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教育


 

「若者の理系離れ」
2007/12/17  
出席者:大久保里香(16)、曽木颯太朗(16)、平吹萌(16)、川口洋平(18)(司会)

 経済協力開発機構(OECD)が57の国と地域の15歳男女(日本は高校一年生) 約40万人を対象とした、2006年国際学習到達度調査(PISA)の結果が2007年12月に発表された。日本は、数学的応用力が6位(2003年)から10位(2006年)へ、科学的応用力は2位(2003年)から6位(2006年)という結果になった。関心、意欲を示す指標は世界最下位、「理科の勉強は役に立つ」との回答は世界で2番目に少ない。進む理系離れをどうするのか。今まさに文理の選択を迫られている高校生が理系離れの理由にせまった。

どうやって文系、理系の選択をしたの?
洋平:みなさんの学校では文系・理系のコース分けはありますか?
 
里香:私の学校は13クラスあるのですが、それの3分の1が理系クラスで、残りの3分の2は国立文系と私立文系対応のクラスになって、2年次から分かれなければなりません。

萌:うちの学校も13クラスあります。コースは3回のアンケートで決まるんですけど、2回目のアンケートの段階で、理系の方が7クラス分くらい。でもそれは今年だけで、例年11クラス中5クラスが理系で、残りの6クラスが文系っていう感じです。

洋平:何年生の時に分かれるの?

萌:高校2年生になる時に完全に分かれます。

颯太朗:うちの学校は高校2年の時に分かれるんですが、いつも6クラス中3クラスが理系で3クラスが文系。この前アンケートを取ったら文系がやや多いくらいでした。

洋平:ちなみに、みんなまだ高一だから選んでないと思うけど、文系か理系か決めている?

里香:私の学校はもう決まったのですが、私は理系に行こうと思っています。

萌:うちの学校ももう決まったんですけれど、私は文系に行こうと思っています。

颯太朗:僕の学校はまだ決まってないんですが、僕は文系に行こうと思っています。

洋平:なんで文系とか理系に行こうと思ったのか理由を教えてください。

里香:私の場合は明らかにテストの点数で、理系教科だけ良くて文系教科がダメなので、これは理系に行くしかないなと思って理系にしました。

萌:私は理系の方が成績的にはいいけれども、学校の授業を受けていて「このレベルで来年理系に行くともっと難しい」って言われて、自信がなくなって文系にしました。

颯太朗:僕は、一つは大学で歴史を勉強したいという理由があるんですけど、もう一つは数学がからっきしダメだからです。

洋平:数学っていつ頃から苦手になっちゃったの?
 
颯太朗:小学生のとき受験勉強はじめてから「ああ数学は苦手なんだ」と思いました。

教科が「好き」よりも受験で「有利」を選ぶ
洋平:里香ちゃんはテストの結果から理系が向いていると思ったみたいだけど、みんなけっこう妥協しちゃうんだよね。萌ちゃんみたいに「私、数学ダメだから文系にしよう」って思う人が多い気がする。まわりの子を見ていて「研究するのは好きだけど数学ができないからやめようかな」とか「宇宙飛行士になりたいけど、数学や物理が苦手だからな」という話を聞いたことない?

里香:理系の研究職に就きたいって思っていたけれど、テストの点数で見たら、文系科目の方が大学受験の時に有利なので文系にするという友達がいました。

洋平:なるほど、受験する道具として使う時にね。

萌:うちの学校は数学にすごい力を入れているから、みんな数学ができるのに、文理の選択の時に「薬学部に入りたいから理系にしたい」と言うと、先生が「このテストである程度の点数を取っておかないとちょっと理系は難しいんじゃない」って言う。特に女子で理系に進む人は少ないと思います。

洋平:女子は理系が少ないんだ。なんで理系に進む女の子は少ないんだろう。

萌:やっぱり三者面談とかですごい言われるから…。

洋平:じゃ女の子は数学とかの成績悪いの?

萌:数学はできます。ただ、物理・化学が難しくて男子と比べると点数が低くなる。

洋平:そういうものなのかな。男の子の方が物理・化学ができる。

里香ちゃんのところはそういうのはある?

里香:今は女の子も男の子も同じくらいできると思うんですけど、理系の先生が、男の子には先天的に備わった理系の理解力があるみたいなことを言っていました。

洋平:男の子は先天的に物理とか化学ができる頭になっているんだ。

里香:そう言われました。

洋平:もしかしたら、そういう先天的なものがあるのかもしれない。工学部とかは男子が多くて、女子は50人に1人いるかいないかっていう話を聞いたことがあるし。でも女の子が、「男の子がやるものだから、物理・化学は頑張らなくていいや」っていう発想をしているわけじゃないの? どうなんだろう?

萌:そういうのもあるとは思う。

洋平:職場環境の問題から女性が研究職に就きにくいっていう現実があるけど、女の子の立場から研究職に対して何かある?「研究所とか工場で働くのはイヤだな」みたいな。

里香:私は単純に化学とか数学を解いていて楽しいと思えるので、大学に入ったら研究所にも入ってみたいし、あまりそういう風には考えません。

萌:私は、女の子は研究職より文系に行くものなのかなって思うし、物理・化学もあんまり楽しいと思えない。テストのために、赤点を取らないように勉強している気がする。楽しく覚えるよりも、覚えなきゃいけない、やらなきゃいけないみたいな気持ちが強いから、最初はすごい興味があったけど、どんどん好きじゃなくなっていっちゃった。

洋平:入試制度って今文系入試と理系入試に分かれているよね。確かに国立志望か私立志望かでも分かれているけど、例えば「僕は選択で世界史と化学と物理取ります」というような文理融合的な入試制度があったらいいと思いますか?
 
里香:もし文系と理系の教科でそれぞれ得意な科目があって、その教科で受験できるとしても、大学に行った時に自分の専門分野を決めることができないと思うので、やっぱり理系と文系に大学入試の時点で分けることは必要だと思います。

日本は文理を分けるのが早すぎる!?
洋平:今みんなが高2で分かれるように、日本は文系・理系をはっきり分ける国だと言われています。高校の時に文系・理系って分けないで、みんなが同じことを学んで進学していく国もあるんだけど、そういう仕組みについてどう思う?

里香:正直まだ自分が理系なのか文系なのか、よくわかりません。高2の時に明確に分けられちゃうと、途中から文転しづらいので不安な面もあります。

萌:私は理系の教科もけっこう好きだから、あまり分けないでほしかった。でも「分けなきゃいけない、どっち?」って言われてギリギリまで悩んで決めたけど、本当は両方少しずつ学んでみたかったです。

颯太朗:僕は理系があまり得意じゃないので、あえて学びたいとは思いません。でも教育学部や芸術とか、理系と文系の中間的なところも色々あると思うので、そういうのも分からないうちにただ文系と理系に分けるのはどうかな、と思っています。

洋平:なるほど。理系の人が文系に変えるよりも、文系の人が理系に変える方が難しいよね。高校である程度基礎的なこと、物理・化学のことを両方学んでおけば、いざ進学って時に文系の人が理系にいけるようになることもあり得ると思いませんか?
 
里香:私の学校では理系は理系の教科だけ勉強して、文系も数学はほんとに初歩的なことしかやりません。一度文系に行ってしまったら理系にはいけないし、理系に行ったらもう文系についていけなくなるので、文転・理転するのはすごく難しい状況にあると思います。

洋平:学校が受験用のカリキュラムとして組んでいるから、そうなっちゃうんだよね。

萌:うちの学校は進学校と言われるところなので、中学のときから高校一年生までの間に理科は一学年一科目ずつ勉強しています。そのうえで決めているので、理系から文系に行くことはできるんですけど、文系から理系は難しいと言われるんです。

颯太朗:うちの学校は文系と理系に分かれ、さらにその中で私立と国立に分かれています。私立は文系・理系どちらもその教科しかやりませんが、国立だと文系でも数学と理科を、理系なら英語、国語と社会もやるんです。でも理系の方が数学も理科も進むのが早いので、よっぽど自信がある人じゃないと文系から理系には行きません。

理系離れが進む理由
洋平:今、文系・理系それぞれ分かれていると思うんだけど、理科は好き? 例えば液体窒素に花を入れて凍らせて、手で触るとぐちゃぐちゃってくずれたりとか、スーパーボール液体窒素の中入れるとはねなくなって割れるとか、そういう理科っぽいことって好き?

颯太朗:僕は文系なんですが、化学の周期表に非常に興味があって、周期表の話は好きです。でもそれに数学とか数式がからんでくるとダメです。

萌:私は実験とかはすごく好きだけど、それを化学的に考えなきゃいけないのがイヤ。実験は面白いけど、なんでそうなるのかっていう説明は好きじゃない。

洋平:力学的なことは考えずに、純粋にペットボトルロケット飛ばして遊ぶってことだね。わかりました。では、なぜ理系離れが進んでしまっているんでしょう。

颯太朗:やはり理系に進むと仕事の範囲が専門的なところとかに限られてしまう。しかも理系は文系に比べると、数学や理科など、面倒くさいイメージがあって、特に理系の技術者とか医者になろうと思っていない人たちは、一般のいろんな職業に就けるような文系を選んでしまうのではないでしょうか。

里香:理系と文系の大学の学費を比べると、理系の方が高くなります。文系・理系どちらを出ても、結局普通の会社に勤めるなら、学費の安い文系を出た方がいいと思う人も多いはず。大学を卒業するのも文系の方がラクなのかなと思います。

萌:私は進路を決めるために色々大学のことを調べて、やっぱり女の子で理系の研究職はいやだなって思いました。でも医学部や薬学部は大学にもこだわると難しかったり、お金がすごくかかったりします。そういうことを考えて、将来的になれる職業の幅や視野が広がる文系にしちゃいました。

理系離れを食い止めるには
洋平:最後に理系離れをくい止めるにはどうしたらいいと思いますか。以前、雑誌で見たんだけど、女子校で数学、化学、物理の先生を、今までのおじいちゃんとかおじちゃんから、全部若いイケメンの先生にしたんだって。そうしたらそれ目当てで食いついてくる生徒がいっぱいいて、その学校は理系の進学実績が上がったんだとか。これはすごく極端な例だと思うけど、何かそういう理系離れをくい止める方法はあると思いますか。

里香:義務教育の時から数学や理科の授業の難易度を上げて、文系の人でも理系に強くなる環境を作れば、理系好きの人も増えて理系離れが防げるんじゃないかなと思います。

洋平:でも落ちこぼれも増えそうだよね。

萌:私は最初に言われたように、やっぱり興味が持てた方がいいと思う。その興味がまずわかないんですよ。うちの学校も理科の先生だけすごいお年の人が多くて、黒板とかもめちゃくちゃ。若い人だったら興味が持てるし身近に感じる、そういうのがいい気もします。

颯太朗:今みんなが文系に進んでいるのは、安直な気持ちでラクだからだと思うんです。例えば世界史で覚えるものを今の三倍にするとか、文系でやることをすごく大変にしたら、みんなまた安直な気持ちで理系に行くんじゃないかと思います。

洋平:うちは理系の先生で個性的な方がすごく多いんだけど、それも一つの取り組みづらさになっているかなと思いました。これで理系離れ班の「なぜ理系離れが進んでいるのか」の座談会を終わりたいと思います。

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