制労働や性的搾取を強制させられる。こういった子どもたちは、薬物中毒やHIV、精神的障害に陥ってしまうケースが多くある。(AFN大阪 『カンボジアレポート2007』)
私たちと同じ年齢、あるいは幼い子どもがなぜ身体を売らなければいけないのか。NGOはどのような自立支援をしているのか。現状を知るために取材をした。
まず訪れたのはThe Future Light Orphanageという孤児院である。 日本で孤児とは親がいないことを指すが、カンボジアでは親が親としての役割を果たしていない場合も含む。ここで取材をしたRom Put Chetra くん (20) に、「カンボジアの女の子たちは、なぜ身体を売ることをせまってくる親に対して、自分が身体を売って家族を養おうという気持ちになるのか」と聞くと、「日本ならば 親にお金を渡せば支援になるだろうが 、カンボジアではそのようなシステムが確立されていない。自分しか親を支えられることができないからだと思う」と答えた。
次に取材した NGOの People Improvement Organization(PIO )は女性やストリートチルドレンに教育や職業訓練を提供することで貧しい家庭の生活の質の向上を目指している。 「女性に焦点を当て るのは、子どもを産むのは女性にしかできないことであり、助けられる数が増える」と設立者で専務理事 のNoun Phymean 氏 は 語った。貧困家庭にはお金ではなく、お米を提供し、子どもには 働く代わりにPIO が運営する 学校での教育を受けさせている。案内された学校や孤児院はゴミ山(集積場)に隣接しており、決して良いとは言えない環境の中、勉強している子ども達がいた。服を着ていない子ども、ゴミをあさる 犬や子どもたち、日本では見たことのない光景が広がっていた。Phymean氏 がその中をヒールで 歩き、子ども達に声をかけている姿はたくましかった。
End Child Prostitution, Abuse and Trafficking in Cambodia(ECPAT )はカンボジア国内の人身売買(子ども買春や子ども労働)を扱っているNGOの中間支援組織で、世界的ネットワークがある。「 身体 を売って生活している子どもの多くは、自分が働いているから家族が生きていける と思っているために困難を極める。買春被害の子どもだけを保護しても、その家族は彼女からの仕送りがないために、餓死する可能性が高く、保護された子どもはシェルターから抜け出して買春に戻ってしまう。さらには、教育を受けていない親にその危険性を話しても 理解ができないのだ」と代表のChin Chanveasna氏が語った。
多くのNGOを 取材 して、共通していたのは資金の確保の厳しさである。何人が自立したのかを把握し、実施したプログラムの効果を立証するにはかなりの年月がかかる。 最も重要なのは“いかに現実的であり継続可能であるか”だということがわかった。
子ども買春に単純な 解決策はない。それは経済や歴史などあまりにも多くのことが複雑に絡まっているからだ。だが、小さなことから現実的に行動すれば少しずつでも改善することにつながることを期待したい。 私達の当たり前が彼らにとっては当たり前ではない。しかし、私達の当たり前が彼らにとって幸せになるのか。実際に足を運び現実を知り、さらなる問題意識が高まった。
ストリートから自立するために
2011/06/01 堀 友紀(17)
2011年3月にカンボジアの首都プノンペンを訪れた。この国で特に興味を持ったのは、ストリート・チルドレンの自立支援として行われている職業訓練だ。
「Please」
そう言って私の前に置かれたカンボジアンカレー。私達はFriends-InternationalというNGOのカンボジア支部が運営している「Friends The Restaurant」というレストランを訪れた。ここで働いている人達は皆、かつてストリート・チルドレンだった若者達である。
店内の洒落た雰囲気、料理の外見や味もさることながらサービスのレベルの高さに驚いた。お店に入ると、「student」と書かれたTシャツを着たウェイターである若者が出迎え、食事中には常に誰かがテーブルに目を配り、何か不備があればすぐに対応している姿は訓練中といえどもプロ顔負けの働きぶりであった。
「Friends The Restaurant」で行われているような職業訓練をFriends-International Cambodiaでは全部で11種類行っている。中には「裁縫」や「ヘアメイク」などといったものがあり、1クラス約30〜40人が所属している。どの訓練を受ける かは選択できるそうだ。彼らはこれらのプログラムを通じて、社会に直に接し、より早く社会に適応できるようになる。職業訓練 だけではなく、社会に自分の力で出ていけることが真の自立なのであろう。
しかしプロジェクト・マネジャーのMarie Courcel氏 によると、職業訓練を全員が無事に 終えて仕事に就くというのが現状ではなく、途中で脱落をしてしまう子もいるようだ。訓練センターを抜け出してしまう子どもの多くは麻薬を服用していた者だという。そのため、他のNGOでは、訓練を受ける年齢制限は 大人になる 18歳までであるにもかかわらずFriends-Internationalでは24歳までの若者を受け入れているそうだ。その理由としては、第1に、ストーリート・チルドレンで麻薬を服用している若者が少なくない中、更生するには4〜5年かかり、その後、職業訓練を受け始めたとしても18歳までに訓練を終えることができないということ。第2に、ストリートには20〜21歳が1番多くいる。そこで、24歳までの年齢に引き上げることによって助けることができる若者の幅が大きく広がるという。
カンボジア支部のコーディネーターであるKhemreth Vann氏によると、訓練を終えた若者の進む道として、主に2つが挙げられるそうだ。企業に就職することと自分で起業をすることだ。訓練中にも全力でサポートをしているスタッフたちだが、 訓練を終わったからといってサポートを終えてしまうのではなく、仕事に就くまで全面的にサポートを行っているそうだ。
就職を希望する若者にはスタッフが就職先を探してくる。また、起業をしたい若者がいれば資金を貸し、フォローアップを行うという。起業した後も1ヶ月に4〜5回の頻度で様子を見に行き、だんだん回数を減らしていくそうだ。このようなサポートは1人につき1人がケース・マネージャーとしてついているという。職業訓練を受けた後、技術を身につけることができるようになることに加え、自分の未来がはっきりと見えるようになるという。このような効果はケース・マネージャーの行っているカウンセリングの効果が大きいようだ。
スタッフの熱心なサポートの結果、2009年からは訓練を受けた後に仕事に就くことができた若者は急激に増えたという。
逆境を乗り越えて懸命に自立しようとする彼らの頑張り、そしてそれを全力でサポートし続けるNGOスタッフの献身的努力 は確実にカンボジアの発展への希望の光となり、力になるだろう。 |