第5回
●2002年7月6日 「新聞・テレビを見る前に知ってほしいこと」
講師:吉澤正一氏
吉澤さんが勤務する新聞協会とは、テレビ放送局も含めた日本の新聞などのメディアに対して目を光らせているところです。かつて新聞記者でもあった吉澤さんは、その時の経験も交えながら、新聞などに出てくる情報がどのような道を辿って来るのかなどについて話して下さり、物事の本質を見抜く力を養おうというメッセージを下さいました。
ニュースは価値判断されたもの
日本の1日の新聞の発行部数は5300万部で、これは世界一です(2位:アメリカ、3位:中国、4位:インド)。日本の特徴は、多くの人が新聞を読んでいることで、これは教育水準の高さを反映していると言えます。
ところで、いくつかの新聞を比べてみると、違いがあることがわかります。吉澤さんは、その日の一般紙をみんなに配り、比較して相違点をあげてもらいました。
その結果、
・読売新聞は産経新聞に比べ広告が多い。
・大体の新聞は田中長野県知事の不信任決議案可決の
記事が一面トップに出ていたが、日経新聞は扱いが小さい。
・同じ事実を伝える記事でも、各新聞社で記事の掲載場所、
写真、内容、詳細さ等が異なる。
などといった違いがあることがわかりました。そしてそれはどうしてか、を話して下さいました。
たとえば、広告はたくさんの人に見られるほど価値があるから、広告主は発行部数の多い新聞に広告を出す、経済新聞にとっては、田中知事のことより価値のあると思われることがトップに来るなど。
このように、ニュースというのはすでに価値判断をされたものであり、同じ事実でも新聞社や記者の見る角度により、記事の内容は違ってくるのです。
物事の本質を見抜く訓練を
新聞は、民主主義において社会を方向付ける材料(情報)を提供する役割を持ちます。情報を運ぶものをメディアと呼びますが、最近はインターネットの普及やテレビ局の急増もあり、情報が溢れています。そこで情報の取捨選択能力を高める必要があります。
そのために大切なのは、まず自分なりの考えを明確に持つということです。当然、誤りもあるわけですから、その都度、見方を修正し、改善していくことが大事です。この訓練を繰り返すことで、物事の本質が見えてきます。
自分の知っていることだけからでなく、背景を踏まえて記事を書くことも大切です。
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