宿題代行サービスとは?
2015/11/24
村上 類(17)
宿題代行サービスの存在を知っているだろうか。テレビなどのメディアでもたくさん取上げられ、多くの宿題代行業者が現在は存在している。ビジネスとして問題ではないのか等の賛否両論が上がっている。今回はその宿題代行サービスの実態に迫った。
宿題代行屋Qの板津知直さん(31)は、やっている人が少なく、インターネットを使える仕事である点に目を付けていた。そもそもサイト売買のサイトで売られていた宿題代行を買って、ブログという形式で昨年の夏にスタートしたのは、塾のように市場が出来上がってなかったからだと話す。
基本的には板津さんを含め8人ほどの登録者で宿題代行を行っているが、特に今年の夏は依頼数が300件以上あり一部は断ったそうだ。効率が良い勉強をしたいと思い、なおかつ金銭的にも余裕がある人からのニーズが大きく、それらの人に時間の無駄と考えられている宿題を代行している。
宿題代行屋Qの特徴は高品質、依頼者の勉強に役立つ解説書を作ることだそうだが、一つ一つに時間がかかるため沢山の依頼を引き受けることは出来ない。中でも苦労する依頼は枠から外れている宿題だそうだ。裁縫、本を作る、曲を作る等の宿題は依頼者の年齢に見合ったものを作る必要があるからだろう。しかし今まで一回も宿題代行が学校側にばれてトラブルになったことはないそうだ。
宿題代行業者が宿題を代わりに行うことは子供のために全くならない、子供に宿題をあたかも自分でやったかのように演じさせることはよくないなどの反対の意見を提唱している人もいるが、それらの世の中の目については予想通りで、批判があって当たり前だと板津さんは話す。しかし必要なニーズに答えるには、当たり前だと思っていたことをひっくり返して仕事にすることもあってもいいと言った。
時代の背景を反映したサービスと言えるであろう宿題代行。人によって自分にあった勉強の仕方は違う。宿題代行サービスを使うかはあなた次第だ。
「宿題代行サービス」から見る、現代の教育制度の問題点
2015/11/24
前田 佳菜絵(14)
皆さんは「宿題代行サービス」という言葉を聞いたことがあるだろうか。宿題代行サービスとは、その名の通り宿題を代行してくれるサービスのことだ。しかし、一般的に考えて宿題を他の人にしてもらう、ましてやお金を払って業者にやってもらうのは「やってはいけないこと」という認識の人が多いだろう。例えば、Newsweek日本版websiteのコラムニストで在米ジャーナリストの冷泉彰彦氏は、この風潮を、親と子供が業者と共謀して「教師をだます」行為だと問題視している(2015年7月30日同website)。また教育評論家の石川幸夫氏は、教師は代行を見抜けると自信をつけるのではなく、社会環境の変化にあわせた宿題のあり方についても真剣に検討すべき時代になっている(8月22日付産経新聞)と指摘する。
このようにサービスに否定的な意見が多いことに対して、実際に宿題代行サービスを行っている業者はどのように思っているのだろうか。そもそも、どのような思いで宿題代行サービスを行っているのだろうか。宿題代行屋Q代表の板津知直さん(31)に取材した。
なぜ宿題代行サービスを始めたのか、と聞くと板津氏は「誰もやっていないことだから。教育に関したビジネスをやろうと思ったが、個人参入は旨味が無いし勝てる自信が無かった。インターネットのサイト売買でこのサイトを購入して、去年の夏から始めた。もともとは『便利屋』のようなものだったが、それを宿題代行だけに特化させた」と語った。夏休みの宿題がある時期が最も依頼者が多いと板津さんは話し、「夏以外は大学生や資格勉強をしている社会人からの依頼が多い。今年の夏は依頼が多過ぎて、半分以下しか受けられなかった。しかし、その分高品質なものは提供している」と語った上で、「『上位の人』は、彼らにとって無駄なことはやらない。だから、そう いう人たちの依頼を受けるためにあえてサービスを高額にしている」と話した。また、苦労する依頼について聞くと「『枠から外れる』もの。読書感想文などは枠が決まっているが、裁縫や絵本作り、作曲などは苦労する」と板津さんはこぼした。
宿題代行サービスに賛否両論あることについて板津さんは「当然だと思うし、予想通り。常識的に考えたらダメなことだからね。でも、あえて僕は着眼点を変えて、誰もが『いけないこと』と思うこのサービスを始めた」と誇らしげに語った。また、宿題を親などに手伝ってもらうことと宿題代行サービスを利用することの違いは「料金を払うか払わないか以外は無いと思う」と話した。サービスを始めてからの約1年間、学校側に代行を指摘されたなどのトラブルはないという。「学校側は宿題を丸投げしているから、正直意味が無い。実際、先生たちは代行に気づいていると思うけれど、変に指摘もできないのだろう」と板津さんは推測した。
宿題代行サービスの是非を語る上で、サービス推進派と反対派のどちらもが挙げていたのが「教育のあり方」についての批判だ。今のような教育制度では宿題代行サービスがあっても当然だし、教師側が指摘できないのも納得できること、というのが双方の意見をまとめた結果だ。私たちは、今「宿題代行サービスの是非」を語るより先に「教育制度の是非」についてもう一度考え直すべきなのだろうか。
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