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第6回
●2002年7月20日 「地球の歴史と環境」
 講師:柴田鉄治氏

柴田さん(CE顧問)は、アポロの月面着陸の報道や南極観測隊に同行しての報道など、朝日新聞の科学記者として多くのお仕事をされてきた。春季トレーニングに続き、夏季トレーニングの一環としてお話いただいた今回のテーマは、温暖化をはじめとする地球環境悪化の背景でした。

地球の歴史

太陽の周りを回る惑星には、太陽に近い方から水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星の9つがあります。地球の近くの星の金星は、地球とほぼ同じ大きさや重さですが、地球の90倍もの大気におおわれていて、大気のほとんどは二酸化炭素です。二酸化炭素はフロンガスやメタンガスと同様に熱を逃がさない「温室効果」という性質を持っているため、金星の地表の温度は500-600度という高温で、水蒸気が冷えて水になって雨になってもそれはまたすぐ水蒸気になり、金星では暴風雨が吹きまくっていると考えられます。一方、地球のもう一方の隣の星、火星は、太陽から遠いため、大体が氷でできていると考えられます。
地球は、45億年前に誕生したと考えられていますが、そのころの地球は、ちょうど今の金星と同じようだったと思われます。しかし太陽から遠すぎず近すぎずちょうどよい位置にあるため、熱かった地球はやがて冷え始め、水蒸気が雨になり、海をつくりました。大気中の二酸化炭素は水中に溶け込み、海底にたまりました。
35億年前になると、海は簡単な植物を生み出しました。
植物は炭酸同化作用(=光合成)を行い、二酸化炭素から酸素を生み出し、それはオゾン層を作り出しました。オゾン層によって太陽からの紫外線が遮られるようになると、海に暮らしていた生物が地表に出られるようになり、7億年前に陸上の生物が誕生します。陸では植物が二酸化炭素を酸素に変え、動物が酸素を二酸化炭素に変え、よいバランスがとられていました。

人類の誕生と環境の変化

600万年前くらいになって、ついに人類が誕生します。人類は初めは狩猟生活をしていましたが、1万年前くらいから農耕を始めるようになります。人はやがて道具や牛馬を使い、人の何倍もの仕事をするようになり、生活も安定していきます。それでも、人口や環境には特に変化はありませんでした。
それが、ほんの200年前、ワットが蒸気機関を発明し、人間が機械を動かすようになってから変わります。20万年前の氷もある南極の氷の調査から、地球上の二酸化炭素の量は人間が化石燃料を燃やすようになった200年前から増加していることがわかりました。そして人口はこの100年で爆発的に増え、今や65億人に達しました。
地球上の二酸化炭素の量がこのまま増え続ければ、地球は金星の状態に戻るのではないかと心配されています。

これからの課題

石油や石炭などの燃料資源は、このように温暖化を招く原因になりますし、底をつくかもしれません。かといって、原子力は事故の危険や廃棄物の問題があります。
「京都議定書」で、先進国は2010年までに二酸化炭素を95年時点より5%減らそうと約束しましたが、現在のところ、減らせるどころか増えています。また、途上国は経済発展のためには化石燃料を燃やさざるを得ません。
人類は自ら作った文明や自らの欲望のために、自ら滅びようとしています。人間の智恵が本物かどうか、環境問題でためされているのです。

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