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教育


 

インターナショナル・ユース・メディア・サミット2008
2008/09/15               三崎 友衣奈(16)

 セルビア共和国という国を知っているだろうか。南東ヨーロッパのバルカン半島にあり、人口は約750万人、面積は北海道と同じくらいである。旧ユーゴスラビア連邦で、歴史的に戦争が絶えない地域でもあった。1990年以降、連邦の中で独立が相次ぎ、2006年のモンテネグロ独立に伴ってセルビアも独立宣言をした。

 そのセルビアでこの夏8月20日〜27日に、インターナショナル・ユース・メディア・サミットが開かれることとなり、首都ベオグラードには世界18カ国から約40名の15歳〜22歳までの参加者が集まった。2006年にアメリカ・ロサンゼルス、翌年にはオーストラリアのシドニーで行なわれたサミットに続く第3回目の開催である。

 このサミットでは差別、環境、女性の権利、暴力、貧困、保健、ユース・エンパワーメントの7つのグループに分かれた若者たちが出した結論を、極力言葉を使わずに1分間のフィルムにまとめ、世界へ発信する。 私が参加した『女性の権利』では、「女性をエンパワーする」ことをソリューションとした映像をつくることになった。

 アイディアを出し合いながら大まかなスクリプトを作り上げ、どのような映像を撮るかを細かく決めたストーリーボードを完成させる。映像を撮り終わると、編集に取り掛かる。ここからは個人的な主観も入り、小さなシーンでも意見の食い違いが出てくるが、一週間の日程で時間と闘いながらやっと作り上げられたときはみんなでほっとした。

  グループで編集をしているとき、映像全体をセピア調にしたいという意見と、色を残したいという意見で分かれた。セピア調を押し切って勝手に編集してしまう場面もあったが、結局元の色彩を活かしたもので治まった。ともすれば強引とかわがままに見えてしまいそうだが、それほど1シーンに対して自分の意見を押そうとする意気込み、意思の強さに感心した。撮影・編集の技術ではなく、映像に対して自分のこだわりをしっかり持っていることが肝心だと学んだ。

 国が違うということは、育ってきた環境が違う。だからこそ、ひとつのものを作るときにも全く予期しない意見が出てきて、とても新鮮だ。映像では同じことを伝えようとしているのに、表現方法が異なってくる。日本では経験しないことに始めは慣れなかったが、次第に自分の意見が言えるようになってきた。

 どう相手と自分の考えをひとつに取り入れるかも重要だった。 また、セルビアは風景も日本と全く違う。旧ユーゴスラビア時代の建物も残っており、歴史を感じられる建物ばかりだ。ときどき一部が崩壊したままの建物も見る。しかし町はのんびりとしていて、宿泊していたユースホステルの近くにはキオスクやスーパー、雑貨屋もあった。サミット中はホステルで他国の参加者も混ざった3人部屋での寝泊りだ。食事は向かい側にある建物の中の食堂でとり、すぐ隣の建物にある図書室で活動する。

 すべてが違うわけではない。それも今回学んだ大きな収穫のひとつだった。それはやはり一つの最終的な目的があったからだと思う。何となく欧米とアジアは一線を越えられないかと感じていたときに、同じグループのセルビア人の女の子が「私はあなたがとても身近に感じられるよ」と言ってくれた。その言葉は、私が勝手に感じていた壁を壊してくれた。違うことが当たり前であるからこそ、悩み事や感じ方が同じだったときはとても親近感が沸く。同年代でも、全く違う生き方をしてきたティーンとこうして活動できたことは、私に広い視野を与えてくれた。

International Youth Media Summitに参加して
2008/09/15               藤原沙来(18)

 2008年8月20日〜27日、セルビア共和国の首都ベオグラードにて3rd International Youth Media Summitが開催された。セルビア共和国・ブルガリア・キプロス・ナイジェリア・スウェーデン・アメリカ合衆国・韓国・日本など18カ国から集まった15歳〜22歳の若者たちが“健康、貧困、環境、人種差別、暴力、女性の権利、若者の地位向上”をテーマにした映像と宣言書を作った。  

 各国の参加者は事前課題として、Filmmakerなら3分間のビデオ、Diplomatなら最も興味のある1つのテーマに関する文章、どちらかの提出が必要であった。参加が正式に決まってからは、Filmmaker・Diplomatのどちらもサミットへの下準備として、7テーマから選んだ1つのテーマに関する自国の問題点のレポートを提出した。 各自がテーマに沿った明確な問題意識を持った上でこのサミットに臨んだため、映像や宣言書作りは非常に内容の濃いものとなり、多くの討論が重ねられ異なる意見の集まった価値のある7つの映像と7つの宣言書となった。

 私は“環境”を最も興味のあるテーマに選び、Filmmakerとしてこのサミットに参加した。環境グループとして活動したのは私の他に、オーストラリア人、スコットランド人、キプロス人、韓国人、セルビア人であった。まず、私たちのグループは映像と宣言書を作るにあたり、それぞれが事前にまとめた各国の問題点、解決策を共有し合った。

 日本の環境に関する問題として、夏には歴代最高気温を更新し続け、また、突然の雷雨が頻繁に起こり、冬は年々気温が上昇していて雪は滅多に見なくなったことなど気候変動による数多くの影響が顕在化してきた点を挙げた。気候変動による大きな被害を私たちは受けているのにも関わらず、便利な生活に慣れてしまい、日常生活での気候変動を改善するための小さな我慢もできない人が、日本人の半分以上を占める現状も紹介した。

 日本に限らず、他の国でも同じような状態のようで、「自分の街にはリサイクルのシステムがない」というような小さなことから「ごみの処理を他国に委託している国もあり、それぞれの政府がもっと自国の環境問題に目を向けるべき」といった政府規模にまで及び、数多くあげられた。それに対して、解決策は非常にはっきりとしていて

1.『環境に関する教育を学校や家庭でする』、
2.『私たちの環境に対する態度を変える』、
3.『私たちの生活習慣を変える』の3つに絞られた。

この3つの解決策を軸に映像と宣言書が作られた。 環境グループは個人個人の主張がとても強く、誰ひとりとして自分の意見を譲ろうとはしなかった。そのため、早々に軸となる3つの解決策は決まったのだが、映像や宣言書を作る際には常にぶつかり合い、なかなかまとまらなかった。

 しかし、ぶつかりあいやそれぞれの意見の主張がなければ誰の意見も組み込まれていないつまらない映像や宣言書になっていただろう。まとまるには時間がかかったが、環境グループとして誇れるような映像、宣言書を作ることができたのではないかと思う。

 Closing partyで7つの作品を上映した際は、参加者全員がお互いの努力をたたえ合い、ここに至るまでの意見のぶつかり合いを誇りに思い、達成感を抱いた。8日間という短い間ではあったが今までに感じたことのないような感情を抱いているようだった。人種、文化、言語など、異なる背景をもった若者たちが同じ場所に集まり同じゴールを目指して活動できたことに一体感を感じた。

 同じ問題意識を持った若者同士が意見をぶつけ合い、アイディアを共有し合い1つのものを作り上げる過程は容易なものではなかったが、私にとっては刺激的な体験であった。同世代であるからこそ思ったことや考えたことを気兼ねなく口にして伝えられ、理解をしてもらうことができるのだと思った。

 さらに若者であるからこそ同じ目的に向かって激しく意見を交換し、私たちなりのメッセージを社会に伝えていけるのだとも思った。そして、何より、人種、文化、言語が何であれ自分の意見をしっかりと持ち、責任を持ってはっきりと発言すること、相手の意見を自分とは異なる意見としてまず受け入れることの大切さを感じた。

インターナショナル・ユース・メディア・サミット
 

 

 

 

 

 

 

インターナショナル・ユース・メディア・サミット
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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インターナショナル・ユース・メディア・サミット