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小学生の英語教育
2009/5/15               飯沼茉莉子(12)

 今日本では、ゆとり教育が問題にされている中、英語の授業を増やそうとしている。平成22年度からは、話すことだけではなく、書くことにも力を入れるために全公立小学校に英語ノートが配られる事になっている。これを知った私達は、他の区に先んじて英語教育に取り組んでいる東京都目黒区の東山小学校で国際担当をされている齋藤寛治先生と今の小学校の英語教育のやり方に反対されている市川力さん( 46 )に取材をした。

 目黒区立東山小学校は帰国児童が多く、早くから外国語活動に取り組んでいる。授業は 3 年生以上は週1回、年間約30時間。内容は授業前に学級担任の先生、 ALT (アシスタント・ラングエッジ・ティチャー)の2人が集まって会議をし、指導内容について確認している。

 齋藤寛治先生は、外国語活動によって、「英語の力だけでなく、コミュニケーション能力、自己表現力を伸ばすこと、そして、英語を学ぶことで思いやりの心・道徳の精神も身につけてほしい」と外国語活動の効果を期待している。

 また、 ALT の先生が長い時間学校内にいるため、気軽に児童が英語を話せる環境があるということもあって、英語の挨拶・会話を積極的にするようになった。

 高学年になると、英語を自分の力で使うようになる子が増え、外国語活動を通して子供達の成長を実感しているという。

 平成9年から外国語活動に取り組んでいるが、今まで保護者から積極的に取り組むことに反対の声はなかったそうだ。英語より日本語の土台をしっかり作るべきという反対意見に対しては、国語科を中心として国語を適切に表現し、正確に理解する能力を身につけさせるとともに外国語を学んでいるので、児童の日本語がおろそかになっていることはなく、問題はないと言っている。

 ゆとり教育によって授業時間が少ない中で、さらに外国語活動の時間を増やすと他の教科に影響を与えてしまうのではないかという意見に対しては、 3 年生以上は総合的な学習の時間における国際理解で扱うこと及び十分な総授業時数を確保しているため影響はないそうだ。

 次に、小学生の英語教育に反対意見を述べていた市川力さんにお話を聞いた。市川さんは6年前まで 13 年間、米国で学習塾の日本語講師として、日本人駐在員家庭の子供たちに受験に向けての授業をしていた。その時に日本語と英語が中途半端になる子を見て「英語を学ぶ前に、まず日本語の論理的思考力を高めること、伝えたい内容を持つことが大切」と感じたと言う。「小学校から英語教育を始めるにしても、英単語やフレーズをただ覚えさせるのではなく、英語を媒介として人と知り合ったり、情報を得たりする面白さを引き出す授業を構築すべきだ」と提案している。

 全国の小学1・2年生だと8割、小学5・6年生だと 9 割の小学校で英語教育が行われていることに対しては、「英語に触れる」というレベルに過ぎず、そのこと自体が大きな弊害を生むとは思えないと言った。大事なことは、親も変わらなければいけないということだ。なぜなら、親は週に1回ネイティブの先生と会話をすれば英語はすぐ話せるようになると思いこみ、全然協力しないからだそうだ。

 整備されたカリキュラムのもとに小学校の英語教育を行えば、効果も期待できるし、生徒の言語に対する興味もわくと言われ、早期英語教育が悪影響を与えるようには思えないとも言った。問題は「英語を教科として加えれば、アジア諸国の英語レベルに追いつき、解決するという安易な考え方にある」と言っていた。なぜなら、ひとりひとりの学びの特性が違い、のみこめる速さが違うからだ。「今の小学生は生きる力を失っているから、ほめる教育をして、厳しい教育はやらない方がいい」そうだ。

 私は初め、市川さんの考え方を間違えてとらえていた。今回の取材で市川さんは英語を教えることに反対なのではなく、今の英語の教え方に反対だということがわかった。 

 私自身アメリカで生まれ、英語は自然に話していたが、低学年で帰国したため、語彙が少なすぎて作文が苦手だ。だから、話すことだけではなく、書くことの重要性を分かってもらいたいと思う。簡単な英会話が話せるようになったら、そこからは、どれだけ多くの語句を知っているかで差がついていくのだ。日本の小学生がバランスよく英語を身につけていくことを願う。

小学校の英語教育の必修化に向けて・・・
2009/5/15                 宮澤 結( 15 )

 今現在、文部科学省は「英語が使える日本人」の育成を目指し、小学校での英語教育の導入を検討し始めている。また最近では、小学生のうちから英語塾に通わせたり、なるべく小さいうちから英語を習わせることを望む親も多いように思われる。

 確かに、現在の日本の TOEFL の点数はアジアの中で下から二番目であるし、小さいうちに英語教育を行おうという考えも理解できる。しかし、果たして小学校への英語教育の導入は必要なのだろうか?そしてそれが世界に通用するような国際人を育成することに繋がるのだろうか?

 先にも書いたとおり、小学校での英語教育の導入が検討されているが、すでに取り組んでいる学校も少なくない。そこで、平成九年から外国語活動を小学校3年生以上に取り入れている目黒区東山小学校に取材をした。この小学校では週一回、担任の先生と一緒に ALT ( Assistant language teacher )の先生が教えている。「当小学校は、 ALT の外国人の先生が学校に居るから、気軽に児童が英語を話せる環境ができた。目黒区の教員・学校評価ではほとんどの保護者が賛成し、反応も良い」と言っていた。また、外国語活動を受けた児童は中学校でオーラルの授業では英語に抵抗が少ないという。

 ここでもう一つ疑問が生まれた。私の通っていた小学校も外国人の先生と日本人の英語の先生によって週に一度ほど英語の授業があり、小学校の英語教育を受けたおかげかは分からないが、中学入学当初の英会話の授業では特に勉強をしなくてもテストで良い点数を取れていた。しかし、東山小学校の取材で聞いたように、中学1年の後半になってくると勉強していなかった分成績が下がったという経験がある。では、いくら小学生のうちから英語を教えても中学のカリキュラムが変わらないのなら、小学校に英語教育を取り入れても英語力は変わらないのではないだろうか?中学で他の生徒と差がなくなるのであれば、小学校への英語教育の導入はどんな意味があるのか?

 そこで私達は『英語を子どもに教えるな』などの著書で知られる東京コミュニティースクール校長の市川力さんにお話を伺ったところ、「子どもが英語に触れることと教えることとは違う。かりに0歳児が英語に触れる環境におかれたとしても、そのこと自体が弊害をもたらすわけではない。問題なのは、子どもに英語を教え込むことが可能だと安易に考える大人の発想だ。たとえば、小学生に単語などを反復して書いて覚えさせたり、フレーズを繰り返し言わせたりしたところで、何のためにそれを行っているのか、その意義を理解した上での学びでなければ効果はない。確かに小学生は子ども感受性が豊かなので、外国人や外国語に対しても先入観なく対応できるので、異言語と親しむ意義はあるだろう。しかし、それは、単に英語を教科として取り入れて、英語を教え込むということではない」と言う。

  また、「英語を習得するには周りの環境が大切だ」と言う。いくら週に数時間の授業を行ったとしても家ではテレビもラジオも家族の会話も日本語だから、授業だけで英語がぺらぺらになることはないだろう。

 それでは、どのように生徒に“学ばせる”のか。市川さんは、「英語はセルフラーニングが大切。それをコーディネートする先生が必要。そのためには子どもに英語を自発的に学びたいと思わせる楽しい授業を、先生と生徒が一緒に作っていくことが良い」と言っていた。

 確かに週に数時間の授業だけで英語がしゃべれるようになることは不可能に近い。ましてや小学生の小さいうちから単語だの文法だの叩き込まれたら、英語嫌いの子が増えてしまうだろう。そう考えると、中学1年後半まで英語の点数が良かった私は、小学校の英語教育によって、少なくとも英語への興味と英語をもっと学びたいという強い意思を持つことが出来たのだろう。ペーパーテストの紙の上の点数でなく、どれだけ伝えたいかというコミュニケーション技術が大切だと思う。字幕映画を見せるでも良い、アメリカのニュースを見せるでも良い、何か英語に興味がわくような授業が展開されることを願っている。

 

英語教育への誤解
2009/5/15                建部 祥世( 17 )

 文部科学省による学習指導要領の改訂で、 2011 年度から全国の小学 5 ・ 6 年生を対象に週 1 コマの「外国語活動」(英語)が必修化されることになった。「英語ノート」と呼ばれる教科書の他に絵カードなどを使用し、生徒の言語や文化に対する理解を深め、コミュニケーション能力を向上させることを目的としている。現在、すでに全国の公立小学校の約 8 割で総合的な学習の時間に英語の授業が取り込まれているが、その中でも特に海外帰国生の受け入れを積極的に行い、国際理解教育も盛んな目黒区立東山小学校へ取材に行った。

 東山小学校では平成 9 年から外国語活動に取り組み、 ALT ( Assistant language teacher )を起用した英語の授業を 3 年生以上は週 1 回行うほか、土曜日には帰国児童を対象とした少しハイレベルな授業も行っている。帰国児童も多いからか保護者の多くは今の取り組みに賛成だという。また「 ALT が 8 : 30 から 16 : 30 まで学校にいるので児童たちが気軽に英語を話せる環境があり、英語での挨拶や会話に積極的になった」「高学年になると英語を自分の力で使うようになった」と、児童たちの英語に対する意欲も高まっている。中学校でのオーラルの授業に対して抵抗も少なく取り組めるようになるそうだ。

 では、小学生で英語を勉強することが何の役にたつのだろうか。現在の小学生の英語教育に対してこのような疑問を投げかけるのが、 NPO 法人東京コミュニティースクールの初代校長であり、「英語を子供に教えるな!」(中公新書ラクレ)著者の市川力氏である。市川氏は現在の教育制度を何も変えずに、そのまま英語の授業を取り入れることに対して反対の姿勢を示し、「‘教科'として取り入れて、子供の英語力が上がるという安易な考え方が間違っている」と言う。

 全国 31 の公立小学校の保護者に対して行われたベネッセコーポレーションによる意識調査でも、小学生の英語教育必修化について「賛成」「どちらかと言えば賛成」という保護者が 76.7% にものぼり、さらに始める時期については 47.8% もの保護者が「 1 年生」を希望している。(読売新聞 2007 年 5 月 11 日)この結果から、必修化すれば英語力が身につくという保護者の安易な考え方と子供に対する期待が伺える。

 市川氏は「英語を話せる子や話せない子、言語の感性の高い子や低い子というように、いろいろな子たちがいる中で小学生のうちから開始することはいたずらに英語への苦手意識を高めてしまうリスクがある」「始める時期は人それぞれでもいいのではないか」と、一律のカリキュラムで行う英語教育には限界があると主張している。「英語は母語での思考スタイルがある上にのせるもの」と考える市川氏は、初等教育において英語教育よりも優先順位が高いのは、実体験をベースにしてきめ細やかな学習環境を創り、小学生時代だからこそできる自由な発想力を育てる教育を薦めている。

 日本の TOEFL のスコアはアジアの中で下から 2 番目。「学校」という学ぶ場所がありながら、生徒たちのことをきちんと考慮した教育ではないのが原因だろう。年々 TOEFL のスコアが上昇してきている韓国では国そのものが海外有名大学への進学を斡旋しているため、小学生からの早期英語教育を盛んに取り込んでいる。だから単に「早い時期から英語を学べば話せるようになる」という安易な問題ではない。英語を学ぶ環境、教師の質、教材の内容など、あらゆる条件がそろってこその英語教育なのだ。

また市川氏の言うように、英語は国際社会で国際人として生きていくための‘ツール'である。しっかりとした土台がなければ、英単語を覚えてもそれを使うことは出来ない。ただでさえ「正しい日本語を使えない人が増えている」と言われているこの現状なのに、考える力までなくなってしまったらいったい日本はどうなってしまうのだろう。小学生 時代 はやはり、考える力や自由な発想力を養うべき時期だと思う。

 

英語力?コミュニケーション力?
2009/5/15                三崎 友衣奈(17)

 幼い頃から英語に慣れ親しんだ人は、ラッキーだと思っていた。自分自身の海外での経験と、当時周囲にいた日本人をみても英語を早いうちから習得して悪い思いをした人をみたことがなかったからだ。しかし市川力著の「子どもに英語を教えるな」では、市川氏はアメリカの帰国子女のための学習塾で、何人も日本語と英語が中途半端となってしまった生徒たちを目撃してきたと書いている。英語教育は「早くやったが勝ち」というわけではないのだろうか。

 大手進学塾のスタッフとして 90 年に米国イリノイ州に赴任した市川力氏は、その後 96 年にコネチカット州に学習塾を設立した。現在は日本に戻り、探究型の学びを研究・開発・実践するために東京コミュニティースクール校長を務めている。

 市川氏は現在の教育制度をそのままに、小学生の英語を付け足すことに異論を唱える。「我々が目指す国際人とは、英語を話せる人ではなく英語を使ってコミュニケーションを取れる人のこと」と説明し、ツールとしての英語を誤って捉えていることを指摘した。「コミュニケーション能力を養うには最初に日本語でやるのが近道で、そこに英語を足していけばいい」。

 「国家の品格」では、著者の藤原正彦氏が国際人についてこう書いている。「世界に出て、人間として敬意を表されるような人」。したがって「英語と国際人に直接の関係はない」というのである。

 この両者が共通して主張しているのは、教育において日本人としての人格・教養を優先させるということだ。お互いを理解しあう心、さらに相手に認められるための母国の知識を、一番に身につけなくては英語を苦労して習っている意味がない。

 では実際に英語に力を入れた公立小学校ではどのような教育が行なわれているのだろうか。

 目黒区立東山小学校では、目黒区モデルカリキュラムに従って3 ~ 6年生が週1回、年間 30 時間の外国語活動を行なっている。毎授業前に、 ALT ( Assistant language teacher )の先生を含めて授業内容についてのミーティングをする。授業は総合の時間に組み込まれているため、ゆとりをもって活動できる。また土曜日には、帰国児童を対象に特別教室を開いており、ここにもネイティブの先生がつく。

 生徒、保護者からの評判は高く、卒業生からは「中学に入ってから英語の授業にスムーズに取り組めた」という声も聞くという。外国語をやることによって日本語の学習意欲が上がり、現場では日本語との両立はできないことはないように感じるそうだ。「この授業で目指すのは人としっかりコミュニケーションをとり、自己表現できる人」。

 他の区ではみられない独自の英語カリキュラムのもと、東山小学校は非常に恵まれた環境での学習を実現している。その中でもやはり重視されているのは“人との係わり合い”のようだ。

 英語という教科は中学・高校で勉強する。市川氏が「環境が整っていれば英語に触れるのは 0 歳からだって構わない。しかし英語をただの教科として小学校からやればいいわけではない」と唱えるように、無理に押し込まれた環境で英語を習うことは効果を半減させてしまうのではないだろうか。先入観を持たず自由な発想ができる小学生のうちに、土台となるコミュニケーション能力を養う機会を多く与えるべきだ。

 小学 5 ・ 6 年生の英語は必修化へと動いている。ベネッセ教育研究開発センターが行なった公立小学校におけるアンケートでは、英語教育を行なうことについて賛成する人は 67.1 %に上る。ここで、もう一度問い直す必要がある。なぜ今、英語なのか。英語をペラペラに話すため?文法を寸分狂いなくマスターするため?上辺だけの国際人にならないために、「どんな人を目指すのか」を明確にし、それに沿った教育内容を実施してほしい。

 

 

 

『英語を子どもに教えるな』などの著書で知られる東京コミュニティースクール校長の市川力さん
▲ 『英語を子どもに教えるな』などの著書で知られる東京コミュニティースクール校長の市川力氏

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

齋藤寛治先生

▲東京都目黒区の東山小学校で国際担当をされている齋藤寛治先生