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社会 座談会

ファストファッションでおしゃれを楽しむ

2000 年代半ばから使われるようになり、 2009 年新語・流行語大賞トップ 10 にも選ばれた「ファストファッション」。低価格の衣料品を、流行を取り入れながら短いサイクルで大量生産、販売するファッションブランドやその業態を指す。ファッションに敏感な高校生、大学生がファストファッションをどう捉えているのかを語った。

参加記者:大久保里香(18)、寺浦優(15)、持丸朋子(15)、南雲満友(15)、 司会・編集:寺尾佳恵(ユースワーカー)
2010/05/10

利用が広がるファストファッション

佳恵:ファストファッションと聞くと、どんなお店を思い浮かべますか。

里香:ユニクロを思い浮かべます。後は H&M や ZARA 。海外のお店が多い気がします。

優 :私は FOREVER21 によく行きます。しまむらも今流行っていると思います。

朋子:日本のブランドだとユニクロが一番に思い浮かびます。ファストファッションのお店は原宿とか渋谷とかに多いような気がします。

佳恵:みんなは実際それらのお店で洋服を買っていますか?

里香:コートとかレギンスとか、どこにでも売っていそうなデザインの物はファストファッションのお店で買います。 T シャツとか「あ、あれユニクロだ」って見てわかるようなのはあまり買いたくないです。

満友:その時流行の物を買います。 H&M とかだと安いし、デザインもいいので、ワンシーズンで捨てても大丈夫かなと思い、よく買っています。

朋子:ファストファッションって安い代わりに物が良くない場合もあるので、使える期間が短いと思って、流行の物を買います。

優 :私は海外のデザインが好きで、サイズもいろいろあるので、 FOREVER21 とか H&M はよく利用します。流行りの服は安いところで買っていて、毎年使えるような物は高いところで買います。

佳恵:新しいお店なわけではなくて、しまむらは 1953 年から、ユニクロ(前身のサンロード)は 1974 年からありますよね。 2008 年以降、 H&M や FOREVER21 が日本に出店して注目を集め、ファストファッションと言われるようになったけれど、 2009 年の流行語大賞トップ10に入る前後でファストファッションの捉え方は変わりましたか。

里香:以前は、ユニクロ=フリースみたいなイメージがありました。海外のブランドが入ってきたこと、マスコミが報道したことで注目を浴びて、デザインも良くしていくことになったのかなと思います。

優 :ファストファッションといわれるようになって、まわりの友人も利用していたので、私も買うようになりました。例えばユニクロで無地の服を買って、自分でリボンやラインストーンを付けてオリジナル T シャツを作り、費用を安く抑えるようにしています。

朋子:ファストファッションはただ安い洋服というイメージがありましたが、海外のブランドが入ることによってファストファッションもブランド品のひとつのような捉え方をするようになりました。ひとつのジャンルとして捉えて、ユニクロ=安い=洋服にあんまりお金費やしてないという悪いイメージが無くなった気がします。ユニクロの物を着ていたら、「あ、あの人ユニクロの服を着ているってことはあまりファッションに興味ないのかな」と思っていたけど、最近はあまりそう思わなくなりました。

安さも流行もしっかり意識

佳恵:安さという話が出たけれど、買い物には誰と行く?お金は親に出してもらいますか。それとも安く買える服が増えたこともあり、自分のお小遣いで買いますか。

朋子:買い物には友だちとも親とも行きます。友だちと行く時はあらかじめ親にお金をもらい、そのなかで買うので、安いものを多く買います。親と行く時は親が買ってくれるので、友だちと行く時よりは高い物も買ってもらえます。

優 :私も親とも友だちとも行きます。親と行くとお金を全部出してもらえるのでちょっと高い物をねだってみますね。友だちと行く時も、お金だけは出してもらいます。

里香:私はもう大学生なので自分で出さなくてはいけないんですね。一人で行く時も親と行く時もだいたい自分で出します。親が「あれいいじゃない」と言っても自分が気に入らなかったら買いません。自分のお金は有効に使いたいので、ちゃんと着そうな物を選んで買うようにしています。

佳恵:流行も意識しているのかな。

里香:流行は波が激しいじゃないですか。いつ流行が終わるかわからないので、あまり高いものは買わないで、ファストファッションとか安いお店で買いたいと思っています。

朋子:流行っているもののなかで、欲しい物があったらそれを取り入れる感じです。高い物は流行のない、年が変わっても着られるコートとか、パーカーを買うようにしています。

満友:洋服はファストファッションや109に友だちと行って買っているんですけど、小物は流行が洋服より浮き沈みが激しくないので、高いブランドで買います。あと、セブンティーンなどの雑誌に今年流行のかわいい服、自分の気に入った服があれば買います。みんなが着ているから自分も欲しいなという面もあって、みんなが着ていて自分が持ってないと、ちょっと取り残されていると思うので私は流行の服を買っています。

佳恵:里香ちゃんは、みんなが買っていたら自分も取り残されたくないと思ったりする?

里香:ファストファッションのお店に行けば、一通りトレンドの物って揃っているじゃないですか。それでもし値段がそんなに高くないのであればワンシーズン物だなとは思いつつ買うことはあります。

朋子:私は満友ちゃんと逆で、みんなが買っていると同じになっちゃうから嫌だなと思い、避ける時もあります。

優 :ファストファッションのお店って、流行を取り入れながら低価格に抑えた洋服を短いサイクルでどんどん品を代えて販売しているので、まわりの人と服が重なったことはありません。逆に思い切り流行に乗っちゃえっていう勢いがあります。自分の気持ちが楽で着たいと思えるような洋服を安く買えるのが一番だと思います。

佳恵:例えばユニクロだったら一枚しか買えないトップスが、同じお金を持って g.u. に行けば二枚買えるというように「同じお金でファッションの選択肢を増やす」っていう考え方はどう思う?

満友:私はファッションの幅を広げたいので、同じお金があったら一枚多く買うようにしています。ちょっと安く、でも二、三種類買えた方がいい。

里香:ジーンズは三日に一回同じ物を着ていたとしてもわからないと思うけど、トップスを三日に一回だと、「またかよ」と思われるので、トップスはできる限り安く抑え数をそろえたいです。ジーンズはいい物を高くて買ってもいいかなと思います。

優 :私も安くて何種類も買えた方がいいです。その日の気分に合わせて、コーディネートは変えたいので、いろんな種類があった方が毎日楽しいと思います。

自分に合ったコーディネートを。でも本音ではブランド品も欲しい?

佳恵:コーディネートはどう考えているのかな?

優 :私は全身を一つのブランドで揃えたいっていう気持ちはあまりなくて、自分が着たい物を探します。例えばユニクロのパンツがはきたい、でもトップスは H&M がいいとか FOREVER21 がいい、そうなるとトップスは FOREVER21 でパンツはユニクロっていうふうに分けたりするので、全身を一つのブランドで揃えたいとか、このブランドじゃなきゃ嫌っていうのはないです。

佳恵:なるほど。 H&M だからいいんじゃなくて、たまたま H&M においてあったこの洋服がいい!という感じ?

優 :そうです。デザインとか着心地とか自分が着たいと思えるものがたまたま H&M にあったんだと。

朋子:私も同じで自分の着たい服で値段もそれなりだったら、べつに全然知らないブランドでも買います。

満友:雑誌にいいコーディネートが載っていたら、まず自分の持っている物を考えて、もしなかったらユニクロとか H&M とかデザインが優れてえて安いところで買います。朋子ちゃんや優ちゃんと同じで買うお店はバラバラですね。

里香:私も特にブランドとかは気にしないんですけど、やっぱり大学生になると毎日が私服で、同じ物着ていくわけにいきません。なるべく一枚を安く抑え、自分に合うもので、なおかつ自分が今持っている物と合うものを買って、着回せるようにしています。

佳恵:新語・流行語大賞トップ10に入って話題になっている「ファストファッション」だけど「ファストファッションなんて古い」と言われるようになったら、自分の洋服の買い方は今と変わると思いますか?

優 :時代に流されるというよりは、欲しい物が安かったら安いところで買うっていう考え方は変わらないと思う。今もファストファッションのお店はやっぱり一番には見に行くけれど、そこに欲しい物がなかったら無理には買わないし、ファストファッションが古いと言われたとしても、あまり気にしないと思います。

満友:私もデザインを重視していて、加えてお金も安ければ一石二鳥だなと思うので、安いところでいい物があったら買うし、高い物でもずっと使う物、バックとかお財布とかそういうのだったら高い物で買う。たぶん今の自分のスタンスは変わらないかなと。

里香:私も特に好きなブランドとか、絶対これ着たいとかいうブランドはないので、自分の気に入った物を安ければいいなっていう感じでファストファッションのお店をのぞいて、良ければ買うし、なければちょっと高くなっても別のお店で買ったりすると思います。

朋子:安くても買うと思うんですけど、逆にもし高級ブランドが流行り始めたらそっちの方に目がいっちゃうような気もします。ちょっと流されるような気がします。

里香:確かに、普段はちょっと高いお店なんだけど、セールで安くなっている時に私はそのお店のブランドの物を買うんですね。やっぱりちょっと名の通っているブランドも少し欲しいと思うので。セールになった時にファストファッションと同じくらいの値段だったとしたら、みんなはどちらを買いますか?

朋子:私は絶対ブランドの方を買うと思うんです。お正月とか安くなっていて、このブランドでこの値段ならファストファッションのブランドより高いけど、出す価値があると思って買っちゃいます。

優 :セールは見に行くけど、最後はデザインや自分が着たいかというところに行き着きます。かわいいって思ったらやっぱりブランドの方を買い、同じような物がファストファッションのお店にも置いてあったら見比べてどっちがいいか悩んで決めます。

満友:前から探していた服が、セールをしているブランドよりファストファッションの方が自分に似合うと思ったり、好きだったらファストファッションの店を選ぶかもしれません。

お金がなくてもファッションを楽しめるのが「ファストファッション」

佳恵:今日の座談会の前後でファストファッションの捉え方は変わりましたか。みんなの意見を聞いて気付いたことなどがあれば教えてください。

満友:私は同じお金を持っていたら高いブランドを見つつ安い方で枚数を多く買うと言ったけれど、みんながブランド物を選ぶと聞いて、私もこれからは悩むと思いました。

朋子:ファッションってそれぞれの考え方があるんだなと改めて思いました。同じお金で、ファッションの幅を広げたいっていう考えもあるんだなって思ったけど、私は好きな物だったら高いお金を出すっていう考えだし、いろんなファッションの選び方があるんだなって思いました。

優 :ファストファッションも一つの流行りだと思いました。ファストファッションじゃなきゃ嫌だという人もいればそうでない人もいる。自分はやはり流行りがすごく気になるということに気づいたので、視野を広くして考えてみたいなって思いました。

里香:ファストファッションは安くてかわいいからみんな買うけれども、セールで他のもっといいブランド品が安くなっていたらそっちを買うという意見を聞いて、やっぱりファストファッションのブランドよりもちょっと高いブランドの方をみんな本当は買いたいと思っているんだなとわかりました。ファストファッションは、若くてお金がないけれど、ファッション楽しみたいっていう人のためのブランドなのかなと思いました。

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