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レクチャー

「ガーナ共和国」 講師: 浅井 和子 氏 (ガーナ共和国大使・CE理事)
2004/04/17

アフリカのガーナ共和国大使として赴任しておられるCEの浅井和子理事が、大使会議で一時帰国されている4月17日(土)に、管轄国であるガーナ、リベリア、シエラレオネの3カ国についてお話をしてくださいました。19世紀に米国から解放された奴隷の居住地としてうまれたリベリア、18世紀に英国から解放されたい奴隷の居住地としてうまれたシエラレオネは、長年内戦が続いたために、社会的インフラが整備されていないこと。ガーナは政治が安定しているが、カカオや金などの一次産品に依存しているので、貧しいこと。また、この3カ国はキリスト教徒、イスラム教徒、伝統的宗教徒が共存していることなど、CE記者が初めて知る情報ばかりでした。日本のODAや少年兵のことなど記者からの質問にも、わかりやすく答えてくださいました。60分間のお話を中島千尋記者(18才)がまとめました。

大使の仕事って?
大使の仕事
日本の無償ODAによって完成した施設の完成の引渡し式に出席して日本の援助をアピールしたり、行事への参加、日本からの客人のもてなし、国際機関やNGOとの話し合いなど。大使は国外では国を代表する者であり、その発言は国または政府の発言、という形になる。つまり小泉首相と同じ、ということ。外務省と大使は、仕事面ではあまり変わりない。外務省の出先機関が大使館。

ガーナはどんな国?
ギニア湾北緯4度にある国で、日本と違って四季がなく、雨季と乾季がある。日中は暑いため多くの人が昼寝をして暮らしている。風土が人間の行動に反映しているのか、人々はみなのんびりしている。ガーナはいわゆるブラックアフリカの中で最初に独立した国である。1957年イギリスから独立した。人口は2000万人弱で、国土は日本の3分の2。公用語は英語。しかし、20〜30の民族がおり、彼らの話す言葉はそれぞれまったく違う。
教育
イギリスの植民地だったので、イギリス風の学校制度が整えられている。植民地時代から、イギリスの大学に留学する人も大勢いた。高等教育を受けた人の代表として、現国連事務総長のアナン氏などがいる。ガーナの大学を出て、イギリスやアメリカの大学に留学する人も多い。医者の数も多い。幼児教育が非常に発達しており、3歳でアルファベット、4歳で九九を習ったりする。その上の小学校教育では、公立ではなく私立を目指す家庭も。小学校に進むのは、全体の70パーセントほど。大学まで進学するのは全体の1パーセントほど。大学は授業料がタダである。
政治
2000年の大統領選挙の時に、それまで20年間野党だった党が政権をとった。この過程は、選挙によって政権が平和裏に移譲されたということで国際的に非常に高い評価を受けた。ガーナは非常に安定した国である。
経済
経済の面においては課題が多い。GDPは一人当たり日本の100分の1の年間370ドルほどで、一日当たり1ドルほど。カカオや金、ダイヤモンドが採れるが、この資源は採掘後にヨーロッパに送られてしまう。つまり、ガーナ国内では「ものをつくる」という過程が無いため、国内に富が蓄積されない。何とかして国内で物つくりを目指したいが、先進国から「グローバリゼーション」を叫ばれ、爪楊枝などの日用品にいたるまでを輸入しなければならなくなり、自国内での物つくりが非常に困難な状況にある。そのため経済的に非常に厳しく、他国(先進国)からのODAに依存している面が多い。
ODA
ODAには無償借款と有償借款がある。ガーナは有償借款を受けていたが、2001年に債権国に「返せない」と申し入れたことにより、支援は無償借款に切り替わった。日本政府は1千億円弱を踏み倒された格好になる。しかし日本のお金で道路を作る場合、その金額を日本に返還しない代わりに、日本の建設会社が建設するような仕組みになっている。日本の会社が利潤を得れば、日本政府はそこから税金としてある程度の金額を回収する。このような「ひもつき」援助は問題になることもあるが、有償借款の場合や世界銀行のプロジェクトの場合は「ひもつき」援助は許されておらず、国際入札にかけられる。重要なのは自国産業が自らの手でインフラの整備などをできるよう、技術援助、資本援助をすることとの考え方もあるが、実際には、そのような技術支援と、直接の支援とを平行してやるのが望ましい。JAICAなどを通じての日本の技術援助は、非常に高い評価を受けている。
民族・宗教
多くの民族が住むガーナだが、民族紛争はほとんどない。現在でも民族・地域の「王様」(チーフ)が存在し、伝統的社会ではそのチーフがその地域を統べているなど、民族意識は非常に高いものの、政府のメンバーを決める際は各部族に配慮するなど、非常に平和的に共存している。
宗教も、キリスト教60%、イスラム教30%、残りの10%は土着信仰という割合だが、宗教間の争いは無い。行事などがあると、その3つの宗教での儀式が順に行われる。シエラレオネでは、行事の際にすべての宗教の祈りを同じ人がしたりする。アフリカの人は根底にはアミニズムがあるためか、宗教に非常に寛容である。

リベリアとシエラレオネ
リベリアはオランダの時代に奴隷としてアメリカに送られてきた黒人が解放されて19世紀中頃に作った国。リベリアという国名は、「リバティ(自由)」からきている。
シエラレオネもイギリスから独立した。
現況
リベリアは14年間内戦をしていた。去年の8月に包括和平合意ができたことで、今、国連を中心に武装解除などDDR(demobilization disarmament rehabilitation)の段階にある。それが終わったら社会の復興の段階に進む。あと2〜3年したら経済復興を考えなければならない。
シエラレオネはDDRの段階を過ぎ、社会の復興を考える状態にある。

三国が抱える問題
児童労働
ガーナでは、最近特に児童労働の問題が叫ばれている。貧しい家の子どもが漁師に売られていくなど、売春ではなく、「労働」に流れている現状である。
要因は親の仕事が無いことなどであるため、やはり国内産業の整備が必要。
少年兵
シエラレオネでダイヤの利権をめぐって起きた内戦では、少年兵の問題が叫ばれた。この問題は今もまだ禍根を残している。少年兵として戦闘に参加した人は、「獣のような」目をしており、この問題の大きさを感じた。
衛生状態
シエラレオネなどの未だ社会の復興があまり進んでない国の衛生状態は非常に悪い。病院などの施設も非常に未発達である。
社会設備がある程度整ったガーナにおいても、医者が国内ではお金を稼げないためアメリカなどに出稼ぎに行き、その結果国内には医者が不足、キューバから医者を呼ぶ、などという問題もある。