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座談会

何故みんな同じ格好をするの?

個性の出し方が難しいのか、目立ちたくないのか、成人式や就職活動で若者が同じ格好をする日本独特の傾向を5 人の高校生、大学生、卒業生がホンネでトークした。

出席者:曽木颯太朗 (記者、新高三)、浅見浩平(ユースワーカー、新大学二年) 畔田涼(記者、新大学一年)、
秋津文美(ユースワーカー、新大学四年)、 司 会:三崎令日奈(ユースワーカー、新社会人)
2009/03/29

令日奈:まず、入学式や成人式、卒業式にどんな格好で行きましたか?

文美: 大学の入学式には近くのアオキで買ったスーツでした。黒です。
     成人式には振袖を買ってもらいました。
     卒業式には大学に「貸し袴」も「販売」にも来るので、女子大だし、
それを友だちと見にいこうと言っています。

涼:  私は4月に入学式を控えていて、友人と相談し就職活動も使える
黒のスーツを買いました。二年後の成人式には振り袖を着る予定です。

浩平: 大学の入学式は近所で買ったスーツでした。成人式では袴で行く予定です。

颯太朗:まだ大学の入学式まで一年ちょっとあるのですが、
正直何も考えていないです。

伝統vs個性

令日奈:周りがスーツならばスーツで行きますか? 

颯太朗:それが普通ではないかと思って。ただ着物は着ないと思います。

令日奈:私は商業主義に乗せられていないかと思い費用をかけなかった。
就職活動は入学式で着たスーツに白を合わせたら没個性になるので、
青のシャツにしました。卒業式もみんなが袴で来ると思ったので、
母親の昔の振り袖を着ました。私はこれでいいと思っていたのですが
文美ちゃんや涼ちゃんは自分が納得してそういう格好をしてたの? 

文美 :祖母が振り袖を買ってくれたんです。
    
令日奈:涼ちゃんは?

涼  :個性を出したいから、黒でなくてストライプが入っているスーツを
     買おうと思ったけれど、友人と話すと就活でも使えるものを買う人が
     多かったので自分の「個性」はあきらめました。

店員さんに言われて

文美: ストライプのスーツは就職では使えないの?

涼 : 店員さんにそう言われました。

令日奈:そう、店員さんに言われるんですね。
「ふつうそれは無いですよね」と。実際に私の就職活動では、
よほど堅い業種以外はストライプでもかまわなかった。

涼:  こうやって先輩の生の声が聞けるといいけれど、
     店員さんの言葉を鵜呑みにしてしまう現状がある。

文美: 「皆さん買われないですよ」とか言われたらそうですね。
男の人はスーツを買ったんですね。一番相談したのは誰ですか? 

浩平: 母と買いに行きました。母は「二つボタンより三つボタンがいい」と言い、
ぼくは「そんなの知らん」という感じだったのですが、
僕が着やすくて、華美でなく、線が入ってないものを選びました。

颯太朗:おそらく買う時は両親と行くと思います。

あなた一人だけの卒業式じゃないの

令日奈:文美ちゃんがさっき言った祖母の思いとは?

文美: 祖母は呉服が盛んな地域の人で、晴れの日には着物を着せたいと
     いうのでお祝いしてくれる気持ちを大事にしようと思いました。
金銭的には大変な負担だった思います。

令日奈:それと似た話で、私の友だちが「袴のお金で他のことをしたい」
     とお母さんに言ったところ「あなた一人だけの卒業式じゃないのよ」
     と言われたって。それには私も納得して、記念写真を撮る時に一人だけ
     スーツ姿になってしまうし、お世話になった人もいるわけだから、
「あ、そういう考え方もあるんだ」と私は思いました。

リクルートスーツ

文美: リクルートスーツを自分で買いました。
     正直なところ「学生で五万円の服買うの?それって身の丈に合ってる?」と 
     考えてしまいます。しかも一着、二着、就活本によると三着とか。
鞄は一万円、靴も一万円が二足でしょう?バイトは時給が千円ないのに。

令日奈:黒の上下で五万円というのは注文のこと?

文美 :いいえ丸井などで上着が三万円、スカートが二万円。
私はスカートだけで通していますが、女の子だとズボンもあるから、
一つのコーディネートで七万円くらいかかってしまう。

令日奈:究めつけは就活バッグよね。絶対に仕事では使わないような
     真っ黒のA4書類が入るバッグで、さらにチャックが付いて・・。

文美: それでいて、なかなか物が入らない・・。

令日奈:理由は、面接で他の企業の案内書が見えるのはまずいから
     チャックが付いているんだって。

文美: 会社員になって人に接する営業職ならば仕方がないと思うけれど、
私は身の丈に合っていないと思います。

浩平: 僕は身の丈に合っていないとは思わない。
人はそれぞれで、スーツを親に買ってもらえる人もいれば
バイトで月に何十万円も稼いでいる人もいるので、
彼らにしたら決して身の丈に合っていないとは思わない。
僕も月に十万円近く稼ぐことがあるのでそんなに苦にならないかな。

文美: 勉強する時間や本を読む時間、友だちと遊ぶ時間を全部削って稼いだお金が、
ほとんどそれに流れるのをどう思いますか? 
プラスアルファには何もならないんですよ。

令日奈:文美ちゃんが言っているのは働いたバイト代が、例えば
自分のためにバックパッカーで旅に行く費用にもなり得たのに、
無個性なスーツに消えていくのが空しいということ?

文美: それもありますが、高すぎるんじゃない?という単純な感想です。
それが標準になっているのは大変なこと。

令日奈:私の友だちは卒業式の袴と写真撮影代とヘアメイク全部で五万円
かかったんだって。その五万円衣装は午前中で脱いでしまうのね。

レンタル20万円

文美: 成人式の着物のレンタルなんか、友だちが二十万円のを借りたって。

浩平: それって悪いことなんですか?

令日奈:考え方だと思う。逆になんで悪くないと思う?

文美: 価値があると思うんでしょ。

浩平: 自分がこういう服を着たい・・今持ち合わせがなく親が出してくれるなら
僕はいいと思う。二十万かかろうと、二十万の価値があると思うなら
     本人はやるべきだと思うし、それで潤っている人もいる。

令日奈:例えば面接で自分のカラーを出そうとしたときに、今までそうやって
「全部そろえてもらってきた」としたら、うまくカラーをだせる人は
あまりいないのではと思う。

目立たたないためのコスト

浩平: 目立たないようにするためにみんな同じ格好をするんだと僕は思います。

令日奈:浩平くん自身の意見は?

浩平 :僕も目立ちたくないので同じような格好をしたい。
「あいつ目立ちたいんだ」というレッテルを貼られることがイヤなので、
「別に同じ服を着ていればいいではないか」という考えです。

涼:  私は成人式でワンピースを着るつもりで高いバッグを買って一生使おう
と思っていたんです。それが振り袖に変わったのは、まわりの人から
「成人式に振り袖を着ない子は浮くよ」と言われるんです。
個性を発揮すべき場なのか、すべき場じゃないのかというのが大切だと思う。
パーティでは自分が目立ってもいいかもしれないけど、成人式は
「振り袖は買わない」というポリシーがあったとしても、私だけの式
ではないことを考えると、「目立たないため」ではなくて、「好き勝手
な服を着ることができない」から、みんな同じ服を着てしまうんじゃな
いかと思います。

没個性はメリット?

令日奈:目立ちたくない理由は「あいつ目立ちたがってああいう格好している」
     と思われたくないのが一番の理由ですか?

浩平: そうですね。「どうせあいつ目立ちたがり屋だろ」と言われたくないのが
僕のポリシーなので、個性的な格好をするよりは没個性的な方が得だと
僕は思います。

令日奈:自分にとって得?

浩平: はい。

令日奈:では普段の生活では個性を自由に出していますか?

浩平: 着たい服を着ようと思っていますが、基準はあまり「個性的だな」
と言われず、「流行に乗ってる」とか「みすぼらしい」とか、
どれも言われない格好をしようと心がけています。

文美: 目立たないことで何かメリットがあるんですか?

浩平: 少なくともデメリットがないと思います。

令日奈:成人式や卒業式で、みんなが「リスクの少ない」ということに
     労力とお金をかけているのはすごいと思う。
     「なんで袴なの?」とか「それに五万円もかかるんだ」と私が反応しても、
「まわりがやっているから仕方がない」という答えが返ってくる。

文美: 私は女子大ですけど、入学式に真っ白なスーツで来た子がいるんです。
     「ああそれって選択だな」と私は思いました。
     他に白いスーツで来た子は何人かいましたが今も固まっているの。
     ブランドバッグを持ってきた子も集団で固まっている。
     嗜好は人間にはあるし、別にそんなに合わせなくていいと思う。
     自分で私はこれで行くと主張することで生きやすくなることもあると思います。

外見で決まる?

令日奈:以前CEの取材で女性誌の読者モデルに来てもらったところすごい格好で
     現れたの。髪の毛なんかこんな感じだし、お化粧も濃くて・・・。
     その人が言うには「外見で人を判断する人は私に寄って来ないから
     この格好はいわば“第一関門”。外見で判断しない人だけが私とやっと話す」
     と言っていたのを思い出しました。
     いま文美ちゃんが言っていた「自分は白いスーツを着る目立ちたい人間です」
     と主張することで、そういう人たちと四年間仲間でいられた・・。
     それは居心地がいいのかもしれないね。
    
文美: きょう私が感じたのは、目立たないためとか、目立つためとか、
     その人なりに一応考えてそういう格好をしているのかなということです。
     ただリクルートスーツが毎年毎年あんなにおいてあるのをみると、
     そういう産業が成り立っているのだということも考えました。

令日奈:仮にリクルートスーツというものが世の中から無くなって、
     あなたが選んだ格好をしてきてくださいと言われたら?

文美: ある会社では全身写真が必要なのですが、「リクルートスーツはやめてください」といわれてみんな迷ったようです。ある程度の指針があった方がいいかもしれません。私は、リクルートスーツはラクだと思っています。
     だって洋服だけじゃないでしょ、個性を発揮するのって。
    
浩平: 会社に入ったら服装を自由にしたいですけど、
     僕が就職活動をするにあたってはスーツの方がラクですね。

令日奈:それはなぜ?

浩平: 服装だけで見えてくる部分もあるでしょうし、ぼろ切れみたいな服を着てきたら見る側(人事部)としてはおもしろいでしょうが、僕はそういうふうに選別されたくないです。

令日奈:それはなぜ? お金がかかるから?

浩平: どんな服を着たらいいのか、何が求められているのかを考えない
     リクルートスーツの方がラクだと思うので僕はいいです。

個性を主張できる社会に

文美: でもやはり考えないのはよくないと思います。
     例えばシャネルに受けに行くのにリクルートスーツで行っても通るらしい
     んです。でもファッション業界に行くのにリクルートスーツ?
     「個性が発揮できると若者が思える社会」でもいいのではないでしょうか。

令日奈:学生がリクルートスーツやバッグも靴もそろえるのは、少なからず
社会の習慣を反映しているのかな。
     日本社会の「目立たない方がいい」、リスクかからない方がいい」という考えと
価値観が少なからず学生の動きにも影響していると思いました。

文美: 社会を見てそうしているのではなく、「知らなすぎて」そうしている気がします。就職活動などもほんとにそう思う。
     いかに親との関係が希薄で、いかに世の中を見て来なかったか、
     だからどの程度まで自分の力が個性を発揮できるかわからない。
     お化粧でも表現できないし、企業のエントリーシートや面接でも個性を発揮
できないのは、私もそうだけど、世の中といかに関わって来なかったのかと
いう点だと思います。

令日奈:確かに私もCEの大人のスタッフの話を聞かなかったら、
     「黒じゃなきゃいけない」と思っていたかもしれない。
     店員さんに惑わされない自分の考えや、まわりの助言は必要ですね。
       (完)

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大学へ行く意味 ~なぜ大学へ行くのか~

大学へ行く意味は時代によって、国によって大きく異なります。もちろん個人の事情もあります。日本の若者は大学へ行く目的、あるいは青年期の4年間をどのように使おうとしているのか、高校生、大学生、そして高卒で就職したCE記者6人が本音で語り合いました。

井上麻衣(19社会人)、藤原沙来(19大学2年)、畔田涼(18高校3年)、三崎友衣奈(17高校2年)、建部祥世(17高校2年)、秋津文美(21大学3年・司会)
2009/03/01

■率直な志望理由

文美 :高校生の祥世ちゃん、涼ちゃん、友衣奈ちゃんは

    大学へ進学志望だそうですが率直な理由は?

祥世 :将来は海外で仕事がしたいので

    しっかりした学歴が必要だと思いました。

涼  :英語の学習をもっと深めたいのと、

    就職の時に大卒の方が有利ではないかと。

友衣奈:社会に出る前に、実践的に使えるものを大学で学びたい。

    大学へ行かないと就職できないなというイメージがあります。

文美 :大学に行かないと就職できないのではという考え方に

(高卒で就職した)麻衣ちゃんはどう思いますか?

麻衣 :私も高校二年までは大学に行くと決めていたので、

まさかこんな道(注:化学メーカー)に入るとは・・という感じはあります。

大卒でないと就職できないと思っていたけれど、

こうやって就職しているので、‘できる’というのが現実です。

文美 :会社では大卒の人と、高卒の人は同じ仕事をするの?

麻衣 :大卒よりも大学院卒とドクターが約 95 %です。

    研究職なのでそうなります。残りの5%が四年生大学卒と高卒です。

    高卒は 10 年ぶりに採ったそうですが同じ仕事をしています。

文美 :仕事は変わらない?

麻衣 :自分ががんばれば変わらないと思います。

■世界には色々な生き方がある

涼  :麻衣ちゃんは、どうして進路を変えて就職しようと思ったのですか?

麻衣 :学歴がないとダメだぞ!と思っていました。

    でも私は世界の人に興味があって、世界には「学歴」でなく、

フリーで活動している人も多く、いろいろな生き方があるのだと感じたの。

そうしたら、大学へ行かなくても働けば同じように生きていけるし、

楽しい人生は自分が選ぶものだと思えてきて、ころっと 180 度変わりました。

祥世 :今の仕事は自分が希望した仕事なんですか?

麻衣 :希望しました。将来を考えた時にこれをやりたいって思っているから。

文美 :沙来ちゃんはなぜ大学に行ったの?

沙来 :専門知識を得たいと思いました。本でも勉強はできるけれど

    教授の経験を通しての話や、友人からの刺激など、

    そういう環境にいることで得るものもあると思い大学に入りました。

文美 :大学でできる人脈や友だちは大事ですか?

沙来 :そうですね。自分一人で生きていては絶対に出会わないような

    色々なコネクションができるのが強みだと思います。

友衣奈:就職にコネは絶対条件というイメージがあって、大学には行くものだと

    思っていましたが、いま高校二年生になって考えると、

このままあと一年で社会に出るのはすごく不安です。

麻衣ちゃんがそのまま就職した勇気はすごいなと思います。

麻衣 :私は社会人というカテゴリーに自分がいることに実感がないの。

    周りは大学院卒やドクターが多いから、よけい学歴の差を感じて

    ジレンマになるのだけれど、先輩たちが教えてくれる。

    それをコツコツ勉強して学生気分で仕事をしている感じなのです。

    社会人って言われるとびっくりします。

■大学は自分探しの場所?

文美: 私の経験では、大学は知識を詰め込むところではなく

    考える場所なのです。

知識は会社に勤めながらでも得られると麻衣ちゃんが指摘しているし

高卒でも就職できる。それでもあえて大学へ行こうと思う皆さんが

大学を出た先に描くビジョンってどういうものですか?

涼  :大学では自分探しの時期として利用したいと思っています。

自分探しのためだけに親のスネをかじって大学に行かせてもらう

のだけれど、でもやはり私にはそういった時期が必要です。

今どの職業に就きたいっていう明確なものがないので。

麻衣 :とてもいい意見だと思います。

    高校卒業までにみんなが就きたい職業が決まっているかと

    言われたら絶対そうじゃないし、

    一生の事だから焦って決めなくていいと思う。

友衣奈:大学生って、社会人みたいなことをする人たちもいるでしょう?

    社会人予備軍的な存在なのかと考えるのですが、どうなんでしょう。

沙来 :私は、大学に入ってから「自分探し」では手遅れかなと思う。

    なぜかというと私は勉強したくて入ったからすごく嬉しいし、

    学ぶのが楽しい。フラフラしていたら四年間しか大学はないし、

    将来や自分を見失うと思うので、自分のやりたいものに絞って

    やった方が有意義になると思います。

友衣奈:沙来ちゃんに質問です。

    例えば「自分には夢とか興味が何もありません」みたいな人が

    「とりあえず大学行くか」といって行くでしょう?

    そういう人はフラフラしがちで・・・

    大学に行く価値ってどんなものものだと思いますか?

沙来 :目的を持たずに成績によって入ってきた学生も実際にいます。

    授業を受けながらサークルに入って・・でも単位を取るために

    勉強しなきゃいけないし、みんな義務感を持って勉強しているのが現実なの。

フラフラしているようでも自分なりに目標を立てているのが今の大学生かな

と思います。

■社会の風潮に洗脳

文美 :でも本当に目標もなく大学に行く人もいますよね。

親も「大学を卒業しておけばとりあえず就職とかの間口も拡がるから」

みたいに言う。私立で年間 100 万円の授業料。国立でも 50 万円以上でしょう。

それに対して何か意見はありますか? 

沙来 :日本がそういう社会なのです。四年制大学を卒業してないと採りませんと。

例えばギャップイヤー(例:高校卒業して 1 年間海外でボランティア活動)とか、わずか一年間のことで「何をやっていたのか」って言われて、

それでもうマイナスになってしまう。

日本の企業に入りたいなら四年制大学を出るしかないっていう感じです。

麻衣 :そういう風潮が日本は強いです。大学へ行かなくちゃ就職できない

    みたいな固定概念がある。社会の風潮に私たちの考えも洗脳されている

    感じがします。

■仕事にニーチェはいらない?

友衣奈:私の姉は就職したばかりですけど、友だちと似たような会社を

    とりあえずたくさん受けて、内定をもらったところに行く・・。

就職目的は各人が違うのに、結局はみな同じようなところを受けて、

そういう企業に入っていく。

同じ進路になってしまうのがすごく疑問なのです。

よほど専門的な道を選ばない限り受ける企業も同じっていう。

文美 :確かに文系で就職しようと思うと総合職か一般職で、

    ある程度専門的になるのは会社に入ってからです。

    仕事に歴史の知識や文学部の知識とかニーチェはいらないから、

    大学で違うことをやってきても同じ仕事に就くでしょうね。

友衣奈:それを否定しているわけじゃないんですけど。

沙来 :でも大学で学んだ経験や知識はみんな違うし、

    自分が興味あることをやってきたわけだから

    仕事のためにならなくても、就職するときにアピールできたり

    自分の興味のあることを伸ばせるし、それは無駄ではないと思います。

友衣奈:就職を最終目的としているのではなくて、

    自分のやりたいことをもっと吸収できる場所っていうこと?

沙来: 例えば現代社会を学んでいる人たちは一般的な企業に就職するしか

ないかもしれない。でも確かに彼ら彼女たちは現代の社会問題を

大学で学んできた。

    私は児童問題についてしか学んでいないので、会社に勤めてから

    生かせる部分もきっと違うだろうし、将来大人になってからも

    生かせる部分が違うと思う。だから何かの目的を持ちつつ

自分が学びたいことを学ぶのが一番いいと思います。

■大学・就職・人生

文美 :大学に行くのは就職に有利だと、そこまでは否定しないでおきましょう。

 今ちょっと思ったの、

 人生のなかでは、生きる喜びが必要かなと。

 仕事には別にチェーホフとかはいらないから、大学はまったく楽しみの

ために行くもので勉強と仕事は違うと思っていたのですが、

 みなさんは大学で得る知識を仕事で生かそうと思っていますか? 

涼  :楽しみにプラスして、例えば自分のスキルアップをするために資格を

    取る期間として利用してもいいと思う。

文美 :それはそうだけれど、就職の先に何かないの?

    大学で学んだ事が母親、父親になった時に生かされるとか。

    お金を稼ぐだけじゃなくて国際的なことやボランティア論や起業など

    大学ではいろいろある。でも大学で取った教員資格が使えなくなったり

するし、 TOEIC もある程度の点数がないと意味がない。

    やっぱり不況を意識しますか?親からも就職の話を言われますか?

友衣奈:「どの大学行っていいかわからない」と言うと、

    「大学行ったらコネがすごいのよ」とか言われるので、

    やはり就職につながっているものだと思ってしまう。

祥世 :私は別に親からこの大学に行ってとか、この仕事をしろとか

    全然言われません。ただ自分の将来やりたいことがあるので、

    そのためにまず大学で知識をちゃんと学びたいのです。

    大学で学んだことは就職した後にも絶対生かせると思うし、

    学んだことを生かせる仕事に就きたいと思っているので、

    やはり大学は就職のこととつなげて考えます。

■目的があれば将来につながる

文美 :私と同い年の CE の元記者が、一番行きたかった大学に入ったのです。

ところが入ったら授業があまり興味をかき立てられなくて、

まじめに勉強する学生が少ないという話を聞いたの。

彼女はすごくショックを受けたらしい。

友衣奈ちゃんが入手した統計では 2007 年の高卒者は 114 万 7 千人。

そのうち 58 万7千人が四年制の大学に進学するそうです。

数十万人は大学へは行きたいのに経済的理由で社会人になる

という現実もあります。

58 万人の大学進学者がどれだけ考えているのか疑問ですよね。

友衣奈:私はきょうの話を聞いて大学でやったことがすべて就職に

    つながるわけではないことがすごく新鮮でした。

    目的があれば、大学は将来につなげるために学ぶ機会になり、

    目的がないなら、まだ学生でいたい人たちが行くのかなという

    弱い部分も見えたのでよかったと思います。

涼  :沙来ちゃんの話を聞いて、入学時にある程度目標を持っていないと

    大学は四年間しかなく自分の好きなことができる時間は短い。

    新たにそういう発見があったのでよかったと思います。

祥世 :麻衣ちゃんは高校三年生から短い期間に自分の夢をしっかり確立して

    すごいと思いました。私は将来やりたいことが決まっていないので、

    大学でそれを見つけに行くのも「あり」で、

    結局は自分次第で良くも悪くもなると思いました。

沙来 :私は、大学生になったらやりたいことがあったから今の学部を選んだし、

講義を休んでまで行きたいところがあったから行ったりしています。

 それを理解してくれる教授がいればネットワークも拡がるし、 

 ほんとうに将来一番自分を形成できる場所だと今すごく実感している。

 ただ勉強するだけじゃなくて、いろんな刺激を受けながら、

 自分のやりたいことを絞っていけるいい場所だと思う。

 就職のためにも、日本では大学に入っているといいのかなと改めて思いました。

麻衣 :大学へ行く理由とか、就職する理由の答えはないのです。

    ただ同じ四年間でも働いているか勉強しているかというだけで、

    結局はその人ひとりひとりの人生なのです。

    CE 記者をしていると、情報に流されるな、鵜呑みにするなとよく言われます。

    大学に行ってもまわりが遊んでいるから、それに流されないようにする、

    社会が学歴を求めているからといってそれに流されたりしない・・。

    自分らしくあれば環境はどうであってもいいのかなと思います。

文美 :その場その場の環境で学べばいいという感じでしょうか。
それぞれに大学へ行く意味が見いだせたところでラウンドテーブルを終わります。

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