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教育

今が株を教わる時なのか
2007/05/11                          三崎 令雄(15)

▲小幡准教授へのインタビュー

 現在、日本の景気は良くなっているというが、好景気不景気に株価の変動は大きく関係し、私たちの生活にも影響を及ぼす。また、テレビ、雑誌、新聞などで株のことが取り上げられることは多々ある。もはや、現代の社会人にとって株を切り離した生活は考えられないだろう。

 最近、小中学生にそんな株や投資について学ばせようとする投資教育が盛んに行われている。マネックス証券では、実際に子どもに 10 万円を与え、 3 ヶ月間オンライントレードをさせる「株の学校」というものを実施している。しかし、子どもの頃から多くの時間を割いて株や投資について学ぶ必要はあるのだろうか。

 株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長の内藤氏は、小中学生から株式投資の教育を行うことについて「若いから投資に失敗しても取り返しがつくし、失敗によって学ぶことができる」「実際に投資することで株価に反映される様々な社会問題に興味をもつようになる」というメリットを 挙げる。

 しかし、慶應義塾大学ビジネススクール准教授の小幡氏は、「小中学生から投資教育を受ける必要はなく、必要になればすればいい」「例えば英語を学ぶなど、この時期にはもっと大事なことがあり、それが投資家になる上でも成功する」 と言う。

 私も最近こんな曲のワンフレーズを聴き、心を打たれた。「大人になればお酒もぐいぐい飲めちゃうけれど、もう空は飛べなくなっちゃう」。確かに大人になってからのことを子どもの頃から学ぼうとするのは重要だ。だが、子どもの時だからこそできることもあると思う。

 株は買うことも売ることもできる。だから、デイトレードのようなマネーゲームにも、長期的な投資にもひとつの側面として金儲けというのがある。確かに大人になったら自分の資金を自ら運用しなければならない。だから、子どもの時に投資教育を受けなくても、大人になって社会に出たら、いつかやらなければならないという心の準備 は必要だろう。

 だが、将来の夢に「金持ち」という答えを小中学生の口から聞くと、彼らの感性の摩滅を感じる。内藤氏も「お金はあくまでも何かをする(例えば留学など)ための手段であり、お金を稼ぐことが目的ではない」と指摘している。

 私はもし、小幡氏の言うように大人になり、自己防衛のための投資教育が必要になってからでも遅くないのなら、今の時期には投資教育を受けず、今しかできないことをしたいと思う。

 

株で儲けてどうするの?
2007/05/11                          川口 洋平(17)

 

 「汗水たらしてお金を稼ぐというのはいいことだ」と昔からよく言われているが、今の時代の子どもたちは、お金に対してどのような意識を持っているのだろう。

 金融広報中央委員会(事務局 日本銀行情報サービス局内)が行った「子どものくらしとお金に関する調査」 ( 平成17年度 ) によると全体の 32.7% 、約 3 人に1人の高校生が「お金を利用してうまく稼げるならそれにこしたことはない」と答えている。

 自分自身、コンビニで時給 800 円程度のバイトをするより、特に働かずに株式投資で1万円を倍にするほうがいいと思うことがある。

 他にも、実際にやっていなくても、株に興味を持っている中高生は多いはずだ。

 もちろん以前から株式投資というものはあったが、こんなにも身近になったのは、ホリエモン騒動をきっかけに、テレビや新聞など、株について取り上げられる機会が増えたのも要因のひとつだろう。

 そんななか、マネックス・ビーンズ・ホールディングスの投資教育会社マネックス・ユニバーシティが、「株のがっこう」という小中学生向けの投資教育プログラムを行った。このプログラムは株価に反映される社会の出来事に関心を持たせるために、実際に小中学生に 10 万円を渡し、 3 ヶ月間株などのオンライントレードを実際に行わせるというもので 2006 年 1 月から 3 ヶ月わたって行われた。

 参加者の中学 1 年生は感想で「経済指標や会社の合併や業績といった経済ニュースにも興味が出てきた」と述べるなど、多くの参加者が経済の動きに関心を持つようになったようだ。

 しかし、小中学生という段階で、大金を扱い投資をすることに関して弊害はないのだろうか。株の仕組みを学び、経済に関心を持つだけなら、なにも本物のお金を使わなくてもいいのではないか。

 内藤忍マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長は、「自分のお金は 1 円でも損をすると、その理由を探したり、社会問題に興味を持つが、ゲームだとリセットできるので真剣になれない」という。

 一方、慶応義塾大学ビジネススクール小幡績准教授は「投資を早くからやってもいいことはない。その分英語を学んだほうが、よっぽど充実した人生を送れる」といい、若いうちは他のことをやったほうが、人間形成に役立つという。

 投資で儲けるという側面から見ても、「投資というのは、みんなと同じ発想では儲からないので、豊かな発想ができるように様々な経験を積んだ方がいい」と言い、将来、優秀な投資家になるためにも、投資そのものを行うより、一見関係のない勉強をしていたほうがいいと語る。

 経済に興味を持ち、社会に目を向けるのは重要だが、必要性に迫られていなければ、どうしても「お金を増やす」という行為に夢中になってしまう。内藤社長は「仮に 1 億円あって、あなたはどうするかという質問に答えられなきゃだめ」という。

 「お金を利用してうまく稼げるならそれにこしたことはない」となんとなく考えているものの、現実はそれほど甘いものではない。

 仮に、大金を得ても、そのお金でやりたいことなどがなければ、有効に使えるとは思えない。お金を欲しがる前に、何がしたいかを明確し、そのためにはどれくらいのお金が必要かを考えたうえで、お金がどうしても必要だと分かったときから投資教育を受けても遅くはないのではないか。

     世の中お金を持つことだけが、財産ではない。若いうちにいろいろなものに触れ、体験することも自分にとって貴重な財産になることも忘れてはいけない。


 

投資教育はすべきか 
2007/05/11                          
 曽木颯太朗(15)

 近年株式投資に対する注目が集まっている。背景にあるのは新興IT企業のめざましい発展やデイトレードと呼ばれる株の短期取引によって巨額の利益を生んだ話などがある。関心の高まりから、実際に子どもが株式投資を始め、それに対するきちんとした投資教育も行われ始めている。このような教育に対して、「正しい株式投資を教えるもの」として歓迎する声がある一方、株取引をゲーム感覚で行ういわゆる「マネーゲーム」につながるものだとして反対する意見もある。私たちはこの投資教育について賛成・反対それぞれの立場の方々に取材を行った。

  2006年に、投資教育を推進しているマネックス証券の関連会社マネックス・ユニバーシティ社長の内藤忍さんにお話をうかがった。マネックス証券では、子どもに10万円の資金を渡して投資・運用させる教育プログラム「株のがっこう」など、子どもへの投資教育を積極的に進めている。

  内藤さんは子どもの株式投資の長所について、「お金に対する感性がよくなり、投資を通じて社会に関心をもつことができる」という。短所については、「(金銭面での制限が大きいにも関わらず)大人と同じようにリスクを負うことだ」と述べた上で、「金銭感覚を失うことはない」ともいわれた。そのような点から投資教育には賛成しており、「株のがっこう」プログラムに対する子どもたちからの反応も「社会に貢献できた」など上々だという。その一方で、株式投資がマネーゲームになっている一部の状況については「好ましくない」とし、「株式投資は本来会社に資金を与えて経済を循環させるためのものだ」と語った。デイトレードによる一攫千金の話も実際に成功する人はごくわずかしかいないそうだ。

  投資教育に反対の立場をとっている慶應義塾大学ビジネススクール助教授の小幡績先生は投資教育について、「この時期には、英語など他にもっと大事なことがある」と語り批判的だ。いつかはやる必要があっても、少なくとも子どもの時にはやらなくて充分だという。子どもが株式投資によって株主になることについても「株主は経営者を監視する立場にあり、子どもが株主になると、その機能が失われる」と警鐘を鳴らしている。

  投資教育は株式投資について正しい知識が学べるという点で役に立つかもしれない。しかし、下手に子どもに投資の話をすると「儲かる」「おもしろそう」というイメージだけが先行して高リスクな投資に手を出すことになりかねない。またお金の運用は投資だけではなく貯金・預金という方法もあり、「投資教育」という形で投資にばかり眼を向けさせるのも疑問に思う。もっと幅広い視野での金融教育が必要なのではないかと考えてしまう。